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「h4-25a」(2012/08/12 (日) 23:55:30) の最新版変更点
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※[[第一部>h4-25]]から数ヶ月後
怜「はぁ…」
怜(京ちゃん今頃なにしてるんやろか…)
怜(受験勉強かなあ…受験生やもんね)
怜(まかり間違って大阪の高校に来たりせえへんやろか…)
怜(…)
怜(…ないか)
怜「はぁ…」
竜華「心ここにあらずって感じやね」
怜「竜華か…」
竜華「まーた、京ちゃんのこと考えとったん?」クスクス
怜「ま、またってなんやねん。そんなにしょっちゅう…」
竜華「考えとるんやろ?」
怜「はい」
竜華「『筑波嶺の 峰より落つる 男女川 恋ぞつもりて 淵となりぬる』」
怜「急に何言っとるん?」ジトー
竜華「あ、あれ、次の授業の範囲やで?予習してきてないん?」
怜「ふむむ…してないわ」
竜華「最近たるんどるで…。今の歌の意味は…」
竜華「『ほのかだった恋心も時間が経つにつれ、だんだん深くなっていく』」
竜華「今の怜にピッタリやろ?」クスクス
怜「なななに?からかうなや///」
竜華「想い耽るのもええけど、成績落としたらあかんで?」
怜「うん、分かっとるんやけどな…」
怜「良く考えたら、京ちゃんが何処に住んでるかもわからへんやん…」
竜華「今更やな…」
怜「逢いたくても、打つ手なしやで…」
竜華「『また会える気がする』」キリッ
怜「ぅ…」キコエナイ キコエナイ
竜華「カッコつけへんで、素直にケータイ番号渡しとけば良かったやん」
怜「渡しといて電話してくれへんかったら最悪やないの…」
竜華「京ちゃんがそんな事すると思う?」
怜「思わん」キッパリ
竜華「即答やん…」
怜「はぁ…ほんまに何で、また会えるとか思ってしまったんやろか…?」
竜華「知らんがな」
怜「もう、『あのひとは今』みたいな番組に応募するぐらいしか思いつかへん…」
竜華「えっ」
怜「帰りにハガキ買うてこ…」
竜華「いや、ほんまに送る気かい」
竜華「ちゅーか、あーいうのって、会えなくなって数ヶ月程度やと探してくれへんやろ」
怜「あれ、まだ数ヶ月しか経ってないんやったっけ…」
竜華「重症やな…」
怜「どんぐらいなら探してくれるんかな…?」
竜華「最低でも3年ぐらいは必要ちゃう?」
怜「そこをなんとか」
竜華「いや、うちに言われても」
---------
~授業中~
怜「はぁ…」ボー
古典先生「はい、じゃあ次は園城寺さん」
怜「えっ」
古典先生「次、詠んで下さーい」
竜華(…しゃーないなあ)ポイッ
ポテッ
『20番』メモッ
怜(竜華、恩に着るで)
怜「えーと」
怜「『わびぬれば 今はた同じ 難波なる みをつくしても 逢はむとぞ思ふ』」
古典先生「はい、では意味ですが」
古典先生「『こんなに思い悩んでしまったのだから、今はどうなっても同じ、この身を滅ぼしてでもあなたに逢いたいと思う』」
怜(!)
古典先生「当時、難波の海あった澪漂(みおつくし)という海の標識のようなものと、身を尽くしてをかけて…」
怜(身を尽くしても…か)
怜(私、逢えん逢えん言いながら、何の努力もしてへんかったやん…)
怜「先生!」
古典先生「はい?」
怜「先生ありがとう!」
古典先生「えっ、な、なにがですか?」
怜「私、進むべき道が見えたような気がします」
古典先生「はぁ、頑張って下さいね」???
ざわ…
ざわ…
竜華(なにか思いついたんかな?)
---------
怜「なあ竜華、一軍になって全国に行けたら、京ちゃん気付いてくれるやろか?」
竜華「テレビ中継されるしな。きっとビックリするで」ニコッ
竜華「まあ、京ちゃんが麻雀見る人やったらやけどな」
怜「それでも、少しでも可能性があるなら…」
怜「決めたで竜華。一軍に、私はなる!」
竜華「ほな頑張らんとな」クスッ
怜(みをつくしても 逢はむとぞ思ふ)
怜(私頑張るで、京ちゃん!)
---------
~数日後~
怜「ロン!」ハァハァ
……
怜「ツモ!」フラフラ
……
竜華「怜、少し休み」
セーラ「最近無茶しすぎやで」
怜「せやけど、私頑張らんと」
竜華「ちょっと焦りすぎやろ」
怜「三年生が引退した今が。次のレギュラー選抜戦が一番のチャンスやないか」
セーラ「怜は着実に伸びとるから大丈夫やって」
竜華「せやで、インハイまではまだ時間もあるんやから、少しは体力に気いつかわんと」
怜「体力のせいにして休んどった結果がこれやん。竜華やセーラとの圧倒的な差」
怜「休んでる間に他の皆もどんどん強なってく…」
セーラ「…」
竜華「けど、倒れたら逆効果やで…?」
怜「大丈夫やから、ほっといてや…」
……
怜「ロン!」フラフラ
……
怜「ツモ!」フラフラ
怜「まだまだ…」ハァハァ
怜(あ…)クラッ
バタンッ
竜華「怜!」
セーラ「き、救急車!」
---------
~病室~
竜華「はぁ…ただの疲労でよかったわ」
セーラ「せやから言うたやん。無茶しすぎやって」
怜「…」
竜華「ただ我武者羅に打っててもダメやで?少しは反芻して考えんと」
怜「…うるさいな」
セーラ「え?」
竜華「怜?」
怜「最初から強かったあんたらに何が分かるんや」
セーラ「怜、ちょっとそれは…」
竜華「…は?」
竜華「もっぺん言ってみ」
竜華「あんた、最近頑張ってる思うて、多少の事は目え瞑ってきたけどな」
竜華「なんや、うちらが何もせんと強なったみたいな言い草は」
竜華「今のは聞き捨てならんで!」
セーラ「竜華…」
怜「…」
竜華「…」
竜華「はぁ、もう勝手にやっとき…」
ガラガラ…バンッ!
セーラ「…」
怜「…」
セーラ「怜、最初から強い奴なんて、そうおらんで?」
怜「…」
セーラ「そりゃ、中には牌に愛された人間ちゅうのもおるわ…」
セーラ「けど、オレや竜華は違う」
怜「…」
セーラ「努力して、打って、覚えて、考えて、あと…なんやろ?」
怜「…知ってたよ」
セーラ「…」
怜「…ずっと見てたもん」
セーラ「せやな」
怜「ごめんな…ほんまごめん」
セーラ「オレは気にしてへんよ。最強やから!」ニコッ
セーラ「それより竜華に謝らんと」
セーラ「誰より心配しとったんは竜華なんやで?」
怜「せやな…それも知ってたわ」
怜「明日、謝らんとな…」
セーラ「せやな!」
怜「うん」
セーラ「んじゃー帰るわ!」
怜「うん。ありがとうな」
スタスタ…ピタッ
セーラ「怜」
怜「うん?」
セーラ「一緒にインハイ行こうな!」ニコッ
怜「うん!」
ガラガラ…ピシャ
怜(そうや、メール)
怜(は…失礼かな…やっぱ、明日直に謝ろ…)
---------
~深夜~
怜(眠れへん…)
怜(竜華、まだ起きとるかな…)
怜(やっぱりメールでも…)
グッ
怜(あれ…?)
怜(手に…力が入らへん…)
ドクンッ!
怜「うっ!」カハッ
怜(あかん、発作が…)
怜(ナースコールを…)
ポロッ
怜(…っ!)
怜(掴めん…!)
怜「…ぁ」ハァハァ
怜(はよ、押さんと…)ブルブル
ポロッ
怜(…っ!)
怜(だめや、押せへん…)
怜「…ぅぅ」カハッ
怜(…もうあかん)
怜(腕、上がらなくなってもうた…)
怜(はは…罰が当たったんやな…)
……………
怜(セーラ…)
怜(一緒に全国行けなくてごめん)
…………
怜(竜華…)
怜(あんな別れ方で…謝れなくて…ごめん)
………
怜(京ちゃん…)
怜(もう逢えへん…)
怜(ごめんな)
……
…
フワッ
怜(…)
怜(…キンモクセイ…?)
怜(…キンモクセイの匂い)
『いや、あれキンモクセイだから葉は落ちないだろ…』
怜(…)
怜(そうや…)
怜(私キンモクセイやった…!)
ググッ
怜(枯れて…)ハァハァ
怜(枯れて…たまるかっ!)ハァハァ
ズズッ
怜(手が使えんなら…)ハァハァ
怜(口で…噛み付いてでも…)ハァハァ
ズズッ
怜(生きたる…!)ハァハァ
ガッ
ピピッ
……
「オンジョージサーン ドーシマシター?」
「オンジョージサーン オンジョージサーン!?」
==================
あれ?ここ、どこやろ?
見た事無い所…公園?
「京ちゃーん」
私の声や
「京ちゃん、どこー?」
ああ、これ夢やな
夢の中でまで京ちゃん探しとるとか…
『♪』タッタッタ
あ、これが天使ってやつやろか?
綺麗な金髪の、可愛い女の子…
『どーしたの?もう帰るの?』
もう、お空に帰るってこと…?
ついにお迎えが来たんか…
「うん、帰るで、京華」
『はーい、ママ♪』
え、ママって…私…?
…キョウ…カ…
==================
竜華「怜!怜っ!」
怜「あれ、竜華」
竜華「あ、怜…あんま心配させんなや…」グスッ
怜「私どうなったん?お迎えは…」
竜華「三日間、ずっと寝とったんやで…。とんだお寝坊さんやな…」
怜「そか、心配かけてごめんな…」
竜華「あはは、今更ええわ!それより、キョウカって誰やねん!」
怜「誰やろ…?」
竜華「あはは、知らんわ。さっき寝言で言うとったで」
怜「まるで、京ちゃんと竜華の名前が混ざっとるみたいに聞こえるなあ」クスッ
怜「竜華、昨日…やない三日前?あの時はごめんな…」
怜「私、竜華が努力してるの、ちゃんと見とったのにな…」
竜華「ええよ、こっちこそ、売り言葉に買い言葉で、怒鳴ってしまってごめんな」
怜「ほんま、竜華の言うた通りやった。焦った結果が三日のブランク…」
竜華「だから言うたやん。心配せんでも怜は着実に強なっとるんやから、ゆっくりやり」
怜「せやな、逢う前に死んでもうたら元も子もないしな」ハハハ
竜華(あんま笑えんわそれ…)
怜「あ、そうや、キンモクセイ」
竜華「キンモクセイ?」
怜「うん、意識が途切れそうになった時、キンモクセイの匂いがしたんよ」
竜華「えっ、でもキンモクセイって、まだ咲いとらんよ?」
怜「えっ…でもそのおかげでナースコールが押せたんやで?」
竜華「危機一髪やったんか…」
怜「うん…」
竜華「じゃあ…」
竜華「案外、京ちゃんが助けてくれたんかもな」
怜「えっ?」
竜華「キンモクセイの花言葉ってな、『初恋』なんやって」クスッ
怜「そかあ、また京ちゃんに助けられてもうたなー」クスッ
アハハハハ
それから私は、一巡先が見えるようになった
---------
~数日後~
セーラ「怜ー!頑張れー!」
竜華「それ和了ったらレギュラー確定やでー!」
あの時の夢は
死の淵で見た幻かも知れへんけど
怜「リーチ」
セーラ「いっけー!」
あれが私の
一巡先の未来に
なりますように!
怜「ツモ!」
おわり
補足:キンモクセイの花は秋に咲く→秋の大会から才能が開花する的なアレ
そして京ちゃんが全く出ていないので取って付けたようにおまけ
ククク…京太郎…簡単に再会できると思うなよ…?
おまけ
看護士「園城寺さんなら退院しましたよ?」
京太郎「えっ」
京太郎(心配になって、小遣い溜めて来てみたはいいけど)
京太郎(流石にもう退院してたか)
京太郎(受験もあったし、結局春になっちまったもんなあ)
看護士「いつだか来てくださった方?残念ですけど今日は…」
京太郎「いえ!怜が元気になったなら、それより嬉しい事はないんで!」ニコッ
看護士「そですか、次に通院して来た時にでも、来たって伝えときます」
京太郎「ははっ、ありがとうございます」
…
京太郎(良かった!病気の子供はいなかったんだ!…ってか?)
京太郎(はぁ、タコヤキでも食って帰るか…)
『♪』タッタッタッタ
京太郎(ん?金髪の女の子…)クルッ
京太郎(あれ、いない)
京太郎(気のせいだったのかな?)
フワッ
京太郎(…あ…キンモクセイの匂いだ)
京太郎(…って、今春なのにそりゃないか)
京太郎(気のせい気のせい)ハハハ…
『キノセイキノセイ♪』
おわり
怜外伝・第二部 おまけ2
怜「京ちゃん、来てくれてたんか…」
看護士「うん、こないだ来てたよ?治ったみたいで良かったーって言うとったで」
怜「そですか…」
竜華「…」
看護士「ほな、お大事になー」ヒラヒラ
竜華「あ、はい、さいならー…」
怜「…」
竜華「…」
怜「そ…」フルフル
竜華「と、怜…」
竜華(あかん、なんて声かけたらええか…)
怜「それって両想いってことやろか」グッ
竜華「えっ」
怜「えっ」
竜華「そ、そーやろか?」
怜「だって、わざわざ東京から逢いに来てくれたんやで?」
竜華「東京なん?」
怜「や、知らんけど、標準語やったし…」
竜華「判断基準それだけ?」
怜「じゃ、じゃあ神奈川でええわ…。横須賀とかそこら辺やろ」ナマエテキニ
竜華「…」
怜「ま、まあ、遠くからわざわざ逢いに来てくれたんやし」
怜「きっと、京ちゃんも私の事…///」
竜華「そ、そやね…」
竜華(ただ優しいだけな気がするけど、黙っとこ…)
怜「竜華」
竜華「は、はい!」
怜「勝って絶対に東京行こうな」
竜華「!」
竜華「もちろん!」
怜(京ちゃん、私前向きに生きていくって決めたんや)
怜(東京に行けばきっと逢える…よね?)
おわり
#comment
※[[第一部>h4-25]]から数ヶ月後
怜「はぁ…」
怜(京ちゃん今頃なにしてるんやろか…)
怜(受験勉強かなあ…受験生やもんね)
怜(まかり間違って大阪の高校に来たりせえへんやろか…)
怜(…)
怜(…ないか)
怜「はぁ…」
竜華「心ここにあらずって感じやね」
怜「竜華か…」
竜華「まーた、京ちゃんのこと考えとったん?」クスクス
怜「ま、またってなんやねん。そんなにしょっちゅう…」
竜華「考えとるんやろ?」
怜「はい」
竜華「『筑波嶺の 峰より落つる 男女川 恋ぞつもりて 淵となりぬる』」
怜「急に何言っとるん?」ジトー
竜華「あ、あれ、次の授業の範囲やで?予習してきてないん?」
怜「ふむむ…してないわ」
竜華「最近たるんどるで…。今の歌の意味は…」
竜華「『ほのかだった恋心も時間が経つにつれ、だんだん深くなっていく』」
竜華「今の怜にピッタリやろ?」クスクス
怜「なななに?からかうなや///」
竜華「想い耽るのもええけど、成績落としたらあかんで?」
怜「うん、分かっとるんやけどな…」
怜「良く考えたら、京ちゃんが何処に住んでるかもわからへんやん…」
竜華「今更やな…」
怜「逢いたくても、打つ手なしやで…」
竜華「『また会える気がする』」キリッ
怜「ぅ…」キコエナイ キコエナイ
竜華「カッコつけへんで、素直にケータイ番号渡しとけば良かったやん」
怜「渡しといて電話してくれへんかったら最悪やないの…」
竜華「京ちゃんがそんな事すると思う?」
怜「思わん」キッパリ
竜華「即答やん…」
怜「はぁ…ほんまに何で、また会えるとか思ってしまったんやろか…?」
竜華「知らんがな」
怜「もう、『あのひとは今』みたいな番組に応募するぐらいしか思いつかへん…」
竜華「えっ」
怜「帰りにハガキ買うてこ…」
竜華「いや、ほんまに送る気かい」
竜華「ちゅーか、あーいうのって、会えなくなって数ヶ月程度やと探してくれへんやろ」
怜「あれ、まだ数ヶ月しか経ってないんやったっけ…」
竜華「重症やな…」
怜「どんぐらいなら探してくれるんかな…?」
竜華「最低でも3年ぐらいは必要ちゃう?」
怜「そこをなんとか」
竜華「いや、うちに言われても」
---------
~授業中~
怜「はぁ…」ボー
古典先生「はい、じゃあ次は園城寺さん」
怜「えっ」
古典先生「次、詠んで下さーい」
竜華(…しゃーないなあ)ポイッ
ポテッ
『20番』メモッ
怜(竜華、恩に着るで)
怜「えーと」
怜「『わびぬれば 今はた同じ 難波なる みをつくしても 逢はむとぞ思ふ』」
古典先生「はい、では意味ですが」
古典先生「『こんなに思い悩んでしまったのだから、今はどうなっても同じ、この身を滅ぼしてでもあなたに逢いたいと思う』」
怜(!)
古典先生「当時、難波の海あった澪漂(みおつくし)という海の標識のようなものと、身を尽くしてをかけて…」
怜(身を尽くしても…か)
怜(私、逢えん逢えん言いながら、何の努力もしてへんかったやん…)
怜「先生!」
古典先生「はい?」
怜「先生ありがとう!」
古典先生「えっ、な、なにがですか?」
怜「私、進むべき道が見えたような気がします」
古典先生「はぁ、頑張って下さいね」???
ざわ…
ざわ…
竜華(なにか思いついたんかな?)
---------
怜「なあ竜華、一軍になって全国に行けたら、京ちゃん気付いてくれるやろか?」
竜華「テレビ中継されるしな。きっとビックリするで」ニコッ
竜華「まあ、京ちゃんが麻雀見る人やったらやけどな」
怜「それでも、少しでも可能性があるなら…」
怜「決めたで竜華。一軍に、私はなる!」
竜華「ほな頑張らんとな」クスッ
怜(みをつくしても 逢はむとぞ思ふ)
怜(私頑張るで、京ちゃん!)
---------
~数日後~
怜「ロン!」ハァハァ
……
怜「ツモ!」フラフラ
……
竜華「怜、少し休み」
セーラ「最近無茶しすぎやで」
怜「せやけど、私頑張らんと」
竜華「ちょっと焦りすぎやろ」
怜「三年生が引退した今が。次のレギュラー選抜戦が一番のチャンスやないか」
セーラ「怜は着実に伸びとるから大丈夫やって」
竜華「せやで、インハイまではまだ時間もあるんやから、少しは体力に気いつかわんと」
怜「体力のせいにして休んどった結果がこれやん。竜華やセーラとの圧倒的な差」
怜「休んでる間に他の皆もどんどん強なってく…」
セーラ「…」
竜華「けど、倒れたら逆効果やで…?」
怜「大丈夫やから、ほっといてや…」
……
怜「ロン!」フラフラ
……
怜「ツモ!」フラフラ
怜「まだまだ…」ハァハァ
怜(あ…)クラッ
バタンッ
竜華「怜!」
セーラ「き、救急車!」
---------
~病室~
竜華「はぁ…ただの疲労でよかったわ」
セーラ「せやから言うたやん。無茶しすぎやって」
怜「…」
竜華「ただ我武者羅に打っててもダメやで?少しは反芻して考えんと」
怜「…うるさいな」
セーラ「え?」
竜華「怜?」
怜「最初から強かったあんたらに何が分かるんや」
セーラ「怜、ちょっとそれは…」
竜華「…は?」
竜華「もっぺん言ってみ」
竜華「あんた、最近頑張ってる思うて、多少の事は目え瞑ってきたけどな」
竜華「なんや、うちらが何もせんと強なったみたいな言い草は」
竜華「今のは聞き捨てならんで!」
セーラ「竜華…」
怜「…」
竜華「…」
竜華「はぁ、もう勝手にやっとき…」
ガラガラ…バンッ!
セーラ「…」
怜「…」
セーラ「怜、最初から強い奴なんて、そうおらんで?」
怜「…」
セーラ「そりゃ、中には牌に愛された人間ちゅうのもおるわ…」
セーラ「けど、オレや竜華は違う」
怜「…」
セーラ「努力して、打って、覚えて、考えて、あと…なんやろ?」
怜「…知ってたよ」
セーラ「…」
怜「…ずっと見てたもん」
セーラ「せやな」
怜「ごめんな…ほんまごめん」
セーラ「オレは気にしてへんよ。最強やから!」ニコッ
セーラ「それより竜華に謝らんと」
セーラ「誰より心配しとったんは竜華なんやで?」
怜「せやな…それも知ってたわ」
怜「明日、謝らんとな…」
セーラ「せやな!」
怜「うん」
セーラ「んじゃー帰るわ!」
怜「うん。ありがとうな」
スタスタ…ピタッ
セーラ「怜」
怜「うん?」
セーラ「一緒にインハイ行こうな!」ニコッ
怜「うん!」
ガラガラ…ピシャ
怜(そうや、メール)
怜(は…失礼かな…やっぱ、明日直に謝ろ…)
---------
~深夜~
怜(眠れへん…)
怜(竜華、まだ起きとるかな…)
怜(やっぱりメールでも…)
グッ
怜(あれ…?)
怜(手に…力が入らへん…)
ドクンッ!
怜「うっ!」カハッ
怜(あかん、発作が…)
怜(ナースコールを…)
ポロッ
怜(…っ!)
怜(掴めん…!)
怜「…ぁ」ハァハァ
怜(はよ、押さんと…)ブルブル
ポロッ
怜(…っ!)
怜(だめや、押せへん…)
怜「…ぅぅ」カハッ
怜(…もうあかん)
怜(腕、上がらなくなってもうた…)
怜(はは…罰が当たったんやな…)
……………
怜(セーラ…)
怜(一緒に全国行けなくてごめん)
…………
怜(竜華…)
怜(あんな別れ方で…謝れなくて…ごめん)
………
怜(京ちゃん…)
怜(もう逢えへん…)
怜(ごめんな)
……
…
フワッ
怜(…)
怜(…キンモクセイ…?)
怜(…キンモクセイの匂い)
『いや、あれキンモクセイだから葉は落ちないだろ…』
怜(…)
怜(そうや…)
怜(私キンモクセイやった…!)
ググッ
怜(枯れて…)ハァハァ
怜(枯れて…たまるかっ!)ハァハァ
ズズッ
怜(手が使えんなら…)ハァハァ
怜(口で…噛み付いてでも…)ハァハァ
ズズッ
怜(生きたる…!)ハァハァ
ガッ
ピピッ
……
「オンジョージサーン ドーシマシター?」
「オンジョージサーン オンジョージサーン!?」
==================
あれ?ここ、どこやろ?
見た事無い所…公園?
「京ちゃーん」
私の声や
「京ちゃん、どこー?」
ああ、これ夢やな
夢の中でまで京ちゃん探しとるとか…
『♪』タッタッタ
あ、これが天使ってやつやろか?
綺麗な金髪の、可愛い女の子…
『どーしたの?もう帰るの?』
もう、お空に帰るってこと…?
ついにお迎えが来たんか…
「うん、帰るで、京華」
『はーい、ママ♪』
え、ママって…私…?
…キョウ…カ…
==================
竜華「怜!怜っ!」
怜「あれ、竜華」
竜華「あ、怜…あんま心配させんなや…」グスッ
怜「私どうなったん?お迎えは…」
竜華「三日間、ずっと寝とったんやで…。とんだお寝坊さんやな…」
怜「そか、心配かけてごめんな…」
竜華「あはは、今更ええわ!それより、キョウカって誰やねん!」
怜「誰やろ…?」
竜華「あはは、知らんわ。さっき寝言で言うとったで」
怜「まるで、京ちゃんと竜華の名前が混ざっとるみたいに聞こえるなあ」クスッ
怜「竜華、昨日…やない三日前?あの時はごめんな…」
怜「私、竜華が努力してるの、ちゃんと見とったのにな…」
竜華「ええよ、こっちこそ、売り言葉に買い言葉で、怒鳴ってしまってごめんな」
怜「ほんま、竜華の言うた通りやった。焦った結果が三日のブランク…」
竜華「だから言うたやん。心配せんでも怜は着実に強なっとるんやから、ゆっくりやり」
怜「せやな、逢う前に死んでもうたら元も子もないしな」ハハハ
竜華(あんま笑えんわそれ…)
怜「あ、そうや、キンモクセイ」
竜華「キンモクセイ?」
怜「うん、意識が途切れそうになった時、キンモクセイの匂いがしたんよ」
竜華「えっ、でもキンモクセイって、まだ咲いとらんよ?」
怜「えっ…でもそのおかげでナースコールが押せたんやで?」
竜華「危機一髪やったんか…」
怜「うん…」
竜華「じゃあ…」
竜華「案外、京ちゃんが助けてくれたんかもな」
怜「えっ?」
竜華「キンモクセイの花言葉ってな、『初恋』なんやって」クスッ
怜「そかあ、また京ちゃんに助けられてもうたなー」クスッ
アハハハハ
それから私は、一巡先が見えるようになった
---------
~数日後~
セーラ「怜ー!頑張れー!」
竜華「それ和了ったらレギュラー確定やでー!」
あの時の夢は
死の淵で見た幻かも知れへんけど
怜「リーチ」
セーラ「いっけー!」
あれが私の
一巡先の未来に
なりますように!
怜「ツモ!」
おわり
補足:キンモクセイの花は秋に咲く→秋の大会から才能が開花する的なアレ
そして京ちゃんが全く出ていないので取って付けたようにおまけ
ククク…京太郎…簡単に再会できると思うなよ…?
おまけ
看護士「園城寺さんなら退院しましたよ?」
京太郎「えっ」
京太郎(心配になって、小遣い溜めて来てみたはいいけど)
京太郎(流石にもう退院してたか)
京太郎(受験もあったし、結局春になっちまったもんなあ)
看護士「いつだか来てくださった方?残念ですけど今日は…」
京太郎「いえ!怜が元気になったなら、それより嬉しい事はないんで!」ニコッ
看護士「そですか、次に通院して来た時にでも、来たって伝えときます」
京太郎「ははっ、ありがとうございます」
…
京太郎(良かった!病気の子供はいなかったんだ!…ってか?)
京太郎(はぁ、タコヤキでも食って帰るか…)
『♪』タッタッタッタ
京太郎(ん?金髪の女の子…)クルッ
京太郎(あれ、いない)
京太郎(気のせいだったのかな?)
フワッ
京太郎(…あ…キンモクセイの匂いだ)
京太郎(…って、今春なのにそりゃないか)
京太郎(気のせい気のせい)ハハハ…
『キノセイキノセイ♪』
おわり
怜外伝・第二部 おまけ2
怜「京ちゃん、来てくれてたんか…」
看護士「うん、こないだ来てたよ?治ったみたいで良かったーって言うとったで」
怜「そですか…」
竜華「…」
看護士「ほな、お大事になー」ヒラヒラ
竜華「あ、はい、さいならー…」
怜「…」
竜華「…」
怜「そ…」フルフル
竜華「と、怜…」
竜華(あかん、なんて声かけたらええか…)
怜「それって両想いってことやろか」グッ
竜華「えっ」
怜「えっ」
竜華「そ、そーやろか?」
怜「だって、わざわざ東京から逢いに来てくれたんやで?」
竜華「東京なん?」
怜「や、知らんけど、標準語やったし…」
竜華「判断基準それだけ?」
怜「じゃ、じゃあ神奈川でええわ…。横須賀とかそこら辺やろ」ナマエテキニ
竜華「…」
怜「ま、まあ、遠くからわざわざ逢いに来てくれたんやし」
怜「きっと、京ちゃんも私の事…///」
竜華「そ、そやね…」
竜華(ただ優しいだけな気がするけど、黙っとこ…)
怜「竜華」
竜華「は、はい!」
怜「勝って絶対に東京行こうな」
竜華「!」
竜華「もちろん!」
怜(京ちゃん、私前向きに生きていくって決めたんや)
怜(東京に行けばきっと逢える…よね?)
おわり
※[[第三部>h4-25b]]
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