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京太郎「視線が生暖かかったし、絶対なんか誤解してたと思うけどいいのか? 初瀬のお母さん」 初瀬「うちの両親そういうの偏見ないから。お母さんも言ってたように自分の家だと思ってなよ」 京太郎「偏見っていうか、俺たちはそういう関係じゃないだろ。自分ちにしては居心地が悪いぜ」 初瀬「友だちだってことは理解してるだろうし大丈夫。京太郎のことは随分前に話してあるから」 京太郎「え?」 初瀬「顔も名前も知らないけれど、小学生の頃からずっと仲良くしてくれてる友だちがいるって」 京太郎「なあ初瀬。お前まさかリアルでは親しい友だちが一人もいない、なんてことはないよな」 初瀬「う」 京太郎「マジで」 初瀬「ぶ、部活での人間関係があるからいいじゃん。麻雀部には面倒見のいい先輩だっているし」 京太郎「まあ、毎日楽しく過ごせてるならそれでいいけどさ。俺としてはなんとなく心配でだな」 初瀬「余計なお世話だし。上から目線で心配するくらいなら、京太郎がうちの高校に編入してよ」 京太郎「入試偏差値七十のエリート校においそれと編入できるかよ。よく入学できたな、初瀬は」 初瀬「…………」 京太郎「初瀬?」 初瀬「じゃあ、あたしが勉強を教えてあげたら。京太郎はうちの学校に編入してきてくれるの?」 京太郎「いやいやそんなわけないって。親に説明できないし、引っ越してきて一人暮らしなんて」 初瀬「うちに下宿して学校通えばいいじゃん。進学校に編入するのだって立派な目標だと思うし」 京太郎「落ち着いてくれよ、いきなりどうしたんだ。そんな子どもみたいなこと言ったって俺は」 初瀬「あたしたちやっと会えたんだもん、遠くに行ってほしくない。もう回線越しの関係はイヤ」 京太郎「初瀬」 初瀬「あたし京太郎のことがずっと好きだった。ずっと好きだったけど、自分に嘘ついてたんだ」 京太郎「嘘?」 初瀬「会ったこともない人を好きになるのは変だって。チャットだけならなんとでも言えるって」 京太郎「…………」 初瀬「だけど今なら京太郎が目の前にいるんだもん。目を見て話せる、あなたの肌に触れられる」 京太郎「俺の居場所はここじゃない、ネットだってそうだ。いつか必ず初瀬の前からいなくなる」 初瀬「後悔させて」 京太郎「…………」 京太郎「優しくするよ」

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