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[須賀家]
京太郎「鹿児島の婆さん家に行ってこい?いきなりどうして?」
京太郎母「おばあちゃんがアンタをご指名なのよ。つべこべ言わずに行った行った」
京太郎「まあ、いいけどさ……婆さんといい母さんといい何企んでるんだよ」
京太郎母「べっつに~。ただ、京太郎がいなかったら私も家で好き放題できるなんて考えてないわよ~」
京太郎「それ目当てかよ!?というか実の息子なんだぞ、俺!?」
京太郎母「何を今更。アンタと私の仲じゃないの。遠慮無くもの言えなくて何が家族よ。
それに、いい気晴らしになるんじゃないかしら、ね」
京太郎「……ったく。わーったよ。どうせこっちにいてもやることなんてあんまねーし。
行ってくるよ、鹿児島」
京太郎母「それでこそ、我が息子!ついでだから現地妻作ってきなさいよ。目指せ、百人ハーレムってね」
京太郎「彼女いない歴=年齢の俺に言いますか、それを」
京太郎母「細かいことは気にすんな♪」
京太郎「……ああもう。自分の母親のことながら頭が痛くなる」
[鹿児島県・某所]
京太郎(という訳で来ちゃったよ、鹿児島)
京太郎(長野と違って暖かいなー。さすが南!日差しが眩しい!帽子かぶってきてよかったー)
京太郎(まあともかく、こっからばーさん家まで近いし、ゆっくり行こう)
京太郎(しかし、こうして見ると土地柄けっこう違うのな。気候もそうだし、走る巫女さんなんて長野じゃめったにみな……?)
????「ちょ、どいてくださ~い!」
京太郎「ほぇ?」
ゴチーン
京太郎「いってー……何なんだよ、全く」
????「あわわわ……だ、大丈夫ですか!私ちょっと急いでて」
京太郎「いや、特に怪我はしてないから大丈夫ですけど」
京太郎(うわ、すっげー胸大きいよこの娘!巫女服から溢れんばかりの巨乳、すばらっ!)
????「いえいえ、悪いのはこちらなんで。っとこうしてはいられません。このままでは見つかっちゃう……。
ただでさえ、巫女服で目立っちゃうのに……」
京太郎「見つかっちゃうって誰に?」
????「それは……その……人に追われている深い事情がありまして。これ以上はとてもではありませんが申し上げることはできません!」
京太郎「う、うん……ちょっと気になっただけだから別に無理して話さなくてもいいですよ」
????「あ、ありがとうございます。それと、ぶつかっておきながら申し訳ないのですが、一つ質問よろしいでしょうか?」
京太郎「俺に答えられることでしたらいいですよ」
????「その、洋服を買う場所がどこにあるかご存知ありませんか?」
京太郎「洋服?そりゃあデパートとか?まあ、探せばあると思うんですけど……」
????「そうですか……うう、これじゃあ逃げても見つかっちゃいます……」
京太郎「えっと、そんなに服を着替えたいんですか?」
????「はい……この服だと目立っちゃいますし。お気に入りではあるんですけどね」
京太郎(うーん、何か訳ありっぽいけど……どうしよう?助けるべきなのか?下手に突っ込んでもろくなことにならないしなぁ……)
????「……この服だと隠れようがありませんし。もう、無理なのでしょうか」シクシクシク
京太郎(あーもう。見てらんないっての……お人よしの性分なのかなあ、俺)
京太郎「その、もし良ければなんですけど。俺の服なら一時的ですけど貸しますよ?
それで、巫女さんの言う追手の眼はごまかせるんじゃないんですかね」
????「ほ、本当ですか!?ありがとうございます!!!ぜひお願いします!!!」
京太郎「う、うん。まあ、その後、服屋を探して着替えればいいんじゃないっすか?こうなったのも何かの縁です、俺も一緒に付き合いますよ」
????「本当に助かります、金髪さん!って……これじゃあ失礼ですよね、お名前聞いてもよろしいですか?」
京太郎「俺ですか?須賀京太郎っす。高校一年です」
????「では、須賀さんって呼びますね。私は神代小蒔と申します。高校二年生ですね」
京太郎「じゃあ年上なんで神代さんで……って呑気に自己紹介してる場合じゃなくてさっさと着替えちゃいましょう。
この鞄の中に一式入ってるんで。後、この帽子かぶったら少しはバレにくくなるんじゃ無いかと思います」
小蒔「ほんと、なにからなにまでありがとうございます。えっと、どこで着替えたらいいでしょうか?」
京太郎「えっと、どこかそこら辺のコンビニで……俺は適当に立ち読みして待ってるんで」
小蒔「はい!じゃあちょっと着替えてきちゃいますね!」
京太郎(ということで着替えてきた神代さんがやってきたというわけですが)
京太郎「お、おう…………」
小蒔「え、えっとどうでしょうか?どこか変なとこはありますか?
京太郎(や、やばい。これは反則だろ……!Tシャツとジーパンというオーソドックスな組み合わせなのに……っ!
さっきまで着ていた巫女服とのギャップが激しすぎる……!)
小蒔「あのぉ……もしかして見るに耐えない姿ですか?変ですか、私……」
京太郎「い、いえ!すっごく似合っています!可愛いっす!」
小蒔「か、可愛いって……お世辞にしても言いすぎですよっ!」
京太郎「そんなことないですって。神代さんは自分を低く見過ぎですって。
俺が保証します、似合っていますよ!というか、似合ってないとか言われると俺の服が悪いんじゃない勝手不安になっちゃいます」
小蒔「……もう。須賀さんは意地悪です。ですけど、悪い気はしません」
京太郎「まぁまぁ。ともかく、いつまでもその服を着ている訳にも行かないし新しい服でも買いに行きましょう。
神代さん、お金はきちんと持っています?」
小蒔「…………あ」
京太郎「……わかりました。服については今はいいです」
小蒔「す、すいませんっ!きちんと洗って返すんで!今の私には何もあげれるものを持っていないんでお礼はできませんがいつかは必ず……」
京太郎「あはは。そこまで真面目にならなくてもいいですよ。そうだ、お礼代わりと言ってはなんですがこの街の案内ってできますか?
鹿児島に来たのって久しぶりで、俺ってば何処に何があるかわからないんすよ」
小蒔「そのようなことでよろしいのでしたら……でも、私面白い所なんて知りませんよ?」
京太郎「そーゆーのは行ってから判断しますよ。それに、神代さんが一緒だしいいっすよ」
小蒔「も、もう……っ!そういうお世辞はやめてください
京太郎「だって事実ですしねー。そんなことより行きましょうって!一人よりは二人、楽しく話しながら巡りましょう!」
[公園]
京太郎「アイスですよ、神代さん!」
小蒔「いきなりどうしたんですか……?」
京太郎「いや、熱くて熱くて何か甘いもの食べたいなーって気分でして。そしたら丁度都合のいいとこにアイスの屋台があるじゃないですか!
これはもう食べるしかない!」
小蒔「では、近くのベンチに座りましょうか。私は座って待っていますんで」
京太郎「わかりました。ところで、神代さんはどれがいいっすか?奢るんで好きなの選んじゃってください」
小蒔「そんな、服まで貸していただいているのにアイスまでなんて悪いですよっ」
京太郎「そんな、俺一人でアイスを寂しく食べろだなんてっ!神代さんひどいですっ!」
小蒔「えええっ!?そ、それじゃあ私はどうすれば……」
→アイスを食べる
小蒔「……では、お言葉に甘えて」
京太郎「わかりました~。ここは、一つのアイスを二人で食べてみたりしますか?」ニヤニヤ
小蒔「……須賀さんは意地悪です!」
京太郎「ありゃりゃ、やっぱり俺とは嫌なんですね!」
小蒔「そういう意味ではなくて……ってまたからかって!」
京太郎(うーん、表情がコロコロ変わって面白い……咲を思い出すな、アイツもこれぐらい胸が大きければ……)
京太郎「はははっ。気を取り直してアイスを買いましょう。どの味にしましょうか」
→チョコレート
ッシャーイリガートゴザイマース
小蒔「……すごく、美味しそうです」
京太郎「それは奢ったかいがあります。座ってゆっくり食べましょう」ヨッコラセット
小蒔「お隣、失礼します」
京太郎「しかし、ホント熱いっすね。まさにアイスが美味しい季節!」ンマーイ
小蒔「夏ですからね……」ペロペロ
京太郎「…………」ペロロン
小蒔「…………あっ」ペロペロ!
京太郎「どうしました?」
小蒔「垂れたアイスが服についちゃって。チョコだから汚れてしまいました……すいません」
京太郎「あー、別にいいですって。というか神代さんの方がすっごく溶けてますね……」
小蒔「どうしてでしょうか……」
京太郎「俺のと取り替えますか?って、さすがに食いかけは駄目ですよね、すんません」
小蒔「私のアイスが……」グスン
京太郎「あーもう!ぐすぐすしないでください!もうこの際気にしないで取り替えましょう!
俺のは溶けてるのでいいですから!」
小蒔「で、でも……私の食べかけなんて汚いですよっ」
京太郎「そんな涙目でいられる方が困りますって。つべこべ言わずにほら!食べてください!」
小蒔「は、はい……!」
京太郎(っつっても食いかけ押し付けあったりなんて優希とよくやってるからどうも思わねえけどなー。
咲もなんでか俺の食いかけの玉子焼きとかよく奪ってきたし。まー、今はもう……んなことは“できない”けどな)
京太郎「美味しいですか?」
小蒔「美味しいですっ!でも、須賀さんは……」
京太郎「別にいいですって。俺のことは気にしなくても。そういえばですね、神代さん」
小蒔「はい、なんでしょうか?」
京太郎「最初に俺と会った時、神代さんはどうして逃げていたんですか?今までなあなあで通してたんだけど聞いておきたくて」
小蒔「…………えっと」
京太郎「ああ、無理に話さなくてもいいっすよ。ただ、聞けるなら聞いておこうかな~ってだけなんで」
小蒔「いえ、話します。須賀さんは見ず知らずの私を助けてくれましたし、その恩義に報いたいです」
京太郎「そうですか。ならとことん聞かせていただきますよ」
小蒔「……私、逃げてきちゃったんです。自分の背負うものに耐えられなくて」
京太郎「その背負うものっていうのはどうにもならないんですか、捨てちゃったりとか今みたいに逃げちゃったりとか」
小蒔「はい。私の家柄って昔から格式があるものらしくて。だから、簡単に捨て去るってことができないんです。
それで……」
京太郎「逃げ出した、という感じですか」
小蒔「はい。そのせいで仲の良い友達にも迷惑をかけちゃって。すいません、こんな湿っぽい話を聞いて気分が悪いですよね……」
京太郎「そんなことないですよ、話してくれて嬉しいです。その、何と言いますか……俺には神代さんの家がどんだけ厳しいのかはわからないっす。
俺自身は一般的な家庭で生まれたんで。だから、的確なアドバイスとかは出来ないです、すいませんっ」ペコリッ
小蒔「いえ、須賀さんが謝ることじゃないです……」
京太郎「でも」
小蒔「ふぇ?」
京太郎「神代さんには友達がいるじゃないですか。その、仲の良い友達は神代さんが嫌なことから逃げたくらいで縁を切る人ですか?」
小蒔「そんなことないです!霞ちゃんも、巴ちゃんも、はるるちゃんも、はっちゃんも!みんな私にはもったいないくらいにいい人達です!」
京太郎「でしょう?なら、少しくらいは愚痴とか吐き出しちゃってもいいんじゃないんですか。
溜め込んでいるままじゃあ解決なんてしないっすよ。溜め込んだままだと、いつかは暴発して取り返しの付かないことになっちゃうんですから」
京太郎「だから、困った時とか。苦しい時とか。友達を頼ってみたらどうっすかね」
小蒔「…………いいんでしょうか。皆に甘えちゃっても」
京太郎「そればっかりは俺には答えられないですけど。だけど、噂の友達は追いかけてきましたよ」
初美「姫様ーーーー!」
京太郎「さてと、お邪魔者は退散しますかね~。後は、友達水入らず、ゆっくり話しあってください」
小蒔「えっ、ちょ……須賀さん!?」
京太郎「神代さんには俺なんかよりも理解があって優しい友達がいるんですから。
きっと、これからも大丈夫ですよ。じゃ、会う機会があればまたいつか!」タッタッタッ
小蒔「ま、待ってください!まだお礼も何もできていませんのに!」
初美「姫様ーーーー!心配したんですよーーーーーー!もう何処に行ってたんですかーーーーー!」
小蒔「ああ……須賀さんが……」
初美「あ、あれ?何か入っちゃ駄目だった空気ですかー、これー!」
京太郎(ほとんど逃げるみたいに退散したはいいけど……服とか帽子とか着替えを返すとかすっかり忘れてた……はぁ、締まらねえな、俺。
けど、しゃーねぇか。あれ以上……あそこにいたら何を口走るものやら)
京太郎(俺もお人よしが過ぎるってことか。神代さんがアイツと被っちまったからついつい手を伸ばしちまった。
柄にもなく話を丁寧に聞いちまったし、アドバイスもしちまった。あーわっかんねー、全てがわっかんねー)
京太郎(ホント、今更なにやってんだ。何もかもを手放した癖に)
京太郎(ったくよ。どいつもこいつも。眩し過ぎて……っ!俺とは、違いすぎるんだよ。
不相応な願いだったんだ、誰よりも強くなりたいだなんて。咲達を見返して、俺だって麻雀で勝てるんだって)
京太郎(何かのアニメで言ってたな。世界はいつだってこんなはずじゃってことばっかりだって。
ホントその通りだよ、俺には何もなかった。できるなら、皆と一緒に戦えるだけの才能が欲しかった。でも、俺にはそんなものがなかったから……!
俺が麻雀部にいる意味が見出せなかったから……!)
京太郎(だから、俺は――――逃げたんだ)
京太郎(麻雀から、咲達から)
【序章巫女とアイスと俺とEnd】