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「さき・・・」 「さき・・・」 「さき?」 「ふえっ!」 私は仰向けの体を動かさずに目と口だけを勢い良く開けた 「また同じ夢・・・これで三日連続・・・」 抑揚の小さい声で言いながら少し体を起こす 自然と視界に入って来たアナログ時計は午前3時を指していた 「これって金縛り?それとも誰かがこの部屋に入って来たの?」 怖がりな私は気持ち悪さと不安にかられながらも原因を考え始める 「金縛りってもっと怖い夢見そうだし・・・」 「泥棒さんや変態さんが入って来た跡は無いし・・・」 「それにあの声どこかで聞いたことあるような・・・」 ぼそぼそと呟いていたがすぐにその空間は無機質な秒針の音に支配された 「明日学校だし寝よう・・・」 座椅子を倒すように布団に戻った 翌日2月4日、いつもの様に身支度をして学校へ向かう でも今日は少し緊張してる 京ちゃんとのデートの約束をするから 「京ちゃん!おはよ」 「おぉ咲、おはよっ!」 「・・・」 「ん?咲、いきなり黙ってどうしたんだ?」 「えと、ちょっとね。そんなことより早く行こう!」 自分の位置を京ちゃんの半歩後ろに固定しながら付いていく しばらく話しながら歩いていると京ちゃんが気付いた 「咲、今日はその・・・なんか固いぞ?」 学校まであと5分の所 車が一台通り過ぎた後私は口を開けた 「あのさ京ちゃん」 「どうしたんだ?そんなに改まって」 京ちゃんは手首を肩に載せて持っていたかばんを下ろして振り返った そして桜色になっていた私の顔は赤くなる 「あのその・・・一緒にお出かけしよ?」 心臓が蕾だとしたら開花してしまうかのようだ でも次の言葉を聞いた途端に顔は桜色に戻った 「なんだそんなことか。たまに行ってるだろ?」 いつもの反応に気が楽になったけど 気持ちが上手く伝わってない事に焦る 「そっそのそうじゃなくて・・・バレンタイン」 「そうかバレンタ・・・えっ!マジか!?」 「うん。一緒にデートしよ?」 「あっああ、良いぜ!」 想像以上の反応にその場で跳びはねたいくらいだったけど恥ずかしくて京ちゃんを 置き去りにして学校へ走った 「京ちゃん楽しみにしててね!」 「おう!」 (バレンタインに咲とデートかぁ・・・) (これって両思いってことだよな!) (よし!今日は赤飯だ!) (・・・にしても俺、鈍感だし情けねぇ・・・) 放課後の部活で京ちゃんと何度も目が合った その度京ちゃんは微笑んだから私もその度朱くなった気がする そして帰り道に京ちゃんとたくさんたくさんお話して、別れた後つま先の小走りで家まで向かった 「ただいま!」 「ってお父さんはまだ帰ってないかぁ」 「ふふっ、京ちゃん」 浮かれて回りの物が完全に見えて無いけど部屋へルートは体が完全に記憶してるから無意識のうちに辿り着きベットにダイブする 「「咲、お前が一番可愛いよ」かぁ・・・」 抱いた枕で半分顔を隠しながら今日の会話を反すうする 「世界がこんなに明るく見えたこと無いよ・・・京ちゃん大好き!」 ゴロゴロジタバタしながら自分だけの世界に浸っているとあの声が聞こえてきた 「さき・・・」 「さき・・・」 「ふえっ!あの声!」 一気に現実に引き戻され不安とともに緊張が生まれた 「どうして今?いつもは寝てる時なのに」 その声はますます大きくなる 「さき・・・」 「さき?」 「さき!」 「なっ何!?」 顔が引き攣った そして次の瞬間体が勝手に動きだす 「ふぇーつ!何これ!」 謎の力に胸の当たりを引っ張られ家を飛び出した 「少し浮いてるよ!」 訳も分からないまま前髪が後ろに流れてしまう程のスピードで移動する 「お尻!お尻見えちゃう!」 半泣き状態で口を大きく開けながらスカートを押さえ始めると動きが止った 「うぅ・・・怖かったよぉ」 へたり込んで涙を拭いながらも場所を確認する 「坂の下公園?」 家からの下り坂の突き当たりにある普通の公園 たまに青空読書をしにくるここは夕方になると人気が無くなる 今は夜だから完全に人が居なくなり静寂がに包まれていた 切れかけの青白い光だけが点滅して自己主張している 「帰ろう・・・」 夕飯の支度もあるから足速に出口に向かうと公園の奥の方から人の声が聞こえてきた 「やっやめろ!ゴミプロ雀士!」 「なぁいいじゃないか」 (衣ちゃんとカツ丼さん?) 入口の門に裏に隠れて顔を出し様子を見る事にした 衣ちゃんだけやっと見える 「こっ殺すつもりか!?」 明らかに衣ちゃんの様子がおかしい 「カツ丼さんは何をしようとしてるの?」 恐る恐る上半身を門から出すとそこにはカツ丼さんを巨大化した様な怪物が見えた 「ふぇつ!!」 思わず大きな声を出して尻餅を付く するとその3メートルはありそうな怪物は機械的にこちらへ体を向けた 「誰かいるのか?」 (見つかっちゃう!) 「・・・・・・・」 「・・・そこか!」 (ばれたちゃった!) 私の存在に気づくと大きな足で地面に後を付けながらのっそり近づいてきた 甲冑の様な堅固な体 カツ丼さんと般若を混ぜた様な猟奇的な顔 「!!」 声が出ない 私の太ももに汗がにじみ出てくる 逃げる事も出来ない 「お前か!」 怪物と目が合う 遅いけど確実に近づいて来る ここで震えるしかなかった そしてとうとう私の前に来た (大きい!) もはや地味な感想しか浮かばない私は死を覚悟していた 怪物が私の首に手を伸ばす (私まだ死にたくないのに!) (やり残した事が沢山あるのに!) (助けて!!) その瞬間体が半径3メートルほどの光の玉に包まれていた 怪物の様子は見えない 「さき・・・」 「さき?」 (またあの声!) 「これは何なんですか?」 答えてはくれない 「咲?あの子を守りたくないの?」 「そっそうだけど」 「咲・・・森林限界を超えた山の頂上にさえ花が咲くこともある・・・」 「お前もその花の様に強くなれ!」 「おっお姉ちゃん!?」 光玉は瞬時に私の体をまとい視界が元に戻る 「お姉ちゃんなの?」 「お姉ちゃんじゃないよぉ」 「じゃあ誰なの?」 「私の名前はテルテル」 「そっそうなんですか(明らかにお姉ちゃんの声だよぉ)」 さっきまでの絶望と恐怖は完全に忘れて声だけテルテルさんと世間話をしてると 自分の体に異変が起きている事に気づいた 「あっあれ?視線が高い!」 急いで自分の体に目をやった 「せっ背が伸びてる!それにモデルさんみたいなスタイルになってるし、服も剣士のお姉さんみたい」 「おっぱいも大きい・・・」 大きくなった胸を確認しながら視線を下にやると恥ずかしい事に気づく 「ふぇっ!スカート短すぎるよ!」 前屈みになったことでもう一つ気づいた 「髪も少し伸びてる・・・」 訳が分からなくなって驚きと喜びが混ざった声でテルテルに聞いてみた 「あの・・・これ・・・」 「すごく似合ってるよ!」 「ありがとうございます・・・そっそうじゃなくて!」 「ごめん、お友達がピンチなんだよね」 「そういえば衣ちゃん!」 振り返ると怪物は立ち上がっていた 「どうしよう!衣ちゃんの方に向かってる」 「うぅん。とりあえず体当たりして?」 「そんなの無理だよぉ」 「大丈夫だから早く!」 衣ちゃんを助けたい一心でテルテルさんの言葉を信じで精一杯ぶつかる 「えいっ!」 「ぐっ!!」 怪物は放物線を描いてフェンスに叩きつけられた 「すごいよ!」 「うん、あの怪物は弱い方だから体当たりだけで気を失っちゃったみたい」 (弱い方?) 「あっ!衣ちゃんを連れて逃げなきゃ!」 「それはだめ!」 「どうして?」 「あの人を元に戻さなきゃ」 「でもどうやって?」 「ほっぺにちゅー」 「・・・こっ恐いよぉ・・・」 「早くして?起きちゃうから!」 「わっ分かったよぉ」 急いで怪物の方へ足を踏み出すと次の瞬間フェンスの前に居た (すごい・・・足も速い) 「ほっぺにちゅー」 目をつむぶりながらやけくそにやった 「ぐわぁあぁあぁ!」 怪物の体から黒い光が蒸気の様に吹き出しカツ丼さんに戻る 「よかった・・・元に戻ったよ・・・」 「さあ、帰ろっか」 「でっでもカツ丼さんが・・・衣ちゃんも気を失ってるし・・・」 「誰かに見つかるとまずいの。それにその二人はほっといて大丈夫だよ?」 「うん・・・」 二人を心配しながらも家に帰ろうと試しに思いっ切りジャンプをしてみた 一回で家の玄関に着地出来た 「どうなってるの?」 「部屋に戻ってから話すよ」 どこかで納得が行っていないせいか膨れながらドアに手をかけたけどすぐに動きが止まった 「この格好は・・・」 「すごく似合ってるよ!」 「ありがとうございます・・・そっそうじゃなくてどうやって戻すの?」 「もう戻ると思うよ」 テルテルさんが言うか言わないかのタイミングで私の体から無数の小さな光が 八方に弾け飛んで元の体に戻った 急いでご飯を作って部屋に駆け上がる テルテルさんを呼んだ 「おねえ・・・じゃなくてテルテルさん?」 「作り終わったんだね」 「うん。えと、テルテルさんって体は無いんですか?」 「多分無いよ」 「多分って・・・」 「・・・咲?」 「なっなに?」 「これから話す事を良く聞いて?」 「どうしたの?急に恐い声で・・・」 「まず何から話そうかな?」 「・・・」 テルテルさんは30分話し続けた その内容にショック受けて3時になっても眠れずにいる 「京ちゃん・・・」 それは京ちゃんと私の仲を引き裂いてしまうものだった そして昨晩から降り始めた冷たい雨はまだ降り続いている チョコレートと恋の魔法(第1話)おわり #comment

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