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※[[第一部>h4-25]]から数ヶ月後 怜「はぁ…」 怜(京ちゃん今頃なにしてるんやろか…) 怜(受験勉強かなあ…受験生やもんね) 怜(まかり間違って大阪の高校に来たりせえへんやろか…) 怜(…) 怜(…ないか) 怜「はぁ…」 竜華「心ここにあらずって感じやね」 怜「竜華か…」 竜華「まーた、京ちゃんのこと考えとったん?」クスクス 怜「ま、またってなんやねん。そんなにしょっちゅう…」 竜華「考えとるんやろ?」 怜「はい」 竜華「『筑波嶺の 峰より落つる 男女川 恋ぞつもりて 淵となりぬる』」 怜「急に何言っとるん?」ジトー 竜華「あ、あれ、次の授業の範囲やで?予習してきてないん?」 怜「ふむむ…してないわ」 竜華「最近たるんどるで…。今の歌の意味は…」 竜華「『ほのかだった恋心も時間が経つにつれ、だんだん深くなっていく』」 竜華「今の怜にピッタリやろ?」クスクス 怜「なななに?からかうなや///」 竜華「想い耽るのもええけど、成績落としたらあかんで?」 怜「うん、分かっとるんやけどな…」 怜「良く考えたら、京ちゃんが何処に住んでるかもわからへんやん…」 竜華「今更やな…」 怜「逢いたくても、打つ手なしやで…」 竜華「『また会える気がする』」キリッ 怜「ぅ…」キコエナイ キコエナイ 竜華「カッコつけへんで、素直にケータイ番号渡しとけば良かったやん」 怜「渡しといて電話してくれへんかったら最悪やないの…」 竜華「京ちゃんがそんな事すると思う?」 怜「思わん」キッパリ 竜華「即答やん…」 怜「はぁ…ほんまに何で、また会えるとか思ってしまったんやろか…?」 竜華「知らんがな」 怜「もう、『あのひとは今』みたいな番組に応募するぐらいしか思いつかへん…」 竜華「えっ」 怜「帰りにハガキ買うてこ…」 竜華「いや、ほんまに送る気かい」 竜華「ちゅーか、あーいうのって、会えなくなって数ヶ月程度やと探してくれへんやろ」 怜「あれ、まだ数ヶ月しか経ってないんやったっけ…」 竜華「重症やな…」 怜「どんぐらいなら探してくれるんかな…?」 竜華「最低でも3年ぐらいは必要ちゃう?」 怜「そこをなんとか」 竜華「いや、うちに言われても」 --------- ~授業中~ 怜「はぁ…」ボー 古典先生「はい、じゃあ次は園城寺さん」 怜「えっ」 古典先生「次、詠んで下さーい」 竜華(…しゃーないなあ)ポイッ ポテッ 『20番』メモッ 怜(竜華、恩に着るで) 怜「えーと」 怜「『わびぬれば 今はた同じ 難波なる みをつくしても 逢はむとぞ思ふ』」 古典先生「はい、では意味ですが」 古典先生「『こんなに思い悩んでしまったのだから、今はどうなっても同じ、この身を滅ぼしてでもあなたに逢いたいと思う』」 怜(!) 古典先生「当時、難波の海あった澪漂(みおつくし)という海の標識のようなものと、身を尽くしてをかけて…」 怜(身を尽くしても…か) 怜(私、逢えん逢えん言いながら、何の努力もしてへんかったやん…) 怜「先生!」 古典先生「はい?」 怜「先生ありがとう!」 古典先生「えっ、な、なにがですか?」 怜「私、進むべき道が見えたような気がします」 古典先生「はぁ、頑張って下さいね」??? ざわ…      ざわ… 竜華(なにか思いついたんかな?) --------- 怜「なあ竜華、一軍になって全国に行けたら、京ちゃん気付いてくれるやろか?」 竜華「テレビ中継されるしな。きっとビックリするで」ニコッ 竜華「まあ、京ちゃんが麻雀見る人やったらやけどな」 怜「それでも、少しでも可能性があるなら…」 怜「決めたで竜華。一軍に、私はなる!」 竜華「ほな頑張らんとな」クスッ 怜(みをつくしても 逢はむとぞ思ふ) 怜(私頑張るで、京ちゃん!) --------- ~数日後~ 怜「ロン!」ハァハァ …… 怜「ツモ!」フラフラ …… 竜華「怜、少し休み」 セーラ「最近無茶しすぎやで」 怜「せやけど、私頑張らんと」 竜華「ちょっと焦りすぎやろ」 怜「三年生が引退した今が。次のレギュラー選抜戦が一番のチャンスやないか」 セーラ「怜は着実に伸びとるから大丈夫やって」 竜華「せやで、インハイまではまだ時間もあるんやから、少しは体力に気いつかわんと」 怜「体力のせいにして休んどった結果がこれやん。竜華やセーラとの圧倒的な差」 怜「休んでる間に他の皆もどんどん強なってく…」 セーラ「…」 竜華「けど、倒れたら逆効果やで…?」 怜「大丈夫やから、ほっといてや…」 …… 怜「ロン!」フラフラ …… 怜「ツモ!」フラフラ 怜「まだまだ…」ハァハァ 怜(あ…)クラッ バタンッ 竜華「怜!」 セーラ「き、救急車!」 --------- ~病室~ 竜華「はぁ…ただの疲労でよかったわ」 セーラ「せやから言うたやん。無茶しすぎやって」 怜「…」 竜華「ただ我武者羅に打っててもダメやで?少しは反芻して考えんと」 怜「…うるさいな」 セーラ「え?」 竜華「怜?」 怜「最初から強かったあんたらに何が分かるんや」 セーラ「怜、ちょっとそれは…」 竜華「…は?」 竜華「もっぺん言ってみ」 竜華「あんた、最近頑張ってる思うて、多少の事は目え瞑ってきたけどな」 竜華「なんや、うちらが何もせんと強なったみたいな言い草は」 竜華「今のは聞き捨てならんで!」 セーラ「竜華…」 怜「…」 竜華「…」 竜華「はぁ、もう勝手にやっとき…」 ガラガラ…バンッ! セーラ「…」 怜「…」 セーラ「怜、最初から強い奴なんて、そうおらんで?」 怜「…」 セーラ「そりゃ、中には牌に愛された人間ちゅうのもおるわ…」 セーラ「けど、オレや竜華は違う」 怜「…」 セーラ「努力して、打って、覚えて、考えて、あと…なんやろ?」 怜「…知ってたよ」 セーラ「…」 怜「…ずっと見てたもん」 セーラ「せやな」 怜「ごめんな…ほんまごめん」 セーラ「オレは気にしてへんよ。最強やから!」ニコッ セーラ「それより竜華に謝らんと」 セーラ「誰より心配しとったんは竜華なんやで?」 怜「せやな…それも知ってたわ」 怜「明日、謝らんとな…」 セーラ「せやな!」 怜「うん」 セーラ「んじゃー帰るわ!」 怜「うん。ありがとうな」 スタスタ…ピタッ セーラ「怜」 怜「うん?」 セーラ「一緒にインハイ行こうな!」ニコッ 怜「うん!」 ガラガラ…ピシャ 怜(そうや、メール) 怜(は…失礼かな…やっぱ、明日直に謝ろ…) --------- ~深夜~ 怜(眠れへん…) 怜(竜華、まだ起きとるかな…) 怜(やっぱりメールでも…) グッ 怜(あれ…?) 怜(手に…力が入らへん…) ドクンッ! 怜「うっ!」カハッ 怜(あかん、発作が…) 怜(ナースコールを…) ポロッ 怜(…っ!) 怜(掴めん…!) 怜「…ぁ」ハァハァ 怜(はよ、押さんと…)ブルブル ポロッ 怜(…っ!) 怜(だめや、押せへん…) 怜「…ぅぅ」カハッ 怜(…もうあかん) 怜(腕、上がらなくなってもうた…) 怜(はは…罰が当たったんやな…) …………… 怜(セーラ…) 怜(一緒に全国行けなくてごめん) ………… 怜(竜華…) 怜(あんな別れ方で…謝れなくて…ごめん) ……… 怜(京ちゃん…) 怜(もう逢えへん…) 怜(ごめんな) …… … フワッ 怜(…) 怜(…キンモクセイ…?) 怜(…キンモクセイの匂い) 『いや、あれキンモクセイだから葉は落ちないだろ…』 怜(…) 怜(そうや…) 怜(私キンモクセイやった…!) ググッ 怜(枯れて…)ハァハァ 怜(枯れて…たまるかっ!)ハァハァ ズズッ 怜(手が使えんなら…)ハァハァ 怜(口で…噛み付いてでも…)ハァハァ ズズッ 怜(生きたる…!)ハァハァ ガッ ピピッ …… 「オンジョージサーン ドーシマシター?」 「オンジョージサーン オンジョージサーン!?」 ==================  あれ?ここ、どこやろ?  見た事無い所…公園? 「京ちゃーん」  私の声や 「京ちゃん、どこー?」  ああ、これ夢やな  夢の中でまで京ちゃん探しとるとか… 『♪』タッタッタ  あ、これが天使ってやつやろか?  綺麗な金髪の、可愛い女の子… 『どーしたの?もう帰るの?』  もう、お空に帰るってこと…?  ついにお迎えが来たんか… 「うん、帰るで、京華」 『はーい、ママ♪』  え、ママって…私…?  …キョウ…カ… ================== 竜華「怜!怜っ!」 怜「あれ、竜華」 竜華「あ、怜…あんま心配させんなや…」グスッ 怜「私どうなったん?お迎えは…」 竜華「三日間、ずっと寝とったんやで…。とんだお寝坊さんやな…」 怜「そか、心配かけてごめんな…」 竜華「あはは、今更ええわ!それより、キョウカって誰やねん!」 怜「誰やろ…?」 竜華「あはは、知らんわ。さっき寝言で言うとったで」 怜「まるで、京ちゃんと竜華の名前が混ざっとるみたいに聞こえるなあ」クスッ 怜「竜華、昨日…やない三日前?あの時はごめんな…」 怜「私、竜華が努力してるの、ちゃんと見とったのにな…」 竜華「ええよ、こっちこそ、売り言葉に買い言葉で、怒鳴ってしまってごめんな」 怜「ほんま、竜華の言うた通りやった。焦った結果が三日のブランク…」 竜華「だから言うたやん。心配せんでも怜は着実に強なっとるんやから、ゆっくりやり」 怜「せやな、逢う前に死んでもうたら元も子もないしな」ハハハ 竜華(あんま笑えんわそれ…) 怜「あ、そうや、キンモクセイ」 竜華「キンモクセイ?」 怜「うん、意識が途切れそうになった時、キンモクセイの匂いがしたんよ」 竜華「えっ、でもキンモクセイって、まだ咲いとらんよ?」 怜「えっ…でもそのおかげでナースコールが押せたんやで?」 竜華「危機一髪やったんか…」 怜「うん…」 竜華「じゃあ…」 竜華「案外、京ちゃんが助けてくれたんかもな」 怜「えっ?」 竜華「キンモクセイの花言葉ってな、『初恋』なんやって」クスッ 怜「そかあ、また京ちゃんに助けられてもうたなー」クスッ アハハハハ  それから私は、一巡先が見えるようになった --------- ~数日後~ セーラ「怜ー!頑張れー!」 竜華「それ和了ったらレギュラー確定やでー!」  あの時の夢は  死の淵で見た幻かも知れへんけど 怜「リーチ」 セーラ「いっけー!」  あれが私の  一巡先の未来に  なりますように! 怜「ツモ!」 おわり 補足:キンモクセイの花は秋に咲く→秋の大会から才能が開花する的なアレ そして京ちゃんが全く出ていないので取って付けたようにおまけ ククク…京太郎…簡単に再会できると思うなよ…? おまけ 看護士「園城寺さんなら退院しましたよ?」 京太郎「えっ」 京太郎(心配になって、小遣い溜めて来てみたはいいけど) 京太郎(流石にもう退院してたか) 京太郎(受験もあったし、結局春になっちまったもんなあ) 看護士「いつだか来てくださった方?残念ですけど今日は…」 京太郎「いえ!怜が元気になったなら、それより嬉しい事はないんで!」ニコッ 看護士「そですか、次に通院して来た時にでも、来たって伝えときます」 京太郎「ははっ、ありがとうございます」 … 京太郎(良かった!病気の子供はいなかったんだ!…ってか?) 京太郎(はぁ、タコヤキでも食って帰るか…) 『♪』タッタッタッタ 京太郎(ん?金髪の女の子…)クルッ 京太郎(あれ、いない) 京太郎(気のせいだったのかな?) フワッ 京太郎(…あ…キンモクセイの匂いだ) 京太郎(…って、今春なのにそりゃないか) 京太郎(気のせい気のせい)ハハハ… 『キノセイキノセイ♪』 おわり 怜外伝・第二部 おまけ2 怜「京ちゃん、来てくれてたんか…」 看護士「うん、こないだ来てたよ?治ったみたいで良かったーって言うとったで」 怜「そですか…」 竜華「…」 看護士「ほな、お大事になー」ヒラヒラ 竜華「あ、はい、さいならー…」 怜「…」 竜華「…」 怜「そ…」フルフル 竜華「と、怜…」 竜華(あかん、なんて声かけたらええか…) 怜「それって両想いってことやろか」グッ 竜華「えっ」 怜「えっ」 竜華「そ、そーやろか?」 怜「だって、わざわざ東京から逢いに来てくれたんやで?」 竜華「東京なん?」 怜「や、知らんけど、標準語やったし…」 竜華「判断基準それだけ?」 怜「じゃ、じゃあ神奈川でええわ…。横須賀とかそこら辺やろ」ナマエテキニ 竜華「…」 怜「ま、まあ、遠くからわざわざ逢いに来てくれたんやし」 怜「きっと、京ちゃんも私の事…///」 竜華「そ、そやね…」 竜華(ただ優しいだけな気がするけど、黙っとこ…) 怜「竜華」 竜華「は、はい!」 怜「勝って絶対に東京行こうな」 竜華「!」 竜華「もちろん!」 怜(京ちゃん、私前向きに生きていくって決めたんや) 怜(東京に行けばきっと逢える…よね?) おわり #comment
※[[第一部>h4-25]]から数ヶ月後 怜「はぁ…」 怜(京ちゃん今頃なにしてるんやろか…) 怜(受験勉強かなあ…受験生やもんね) 怜(まかり間違って大阪の高校に来たりせえへんやろか…) 怜(…) 怜(…ないか) 怜「はぁ…」 竜華「心ここにあらずって感じやね」 怜「竜華か…」 竜華「まーた、京ちゃんのこと考えとったん?」クスクス 怜「ま、またってなんやねん。そんなにしょっちゅう…」 竜華「考えとるんやろ?」 怜「はい」 竜華「『筑波嶺の 峰より落つる 男女川 恋ぞつもりて 淵となりぬる』」 怜「急に何言っとるん?」ジトー 竜華「あ、あれ、次の授業の範囲やで?予習してきてないん?」 怜「ふむむ…してないわ」 竜華「最近たるんどるで…。今の歌の意味は…」 竜華「『ほのかだった恋心も時間が経つにつれ、だんだん深くなっていく』」 竜華「今の怜にピッタリやろ?」クスクス 怜「なななに?からかうなや///」 竜華「想い耽るのもええけど、成績落としたらあかんで?」 怜「うん、分かっとるんやけどな…」 怜「良く考えたら、京ちゃんが何処に住んでるかもわからへんやん…」 竜華「今更やな…」 怜「逢いたくても、打つ手なしやで…」 竜華「『また会える気がする』」キリッ 怜「ぅ…」キコエナイ キコエナイ 竜華「カッコつけへんで、素直にケータイ番号渡しとけば良かったやん」 怜「渡しといて電話してくれへんかったら最悪やないの…」 竜華「京ちゃんがそんな事すると思う?」 怜「思わん」キッパリ 竜華「即答やん…」 怜「はぁ…ほんまに何で、また会えるとか思ってしまったんやろか…?」 竜華「知らんがな」 怜「もう、『あのひとは今』みたいな番組に応募するぐらいしか思いつかへん…」 竜華「えっ」 怜「帰りにハガキ買うてこ…」 竜華「いや、ほんまに送る気かい」 竜華「ちゅーか、あーいうのって、会えなくなって数ヶ月程度やと探してくれへんやろ」 怜「あれ、まだ数ヶ月しか経ってないんやったっけ…」 竜華「重症やな…」 怜「どんぐらいなら探してくれるんかな…?」 竜華「最低でも3年ぐらいは必要ちゃう?」 怜「そこをなんとか」 竜華「いや、うちに言われても」 --------- ~授業中~ 怜「はぁ…」ボー 古典先生「はい、じゃあ次は園城寺さん」 怜「えっ」 古典先生「次、詠んで下さーい」 竜華(…しゃーないなあ)ポイッ ポテッ 『20番』メモッ 怜(竜華、恩に着るで) 怜「えーと」 怜「『わびぬれば 今はた同じ 難波なる みをつくしても 逢はむとぞ思ふ』」 古典先生「はい、では意味ですが」 古典先生「『こんなに思い悩んでしまったのだから、今はどうなっても同じ、この身を滅ぼしてでもあなたに逢いたいと思う』」 怜(!) 古典先生「当時、難波の海あった澪漂(みおつくし)という海の標識のようなものと、身を尽くしてをかけて…」 怜(身を尽くしても…か) 怜(私、逢えん逢えん言いながら、何の努力もしてへんかったやん…) 怜「先生!」 古典先生「はい?」 怜「先生ありがとう!」 古典先生「えっ、な、なにがですか?」 怜「私、進むべき道が見えたような気がします」 古典先生「はぁ、頑張って下さいね」??? ざわ…      ざわ… 竜華(なにか思いついたんかな?) --------- 怜「なあ竜華、一軍になって全国に行けたら、京ちゃん気付いてくれるやろか?」 竜華「テレビ中継されるしな。きっとビックリするで」ニコッ 竜華「まあ、京ちゃんが麻雀見る人やったらやけどな」 怜「それでも、少しでも可能性があるなら…」 怜「決めたで竜華。一軍に、私はなる!」 竜華「ほな頑張らんとな」クスッ 怜(みをつくしても 逢はむとぞ思ふ) 怜(私頑張るで、京ちゃん!) --------- ~数日後~ 怜「ロン!」ハァハァ …… 怜「ツモ!」フラフラ …… 竜華「怜、少し休み」 セーラ「最近無茶しすぎやで」 怜「せやけど、私頑張らんと」 竜華「ちょっと焦りすぎやろ」 怜「三年生が引退した今が。次のレギュラー選抜戦が一番のチャンスやないか」 セーラ「怜は着実に伸びとるから大丈夫やって」 竜華「せやで、インハイまではまだ時間もあるんやから、少しは体力に気いつかわんと」 怜「体力のせいにして休んどった結果がこれやん。竜華やセーラとの圧倒的な差」 怜「休んでる間に他の皆もどんどん強なってく…」 セーラ「…」 竜華「けど、倒れたら逆効果やで…?」 怜「大丈夫やから、ほっといてや…」 …… 怜「ロン!」フラフラ …… 怜「ツモ!」フラフラ 怜「まだまだ…」ハァハァ 怜(あ…)クラッ バタンッ 竜華「怜!」 セーラ「き、救急車!」 --------- ~病室~ 竜華「はぁ…ただの疲労でよかったわ」 セーラ「せやから言うたやん。無茶しすぎやって」 怜「…」 竜華「ただ我武者羅に打っててもダメやで?少しは反芻して考えんと」 怜「…うるさいな」 セーラ「え?」 竜華「怜?」 怜「最初から強かったあんたらに何が分かるんや」 セーラ「怜、ちょっとそれは…」 竜華「…は?」 竜華「もっぺん言ってみ」 竜華「あんた、最近頑張ってる思うて、多少の事は目え瞑ってきたけどな」 竜華「なんや、うちらが何もせんと強なったみたいな言い草は」 竜華「今のは聞き捨てならんで!」 セーラ「竜華…」 怜「…」 竜華「…」 竜華「はぁ、もう勝手にやっとき…」 ガラガラ…バンッ! セーラ「…」 怜「…」 セーラ「怜、最初から強い奴なんて、そうおらんで?」 怜「…」 セーラ「そりゃ、中には牌に愛された人間ちゅうのもおるわ…」 セーラ「けど、オレや竜華は違う」 怜「…」 セーラ「努力して、打って、覚えて、考えて、あと…なんやろ?」 怜「…知ってたよ」 セーラ「…」 怜「…ずっと見てたもん」 セーラ「せやな」 怜「ごめんな…ほんまごめん」 セーラ「オレは気にしてへんよ。最強やから!」ニコッ セーラ「それより竜華に謝らんと」 セーラ「誰より心配しとったんは竜華なんやで?」 怜「せやな…それも知ってたわ」 怜「明日、謝らんとな…」 セーラ「せやな!」 怜「うん」 セーラ「んじゃー帰るわ!」 怜「うん。ありがとうな」 スタスタ…ピタッ セーラ「怜」 怜「うん?」 セーラ「一緒にインハイ行こうな!」ニコッ 怜「うん!」 ガラガラ…ピシャ 怜(そうや、メール) 怜(は…失礼かな…やっぱ、明日直に謝ろ…) --------- ~深夜~ 怜(眠れへん…) 怜(竜華、まだ起きとるかな…) 怜(やっぱりメールでも…) グッ 怜(あれ…?) 怜(手に…力が入らへん…) ドクンッ! 怜「うっ!」カハッ 怜(あかん、発作が…) 怜(ナースコールを…) ポロッ 怜(…っ!) 怜(掴めん…!) 怜「…ぁ」ハァハァ 怜(はよ、押さんと…)ブルブル ポロッ 怜(…っ!) 怜(だめや、押せへん…) 怜「…ぅぅ」カハッ 怜(…もうあかん) 怜(腕、上がらなくなってもうた…) 怜(はは…罰が当たったんやな…) …………… 怜(セーラ…) 怜(一緒に全国行けなくてごめん) ………… 怜(竜華…) 怜(あんな別れ方で…謝れなくて…ごめん) ……… 怜(京ちゃん…) 怜(もう逢えへん…) 怜(ごめんな) …… … フワッ 怜(…) 怜(…キンモクセイ…?) 怜(…キンモクセイの匂い) 『いや、あれキンモクセイだから葉は落ちないだろ…』 怜(…) 怜(そうや…) 怜(私キンモクセイやった…!) ググッ 怜(枯れて…)ハァハァ 怜(枯れて…たまるかっ!)ハァハァ ズズッ 怜(手が使えんなら…)ハァハァ 怜(口で…噛み付いてでも…)ハァハァ ズズッ 怜(生きたる…!)ハァハァ ガッ ピピッ …… 「オンジョージサーン ドーシマシター?」 「オンジョージサーン オンジョージサーン!?」 ==================  あれ?ここ、どこやろ?  見た事無い所…公園? 「京ちゃーん」  私の声や 「京ちゃん、どこー?」  ああ、これ夢やな  夢の中でまで京ちゃん探しとるとか… 『♪』タッタッタ  あ、これが天使ってやつやろか?  綺麗な金髪の、可愛い女の子… 『どーしたの?もう帰るの?』  もう、お空に帰るってこと…?  ついにお迎えが来たんか… 「うん、帰るで、京華」 『はーい、ママ♪』  え、ママって…私…?  …キョウ…カ… ================== 竜華「怜!怜っ!」 怜「あれ、竜華」 竜華「あ、怜…あんま心配させんなや…」グスッ 怜「私どうなったん?お迎えは…」 竜華「三日間、ずっと寝とったんやで…。とんだお寝坊さんやな…」 怜「そか、心配かけてごめんな…」 竜華「あはは、今更ええわ!それより、キョウカって誰やねん!」 怜「誰やろ…?」 竜華「あはは、知らんわ。さっき寝言で言うとったで」 怜「まるで、京ちゃんと竜華の名前が混ざっとるみたいに聞こえるなあ」クスッ 怜「竜華、昨日…やない三日前?あの時はごめんな…」 怜「私、竜華が努力してるの、ちゃんと見とったのにな…」 竜華「ええよ、こっちこそ、売り言葉に買い言葉で、怒鳴ってしまってごめんな」 怜「ほんま、竜華の言うた通りやった。焦った結果が三日のブランク…」 竜華「だから言うたやん。心配せんでも怜は着実に強なっとるんやから、ゆっくりやり」 怜「せやな、逢う前に死んでもうたら元も子もないしな」ハハハ 竜華(あんま笑えんわそれ…) 怜「あ、そうや、キンモクセイ」 竜華「キンモクセイ?」 怜「うん、意識が途切れそうになった時、キンモクセイの匂いがしたんよ」 竜華「えっ、でもキンモクセイって、まだ咲いとらんよ?」 怜「えっ…でもそのおかげでナースコールが押せたんやで?」 竜華「危機一髪やったんか…」 怜「うん…」 竜華「じゃあ…」 竜華「案外、京ちゃんが助けてくれたんかもな」 怜「えっ?」 竜華「キンモクセイの花言葉ってな、『初恋』なんやって」クスッ 怜「そかあ、また京ちゃんに助けられてもうたなー」クスッ アハハハハ  それから私は、一巡先が見えるようになった --------- ~数日後~ セーラ「怜ー!頑張れー!」 竜華「それ和了ったらレギュラー確定やでー!」  あの時の夢は  死の淵で見た幻かも知れへんけど 怜「リーチ」 セーラ「いっけー!」  あれが私の  一巡先の未来に  なりますように! 怜「ツモ!」 おわり 補足:キンモクセイの花は秋に咲く→秋の大会から才能が開花する的なアレ そして京ちゃんが全く出ていないので取って付けたようにおまけ ククク…京太郎…簡単に再会できると思うなよ…? おまけ 看護士「園城寺さんなら退院しましたよ?」 京太郎「えっ」 京太郎(心配になって、小遣い溜めて来てみたはいいけど) 京太郎(流石にもう退院してたか) 京太郎(受験もあったし、結局春になっちまったもんなあ) 看護士「いつだか来てくださった方?残念ですけど今日は…」 京太郎「いえ!怜が元気になったなら、それより嬉しい事はないんで!」ニコッ 看護士「そですか、次に通院して来た時にでも、来たって伝えときます」 京太郎「ははっ、ありがとうございます」 … 京太郎(良かった!病気の子供はいなかったんだ!…ってか?) 京太郎(はぁ、タコヤキでも食って帰るか…) 『♪』タッタッタッタ 京太郎(ん?金髪の女の子…)クルッ 京太郎(あれ、いない) 京太郎(気のせいだったのかな?) フワッ 京太郎(…あ…キンモクセイの匂いだ) 京太郎(…って、今春なのにそりゃないか) 京太郎(気のせい気のせい)ハハハ… 『キノセイキノセイ♪』 おわり 怜外伝・第二部 おまけ2 怜「京ちゃん、来てくれてたんか…」 看護士「うん、こないだ来てたよ?治ったみたいで良かったーって言うとったで」 怜「そですか…」 竜華「…」 看護士「ほな、お大事になー」ヒラヒラ 竜華「あ、はい、さいならー…」 怜「…」 竜華「…」 怜「そ…」フルフル 竜華「と、怜…」 竜華(あかん、なんて声かけたらええか…) 怜「それって両想いってことやろか」グッ 竜華「えっ」 怜「えっ」 竜華「そ、そーやろか?」 怜「だって、わざわざ東京から逢いに来てくれたんやで?」 竜華「東京なん?」 怜「や、知らんけど、標準語やったし…」 竜華「判断基準それだけ?」 怜「じゃ、じゃあ神奈川でええわ…。横須賀とかそこら辺やろ」ナマエテキニ 竜華「…」 怜「ま、まあ、遠くからわざわざ逢いに来てくれたんやし」 怜「きっと、京ちゃんも私の事…///」 竜華「そ、そやね…」 竜華(ただ優しいだけな気がするけど、黙っとこ…) 怜「竜華」 竜華「は、はい!」 怜「勝って絶対に東京行こうな」 竜華「!」 竜華「もちろん!」 怜(京ちゃん、私前向きに生きていくって決めたんや) 怜(東京に行けばきっと逢える…よね?) おわり ※[[第三部>h4-25b]] #comment

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