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  およそ少女と呼んでも差し支えない外見の女性が、盤に向けて金将を打ち付ける。 その時、向かい合った金髪の少年ははっきりと自分の敗北を確信させられた。 「……これで詰みだねぃ」 「うぉあ。やっぱり姿に違わずお強い……というか強すぎますよ咏さん」 「そうかねぃ、うへへ」 和服に扇子をパタパタと上下させ、いかにも上機嫌といった風ににやにやと笑みをもらす。 「『わっかんねー』とか『知らんけど』とか白々しい事宣いながら急所に打ち込むのは嫌味ですよ」 「口癖なんでねぃ、多めに見とっくれよ。まあ、君もなかなかいい線言っとるよ?京くんや」 「飛車角落ちでやられた俺にそんな事言いますか貴女は」 「本当の事さ。少なくともそこらの奴よりはよっぽどセンスはあるぜぃ、扇子だけに」 「……どこまで本気なんだか」 しっしっし、と不敵な笑みを絶やさない咏に、京太郎は苦笑で迎え入れる。 「どれ、私がちょっくら教えてやるさ、将棋も麻雀も」 「将棋も、麻雀も……ですか。いいんですか、そんな法外な」 「……どうして私がああいう口癖になったか分かるかねぃ?」 「なんですか急に?うーん……わかんねーです」 「そう、それさ」 「え?」 「世の中、わかんねーことを無理に考えても楽しくないんだぜぃ?直に動いて探っていくぐらいが丁度いいんさ」 「日本代表の先鋒ともあろう人がそんな……」 「おや、麻雀だって同じよ。オカルトだなんだ言っても実際そうなら認めるしかないだろぅ?全てはそこから始まるんさねぃ」 珍しく真面目な表情で見つめてくる咏に京太郎は動悸を抑えるのが精一杯だった。 「そ、そんなもんですかね……ところで、それでどうして俺なんかを?」 「さぁ、知らんけど自分でもピピッと来たんよ。女の勘、ってやつかねぃ?」 「はぁ……なら、お言葉に甘えてもいいですかね」 「そうそう。京くんのそういう適応力、好きだぜぃ」 「……っ」 ほんの少し赤みがかった微笑みにも気づかず、この人には敵わないなと京太郎は心の中で両手を上げたのだった。 カン   

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