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京太郎「ははは。それで昨日のコンビニで、あいつらがさぁ……」 須賀京太郎。 クラスメイト。 明るくて、人とよく話してる。 私と同じ麻雀部だけど、あまり接点は無い。 明華「須賀くん。お昼ご飯、一緒に食べませんか?」 京太郎「ああ~……いいですね。それじゃ、またなおまえら。え?別にそんなんじゃねえよ」 最近、チームメイトが須賀京太郎と仲良くなった。 理由は知らない。 けれど、こうしてわざわざ一年の教室に来て、昼食を共にしてくるくらいには、親しみを感じているようだ。 気にはならない。他人の交友関係に踏み入るのは、好きじゃない。 明華「……」にこ 京太郎「あっ、笑いましたね、明華さん。何で笑ったんですか?」 明華「んー……何ででしょう?」にこにこ 京太郎「……ま、いいか。明華さんの笑顔、可愛いし」 明華「ええ……?そうですか?」にこにこ とはいえ、チームメイトが金髪の軽そうな男に口説かれてるのを見るのは、いい気分とは言い難い。 ハオ(私も少し……彼を知ってみる必要が、あるかもしれませんね) ── ハオ「須賀くん。このテキストなんですが、少し教えて頂けませんか」 京太郎「ああ、いいよ。うーん、俺もあんまり自信があるわけじゃないんだけど、これは多分……」 放課後、彼の教室へ辿り着くと、ドアの隙間から二人の様子が見えました。 スキップを刻んでいた足は止まって。口ずさんでいた歌は忘れて。 明華(……最近、二人はどんどん仲良くなっています) 明華(ハオの頭なら、わざわざ人にテキストの内容を訊かなくたって、なんとかなるはずですが) 明華(まるで、須賀くんと話す機会をつくるみたいに、ああやって……) ハオ「……」ちらっ 明華「!」 明華(今、確かにハオはこちらを見ました。私と目が合いました) 明華(何で、話し掛けてこないんでしょう?何で須賀くんと話すのを止めないんでしょう?私に気付いてるくせに) 明華(って、私らしくないですね) 普通に教室に入って、普通に話に加わればいいだけ。 二人の空間に立ち入ることに、足を竦ませて躊躇うなんて、全く私らしくありませんでしたね。 ── 今日は私と明華と京太郎の三人で、カラオケに来ている。 明華の案だ。私はあまり日本の歌は知らなかったけれど、今日のため……京太郎のためにいくつか覚えてきていた。 明華は、日本の歌は歌わなかった。 けれど、京太郎は私より明華の歌に惹かれたようだ。 少し、悔しかった。 京太郎「やっぱり明華さんの歌声は、最高ですね……ね、ハオ?」 ハオ「そう……ですね。でも私は、京太郎の歌声が、一番好きですよ」 ハオ「そ、その……かっこ……いい……です、から……」かあ 京太郎「へへ、ありがとう。ハオも意外と上手くて驚いたよ。そんなイメージなかったから」 ハオ「……失礼ですね。これでも故郷では、名が通っていたのですが」 京太郎「ほんとかー?ま、納得はするけどな」 ハオ「……あの。ちょっと顔近いですよ」 京太郎「え?あ、ああ、ごめん。なんか最近ハオの近くにいっちゃうんだよね、自然と」 ハオ「えっ……?そ、そうですか……」かああっ 京太郎「何でかは、解らないんだけどな」はは 京太郎から顔を逸らすと、明華がじっとこちらを見ているのに気付いた。 私は、背筋が凍り付いた。 何故なら明華の目は、今まで見たことないくらいに……暗かったから。 ── 京太郎「あ、あの……いいんですか?」 明華「何がですか?」にこにこ 京太郎「いや、だって、部室にハオを残したまま俺たちだけ帰っちゃうなんて」 京太郎「三人で今度の遠征について話し合ってたのに、ハオが席を外した間に……」 明華「……それ、気にするようなことですか?」 京太郎「……えっ?」 明華「気にする意味がないと、言ったんです。ハオは、用事がありましたから、私たちは先に帰る……そういう手筈でしたよ、今日は初めから」 京太郎「えっ?初めて聞いたな、ハオ、用事あったのか……」 明華「そうですよ。それよりもこのあと、何処かに寄りましょう♪またカラオケなんか……どうですか?」 京太郎「あ、いいですね!そういえば、二人で行くのは、初めてですね」 明華「……ふふふ♪」 そう。あの子のことを、京太郎が気にする意味は、何一つありません。 京太郎が気にしていいのは私だけ。あの子がそれを欲しがるのは、驕りというもの。 もともと、私と京太郎くんだけだったのに。 私たちの仲に割り入って、横から京太郎くんをかっさらうだなんて……許しませんよ。 私と京太郎だけの世界。ハオ、そこにあなたは要らない。 ── ハオ(何故、何故ですか) ハオ(一体どうして、私は京太郎から遠ざかっている!?) 最近、京太郎と話す機会が異常に少ない。 授業と授業の間の休み時間くらいしか話す機会がないが、京太郎はたいてい友達と話してて私の出る幕がない。 そして、部活では、放課後では……必ず隣に、あの女が居る。 そしてあの女は、私をあからさまに避けている。隠そうともしない。 京太郎「ふああ……」とてとて ハオ「あ、京太郎──」 明華「京太郎!!」たたたたっ ハオ「!!?」 明華「京太郎っ……♪」ふわっ だきっ ハオ「っ」あぜん 京太郎「ちょ、明華さん、こんなところで止めてくださいよ」 明華「さん付け?どうしてです?親しい間柄には、そんなもの必要ないと、昨晩話した筈です」 明華「ほら、昨晩のベッドでの時みたく、私の名前を呼んで下さい」ちらっ ハオ「!」 明華「……」にぃぃっ ハオ(……成る程。漸く事情が掴めました) なりふり構わないあなたの性格は、全く好きじゃない。 けれど私は、あなたを見習わなければならないみたいだ。 ハオ「……」じろっ 明華「……」にこにこ ── 明華「はあっ……はあっ……」たったったったっ 京太郎が下宿しているアパートの前まで、私は走っていた。 今日、京太郎は私としていた約束を破った。それだけが理由じゃない。 ハオから送られてきたメール……問題は、添付された写真。 許さない……許さない…… 明華「待って、待って!京太郎!!」 ハオ「くすくす。そんなに慌てて、誰を探してるんですか?」 ハオ「傘を差すのを、忘れていますよ」 明華「……」ぎろっ ハオ「あまり恐がらせないで下さい。これでも私今、緊張してますから」 ハオ「さて……これは何でしょう?」すっ 明華「クイズをしに来たわけではありません」 ハオ「よく見て下さい。知っている筈ですよ」 明華「!!それは……」 明華「ハオッ……!許さない!!!絶対!!!」ぎっ ハオ(私と彼の"写真"。明華だって、やってることは同じですが) ハオ「京太郎は、あなたのやりたい放題な振る舞いに、疲れていたみたいですね」 ハオ「別れたいって言っていました。でも明華はそれを許してくれない、とも。私に助けを求めて来たんですよ」 明華「見え透いた嘘をつかないで!彼を返しなさい!!」 ハオ「不可能です。彼の心は既に、あなたの許には無い」 ハオ「私の許に在るのだから」にやっ 明華「黙れ!!」 ハオ「なんなら、確かめてみますか?出てきて下さい、京太郎」 京太郎「……明華」 明華「京太郎っ!」ぱああっ 明華「そんなところに居ないで、私のほうへ戻って来て下さい♪」 京太郎「……ごめんなさい。俺、軽い気持ちで明華さんの誘いに乗っちゃって」 京太郎「俺が好きなのは、ハオだったのに……!」ぐっ 明華「な、なにを……」 ハオ「いいんですよ、京太郎……最後に私の許に、帰ってきてくれたじゃないですか」 明華「!?きょ、京太郎がもともと仲がよかったのは、わたしのほうですよ!?」 京太郎「……」 ハオ「行きましょう、京太郎」 ハオ「私たち二人の部屋へ」 きぃがちゃん 明華「まっ、待って!!待って!!京太郎!!京太郎!!」ぽろっ 明華「きょうた、うっ……」ぼろぼろ 明華「私が……いけなかったのでしょうか……」 明華「私は、彼の気持ちをもっと、考えるべきでした……」 明華「……違う」 明華「あの女さえ、現れなければ……私たちの前に、現れなければ……」 明華「私はもっと焦らずにいて、こんなに私と京太郎がすれ違うことも無かった……!!」 明華「ハオ……許さない……!絶対に許さない……!!」 明華「私の京太郎に手を出した報いを思い知れ……!!!」 明華(そう、絶対にあなたから、京太郎を取り戻してみせる) 明華(たとえあなたを──すことになろうとも)にたあっ カンッ

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