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海辺のホテルで目を覚ます。 本来起きている予定だったが、寝てしまっていたようだ。 あまりにも昨晩は楽しみすぎたらしい。 良子「ん……」 窓際に座る彼が私を見ていることに気付いた。 京太郎「起きましたか、良子さん」 もう出会ってどれくらい時が流れたか、忘れてしまった。 彼は高校生で私はプロだった。 会える日は限られていたのに、凄く濃い時間を過ごした気がする。 彼に見つめられると緊張してしまうのは、未だに私が彼に対して心を預けきれていないからだろうか。 良子「グッドモーニング、京太郎」 京太郎「まだ朝は早いですよ。もう一眠りしても、構いませんよ」 良子「ノーニード。完全に目覚めてしまいましたから」 良子「寝てしまったことも悔しいと感じてます。今、少しでも、京太郎と過ごしてたい」 良子「京太郎も同じ気持ちでしょう?」 良子「今日から長いこと会えなくなるのだから」 京太郎「……全くだ」 今日、私は香港へ発つ。 私自身の夢と、私に期待をかけてくれるたくさんの人の想いの為に。 これから、忙しくなるだろう。 彼とは一年に一度会えるかも分からなってしまう。 良子「もし私が今……いや、何でもありません」 京太郎「はは、怖じ気付いてるんですか?」にこ 良子「まさか。ノーウェイノーウェイ」 良子「ただ……」 良子「京太郎……」じっ 京太郎「……良子さん」 彼に掛かる朝焼け。 思い出すのは昔彼と歩いた日没の海岸線。 波を砕くテトラポッド。鳥の羽ばたき。彼と聴いた音。 塩の匂いを感じる部屋。私の背骨のカーブを彼がなぞる指の感触。 良子「あ……」つー 京太郎「良子さん、おいで」ひょいひょい 良子「京太郎……」だきっ 良子「……京太郎」ぎゅっ、ぐすっ 京太郎「……」なでなで 良子「……きみが隣に居るとき、いつも私は頑張れました」 良子「きみはこの朝の日射しみたい」 良子「けど私は何でしょう」 京太郎「……希望ですよ」 良子「ロング。みんなが託してくれてる気持ちは知ってます。私が知りたいのは」 良子「きみの心だけ……」ずっ 京太郎「……俺の心はそんな、難しいものじゃありませんよ。良子さんが好きで好きでたまらない。これじゃ駄目ですか?」 良子「……だ、だめです……」 京太郎「……」すぅー 京太郎「良子さんは、俺の全てだよ」ぎゅっ 京太郎「本当はさ……縄でぐるぐる巻きにして、何処か静かな場所へ連れ去って、ずっと二人きりで最期まで過ごしたい気分なんだよ」 京太郎「でもさ、良子さん言ったよな。俺が、夢なんて何もなくて、やりてーコトもないし、将来どうしようかって相談したとき」 京太郎「私の夢を、きみの夢にしてほしい。良子さんは、そう言った」 京太郎「多分、そんくらいの時じゃないかな。俺はもう、良子のものになったし、絶対、良子を俺のものにするって決めたんだ」 京太郎「顔、上げろよ」くいっ 良子「……っ」ぐっ 京太郎「ははっ……きったねー顔」ふきふき 良子「なっ……き、京太郎が……んむっ!?」 良子「ん…………………」 京太郎「……………………良子さん」 良子「……なんですか?」ぽー 京太郎「手、出してよ」 良子「手、ですか……?はい……」 すーっ 良子「!!!」 京太郎「俺たちが永遠に続く証だよ」 良子「~~~~っ!!」ぽろぽろ 良子「京太郎っ……ありがとう……!サンキューです……!~~~~っ♪」ぼろぼろ 京太郎「……っ。ありがとう、良子……っ」ぽんぽん ─── 京太郎「なんか初めて見たなあ、良子さんのボロ泣き顔。一生忘れないだろうな」にこ 良子「……京太郎こそ、随分と目元が赤いですが、大丈夫ですか?」 良子「それより、なんで丁寧語をやめてるんですか」 京太郎「……いや、なんとなくそういうタイミングかなって……良子もやめていいんだぜ、敬語とか、俺たちに相応しくないだろ」 良子「む……そのうち……あ」 良子(失言してしまったでしょうか)そー 京太郎「ま、そうだな。いいよ、そのうちで」 良子(……) 良子「急に偉そうですね、京太郎。私が人生の先輩としてバラエティ豊かに教えてあげてきた事実を忘れてしまったんですか?」 京太郎「うぇっ!?それとこれとは、話が別だろ……気になるなら敬語やめればいいじゃん」 良子「そ、そのうちですから……」 京太郎「全く。今日の良子は随分おとなしいな」 京太郎「当たり前か。でもさ、今までも遠距……」 ふっ 京太郎(口許に指……)どきっ 良子「それ以上、ナッシング。私たちらしくもない会話でしたね。もう互いの気持ちは解り合いました。グッドイナフトゥーアス」 京太郎「……そうだな」 良子「ふふ。ありがとう、京太郎」 良子「おかげで心は此処に、置いて行ける」 私は漸く、本当の意味で彼に心を預けられたみたいだ。 I'mfloating.. 良い旅立ちを迎えられた。 彼の心は、いつでも私の隣に在る。 だから京太郎、私は大丈夫ですよ。これからも、よろしくお願いします。ずっと…… あれから夥しい量の時が流れた。 いや、実際の時間は知らない。 とにかく俺は焼き切れそうなくらい灰色の日々を過ごしている。 誰も彼もつまらねえし口にすることやる事為す事つまらねえ。 今日もパーキングエリアの車輪止めに座って行き交う車の波を眺めてる。 良子さん、俺はね、強がりすぎたよ。 良子さんが居ないと、何も出来ない。やる気も、起こらない。 きみは元気でやってるっていう。 声が聴けて嬉しかった。 新聞も読んだよ。 世間に知られるのは少し嫉妬するね。 解ってる。良子さんの心は俺の許に在る。 だけど俺はあまり強くなかったよ。それだけじゃガソリンにならないみたいだね。ごめんな。 はやくきみの顔が見たい。俺のやってることはただ待ってるだけ。 待ってる 待ってる ずっと待ってる これ以上待たせないでくれ カン

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