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【風越麻雀部】
吉留未春はいつも通り部室で準備をしていた
文堂「こんにちは~」ガラッ
未春「こんにちは~文堂さ……ってええ!?」
ガシャアン……
文堂「どうしました吉留先輩?」ボイーン
未春「ぶ、ぶぶぶ文堂さん?そ……その胸は一体!?」
文堂「ああ、これですか?実は朝起きたら大きくなっていたんですよ~!」ボイーン
未春「朝起きたらって……なにゆえ?」
文堂「分かりませんね……でもこれはこれで嬉しい事ですよ!うふふふ」ボイーン
未春「………………」ペッタンコ…
未春「そうなんだ………なんだかうらやましいなぁ…」ボソッ
華菜「こんちはー!みはるん、文堂さん」
未春「あっ、華菜ちゃんこんにち…はぁぁぁ!?」
華菜「ん?どしたのみはるん?」ボイーン
未春「ど……どうしたの華菜ちゃん……その胸!?」
華菜「いやーね~!朝起きたら、いつの間にかおっぱいが大きくなっていたんだし!」
華菜「チビ達にからかわれて大変だったよ~!ははは!」ボイーン
文堂「あれ、池田先輩もですか?実は私もそうなんですよ~!」ボイーン
華菜「え~!?文堂さんもおっぱい大きくなったの~!私だけじゃなくて良かったよ~!」ボイーン
文堂「うふふ、そうですね!でも…突然の出来事だったので、どう服の中に収めたら良いのか困りました!」ボイーン
華菜「そーそー!後、道行く人達に変な目で見られて大変だったし!いつ襲われるのかヒヤヒヤものだった!」ボイーン
文堂「そうですよね~!私も両親に何があったのか問い詰められて困っちゃいましたよ!」ボイーン
未春「…………………」ペッタンコ…
華菜「ありゃ、みはるんの方は大丈夫だったの?」ボイーン
未春「ふぇっ!?う、うん!私のは……相変わらず小さいよ…」ペッタンコ…
文堂「どうしたんですか吉留先輩?なんだか元気がないみたいですけど…」ボイーン
未春「だ、大丈夫だよ文堂さん!ちょっと目眩がしただけだから…」ペッタンコ…
華菜「それは大変だし!みはるん、体調が悪いんだったら無理しないで休むんだし!」ボイーン
未春「か……かなちゃ…苦し…」ギュウウウウ…
華菜「あっ、ゴメーン!私のおっぱいがみはるんを圧迫しちゃってた…全く面倒くさいおっぱいだし!」ボイーン
未春「あはははは……気にしないで華菜ちゃん…」ペッタンコ…
麻雀部員A「でさー!朝起きたら胸が大きくなってて困ったよ~!」ボイーン
麻雀部員B「私も私も!弟が揉ませろ揉ませろってうるさくて、困ったよ~」ボイーン
麻雀部員C「アハハハ!私なんていつ痴漢にあうかハラハラした~」ボイーン
コーチ「おら、お前らぁ!?いつまでくっちゃベってんだぁ!?池田ァ!お前は後で私の部屋に来い!」ボイーン
池田「あうう……また説教だし…?」ボイーン
キャプテン「華菜、辛いかもしれないけど頑張ってね……」モトカラボイーン
文堂「それじゃあ私達は練習に励みますねキャプテン」ボイーン
深堀「………………む」ボボボイーン
未春「………………」ペッタンコ…
未春「どうして……私だけ…?」グスッ…
その日の夜、シャワーを浴びていた未春は改めて自分の胸を眺める
未春「どうして皆を大きくなっているのに、私だけ胸が大きくならなかったんだろ…?」ハァ…
未春「でも、別に胸だけが女の魅力って訳じゃないよ!」
未春「胸の小さい女の子も好きって人も一杯いるじゃない!ね、そうだよね未春?」
未春「……………………」ペッタンコ…
未春「なんだか自分で言ってて虚しくなってきた…」ハァ…
未春「………明日になれば私の胸もきっと大きくなるに決まってる…!」
未春「うん、絶対にそうだよね!私だけが小さいままなんて…そんな理不尽な事…」
【次の日】
未春「変わってなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁい!」ペッタンコ…
未春「どうして私だけ……ひど過ぎる…あんまりだ…」
華菜「ふぅ~!なんだか肩がこって仕方ないし!」ボイーン
文堂「池田先輩も肩がこっているんですか~、実は私も肩が痛くて痛くて…」ボイーン
池田「胸が大きいのも困りものだな~!アハハハハハ!」ボイーン
文堂「そうですね!胸のサイズに合う下着を探すのも一苦労でしたよ」ボイーン
池田「それは言えてるし!付けるの面倒くさいけど、垂れるのも嫌だしな~!」ボイーン
文堂「なんで胸が大きくなってしまったんでしょう…本当に困ったものです!」ボイーン
池田「それに比べてみはるんはそういう苦労がなさそうだよね~?」ボイーン
未春「えっ、ど……どうして華菜ちゃん?」ペッタンコ…
池田「だってさぁ~みはるんだけだよね、おっぱいが大きくなってないの~!」ボイーン
未春「う……確かにそうだけど…!」ペッタンコ…
池田「私達の方は大変だよ~!胸が大きいと肩がこるし、下着も買わないといけないし」
池田それに男達から変な目で見られるから嫌なんだよな~!」ボイーン
未春「………………」ペッタンコ…
未春「それに比べてみはるんは小さいままだから、そういう苦労はなさそうだよねー!いや~、本当にうらやましいし!」ボイーン
未春「そんな華菜ちゃん………」ペッタンコ…
文堂「そんな事言っては駄目ですよ池田先輩…気にしないでくださいね吉留先輩!小さい胸でも魅力はありますよ」ボイーン
未春「二人共………ひどいよ」ペッタンコ…
キャプテン「皆、そろそろ練習を始めましょう!」モトカラボイーン
「はーい!」ボイーン
未春「……………私だけ…小さいままなんて」ペッタンコ…
その日の夜、未春は一人おでん屋の屋台で飲み潰れていた。
未春「兄さ~ん!もう一杯ちょうだーい!」
京太郎「おいおい、またかよ姉ちゃん…いい加減帰りなよ」
未春「うるさーい、私は飲まないとやってられないんら~!」ヒック
京太郎「やれやれ……親御さんが心配する前に早めに切り上げなよ……」トクトク…
未春「はいはーい!分かっれますよ~!いららきまーす」ゴクゴク…
京太郎「それにしても姉ちゃん…かなり荒れているみたいだが……何かあったのかい?」
未春「うう……うわ~ん!聞いてよ聞いて!私ばっかり理不尽な目にあうんれすよぉ~!」
京太郎「おいおい、今度は泣き上戸かい……姉ちゃんも大変だねい」トクトクトクトク……
未春「―――――というわけなんれすよ~!」ヒック
京太郎「なるほどねい……そりゃあ辛いだろうなぁ、自分だけ違うなんて」
未春「分かっれくれますか~?」
未春「私だけ小さいままなんれ辛いと言うか、苦しいと言うか、腹立たしいというか、忌々しいというか、羨ましいというか」
未春「ムカつくというか、やってやれないというか、とにかくもう…つらいんれす~!」ヒックヒック
京太郎「うんうん、分かるよ姉ちゃん!俺にもよーく分かる!自分だけ仲間外れだと泣きたくなるよねい!」
未春「兄ちゃん……分かっれくれへ、ありがとうごらいます~!」ギュッ
京太郎「よしよし、泣きねい泣きねい!今は俺の胸の中で思う存分涙を流しな!」
未春「…………うぷっ、急に吐き気が……!」
京太郎「よ、よせ!止めろ!ぎゃあああああああああああああああああ!」
【次の日】
未春「うう………頭が痛い」
池田「おーす!今日も華菜ちゃんは元気だし~!」ボイーン
未春「あっ、華菜ちゃん…」
池田「みはる~ん!今日もちっこい胸だな~!アハハハハハ!」ボイーン
麻雀部員A「あらあら、まだ大きくならないのかしら吉留さん」クスクス
麻雀部員B「カワイソーね~!自分だけ小さいなんて辛そ~じゃない?」ニヤニヤ
麻雀部員C「そんな事言っちゃ悪いよ~!未春ちゃんだって気にしていると思うよ~!」プププ
未春「………………」ペッタンコ…
文堂「き、気にしない方が良いですよ吉留先輩!好きで小さい訳じゃないんですし……」ボイーン
池田「そうだよみはるん!小さくてもみはるんはみはるんだし!小さくてもそれはそれで楽だろうし!」ボイーン
未春(小さい小さい言うな………)ギリギリ…
コーチ「オラァァ!今日は麻雀部員全員、身体測定だァァ!さっさと準備しやがれ!」
未春「身体……測定…?」
キャプテン「じゃあ私達は先に行ってるわね」モトカラボイーン
華菜「よーし!早く行こうだしみはるん!」ボイーン
深堀「………………む」ボボボイーン
未春「どうしよう……身体測定なんて……絶対に何か言われそう…」ペッタンコ…
未春「でも行かなかったら行かなかったらでまた何か言われるだろうし……」
未春「仕方ない………身体測定に行こう…なんか嫌な気分だけど…」
文堂「吉留先輩!どうしたんですか~?早く行きましょうよ!」ボイーン
未春「はーい!分かりました~!」タッタッタッ…
【保健室】
クスクス… ニヤニヤ…
「小さい胸の子ってあの眼鏡の事?本当に胸がないわね~」
「胸の小さい子って可哀想よね……女の子として見てもらえないなんて辛くない?」
「ウケルー!レギュラーだからって調子に乗ってるからそんな事になるのよねー!」
「まさに乳なしみはるんって奴?ありえなーい!」
未春(何よ何よ……!なんで私ばっかりこんな目にあわなきゃいけないのよ!)プルプル
華菜「やったー!おっぱいの自己記録を更新したし!」
保険医「はい、次は吉留未春さーん!」
未春「あ、はーい!」
タッタッタッ……
未春「よ…よろしくお願いします!」
「せんせーい!吉留さんの胸囲は測らなくもいいと思いまーす!」
「確かに~!測るだけ意味がないって奴?それに本人も測りたくなさそうだしね~!」
キャハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!
キャプテン「ちょっと皆!何を言ってるの!」
文堂「あわわわわわわ…」
深堀「むむむむむむ……!」
華菜「み…みはるん大丈夫だし……?」
未春「………………さい」
華菜「みはるん…?」
未春「うるさいうるさいうるさいうるさいうるさーい!お前ら全員敵だ!巨乳はみーんな敵ダァァァァ!」タッタッタッ…
華菜「みはる~ん!待つんだし~!おーい!」
キャプテン「吉留さん……なんだか泣いていたわ…」
コーチ「なんだなんだァ!?一体何の騒ぎだオラァァァァ!吉留の奴、何かあったのかコラァ!」
その日の夜、未春は再び京太郎のおでん屋で飲み潰れていた
未春「ひっく……ちくしょお……おっぱいがなんらよ……!おっぱいがデカイからっれちょーしにのりやがっれ…!」
未春「どいつもろいつも……いなくなっちまえってんだ~!」グビグビ…
京太郎「おいおい姉ちゃん、今日は一段と荒れているねい!また何か嫌な事があったのかえ?」
未春「聞いてくれよ兄貴ぃ~!巨乳がさ、私の事をバカにするんら~!チチがデカくてすっごくて、チチが小さい私がね~!」
未春「一人飲んでるバースデ~!なみらでケーキがしょっぱい!しょっぱいケーキってなんら~!」
京太郎「ちょっと落ち着けよ姉ちゃん……言っている事がさっぱり分からんぞい」
未春「ひっく……コンチクショ~!」グビグビ…
京太郎「なるほどなるほど……そいつはひどいねい…いくらなんでもひどすぎるわい…」
未春「グスッ…グスッ…やっぱり女の子は胸が大きくなきゃあダメなのかなぁ…?私にはもう、ろうしたらいいのらわっかんないよ~!」
京太郎「そんな事はないぜ姉ちゃん……」
未春「兄貴ぃ…?どうしらんらきゅうに真剣なかおになっれ…」
京太郎「実は俺もね………かつて、とある学校の麻雀部で部員をやってんだよ…」
未春「ええ~?兄貴も麻雀部員だったんら~!初めて聞いたよぉ~」
京太郎「ああ…あの頃は自分なりに頑張っていたつもりだよ……でもな、女の中に男が一人っていう現実は甘くはなかったぜ…」
京太郎「部長からは買い出しばかり任され、空気扱いされ……しまいには麻雀部にしけた奴はいらないって言われて」
京太郎「追い出されてしまったよ……あの時の怒りは忘れられないなぁ…」
未春「兄貴……兄貴も辛い経験をしたんだな…」
京太郎「ああ……おでん部を初めてから色々な人間に出会ったよ…」
京太郎「影が薄くて困ったっすって言ってた人とか目立ちたいのに目立てなくて困りましたわって言う人とか……」
京太郎「そういう奴らの愚痴を聞いてやるのが今の俺の仕事でもあるんだ…」
未春「兄貴………」
京太郎「もちろん、あんたの愚痴もな」
京太郎「姉ちゃん…胸が小さいからって卑屈になる事はないぜ…むしろチャンスじゃあないか…」
未春「チャンス…?胸が小さい事が?」
京太郎「そうだぜ、自分だけ胸が小さいって事は自分が特別だって事じゃないかい?」
京太郎「他にはない自分だけの魅力ってのはそれはそれで素晴らしいと俺は思うぜ?」
未春「兄貴……あんたって人は…」
京太郎「姉ちゃん…もっと自分に自信を持ちなよ…俺と違ってあんたはまだまだやっていける…」
京太郎「泣き言を言うのにはまだ早くはないかい…」
未春「兄貴ぃ………」
京太郎「それでももし…へこたれちまったら……俺が姉ちゃんを受け入れてやる…」
京太郎「だから…てめえの全てを馬鹿にしやがった奴らにみせてやんな……!」
未春「あ……兄貴ィィィィィィ!」ブワァッ
京太郎「おいおい…泣くのはまだ早いぜい…涙は勝利の美酒に酔いしれるその時までとっときな姉ちゃん…」ニッ
未春「ありがとう兄貴!私…なんだか元気がわいてきましたぜ!感謝します兄貴ぃ!」
京太郎「へへ…よせよ…照れちまうぜ…」
未春「今日はなんだかいい気分になってきましたぜ!兄貴!今日はありったけ飲むぞ~!」
京太郎「やれやれ……無理すんなよな…全く」
こうして未春は京太郎のおでん部で馬鹿にした奴らを見返してやる事を決意した。
その翌日。
未春「うーん……もう飲めな~い…」ムニャムニャ
ムニュッ…
未春「あれ…なんだろうなんだか胸に柔らかいものが……それに凄く重いし…」ムニュッ ムニュッ
未春「―――――――まさか!」
バッ…
未春「きゃああああああああああああ!おっぱいが大きくなってるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!」
第8話「ひとりにふたつ」