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白無垢が似合い頬に紅をさす、とても綺麗な花嫁。
集まってくれた皆の声に答えるように手を振りはしゃぐ。
祝福の声であたりは賑わい、笑顔が広がる。
咲「おめでとう、お姉ちゃん……京ちゃん」
ぼそっとつぶやくように祝福を。
ぎこちない笑顔を浮かべながら口にする精一杯の強がり。
二人の姿を見ていると視界がぼやけていく。
いけないね、ちゃんと二人を見てあげなくちゃ。
それでも、きゅうっと締め付ける胸の痛みにうつむいてしまう。
……遠くにいるはずなのに私の様子に気づき、心配そうな顔をみせる京ちゃん。
ずるいなぁ……失恋ひとつさせてくれない。
お姉ちゃんにも声をかけ、二人一緒にこちらに来てくれる。
京太郎「どうした? 咲」
照「咲、疲れちゃった? 控室で休んでてもいいよ。お菓子もいっぱいあるよ」
京太郎「照さん、やたら控室に戻るなって思ったら……はぁ」
照「……栄養補給しなきゃ、白無垢は疲れる」
何の気なしにじゃれあう二人を目にし、羨む気持ちが顔に出そうになる。
わかってるんだ、二人がお似合いなことぐらい。
咲「ふふ、何でもないよ二人とも。ただ……幸せそうでいいなって思っただけ」
でもね、もしあの頃の私に勇気があったらって考えちゃうんだ。
咲「私も二人みたいに幸せになりたいな~ってね」
……それでもダメだったかもしれないけど、失恋はできたはずだから。
咲「それよりも二人とも……結婚おめでとう」
京ちゃんは笑ってお礼を口にする。
お姉ちゃんは涙ぐんでしまう……もう、お化粧がダメになっちゃうよ?
咲「ほら、他の人たちにもその幸せを見せつけてきてよ。ね?」
京太郎「そうだな……じゃあ、後でまた。照さん行きましょうか?」
照「うん……咲、ありがとね」
そういって二人は手を繋ぎ戻っていく。
その姿にやるせなくなる……まだ私は好きみたい、京ちゃん。
もし、この気持ちがこれからも変わらないのなら私は……
咲「……よろしくね。お義兄ちゃん」
カンっ!
咲「京ちゃん……お姉ちゃん遠征でいないから二人きりになっちゃうね」
京太郎「……咲」
咲「ふふふ」
京太郎「おまえも今日ナイトゲームで試合だろ」
咲「ふぇ? あぁ! そうだった! じゅ、準備まだしてないよ~」
京太郎「はぁ、仕方ねぇな。送ってやるから早く準備してこい」
咲「あ、ほんと! ありがと!」
京太郎「おう、迷子になられたら困るしな」
咲「も、もう大人だから大丈夫だもん!」
京太郎「じゃあ、一人で行くか?」
咲「よ、よろしくお願いします。お義兄ちゃん」
もいっこカンっ!