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京太郎「それにしても第一声が『チャラい』はないぜ。一応小学生時分からの付き合いなのによ」 初瀬「純朴そうな男の子を想像してたから。それに付き合いが長いからこそっていうのもあるし」 京太郎「物は言いようだな岡橋さん? どこもそういうものなのかね、ネットのオフ会ってのは」 初瀬「…………」 京太郎「岡橋さん?」 初瀬「ああごめん、なんだか少しだけ違和感があって。いつもハンドルネームで呼ばれてるから」 京太郎「だったら『津田ネキ』って呼んだほうがいいか? 人前だしちょっと恥ずかしいけどさ」 初瀬「うん、あたしもそれはなんか微妙。須賀くんさえ良ければ下の名前で呼んでくれるかな」 京太郎「じゃあ、初瀬ちゃん?」 初瀬「ぷっ」 京太郎「おい、何も吹き出すことないだろ! 初対面の女の子を呼び捨てになんかできないって」 初瀬「だっておかしくて。須賀くんってば、何から何まであたしが考えてた通りの人だったから」 京太郎「お前はまた失礼なこと言って。女慣れしてないって言いたいなら残念だが見当外れだぜ」 初瀬「へ」 京太郎「同い年に女子の幼なじみがいたんだよ。その子のお姉さんとも長いこと仲良くしてたぞ」 初瀬「幼なじみがいたって、今は仲良くしてないってこと? 女心が分からなくて喧嘩したとか」 京太郎「別にそんなんじゃないよ。むしろそんなことで喧嘩できるなら今でも十分仲良しだって」 初瀬「…………」 京太郎「『地雷踏んじゃったな』とか思ってるだろ。別にシリアスな話でもなんでもないからな」 初瀬「あたしは十分シリアスな話だと思うけどね。つらいじゃん、友だちと疎遠になるのってさ」 京太郎「初瀬ちゃん」 初瀬「麻雀で出来た友だちが今度は麻雀のせいで遠くに行っちゃったりね。なけなしのシリアス」 京太郎「…………」 初瀬「だけどオエビや同盟で知り合った人たちは。須賀くんはあたしの友だちでいてくれたから」 京太郎「だから、頑張れた?」 初瀬「顔も名前も知らない人たちだけどね。『モニタを消しても繋がってるんだな』って思った」 京太郎「…………」 初瀬「えっと、なんかごめんね? 前からずっと考えてたことだから口に出したら止まらなくて」 京太郎「いいよ」 ウェイトレス「大変お待たせいたしました! こちらご注文のメロンフロートお二つになります」 京太郎「俺も同じこと考えてたから」 初瀬「え?」 京太郎「なんでもないよ、二人の記念すべき出会いに乾杯。メロンソーダじゃ格好付かないけど」 初瀬「…………」 京太郎「このワザとらしいメロン味! 渇いた喉に染み渡るぜ」 初瀬「須賀くんも同じ気持ちだったの?」 京太郎「そこは聞こえなかった振りしておいてくれよ。自分で言っててなんだか照れくさいから」 初瀬「あたしも照れくさいこと言ったし、イーブンってことにしよ。なかったことにしたくない」 京太郎「初瀬ちゃん」 初瀬「それもやめよう。かしこまった仲じゃないし、あたしたち幼なじみみたいなもんじゃない」 京太郎「…………」 初瀬「京太郎」 京太郎「はつ、せ?」 初瀬「…………」 京太郎「…………」 初瀬「メロンフロート。冷やっこくて気持ちいいね」 京太郎「うん」

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