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「h45-63」(2014/05/11 (日) 01:34:45) の最新版変更点
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最近金髪の男子高校生をよく見る
見るかぎり此処の患者さんやないみたいやけど
少し気になる
ちょっと格好いいからなんて
竜華に明かしたら呆れるやろな
がらがら
憩「園城寺さーん」ひょこ
憩「おはようございますー」
怜「おはようございます、荒川さん」
怜「あの、ちょっとお尋ねしてもええですか?」
憩「?ええですよー」
怜「最近、金髪の男の子をちょくちょく見かけるんですけど、荒川さんともよく話してるの見かけるんですけど……あの子は一体?」
憩「──……」
憩「どこから見とったんです?」
怜「?窓から外でうろうろしてんのよく見るし、ロビーを通るときたまに荒川さんと話してる……のを見たりするんで」
憩「……へぇー……」ぼそっ
怜「……?」
憩「何でもないですよ」にこ
憩「──なに、一目惚れでもしたん?」くすっ
怜「そ、そんなんやないですよっ……」あせあせ
憩「あはは、でも、関わらんほーがええですよー?」
怜「え、何でです?」
憩「うーん……女癖悪いですからねー、あの人」
怜「そうは見えんけどなぁ……」
怜「それに、そういう割に荒川さんもよく話してますやん」
憩「……えへへー」にこにこ
怜「──……」ぞく
憩「面白い男の子やからね……うちはうちなりに、節度を保って関わってるけど……」
憩「多分、園城寺さんが京太郎くん……あの子と出会って、話したら……」
憩「どういう未来になるか、視るまでもないコトになると思いますよー……?」にこ
怜「は、はぁ……」
怜「ま、まあええですわ。訊いてみただけです。ありがとうございます、荒川さん」
憩「いえいえー。では診察に入らせていただきますね……」
──
怜「病院のお菓子にも飽きてきたなぁ……」とてとて
「──……」
怜「?」ひょこ
京太郎「一度でいいから、あの子に会って話してみたいんだよなー」
憩「あかんあかん。京太郎くんみたいなんは会わせたくないわ。それにうちから個人情報を晒すのはシャレになっとらんしー」じと
京太郎「えー?俺と憩先輩の仲じゃないですかー、教えて下さいよ、何処に行けば会え易いかくらい!」にっ
憩「知らんわ。大体一人の患者の情報なんかそんな把握しとらんしー」じと
京太郎「お願いします!」
憩「何度言われてもダメなもんはダメや~」ひらひら
怜「あの人、キョウタロウっていうんや……」
京太郎「ちぇー……ま、仕方ないっすよね……」
京太郎「はあ。忘れられないんだよなあ……夕陽に照らされてた、あの子の宝石みたいな姿を」
京太郎「引き寄せられるように、この病院に来ちまう。思うんすよ。あの子に会ったら、俺のこの気持ちも取り合えるだろうか……とかね」
憩「ヤメテー、聞きたないわー、キモイ話せんといてー……」みみふさぎー
怜「あー、実物があんな近くに……」
京太郎「──……」ぺらぺら
怜「やっぱりカッコいい……」うっとり
怜「おっと。女癖が悪いって話やったな。アカンアカン」くるっ
怜「未練がましくなる前に退散や……さよなら、キョウタロウくん」すたすた
京太郎「ああー!!」びしぃっ
怜「っ!?」びくっ
だだだだだだ
京太郎「き、きみは……」きらきら
怜(わわわわ、目の前にキョウタロウくんが……)
京太郎「あ、いきなり現れてすいません。なんか、君を見た瞬間、ビビっときて」
京太郎「つい、抑えられなくなっちゃって。どうすか、ちょっとあそこに座って話しません?」
憩「病院やで、わかっとんのか、京太郎くーん」
京太郎「憩先輩!邪魔しないでクダサーイ」
憩「は、は、はぁー!?」かあっ
──
あれから、京太郎くんとだいぶ親しくなった
うちと京太郎くんの話が盛り上がると、荒川さんがどことなくムスッとしてた理由も解った
自分の気持ちに気付けた時に
怜「え、京太郎くん、転校するん……!?」
京太郎『そうですね。もう明日には……長野に行っちゃいますね』
怜「そ、そんな、知り合ったばっかやん!!そんなんナイで!」
京太郎『仕方ないですよ……言う機会もありませんでしたから』
怜「いやいや……いやいや……そんなん、辛いわ……」
京太郎『……俺も』
怜「?」
京太郎『俺も辛いですよ』
京太郎『怜さんが、───』
怜「!?な、なんて!?聞こえへんかった!」
京太郎『へへ。もう切りますね。短かったけど怜さんと居る時間はいい時間でした』
京太郎『さよなら』
ぷつっ
怜「ま、待って……待って!京太郎くん……!!」
怜「まだ、まだ……うちのことを……京太郎くんのことを……解り合いたいのに……!!」
怜「京太郎、くん……」ぐっ
ぐっ
怜「行くしかない……!」だっ
君の隣に居たい
もしもう一度会えたら
うちを抱き締めて欲しい
怜「ごふっ……」どぱっ
怜「はぁー……はぁー……」ずる…
足の感覚は無い
霧がかかってるみたいな
視界も意識をダメにしていく
君のイメージだけが明晰なまま
怜「あと、少しや……!」
怜「京太郎くん……──」
会いたい
会いたい会いたい会いたい絶対に会いたい
誰かにこんなに会いたいと思ったのは初めてなんや
京太郎くんに会って京太郎くんをモノにして
うちの全てを証明したい
京太郎くん自身に
怜「きょうた、ろ……」どさっ
──
京太郎「怜さんっ!!」がらっ
憩「京太郎くん……」あせ
京太郎「憩先輩、怜さんは……」
憩「心配は要らへん。だから会う必要も無いよ?」だら
京太郎「倒れたと聞きました。一度、顔を見たい」
憩「……だ、だめや……あかん……」だらだら
憩「京太郎くんは明日にはもう、大阪を発つんやから……」だらだらだらだら
京太郎「顔を見たいんだ。それじゃいけませんか?」
憩「……」ぎりっ
憩「はは……」むく
憩「──わかった……」すっ
京太郎「憩先輩、ありがとうございます」だっ
憩「……」
憩「……」どさ
憩「っ……く……」すとん
──
すたすたすとん
京太郎「驚きました。怜さん……心配しましたよ」
怜「来てくれたんや……倒れたかいあったなあ……」にこ
京太郎「やめてくださいよ、シャレになってない……」
怜「なあ。本当に行ってまうん?」
京太郎「──はい」
怜「そっか……」
怜「また会いたいな……」
京太郎「会えますよ。なんならネットで毎日繋がれますし」
怜「そやな。悲観的になるのもシマイにしよか。京太郎くん、ありがとな」
怜「なあなあ」ひょいひょい
京太郎「?」
京太郎「何ですか──んむっ!?」
怜「んー………………ぷはっ」
京太郎「なななななななな」かああああ
怜「ふふっ、京太郎くんの大事なもん、貰ったで♪」にこっ
京太郎「あ~!と、怜さん……!!!」ぷしゅーーー
心が満たされていく
これから遠いとこに行ってしまうのに
唇の感触のことばかり
これなら今度は君に会いに行ける
怜「ふふふ♪」
京太郎「全く、怜さんは……」にこ
うちの能力が現れたのは
それから少しあとのこと
カンッ