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京太郎「おはようございま~っす!」 照「……おはよう」 誠子「お~、おはよ~」 菫「おはよう、須賀。今朝はちょっと遅かったんだな?」 京太郎「すいません、ちょっと家の用事がありまして……。あれ?淡と尭深先輩は休みですか?」 誠子「ああ、淡なら風邪で休むってさ」 京太郎「え゛!?あの淡が風邪ですか!?小学校の時からあいつだけは一度も風邪なんて引いたことなんて     無かったんですけど……」 菫「私も後輩からそう聞いていたよ。だから心配でな。尭深を見舞いに出したんだ」 京太郎「ああ、なるほど」 照「……京ちゃん、お菓子が無い」 京太郎「うぇ!?もう無くなったんですか?……菫さん、何かいるものあります?」 菫「……すまないな、須賀。インスタントでいいからコーヒーとお茶を買ってきてくれないか?」 京太郎「了解です。では行って来ます」バタン 京太郎(淡、大丈夫なのか?帰りに俺も見舞いにでも行ってみるか) ~~~~~ 尭深「はい、淡ちゃん。取り敢えずお茶淹れてきたよ」コト 淡「ありがと、タカミー」 尭深「……」ズズ 淡「……」 尭深「それで、大丈夫なのかな?体の方は」 淡「…………ゴメンね、タカミー。風邪って言うの、嘘なの。でも調子が悪いのは本当。体じゃなくて心の方なんだけど……」 尭深「心の調子が、悪い?……まさか、淡ちゃん、やっぱり全国大会のこと、気にしてる?」 淡「へ?全国大会?」 尭深「あの時も言ったけれど、負けちゃったのは淡ちゃんのせいじゃないよ。私達がもっと頑張ってたら……」 淡「ち、違うよ、タカミー!そうじゃないの!」 尭深「そう、なの?だったら、どういった風に調子が悪いの?」 淡「ん~、なんて言えばいいのかな?えっとね―――」 ―――その症状は1人の人間に極端に注目してしまう……そして今まででは考えられない対応をしてしまう事 ―――気が付くと私はあいつを見ているの ―――あいつを見て、あいつの事を考えて―――目が離せない ―――例えば、登校して下駄箱にあいつの靴があったらどうしてか嬉しくなって…… ―――部室であいつの姿を見つけたら表情が緩む ―――昼休みとかおやつの時とか、他愛ない会話のはずなのに心がウキウキする ―――部活の最中、私が勝った時も負けた時も、それがあいつの時でも…… ―――見ずにはいられない、聞かずにはいられない ―――キョータローに注目せずにはいられない 淡「なんなのかな、この症状……」 尭深「…………」カタカタ 淡「!?タ、タカミー!何か知ってるの!?この病気、何か心当たりがあるの!?」 尭深「……」コク 淡「教えて、タカミー!私の病気がなんなのか!大丈夫、覚悟は出来てるから!だから……教えて!」 尭深「…………それはね、淡ちゃん」 淡「うん……」 尭深「”恋”だよ」 淡「………………え~っと……ゴメン、タカミー、幻聴まで聞こえだしちゃった。今度こそ聞き間違えたりしないから   もう一度――」 尭深「淡ちゃんは恋をしているんだよ。幻聴でも幻覚でも妄想でも無く、正真正銘の”恋”を」 淡「………………………………えぇぇっ!?こ、恋ぃぃっ!?」 淡「恋って、あの”恋”!?好きとか付き合うとかの!?」 尭深「そう、その通りだよ。淡ちゃんは須賀くんに恋しているんだよ」 淡「…………無いよ!無い無い!!だって私はそんなことになる劇的なイベントなんて起こしてないもんっ!!」 尭深「げ、劇的なイベント?」 淡「ほら、食パン加えて曲がり角でぶつかったり、車に轢かれそうになったところを偶然助けられたりとか、そういうの!」 尭深「…………あ、淡ちゃん?よく聞いてね」 淡「なに?タカミー」 尭深「恋って言うのはね、淡ちゃん。理屈や理論で公式を作れるほど簡単なものじゃないんだよ」 尭深「むしろ千差万別、人の数だけ形があるって言っても過言じゃないの」 尭深「それに、ね。あの全国大会での決勝の後のこと、言ってみればあれも”劇的なイベント”になるんじゃないのかな?」 淡「…………ば、馬っ鹿馬鹿しい!!だからってなんでキョータローなんかに恋しなきゃなんないのよ!」 淡「あんな、軽くて、デカ乳に鼻の下伸ばして、女の子だったら誰彼構わず声掛けるような奴!」 淡「友達としては面白いけど、恋愛なんて……っ!」 尭深 クス 淡「なによ?」 尭深「ううん、須賀くんのこと、よく知ってるんだなぁと思って」 淡「当たり前じゃん。何年付き合ってると思ってんの?小学生以来よ、小学生以来」 尭深「と、いうことは。同じくらいいいところも知っているハズ、だよ?」 淡「……あ」 淡(そう言えば、あの時も……あの時も……私が落ち込みかけてる時はいつも……それに―――) ― ――― ――――― 淡「…………」フラ…フラ… 京太郎「淡っ!」 淡「あ……キョータロー……」 京太郎「大丈夫か、淡?」 淡「……え、えへへ……負けちゃった。ゴメン、ね?」ニコ… 京太郎「淡……」 淡「あはは……ちょっと控え室に帰るの憂鬱だな~」 京太郎「淡っ!!」ギュッ! 淡「!?キョ、キョータロー……?」 京太郎「淡……無理するな……大丈夫、今は俺しかいないから……」 淡「……う……うぅ」 淡「うああああぁぁぁぁぁぁ……」 淡「私……負けちゃった……テルー達の夢、私が壊しちゃった……どうしよう……どうしたら……っ!」 京太郎「大丈夫……大丈夫だ」 淡「でも……でも!こんな大事なところで……私のせいで……っ!!」 京太郎「いつも先輩方が言ってるだろう?麻雀は時の運もある、って。今回が淡にとってのそれだった。ただそれだけだ」 淡「そんなの……何の言い訳にも……」 京太郎「大丈夫だ、淡。虎姫の皆はこんなことで淡を責めたりなんてしない。万が一そうだったとしても、     俺は、俺だけは、ずっと淡の味方でいてやるから……」 淡「キョー……タロー……」 京太郎「怖いなら、俺が手を引いてやる。だから……今はもう、帰ろう」 淡「…………うん」 ―――――― ――― ― 淡「………………そっか」 淡「すごいね、タカミー」 尭深「これでも一応、人生の先輩だからね」 淡「うん……そうだね」 淡(たった一年でも、先輩ってやっぱり凄いなぁ……) ~~~~~~~~~ ~~翌日昼飯時~~ 京太郎「―――ぁい、淡!」 淡「ふぇ!?ど、どうしたの、キョータロー?」 菫「大丈夫か、淡?まだ本調子じゃないのか?」 淡「う、ううんっ、全然!もうすっかり元気―――」 京太郎「ん~~……もう熱は無いみたいなんだけどなぁ?」ピトッ 淡「~~~~っっ!?」カァァァァ 京太郎「おおぅっ!?な、なんだか急に熱くなってきたぞ!?」 淡「へ、平気!平気だから!だからキョータロー、とりあえずその手をどけて!お願いっ!!」 京太郎「お、おう、悪い!」パッ 淡「……」ポーッ… 淡 ハッ∑(゚ロ゚〃) 淡「ちょ、ちょっと顔洗ってくるっ!」ダダダダッ 京太郎「あ、淡!?……行っちゃった」 尭深(作戦?……うぅん、天然かな?でも、とっても可愛い♪きっと須賀くんもすぐに……) ~~~~~ 淡「う~~、まだ顔が熱いよぅ~……」タタタ 淡(タカミーのおかげで気づけたけど、まだどう接したらいいか分かんないよ……) 淡「でも……」 淡(すぐに慣らして、絶対にモノにしてやるんだからっ!) 淡「待ってなさいよね、キョータロー!」 カン!

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