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「ね、京ちゃん……。キス、してくれる?」 咲は潤んだ瞳を向ける。 風が吹くだけで揺れそうな理性が軋む。 「だ、ダメだ」 「どうして?やっぱり、私じゃ……」 目を伏せた咲が言葉を紡ぐ前に、京太郎は強引に言葉を割りこませた。 「違うって。その、キスしたらとまらなくなりそうなんだ」 「とまらなくなる……って?」 「わかるだろ。お前の事をメチャメチャにしちゃいそうなんだ。まずいだろ」 咲は身体をぴくっと震わせ、あちこちに視線をさまよわせる。 そして一度深く瞳を閉じ、ゆっくりと開いた。 「じゃあ、キスして」 「ちょ、ちょっと、お前、人の話を」 「聞いたよ。京ちゃんが私を求めてくれるって」 咲が、ゆっくりと顔を近づけてくる。 「い、いいのかよ?」 自分に言い聞かせるように咲が首を縦に振る。 「それは、私を好きになった京ちゃんが悪いんだよ……」 咲は京太郎の至近距離まで顔を近づけた。 「怖いけど……京ちゃんが抱いてくれたら、信じられる気がする」 「本当に、俺でいいのか?」 「うん。京ちゃんがイヤじゃなきゃ、だけど」 咲は不安げな視線を京太郎に投げる。 京太郎は言葉の代わりに咲の背中に腕をまわし、ぎゅっと抱きしめると、体を半回転させた。 「えっ?」 さっきまで押し倒していた咲が、今は逆に京太郎の腕のなかにいた。 「京ちゃんの身体…とっても温かいね」 咲がそっと目を閉じる。 京太郎は優しく咲の髪を撫で、そっと唇を重ねた。 #comment

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