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私はいつも、彼を図書館から見ていた。
外でコートを動き回る彼らにはまるで翼が生えているように見えた。
鳥のような動きに、私は目を奪われていた。
その中でも目立つ、金色の大きな鳥に。
私は憧れていた、その自由な翼に。
だけれどその翼はある日突然赤く染まった。
傷ついた羽は癒えることなく、大きな傷跡を残した。
翼をもがれた彼は図書館という名の籠へ来た。
別段大した理由はないのだろう。
だけど、偶然でもこの籠へ来たのなら私は力になりたい。
彼の翼は痛んでしまっているけれど、世界は空だけじゃないことを知ってほしい。
地平にだって、海にだって世界はある。
翼がないのならばその足で進めばいい。
それが辛いのなら、私がほんの少しだけ背中を押そう。
「同じクラスの宮永さん…だよな?
俺ここに来るの初めてなんだけどさ何かお勧めの本ってある?読みやすいの。」
彼には、もっと世界を知ってほしいから。
カンッ