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ノドカと7人の小人 昔々あるところにノドカという それはそれは美しく可憐でお淑やかで愛らしく上品で性格も優しく家事も得意で頭もいいお姫様がいました そのあまりの完璧ぶりに義理の母であるハヤリン女王はいつもこのノドカを疎ましく思っていました ハヤリン女王もノドカ姫ほどではありませんが、まあまあ綺麗な人でしたが、 その厚化粧と色んな意味でキツいことから貰い手がいなかったのです、可哀想に、プププ… ずっと行き遅れていた為に仕方なく引き取った養子がこのノドカでした 赤ん坊の頃から天使だったノドカですが、 成長するとあっという間にハヤリン女王を抜きさるほどの美女になってしまい、 他国の王子様たちから求婚の手紙が毎日届くほどですから、ハヤリン女王として面白くありません そんなハヤリン女王の心の慰めになっていたのが魔法の鏡でした ハヤリン女王が質問したことには必ず彼女にとって都合のいい言葉で返してくれる鏡です 女王は毎晩鏡に向かってこんな質問をするのです 「鏡さん鏡さん☆ この世で一番美しいのはだぁれかなっ☆」 ほらね、キッツい…… そして鏡は決まって女王の姿を映しながら(鏡なんだから当たり前だけど)、 「あなたでございます、女王陛下……いや、プリティーハヤリン」と答えるのです こんな茶番でもお肌のように荒みきったハヤリンにとっては心のドモホ○ンリンクルとなるのでした 魔法なんて非現実的なものに頼るようになっては人間おしまいですね、ホント そんなあるとき、ノドカは間違ってこの鏡のある部屋に入ってきてしまいました 「あら、お城にこんな部屋があったかしら……あの鏡はなんでしょうか」 鏡はノドカの美貌を見てショックを受けました いままで女王以外の女性なんて見たことがなく、 世界で一番美しい人と質問されてもハヤリンと答えることしかできなかったのです しかし、このノドカはハヤリンなんかよりずっと可愛らしくスタイルもよく若いではありませんか 鏡の価値観はこれによって一気に変わってしまいました その晩、いつものようにハヤリン女王はキッツい口調でいつもと同じ質問をすると 自分の味方であるはずの鏡は「世界で一番美しいのはノドカ様です」と答えたではありませんか 他国の王子もノドカ、国中の民もノドカ、臣下達のひそひそ話に上がるのもノドカ、 更にはこの鏡でさえノドカ……どいつもこいつもノドカノドカノドカ…!! 「んもうっ!ハヤリンは激おこだぞっ☆ ぷんぷんっ☆」 ハヤリンはミニマム級ボクサーのジャブより速い正拳突きで鏡を破壊すると、兵達にノドカをとらえるように命じました 兵達はノドカ姫に暴力を振るいたくはありませんでしたが、 従わないと死より恐ろしい目にあう事を知っていましたので嫌々ながらノドカ姫を探しに行きました しかし、頭のいいノドカは城内のただならぬ雰囲気を察知し、すばやく行動し、お城から抜け出していました お城を出たノドカは森の中に入っていきました するとどこからか陽気な歌声が聞こえてきました その声のするほうへ歩いていきますと7人の小人達が歌って踊っているではありませんか ちなみにドワーフなんてありえませんので、この人たちはただ背が低いだけです 小人達は行き場のないノドカを迎え入れました 小人達はそれぞれユーキ、マコ、サキ、シズ、アコ、マホ、キラメと言いました ノドカは森の中で楽しく暮らし始めました 一方、ハヤリン女王は魔法の鏡なんてオカルトめいた物がなくなったことでいくらか冷静になり、 城内から消えたノドカの行く先を数学的に検証していました 城の中に残っていた足跡の向いている方向から行き先、そしてその先で姿を隠すのに絶好といえる場所、 ノドカの慎重な性格は危険を避けるであろう事から歩きやすく、猛獣などに遭遇しにくいポイントを考察し、 ホットゾーンを割り出して、逃亡範囲を絞っていました ああ!数学よ!味方につければこの上なく頼もしいが敵に回すとこれほど恐ろしいものはない数学よ! 「ノドっちはきっとここだねっ☆よ~し、刺客さんを送り込んでやれ~☆」 ハヤリンは殺し屋カイノーをノドカがいると思われる場所へ送りました 薬による暗殺を得意とする恐ろしい女です カイノーは森に入り、ノドカ達が住んでいる家を見つけるとりんご売りに変装をして家に近づいて行きました カイノーがこんこんっとドアを叩くと、中からクワガタのような髪型の小人が出てきました 「おや、お客さんですね?どのようなご用件ですか?」 キラメです、大抵やらかすのはこいつです 「ハロー、私はアップル売りです、とても新鮮なアップルをセールしに来ましたヒアウィゴー」 「おお、リンゴですか!それはすばらですね!」 少しは人を疑いましょう 「最近はセールスも王国内だけではハードになってきましたので、こうして郊外にもフットを向けてやってきたのです  どうですか、今回はお一つサービスで提供しますよボーイミーツガール」 「そうですね~私達小人はあまりリンゴを食べませんが、ノドカ姫はリンゴが大変お好きな方ですし、  ご好意に甘えましょう!」 「サンクス、ではリンゴをどうぞリメンバーパールハーバー」 「こちらこそありがとうございます!いや~すばらな品を頂きました!」 「喜んでいただけてなによりです…それではシーユー、私はこれでサモハンキンポー」 勘のいい読者の皆様であればもうお気づきでしょう、このリンゴには毒が入っているのです そして小人達がリンゴを食べない事も、ノドカがリンゴ好きだということも既にリサーチ済みなのでした! 本当にこのキラメってやつは余計なことをしてくれました! 「すっばら~♪すっばら~♪すばすばすっばら~♪きっとノドカ姫喜ばれるぞ~っと」 と、そこへノドカが帰ってきました 「ただいま、あら…それはリンゴですか?」 「おかえりなさいノドカ姫!さきほどリンゴ売りの方がいらっしゃってサービスにと一個置いていかれました!  ささ、ノドカ姫どうぞ!」 「そうですか、確かに今喉も渇いていますので飲み物代わりに果物は丁度いいですわね…いただきます」 おお!なんということでしょう! 何も知らないノドカ姫は毒リンゴを食べてしまいました! 「むぐっ……ぐっ…ぐ……!」 「ひ、姫!いかがなされたのですかー!!」 ノドカ姫はその場に倒れてしまいました……まさに悲劇! カイノーから姫の暗殺に成功したことを聞いたハヤリンは年甲斐もなく大はしゃぎしました 「やったやった~☆ノドっちを地獄におくってやったっち~☆これで私が世界一の美少女~きゃはっ☆」 この国では50過ぎるまでは少女扱いなんですね、驚きです ちょうどその頃、白馬に乗った隣国の王子様がこの王国内の森へ入っていきました 名前をキョウタロウと言いました キョウタロウ王子は天気がよかったので馬にのって散策をされていたのですが、 道に迷ってしまいとにかく森を抜けることを考えてどんどん進んでいきました 「この森を抜ければハヤリン女王の国へ抜けられるはずだ  あの方はたびたび私に求婚を申し込んでくるので少し苦手ではあるが……  まあ、迷い込んだ私を悪いようにはしないはずさ………ん?」 キョウタロウ王子が見つけたのは一軒のお家でした よかった、人が住んでいる そう思って馬を向けて近づいていくと、どうやらお葬式をしているようなのでした 「なんと、人が亡くなられたのか……かわいそうに  ここで通りかかったのも何かの縁だ、私も出席させてもらおう」 優しいキョウタロウ王子は哀しんでいる人たちがいると放ってはおけない性格でした 一緒に死を悼もうと葬式の列に加わりました 「通りすがりでノドカ姫の死を悼んでくれるとは優しい人だじょ、ほら姫の死に顔をおがんでいって欲しいじぇ…」 「なんとあの噂に名高いノドカ姫であったとは、森の中で亡くなられるとは何があったのか……  失礼します……ん?」 「どうかしたかの?」 「この方は…生きています!私は医学にも明るいから分かるのです!  喉に何か引っかかり、それで息が出来ずに酸欠を起こしたのか…!  何か細いものを!」 キョウタロウ王子は小人達がもってきたさい箸を使って姫の喉に引っかかっているものを取り出しました それはリンゴのかけらでした 姫が飲み込みきれずにそのかけらが喉の中で気道を塞いでいたのです 王子は荷物の中から酸素吸入器を出し、姫の口にあてがい酸素を送り始めました 更に小人たちにその酸素吸入を任せると自分は薬を取り出して姫の上腕の静脈に注射をしました 「ジモルホラミンを40ミリ投与…!さあ生き返ってくれ!」 するとたちまち姫の顔に赤みが戻り、息を吹き返しました 「げほっ、げほっ……あら、私は今まで眠っていたのでしょうか…」 「やったーノドカ姫がいきかえったぞー!ばんざーい!」 小人達は喜びました 「よかった、もう安心ですね…ところで姫、なぜ森の中で倒れておられたのですか」 「私はお義母様に命を狙われて城を抜け出してきたのです…  今日は親切な方からリンゴをいただいたので食べたところ喉につまらせてしまって…」   「このリンゴですね……ふむ、私の薬物検査キットで調べたところこの中には毒が入っていたようです、危ないところでしたね」 「まあ!」 「これは何か陰謀を感じます……姫、私はあなたの国へどうしても行かなくてはならなくなりました」 「それならば森の道案内をさせてください、助けてもらったお礼がまだですし…」 「わかりました、ではお願いいたします…また刺客がやってきても私がお守りいたします」 ヒュー!さっすがキョウタロウ王子です!しびれるー! ノドカはキョウタロウの前に座りました そして後ろへよりかかるとキョウタロウの胸の広さ、そして体の暖かさ、たくましさが感じられました キョウタロウはノドカを包むように手綱を握り馬を出しました まるで後ろから抱かれているようでノドカはすっかり安心し、 いつまでもこうして馬に乗ったままでいたくなりました さて、お城にたどり着くと姫達はハヤリン女王に会いにいきました 「あはっ☆キョウタロウ王子様お久しぶりー☆ハヤリンに会いにきてくれたのかな☆  ついでにノドっちも無事だったんだね~心配してたんだよ~☆」 「お義母様、私に毒リンゴを仕向けた暗殺者はすでにキョウタロウ王子がとらえています  あなたがやったことは全てお見通しです!」 ノドカはびしっと指をさしてかっこよく決めました 「オウ、ソーリー…女王陛下、いい男に声をかけられたものだからついつい喋ってしまいましたギリギリのファイブミニッツ」 「まあ☆なんて使えないカイノーちゃん☆ハヤリンまいっちんぐ☆」 ハヤリンはこの期に及んでもキャラを崩しませんでした 「ノドカ姫…これであなたもお城に戻れますよ」 「いいえ、やはり私は戻りません……私はあなたの妻になってあなたの国へ嫁ぎたいのです…」 「っ!…姫!」 実はキョウタロウも一緒に馬に乗っている時にノドカと同じように恋心が芽生えていたのでした キョウタロウは感極まり、ノドカにキスをしました それを見せられたハヤリン女王は 「ハヤリン、ショック☆」 と叫んで憤死しました こうしてノドカとキョウタロウはめでたく結婚し、二つの国は統一され、 両国の間にある森に二人の為にお城が建てられ、小人達も側近の臣下として迎えられ、 二人はいつまでもいつまでも幸せにくらしましたとさ 翌朝ベンチで冷たくなったヒッサが発見され、赤土晴絵と新子望が老人ホームで静かに息を引き取った めでたしめでたし ………… 久「………」 まこ「………」 優希「………」 咲「………これが和ちゃんが文芸部に新しく持ち込んできた小説です」 優希「のどちゃん…どうして花田先輩をそこまで嫌ってるんだじぇ…あんなによくしてもらったのに」 まこ「瑞原プロのことも相当嫌っていたんじゃのう…」 久「……悲惨なのは私よ…見てよ、また最後の行で死んでるし……またキャラとして出し忘れたのかしら」 咲「………ちょっとお寺へ行って焼いてもらいます」 和「あら、須賀君奇遇ですね、電気屋さんにきてお買い物ですか?」 京太郎「ああ、ちょっとうちでテレビを買い換えようって話をしてるんだ、これとかどうだろう」 和「そうですねぇ…お値段も手ごろですし、画質も………」 はやり『それでは来週もまた観てね~☆』 京太郎「でへへ…やっぱりはやりんはいいなぁ…」 和「………むっ」 その夜、和は新作を執筆し始めたという カンッ

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