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三年生京太郎@白糸台
放課後、白糸台麻雀部部室にヨロヨロと京太郎が入ってきた。
京太郎「うぅ……腹が減った。照ー、何か食べるものない?」
菫「私の弁当が少し残っているが、食べるか?その、食い残しですまないが」
照「ん-、今ちょうど手持ちのお菓子が……」
京太郎「ぅあー神様仏様菫様。食べ残しであろうと何だろうと構いません有り難く頂戴します」
尭深(食べ残しって量じゃないよね)ヒソヒソ
誠子(朝作ってた時点でかなりの量だったから恐らく狙ってたんだろうね)ヒソヒソ
淡「スガ先輩、今日もお昼抜いたのー?」
照「……月末だから多分朝も食べてない」
京太郎「お察しの通りで」モグモグ
淡「寮で食べてないの?ご飯出てくるでしょ?」
誠子「あぁ、淡は知らないのか」
淡「何をー?」
尭深「それは、そのぅ」
菫「こいつは男子寮に入ってない。て言うか追い出された」
京太郎「ぐぅの音も出ません」ガッフガッフ
淡「スガ先輩何をしたのさ」
京太郎「えーっと、うん、まぁ、素行が悪かったんだよ」ングングゴクン
尭深「先輩、どうぞお茶です。ついでに大福もどうぞ」
京太郎「天使や……天使がおる」
誠子「ご飯を奢ったら誰でも天使じゃないですか須賀先輩の場合」
照「それだけ追い詰められてるんだね……」
京太郎「誠子、まぁそう言ってくれるな。空腹ってのは本当に身近で強烈な不幸なんだ。腹が切なくて手足が冷たくなっていって、それはもう世界で一番報われていないと感じるくらいなんだ、分かるだろ?」
誠子「いや同意を求められてもですね」
京太郎「だって一日中食べなかったときあっただろ?」
誠子「何も口にしなかったわけじゃないですよ、例えば先輩のせ……いや、何でもないです。まぁ、先輩はお腹が減って当然だと思いますよ」
照「……」
菫「……」
尭深「……」
淡「?」
京太郎「とりあえず明明後日には入金されるからそれまでにはどうにか食いつながないと」
照「じゃあ、私、夜作りに行ってあげようか?」
京太郎「マジで!?」
菫「待て待て照、お前だと絶対アパートまでに迷うし門限だってあるんだからダメだ」
照「京ちゃんに送り迎えしてもらうし、門限については……協力して」
尭深(帰りは絶対朝早くだよね)ヒソヒソ
誠子(だね……私でもそうするし)ヒソヒソ
菫「協力してって、お前なぁ」
京太郎「悪いけど照、送り迎えは流石に面倒……菫が代わりにやってよ」
菫「なんで私が……う、うーん、なら、私も一緒に作ってやろうか?」
京太郎「それは嬉しいけど、門限の誤魔化しは誰がするんだ?」
菫「亦野」
誠子「二年生の私じゃ自信がありませんし寮監からの信頼を鑑みても部長が残った方が良いんじゃないですかね。代わりに私が行きますよ」
菫「くっ……そうは言うが」
尭深「あ。そう言えば実家からお茶とかお米が届いたんですよ。良ければ先輩、お裾分けしましょうか」
京太郎「あぁ尭深さん、地母神とは貴女のことだ」
尭深「と言うわけですし、届けるついでに色々ヤっちゃ……済ませますし、今日は私に全部。『全部』任せて下さい」
照(そう来るかー実家農業は強いな)
菫(この言い分は……覆しづらいな)
誠子(週明けなら釣った魚を差し入れできたのに……まぁ、一昨日私だったしまぁいいか)
淡「スガ先輩アパートに住んでるんだー、私も行ってみて良い?」
照「ダメ」
菫「やめとけ」
誠子「悪いことは言わないから」
尭深「いやもう本当に空気読め」
淡「は、はい……」
京太郎「俺んち来たいの?別に来るだけなら構わないけど」
淡「ホント!?」
京太郎「何もねぇぞ、金がないから」
照「淡……やめておいた方が良いよ本当に」
尭深「私も始めはただの興味本位だったけど、あの、その、あぅ………」
誠子「淡も女の子なんだから、気軽に男の人の部屋に行きたいとかいっちゃダメだよ」
淡「ぶー。でもみんなは気軽に行ってるんでしょ?私だけ除け者にするの?」
尭深「淡ちゃん、そういうわけじゃないの、だからね……」
菫「……おい京太郎」
京太郎「ん、どした……って、ん、む、んー」
淡「わわ、わわわ」
菫「……ちゅ、れる、くちゅ……」
京太郎「……はむ、るる、ずずー」
菫「……ぷぁっ。なぁ、京太郎……今日お前の部屋に行きたいんだ……ダメか?」
京太郎「その、でも尭深が」
菫「私が代わりに届けるよ……なぁ……京太郎は短期のバイトで私は部長で……忙しくてちっとも構ってくれやしないじゃないか」
京太郎「まぁ、うん、確かに……」
菫「たまには……構え」
菫(差し出せる物がなければ情で攻めるだけだ。こればかりは……)
照「京ちゃん!私だって――」
京太郎「照、わりい。今日は菫に頼むよ。尭深も、それで良いかな」
尭深「……あとで絶対埋め合わせしてもらいますから」
京太郎「ごめんな。俺で出来ることなら……」
菫(早い者勝ちなのさ)
淡「わー。わー!チューだ、ベロチューだ!えっ、何、スミレとスガ先輩ってそうなの!?」
照「違うよ」
菫「実はそうなんだ」
誠子「寝言も大概にしろや」
尭深「淡ちゃんにはまだ早いから黙ってようね」
淡「は、はぁ……」
菫「まぁ、そういうわけだから……じゃ、早速行こうか、京太郎」
京太郎「落ち着けまだ部活中だろうが」
菫「あ?あぁ、そう言えばそんなのあったな……じゃ、適当に打とうか」
京太郎「うーっし、腹も膨れたし――有り難うな菫――早速やるかぁ…って、ん?」
淡「ねぇねぇスガ先輩」クイクイ
京太郎「どした」
淡「今度さ、ゲーム持っていくからさ、一緒にやろうよ」コソコソ
京太郎「日曜はバイトだから無理だけど……月曜なら部活のあと良いぞ。そん時には給料入ってるし、飯でも食うか」
淡「もぅー、ダメだよーだからすぐにお金なくなっちゃうんでしょ?夕食ちょっとちょろまかすから……ね?」
京太郎「うぅ、こんな入りたての後輩にまで気遣われるなんて……すまねぇすまねぇ……でもほどほどにな」
淡「うん!えへへ、楽しみー」
自室に女を連れ込んでは女の部屋に入り浸る事を繰り返した挙げ句寮から追い出され、近くのアパートに下宿している男が居る。
奨学金と短期のバイトでどうにか食いつないでいるが、学校の監視から解放された今むしろ女達は野放図に男の部屋に入り浸っているという。
そして、入り浸る女がまた一人増えるのは、そう遠くない先のことだろう。
カンッ