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京太郎「ふ~、女だらけの控え室は気が滅入るぜ」すたすた 京太郎「お、ラウンジあるじゃん、入ろ」がらがら ── 明華(さ……喉の調子を整えておきましょう……) 明華「AAAA~☆☆」 がらがら 京太郎「う、うわあああ!!」がしゃがしゃがしゃん 明華「!?」びくぅっ 京太郎「耳が腐るかと思った!」 明華「……」 京太郎「ここがどこだか知らないんですか?」 京太郎「高校生の麻雀大会の会場ですよ。音楽家さんはお断りです」 明華「すいませんでした」くるっ 京太郎「!!?」 京太郎(すげー美人!) 明華「けど、許してもらえますか? 吭が疼くんです」 京太郎「あ、すいません。咎めるつもりじゃ無かったんです。俺は構いませんから、ど、どうぞ、ご自由に」 京太郎(他に人も居ないし……けど俺は居るのに気にしないのか、この人。いや、俺は退室したほうがいいのだろうか) 明華「……」ちら 京太郎「?」 明華「あの……」 京太郎「あ、やっぱ俺、出たほうがいいっすよね、失礼しました~……」すたすた 明華「待って下さい」 京太郎「……」ぴた 明華「耳が腐ると、言いましたね」 京太郎「……何のコトです? そんなコト言った記憶ないなあ~っ……」だらだら 明華「ごまかさないで下さい。言った筈ですが」じぃ 京太郎「ご、ごめんなさい! つい口を出ちゃっただけで、本意では無いんです」 明華「私は歌が下手ですか?」 京太郎「そんなコトないですよ。お上手でした!」 明華「聴くに耐えなかったでしょうか。下手すぎて」 京太郎「いやいや、キレッキレで素敵な歌声でしたって」 明華「私はこれまでも、多くの方の耳を腐らせてきたと思いますか???」 京太郎「いや、知りませんけど? どんだけ不安なんですか」 明華「……だって、耳が腐ると」じっ 京太郎(あ、マジ顔だ……) 京太郎「ん~、まあ、すいません。正直な話、お世辞にもお美しいとは言えない音声、でしたね……」 明華「やっぱり……」 京太郎「入ったとき、マジでびっくりして、納得もしましたからね。あ、だからこの人以外人居ないんだ! みたいな」 明華「そこまで言います?」ぎりっ 京太郎「す、すいません」 明華「……ちょっと歌ってみて下さいませんか」 京太郎「え」 明華「歌って下さい」 京太郎「嫌ですが」 明華「……」ごごごご 京太郎「う、うう……そんな顔されても歌いませんよ。何で俺が……」 明華「不安なんです」 京太郎「え?」 明華「私は歌うのが好きなんです。どこでも歌うんです。貴方のお陰で、次から歌うときが怖くなるかもしれません。    自分は本当は引かれてるんじゃないか・って」 京太郎「……」 明華「貴方の歌声を聴いたら、それが判る気がします」 明華「歌って下さいませんか」 京太郎「……」 京太郎「……こほん」くいっくいっ 京太郎「んっ、んん!」びし 京太郎「……」すう 京太郎「AhAhAh~」 明華「!!!!」 ゆら ゆら とすん 明華「す、凄い……」ぱちくり 明華「天才ですっ……!」ぱちぱち 京太郎「え、そうですか?」 明華「お上手、ですね……」 明華「悔しいですが、負けました」 明華「貴方に比べたら、確かに私は歌が下手くそのようですね」 京太郎「ま~、人の感じ方にもよると思いますが」 明華「……みんなに訊いたら、貴方に軍配が上がりそう……」 京太郎「……あんた、そんなタマに見えませんけどね」 明華「えっ?」 京太郎「上手いとか下手とか、引かれるとか怖いとか、気にしてましたが、正直どうでもいいっしょ」 京太郎「自分が楽しむか楽しまないか、でしょ」 京太郎「麻雀と同じコトですよ」 明華「……」 明華「ふふ」 明華「その通り。私は何を動揺していたのでしょう。歌いたいから歌ってる、そう、それだけのこと」 明華「……名前、訊いておきます。素敵な金髪さん」にこ 京太郎「……うっす、須賀京太郎っす」 明華「臨海女子高校二年、雀明華です」 明華「いい時間でした。それでは」すたすた がらがら がしゃん 京太郎「出てっちゃった。風みたいな人だったな……ん?」 ひら 京太郎「なんだこの紙? 扉を閉める際の風に運ばれたのかな」じっ 京太郎「なんか書いてある。なになに……」 京太郎「……ふんふん、ごめん、意味解んねーよ……」 ── 『LAAAA~~~~~』ビュ 京太郎「……って」 京太郎「部長の対戦相手だったのかよ! しかも歌ってる、歌ってるよー……」 京太郎「そういや、どこでも歌うとか言ってたな。どこでもって。いやいや、対局中だぞ」 京太郎「けど……」 『ツモ』 京太郎「……いいカオじゃねえかよ」 優希「京太郎、さっきから握ってるその紙はなんだ? 見せれ!」とてとて 京太郎「やだよ。大事なモンだからな」ひょい 京太郎「……全く、おもしれー人だ」 『私の歌が貴方に届いたら 会いに来て下さいね 雀明華 ***-****-****』 カンッ

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