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  自室。四角く区切られたガラス越しの世界では秋の木枯らしが吹いている。 中央に置かれたコタツに身を沈み込ませ深く暖を取る。 京太郎「今日も冷えますねぇ」 由子「まったくなのよー」 口を衝いて出た感想に、対面に座る由子先輩が首肯しながら同意する。 京太郎「こんな日は家で大人しくしておくのがいいですね」 由子「~♪」 俺の言葉を聞いているのかいないのか、コタツ机の中央に置かれた菓子器に山と積まれたみかんをひとつ取り、機嫌良さそうに剥いていく。 由子「ん、いい甘さやね」 小さく苦笑しながら、先輩に倣って俺もみかんに手を伸ばす。 外皮を剥き終えたところでしばし一考。 いまだ楕円を保つ球体の表面に張り付いた筋を丁寧に剥がしていく。 由子「その白い、筋のところに栄養がたくさんあるんよ」 俺の手元を注視しながら、からかい混じりに由子が告げてくる。 京太郎「いや俺、別にみかん如きでそこまで栄養摂ろうと思ってないですし」 由子の右手が伸ばされ、その短く細い指先が俺の左頬を摘む。 由子「口答えするのはこの口なのよー?」 京太郎「ひゅみまへん」 秋の午後のほんの一コマ。 カン!  

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