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授業も終わり、いつものように部室へ行くと、京太郎くんがいた。雀卓を囲む4つの椅子のうちのひとつに座って、最近機種変更したばかりのスマートフォンを慣れた手つきでいじっていた。
京太郎「お、和。おかー」
和「ただー、です。須賀くん」
京太郎「…うぅむ、そろそろ名前で呼ぶ程度には好感度が上がってもいいはずんなんだが」
和「残念でした。もう少し頑張りましょう」
……私が、ですけど。いえ、恥ずかしいじゃないですか。男の子、それも意中のヒトを下の名前で呼び捨てにするなんて。ごめんなさい京太郎くん、今は地の文だけで勘弁しておいてください。いや、伝わらないので意味ないですけど。
和「どうですか、スマートフォンの使い心地は」
京太郎「んー、長年ガラケー使っていた身としては違和感すごい。さらば、俺の6年愛用電話」
和「…ホープ並の過労死ですね。今時6年って」
京太郎「ネオスといいスピード・ウォーリアーといい、彼らは戦士族に恨みでもあるんかね」
壊れた原因は、神様の暴走を防ぐのに使ったからだといってましたが、なんの話なんでしょうね?そんなのいるわけないのに。
和「それで、今は何を?」
京太郎「メール。慣れるにはこれかなー、と」
和「そうですか」
京太郎「うむ。女の子は返信が早くて困る」
……落ち着いて!落ち着いて握り拳をほどきましょう私!お友達の多い京太郎くんなら別に珍しいことでもないでしょう。こんなことで動揺するなんて、狭量にも程があるでしょう。……でも、気にならないといえば、嘘になりますね。
和「えと、誰、に?」
京太郎「新子さんだけど」
和「そうですか。憧と…」
…すいません。動揺を抑えきれそうにありません。え、え、いつの間にっ!?IH後の交流会では京太郎くんは穏乃と玄さんと一緒にいることが多かったので、正直予想の範囲外でしたっ!憧は男の子が得意ではないので、まさかと…。
和「えーと、そんな頻繁に?」
京太郎「まぁ穏乃や玄さんとは電話が多いから、ほどほどには」
和「そうですか」
京太郎「なかなか面白い子だよな。結構言葉きついところは和ににたところを感じるな」
和「そうでしょうか」
違うんです!こう、照れ隠しというか素直になれないツンデレ的なアトモスフィアであって、本当はもう少し柔らかい感じでお話したいのに外キャラが邪魔をしてて…。ああもうっ、なんで私は彼と出会った頃からちゃんとデレておかなかったんでしょう!?
そうしたら今頃……無理ですね。きっと咲さんやゆーきになんやかんやで邪魔されてたに決まってます。
京太郎「えと、どした?なんか百面相してるけど」
和「気にしないでください。人生は何故儘ならないのかを考えてただけですから」
京太郎「哲学だな…儘ならないからこそ研鑽する。その行程にこそ意味があるんじゃねえかな」
京太郎くんは笑って私にそう告げる…頑張って私の脳細胞っ!この笑顔を脳内メモリに焼き付けるのです!なんのための学年首席ですか!?おぉばぁひぃとっ!
京太郎「(和がこっちを睨み付けてるけど、なんで?俺が適当なこといったから呆れてるのか?)」
京太郎「あ、メール来た。……のどかー、今日部活休みってさ」
和「…そうですか。それではお先に失礼します」
京太郎「あ、あぁ。お疲れ」
うぅ、京太郎くんの顔見すぎて絶対顔真っ赤でにやけてます。こんなの京太郎くんにみせられませんよぉ!こんな変な顔、は、はずかしぃです!
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京太郎「…俺、嫌われてる?」