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ベンチに独りたそがれる。これって青春じゃないか? ほら、見上げた空は蒼く透き通って、五月の日差しが肌を刺す。青春っぽい。 思わず目を閉じるくらい日差しが輝いて、青春っぽくない俺の青春を笑ってるみたいだった。 「京ちゃん」 ああ……知ってる声がする。いつもみたいに少しとぼけた、戸惑ったような声。 目を開ける事さえ億劫で、軽く手を挙げる。 「隣、座るね」 俺の返答よりもずっと早く、隣にぽすんと華奢な熱が落ちてくる。日差しよりもずっと暖かくて、小さい熱。 近づくでもなく遠ざかるでもなく、ただそこで本を捲る音だけがする。 「……ご飯、食べた?」 いや――食べてない。 ほんの僅かに首を振った。 「そうなんだ。じゃあ食べに行く?」 ほんの僅かに、首を振れたかどうか。目に入るのは真っ赤に透ける目蓋だけで、隣のがどんな顔をしてるのかは分からない。 それでも嘆息して動かない様子からすると、きっと意図は伝わったんだろう。 「もう…私も、京ちゃんが食べに行くまで行かないから」 なんだそれ。理屈がわからん。わからんけど… 「あ!もー、なんで笑うの?」 知らないよ、知らないけど込み上げてくるんだから仕方ない。 鬱陶しい日差しから逃れるように目を横に向ければ、予想通りの膨れ顔。 まだまだ青春っぽくない高校生活だけど…今はまだ、これくらいでいいのかもしれないな。 カンッ

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