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  京太郎「ふむ。……ネタが、浮かばん」 べっー、まじっべーわーとか半ばふざけながらPCのキーボードをパチポチと打ち、それをバックスペースで消すという、意味のないサイクルを刻みつつ、頭を悩ませる。 社会人一年目、須賀 京太郎。職業は小説作家。ペンネームは 園城寺 京太郎。このペンネームは、大学当時の同級生や先輩方と決めたものだ。大事な、思い出だ。 大学時代、レポートに頭を悩ませている最中に、片手間に書いた小説が出版社の目に止まり、そのまま出版。それがなんの間違いか、知り合いの麻雀プロの皆様方の手に渡ったりしたお陰でちょっとした一大ブームを形成。 そのまま出版社やマスコミに持ち上げられ、今では1小説家『期待の金新星』なんぞ言われながら、今に至る。 あれから色々なことを経験し、今では初出版の本に加え、二本出版している。よくもまぁ、ここまでトントン拍子に来たものだ。 京太郎「…ダメだ。全く浮かばねー」 クライマックス、この小説の山場なのだがそこで主人公に吐かせる台詞が全然浮かばない。ふぁっきゅー。 まぁ、毎回いってる気がしなくもない。仕方ない。作家にとってスランプと締め切りは対敵であり大敵なんだ。 そこでピンポーンと我が家のチャイムが鳴る。その音に時間を確認し、げぇっ思いながら玄関に向かい扉を開ける。 怜「おつかれー」 京太郎「来るんじゃねぇよ担当」 怜「お仕事ですしおすし」 京太郎「ですよねー」 怜「おうおう。邪魔すんでー」 京太郎「邪魔するなら帰れ」 怜「わーいスーファミーなっつかしー」 京太郎「聞けよ」 来て早々俺の少年時代からの相棒に行きを吹き付けるんじゃない。唾が入るじゃないか。 担当編集。園城寺 怜。二個上の先輩だが、留年とか治療などの色々によりタメになった同級生。出会った当初は敬語を使ってたかもしれないが、今ではこの通りだ。だーかーらー、俺のマリオRPGを勝手に遊ぶんじゃない。 こいつが担当編集とか、世も末だ。絶対名前で決めただろ。と、突っ込みをいれたくなる人選である。 怜「きょーくんやい」 京太郎「コーヒーいれてー。とか言うなよ?」 怜「結婚しよ」 京太郎「まさかのプロポーズ!?」 怜「たっまのこしーたっまのこしー」 京太郎「しかもうちの財産狙ってやがる!?」 怜「半分冗談はこんぐらいにして」 京太郎「やべぇ、真実を探るの怖すぎんだろ」 …わりと本気で、世も末である。 カンッ!  

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