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桃子「雀荘巡りも、飽きてきたっすねー」 私の唯一の趣味、麻雀。 ほとんどネト麻しかしないけど、たまに雀荘に行って打つこともあった。 リアルの麻雀だと、自分の特性を利用できるから、ほとんど負けたことがなかった。 ……一度でいいから、思いっきり負けてみたい。 自分の影の薄さに不満を覚えたことはないけど、せめて互角以上の対局をしてみたい。 そう思い立って、近所の雀荘を一つ一つ回っている所だった。 桃子「……ルーフトップ」 喫茶店?……いや、雀荘のようだ。 もう、ここで最後にしよう……ダメで元々だ。 どうせ対局した人も、すぐに私の事を忘れる。 桃子「ちょっと、寂しいかもー……なんて」 こういう独り言を呟いても、周りから変な目で見られないのはいいけど……。 …………私は、麻雀が強い人を探しているのか、それとも―― 扉を開ける。チリンチリン、とドアのベルが鳴った。 京太郎「いらっしゃいませ!」 ……驚いた。自分から声をかけない限り店員は気付かないのに。 ベルがうるさかったのかな?そんなに大きい音でもなかったと思うけど。 京太郎「一名様ですか?」 金髪、長身の男の子が話しかけてくる。 桃子(わ、結構かっこいいかも……)ジーッ 京太郎「?」 桃子「あ……えっと、麻雀打ちたいんですけど」 京太郎「はい!染谷せんぱーい」 イケメン君が、近くにいたメガネの子に話しかける。 まこ「おうい京太郎、仕事中は先輩を付けるなっ」ビシッ 京太郎「あいてっ!す、すいません」 京太郎くんか。学生っぽいけど……どこの高校だろう。 京太郎「それじゃ、打ちますか」 桃子「……はいっす」 ……やっぱり、わたしに話しかけている……目も合ってるし。 もしかして、この人、私の事が―― ――南三局。 桃子「……ロンっす」 京太郎「ずがーん!?」 違った。弱い。あまりにも。 まこ「京太郎は振り込みすぎじゃ!」 京太郎「ぐぬぬ……!まだ、まだオーラスが残ってますよ!」 清澄高校麻雀部で同じく麻雀部の先輩染谷まこさんの実家の雀荘でアルバイトをしている私と同級生の須賀京太郎くん、 は置いといて……(今さっき仕入れた情報) 下家の染谷さんがそこそこ強いっす、ツモで結構削られた……けど 桃子「リーチ」トン まこ「……」 既に私を見失ってる……この手、直撃でまくるっす! 京太郎「あ、それポンっす」 桃子「………………え?」 鳴か、れた?ステルスモードの、私の牌を? 桃子「……??」ポカーン まこ「……」タン 京太郎「……あの、ツモ番ですよ?」 桃子「へっ?あ、はい……」タンッ 京太郎「おっ!それ、ロン!えーっと……」 桃子「ッ……!」ガタッ 見えている。やっぱり、この人……! まこ「1000点じゃな……って、四位確定……」 京太郎「ば、バカな……!」ガクッ まこ「終局じゃな」 桃子「……」ジーッ 京太郎「あ、お疲れ様です」ニコッ 桃子「ぴっ!?///」ビクッ 京太郎「ぴ?」 桃子「……あああ、あの!」 京太郎「え、はい?」 桃子「そのー……えーっとぉ……!」アタフタ あーダメだ、混乱してる!私が見える人、初めて出会った! こ、こういう時、何を話せばいいんだろう!? 桃子「……ま、また、会えますか?」 京太郎「え?」 桃子「………………ッ!!?///」ボフンッ 墓穴。……何を口走ってるんだ私は!? 桃子「う……うわぁぁーっ!!?///」ダダッ 京太郎「ふぉっ!?お、お客さーん!?」 チリンチリーン……後ろのほうで、京太郎くんの声とドアベルが聞こえる。 思わず逃走しちゃったけど…………見つけた!私の……探していたもの。 桃子「………………あ」 連絡先、聞いてない。 カンッ!

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