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「京ちゃん大丈夫・・・?折角の岩手旅行なのに倒れるなんて」 インターハイの優勝を祝して企画された旅行の途中で京太郎の体調が悪くなっていき 宿泊中の旅館の2階の部屋で宮永咲は京太郎の看病をしていた。 京太郎は息も切れ切れに咲に向かって微笑む。 「面倒かけてすまないな咲。このまま寝てれば大丈夫だから皆と一緒に旅行に行けよ」 「でも・・・うん、わかった。何か薬でも買ってくるね」 「あー、なんかお酒でも飲めば治りそうだなー」 「もうっ!京ちゃんったら!」 「ははっ。・・・なあ咲。息苦しいから窓を少し開けといてくれないか?」 「あっうん。これでいい?気分はどう?」 咲が窓を開けると爽やかな空気が部屋に入っていき、目の前にはのどかな風景が広がっている 「悪くないな。・・・皆を待たせているだろうから行ってこいよ。引き留めて悪かったな」 「うん・・・じゃあお土産買ってくるからおとなしく寝ているんだよ?」 咲は京太郎に微笑んで部屋からでていき、扉が閉まると蝉の声だけが部屋の中に響き渡る。 そのまま京太郎は目を閉じたまま休んでいたが、しばらく時間が経つと異変が起こる。 風が止み、蝉の声が聞こえなくなり部屋は無音の世界に包まれる。 ぽぽぽぽぽぽぽぽぽ どこからか微かに女の声が聞こえてくる そして窓の外から感じる視線を感じ、京太郎は口を開く。 「・・・急いだ方がいいよ・・・咲達が戻ってくるかもしれないから」 窓の外で探るような気配を感じる。 「そこまで行ってやりたいけど」 手足がどこも怠くて力が入らない。 まるで四肢を失ったような気がする。 「起きられないんだ」 京太郎の声を発した数瞬のち、窓枠に手がかけられ、這いずるように黒いモノが部屋に這入り込んでくる。 全身が入り込み立ち上がると全身が黒い少女が赤い瞳をこちらに向け近寄ってくる。 ―――この期に及んでも俺は豊音さんが心変わりをして解放してくれると―――期待している 京太郎の期待をよそに豊音は京太郎の傍に屈みこみ顔を覗き込み口を開く 「ごめんね」 万感が込められた豊音の言葉に京太郎は豊音と視線を交わし合い、やがて閉じる。 「―――いいんだ。なんとなく俺、長野に帰れないような気がしてたんだ」 「・・・っ!・・・・・・そう」 京太郎の言葉を聞いた豊音は数瞬息が止まり、やがて口許を京太郎の首筋に近づけてくる 意識も胡乱としてきた京太郎の顔に雫が当たる ―――水?―――いや、涙だ。体温のない妖怪の冷たい涙――― 8月××日 夕方 旅行から帰ってきた咲達が目にしたものはもぬけのからの部屋だった。 周囲の人に聞き回り、くまなく捜索したが見つけることはできなかった 地元の警察に後を任せ、咲達は長野へ戻ってきたが京太郎は終ぞ戻ってくることはなかった――― 8月××日  須賀京太郎 行方不明 エンディングC 『八尺様の婿迎え』 カンッ!

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