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東京にて ―――― 一目惚れだった。彼を一目見た瞬間、私の心に電流のような大きな震えと感動が飛来してくるのを感じた――――― その時の私は、傍から見れば柄にもなく動揺していただろう。 目の間に映る彼の表情、仕草、雰囲気…その全てが私の視覚情報の大部分を占領しており、 頭を動かすリソースなんて確保できず、ただただ見入ってしまっていた。 その時だ。私が見ていた金髪の彼も私に視線を移してきた。 その表情はどこか怪訝なようで、私に対して何かを警戒しているかのようだ。 いや、無理もないだろう。私は初対面であろう彼に対してずっと視線をよこしていたんだ。不審がるのも不思議はない。 すると、彼はその表情のまま頬をぽりぽりとかきながら私の目の前まで歩いてくる。 京太郎「あの、どうかした?ずっと俺のことを見ていたみたいだけど」 憧「い、いえ、その…」 京太郎「?」 憧「わ、私、阿知賀女子学院の新子憧っていいますっ!」 京太郎「あども。清澄高校の須賀京太郎です」 憧「清澄…和と同じとこ…」 京太郎「ありゃ、和のこと知ってんの?」 憧「は、はい。私、奈良の代表で、和とは小学校の時一緒で・・・」 京太郎「あぁ、なるほど。だから俺のことを見ていたんだな」 憧「そ、そうっ!そうです!」 京太郎「そっか、インターハイなんて出場してるくらいだし、強いんだな」 憧「そ、そんなこと・・・私なんてまだまだですよ」 ・・・あぁ、よかった。とりあえずは不審者のレッテルはちゃんと剥がせたようだ。 正直、彼からそのような目で見られたくない。とりあえず、こちらに対して好感を持って見てくれてることは、僥倖だった。せふせふ。 和という共通点を知った私達は近くに隣り合わせで座り、色々なことをはなすことにした。 須賀くんのこと、私のこと、お互いの学校のこと、インターハイに出場した理由、本当に様々だ。 京太郎「え、新子って男苦手なんだ・・・俺、距離置くべ?」 憧「う、ううんっ!大丈夫大丈夫!なんかきょ、須賀くんは平気なんだ」 京太郎「そうか?だったらよかった」 憧「うん、よかった。よかった」 やっぱ須賀くんが大丈夫でこんなにドキドキしてるのも、う・・・運命の人だからかしら・・・うん、そう!きっと!そう! こんな素敵な人が私の初恋なんて、きっと神様が私にくれたご褒美なんだ何にご褒美かは知らないけれどありがとう神様。 阿知賀に帰ったらきれいに掃除するね! 私が幸せのあまりよくわからない方向へ思考を飛ばしていると、 向こうからあこーって私を呼ぶ声が聞こえる。その声は私がよく知っているそれで・・・。 憧「しず!?どうして・・・」 穏乃「どうしてって・・・もー、憧がぜんぜん帰ってこないから探しに来たんだよっ」 憧「あーうん、ごめんしず、全然時間気にしてなかった」 慌てて私は左手首に巻いている時計で時間を確認すると、あちゃー。やっちゃってる。 時間経ってるなぁ。須賀くんと一緒にいるのが楽しすぎて、つい時間が経つのを忘れてたんだ・・・えへへ。 京太郎「あー、ごめんな。君の友達ひきとめちゃって」 穏乃「・・・誰?」きょとん。 京太郎「俺は須賀 京太郎だ。新子さんとはさっき知り合ったんだ」 穏乃「そうなんだ、私は高鴨 穏乃!憧がお世話になりました!」 憧「ちょ、しずっ!?」 京太郎「いやいや、俺も新子さんとお話できて楽しかったし。お互い様ってことで」 そういって須賀くんは軽く微笑んでくれた・・・かっこいいなぁ。まるで王子様みたいで素敵・・・。 あ、あれしず。なんであんた頬を染めてんの?え、ええ? 穏乃「あの、須賀くん!」 京太郎「ん?どした?」 穏乃「そ、その、ばいばい」 京太郎「え?」 憧「ちょ、ちょっとしずっ!?ひひひっぱらないで摩擦が熱いからぁああああああああああああああああ」   京太郎「なんぞあれ・・・?」 ―――――――――― 憧「もうしずっ!急に引っ張らないでよ」 穏乃「うん・・・ごめん」 憧「・・・あの、しず?」 穏乃「ねぇ、憧」 憧「・・・なに?」 穏乃「須賀くん・・・かっこよかったね///」 憧「ふきゅっ」 やば、変な声出た。え、ちょっとまって・・・。あー、うん。とりあえず・・・。 ふぁっきゅー神様。阿知賀に帰ったら覚えてなさい  カンっ!

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