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和の憂鬱」(2013/11/15 (金) 21:23:45) の最新版変更点

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「痛っ!?」  授業が全て終わり部室に向う途中で足に痛みを感じた原村和は、近くの木につかまりながらゆっくりとしゃがみ込む。 「つぅぅ・・やっぱり、痛めていたみたいですね、こんなことなら早々に保健室に行くべきでした・・・どうしましょうか」  苦痛に顔を顰める和は少しでも痛みを和らげようと足首を撫ぜながら、保健室に行かずに放置した事を今更ながら後悔していた、しかし後悔したところで時間は戻らず、この後どうするかを迷っていると。 「よぅ和、って・・おい、怪我したのか!?」  偶然その場に通りかかった京太郎が、和の異変に気付き慌てて和の元に走りよる。 「あっ、須賀君・・大丈夫です、その・・運動している時に少し足を痛めてしまったみたいで」 「少し腫れているな・・・歩くのが辛いんだろ?」  京太郎に心配をかけないようにする和だが、痛みを誤魔化せる訳も無く顔は顰めたまま、そんな強がる和を無視して怪我の状態を見て、歩けるかどうかを尋ねる京太郎。 「あっ、はい・・それで、須賀君・・すみませんが肩を・」 「ほれ・・」  和が貸してくださいと言うより早く、京太郎はしゃみこんで和に背中を向けた。 「えっ、す、須賀君・・それは、その・・・」(こ、これってつまり・・背中におぶされと・・)  京太郎が何をしたいのかなんとなく分かった和だが、念のために京太郎に訊ねる。 「あんまり動かさない方が良いだろうし、ならこっちの方が良いだろう?」  さも当たり前のように話す京太郎に、和は慌てて首を横振った。 「そ、そんなの悪いです、そ・・それに誰かに見られたら」 「気にするなって・・と言っても気になるんだろうけど、でも足の方が大切だろう、それともお姫様抱っこの方が良いか?」  視線が気になるのは京太郎にも理解できたが、それでも下手に歩いて怪我を酷くするよりはましだと思え、そこを譲る気の無い京太郎は冗談めいた口調で和に選ばせる。 「そ、そんなの恥ずかしすぎます・・・はぁ、わかりました、ではおんぶでお願いします」  ごねて無理やりお姫様抱っこで運ばれては堪ったものではない、そう思った和は溜め息をついて覚悟を決める。 (だ、大丈夫でしょうか・・・)  見られる恥ずかしさとは別に和には気になる点がもう一つあった、それは。 「どうした、和?」 「あっ・・いえ、それでは失礼します」(なるようにしか・・なりませんよね・・)  なかなか背中に乗らない和を不思議そうに見る京太郎、意を決するというよりは諦めた和はゆっくりと京太郎の背中に身を預けた。 「うぉ!?」(こ、この柔らかい感触は・・ま、まさか!?)  和が背負った瞬間、大きな二つの肉厚を感じた京太郎は思わず声を上げてしまう。 「やっぱり・・・重いですよね」(驚いて声を上げてしまう・・・ほど)  京太郎が声を上げた事で、勘違いした和は完全に落ち込んでしまった。 「いや、ち、違うぞ、重くなんて無いぞ・・ただ、その・・あんまりにも感触が違ったんで・・」 「そ、そう・・ですか・・」(それって、やっぱり・・胸・・ですよね)  さすがに素直に胸を言うのは照れくさいのか、それともセクハラになることを恐れたのか、言葉を濁しながら理由を話す京太郎、そして和もまた自分のどの部分の事を言われているのか理解して黙り込んでしまい、数秒妙な沈黙が流れる。 「と、とにかく、とりあえず保健室だな?」 「あっ、はい、お願いします!」 「わかった、いくぞ」  恥ずかしさを誤魔化すために立ち上がった京太郎は、目的地だけ確認して歩き出した。  足の治療を終えた和は、再び京太郎に背負われて保健室を後にした。 「とりあえず、酷い怪我じゃなくてよかったな」  保険医の診断結果は、軽い捻挫で二・三日安静にしてれば治るだろうとの事で、和も京太郎も安心した。 「はい、でも・・またこんな風に、おんぶしてもらってすみません」 「良いって、それより今日は部室寄らずに帰るだろう?」 「そうですね・・この足では帰るのも時間がかかりますから」  遠いとまでは言わないまでも、決して歩いてすぐとはいえない家までの距離、怪我をした足を庇ったままでは時間もかかるだろう、その上部活に出れば更に遅くなってしまう。 「一人で帰りますから、須賀君は部室に行ってください」 「いや、いくら軽いって言っても捻挫は捻挫だからな、動かさない方が良いだろうから送るぞ」 「えっ・・わ、悪いですよ、そんなのすぐに降りますから」  まさか家まで送ると言い出すと思っていなかった和は、京太郎の言葉に慌てて断ろうとするが、足はしっかり掴まれている降りることは出来ない。 「気にするなって、今部長にメール送っちゃうから・・・それとも嫌か、なら止めるけど?」  京太郎はポケットから携帯電話を取り出して部長の竹井久に報告メールを打ちながら、和に家まで送られるのが嫌かどうかを確認する。 「嫌と言うわけでは・・・け、けど・・」 「なら良し、メール完了と・・」  和が嫌がっていない事が分かると、京太郎は打ち終えたメールを久に送り携帯電話をポケットにしまう。 (ど、どうしたら良いんでしょうか、こ・・断ったら、須賀君に嫌な思いをさせてしまいますよね・・)  このまま家まで送られるのはかなり恥ずかしいが、ここまで好意で送ってくれた京太郎の事を考えると、それを言い出せない和、そうこうしているうちに。 「じゃあ、行くぞ」「・・・」  京太郎は歩き出してしまい、下ろしてくれと言い出せなくなってしまった和であった。 「あの、須賀君・・・重くありませんか?」  学校を出てしばらく経つと、和は恐る恐る京太郎に気になっていた事を訊ねた。 「学校でも言ったけど重くないって、それに麻雀部入ってからは買出しで荷物を持たされていたからな、力は結構あるんだぞ」  息切れする事無く平然と答える京太郎、さり気無く力があることをアピールするが、それを聞いた和は別の事を思ってしまう。 「そうですか、すみません・・いつも雑用を押し付けてしまって、本当なら私やゆーきも一年ですから手伝わないといけないハズですが」 「はは、良いって、唯一の男だしな、女の子に頼りにされるのも悪い気はしないぞ」  同じ一年として何もしていない自分を恥ずかしく思い反省する和の言葉を、京太郎は軽い感じで笑い飛ばす。 「それにさ・・・俺は全国もいけなくて、特に部に貢献もできなかったからな」  自傷気味な言葉を漏らす京太郎、それを聞いていた京太郎の肩に置かれた和の手に力が入る。 「自分をそんなに卑下しないで下さい、決勝戦のインターバルの時に、須賀君がゆーきにタコスを差し入れしてなかったら、どうなっていたか分からないんですよ」 「ああ・・まあそういう意味では、雑用係としては役に立った訳か・・」  和の言葉に考え深げに頷く京太郎、だがしかし和はそんな事を言いたかった訳ではなく。 「い、いえ、雑用係だけではなく・・そ、そう、須賀君がいなかったら、宮永さんも来ずに・・全国はどころか、団体戦出場だってできたかどうか分からないんですよ!」 「えっ~と、の、和さん?」  和の必要性を訴える勢いに京太郎は圧倒されるが、勢いの付いた和の口は止まる事無く。 「それにあれです、強化合宿の時だって、パソコンを持ってきてくれたらり、色々と、だから、須賀君は麻雀部必要です!」 「・・・・・・」  京太郎はあっけに取られ、いつの間にか進む足も止まっていた、そして言い終わったところで和もそれに気がついた。 「あっ・・す、すみません、ひ、一人でその・・勝手に・・」 「ああ、いや・・こっちこそごめんな、軽い冗談のつもりだったんだけど・・」  そう、さきほどの自傷気味の言葉は冗談、京太郎はあくまでも軽い口調だった、冷静に考えればそれも和は理解できたはず・・だったが。 「そ、そうですね、すみません・・・一人で熱くなってしまって」(どうしたんでしょうか、よく考えれば冗談だってすぐに分かるものを・・・で、でも、須賀君が自分を麻雀部にとって必要の無い人だなんて思って欲しくなくて・・)  和自身もそこまで熱くなってしまった理由はわからない、ただ京太郎は貢献しているとわかって欲しいと言う、そう思った瞬間に口が開いていたのだから。 「和が気にしなくても良いって、俺が変な冗談を言ったからだしな・・・それによ」 「それに・・な、なんですか?」 「和がそこまで言ってくれて、凄く嬉しかった・・ありがとうな」  京太郎が嬉しそうに笑顔で和に礼を言う、そんな京太郎の横顔を見た和の胸の奥が熱くなるのを感じた。 「・・・す、須賀君が・・貢献したのは本当の事・・ですから、あの」(あ・・あれ、言葉が・・そ、それになんでしょうか胸がドキドキする・・この感覚は!?)  何故だか上手く喋れずしどろもどろする和、鼓動が早くなるっているのは分かったが・・どうしてそうなったのか理由が分からず戸惑う。 「ははは・・もう良いって、わかったからさ、ところで和の家ってどの辺なんだ?」  ただ単に和が自分を喜ばせようとしていると思った京太郎は、笑って話を流し家の場所を尋ねる。 「えっ・・あっ、は、はい・・あっ、あそこです」  和が指を挿したのは、歩いて五分もかからないであろう家。 「結構近くまで来ていたんだな」 「そ、そうですね・・すみません、言うのを忘れてしまって、あっ、こ、ここまで着たらもう歩きますね・・あれ、須賀君?」  それほど距離は無いからか、後は降りて自分で歩こうとする和だったが、京太郎に足を持たれたままで降りることが出来なかった。 「折角だから最後まで乗っていけって」 「あっ・・そうですね・・それではお願いします」  学校でる時にはあれだけ見られるのを気にしていた筈の和だが、何故か今は京太郎の言葉に逆らう気は失せ素直に言葉に従う、それどころか・・。 (もうすぐ、降りないといけないんですよね・・・)  あと少しで降りなければいけないと言う事実に、寂しさすら感じていた。  夜、パソコンの前でちらりと時計に目をやる和、モニターに表示されているのは今しがた終わったネット麻雀の結果だ。  それほど晩い時刻ではない、普段ならもう一局と言うところだが。 「今日はここまでにしておきましょうか、明日の事もありますし」  早々にログアウトしてパソコンの電源を落とす、特に考えず和がそんな結論を出したのはやはり足の怪我があるからだろう。  明日になれば痛みも引くかも知れない、そんな期待があるものの、やはり歩くのは遅くなってしまうのだろう、それならば何時もより早く出なければならないから、それだけではなく寝るが遅くなると治りまで遅いような気がしたからだ。 「ふふ、早く治さないと、須賀君に悪いですからね・・・あれ?」  笑みを浮かべながら、思い浮かぶのは家まで自分を背負ってくれた京太郎の顔、その事実に疑問を感じる和。 (・・・・あ、あれ・・ど、どうして須賀君が・・)  帰ってきた後で、メールを見て心配した優希や咲それに久やまこと言う麻雀部員から連絡があったにも関わらず、和の脳裏に最初に思い浮かんだのは京太郎であった。 「きっと保健室に連れて行ってもらったり送ってくれたりして、一番お世話になったからですよね・・・そうですよね、はい、明日も早いですし寝ますか」  無理やり自分自身を納得させた和は、明日の登校の事を思い出し早々にベッドに入る。 「明日・・もう一度須賀君にお礼を言わないといけませんね、おやすみなさい・・エトペン」  どこかすっきりしない気分を感じていた和だが、明日京太郎に話しかけることを決めると気持ちが楽になる感じがし、笑顔で抱きかかえたエトペンに挨拶をして目を瞑ると、精神的にも疲れていたのかすぐさま和は深い眠りに落ちた。 「それでは、行ってきます」  挨拶を済ませ和が玄関の扉を開けて外に出ると、そこには綺麗な青空が広がっていた。 「晴れてくれてよかった・・」  足を捻った上に雨では泣き面に蜂、ただでさえ歩き難いのに足元が悪ければ大変だと思い安心した様子で歩き出す和。 「昨日は・・この道を須賀君とおんぶされて・・・」  昨日の光景を思い出すと恥ずかしさも蘇る和、しかし不思議とその気持ちを不快だとは思わなかった。 「たまには・・ああいうのも、っていけません、あんなことが続いたら須賀君に迷惑が・・でも」  不謹慎な事を考えている自分を戒める和、ならば背負われなくても一緒に登下校する図を思い浮かべるが、直後に苦笑してしまう。 「無理ですね、確か須賀君の家とは離れていますから、ここで一緒になんて・・」  そもそも帰る方向が違うのだから、当然登校するときも道は別々で途中で合流位ならできるかもしれないが、家を出てすぐに合えるわけも無いと諦める和、だがそこに聞こえるはずの無い声が聞こえてきた。 「の~どか~」 (幻聴まで・・須賀君の事を考えすぎでしょうか?) 「お~~~い、和」  だが声は消えるどころかどんどん大きさをましてゆき、そして誰かがこちらに向ってくるのも見える。 「ま、まさか・・」  和がよもやと思っているうちに、きぃぃぃ・・とブレーキ音を上げて和の前で自転車が止まる、乗っているのは先ほどまで想像をしていた相手である京太郎であった。 「す、須賀君、どうして?」 「ああ、迎えに来た・・早く着きすぎたかと思ったけど、ちょうどよかったみたいだな、さぁ・・乗ってくれ」  自分の乗っている自転車の後部座席(と言っても荷物を縛りつけるところにクッションを敷いただけ)をぽんぽんと叩き乗るように言う京太郎、それで和も何故京太郎がここに来たのかを理解した。 「態々迎えに来てくれたんですか!?」 「ああ、昨日の今日だからどうかなって思って、さすがに今日も背負われるのは恥ずかしいだろうから、自転車を用意したんだけど・・嫌だったかな?」 「い、いいえ、そんな事ありません、た・・ただ驚いてしまって」(す、須賀君、態々私のために・・しかも自転車で・・)  一緒に登校できると思っていなかった和にとっては、態々迎えにしかも自分の事を考えて自転車まで用意してくれた事に、驚きはしたが嫌な気分になどなるはずも無い。 「そ、それに須賀君の家から、ここは通り道じゃありませんから・・・」 「良いから、嫌じゃないなら早く乗ってくれ、ああ、鞄とエトペンは前な」  遠回りさせてしまった事を気にする和だが、京太郎は気にするなと言わんばかりに後ろに乗るように急かす。 「あっ、は、はい、それじゃあ・・」  これ以上手間を掛けては悪いと思った和は、京太郎に言われるまま鞄とエトペンを前のかごに入れて、自転車の後ろに乗りこむ。 「それじゃあ、いくぞ、落ちたら洒落にならないからちゃんとつかまっていてくれよ」 「は、はい」  和は後ろから京太郎の腰に手を廻して、落ちないようにしっかりとつかまる。 (うっ・・相変わらず、柔らかい圧迫感が・・・)  昨日と同じく背中にむにゅっと大きな二つの感触を感じつつ、それを誤魔化す様にペダルを踏み込む京太郎。 (・・・やっぱり・・背中大きいですね・・)  和も和で、昨日とは少し違う視点で京太郎の背中を感じていた。 (それにしても、須賀君は・・・どうしてこんなに優しいんでしょうか・・)  お尻の下にあるクッションもずっと敷かれている感じではなく真新しい、おそらくは今朝敷いて縛り付けた物だろうと想像できた、はたして友達だから同じ部活の仲間だからと言って、ここまでしてくれるのかと和は考える。 (もしかして・・須賀君は・・私の)  そんな妄想染みた結論に達しようとした時、京太郎の一言で和は現実に引き戻された。 「そういや、昨日帰ったら衣から電話があって、怪我の事話たけど・・」 (あっ・・・そ、そうでした・・須賀君には天江さんと言う・・恋人が・・)  和は忘れていた、目の前の自分に凄く優しくしてくれる男性には恋人が居ることを、しかもその恋人は自分の友達だと言うことを。 (私は、な、何を考えているんでしょうか・・、だ、駄目ですよね・・こんなんじゃ、友達と失格ですね・・・)  友達の恋人である事を忘れあまつさえ自分の事を・・と想像してしまった事を反省し、自己嫌悪をする和。 「えっ~~と、やっぱり・・言ったら駄目だったか?」  黙っている和を見て、怒っているのかと思った京太郎は恐る恐る訪ねた。 「あっ、い、いえ・・その心配しているんじゃないかなって」 「ああ、気にしているみたいだけど、軽いから今度の日曜か遊びに行くまでには治っているだろうって言っておいた」 「それなら良いんですが、って・・あれ、須賀君に話しましたけ、天江さんの家に遊びに行くこと?」  昨日の話していないし、それ以前も和にそれについて京太郎に話した記憶は無かった。 「えっ・・ああ、優希に聞いたんだよ、今度の日曜に和が衣の家に遊びに行くって」 「そうですか・・」(そういえば、優希は前から須賀君の事が好きだったんですよね)  優希の名前に思い出すのは、衣が恋人と発覚した時の悲痛な泣き声。 (・・・何を考えているんでしょうね、私は・・・あの時は優希の味方にもならず天江さんとの事を祝福したにも関わらず、須賀君は天江さんと仲良く・・・あ・・あれ?)  衣と京太郎の事を考えると、もやもやとしたよく分からない感情が和の中に沸いて出た。 (なんでしょうか・・この気持ちは・・・け・・けど・・)  その気持ちの正体が何かは和には分からなかったが、気持ちの良いものではないのは確かだった。  昼休みは和の足を考え外で集まることはせず、また教室も席が塞がっていたため揃うことが出来ず、結局清澄麻雀部全員が揃ったのは放課後の部活動の時間になってからだ。 「それで、足は大丈夫なのね?」 「はい、もう痛みもありませんから、でも今日はあまり動かさないように思っています」 「それはよかったのぅ」  和から怪我の具合を聞いて、さらに目で見て確認して安心する久とまこ、ちなみに優希と咲は休み時間中に和を訪ねて先に聞いていたので、ここでは特に聞きにいくような事はしない。 「早く治って、一安心だじぇ!」「部長から聞いたときには、凄いびっくりしちゃったけど・・酷く無くてよかったね、原村さん」 「ゆーきも宮永さんも部長もまこさんも、ご心配をおかけしてすみませんでした、それと電話ありがとうございました、嬉しかったです」  心配をかけたことを謝り電話のお礼を言う和。 「当然だじぇ!」「迷惑かなって・・思ったんだけど、どうしても気になっちゃって」 「まあ、わしは一言だけじゃったがのぅ」「あら、言葉数じゃないでしょう、したって事実が大事なんじゃないかしら・・・あら、須賀君、どうしたの微妙そうな顔をして?」  女子部員が話し合う中、京太郎は一人疎外感を覚えて少し離れた位置で話し合いを見守っていた。 「あっ、いや・・俺はその、電話しなかったなって・・・はは」  他の部員達の話を聞いて、していなかった事を悔い苦笑いを浮かべる京太郎。 「えっ、そういう意味では、そ、それに須賀君は送ってくれたじゃないですか」 「その通りだじぇ、京太郎はのどちゃんを助けたんだから胸を張るがいいじょ!」 「そうだよ、少なくとも酷くならなかったのは京ちゃんのおかげだから、電話しなかった事なんて気にしなくても・・」 「和、優希、咲、ありがとうな」  和を始め優希そして咲が、すぐさま京太郎をフォローすると、京太郎は苦笑いを止めて、今度はちゃんとした笑顔を見せた。 「そうね、須賀君はよくやってくれたわ」 「そうじゃのぅ、痛めた足引きずって帰るのも大変じゃ、ところで京太郎、和を家までおぶって帰ったって言うのは本当かのぅ?」 「あっ、はい・・あれ、でも俺言いましたけ、おぶって帰ったって?」  メールでも話でも、和を送ったと言う話はしたが、どうやって帰ったかまでは話していない、仮に知り合いに会ったら、あの状況でも気がつくだろう。 「いや、和は有名じゃからのぅ、それが男子に背負われて送られていたら目を引くのは当然じゃ」 「ああ、私も聞いたじぇ」「そういえば私も、私は足を怪我したって聞いていたから、京ちゃんがそうやって送ったんだって・・」「そういえば私のクラスでもそんな話が・・」  どうやら京太郎が和を背負って帰っていたことは、既に学校ではかなり噂が広がっているようだ、それも当然か和は人目を引くスタイルに顔、それに部活での活躍なども相成って、この学園ではかなりの知名度があった。 「そ、そうなんですか・・・」「あはは・・」  背負われて送られたことが周知の事実だと知り顔を真っ赤に染める和、京太郎もまさかそこまで早く広く知れ渡るとは想像しておらず苦笑するほかなかった。 「中にはその二人が付きって・」 「そんな訳ないじゃないですか!」  まこが耳にした噂話を続けようとした瞬間、和が叫んでその話を止めた。 「の、和!?」「のどちゃん?」「原村さん?」「和?」「えっ・・えっ~と」  今まで普通に話していたはずなのに、和の豹変に和を除く全員が驚いてしまい妙な空気が流れる。 「・・・あっ、す、すみません、私・・大きな声で」  そんな雰囲気を感じ取った和は、叫んでしまったこと謝る。 「あっ、いや・・わしも悪かった、気持ちいい話じゃないからのぅ」  叫んだのは不快にさせたからだと考えたまこは、噂を話した事を即座に謝罪する。 「い、いえ・・た、ただ、須賀君には天江さんって言う恋人がいるのに、そんな噂をされたら・・須賀君が迷惑だと・・」(平気じゃ・・ないですよね・・) 「いや、俺は・・」  衣と京太郎の関係を気にする和はちらりと京太郎の表情を窺う、そんな京太郎が何かを答えようとしたそんな時、久がパンパンと手を打って全員の注意を自分に向けた。 「はい、終了、噂話はここまでよ・・いいわね皆」 「は、はい」×5  これ以上、この雰囲気を引っ張るのもどうかと全員が思っており、久の言葉がちょうど良い区切りになり噂の話はここで終わりを迎えた。 (和は恩人である須賀君に迷惑かかるのが嫌だったのよね・・) (はぁ、注意せんとのぅ、京太郎と天江との関係が悪くなるような事言うたら怒るのは当然じゃ・・)  久とまこは噂によって、京太郎と衣に迷惑が掛かるから和が怒ったと思っていたが、約二名は・・京太郎の恋人である優希と咲は違う事を可能性を考えていた。 (のどちゃんの京太郎を見る目・・たぶんだじぇ)(原村さん・・・たぶん京ちゃんの事を・・)  優希と咲が感じたもの、それは和自身が気付いていない、京太郎を見る時に瞳から漏れた熱く淡い色であった。 「あっ~和、ちょっと待ってくれ」  部活が終わり、一人で帰ろうとする和を京太郎が呼び止めた。 「す、須賀君・・その私に何か御用ですか?」 「良かったら送ろうと思ってさ、足治りかけなんだから、今痛めたら大変だろう?」  送る、その言葉に一瞬微笑む和、だが部活中にまこが話していた噂が和の笑みを曇らせ、躊躇させる態度をとった。 「でも、また噂が・・」(あんな、噂が広がっては須賀君にご迷惑が・・) 「俺は気にしないがな、言わせたい奴には言わせておけって、あっ・・でも、和が嫌なら止めておくけど」 「い、いえ、そ、その・・須賀君がご迷惑でないなら・・送ってもらいたいです」  最後の最後に和の本音がぽろりと漏れた、その言葉を受け京太郎は満足げな笑みを見せる。 「迷惑な訳ないだろう、自転車とって来るから校門で待っていてくれ」 「は、はい・・」  自転車を取りに行く京太郎を見送り、和は一人校門に向けて歩き出す。 (迷惑な訳が無い・・・ふふ、須賀君は優しいですね、良かった・・本当は一人で帰るのが凄く寂しくて、今日も須賀君と一緒ですね・・・)  噂話など気にしなくて良い、なんの話をしようか、また背中にもたれ掛かっても良いかな等、和は期待に胸を高鳴らせる。 「須賀君に恋人が居なければ、こんなに悩まずに帰れたんでしょうね・・・・えっ?」  校門に差し掛かった時、ふと口から漏れた言葉に和は我が耳を疑った。 「私は・・・何を・・・なんで・・そんな事を?」  一度は祝福した関係を無ければ良いと、そんな意味にすら取れる言葉、天江衣は友達で幸せならば良いはずなのにそれが無ければ良いと、そんな意味に取れても仕方ない言葉、何故そんな言葉を口にしてしまったのか和は自分自身が理解できない、だが。 「おう、お待たせ」 「す・・すが・・くん・・?」(あれ・・こ、これは・・この感じは・・ま、まさか・・)  和の目の前に自転車を押した京太郎が現れた瞬間、ドクと心臓が大きな脈打つ音と共に全身に衝撃が走り、和は何故そんな言葉を零してしまったのかを理解する。 「どうした和、何かあったか?」 「えっ、い、いえ・・なんでもありません、そ、それよりも行きましょうか、あまり話し込んでいると遅くなってしまいますし」  ぼうっとしている和を見て京太郎が何事かと尋ねると、和は慌てて首を横に振って、早く帰ろうと急かす。 「うん、ああ・・そうだな、よっと・・それじゃあ和も」  和の言う通りあまり遅くなったら大変だと思い、京太郎は先に自転車に乗り和に乗るように指示を出す。 「はい、それではお言葉に甘えて」  朝と同じように鞄とエトペンを前かごに入れ、和は自転車の後部座席に乗り込み京太郎の腰に手を廻してしっかりと掴んだ。 「それでは・・家までお願いします」「おう、任せとけ」  和に頼まれ京太郎は勢いよくペダルを漕ぎ出す、力強く自転車を漕ぐその背中に和は目が離せず、ゆっくりともたれ掛る。  引っ付いて感じる熱と微かだが確かな京太郎の匂いに、京太郎が近くにいると認識すると、和の胸の鼓動はたちまち早くなる。 (私、須賀君が好きなんですね)  あの時、見た瞬間に感じた答え、それが間違いないのだと和は改めて認識する、好きな人の側にいる、好きな人の自転車の後ろに乗っている、そう思うと和はとても幸せな気分に包まれる。  だが幸せな気分とは裏腹に、とても辛く悲しい事実に気付く和。 (・・・でも、須賀君には天江さんと言う・・恋人が・・)  友達の恋人を好きになる、それは和にとって裏切りに近かった、勝負ならば諦めないだろう、でもこれは始まる前に終わっている、友達を裏切れない和には京太郎は手が届かない、いや届いてはいけない人物だった。 (だから・・私はあんな事を・・・)  もしも二人が恋人でなければ、などと考えてしまった、そんな自分自身が和には許せなかった、だから決意する。 (諦め・・ないと・・・、須賀君と・・天江さんが・・気付く前に・・でないと・・私は)  もし二人に気付かれたら、きっと今までのような関係ではいられなくなる、そんな恐れが和を駆り立てた。 (なのに・・なのに、どうして・・・どうして、須賀君に触れていると、幸せで嬉しくなってしまうんですか・・・?)  決意すらあっさりと流れてしまいそうになるくらい、好きな人に触れているその事実が幸福を感じさせる。 (ごめんなさい須賀君、ごめんなさい天江さん、今だけは・・今だけは)  心の中で謝罪を繰り返しながら、家までの僅かな時間とても辛い幸せを、和は噛み締めるように味わうのだった。 「諦めましょう・・・そうしましょう・・・そうすべきです・・」  その言葉を繰り返すのは、家に帰ってきて何度目か和は覚えていなかった、少なくとも十回以上は繰り返していた、それでも京太郎の事が頭から離れない、それどころか繰り返せば繰り返すほど思いは強くなった気がする。 (どうすれば・・良いんでしょうか)  恋で思い悩んだことなど無い、だからどうすればいいのか分からない、考えた末に思いつくのは誰かに聞くと言う単純な答えだった、その時脳裏に浮かんだのは・・・一番の友達で、かつて同じ相手に想っていたであろう親友。  和は携帯電話を手に取り、メモリーから相手の番号を呼び出して、そのまま通話ボタンを押した、何度かのコールの後、繋がって相手の声が聞こえた。 『のどちゃん、どうしたじぇ?』  聞きなれた優希の声が聞こえて、それだけでとても気分が落ち着く和。 「ゆーき、すみません、こんな夜分遅くに」 『良いって、のどちゃんならいつでも大歓迎だじょ』 「ありがとうございます」 『でものどちゃんがこんな時間にかけてくるのは珍しいけど・・何か用事か?』 「は、はい、じ、実はですね・・えっ~と・・」  喜んでいる場合ではないと思い直し、和は少し悩みながらも話し始めた。 「そ、その・・ですね、仮にですがある女子生徒がある男子生徒を好きになってしまったんですが、その男子生徒には恋人がいて、その恋人は女子生徒の友達で、その場合女子生徒はどうすれば良いと思いますか?」  もはや仮定にする意味も無い気もしたが、自分と京太郎、そして衣の名前を出すのをためらう和、それを聞いた優希は少し考え、そして和に訊ねた。 『・・・その子はどうしたいんだじぇ?』 「えっ、それは・・」  優希の思わぬ言葉に戸惑う和、でも少し考えればそれは当然の事、どうしたいかが分からなければどうすれば良いのかなど分かる訳も無い。 『・・・諦めたいなら、目の前で仲良くしているところを見せてもらえばいいじぇ』 「そ、そんな事・・・」  黙りこんでいる和を見兼ねたのか、優希が口にした案はとても信じられないもの、だが完全に否定は出来ない、諦めるならばそれはもっとも有効的な方法に思えた。 (そんな事をお願い・・できるんでしょうか・・・)  想像する、じゃついて甘える衣を優しく抱きしめる京太郎、辛い、好きな相手が他の相手を見て自分を見てくれない、そして友達の幸せを素直に喜べない、和にとってそれもまた身が張り裂けんばかりに辛かった。  想像するだけでもこれほど、本当に見せられたらどうなるのか、そしてもう一つ心配があった、それは。 『それでも相手が好きなら・・・』 「!?」(な、なんで、どうして、ゆーきがその事を!?)  優希の言葉に驚く和、それもそうだろう、優希が口にしたのは和が心配していた事、まさにそれであったからだ、いつの間にか自分の口から漏れていたんだろうか、そんなことすら考えてしまう、でも、今はそれよりも重要なことがあった。 「そ、それでも・・・好きなら、どうすれば良いんですか?」  全神経を耳に集中させる、優希の答えを一文字たりとも聞き逃さないように、そして帰ってきた答えは。 『それでも好きなら、その男子生徒と恋人の前で好きって言えばいいじぇ、そうすればきっと上手くいくじぇ!』 「えっ・・・・」  和にとって信じ難い、いや考えられない答え。 「そ、そんな事できる訳無いじゃないですか、そんなことで上手くいく訳ありません!」  上手く行くところなど想像できないし、想像したくもなかった、どう進もうともその後に待つのは、衣と二度と友達に戻れない、最悪の場合どちらも失う。 『きっと大丈夫だじぇ!』  和に優希の真意はわからなかった、ただ自分の相談がぞんざいに扱われた気がした。 「簡単に・・・簡単に言わないで下さい、私は真剣なんです!」 『の、のどちゃん・・お、おちつ・』  我慢できず叫んでしまう和、突然の事に優希も電話の向こうで慌てふためき、話しかけようとしたが。 「もう結構です!」  和は怒りに任せて電話を切り、そのまま電源も切る。 「ゆーき・・・」  悲しそうに携帯電話を見つめて、それすらも堪れなくなった和は携帯電話を机に置いてベッドにゆっくりと倒れこんだ。 「・・・・はぁぁぁぁぁ」(どうすれば良いんでしょうか、どうすれば諦められるんでしょうか?)  天井を見上げて長い溜め息をつく和、当然直ぐに答えなど出ない。 「ゆーきは・・どうして・・・あんな冗談を・・」  どう考えてもふざけた冗談にしか聞こえなかった、でも・・それでも優希の言葉を全て思い出せば、どうにかなりそうなヒントはあった。 「・・天江さんと須賀君の・・・仲睦まじいところを・・・」  見るのは無理だろう、見せてくれとは恥ずかしくて言えないし、言いたくも無かった、だから考えた末に辿り付いた答えは。 「・・・話を聞く位なら・・・」  それが自分のできる最大の事だと思い、和はゆっくりと眼を閉じた。  その週の日曜日、和は咲と共に衣の邸を訪れた。 「良く来たなノノカ、咲、歓迎するぞ、さぁ入ってくれ、ここが衣の部屋だ」  二人を先導して、戸を開けて自分の部屋に招きいれる衣。 「はい、おじゃましますね、うわぁぁぁ、凄いですね」 「この前は入らなかったけど、衣ちゃんの部屋も大きいんだね・・・あっ、でもごめんね、私まで急に来ちゃって」 「あっ、す、すみません、人の家なのに私が無理に誘ってしまって」  衣と二人っきりになると、どうにも気まずくなってしまいそう和は、今朝になり急遽咲に連絡して一緒に来てもらった。 「よい、咲なら何時でも歓迎するぞ、もちろんノノカもな!」  突然の人数変更にも関わらず、増えることに関して文句は無いのか衣はずっとにこにこと笑っていた。 「ありがとう衣ちゃん」「ありがとうございます、天江さん・・・あっ、あれは・・」  お礼を言った直後、和の眼に留まったのは沢山のぬいぐるみの中でも一際目立つ、衣の恋人から送られたであろう大エトペンだった。 「京ちゃんからのプレゼントなんだよね、いいな・・」 「そうだ、これが大エトペン、京太郎から貰った最初のプレゼントだ、げーむせんたーでとってくれたんだ」  京太郎の話をする衣は、先ほどに輪をかけて嬉しそうで楽しそうに、その時の思い出を語る。 (幸せ・・そうですね、天江さん、やっぱり・・大好きなんですね・・・) 「羨ましいけど、広い家じゃないと置けないよね原村さん・・・原村さん?」 「えっ、あっ・・は、はい、そうですね、私はやっぱりこの子の方が・・」  衣との約束通り、自分が試合中に持っている愛用のエトペンを差し出す和。 「衣にとってはどっちも大切なエトペンだ、それがなければノノカと友達になることもできなかったからな」  にこにこと笑顔で話す衣を見て、和は胸が痛むのを感じた。 「そうですね・・この子のおかげで、私と天江さんは友達になれたんですよね」(でも・・今、私は・・そんな友達を・・・)  考えたくは無いが、自分が抱えてしまっている思いが、裏切りだと思えてしまう和。  和が思い悩んでいると、開いている扉がノックされてハギヨシがお茶とお茶菓子を持って入ってきた。 「失礼します、衣様、お茶の用意ができました」 「おっ、できたか、さぁノノカ、咲、一緒にお茶にしよう」 「うん、そうだね」「は、はい・・・えっ~と、エトペンはここで休んでいてね」  汚れが付かないように、自分の持ってきたエトペンを大エトペンの横に和はそっと置いた。 「お茶菓子が羊羹なので緑茶しようと思いますが、宮永様と原村様はよろしかったでしょうか?」  三人が席に着くと、それぞれ三人の飲み物について伺いをたてるハギヨシ。 「あっ、は、はい、そ、それでお願いします」「・・はい、お茶で」  咲はまだハギヨシに慣れていないのか少し緊張気味だったが、和は特に怯まず、むしろそれどころでは無いのか短い返事だった。 「畏まりました」  執事として衣の好みは把握しているため、衣には何をするか伺いをたてず、ハギヨシは緑茶を入れて、お茶菓子共にそれぞれの前に置いた。 「ごゆるりと」  全てが滞りなく終えると、ハギヨシはお辞儀をして部屋を後にした。 「ふぅ・・あはは、執事さんにお茶を淹れて貰うことなんて無いから緊張しちゃうね、原村さん」 「えっ・・あっ、そ、そうですね」  慣れていない事態に、咲は緊張を解そうと苦笑いを浮かべながら和に話しかけたが、反応は思わしくなかった。 (原村さん、やっぱり少し変だよね・・やっぱりアレだからかな・・)  いつもと様子が違う和、初めて衣の家に来た緊張かとも思った咲だが、どうも違う様に思え、ふと・・部活で噂話を聞いた時の和の様子が咲の脳裏に過ぎる。 「ノノカ、咲・・・どうした、もしかしてノノカも咲も羊羹は嫌いか?」  折角のお茶菓子を前に黙り込んでしまった和と咲を見て、衣は自分が用意させたものが駄目だったのかと思い表情を曇らせる。 「えっ・・ううん、違うよ、羊羹好きだよ、ただ、こんなお城みたいな・・っていうか、お城だとケーキと紅茶ってイメージが」「わ、私も・・宮永さんと同じで」  理由を話すわけにもいかない咲は、適当にそれらしい理由を言って誤魔化し、和もまたそれに乗っかって誤魔化す。 「そうか、それなら良かった・・・でも、京太郎にも似た事を言われたな、でも和菓子には緑茶だとも言っていたぞ」  二人が嫌がっていないことに安心した衣は、初めて京太郎を家に連れてきた日の事を思い出した。 「京ちゃんも似た事を・・ふふ、そっか、うん、確かにこのお茶美味しいね、この羊羹も」 (須賀君も・・ここで・・当然ですよね、恋人・・なんですから・・)  衣の口から出た名から想像するのは当然同じ人物だが、咲は同じような考えをしたことが嬉しいのか笑顔で羊羹を頬張り緑茶を楽しむ、一方の和は衣と京太郎が楽しく話している場面を想像すると、胸に微かに痛みを感じた。 (でも・・諦めるためにはちょうど良いのかも・・知れませんね、よし・・)  友達の恋人を好きになるという状況、本来ならば直ぐにでも諦めるべきなのだろう、それでも思いが消えないのは、思いが強すぎるのか、ただ単に諦めの悪い性分なのか、いずれにしろこれで終わる、そう思い決意をした和はゆっくりと口を開いた。 「・・あの、天江さん、その・・須賀君とはどう言うお付き合いをしているんですか?」 「それで、その時に貰ったぬいぐるみがこれだ、大エトペンと同じくらい大切な宝物だ」  雄弁な口調で、つまることも無く、聞いてもらえるのが嬉しいのか笑顔で楽しそうに京太郎との日々を語る衣。 「そうなんだ、良いな・・」 (楽しそうな話、とても幸せそう・・だから壊しちゃだめなのに、それなのに・・)  咲は時折相槌を打ちながら、時々羨ましそうに眼を輝かせていた、そして・・決意を持って聞き出した和は辛い気持ちを押し殺しながら黙って話を聞いていた、そしてそんな和の態度に衣も気付かない訳も無く。 「・・・ノノカは衣と一緒にいて楽しくないか?」 「・・・えっ、い、いえ・・・あっ」  突然衣に訪ねられて否定しようとした和だが、先ほどまで楽しそうに笑顔で話した衣が今にも泣き出しそうな表情をしているのを見て言葉に詰まる。 「衣は、衣は折角ノノカと友達になれたのだから、もっと仲良くしたいと思う・・だけど、ノノカは違うのか?」 「そ、そんな事・・・」 (わ、私は・・私は、何をしているんですか、こんな、こんなに天江さんを不安にさせて・・これじゃあ、友達失格ですよ・・・)  友達に嫌われるのを恐れて、恋を諦めるようと話を聞いて、それで諦めきれず想いが募って、それで・・・今、自分がしている表情が分からない和、ただ・・一つわかるのは、きっと酷い顔なのだろうと言うことだけ。 「ノノカは・・衣の事が嫌いか?」 「ち、違います、好きだから、友達で居たいから、だから須賀君の事を・・・あっ」  嫌っている、一番思われたくなかった事を聞かれて、思わず叫んでしまった和。 「ノノカ・・」「原村さん・・・」  衣にも、そして近く居たある程度予想していた咲もまた驚いていた。 「・・・すみません、私・・最低です、天江さんが居るのに、須賀君の事を好きになってしまって、諦めようと思っても諦めきれずに・・・それで、話を聞いて、それでも・・」  言葉と和の眼からは涙が零れ落ちる、抑えていたものが無くなり、全てをあふれ出すように語る和。 「諦め切れませんでした、すみません・・ごめんなさい・・」  涙を流して謝る和に、咲は何も言えず黙り込んでいた、だが・・衣は。 「ノノカ、衣はな・・京太郎と愛し合っているのだ、言葉だけでも思いだけでもなく、唇も体も性も重ねて・・」  耳を塞ぎたい衝動に駆られる和、だがここで耳を塞げば一生京太郎への想いが断ち切れない気がして、耳を塞がずに顔を伏せて衣の言葉を聞いていた。  衣が語る京太郎との秘め事は、和が想像していたものとは違い、抱かれる幸せや気持ちよさだけではなく、破瓜の痛みや精液の独特の味や匂いにも触れられた、生々しい内容であった。 「そうして京太郎と情交を交わした後は、全身全霊・・全てをとても満たされたとても心地よい幸せを感じられる」 (天江さんは本当に・・須賀君とそれほどだ・・なんて、それに今話している天江さんは幸せそうに・・・ここまで話してくれたんだから、もう・・納得ですね)  衣と京太郎は自分が思うよりも深い仲になっていたことに驚愕する和、それと同時にそこまで話させてしまったのだから無理やりにでも自分を納得させようとした。 「ノノカ・・・」  短く和の名だけを呟く衣、その言葉で何を問いたいのか和には理解できた。 「・・天江さんがどれほど須賀君の事を愛しているのかわかりました、だから・・私は・・あ、あ・・あき・・あき・・」  和はそれ以上言葉を続けられなかった、頭では納得した筈だったが、その答えを心が拒否していた、その証拠と言わんばかりに、ぽたりぽたりと涙がほほを伝い零れ落ちた。 (涙・・・私・・こんなにも諦めが悪かったんですね、それとも意思が弱いんでしょうか?)  叶わぬと分かった想いを抱えて、それでも諦めきれない和の目から流れる涙は、自分の弱さを嘆いてか、それとも想いの強さからか。 「ノノカは諦めきれないか、衣と京太郎の秘め事を・・情交の話を聞いても?」 「す、すみません、初めてだから・・なんて言い訳なのはわかります、わかっているんです、こんな想いを持っちゃいけないって、本当なら怒られて絶縁されても不思議じゃないのに、天江さんは丁寧に話してくれて・・それなのに・・」  既に全て知られてしまったので、飾るのも見栄を張るのも止めて、本音を口にする和。 「先ほどの衣の話を聞いて、どう思った・・・率直に申してみろ」 「羨ましかったです、凄く痛そうな部分もありました・・だけど・・・それでも、それを上回る幸せや喜び・・私も感じてみたいと思いました・・」  隠すことは欠片も無い、全て出し切った和は黙り込んだ、自分が出せるものは全て出した後は衣の意志に委ねるだけ、友達を止められてとしても仕方ないと覚悟をしながら。 「なら、衣と一緒に京太郎の恋人になるか?」 「は・・はい、えっ・・い、今なんて?」  反射的に返事をしたものの衣の口から出た言葉が信じられず、和は顔を上げる真っ直ぐに衣を見つめる。 「そこまで揺ぎ無い気持ちを持っているのならば、京太郎の恋人の輪に加わるかと・・問うたのだ」 「そ、そんな・・そんな事、できるわけ無いじゃないですか、それにそんな無茶苦茶事、須賀君だって納得しませんよ!」 「確かに、決定権は京太郎が持っている、だけどノノカなら大丈夫だと衣は思うぞ、咲もそう思うな?」 「うん、そうだね、今の言葉聞いていたら大丈夫だって思えてきたよ」  衣が笑顔で和の隣にいた咲を見ると、咲も笑顔でその意見に同意した。 「・・・宮永さんも、す、須賀君の・・ふ、複数人の恋人なんて納得できませんし、そんなオカルトありえません!」  オカルトではないのだが、それが分かるほど今の和は冷静ではない。 「和は衣や咲と、京太郎の恋人になるのは嫌か?」「原村さんは嫌かな?」 「えっ・・そ、そんな事は・・け、けど、そんな話信じられません・・」  諦めきれない想いを抱えて友達も恋もどちらも選べず、どちらも得られる選択肢があるのならば和にそれを否定する事など出来ようはずが無い。 「ならば良い、それなら今から京太郎にお願いしてきてもらう、京太郎が良いと言えばノノカも納得するのだろう?」 「えっ・・あっ、は、はい・・・それはもちろん」  衣と咲がここまで好意的にしてくれているのだ、完全信じられないとは言え、もしも京太郎が良いといってくれたらと考えれば、全ての問題は解決する、そう思えば和は首をたてに振る他無い。 「よし、今から電話して京太郎を呼んでくるぞ、待っていろ」  善は急げと言わんばかりに、衣は椅子から立ち上がって部屋を出ようとした。 「ま、まってくだ・」  心の準備が出来ていないのか衣を止めようとする和、その瞬間、ガチャと大きな音と共に戸が開いた。 「誰だ?」「ハギヨシさん?」「えっ!?」  三人が三人とも執事であるハギヨシが戸を開けたのかと思ったが、入ってきたのはハギヨシではなく別の男性、三人は驚いて相手の名を叫んだ。 「京太郎!」「京ちゃん!」「須賀君!」 「よ、よう・・衣、咲、和」  三人が見たのは、反省した様子で部屋に入ってきた京太郎であった。 「京太郎!」「おっと!?」  相手が京太郎だとわかると、驚くのも忘れ衣は部屋の入り口まで走っていって飛びついた。 「ど、どうして京ちゃんが、こ、ここに?」 「えっ~とな、実は・・一昨日、ここに泊まって、昨日帰ったんだけど忘れ物してな、今日とりにきて、それでハギヨシさんに聞いたら、咲と和が遊びに来ているって聞いて、それで一応声をかけようとしたけど、なんか覗いたら妙な雰囲気で・・」  衣を抱きかかえたまま、京太郎は咲と和が座っている所まで行き、短めにここにいる理由を話す。 「そうなんだ」「つまり京太郎は話を聞いたのだな?」 「えっ、ああ・・まあな、和がその・・俺の事を好きとか言うあたりから・・」  嘘を付くわけにも行かず、本当の事を素直に話す京太郎。 「須賀君・・」 「あっ、ごめんな和」  名を呼んだ瞬間謝られて、和はハンマーで頭を殴られるより凄まじい衝撃を受けた。 「そ、そうですよね、いきなり好きなんていわれても須賀君には、そんな気もないし、天江さんや宮永さんの様な素敵な恋人がいるのに・・・私なんて」 「えっ・・?」  和の表情は完全に悲しみに染まっていた、当然だろう今のタイミングでの謝罪が如何様な意味に取れるかと言えば、完全に断れた風にしか取れない。 「京太郎が悪いぞ・・」「そうだよ、あんなタイミング謝っちゃったら、勘違いされても仕方ないよ」  いくら恋人として京太郎の見方の衣と咲だが、流石に今のミスはいただけないのか非難の視線を京太郎に向けた。 「わかっているって、はぁ・・えっ~とな違うぞ和、今謝ったのは盗み聞きした事をだからで、和の告白の返事じゃないからな・・・」  自分でも最悪のタイミングに反省しながら京太郎は、先ほど口にした謝罪の理由を話す、すると和も驚いた様子で悲しい表情を止めて、じっと京太郎を見つめた。 「ほ・・・本当・・ですか?」 「ああ、だから変な誤解をさせてごめ・」 「ま、まってください、謝罪はもう良いんです、だ・・だから・・い、今から伝えることの答えを、お、教えてください!」  更なる謝罪を口にしようとした京太郎を、もう謝罪は聞きたくない和は慌てて止め交換条件を出す。 「・・・わかった」  和が何を言いたいのか京太郎も理解していた短く返事をすると、衣と咲も和が何をするのか理解して京太郎から離れる。 「す、少しだけ、まってください・・すぅ・・はぁ・・すぅ・・はぁ」(落ち着いて、ちゃんと伝えないと・・でも、断れられたら・・また謝られたら、ああっ、お、落ち着けません・・)  鼓動が高鳴る連れ不安も大きくなる、先ほどの勘違いがもしも現実になってしまったらと、悪い考えばかりが浮んできて落ち着く為の深呼吸も意味をなさない気がしてきた、 そんな時に和の眼に飛び込んできたのは、京太郎の後ろで和に笑いかける衣と咲、その笑顔を見ているとあれほど大きかった不安は一気に影を潜めた。 (そうですね・・天江さんと宮永さんが大丈夫と言ってくれたんです、不安がってばかりは居られません、それに・・この気持ちはちゃんと伝えたい、だから!)  大切な友達の言葉が、和に大きな不安消し去る勇気を与え、和は笑顔で京太郎の目を真っ直ぐに見つめて、口を開いた。 「私は須賀君の事が好きです、その・・だ、男性として好きなんです、須賀君はどうですか・・・私をあなたの恋人の一人にして頂けますか?」  大きな希望と微かな不安、一世一代の和の告白に京太郎もまた和を真っ直ぐ見て答える。 「俺も和が好きだぞ、これからは恋人としてよろしくな」  京太郎の答えを聞いて、しばらく黙り込む和は無言のまま、眼から大粒と涙をぽろぽろと零れさせた。 「の、和!?」 「あっ、す、すみません・・・天江さんや宮永さんに言われて、大丈夫だとは思っていたんですが、実際に恋人になれたかと思うとう、嬉しくて・・・ふふ」 「そうか・・なら良いんだけど」  和は感極まって溢れた涙を拭いてとても嬉しそうな笑顔になる、理由を聞いてその顔を見た京太郎もまた安堵して笑う、すると京太郎の後ろからパチパチと拍手が聞こえてくる。 「おめでとうノノカ!」「原村さん、よかったね・・おめでとう!」  衣は笑顔で、咲はもらい泣きをしたのか少し涙目になりながら、新たに自分達と同じ立場にたった和を祝福して歓迎した。 「天江さん、宮永さん、ありがとうございます、お二人の言葉があって私は・・ありがとうございました」  衣と咲に深々と頭を下げてお礼を言う和、そんな態度に衣と咲は顔を見合わせて苦笑した。 「それほど恐縮するな和、これからは和も衣達と同じく京太郎の恋人なんだぞ」「そうだね、だからそんなに畏まらないで」 「・・・わかりました、では・・よろしくお願いします、天江さん、宮永さん」 「これからも仲良くしようね原村さん」「うむ、もちろんだ、では・・まず、京太郎!」  恋人仲間として改めた挨拶を終えると、衣は京太郎に飛びついて顔を近づけてゆく。 「はいはい、わかりました・・お嬢様」  突然の事に関わらず、京太郎は直ぐに衣をリクエストに答えて、優しく唇を重ねる。 「ふふ・・やはり接吻は良いな」「あっ、衣ちゃん・・良いな、私にもして・・京ちゃん」  重なり合っていた唇が離れると衣は嬉しそうに微笑む、それを羨ましそうに見ていた咲はすぐさま京太郎に近づいてキスを求める。 「ああ、良いぞ」  積極的に求める咲に答えて、今度は咲と唇を重ねる京太郎。 「あっ・・」(ふ、二人とも、あ、あんなに簡単に唇を・・・・キスか良いですね、私も・・で、でも・・こ、恋人になったばかりで、は、はしたなくないでしょうか・・)  して欲しいと思う心と、行き成り求めて断られたらどうしょうと思う心、その二つがぶつかり合い、どうしても衣や咲の様に積極的に持てる事はできない和。 「ふふ・・京ちゃんのキス・・やっぱり良いな」「ああ・・うん?」  咲とのキスを終えた京太郎は、羨ましそうに見つめる和に視線に気がついた。 「衣、咲、ちょっとごめんな・・」「わかっている」「そうだね」  京太郎が何を思ったか理解している衣と咲は、京太郎から離れて和のほうを見た、自由になった京太郎もまた和を見る。 「どうした和?」「うっ、わ、わかりませんか・・・その・・」  ちらちらと京太郎の唇を見る和、その視線も何をして欲しいかも分かっている京太郎はおかしそうに笑った。 「い・・意外と意地悪なんですね、須賀君って・・・」 「悪い、和・・キス・・するぞ」  ほんの少し恨めしそうな眼を向けられて軽く謝った京太郎が、ゆっくりと和に顔を近づけてゆくと、それに答えるように和は無言で眼を瞑り、二人の唇が重なり、そして離れる。 「どう・・・だった?」 「は・・はい、須賀君の・・唇の暖かさと・・それにか、感触と・・えっ~と、あとはその・・す、すみません、上手く説明できなくて、け、けど、・・う、嬉しくて顔や胸が温かくなって、し、幸せです」  念願の恋人になれ、そして初めてのキスに感動のあまり上手く言い表せず戸惑う和だが、京太郎にはしっかりと和の喜びが伝わっていた。 「京太郎、もう一回・・してくれ、今度はあっちを・・」「京ちゃん、私も・・・」 「わかった・・和はそこで見ていてくれ」  余韻に浸り自分の唇を指でなぞっている和はこくりと頷き、京太郎が衣にもう一度キスをするのをじっと見ていた、先ほどと同じように二人の顔が近づき唇が重なる、だがそこからが違っていた。 (あっ・・、こ、これは・・天江さんが言っていた、・・深い接吻・・・)  静かな室内に微かに聞こえる、液体が混ざり合うような音、時間も内容も先ほどの唇を重ねるだけのモノとは違う濃厚なキス、衣は頬を染めてうっとりした表情で京太郎から離れる、するとすぐに咲が京太郎に近づいて唇を重ね、衣と同じように深く濃厚なキスを交わす。 「はぁはぁ・・」(天江さん、あんなに気持ち良さそうに・・宮永さんも、そ、そんなに凄いですか!?・・いいなぁ・・)  本人も気付かぬ内に和の息遣いが荒くなっていた、痛む嫉妬の気持ちは無く、ただ目の前の光景を羨ましそうに見つめていると、キスを終えて咲の唇がゆっくりと京太郎の唇から離れた、このチャンスを逃すまいと和は一歩踏み出す。 「す、須賀君・・その、わ、私にも・・してくれますか・・・?」(私・・凄いことを・・)  一度してしまったからだろうか、それとも他の恋人達がしているのがあまりに素敵に見えたのか、和は自分で驚くほど簡単にキスを求めていた。 「もちろん、俺は最初からする気だぞ」「あっ・・・」  京太郎の返事に嬉しそうに声を上げる和、目を瞑り先ほどと同じように京太郎の唇が和の唇に重なり、そして・・唇を割って京太郎の舌が和の口内に侵入して、舌が動く。 「んん!?」(こ、これが・・本当に全然・・ち、違いますね・・、こんなに凄いなんて・・、意識が全部・・もっていかれそうな・・・)  ある程度の覚悟はしていた和だが、それをあっさりと上回ってしまうほどに凄いキスに、緊張も意識も全てが溶けてなくなってしまいそうな感覚を覚える。 (あっ・・駄目です・・須賀君にも・・気持ちよく・・)  されるがままでは駄目だと思った和は、舌を京太郎の舌に絡めて・・京太郎の口内を舐めようとしたが、やはり初めて勝手が分からず、さらに予想以上の衝撃に直ぐに抵抗も出来ずなすがままになる。 「・・・ふぅ・・おっと、大丈夫か?」「はぁ・・はぁ・・はぁ・・なん・・とか」  唇が離れると同時に和は荒い息を吐きながら崩れ落ちる、京太郎は和を優しく抱きとめて笑いかけた。 「原村さん、京ちゃんのキスにめろめろだね・・」「あの凄いのを受ければ至極当然、京太郎、ノノカをベッドに運んだ方が良いのではないか?」 「えっ、ああ・・そうだな、和少し体勢を変えるぞ・・」「はぁはぁ・・はい・・」  このまま運ぶのも大変なので、京太郎は和をお姫様抱っこして衣に言われたとおり部屋の片隅にあるベッドまで運ぶ。 「よっと、大丈夫か?」「はい、お姫様抱っこ・・少し恥ずかしいけど、嬉しかったです・・・」  運ばれた和はベッドに仰向けで置かれて、照れくさそうにはにかむ。 「そうか・・で、ここに運んできたのはやっぱり・・するんだよな・・」  和を休ませる意味合いもあるのだろうが、それだけは無いと思っていた京太郎は運ぶように言った衣に訪ねた。 「衣は・・したいぞ、さっきの接吻で・・」「私も・・京ちゃん・・駄目かな?」  潤んだ人見で京太郎を見つめる衣と咲、どちらも先ほどのキスでスイッチが入ってしまったようだ。 「駄目な訳ないだろう、俺もあんまり我慢できそうに無いからな、和は・・」 「私も・・し、したいです、天江さんから聞き及んだ事、私も話のように抱かれ・・須賀君の暖かさを感じたいと、その時は許されないと思いました、でも今は可能だから、許されるな・・して・・ください」  和はゆっくりと体を起こして懇願する、衣や咲同様キスで気持ちが高ぶったのもあるのだろうが、やはり先ほど衣から聞き及んだ事は魅力的に感じていたのだろう、届かぬと思ったものが届く位置に来た、叶わぬと思っていた事が叶うのだ、望むのは当然、願うのは必然。 「わかった、じゃあ最初は和からで良いか」  和の願いを受け、更に今日が初めての事もあり和を最初にと提案する京太郎。 「えっ、わ、私は最後でも・・み、宮永さんと天江さんの方が先輩で・・」  想いを遂げられるだけでも十分すぎると思っていた和には、先に恋人になった衣や咲を差し置いてまで自分がしてもらっても良いのかという迷いがあった、しかし。 「私は何番目でも良いよ、折角だからしてもらった原村さん」 「そうだな、心底より懇願し・・あの話を聞いても逃げぬ、諦めぬ想い、想いを告げて今直ぐにでも結ばれたいと思うは必然、衣も異論は無いぞ」  恋人として先輩である二人は、その狂おしいほどの気持ちを理解できるのか、京太郎の意見を採用して順番を和に譲る。 「宮永さん・・天江さん・・ありがとうございます、・・す、須賀君・・いいえ、きょ、京太郎さん・・とお呼びしても良いですか?」  二人の優しさに甘えることにした和は、京太郎に名前で呼んで良いかどうかを確認する。 「ああ、衣みたいに呼び捨てでも良いけど・・」 「い、いいえ・・京太郎さんと呼ばせてください、それであの・・京太郎さん、わ、私を・・だ、抱いていただけますか?」  呼び捨ては気が引けるのか、それとも照れくさいのかは不明だが、名前で呼ぶ事を良しとされた和は、嬉しそうに京太郎を名で呼びながら照れくさそうに情交を願いでる。 「ああ、じゃあまずは・・脱がないと・・・」「じ、自分で・・あっ・・」  自分で脱ごうとした和だが、京太郎はそれをキスで止めて、和の上着を脱がしてシャツのボタンを順番に外してきて、全ての終えるとシャツをゆっくりと脱がせ唇を離し、和の体を・・一番目立つ部分をじっと見つめる。 「あ、あのぉ・・・おかしいですよね・・こ、こんな胸・・」「えっ、いや・・そんな事無いぞ」  特に京太郎が何か言った訳ではないが、自分の胸にコンプレックスを持っているのか和は両腕を使い自分の胸を覆い隠す。 「和は自分の胸嫌いか?」 「あ、あんまり好きじゃありません・・・お、男の人にたまにじろじろと見られますし、服や下着も探すが大変ですし、肩もこりますし・・はぁぁ、それに・・須賀君は、その可愛らしいほうが・・」  良い思い出が無いのか、和の口から出てくるのは嫌な思い出ばかりで、鬱陶しそうに自分の胸を見てため息をついて、衣と咲の胸に視線をやり羨ましそうに見つめる。  嫌味と映りかねない和の行動、人から憧れられる事もある胸だが当人にとっては邪魔以外の何物でもない・・だが、本当に一番重要な事は。 「俺は良いと思うんだな和の胸」 「ほ、本当ですか!?」  京太郎の一言で和の意識は急変する、当然だろう和にとって一番重要なのは恋しい人が、京太郎が好きか嫌いかその一点だから、和にとって今の一言は衝撃的だった。 「私も・・あんまり大きくないから喜ばせられないかなって・・思ったけど、京ちゃんが喜んでくれたから、凄いく嬉しかったな・・」  京太郎の意見を後押しするように、自分と京太郎の情交の時の事を思い出した衣と咲は頬を染めた。 「って、言うわけだ、和の胸大きくて魅力的だぞ、あっ・・でも和が自分の胸嫌いなら・・」 「あっ、いえ・・その、京太郎さんが気に入ってくれるなら・・私は・・」  魅力的、京太郎の発したその言葉はまるで魔法のようで、和は好きではなかった自分の胸が徐々に好きなってくる、それと同時に目の前にいる恋人にもっと自分を見て欲しいともっと興奮させたいと喜んで欲しいと、そんな欲も和の中に生まれてきた。 「京太郎さんが・・喜んでくれるなら・・もっと見てください・・」  和は胸を隠している両腕をどけると、後ろに手を廻して止め具を外し、自分の胸を隠していた布を脱ぎ捨てると、圧倒的大きさの和の乳房が京太郎の前に晒された。 「ごくっ・・・すげぇぇ」  唾を飲み込む京太郎、和の乳房は大きいだけではなく形も美しく崩れていない、本なので巨乳や爆乳などの写真は見たことがあったが、それよりも圧倒的に綺麗で思わず見とれてしまうほどのモノ。 「おおっ、ノノカの胸は本当に大きいな西瓜の様だ、衣とは大違いだ」 「改めてみると、本当に大きいね原村さんのおっぱい・・京ちゃん、あんなに見ているし・・やっぱり大きい方がいいのかな?」  衣と咲もまた、改め見た和の胸の大きさに驚き、自分たちとの違いに衝撃を受けていた。 「和、触っても良いか?」 「す・・好きにしてください、その・・京太郎さんに・・もっと、好きになってほしいですから・・あっ、で、でも・・優しくしてくれると・・嬉しいです」 「わかった・・それじゃあ、お言葉に甘えて・・痛かったら言ってくれよ」  京太郎はゆっくりと和の左乳房に右手を伸ばしてゆっくりと触った。 「ひゃぁ・・ああ、だ、大丈夫です、つ、続けてください、ちょっと・・びっくりしただけですから・・」  手の感触に驚いて声を上げてしまう和、動きが止まった京太郎を見て訳を話して続けるようにお願いをする。 「そうか・・わかった・・」  開いている手も右の乳房に置いて、ゆっくりと感触を味わうように揉み始める京太郎。 「あっ・・ひゃぁ・・」(な・・なんですか、これは・・この感じは・・ゆーきに揉まれるのと・・ぜ、全然違います・・勝手に声が・・)  京太郎に揉まれるのも、優希にふざけて胸を揉まれた時と同じ様なものだと予想した和だが、同じ揉まれるでもまったく異質であり別物、京太郎の指が動くたびにぴりぴりとした感覚が和の体の芯を刺激するようで、抑えようとした声も口から漏れた。 「ふぁぁ!?・・あっ・・だ・・だめぇ・・こえ・・おさえれ・・」 「別に声抑えなくても良いんだぞ、感じたままに・・口にすれば・・」 「で、でも・・いくら気持ちよくても・・その、そんなの、は、はしたくないですか?」  胸を揉むのを一旦中止した京太郎が和の耳元で囁くが、育った環境か和はあまり声を上げることを良しとしないようだ。 「ノノカ何を言うか、恋しい相手に・・京太郎に触れているのだぞ、しかも愛撫だ、気持ちよくない訳が無いだろう・・声を上げてしまうのも普通の事だ!」 「普段なら、そうかもしれないけど・・今はいいいと思うよ、衣ちゃんの言うことももっともだし・・今ここには私たちしか居ないから、それに折角京ちゃんとしているんだから・・全部見て、全部愛して欲しいって思わない原村さん?」  いつの間にか和の左右に座った、衣と咲から言葉で和の心は揺れ動く。 「そ、それは・・そうですが」(全部・・見せて、全部・・愛して、私が声を上げても京太郎さんは・・) 「衣や咲の言う通り・・それに俺は和の声が聞きたいな、自分が下手かと不安になるから」 「京太郎さん・・わかりました・・あっ、で、でも、その・・・」  やはり最後は京太郎の言葉で決した和は、声を抑えるのを止めると口にした・・が直後に少し不安そうな表情でお願いを付け加えた。 「大きすぎても・・嫌いにならないで下さいね、京太郎さんの手はき、気持ちよすぎますから・・」 「了解、いっぱい和の声を聞かせてくれ・・」  和の可愛らしいお願いを聞き入れて京太郎は、再び和の胸を揉み始めた。 「ひゃぁぁぁ!!、つつぅ・・つよすぎますぅぅ!!」(さ、さっきよりも、もっと!?)  我慢するのを止めたからか、和は先ほどよりも快楽を感じ、その事に戸惑う。 「・・和の声・・可愛いな、それに凄い感触だ・・」  今までの経験から、優しく壊れ物を扱うように軽く揉み解すつもりでいた京太郎だが、和の胸は今まで揉んできたものとは違い、弾力がありある程度力を入れなければ簡単にはじかれてしまいそうになる、 だからと言って硬すぎるわけでもなく、指が吸い込まれそうな一面も感じさせた。 「ひゃぁぁ!・・そ、そんなぁぁ・・もみほぐされたらぁぁぁ!!」  一心不乱に揉む手には力も入り動きも素早くなり、和に更に快楽を与える。 「ノノカ、とても気持ち良さそうだな、エッチな顔をしているな・・ふふ」 「はぁぁ、良いな・・原村さん気持ち良さそうで・・・京ちゃんも楽しそうだし」  和の感じる姿を見て自分のことのように喜ぶ衣と、力強く京太郎にもまれる胸と顔を交互に見て羨ましそうに呟く咲。 「あっ、だ・・だめ、天江さん・・宮永さん・・みなひゃぁ!・・でぇ・・ください」  乳房を揉まれる快楽に酔いながらも、感じている姿を見られるのは恥ずかしいのか、見ないように衣と咲に願い出る和。 「良いじゃないか、もっと・・感じているところを見せてやれよ・・」  そう言って京太郎は揉む手を止めず、和の左乳房に顔を近づけて・・口を開くと左乳首を銜え込み・・・そして。 「ひゃぁ!・きょう・・きょうたろうさんな、なにを!?」  先ほどまでとは違う感触に驚いた和は、京太郎が自分の片方の乳首を銜えて入るのを見て更に驚き、いったい京太郎が何をしようとしているのか分からなかったが、直後その答えを身をもって知ることになった。  ちゅゅゅゅゅゅ 「ひっぁ!?」  乳首を吸われて和は全身に強い電撃が走るような快楽を感じて、慌てて京太郎の頭を掴んだものの、その程度で京太郎を止められるわけも無く・・和は一気に限界に達した。 「すっちゃらめぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」  声を上げて和は絶頂に身を震わせながら仰け反り、京太郎ごと後ろに折れ込む。 「はぁ・・はぁはぁ・・・はぁ・・」「う・・うんぐ・・・・うんぐぐ・・」  ぎゅっと抱きしめられた京太郎は、和の大きすぎる胸に押し付けられて息が出来なくっていた。 「ノノカ、京太郎が苦しそうだぞ!」「原村さん、手、手!」 「はぁ・・はぁ・・へぇ・・あっ!」  淀む意識の中、衣と咲に指摘された和は慌てて手を離して京太郎を解放した。 「ぷはぁ・・はぁ・・はぁ・・」 「す、すみません、京太郎さん・・わ、私・・つい、た、大変なことを・・」 「良いって・・その、調子に乗ってあんなことした俺の責任だしな・・気にするなって、俺こそ悪かったな、和が感じている姿が可愛くて・・・ついな・・」  謝りながら仕出かしたことを考えて落ち込む和を、京太郎は責める事無く頭を撫ぜて慰めた。 「か、可愛い・・お、お世辞でも嬉しいです、・・・あっ、そ、それで・・・京太郎君、わ、私の胸はどうでしたか?・・・その、へ、変じゃありませんでした・・・?」  可愛いという言葉に嬉しそうににやけながらも、やはり京太郎の感想が気になる和、大丈夫だとは思ったが、普通よりも大きい胸を持つが故か変で無いかという心配もどこかにあった。 「変じゃないよ・・柔らかくて触っていても凄く気持ち良いって言うか・・落ち着くって言うか、ずっと・・・ってのは言いすぎだけど、手が痺れるまで揉んでいたいと思ったし、凄く興奮したぞ・・」 「ほ、本当ですか・・?」  京太郎に言葉を疑う和、京太郎の事を信じていない訳ではない、ただ心の中に渦巻く不安が消えない、果たして今までコンプレックスに感じていた自分の胸が京太郎を喜ばせたのかどうか、そんなマイナス的思考が浮んでしまう。 「・・す、すみません・・・京太郎さんの言う事が信じられないわけじゃないんですが・・その・・すみません・・」 「いや、和が悪いわけじゃないんだが・・そうだな・・どうすれば・・」(和、結構自分の胸を気にしていたんだな・・・大きは大きいなりに悩みがあるか・・)  和の悩んでいた気持ちを考えれば、京太郎も特に責める気にはなれない、むしろどうやって和の胸に興奮した事を表そうか迷っていると、隣で見ていた衣があっさりと解決方出した。 「何を惑う京太郎、京太郎のズボンを狭そうに持ち上げているそれこそが、ノノカの胸に興奮していた何よりの証拠であろう?」 「あっ、そうか・・・そうだな、ありがとう衣・・和、今から俺が興奮した証拠を見せてやる」  衣のアドバイスを聞き、京太郎は自分のズボンに下着ごと全て脱ぎ捨てた。 「・・・きゃぁ!?・・・そ、それは・・・そ、それが・・京太郎さんの・・」  突然目の前に現れた凶器的なモノに声を上げる和、だが直ぐにそれが衣の話の中で出てきたモノと一致し、今度はそれを・・京太郎の固く勃起したペニスをじっと見つめた。 「はぁ・・そうだ・・ふふ、これを見れば他の説明不要、京太郎が興奮したという何よりの証拠だ」 「京ちゃんの・・・はぁぁ・・何時も通りすごく硬そう、ねぇ・・原村さん、原村さんが京ちゃん興奮させちゃったんだよ、だからこんなに・・」  京太郎のペニスを眺めながら、艶かしい溜め息をつきながら妖しく微笑む衣と咲、和もじっと眺めていた、自分が京太郎を興奮させたと言う確かな証拠を、喜びを噛み締めるように。 「京太郎さん、・・本当に私に興奮してくれたんですね・・、す、凄く嬉しいです・」 「だから言っただろう和の胸は気持ちよくて、凄く興奮したって」  不安が消えてようやく笑顔を見せた和に、京太郎も笑顔でもう一度・・興奮したことを告げた。 「は、はい・・い、何時までも見ていたいくらいです・・・けど」  人間願いが叶えば欲が出る、京太郎を興奮させて喜んでいた和だが、さらにもっと満たしたいし、満たされたいという欲望が沸々と沸いてきた、だがそれは京太郎も同じで。 「見られているだけじゃ辛いな・・、俺はもっと和を感じたいし・・繋がりたい、もっと深く・・もっと強くな」  言い難そうにしている和に代わり、和の体を心を求める京太郎、当然願いを同じくする和はこくりと頷き、自分で下半身に手を伸ばしてスカートと下着をゆっくりと脱いでゆく。 「私も京太郎さんと・・同じ気持ちです、ですから・・全部見てください、私の全てを・・」  一糸纏わぬ生まれたままの姿を京太郎の眼前に晒す和、お尻もふっくらしており、肌も綺麗で大きいな胸にも負けない和の魅力がそこにはあった。 「ああ、全部見せてもらうよ・・でも、和だけ裸ってのはずるいよな・・・よっと」  京太郎は上着を脱ぎ捨てて、和と同じく全裸になった。 「こうした方が、よく・・感じられるだろう」 「あっ、そうですね・・・」  二人の仲をさえぎるものは一切無くなり、京太郎は和の下半身に手を伸ばした。 「触るぞ・・」「はい・・」  京太郎は何処とは言わないが、和には何処かわかった、下腹部に触れた京太郎の手が徐々に下がっていって和の大切な部分に触れた。 「あっ!!」(きょ、京太郎さんが・・わ、私の・・・) 「ここも・・綺麗だな・・」  適度に生えた陰毛に適度に隠れた和のおま○こ、愛撫しながら覗き込んだ京太郎は少し意地悪な笑みを浮かべていた。 「あっ、そ、そこは・・あんまり・・見ちゃ・・い、いやぁ・・」  全て見て欲しいといった和だが、さすがにそこをまじまじと見られるのは恥ずかしかったのか、抗議・・というにはあまりに弱々しい抵抗をしようとしたのだが。 「ひゃぁ!?」  そんな抵抗も、京太郎が和の膣内に指を少しだけ入れるだけでかき消された。 「だいぶ・・濡れているな・・って、さっき胸だけでイッたんだっけ・・」  胸を弄られて達した和のおまんこは、愛液で濡れていて指を動かすたびにくちゃ・・くちゃと嫌らしい音をたてて、京太郎の指を締め付けていた。 「は、はい・・準備は・・あれで、で、ですから・・京太郎さん、私は京太郎さんと繋がりたいです・・」 「ああ、わかっているよ・・」  準備が整ったと判断した京太郎は指を引き抜き、その代わりに硬く勃起していたペニスを和のおま○こに押し当てた。 「あっ、あのぉ・・なるべく我慢します、ですから・・最後まで・・」  痛みに不安は無い、でも痛ければきっと口をついてそれが外に漏れてしまう、そして気にした京太郎が止めてしまう、嫌な想像をしてしまった和はなるべく我慢するつもりでいたのだが、緊張した面持ちの和に京太郎は軽くキスをする。 「我慢しなくてもいい、本当に駄目なときは『止めて』って言ってくれ・・それ以外は止めないから、だから痛いって言っても良いんだぞ、たぶんその方が楽だからな・・」  キスをされ言葉を掛けられると和の不安は、京太郎への信頼で掻き消された。 「わかりました、それでは京太郎さん、その・・私の処女を貰っていただけますか?」 「ああ、貰うな・・和の処女」  そう言うと京太郎はペニスを和のおまんこに押し当てて、ゆっくりと挿入してゆく。  くちゃ・・くちゃ・・ 「京太郎さんのが・・私の・・」(あんまり・・痛くない・・)  確かな感触を残しながら、和の膣内を掻き分けるように進む京太郎のペニス、だがそこには話に聞いて覚悟をしていた痛みは無い、このまま何事も無く奥までと思っていた和だが、ふとしたところで京太郎の動きが止まる。 「今から痛くなるけど、一気にいくか・・それとも、ゆっくりいく?」 「ゆっくり・・お願いします」(こ、こからが・・本番なんですね・・)  止めたのは奥に行き着いたわけでも、全部入ったわけでもない、これからが本当に結ばれる時なのだと覚悟を決めて答えた和。 「わかった」  京太郎は短く返事をすると、少し力を入れて侵入を拒む和の処女膜を突き破る。  ぶちゅ・・じゅぶっ・・ 「うっくはぁぁ!?」(こ、これが・・は、破瓜の・・いた・・)  激痛に眉を顰めながらも、苦痛を口に出さず京太郎のペニスを迎え入れる和。 「ノノカ・・痛かったら声にしても良いんだぞ」「そうだよ、京ちゃんなら最後までしてくれるから・・」  側で見守る衣、そして咲、二人は苦痛を声に出さない和を心配そうに見つめている。 「わ、私は・・いだっ!!・・痛いです・・!!・・えっ?」  ようやく和が声を出すと、京太郎は和の頬にキスをして慰める。 「おまじないだ、声を出せば・・少しは楽になるだろう?」 「は、はい・・か、かなり・・それにおまじないも・・」  おまじないと声を出したおかげか、和は随分と楽になる感じがした、そして。  じゅぶ・・・ずぶっ・・ 「これで、全部入ったぞ・・頑張ったな和」 「はい、京太郎さんの・・お、おちんちんが・・私の膣内にあります・・・ううっ、う、嬉しいです・・」  京太郎のペニスが奥まで届いていると理解すると、和の眼から涙がほろりと零れ落ちる。 「そんなに痛かったか?」  心配して声をかける京太郎だったが、和はゆっくりと首を横に振った。 「いえ、そうではなく、その京太郎さんが私の膣内にちゃんとあるんだって思うと、つい・・」  一度は叶うぬから、叶えてはならぬからと諦めかけた想い人と結ばれ、それ感じた嬉しさからくる涙。 「そうか、泣くほどか・・そこまで想われると、俺も嬉しいぞ・・けど、これで終わりじゃないんだぞ」  涙を流すほど喜ぶ和を見ていると、京太郎も嬉しい気持ちになるが、これで終わりではない・・むしろここからこそが本番のだ、衣の話を聞いていた和もまた当然知っていて、泣いている場合では無いと涙を拭う。 「はい、知っています・・痛みは・・だいぶ引きましたから、もう大丈夫です、だから・・今から沢山私を・・感じてください」 「ああ・・沢山感じさせてくれ、そして・・一緒に気持ちよくなろう」  キスを交わすと、それが再開の合図になり、京太郎はゆっくりと腰を動かして始める。  じゅぶ・・じゅぶ・・・じゅぶ・・ 「くっ!・・まだぁ・いたっ!」(だ・・だけど、この痛みは・・)  まだ破瓜の痛みが残っており、初めての事で膣内もまだ京太郎のペニスには慣れておらず和の身に痛みが走る、だがその痛みも京太郎と結ばれた証拠だと、結ばれている証だと想うと愛おしいもの思えてくる。 「和・・もう少し・・頑張れ・・・」  京太郎は動きを止めずに、和の乳房に手を伸ばして揉み始める。 「ひゃぁ!?・・いたぁ・・けど・きもちいい・・くぅ!」  胸を触られる喜びとペニスを挿入される喜び、そして破瓜の痛みはまだ終わらず、苦痛と快楽が波のように交互に和を襲う。 「きょ・・京太郎さん!・・ど、どうですか・・私の膣内は・・?」 「ああ、和の膣内・・俺のを絞り上げるみたいに・・締め付けて・・気持ち良いぞ、感じるだろう・・こんなに強くなぁ!」  不安になりがちな和に、証拠を見せ付けるようにペニスを突き上げる京太郎。  ズブッズブッズブッ!! 「ひゃぁぁぁぁぁ!!、は・・はい・・かんじますぅ・・いだい・・くらいにぃ・けどぉ!・・と・・とってもうれしく・・おもいますぅ!」  耳で、そして膣内で京太郎が自分で気持ちよくなってくれていると思った和は、嬉しくなり声を上げて喜ぶ。 「和の胸凄いな・・・滅茶苦茶揺れているぞ・・」  京太郎が突き上げるたびに、和は大きく体を震わせ乳房もその動きに合わせて大きく揺れ動く。 「あぅ・・す、すみません・・おおきくってぇぇぇ!!」 「謝ることは・・無いって!、俺は和の大きい胸・・大好きだぞ!」  ペニスを打ちつけるように、和の一番奥を叩きながら、和の両乳房を力強く揉む京太郎。  ぎゅゅ・・ズブッズブッズブッズブッ!!。 「くはぁぁぁ!、そ、そんなに・・いっしょなんてぇぇ!!?」  痛みもあるはずだが、感覚が麻痺してきたのか、それとも痛みすら快楽に感じるようになったのか、力強く量乳房を揉まれた筈の和だが、もはや快楽しか感じなくなっていた。 「きょ・・京太郎さん!!・・わ・・わたし・・」  和が何を言いたいのか、何を言おうとしているのか、京太郎には理解できた・・なぜならば。 「和・・凄くエッチな顔しているぞ、・・・感じている顔も可愛いな」 「は、はい・・はずかしいですけどぉぉ!!・・き、きもちよすぎてぇぇぇ!!」  恥ずかしいという想う感情もあるが、それよりもむしろ見て欲しいという感情の方が大きく和は自分を完全に曝け出す。 「感じているんだな・・膣内も・・きつくて・」 「・・は・・はひぃ・・わたし・・も、もうすぐ・・・・だから、きょうたろう・・さんもぉぉ・・もっとかんじてくださいぃぃ!!」  言葉に合わせるように、快楽の頂点に達しようとしていた和の膣内はきゅぅぅっと京太郎のペニスを強く締め上げて更に快楽を与える。 「ぐぅ・・俺も、そろそろ・・」 「あっ・・は、はひぃぃ!!・・き・・きっえぇぇくらさいぃぃ!!・・わらしのなかを・・そめてぇぇぇ!!」  京太郎の言葉に和の眼がキラキラと輝く、それは衣に聞いていた話の中でも特に嬉しそうに話していた事、恋しい相手を喜ばせて気持ちよくした結果、吐き出される情欲と愛が交じり合う精の塊。 「あっ・・きょうたろうさんよりぃぃ!!わ・・わらしがさ・・さきにぃぃぃ!!」 「ああ、いけぇぇぇぇ!!」  だが京太郎が射精するより先に、自分が限界に来ていることを感じる和、京太郎もそれを理解して最後に力のかぎりペニスを突き上げて、和の一番奥に叩きつけた。  ズブブッッッッッッッッッッ!! 「いくぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」 先ほどの胸でイカされたときよりも遥かに大きな絶頂に、和は体を大きく震わせながら声を上げる、そして膣内もまた和の絶頂と相乗する様に京太郎のペニスを締め上げて、絶頂に導く。 「俺もいくぞぉ!!うけとれのどかぁぁ!!」  ドクゥゥゥゥン!!ドクゥゥゥゥゥン!! 「あつぅぅぅぅ!!きょうたろうさんのぉぉ!!あつ・・ぐみゃくうってぇぇ!!」  熱き体を更に燃やすが如く京太郎の精液を膣内に注がれた和は、その熱に悶え喘ぐ、快楽の上に快楽は和を完全に満たすほど。 「まだいくぞぉ!」 「なぁ・ま・・まらぁ!?」  なまじい知識があったためか、和は京太郎の射精が全てに終わったものだと決め付けており、京太郎の言葉に驚愕したが、それも僅か。  ドクゥゥゥゥゥン!ドクゥゥゥゥン!!ドクゥゥゥゥン!! 「ほんろにきらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!しゅごいのぉぉぉぉぉ!!」  京太郎の言葉通り、再び大きいな射精の衝撃に身を捩じらせる和、文字通り満たして余るほどの射精、和の膣内は既にいっぱいになっているのに、それを無視して精液を注ぎ込まれる。 「和・・くぅ!!」 「これいじょうわぁぁぁ!!おかひくなっちゃいまふぅぅぅぅぅぅ!!」  狂おしいほどの快楽、いや既に狂った快楽に声を上げて抵抗を試みる和だが、体は膣内はそれを拒否するかのように、最後に京太郎の精液を求め締め上げて。  ドクゥゥゥゥゥゥン!!ドクゥゥゥゥゥゥン!! 「ひゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」  膣内も子宮も精液で満たされて、快楽という階段を無理やり上らされて和は、体も精神も真っ白に染め上げられた。 「あはぁぁぁぁ・・はぁぁぁ・・はぁぁぁぁ・・」 「はぁ・・はぁ・・だ、大丈夫か和・・・?」 「はぁぁぁ・・はぁぁぁ・・はぁぁ・・・は・・はい・・なん・と・・かぁ・・」  未だ整わない荒い息遣いの中で、呻くように返事をする和。 「そうか・・・気持ちよかったぞ、和」 「はぁぁ・・は・・はい・・私も・・すごく・・きもち・・はぁぁ・・よかったです」  京太郎に感想を言われると、息を整え苦しそうな中でも和は自然と笑顔になった。 「見事な情交だったぞ、ノノカ」「初めてのときは色々と大変だから、お疲れ様原村さん」 「はぁ・・はぁ・・天江さんと・・宮永さんに・・見られていたんですよね・・、そう想うと・・・ちょっと、恥ずかしいですね・・、大きな声をあげてはしたなくありませんでしたか?」  二人に見られていることなど忘れるほどに、情交に集中してしまい少し恥ずかしそうに頬を染める和。 「先ほども言ったであろう、恋しい相手なのだから声を上げて喘いでしまったのは至極当然、物語の中ならば綺麗に交わす情交もあるだろう、だがこれは性と性を絡み合わせる本物だ、それともノノカは衣や咲が京太郎と結ばれて喘いでいたら、はしたないと蔑むか?」 「あっ・・い、いえ、そんな事は・・そうですね、天江さんの言う通りですね、すみません変なこと言ってしまって・・・」  衣に言われてはっとする和、先ほどの自分がはしたいと言うのなら、他の恋人もはしたないと言うこと、考えの誤りに気付いた和は即座に謝罪した。 「謝ることは無い、分かれば良い、それでノノカは満足したのか?」 「は、はい、満たされすぎて・・とっても・・ですが、その京太郎さんは・・まだ硬いですよね?」  少し力が入るようになった和は、下腹部に手を伸ばし京太郎の硬いペニスを感じる辺りをそっと撫ぜる。 「うん・・ああ、これか・・」「あっ・・うっ・・」  京太郎がすっと腰を引いてペニスを引き抜くと、和の膣内からは大量の精液が逆流してくる。 「うっ・・あっ、せっかく・・京太郎さんが・・注いでくれたのに」  京太郎からの贈り物が流れ出てしまうのが名残惜しいのか、残念そうな表情をする和。 「原村さん、残念な気持ちはわかるけど・・ほら、京ちゃんのおちんちん・・・」 「えっ・・あっ・・大きい・・で、でも・・血が、だ、大丈夫なんですか?」  咲に言われて引き抜かれた京太郎のペニスを見て驚く和、挿入前と大きさに差があるようには見えなかった、だが精液と共に節々に血を見つけ心配そうに京太郎ペニスを見つめる。 「うん、ああ、俺は平気だぞ、この血は・・」 「あっ・・そ、そうですね、それ私のですね・・あっ、私・・綺麗にしますね、あぅ・・」  京太郎に言われて自分が今しがた処女を失った事を思い出す和、それと同時にそれが自分の破瓜の血である事を理解し、汚してしまって思い綺麗にしようと起き上がろうとしたが体に力が入らず起き上がれなかった。 「和は少し休んでいろ、俺が綺麗にするから」 「あっ・・は、はい・・そうですね、こんな・・動けない体では・・わかりました・・」  動かない体ではどうすることも出来ないと思ったのか、渋々自分を納得させる和。 「京太郎、衣が綺麗にしてやるぞ」「私も手伝うね・・」  側に居た衣と咲は、京太郎のペニスについた色々なモノを取ろうと、ペニスに顔を近づけ、口を開けて・・舌を出し、舐めとろうとした、その瞬間。 「ちょ、ちょっとまってください!」  やはり納得し切れなかったのか、和は大きな声を上げて衣と咲を呼び止める、衣と咲の舌が京太郎のペニスに触れるか触れないかの位置で止まり、二人はゆっくりと顔を引いた。 「和、その・・やっぱり・・自分でしたいのか?」 「は、はい・・・で、できるなら・・・そ、その・・天江さんと宮永さんには悪いんですけど、さ・・させてもらっても良いですか?」  一度は納得した素振を見せたのに、直ぐに意見を変えてしまったからか、衣と咲に罪悪感を覚えながら・・和は恐る恐る訪ねた。 「良い、自分の愛していもらい付いた愛液や精液、自分で綺麗にしたい気持ちは理解できる、しかも今ついているのはノノカが純潔を捧げた証・・その想いも一入だろう、衣もできなかったからな・・、良いぞここはノノカに譲ろう」 「そうだね、折角意識がはいっきりとしているんだもん、自分で綺麗にしたいよね・・私は気絶しちゃってできなかったから、私も良いよ・・」 「・・天江さん、宮永さん、ありがとうございます」  純潔を捧げた後で、それを自分の手・・あるいは舌で綺麗に出来なかった事を残念に想う気持ちを衣と咲にも理解できた、だからか二人は和の頼みを二つ返事で了承する。 「と言う訳だ、京太郎よいな?」「良いよね、京ちゃん?」 「いや・・反対する理由は特にないが、和起き上がれるのか?」  すっかり譲る気になっている衣と咲に、京太郎は特に反対もしないが、ただ一つ気がかりなのは和の体にあまり力の入らない様子だった。 「あっ・・あのう、起き上がるには・・まだ少し・・で、ですから、その・・顔を跨いでいただけると、ありがたいのですが・・」 「ま、跨ぐ!・・で、でも・・それは・・ちょっと」(達した時に・・・足に力が入らなくなったら、やばくないか?)  和の提案に驚く京太郎、確かに方法的に考えれば横からペニスを突き出すか跨ぐかの二つに一つ、跨ぐのが恥ずかしい訳ではないが、上からだと・・体重が掛かった時に窒息させてしまいそうで恐ろしかった。 「す、すみません・・京太郎さんも恥ずかしいですよね・・」 「あっ、いや・・恥ずかしさはどっちでもいいんだけど・・・う~ん」  京太郎は出来る限り恋人たちのお願いは叶えたいと思ってはいたが、強のサドで無いので苦しくさせてしまうのはどうにも避けたいと思う、迷う京太郎の目に飛び込んできたのは和の立派なおっぱいだった・・。 (で、でかいな・・・あっ、そういや、あれは・・で、でもな・・和が嫌がるかもしれないし)  じっと見つめる京太郎の視線に最初に気付いたのは、和ではなく近くで見ていた衣であった。 「ノノカ、京太郎はふぇらちおよりぱいずりを所望したいみたいだぞ」 「ちょっ、こ、衣!?」 「うん・・違ったか?」 「い、いや・・違わないが、いったい・・パイズリなんてどこで知ったんだ?」  衣に図星を射られて焦る京太郎、当たっているので反論できず・・知識を何処で手に入れたか位しか聞くことが無かった。 「いつも京太郎に教えられてばかりだからな、自分でも学び・・知識を身に付けねばと思って本をだな・・・でも、はぁぁ・・ぱいずりは・・今の衣には叶わぬ夢だ」  寂しそうに自分の胸を見ながらため息をつく衣。 (本って自分で・・いや、それはないか、と言うことは一さんか・・・たぶん)  衣が買いに行ったとしてもそんな本を売ってくれるとは思えない京太郎、ならば龍門渕家のメイドであり京太郎の恋人の一人でもある国広一が、衣に頼まれてかあるは自らかが持ってくるところしか思い浮かばなかった。 「あ、あの・・パイズリって、なんなんでしょうか?」「私も初めて聞いたよ、ねぇ京ちゃん、衣ちゃん・・パイズリって何をどうするの?」  どういう行為なのか知らない和と咲は不思議そうに首をかしげて、京太郎と衣にいかなる行為なのかを訪ねる。 「えっ~とな・・簡単に言うとだな・」「乳房を要して、京太郎のおちんちんを挟んでしごくんだ」  言い辛そうにしている京太郎の代わりに、衣は自分の知りうる知識を話した。 「あっ・・そっか、私も無理だね・・・」  衣と同じく自分の胸を見て残念そうな表情をする咲、一方の和は自分の乳房を見つめながら衣の言葉から行為を想像する。 「京太郎さんのおちんちんを・・ですか・・そ、その・・京太郎さんは私の胸では、挟む・・京太郎さんがはぱ、パイズリを・・されたいんですよね?」 「えっ・・ああ、その・・してくれると嬉しいなって・・でも無理には」  戸惑いながら訪ねる和を見て、直ぐにもしてほしいと言う衝動をなんとか押さえ込む京太郎だが。 「京太郎さんがしたいのでしたら私は一向に・・いえ、私の胸で喜んでくれるんでしたら私がしたいんです・・やり方を教えていただけますか?」 「わかった・・じゃあ直ぐに、こうやって・・・」  逆に和がお願いされてしまい、脆い理性で防いでいた強い衝動はあっけなく崩壊し京太郎は和の体に跨り乳房の谷間にペニスを挟み込む。 「この状態で両手動かせるよな?」 「あっ・・は、はい、もしかして・・こうすれば良いんですか?」  なんとなく雰囲気でやり方を感じ取った和は、両手で自分胸を中央に寄せて京太郎のペニスを乳房で包み込んだ。 「うおっ!?」  手とも口とも膣内とも違う特殊な感触に、京太郎は思わず声を上げてしまう。 「えっ、あっ・・ち、違いましたか!?」 「い、いや・・それで良いんだ、俺も初めてだからこんな感じだとは予想してなくて、ちょっとびっくりしただけだから・・」 「そ、そうですか・・えっ、その・・京太郎さんパイズリは初めてなんですか?」  恋人が何人か居る京太郎の事、きっとパイズリも経験済みなんだろうと予想していた和にとって、それは衝撃的な事実だった。 「ああ、その・・今まで機会が無かったからな」 「今のところ、京太郎のおちんちんを挟める乳房を持っているのはノノカだけだ、悔しいが衣にはまだ叶わぬ」「私も・・・良いな原村さん」  衣と咲はじっと京太郎のペニスを挟み込んでいる、和の乳房を羨ましそうに見つめていた。 「そ、そうなんですか、私が・・初めて、京太郎さんの初めてがもらえるなんて・・私、凄く嬉しいです、が、頑張ります・・えっ~と、動かせばいいんですよね!?」  恋人の初めてが貰える、それがよほど嬉しいのか和は俄然やる気を漲らせて、京太郎のペニスを挟んだ乳房をゆっくりと動かさす。 「くっ・・うっ、良いぞ・・凄く気持ちいい」  色々な液がちょうど良い具合の潤滑油になり、和の乳房が与える快楽に顔を歪ませる京太郎。 「これで、良いんですね・・わかりました!」  やり方が間違っていなくて、京太郎が気持ちよくなってくれているのがわかると、和は乳房を動かす速度上げる。  シュ・・シュ・・シュ・・シュ 「うぉ!?・・な、なんか、・・手とか口とかとは・・全然違うな・・、和の胸すげぇぇ気持ちいいぞ!」 「はぁ・・京太郎さんおちんちん、凄く熱くて・・私の胸・・犯されているみたいで、はぁ・・京太郎さんも・・はぁ・・もっと・・私の胸で・・気持ちよくなってください!」  京太郎の顔がますます快楽に染まっていくのを見て、和は嬉しそうに息を荒げて和は乳房で京太郎のペニスを扱きあげる、更に胸をペニスで犯されている様な錯覚を覚えて、自分も気持ちよさを感じていた。 「和・・良いぞ、もっと感じさせてくれ・・」  更に快楽を求めようとしたのか京太郎が腰を突き出すと、胸の間から亀頭を含む先っぽが飛び出してきた。 「あっ・・京太郎さんの・・おちんちんの先・・・凄い・・匂い・・はぁ・・頭が・・痺れちゃいますねぇ・・・」  和は鼻をひくひくと動かして亀頭の匂いを嗅ぎ、強い雄の匂いに興奮も倍増していた。 「和・・舐めてくれるかぁ・・」「は、はい・・」  お願いをされてまったく嫌がることも無く、むしろ進んで亀頭を舐め取る和。  ペロペロ・・シュ・・シュ・・ちゅぱ・・シュ 「くっ、いいぞ・・のど・・かぁ、も・・もうぅ・・」  乳房と舌のダブルの快楽に京太郎は既に限界に達しようとしていた。 「うっぷはぁ・・京太郎さん・・イッてください・・京太郎さんのぉ・・おちんちんの・・味を・・胸と口で・・感じさせてください・・」(京太郎さんの・・味・・舌が痺れて・・おいしくないけど・・頭も痺れて・・もっと・・えい!)  快楽を与えるためか、それとも快楽を求めた結果か、和は亀頭を銜え込み舌を激しく動かしながら乳房も勢い良く動かすと、京太郎は限界に迎えた。 「くっ、い、いくぞぉ・・のどかぁぁ!」  ドクゥゥゥン!!ドクゥゥゥン!!ドクゥゥゥン!! (き、きました・・ぜ、全部・・えっ!?)「うぐうぅ!?」  喜んで精液・・京太郎の気持ちよくなった証拠を迎え入れる和だったが、それを押さえ込むには和の覚悟も知識も不足していた。 (く、口も喉も・・こ、これいじょうは・・も、もう・・) 「まだぁ、でるぞぉぉ!!」  なんとか耐えようとした和であったが、京太郎の射精がそれぽっちで終わってくれるはずも無く。  ドクゥゥゥン!!ドクゥゥゥン!!ドクゥゥゥゥン!! 「うっぷ・・ごほぉ・・」  銜え込み方も甘くなり和の口内からはじき出された京太郎のペニスは、乳房に押さえ込まれている為他に行き場も無く和の髪を、そして顔を見事に白く染め上げた。 「の、のどかぁ・・」  これ以上、和の顔に掛からないように我慢して腰を引く京太郎だが、思っていた以上に和の乳房の谷間は気持ちよく。 「うっ!?」  我慢できず完全に引く抜く前、ペニスの先半分ほどが乳房の間に埋まった状態で射精してしまう。  ドクゥゥゥゥゥゥン!!ドクゥゥゥゥゥゥン!! 「ひゃぁぁ!?むねぇあつっく!?・・ぷはぁぁぁぁ!!」  突然、乳房を精液の熱で焼かれた和は、限界近くまで来ていたのもあるのだろう快楽には逆らえず体を震わせる。 「はぁ・・って、の、和!?」  射精が終わりペニスを引き抜いて息をつく京太郎だが、直ぐに和の身を案じ和の瞼や鼻についた精液を手で拭う。 「けほぉ・・けほぉ・・はぁ・・はぁ・・・きょ・・うたろう・・さん・・」 「大丈夫か和!?」  少し噎せて息を荒くしながら、ゆっくりと眼を開いた和に心配そうに詰め寄る京太郎。 「はぁはぁ・・は、はい、少し苦しかったですけど・・へ、平気です・・、そ、それよりも私の胸・・ぱ、パイズリはどうでしたか?」  自分の事よりも、京太郎が気持ち良くなってくれたか否か、そちらの方が和にとって気がかりな様子で恥ずかしそうに感想を求める、その様子に京太郎も胸を撫で下ろす。 「はぁ・・安心しろ・・って言うか、そっちも大丈夫だ、凄く気持ちよかったぞ、ありがとな・・頑張ってくれて」 「あっ・・そ、そうですか・・良かったです、けど・・すみません、せっかく射精してもらったのに・・全部飲み込めず・・」  頭を撫ぜながらお礼を言われて褒められて、照れくさそうにしながらも嬉しそうに笑う和、だが途中で口を離してしまったのが心残りなのか、同時に悔しそうな表情も覗かせた。 「気にしなくてもいいぞ、最初は難しいらしいからな・・だよな、衣、咲」 「うむ、京太郎の射精を口で捉えるのは困難、初めては致し方ないだろう・・衣も無理だったからな」 「私も、京ちゃんのって量も勢いもどっちも凄いから、何度かして・・ようやくかな?」 「そ、そうなんですか・・・それでは仕方ありませんね・・京太郎さん・・その手は?」  恋人の先輩としての二人に言われたのでは納得せざるを終えず、和も渋々納得したが、そんな時に京太郎の右手についた精液に気がつく。 「うん、ああ・・これはさっき和の顔についたのを拭ったからで・・・って、お、おい!?」  説明の最中、和は京太郎の精液のついた手に自分の手を添えると、そのまま顔の近くまで運び、精液の付いた手を銜え込んで・・精液を舐めとるが、その味に眉を顰めた。 「・・うっ・・あ、あまり・・美味しくは・・ありませんね・」 「はぁ・・嫌な別に飲まなくてもいいんだぞ・・まあ、飲んでくれたら嬉しいけど・・」 「それなら飲みますよ・・京太郎さんが気持ちよくなってくれた証ですし、それにこの匂いは・・嫌いじゃありませんよ」  京太郎が喜んでくれた証、そう思えば独特の味もそれほど嫌ではなかった、更にその臭いは何処と無く自分の好みに合うのか、頬についていた精液を指で拭い香りを確かめると、和は嬉しそうに笑ってその指を口に運ぶ。 「そうか・・とにかく、ありがとうな和、気持ちよかったぞ・・」  和の体の上から退くと、改めて例を言う京太郎。 「いえ、どういたしまして・・初めてでしたが、喜んでいただけて・・よかったです・・」  初めてした行為、上手くできなかったこともあったが結果として京太郎を喜ばせられたことに、喜びながらどこかほっとして胸を撫で下ろす和。 「そうか・・じゃあ、とりあえず綺麗にするか、えっ~と・・ティッシュ、ティッシュ・・あっ、あった」  京太郎は和の体を綺麗にするために、近くに置かれていたティッシュに手を伸ばす。 「えっ、きょ、京太郎さんがですか・・い、いいです、じ、自分で出来ますから・・あれ?」  京太郎に綺麗に拭かれるのが恥ずかしいのか、起き上がろうとする和だが、先ほども絶頂の余韻で起き上がれなかったのだから、二度目の絶頂を迎えた今、起き上がれるはずも無く・・声とやる気だけが空回りする。 「無理するなって、それとも・・俺に拭かれるのは嫌か?」 「い、いえ・・そういうわけではないんですが、ただ・・は、恥ずかしいですから・・」  京太郎に触れられるのも、体を拭かれるのも嫌ではないが、事が事だけに恥ずかしそうに頬を染める和。 「でもな・・他の奴にやらせるわけにも・・」 「では、衣が綺麗にしてやるぞ」 「こ、衣!?」「きゃぁ!、あ、天江さん?・・ひゃぁ!?・・そ、そこは・・」  京太郎が少し躊躇する間に、笑みを浮かべた衣が和に飛び掛り隙も与えずに和の乳房についた京太郎の精液を舐め取る。 「京ちゃんが恥ずかしいんじゃ仕方ないよね・・・私も協力するね・・」 「み、宮永さんも・・ひゃぁ!?」  咲も口元に笑みを浮かべながら、和の頬に残る京太郎の精液を舌でなぞるように舐めとった。 「ノノカの乳房・・ノノカの甘い匂いと京太郎の強い匂いで・・くらくらするぞ・・」 「こっちも・・いいなぁ原村さん、いっぱいだしてもらえて・・」 「ふ、二人とも・・ひゃぁ!?・・だ・・らめぇ・・そ・・そんなとこぉ!?」  衣と咲は和の体を綺麗にするように舌を走らせるたび、和は二人を止めようとするが体に力が入らず抵抗も出来ない、口から出るのも抵抗の言葉よりも、胸と顔を舐められてでる快楽の声の方が強かった。 「・・・・(ごくり)」  止めることも忘れて固唾を呑んで見入る京太郎、綺麗にする行為のはずだが二人の美少女が一人の美少女を舌で攻めている光景は、どこか綺麗で淫靡なものだった。 「京太郎・・見ているだけではつまらないだろう、衣に・・京太郎のおちんちんを・・」  そんな京太郎の視線に気付いた衣は、顔を上げると京太郎を誘うようにお尻をゆっくりと振る。 「・・良いのか?」 「じゅ・・準備はできている・・だから、早く京太郎のおちんちんを・・ひゃぁ!?」  言葉通り衣のおま○こはテラテラと何かが光っていて、京太郎が手を触れると粘り気のある汁が指にまとわり付く。 「確かにな・・」 「ノノカのを見ている時はなんとか我慢していたが、京太郎の精液の匂いで・・・だ、だから・・京太郎・・・」 「もう良い、わかったから・・・」  恥ずかしそうに訳を話す衣に、京太郎は返事の変わりにペニスをおま○こに押し当てる。 「ふふ・・ノノカ・・次は衣が京太郎との情交を見せる番だ・・」 「は、はい・・わかりました」  衣に言われた和は首だけ動かして衣と京太郎をじっと見つめる、そして。 「いくぞぉ!」  京太郎は衣の腰を掴み勢いをつけて、衣の膣内にペニスを押し込んだ  ズブッッ!! 「ふあぁぁぁぁぁぁぁ!!」  待ち望んでい京太郎のペニスに、気持ち良さそうな表情と声を上げて迎え入れる衣。 「くぅぅ・・・相変わらず・・キツイな衣の膣内は・・いや・・前より良いか・・」 「ひゃぁぁあ!?・・きょ、京太郎・・が・・よろこんでぇぇぇぇ!!」  回を重ねて多少挿入しやすくなった衣の膣内、しかし締め付けは決して衰える事無く、むしろ回数を重ねるごとに京太郎のペニスに馴染む様にきつく締め付けて、京太郎に快楽を与える。 「はぁぁ・・天江さんも・・京太郎君も気持ち良さそう・・・」  ペニスで突かれるたびに声を上げる衣と、突き上げる京太郎を見つめる和、互いに声を上げて性を貪るような二人の光景、だが和は決して呆れたり・・はしたないとは思わず、羨ましそうに溜め息とつく。 「相変わらず・・衣ちゃん気持ち良さそうだな・・・、原村さんも・・あんな風に・・」 「わ、私も・・あんな風に・・ひゃぁぁ!?」  咲に言われ、自分も今の衣の様に京太郎と性を重ねていたのだと想像しようとした和、しかしそれは突然の快楽に止められた。 「なぁ・・なぁに・・ひゃあぁ!?」  和が慌てて胸を見ると、衣が和の乳房を掴んでいるのが見えた、そして衣が京太郎に突き上げられるたびに衣の手に力が入り、和の胸をぎゅっと揉むような事態になっていた。 「きょうたろぅぅぅ!!・・いい!!・・きもちいいぞぉ!!」 「あ、天江さ・・んっ!・・む、むねを・・はなぁ・・しぃってぇぇ!!」 「あはぁ・・ノノカ・・せっかくだから・・ノノカもきもいよくぅぅぅ!!」 「ひゃぁぁ!?・そ、そんなに揉まれたら・・わ・わたしぃぃ!!」  先ほどは偶然掴んでしまったのだろうが、今度はわかっていて和の胸を触って揉み込む衣。 「衣・・いつもより感じているみたいだけど、和のおっぱいがそんなに良いのか?」 「きょうたろうぅぅ!・・と・ふ、二人きりも・・いいけどぉぉ・・の、ノノカも・・好きだ・・だから・・ノノカもいっしょぉにぃぃぃ!!」 「あ・・あまえさん・・はひゃぁぁ・・わ、わたしもぉ・・すきですぅぅ!!」  好きといわれて嬉しくなった和は、衣の行為に抵抗するのを止めて素直に受け入れて、衣は和と体をぴったりと重ね合わせた。 「そうか・・じゃあ、二人とも・・もっと感じてくれぇぇ!」  ジュブッッ!!ジュブッッッ!!ジュブッッ!! 「おっきぃぃぃぃ!!きょうたろうのぉぉぉ!!ころものなかぁぁぁぁ!!」 「きょうたろうさんがぁぁ!!・・つきあげるたびにぃ、わ・・わたしもズンズン感じぇぇぇぇ!!」  京太郎が勢いを増すと、重ね合わせた体を通じて京太郎の勢いが衣から和に伝わってゆく。 「あっ・・いいなぁ・・原村さん・・はやぁぁ!?」  三人が感じているのを寂しそうに見つめていた咲、その時、突然膣内に強い衝撃を覚えて股間の方に眼を向けると、そこには和の指が入っていた。 「みや・・みやながしゃんもいっしょにぃぃぃ!!・・もっとぉぉぉ!!」 「は・・はらむらさんのてぇぇぇぇ!!・・いいのぉぉ・・きもちいいぃぃぃ!!」  快楽にそして衝撃に体を震わせている和の指は、バイブかローターの代わりになり咲にも衣から送られる快楽を分ける様な役割をする、京太郎のペニスには劣るものの、感じやすい咲にとって今はそれで十分すぎるほどのものだった。 「はやぁぁ!!・・み、みやながぁぁさんもぉぉ!!・・き、きもちいんですねぇぇ!!」 「う・・うん・・きもちいいのぉ!!・・ゆびがぁぁ・・はらむらさんのゆびぃぃ!!」 「咲もかんじてぇぇぇ!!・・こ、ころもも・・きょうたろうのお・おちんちんんんん!!」   それぞれが別な事に快楽を覚えているのだが、快楽の波長が重なるのか声もどんどんと重なってゆき、京太郎が少し動くたびに、衣、咲、和の三人は卑猥な声を上げて快楽に顔を歪ませた。 「いいぞ、衣の膣内すげぇ気持ち良いぃぃ・・衣はどうだ?、和は・・衣に胸揉まれるのがぁいいのかぁ?・・咲も・・和の指そんなに好きか?」  少し意地悪な口調で、それぞれの状態を尋ねながら勢いを増して、衣の一番奥に突き刺すように腰を突き上げる。  ズブッッッッ!!ズブッッッッッ!! 「いいぃぃぃぃぃぃ!!ころももぉぉぉきょうたろうのおちんちんいいぃぃぃぃ!!」 「わたしもぉぉぉ!!おんにゃのことうしなのにぃぃかんじちゃうんれすぅぅぅぅ!!」 「はらむらさんのぉゆびぃぃ!!きょうちゃんがぁぁつくたびぃに・・ころもちゃんとはらむらさんをかいしてぇぇつたわってくるぅぅぅ!!」  京太郎にペニスで突き上げられて快楽と衝撃に震える衣が和の乳房を潰して、その快楽に震える和の指で膣内を掻き回された咲もまた、快楽に身を震わせる。  四人の快楽が重なり混じりあい、全てが合わさるような快楽に身を震わせる四人、そして。 「きょ・・きょうたろう、こ、ころもはもうぅ!!」 「わ、わたしもぉぉげんかいのようですぅぅぅぅ!!」 「きょうちゃんいいよねぇぇ!?もういってもぉぉぉ!?」  京太郎の許可が出るまで必死に耐えようとする衣と和と咲、それぞれが京太郎の一声を待つ・・限界ぎりぎりの状態で。 「ああ・・・いいぞ、俺ももう・・いくからぁぁぁぁ!!」  幕切れ、開幕、どちらだろうか、京太郎のその一言で緩んだ精神、それが叩きつけられたペニスによってあっさりと崩れ去った。  ズンッッッ!! 「い、いくぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」×3  衣、和、咲の声が重なる、既に感じていた状態、感じやすい体質色々な条件が重なり、同時に絶頂に達した。 「俺もだすぞぉぉぉぉぉぉ!!」  衣の達したために、早くちょうだいと強請るように衣の膣内が京太郎のペニスを締めつけて京太郎の絶頂に達しさせた。  ドクゥゥゥゥゥゥゥゥゥン!!ドクゥゥゥゥゥゥゥゥゥン!! 「あふぃぃぃぃのぉぉぉぉいっはいぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」  凄まじい熱さのそして凄まじい量の精液が衣の膣内を襲う、その射精は衣と肌を重ねているを和にも感じさせるほどの勢い 「きょうたろうさんのしゃせいがぁぁぁ!!つたわってきますぅぅぅぅぅ!!」 「きょうちゃんのぉせいえきぃぃそんなにぃぃでてるのぉぉぉ!?わたしもぉぉほしぃぃぃよぉぉぉ!!」  やはり快楽を感じながらも、それは京太郎とは直接繋がってない寂しさを咲は感じたが、その寂しさもまた快楽に呑まれる。  ドクゥゥゥゥゥゥゥン!!ドクゥゥゥゥゥゥゥン!! 「あふれるぅぅぅぅ!!きょうたろうのぉぉぉしぇえきぃぃぃ!!」  量が多いためか衣の膣内から精液が収まらず、結合部分から溢れる精液、それでも衣の膣内は京太郎のペニスをがっちり銜え込んで離さず、快楽を全身で味わう衣、突然掴んでいる手にも・・和の乳房を握るに手にも力が入る。 「つぶれるぅぅぅぅ!!つぶされちゃぅぅぅぅぅ!!」 「ゆびぃぃぃぃ!!はらむらさんのゆびぃぃぃぃ!!」  和が、その余韻で咲までもが、絶頂の中に更なる快楽を追い討ちされるように和と咲は体を震わせる、だがそれも始まりにすぎず。 「これでぇさいごだぁぁぁぁぁ!!」  ドクゥゥゥゥゥゥゥゥン!!ドクゥゥゥゥゥゥゥン!! 「みたしゃれりゅぅぅぅぅぅ!!きょうたろうのぉぉぉしぇえきでぇぇころものなかぁぁぁいっぱいにぃぃいぃ・・」  和の胸を絞る衣の手の力は、京太郎の射精が終わると同時に終わり、衣は和の乳房に倒れこんだ。 「まらぁぁいきますぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」  衣の最後の力で和は再び絶頂に達して、体を小刻みに震わせて全身の力が抜けた。 「ひゃぁぁぁ!!・・はぁ・・はぁ・・あっ・・」  途中で和に指が抜けたために、再びの絶頂に達するかどうかの瀬戸際で一人不完全燃焼の咲。 「はぁ・・はぁ・・ふぅぅぅ、衣・・気持ちよかったぞ・・」  息を整えてゆっくりとペニスを引き抜いた京太郎は、感想を言いながら衣の頬にキスをする。 「はぁはぁ・・はぁ・・こ、衣もだ・・・凄く気持ちよかったぞ・・、たくさん・・あふぁ・・たぁぁくさん・・京太郎が気持ちよくなったのも、感じられたからな・・」  自分の膣内から逆流して流れ出る精液を感じながら、嬉しそうに微笑む衣。 「和と・・咲はどうだった?」  「わたしも・・あ・・あまえさんのてが・・すごくきもちよくて・・・はぁ・・はぁ・・つい・・」「気持ちよかったけど・・・、最後にもういっかい・・イケ無かった・・」  衣の手で絶頂を迎え恥ずかしそうにしながらも満足気な和と、最後の最後でお預けを食らってしまい少し不満げな咲。 「安心しろって、すぐにもう一回・・いや、何回もイカせてやるからよ」 「う、うん・・京ちゃんの・・おちんちんで・・イカせてください・・」  我慢できないのか自ら足を開き、少し恥ずかしそうにしながらもだ京太郎を誘う咲。 (あっ・・み、みやながさん・・あんなに足を開いて・・、みやなが・・さん・・どんなふうに・・みだれるんでしょうか・・・すごく・・みたい・・)  咲の痴態を興味津々に眺める和であったが、初めての性交に度重なる絶頂、そして先ほどまでは当事者であったが今は傍観者になって気が抜けたのもあったのだろう、色々な理由から突然の眠気に襲われた。 (み・・みたいのにぃ・・・)  知識欲も睡眠欲には勝てず。 「ら、らめぇぇぇぇ!!すぐいっちゃうぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」  咲が絶頂を迎えた声を子守唄代わりに、和は眠りに落ちた。 「ふぅ・・衣と咲と和はまだか、まあ女性は時間かかるよな・・」  一人シャワー浴び、衣の部屋に戻ってきた京太郎は一息つき部屋を見回し、まだ戻っていない恋人達の事を思う。  衣、咲、和は京太郎とは違い大浴場の方で汗を流している、衣は一緒に入ろうと言ったが和が恥ずかしがったため京太郎が遠慮したのだ。 (恋人になったばかりだからな・・・恥ずかしがるのも仕方ないよな、衣は恋人になる前から一緒に入ることに疑問を抱かなかったけど・・)「ははは・・ふぅ」  衣と恋人になった日の事を思い出して苦笑いする京太郎、水を飲んで一息つくと途端に暇になってしまう。 「う~~ん・・・誰か居れば話すんだけど、えっ~と時間を潰せるものは」  衣達が帰ってくるまで後どれくらい掛かるかも検討も付かず、仕方なく衣の部屋を見回す京太郎、最初に眼に留まったのは本棚であるのは漫画などではなく、なにやら難しそうな本と可愛らしい絵本の極端な取り合わせ。 「衣はこういうのを読むのか・・」  絵本を手にとってはパラパラとめくり、衣が何を好きなのか探る京太郎、だがとくに読み込むことはせず直ぐに本段に絵本を戻す、それを数回繰り返す。 「なるほどな・・・さて他には・・あっ」  衣の絵本の趣味の把握が終わった京太郎は、また周りを見回すと次に視界に飛び込んできたのは大エトペンと和が持ってきたエトペン、それに近づく京太郎。 「和のだな・・・そういえば、衣の恋人になれたのも、ある意味お前のおかげなんだよな・・・ありがとうな」  エトペンが無ければ和と衣が友達になることも無く、エトペンを知らなければ衣と話さなかったかも知れないし、色々な偶然に感謝しながら、京太郎は和のエトペンの頭を撫ぜて礼を言った。 「待たせたな、京太郎」「お待たせ、京ちゃん」「おまたせ・・しました」  京太郎がそんな事をしているうちに、汗などを流して、ほんのり肌を桜色に染めた衣、咲、和の京太郎の恋人達が戻ってきた。 「よぉ、すっきりしたみたいだな・・」 「うむ、京太郎のを落とすのは毎度残念なのだが・・」「私も・・だけど、置いておくとバリバリになっちゃうし・・」  すっきりして気持ち良さそうだが、京太郎につけてもらった色々なモノが流れ落ちて少し残念そうな衣、同じく少し残念そうにしながら苦笑する咲。 「衣さんの家のお風呂・・凄いんですね、まるでホテルの様な・・そんな感じでした」  初めて衣の家の風呂に入った和は、豪華絢爛の風呂に少々あっけに取られていた。 「ああ、まあ・・初めてだと驚くだろうな、ところで和、衣の事名前で呼ぶことにしたんだな」 「あっ、はい・・先ほど、お風呂の中で言われまして、友達の上に恋人になったのにいつまで名前で呼ばない気だと・・それで、折角の機会なので・・衣さんと・・それに宮永さんも、咲さんと・・」 「当然だ、ノノカは友達で京太郎の恋人の一員だからな、それに衣もノノカと呼んでいるからな、改めてよろしくなノノカ」 「うん、私も原村さんの事を・・和ちゃんって呼ぶことにしたから、よろしくね和ちゃん」 「はい、よろしくお願いします、衣さん、咲さん」  友達という輪に更に強い同じ恋人言う輪、それによってより強固な関係を築き、衣、咲、そして和は、改めて挨拶を交わしながらとても嬉しそうで楽しそうな笑みを浮かべていた、次の瞬間までは。 「和ちゃんが恋人入りしたって知ったら、優希ちゃん喜びそうだな」 「ゆーき・・・そうでした、ゆーき・・」  咲のなにげない発言で、和の表情が一転して不安そうで直ぐにも泣き出してしまいそうな、そんな急変を遂げた。 「おい、どうした和!?」「ノノカおなかでも痛いのか!?」「えっ、ど、どうしたの和ちゃん・・わ、私、何か悪いこといっちゃった?」  突然の変化に心配する京太郎と衣と咲、しかし和はゆっくりと頭を横に振る。 「い・・いえ、ち、違うんです、咲さんが・・・いえ、京太郎さんも衣さんも悪いわけじゃないんです、わ・・私が駄目だから・・私がゆーきに酷いことしてしまったから」  眼に涙を浮かべながら、自分の仕出かしてしまったことの大きさを思い、和は自己嫌悪に陥る。 「和・・・良かったら話してくれないか、何をしたのかを・・」 「で、でも・・これは、私の・・私のしてしまった事で・・」  自分で仕出かした事だから自分で解決しなければならいない、と思い込んでいる和に京太郎は和の頭に自らの手を置いて優しく撫ぜる。 「これでも、今日からだけど、和の恋人なんだからさ・・遠慮はいらないぞ、それに・・少しは頼って欲しいかなって・・」 「きょ、京太郎さん・・・」  今度は嬉しさから泣きそうになってしまう和、そんな和に恋人の先輩でもある衣と咲も黙っては居ない。 「京太郎は頼りになるが、京太郎だけではなく衣達も頼りにしてくれて良いんだぞ、同じ恋人の友達だからな、遠慮不要だ」 「そうだね・・私も同じ京ちゃんの恋人として、一人の友達として協力するよ」 「衣さん・・咲さん・・すん・あ、ありがとうございます・・わ、わかりました、それではお話します・・」  涙を堪えながら二人にお礼を言う和、そして三人の心遣いに感動して感謝した和は意を決し口を開いた。 「なるほど、的確な助言をしてくれた優希を一歩的に怒って電話を切ってしまったと」 「はい・・あの時はそれが本当に適切なアドバイスだなどとは夢にも思わず、今にして思えばこの上なく適切なものだとわかるんですが・・・」  電話の件を話し終えた和は肩を落として、すっかり意気消沈してしまっていた。 「でも、さっきの電話の話だと・・信じられなくても仕方ないかなって思うけど、京ちゃんはどう思う?」 「俺か・・う~~ん、優希らしいといえばらしな、簡単に話そうとして・・・まあ間違ってはいないんだが」 「うん、そうだね・・」  言葉が足りないと思った京太郎と咲だが、結局細かく説明しても和は信じられず怒り、落ち込む結果になったであろうと容易に想像がついた。 「まあ電話の内容は言っても仕方ないだろうな、それよりも重要な事は・・・和は優希に謝って仲直りしたいんだよな?」  優希の発言の内容を議論しても仕方ないと思い、京太郎は一番重要な点を和に訪ねる。 「もちろんです!・・・ゆーきが・・許してくれたらの話ですが・・あっ・・」  一も二も無く返事をしながらも心配そうにする和に対して、京太郎は和の頭を優しく撫ぜて心配を取り除く。 「大丈夫だ・・・優希もきっと仲直りしたいと思っているよ、だから仲直りしたい気があるなら大丈夫だ」 「京太郎さん・・・」 「衣も京太郎の言う通り大丈夫だと思うぞ」「私も・・きっと優希ちゃんも早く仲直りしたいと思っていると思うよ」 「衣さん・・咲さん・・・、そうですね、このまま泣き言を言っても仕方ありませんよね」  溜まった涙を指で拭い嘆くのを止めた和は三人をまっすぐ見つめ。 「明日優希に謝ります、ちゃんと・・心こめて」  しっかりとそう宣言するのだった。 「すぅ・・はぁ・・」  翌日の放課後、麻雀部部室の入り口に緊張した面持ちで深呼吸をする和の姿があった。 「よぉ・・和、今からか?」  部活に出るためにやってきた京太郎は、その姿からまだ問題が解決していないと思い和に声をかける。 「京太郎さん・・・はい、その今日は昼休みとか、時間が取れなくて・・そ、それで」 「そっか・・頑張れよ」 「はい・・で、でも・・悪い結果を考えると、つい・・あ、足がすくんでしまって」  どうしてもネガティブな方向に思考が進んでしまうのか腰が引けている和、それを見た京太郎は苦笑いを浮かべた。 「はは・・・それじゃあ、恋人として後押ししてやるか・・」 「えっ・・?」  京太郎は和の迷う心を振り払う様に部室の扉を開いた。  勢いよく開けられた扉に部室内に居た全員の視線が集中する、部室内に居たのは優希だけではなく咲に久にまこと部員全員がそろっていたが、いつものように和気藹々とした雰囲気でも大会前の引き締まった空気でもなく、微妙な空気が流れていた。  京太郎は部室に入ると和と優希から少し離れた位置で二人の様子を窺う。 「のぅ・・京太郎、今日は優希が妙に落ち込んでいたんじゃが・・」 「そうね、和を怒らせたって・・大丈夫なの、須賀君?」  普段とあまりに違う優希の様子にさすがに心配していたのか、自分たちよりは多少事態を理解していそうな京太郎に小声で話しかけてくるまこと久。 「心配は要りませんよ」 「ほぅ・・妙に自信ありじゃの」「須賀君がそう言うんなら、見守っておきましょうか」  妙に自信ありげな京太郎に、少し疑問を抱きながらも一先ず見守ることにまこと久、咲は少し離れた位置でしっかりと優希と和を見守っていた。 「の・・のどちゃん・・」「ゆ、ゆーき・・・」  互いの名前を呼び互いをじっと見合ったまま、部室内がしばしの間沈黙に支配される。 「・・ほ、本当に大丈夫・・なんじゃろうな?」「ど、どうかしら・・・」  動きの無い優希と和にまこと久が不安を抱き始めた、その時。 「ごめんなさい!・・えっ?」×2  二人の謝る声と頭を下げる動作が見事に重なる、驚いた二人はゆっくりと顔を上げた。 「のどちゃん、その・・・怒ってないのか?」 「怒っていませんよ、こちらが電話して・・ゆーきがちゃんと答えてくれたにも関わらず、勝手に勘違いして・・それであんな風に怒ってしまって、だから私はてっきり・・ゆーきが凄く怒っていると・・それで・・」 「怒ってないじぇ、それよりも・・のどちゃんが・・だから嫌われたのかと心配してたんだじょ・・あっ・・」  そこで和と優希ははっとして、互いが同じ事を心配していることに気がつき・・そして。 「同じことを・・心配していたようですね・・ふふ」「だじぇ・・はは」  それが妙におかしかったのか、堪えきれず声に出して笑ってしまう和と優希、そして一通り笑う声を抑えて再びしっかりと見詰め合い。 「ゆーき、あの時はすみませんでした、電話で相談しておいて・・それなのにあんな態度をとってしまって」 「気にしてないじぇ、それにのどちゃんの悩みが解消できたなら・・それで十分だじぇ」  改めて謝る和に対して、怒っていなかった優希は気にした様子もない、それよりも和の悩みが無くなった事と仲直りできたのが嬉しいようで笑っていた。 「ゆーき・・・ありがとうございます」「ちょっ・・くすぐったいじぇ、のどちゃん・・」  優希の言葉が嬉しかった和は感極まり思わず抱きついてしまう、優希は少し照れくさそうに笑いながらも、そのまま和としばしの包容を味わうのだった。 「無事、問題解決したようだな」「そうだね、よかったね優希ちゃん、和ちゃん」  しっかりと仲直りをした和と優希の元に、京太郎と咲も喜びながら歩み寄ってきた。 「京太郎、咲ちゃん・・心配かけたじぇ、部長と染谷先輩も・・・」 「京太郎さん、咲さん・・・それに部長にまこさんも、ご心配をおかけしました」  優希と和は包容を止めて離れると、心配をかけた全員に謝罪を述べた。 その様子を見ていたまこと久も安心し四人の所に歩み寄る。 「はぁぁぁ、落ちこんどるから心配したが・・余計なお世話じゃったの」 「でも、仲直りしてくれたんだから、それは言いっこなしよ」  苦笑しながらも、問題が拗れなかった事に胸を撫で下ろすまこと久。 「京太郎さんの言う通りでした、さすがです・・優希の事もよく分かっているんですね」 「まあな」  昨日の言葉を思い出して改めて感心する和に、褒められて少し照れくさそうにする京太郎、そんな二人の会話を聞いていた久が疑問を口にした。 「あら・・和、何時の間に須賀君と咲を名前で呼ぶようになったのね」 「はい、昨日・・ちょっと」 「ほう名前でのぅ・・でも急に京太郎を名前で呼ぶようになったら、噂話しとる奴に勘違いされかね・」「まこ!」  まこが噂の事を口にすると、久は声を荒げてそれを止めた。 「あっ、す、すまん、和・・これからはそういう奴には注意しておくから・・」  久の一声で、同じ話で和が機嫌を悪くしたことを思い出したまこは、慌てて謝りながら話を逸らそうとしたが、今日の和は先日までの和とは違っていた。 「あっ、そのことなら良いんです・・」 「あら・・気にしないことにしたのね、そうね、それが一番いいわ」「まあな、変な噂は気にしいひんのが一番じゃからのぅ」  今度は和の怒りに触れなかったと安心し、久とまこは噂は無視するのが一番だと話を終わらせようとしたのだが、性格上なのか、それとも言いたくて仕方なかったのか、和は間違った部分を訂正した。 「いえ、そうではなくて・・・事実になってしまった事を否定して廻るのはどうかと思いますんで」  「そうよね、事実になったことを否定したら・・・えっ、事実?」 「そうじゃの、事実を嘘って言うのは・・・えっ、事実?」  最後の部分で声が重なりあう久とまこ、すぐに意味が理解できない二人は鳩が豆鉄砲を食らったような表情で固まり、しばし沈黙が流れ・・・そして。 「な、なにぃぃぃぃぃぃ!!」×2  久とまこは部室中に響き渡るほどの声を上げて驚く、当然声を上げただけで落ち着きが取り戻せるわけも無く。 「ど、どういうことじゃ京太郎、いつのまに天江と別れたんじゃ!?」 「いえ、京太郎さんは衣さんと別れていませんよ、昨日も衣さんととても仲良さそうに・・していましたから」  昨日の事を思い出し、ついで情交の事も思い出した和は頬を染める。 「・・もしかして・・天江は和と京太郎の仲を知らないとか・・」 「い、いえ・・ちゃんと衣さんも認めてくれましたよ、しっかりと・・」 「認める・・天江が・・ええっ?」  衣が決して京太郎を誰かに譲ることは無いと思っていたまこにとって、今の和の発言は信じられないもので、疑問を解決するために聞いた事が、逆に疑問を増やす結果になり結果さらに混乱した。 「そ、そじゃあなに、須賀君は天江さんと和、二人の恋人になったとでも言うの!?」  表面上は落ち着きを繕った久、しかしこめかみはぴくぴくと動いて、混乱する内情を露にしていたが、なんとか事の根幹を和に訪ねる。 「あっ、それは違います」 「そ、そうよね・・恋人が二人って・・・」「な、無いじゃろ・・さ、さすがに・・」  和の即座の否定により、少し落ち着きを取り戻したように見えた久とまこであったが、次の瞬間。 「二人ではありません、だってゆーきも咲さんも、京太郎さんの恋人ですから」 「そうだじぇ、私だって京太郎のこ・い・び・となんだじぇ!」「私も・・京ちゃんと衣ちゃんが許してくれたんで」  満面笑みで訂正する和に、同じく満面の笑みで京太郎の左右の腕に抱きつきながら答える優希と咲、ただでさえ和の事で混乱している久とまこにとって、ここに来ての優希と咲の事も重なり・・そして。 「ええっっっっっっっっっっっっっっっっっ!!?」×2  驚いて声を上げる他に道は無く、久とまこの叫びは建物全域に響き渡った。 「ぶ、部長、染谷先輩・・大丈夫です・・」 「さ、さんにん・・いや、四人って・・ど、どういう事じゃ・・」 「さ、さささ、最近の子は進んでいるって聞くけど・・まさか、そんなに・・」  混乱の極みに達したまこと久に京太郎の言葉は届かず、二人はただぶつぶつと何やら呟き続けるのみだった。 「う~ん、今日はもり無理そうだね」「そうですね。理解するにも時間がかかるでしょうし」  冷静に事態を見ながら、咲と和は二人に今日これ以上話をする事を諦めたようだ。 「まあ部長と染谷先輩の事は置いとくとして・・のどちゃん」  しばらくはこちらに帰ってこないであろう、久とまこを無視して優希は再び和を見つめた。 「なんですか、ゆーき?」 「ちゃんと言ってなかったじぇ、京太郎の恋人になれておめでとうだじぇ、今日からは恋人仲間としてもよろくしだじぇ!」  喜び・・新たな意味での仲間になった和に優希は祝福の言葉を掛けて歓迎する。 「ゆーき・・・あ、ありがとうございます、こちらこそ今日からよろしくお願いしますね」  眼にうれし涙を浮かべながらも和はしっかりとした笑顔で優希に答える。 「私も改めて、よろしくね和ちゃん」 「はい、咲さんもよろしくお願いします」  この場に居るもう一人である咲とも改めての挨拶を交わした和は、最後に京太郎の方を向いた。 「良かったな和、全部上手く行って」 「はい・・ありがとうございます・・」  最初に全てが上手く行った事を祝福する京太郎と、その祝福に礼を言う和、そして和はゆっくりと口を開いた。 「その・・不束者ですが、あ、改めてよろくお願いしますね、京太郎さん」  少し自信がなさそうにお願いする和に、京太郎はただ優しく笑いかけて静かにだが力強く答えた。 「ああ、よろしくな・・和」  その笑みが和に自信を与えて不安など吹き飛ばす、そして自分のコンプレックスであった胸を誇らしげに張って、しっかりとした口調で和は高らかに言い放つ。 「はい、京太郎さん、大好きです!」     終わり #comment
[[前話>和の憂鬱]] [[次話>純なる想いを叶える智1]] 「痛っ!?」  授業が全て終わり部室に向う途中で足に痛みを感じた原村和は、近くの木につかまりながらゆっくりとしゃがみ込む。 「つぅぅ・・やっぱり、痛めていたみたいですね、こんなことなら早々に保健室に行くべきでした・・・どうしましょうか」  苦痛に顔を顰める和は少しでも痛みを和らげようと足首を撫ぜながら、保健室に行かずに放置した事を今更ながら後悔していた、しかし後悔したところで時間は戻らず、この後どうするかを迷っていると。 「よぅ和、って・・おい、怪我したのか!?」  偶然その場に通りかかった京太郎が、和の異変に気付き慌てて和の元に走りよる。 「あっ、須賀君・・大丈夫です、その・・運動している時に少し足を痛めてしまったみたいで」 「少し腫れているな・・・歩くのが辛いんだろ?」  京太郎に心配をかけないようにする和だが、痛みを誤魔化せる訳も無く顔は顰めたまま、そんな強がる和を無視して怪我の状態を見て、歩けるかどうかを尋ねる京太郎。 「あっ、はい・・それで、須賀君・・すみませんが肩を・」 「ほれ・・」  和が貸してくださいと言うより早く、京太郎はしゃみこんで和に背中を向けた。 「えっ、す、須賀君・・それは、その・・・」(こ、これってつまり・・背中におぶされと・・)  京太郎が何をしたいのかなんとなく分かった和だが、念のために京太郎に訊ねる。 「あんまり動かさない方が良いだろうし、ならこっちの方が良いだろう?」  さも当たり前のように話す京太郎に、和は慌てて首を横振った。 「そ、そんなの悪いです、そ・・それに誰かに見られたら」 「気にするなって・・と言っても気になるんだろうけど、でも足の方が大切だろう、それともお姫様抱っこの方が良いか?」  視線が気になるのは京太郎にも理解できたが、それでも下手に歩いて怪我を酷くするよりはましだと思え、そこを譲る気の無い京太郎は冗談めいた口調で和に選ばせる。 「そ、そんなの恥ずかしすぎます・・・はぁ、わかりました、ではおんぶでお願いします」  ごねて無理やりお姫様抱っこで運ばれては堪ったものではない、そう思った和は溜め息をついて覚悟を決める。 (だ、大丈夫でしょうか・・・)  見られる恥ずかしさとは別に和には気になる点がもう一つあった、それは。 「どうした、和?」 「あっ・・いえ、それでは失礼します」(なるようにしか・・なりませんよね・・)  なかなか背中に乗らない和を不思議そうに見る京太郎、意を決するというよりは諦めた和はゆっくりと京太郎の背中に身を預けた。 「うぉ!?」(こ、この柔らかい感触は・・ま、まさか!?)  和が背負った瞬間、大きな二つの肉厚を感じた京太郎は思わず声を上げてしまう。 「やっぱり・・・重いですよね」(驚いて声を上げてしまう・・・ほど)  京太郎が声を上げた事で、勘違いした和は完全に落ち込んでしまった。 「いや、ち、違うぞ、重くなんて無いぞ・・ただ、その・・あんまりにも感触が違ったんで・・」 「そ、そう・・ですか・・」(それって、やっぱり・・胸・・ですよね)  さすがに素直に胸を言うのは照れくさいのか、それともセクハラになることを恐れたのか、言葉を濁しながら理由を話す京太郎、そして和もまた自分のどの部分の事を言われているのか理解して黙り込んでしまい、数秒妙な沈黙が流れる。 「と、とにかく、とりあえず保健室だな?」 「あっ、はい、お願いします!」 「わかった、いくぞ」  恥ずかしさを誤魔化すために立ち上がった京太郎は、目的地だけ確認して歩き出した。  足の治療を終えた和は、再び京太郎に背負われて保健室を後にした。 「とりあえず、酷い怪我じゃなくてよかったな」  保険医の診断結果は、軽い捻挫で二・三日安静にしてれば治るだろうとの事で、和も京太郎も安心した。 「はい、でも・・またこんな風に、おんぶしてもらってすみません」 「良いって、それより今日は部室寄らずに帰るだろう?」 「そうですね・・この足では帰るのも時間がかかりますから」  遠いとまでは言わないまでも、決して歩いてすぐとはいえない家までの距離、怪我をした足を庇ったままでは時間もかかるだろう、その上部活に出れば更に遅くなってしまう。 「一人で帰りますから、須賀君は部室に行ってください」 「いや、いくら軽いって言っても捻挫は捻挫だからな、動かさない方が良いだろうから送るぞ」 「えっ・・わ、悪いですよ、そんなのすぐに降りますから」  まさか家まで送ると言い出すと思っていなかった和は、京太郎の言葉に慌てて断ろうとするが、足はしっかり掴まれている降りることは出来ない。 「気にするなって、今部長にメール送っちゃうから・・・それとも嫌か、なら止めるけど?」  京太郎はポケットから携帯電話を取り出して部長の竹井久に報告メールを打ちながら、和に家まで送られるのが嫌かどうかを確認する。 「嫌と言うわけでは・・・け、けど・・」 「なら良し、メール完了と・・」  和が嫌がっていない事が分かると、京太郎は打ち終えたメールを久に送り携帯電話をポケットにしまう。 (ど、どうしたら良いんでしょうか、こ・・断ったら、須賀君に嫌な思いをさせてしまいますよね・・)  このまま家まで送られるのはかなり恥ずかしいが、ここまで好意で送ってくれた京太郎の事を考えると、それを言い出せない和、そうこうしているうちに。 「じゃあ、行くぞ」「・・・」  京太郎は歩き出してしまい、下ろしてくれと言い出せなくなってしまった和であった。 「あの、須賀君・・・重くありませんか?」  学校を出てしばらく経つと、和は恐る恐る京太郎に気になっていた事を訊ねた。 「学校でも言ったけど重くないって、それに麻雀部入ってからは買出しで荷物を持たされていたからな、力は結構あるんだぞ」  息切れする事無く平然と答える京太郎、さり気無く力があることをアピールするが、それを聞いた和は別の事を思ってしまう。 「そうですか、すみません・・いつも雑用を押し付けてしまって、本当なら私やゆーきも一年ですから手伝わないといけないハズですが」 「はは、良いって、唯一の男だしな、女の子に頼りにされるのも悪い気はしないぞ」  同じ一年として何もしていない自分を恥ずかしく思い反省する和の言葉を、京太郎は軽い感じで笑い飛ばす。 「それにさ・・・俺は全国もいけなくて、特に部に貢献もできなかったからな」  自傷気味な言葉を漏らす京太郎、それを聞いていた京太郎の肩に置かれた和の手に力が入る。 「自分をそんなに卑下しないで下さい、決勝戦のインターバルの時に、須賀君がゆーきにタコスを差し入れしてなかったら、どうなっていたか分からないんですよ」 「ああ・・まあそういう意味では、雑用係としては役に立った訳か・・」  和の言葉に考え深げに頷く京太郎、だがしかし和はそんな事を言いたかった訳ではなく。 「い、いえ、雑用係だけではなく・・そ、そう、須賀君がいなかったら、宮永さんも来ずに・・全国はどころか、団体戦出場だってできたかどうか分からないんですよ!」 「えっ~と、の、和さん?」  和の必要性を訴える勢いに京太郎は圧倒されるが、勢いの付いた和の口は止まる事無く。 「それにあれです、強化合宿の時だって、パソコンを持ってきてくれたらり、色々と、だから、須賀君は麻雀部必要です!」 「・・・・・・」  京太郎はあっけに取られ、いつの間にか進む足も止まっていた、そして言い終わったところで和もそれに気がついた。 「あっ・・す、すみません、ひ、一人でその・・勝手に・・」 「ああ、いや・・こっちこそごめんな、軽い冗談のつもりだったんだけど・・」  そう、さきほどの自傷気味の言葉は冗談、京太郎はあくまでも軽い口調だった、冷静に考えればそれも和は理解できたはず・・だったが。 「そ、そうですね、すみません・・・一人で熱くなってしまって」(どうしたんでしょうか、よく考えれば冗談だってすぐに分かるものを・・・で、でも、須賀君が自分を麻雀部にとって必要の無い人だなんて思って欲しくなくて・・)  和自身もそこまで熱くなってしまった理由はわからない、ただ京太郎は貢献しているとわかって欲しいと言う、そう思った瞬間に口が開いていたのだから。 「和が気にしなくても良いって、俺が変な冗談を言ったからだしな・・・それによ」 「それに・・な、なんですか?」 「和がそこまで言ってくれて、凄く嬉しかった・・ありがとうな」  京太郎が嬉しそうに笑顔で和に礼を言う、そんな京太郎の横顔を見た和の胸の奥が熱くなるのを感じた。 「・・・す、須賀君が・・貢献したのは本当の事・・ですから、あの」(あ・・あれ、言葉が・・そ、それになんでしょうか胸がドキドキする・・この感覚は!?)  何故だか上手く喋れずしどろもどろする和、鼓動が早くなるっているのは分かったが・・どうしてそうなったのか理由が分からず戸惑う。 「ははは・・もう良いって、わかったからさ、ところで和の家ってどの辺なんだ?」  ただ単に和が自分を喜ばせようとしていると思った京太郎は、笑って話を流し家の場所を尋ねる。 「えっ・・あっ、は、はい・・あっ、あそこです」  和が指を挿したのは、歩いて五分もかからないであろう家。 「結構近くまで来ていたんだな」 「そ、そうですね・・すみません、言うのを忘れてしまって、あっ、こ、ここまで着たらもう歩きますね・・あれ、須賀君?」  それほど距離は無いからか、後は降りて自分で歩こうとする和だったが、京太郎に足を持たれたままで降りることが出来なかった。 「折角だから最後まで乗っていけって」 「あっ・・そうですね・・それではお願いします」  学校でる時にはあれだけ見られるのを気にしていた筈の和だが、何故か今は京太郎の言葉に逆らう気は失せ素直に言葉に従う、それどころか・・。 (もうすぐ、降りないといけないんですよね・・・)  あと少しで降りなければいけないと言う事実に、寂しさすら感じていた。  夜、パソコンの前でちらりと時計に目をやる和、モニターに表示されているのは今しがた終わったネット麻雀の結果だ。  それほど晩い時刻ではない、普段ならもう一局と言うところだが。 「今日はここまでにしておきましょうか、明日の事もありますし」  早々にログアウトしてパソコンの電源を落とす、特に考えず和がそんな結論を出したのはやはり足の怪我があるからだろう。  明日になれば痛みも引くかも知れない、そんな期待があるものの、やはり歩くのは遅くなってしまうのだろう、それならば何時もより早く出なければならないから、それだけではなく寝るが遅くなると治りまで遅いような気がしたからだ。 「ふふ、早く治さないと、須賀君に悪いですからね・・・あれ?」  笑みを浮かべながら、思い浮かぶのは家まで自分を背負ってくれた京太郎の顔、その事実に疑問を感じる和。 (・・・・あ、あれ・・ど、どうして須賀君が・・)  帰ってきた後で、メールを見て心配した優希や咲それに久やまこと言う麻雀部員から連絡があったにも関わらず、和の脳裏に最初に思い浮かんだのは京太郎であった。 「きっと保健室に連れて行ってもらったり送ってくれたりして、一番お世話になったからですよね・・・そうですよね、はい、明日も早いですし寝ますか」  無理やり自分自身を納得させた和は、明日の登校の事を思い出し早々にベッドに入る。 「明日・・もう一度須賀君にお礼を言わないといけませんね、おやすみなさい・・エトペン」  どこかすっきりしない気分を感じていた和だが、明日京太郎に話しかけることを決めると気持ちが楽になる感じがし、笑顔で抱きかかえたエトペンに挨拶をして目を瞑ると、精神的にも疲れていたのかすぐさま和は深い眠りに落ちた。 「それでは、行ってきます」  挨拶を済ませ和が玄関の扉を開けて外に出ると、そこには綺麗な青空が広がっていた。 「晴れてくれてよかった・・」  足を捻った上に雨では泣き面に蜂、ただでさえ歩き難いのに足元が悪ければ大変だと思い安心した様子で歩き出す和。 「昨日は・・この道を須賀君とおんぶされて・・・」  昨日の光景を思い出すと恥ずかしさも蘇る和、しかし不思議とその気持ちを不快だとは思わなかった。 「たまには・・ああいうのも、っていけません、あんなことが続いたら須賀君に迷惑が・・でも」  不謹慎な事を考えている自分を戒める和、ならば背負われなくても一緒に登下校する図を思い浮かべるが、直後に苦笑してしまう。 「無理ですね、確か須賀君の家とは離れていますから、ここで一緒になんて・・」  そもそも帰る方向が違うのだから、当然登校するときも道は別々で途中で合流位ならできるかもしれないが、家を出てすぐに合えるわけも無いと諦める和、だがそこに聞こえるはずの無い声が聞こえてきた。 「の~どか~」 (幻聴まで・・須賀君の事を考えすぎでしょうか?) 「お~~~い、和」  だが声は消えるどころかどんどん大きさをましてゆき、そして誰かがこちらに向ってくるのも見える。 「ま、まさか・・」  和がよもやと思っているうちに、きぃぃぃ・・とブレーキ音を上げて和の前で自転車が止まる、乗っているのは先ほどまで想像をしていた相手である京太郎であった。 「す、須賀君、どうして?」 「ああ、迎えに来た・・早く着きすぎたかと思ったけど、ちょうどよかったみたいだな、さぁ・・乗ってくれ」  自分の乗っている自転車の後部座席(と言っても荷物を縛りつけるところにクッションを敷いただけ)をぽんぽんと叩き乗るように言う京太郎、それで和も何故京太郎がここに来たのかを理解した。 「態々迎えに来てくれたんですか!?」 「ああ、昨日の今日だからどうかなって思って、さすがに今日も背負われるのは恥ずかしいだろうから、自転車を用意したんだけど・・嫌だったかな?」 「い、いいえ、そんな事ありません、た・・ただ驚いてしまって」(す、須賀君、態々私のために・・しかも自転車で・・)  一緒に登校できると思っていなかった和にとっては、態々迎えにしかも自分の事を考えて自転車まで用意してくれた事に、驚きはしたが嫌な気分になどなるはずも無い。 「そ、それに須賀君の家から、ここは通り道じゃありませんから・・・」 「良いから、嫌じゃないなら早く乗ってくれ、ああ、鞄とエトペンは前な」  遠回りさせてしまった事を気にする和だが、京太郎は気にするなと言わんばかりに後ろに乗るように急かす。 「あっ、は、はい、それじゃあ・・」  これ以上手間を掛けては悪いと思った和は、京太郎に言われるまま鞄とエトペンを前のかごに入れて、自転車の後ろに乗りこむ。 「それじゃあ、いくぞ、落ちたら洒落にならないからちゃんとつかまっていてくれよ」 「は、はい」  和は後ろから京太郎の腰に手を廻して、落ちないようにしっかりとつかまる。 (うっ・・相変わらず、柔らかい圧迫感が・・・)  昨日と同じく背中にむにゅっと大きな二つの感触を感じつつ、それを誤魔化す様にペダルを踏み込む京太郎。 (・・・やっぱり・・背中大きいですね・・)  和も和で、昨日とは少し違う視点で京太郎の背中を感じていた。 (それにしても、須賀君は・・・どうしてこんなに優しいんでしょうか・・)  お尻の下にあるクッションもずっと敷かれている感じではなく真新しい、おそらくは今朝敷いて縛り付けた物だろうと想像できた、はたして友達だから同じ部活の仲間だからと言って、ここまでしてくれるのかと和は考える。 (もしかして・・須賀君は・・私の)  そんな妄想染みた結論に達しようとした時、京太郎の一言で和は現実に引き戻された。 「そういや、昨日帰ったら衣から電話があって、怪我の事話たけど・・」 (あっ・・・そ、そうでした・・須賀君には天江さんと言う・・恋人が・・)  和は忘れていた、目の前の自分に凄く優しくしてくれる男性には恋人が居ることを、しかもその恋人は自分の友達だと言うことを。 (私は、な、何を考えているんでしょうか・・、だ、駄目ですよね・・こんなんじゃ、友達と失格ですね・・・)  友達の恋人である事を忘れあまつさえ自分の事を・・と想像してしまった事を反省し、自己嫌悪をする和。 「えっ~~と、やっぱり・・言ったら駄目だったか?」  黙っている和を見て、怒っているのかと思った京太郎は恐る恐る訪ねた。 「あっ、い、いえ・・その心配しているんじゃないかなって」 「ああ、気にしているみたいだけど、軽いから今度の日曜か遊びに行くまでには治っているだろうって言っておいた」 「それなら良いんですが、って・・あれ、須賀君に話しましたけ、天江さんの家に遊びに行くこと?」  昨日の話していないし、それ以前も和にそれについて京太郎に話した記憶は無かった。 「えっ・・ああ、優希に聞いたんだよ、今度の日曜に和が衣の家に遊びに行くって」 「そうですか・・」(そういえば、優希は前から須賀君の事が好きだったんですよね)  優希の名前に思い出すのは、衣が恋人と発覚した時の悲痛な泣き声。 (・・・何を考えているんでしょうね、私は・・・あの時は優希の味方にもならず天江さんとの事を祝福したにも関わらず、須賀君は天江さんと仲良く・・・あ・・あれ?)  衣と京太郎の事を考えると、もやもやとしたよく分からない感情が和の中に沸いて出た。 (なんでしょうか・・この気持ちは・・・け・・けど・・)  その気持ちの正体が何かは和には分からなかったが、気持ちの良いものではないのは確かだった。  昼休みは和の足を考え外で集まることはせず、また教室も席が塞がっていたため揃うことが出来ず、結局清澄麻雀部全員が揃ったのは放課後の部活動の時間になってからだ。 「それで、足は大丈夫なのね?」 「はい、もう痛みもありませんから、でも今日はあまり動かさないように思っています」 「それはよかったのぅ」  和から怪我の具合を聞いて、さらに目で見て確認して安心する久とまこ、ちなみに優希と咲は休み時間中に和を訪ねて先に聞いていたので、ここでは特に聞きにいくような事はしない。 「早く治って、一安心だじぇ!」「部長から聞いたときには、凄いびっくりしちゃったけど・・酷く無くてよかったね、原村さん」 「ゆーきも宮永さんも部長もまこさんも、ご心配をおかけしてすみませんでした、それと電話ありがとうございました、嬉しかったです」  心配をかけたことを謝り電話のお礼を言う和。 「当然だじぇ!」「迷惑かなって・・思ったんだけど、どうしても気になっちゃって」 「まあ、わしは一言だけじゃったがのぅ」「あら、言葉数じゃないでしょう、したって事実が大事なんじゃないかしら・・・あら、須賀君、どうしたの微妙そうな顔をして?」  女子部員が話し合う中、京太郎は一人疎外感を覚えて少し離れた位置で話し合いを見守っていた。 「あっ、いや・・俺はその、電話しなかったなって・・・はは」  他の部員達の話を聞いて、していなかった事を悔い苦笑いを浮かべる京太郎。 「えっ、そういう意味では、そ、それに須賀君は送ってくれたじゃないですか」 「その通りだじぇ、京太郎はのどちゃんを助けたんだから胸を張るがいいじょ!」 「そうだよ、少なくとも酷くならなかったのは京ちゃんのおかげだから、電話しなかった事なんて気にしなくても・・」 「和、優希、咲、ありがとうな」  和を始め優希そして咲が、すぐさま京太郎をフォローすると、京太郎は苦笑いを止めて、今度はちゃんとした笑顔を見せた。 「そうね、須賀君はよくやってくれたわ」 「そうじゃのぅ、痛めた足引きずって帰るのも大変じゃ、ところで京太郎、和を家までおぶって帰ったって言うのは本当かのぅ?」 「あっ、はい・・あれ、でも俺言いましたけ、おぶって帰ったって?」  メールでも話でも、和を送ったと言う話はしたが、どうやって帰ったかまでは話していない、仮に知り合いに会ったら、あの状況でも気がつくだろう。 「いや、和は有名じゃからのぅ、それが男子に背負われて送られていたら目を引くのは当然じゃ」 「ああ、私も聞いたじぇ」「そういえば私も、私は足を怪我したって聞いていたから、京ちゃんがそうやって送ったんだって・・」「そういえば私のクラスでもそんな話が・・」  どうやら京太郎が和を背負って帰っていたことは、既に学校ではかなり噂が広がっているようだ、それも当然か和は人目を引くスタイルに顔、それに部活での活躍なども相成って、この学園ではかなりの知名度があった。 「そ、そうなんですか・・・」「あはは・・」  背負われて送られたことが周知の事実だと知り顔を真っ赤に染める和、京太郎もまさかそこまで早く広く知れ渡るとは想像しておらず苦笑するほかなかった。 「中にはその二人が付きって・」 「そんな訳ないじゃないですか!」  まこが耳にした噂話を続けようとした瞬間、和が叫んでその話を止めた。 「の、和!?」「のどちゃん?」「原村さん?」「和?」「えっ・・えっ~と」  今まで普通に話していたはずなのに、和の豹変に和を除く全員が驚いてしまい妙な空気が流れる。 「・・・あっ、す、すみません、私・・大きな声で」  そんな雰囲気を感じ取った和は、叫んでしまったこと謝る。 「あっ、いや・・わしも悪かった、気持ちいい話じゃないからのぅ」  叫んだのは不快にさせたからだと考えたまこは、噂を話した事を即座に謝罪する。 「い、いえ・・た、ただ、須賀君には天江さんって言う恋人がいるのに、そんな噂をされたら・・須賀君が迷惑だと・・」(平気じゃ・・ないですよね・・) 「いや、俺は・・」  衣と京太郎の関係を気にする和はちらりと京太郎の表情を窺う、そんな京太郎が何かを答えようとしたそんな時、久がパンパンと手を打って全員の注意を自分に向けた。 「はい、終了、噂話はここまでよ・・いいわね皆」 「は、はい」×5  これ以上、この雰囲気を引っ張るのもどうかと全員が思っており、久の言葉がちょうど良い区切りになり噂の話はここで終わりを迎えた。 (和は恩人である須賀君に迷惑かかるのが嫌だったのよね・・) (はぁ、注意せんとのぅ、京太郎と天江との関係が悪くなるような事言うたら怒るのは当然じゃ・・)  久とまこは噂によって、京太郎と衣に迷惑が掛かるから和が怒ったと思っていたが、約二名は・・京太郎の恋人である優希と咲は違う事を可能性を考えていた。 (のどちゃんの京太郎を見る目・・たぶんだじぇ)(原村さん・・・たぶん京ちゃんの事を・・)  優希と咲が感じたもの、それは和自身が気付いていない、京太郎を見る時に瞳から漏れた熱く淡い色であった。 「あっ~和、ちょっと待ってくれ」  部活が終わり、一人で帰ろうとする和を京太郎が呼び止めた。 「す、須賀君・・その私に何か御用ですか?」 「良かったら送ろうと思ってさ、足治りかけなんだから、今痛めたら大変だろう?」  送る、その言葉に一瞬微笑む和、だが部活中にまこが話していた噂が和の笑みを曇らせ、躊躇させる態度をとった。 「でも、また噂が・・」(あんな、噂が広がっては須賀君にご迷惑が・・) 「俺は気にしないがな、言わせたい奴には言わせておけって、あっ・・でも、和が嫌なら止めておくけど」 「い、いえ、そ、その・・須賀君がご迷惑でないなら・・送ってもらいたいです」  最後の最後に和の本音がぽろりと漏れた、その言葉を受け京太郎は満足げな笑みを見せる。 「迷惑な訳ないだろう、自転車とって来るから校門で待っていてくれ」 「は、はい・・」  自転車を取りに行く京太郎を見送り、和は一人校門に向けて歩き出す。 (迷惑な訳が無い・・・ふふ、須賀君は優しいですね、良かった・・本当は一人で帰るのが凄く寂しくて、今日も須賀君と一緒ですね・・・)  噂話など気にしなくて良い、なんの話をしようか、また背中にもたれ掛かっても良いかな等、和は期待に胸を高鳴らせる。 「須賀君に恋人が居なければ、こんなに悩まずに帰れたんでしょうね・・・・えっ?」  校門に差し掛かった時、ふと口から漏れた言葉に和は我が耳を疑った。 「私は・・・何を・・・なんで・・そんな事を?」  一度は祝福した関係を無ければ良いと、そんな意味にすら取れる言葉、天江衣は友達で幸せならば良いはずなのにそれが無ければ良いと、そんな意味に取れても仕方ない言葉、何故そんな言葉を口にしてしまったのか和は自分自身が理解できない、だが。 「おう、お待たせ」 「す・・すが・・くん・・?」(あれ・・こ、これは・・この感じは・・ま、まさか・・)  和の目の前に自転車を押した京太郎が現れた瞬間、ドクと心臓が大きな脈打つ音と共に全身に衝撃が走り、和は何故そんな言葉を零してしまったのかを理解する。 「どうした和、何かあったか?」 「えっ、い、いえ・・なんでもありません、そ、それよりも行きましょうか、あまり話し込んでいると遅くなってしまいますし」  ぼうっとしている和を見て京太郎が何事かと尋ねると、和は慌てて首を横に振って、早く帰ろうと急かす。 「うん、ああ・・そうだな、よっと・・それじゃあ和も」  和の言う通りあまり遅くなったら大変だと思い、京太郎は先に自転車に乗り和に乗るように指示を出す。 「はい、それではお言葉に甘えて」  朝と同じように鞄とエトペンを前かごに入れ、和は自転車の後部座席に乗り込み京太郎の腰に手を廻してしっかりと掴んだ。 「それでは・・家までお願いします」「おう、任せとけ」  和に頼まれ京太郎は勢いよくペダルを漕ぎ出す、力強く自転車を漕ぐその背中に和は目が離せず、ゆっくりともたれ掛る。  引っ付いて感じる熱と微かだが確かな京太郎の匂いに、京太郎が近くにいると認識すると、和の胸の鼓動はたちまち早くなる。 (私、須賀君が好きなんですね)  あの時、見た瞬間に感じた答え、それが間違いないのだと和は改めて認識する、好きな人の側にいる、好きな人の自転車の後ろに乗っている、そう思うと和はとても幸せな気分に包まれる。  だが幸せな気分とは裏腹に、とても辛く悲しい事実に気付く和。 (・・・でも、須賀君には天江さんと言う・・恋人が・・)  友達の恋人を好きになる、それは和にとって裏切りに近かった、勝負ならば諦めないだろう、でもこれは始まる前に終わっている、友達を裏切れない和には京太郎は手が届かない、いや届いてはいけない人物だった。 (だから・・私はあんな事を・・・)  もしも二人が恋人でなければ、などと考えてしまった、そんな自分自身が和には許せなかった、だから決意する。 (諦め・・ないと・・・、須賀君と・・天江さんが・・気付く前に・・でないと・・私は)  もし二人に気付かれたら、きっと今までのような関係ではいられなくなる、そんな恐れが和を駆り立てた。 (なのに・・なのに、どうして・・・どうして、須賀君に触れていると、幸せで嬉しくなってしまうんですか・・・?)  決意すらあっさりと流れてしまいそうになるくらい、好きな人に触れているその事実が幸福を感じさせる。 (ごめんなさい須賀君、ごめんなさい天江さん、今だけは・・今だけは)  心の中で謝罪を繰り返しながら、家までの僅かな時間とても辛い幸せを、和は噛み締めるように味わうのだった。 「諦めましょう・・・そうしましょう・・・そうすべきです・・」  その言葉を繰り返すのは、家に帰ってきて何度目か和は覚えていなかった、少なくとも十回以上は繰り返していた、それでも京太郎の事が頭から離れない、それどころか繰り返せば繰り返すほど思いは強くなった気がする。 (どうすれば・・良いんでしょうか)  恋で思い悩んだことなど無い、だからどうすればいいのか分からない、考えた末に思いつくのは誰かに聞くと言う単純な答えだった、その時脳裏に浮かんだのは・・・一番の友達で、かつて同じ相手に想っていたであろう親友。  和は携帯電話を手に取り、メモリーから相手の番号を呼び出して、そのまま通話ボタンを押した、何度かのコールの後、繋がって相手の声が聞こえた。 『のどちゃん、どうしたじぇ?』  聞きなれた優希の声が聞こえて、それだけでとても気分が落ち着く和。 「ゆーき、すみません、こんな夜分遅くに」 『良いって、のどちゃんならいつでも大歓迎だじょ』 「ありがとうございます」 『でものどちゃんがこんな時間にかけてくるのは珍しいけど・・何か用事か?』 「は、はい、じ、実はですね・・えっ~と・・」  喜んでいる場合ではないと思い直し、和は少し悩みながらも話し始めた。 「そ、その・・ですね、仮にですがある女子生徒がある男子生徒を好きになってしまったんですが、その男子生徒には恋人がいて、その恋人は女子生徒の友達で、その場合女子生徒はどうすれば良いと思いますか?」  もはや仮定にする意味も無い気もしたが、自分と京太郎、そして衣の名前を出すのをためらう和、それを聞いた優希は少し考え、そして和に訊ねた。 『・・・その子はどうしたいんだじぇ?』 「えっ、それは・・」  優希の思わぬ言葉に戸惑う和、でも少し考えればそれは当然の事、どうしたいかが分からなければどうすれば良いのかなど分かる訳も無い。 『・・・諦めたいなら、目の前で仲良くしているところを見せてもらえばいいじぇ』 「そ、そんな事・・・」  黙りこんでいる和を見兼ねたのか、優希が口にした案はとても信じられないもの、だが完全に否定は出来ない、諦めるならばそれはもっとも有効的な方法に思えた。 (そんな事をお願い・・できるんでしょうか・・・)  想像する、じゃついて甘える衣を優しく抱きしめる京太郎、辛い、好きな相手が他の相手を見て自分を見てくれない、そして友達の幸せを素直に喜べない、和にとってそれもまた身が張り裂けんばかりに辛かった。  想像するだけでもこれほど、本当に見せられたらどうなるのか、そしてもう一つ心配があった、それは。 『それでも相手が好きなら・・・』 「!?」(な、なんで、どうして、ゆーきがその事を!?)  優希の言葉に驚く和、それもそうだろう、優希が口にしたのは和が心配していた事、まさにそれであったからだ、いつの間にか自分の口から漏れていたんだろうか、そんなことすら考えてしまう、でも、今はそれよりも重要なことがあった。 「そ、それでも・・・好きなら、どうすれば良いんですか?」  全神経を耳に集中させる、優希の答えを一文字たりとも聞き逃さないように、そして帰ってきた答えは。 『それでも好きなら、その男子生徒と恋人の前で好きって言えばいいじぇ、そうすればきっと上手くいくじぇ!』 「えっ・・・・」  和にとって信じ難い、いや考えられない答え。 「そ、そんな事できる訳無いじゃないですか、そんなことで上手くいく訳ありません!」  上手く行くところなど想像できないし、想像したくもなかった、どう進もうともその後に待つのは、衣と二度と友達に戻れない、最悪の場合どちらも失う。 『きっと大丈夫だじぇ!』  和に優希の真意はわからなかった、ただ自分の相談がぞんざいに扱われた気がした。 「簡単に・・・簡単に言わないで下さい、私は真剣なんです!」 『の、のどちゃん・・お、おちつ・』  我慢できず叫んでしまう和、突然の事に優希も電話の向こうで慌てふためき、話しかけようとしたが。 「もう結構です!」  和は怒りに任せて電話を切り、そのまま電源も切る。 「ゆーき・・・」  悲しそうに携帯電話を見つめて、それすらも堪れなくなった和は携帯電話を机に置いてベッドにゆっくりと倒れこんだ。 「・・・・はぁぁぁぁぁ」(どうすれば良いんでしょうか、どうすれば諦められるんでしょうか?)  天井を見上げて長い溜め息をつく和、当然直ぐに答えなど出ない。 「ゆーきは・・どうして・・・あんな冗談を・・」  どう考えてもふざけた冗談にしか聞こえなかった、でも・・それでも優希の言葉を全て思い出せば、どうにかなりそうなヒントはあった。 「・・天江さんと須賀君の・・・仲睦まじいところを・・・」  見るのは無理だろう、見せてくれとは恥ずかしくて言えないし、言いたくも無かった、だから考えた末に辿り付いた答えは。 「・・・話を聞く位なら・・・」  それが自分のできる最大の事だと思い、和はゆっくりと眼を閉じた。  その週の日曜日、和は咲と共に衣の邸を訪れた。 「良く来たなノノカ、咲、歓迎するぞ、さぁ入ってくれ、ここが衣の部屋だ」  二人を先導して、戸を開けて自分の部屋に招きいれる衣。 「はい、おじゃましますね、うわぁぁぁ、凄いですね」 「この前は入らなかったけど、衣ちゃんの部屋も大きいんだね・・・あっ、でもごめんね、私まで急に来ちゃって」 「あっ、す、すみません、人の家なのに私が無理に誘ってしまって」  衣と二人っきりになると、どうにも気まずくなってしまいそう和は、今朝になり急遽咲に連絡して一緒に来てもらった。 「よい、咲なら何時でも歓迎するぞ、もちろんノノカもな!」  突然の人数変更にも関わらず、増えることに関して文句は無いのか衣はずっとにこにこと笑っていた。 「ありがとう衣ちゃん」「ありがとうございます、天江さん・・・あっ、あれは・・」  お礼を言った直後、和の眼に留まったのは沢山のぬいぐるみの中でも一際目立つ、衣の恋人から送られたであろう大エトペンだった。 「京ちゃんからのプレゼントなんだよね、いいな・・」 「そうだ、これが大エトペン、京太郎から貰った最初のプレゼントだ、げーむせんたーでとってくれたんだ」  京太郎の話をする衣は、先ほどに輪をかけて嬉しそうで楽しそうに、その時の思い出を語る。 (幸せ・・そうですね、天江さん、やっぱり・・大好きなんですね・・・) 「羨ましいけど、広い家じゃないと置けないよね原村さん・・・原村さん?」 「えっ、あっ・・は、はい、そうですね、私はやっぱりこの子の方が・・」  衣との約束通り、自分が試合中に持っている愛用のエトペンを差し出す和。 「衣にとってはどっちも大切なエトペンだ、それがなければノノカと友達になることもできなかったからな」  にこにこと笑顔で話す衣を見て、和は胸が痛むのを感じた。 「そうですね・・この子のおかげで、私と天江さんは友達になれたんですよね」(でも・・今、私は・・そんな友達を・・・)  考えたくは無いが、自分が抱えてしまっている思いが、裏切りだと思えてしまう和。  和が思い悩んでいると、開いている扉がノックされてハギヨシがお茶とお茶菓子を持って入ってきた。 「失礼します、衣様、お茶の用意ができました」 「おっ、できたか、さぁノノカ、咲、一緒にお茶にしよう」 「うん、そうだね」「は、はい・・・えっ~と、エトペンはここで休んでいてね」  汚れが付かないように、自分の持ってきたエトペンを大エトペンの横に和はそっと置いた。 「お茶菓子が羊羹なので緑茶しようと思いますが、宮永様と原村様はよろしかったでしょうか?」  三人が席に着くと、それぞれ三人の飲み物について伺いをたてるハギヨシ。 「あっ、は、はい、そ、それでお願いします」「・・はい、お茶で」  咲はまだハギヨシに慣れていないのか少し緊張気味だったが、和は特に怯まず、むしろそれどころでは無いのか短い返事だった。 「畏まりました」  執事として衣の好みは把握しているため、衣には何をするか伺いをたてず、ハギヨシは緑茶を入れて、お茶菓子共にそれぞれの前に置いた。 「ごゆるりと」  全てが滞りなく終えると、ハギヨシはお辞儀をして部屋を後にした。 「ふぅ・・あはは、執事さんにお茶を淹れて貰うことなんて無いから緊張しちゃうね、原村さん」 「えっ・・あっ、そ、そうですね」  慣れていない事態に、咲は緊張を解そうと苦笑いを浮かべながら和に話しかけたが、反応は思わしくなかった。 (原村さん、やっぱり少し変だよね・・やっぱりアレだからかな・・)  いつもと様子が違う和、初めて衣の家に来た緊張かとも思った咲だが、どうも違う様に思え、ふと・・部活で噂話を聞いた時の和の様子が咲の脳裏に過ぎる。 「ノノカ、咲・・・どうした、もしかしてノノカも咲も羊羹は嫌いか?」  折角のお茶菓子を前に黙り込んでしまった和と咲を見て、衣は自分が用意させたものが駄目だったのかと思い表情を曇らせる。 「えっ・・ううん、違うよ、羊羹好きだよ、ただ、こんなお城みたいな・・っていうか、お城だとケーキと紅茶ってイメージが」「わ、私も・・宮永さんと同じで」  理由を話すわけにもいかない咲は、適当にそれらしい理由を言って誤魔化し、和もまたそれに乗っかって誤魔化す。 「そうか、それなら良かった・・・でも、京太郎にも似た事を言われたな、でも和菓子には緑茶だとも言っていたぞ」  二人が嫌がっていないことに安心した衣は、初めて京太郎を家に連れてきた日の事を思い出した。 「京ちゃんも似た事を・・ふふ、そっか、うん、確かにこのお茶美味しいね、この羊羹も」 (須賀君も・・ここで・・当然ですよね、恋人・・なんですから・・)  衣の口から出た名から想像するのは当然同じ人物だが、咲は同じような考えをしたことが嬉しいのか笑顔で羊羹を頬張り緑茶を楽しむ、一方の和は衣と京太郎が楽しく話している場面を想像すると、胸に微かに痛みを感じた。 (でも・・諦めるためにはちょうど良いのかも・・知れませんね、よし・・)  友達の恋人を好きになるという状況、本来ならば直ぐにでも諦めるべきなのだろう、それでも思いが消えないのは、思いが強すぎるのか、ただ単に諦めの悪い性分なのか、いずれにしろこれで終わる、そう思い決意をした和はゆっくりと口を開いた。 「・・あの、天江さん、その・・須賀君とはどう言うお付き合いをしているんですか?」 「それで、その時に貰ったぬいぐるみがこれだ、大エトペンと同じくらい大切な宝物だ」  雄弁な口調で、つまることも無く、聞いてもらえるのが嬉しいのか笑顔で楽しそうに京太郎との日々を語る衣。 「そうなんだ、良いな・・」 (楽しそうな話、とても幸せそう・・だから壊しちゃだめなのに、それなのに・・)  咲は時折相槌を打ちながら、時々羨ましそうに眼を輝かせていた、そして・・決意を持って聞き出した和は辛い気持ちを押し殺しながら黙って話を聞いていた、そしてそんな和の態度に衣も気付かない訳も無く。 「・・・ノノカは衣と一緒にいて楽しくないか?」 「・・・えっ、い、いえ・・・あっ」  突然衣に訪ねられて否定しようとした和だが、先ほどまで楽しそうに笑顔で話した衣が今にも泣き出しそうな表情をしているのを見て言葉に詰まる。 「衣は、衣は折角ノノカと友達になれたのだから、もっと仲良くしたいと思う・・だけど、ノノカは違うのか?」 「そ、そんな事・・・」 (わ、私は・・私は、何をしているんですか、こんな、こんなに天江さんを不安にさせて・・これじゃあ、友達失格ですよ・・・)  友達に嫌われるのを恐れて、恋を諦めるようと話を聞いて、それで諦めきれず想いが募って、それで・・・今、自分がしている表情が分からない和、ただ・・一つわかるのは、きっと酷い顔なのだろうと言うことだけ。 「ノノカは・・衣の事が嫌いか?」 「ち、違います、好きだから、友達で居たいから、だから須賀君の事を・・・あっ」  嫌っている、一番思われたくなかった事を聞かれて、思わず叫んでしまった和。 「ノノカ・・」「原村さん・・・」  衣にも、そして近く居たある程度予想していた咲もまた驚いていた。 「・・・すみません、私・・最低です、天江さんが居るのに、須賀君の事を好きになってしまって、諦めようと思っても諦めきれずに・・・それで、話を聞いて、それでも・・」  言葉と和の眼からは涙が零れ落ちる、抑えていたものが無くなり、全てをあふれ出すように語る和。 「諦め切れませんでした、すみません・・ごめんなさい・・」  涙を流して謝る和に、咲は何も言えず黙り込んでいた、だが・・衣は。 「ノノカ、衣はな・・京太郎と愛し合っているのだ、言葉だけでも思いだけでもなく、唇も体も性も重ねて・・」  耳を塞ぎたい衝動に駆られる和、だがここで耳を塞げば一生京太郎への想いが断ち切れない気がして、耳を塞がずに顔を伏せて衣の言葉を聞いていた。  衣が語る京太郎との秘め事は、和が想像していたものとは違い、抱かれる幸せや気持ちよさだけではなく、破瓜の痛みや精液の独特の味や匂いにも触れられた、生々しい内容であった。 「そうして京太郎と情交を交わした後は、全身全霊・・全てをとても満たされたとても心地よい幸せを感じられる」 (天江さんは本当に・・須賀君とそれほどだ・・なんて、それに今話している天江さんは幸せそうに・・・ここまで話してくれたんだから、もう・・納得ですね)  衣と京太郎は自分が思うよりも深い仲になっていたことに驚愕する和、それと同時にそこまで話させてしまったのだから無理やりにでも自分を納得させようとした。 「ノノカ・・・」  短く和の名だけを呟く衣、その言葉で何を問いたいのか和には理解できた。 「・・天江さんがどれほど須賀君の事を愛しているのかわかりました、だから・・私は・・あ、あ・・あき・・あき・・」  和はそれ以上言葉を続けられなかった、頭では納得した筈だったが、その答えを心が拒否していた、その証拠と言わんばかりに、ぽたりぽたりと涙がほほを伝い零れ落ちた。 (涙・・・私・・こんなにも諦めが悪かったんですね、それとも意思が弱いんでしょうか?)  叶わぬと分かった想いを抱えて、それでも諦めきれない和の目から流れる涙は、自分の弱さを嘆いてか、それとも想いの強さからか。 「ノノカは諦めきれないか、衣と京太郎の秘め事を・・情交の話を聞いても?」 「す、すみません、初めてだから・・なんて言い訳なのはわかります、わかっているんです、こんな想いを持っちゃいけないって、本当なら怒られて絶縁されても不思議じゃないのに、天江さんは丁寧に話してくれて・・それなのに・・」  既に全て知られてしまったので、飾るのも見栄を張るのも止めて、本音を口にする和。 「先ほどの衣の話を聞いて、どう思った・・・率直に申してみろ」 「羨ましかったです、凄く痛そうな部分もありました・・だけど・・・それでも、それを上回る幸せや喜び・・私も感じてみたいと思いました・・」  隠すことは欠片も無い、全て出し切った和は黙り込んだ、自分が出せるものは全て出した後は衣の意志に委ねるだけ、友達を止められてとしても仕方ないと覚悟をしながら。 「なら、衣と一緒に京太郎の恋人になるか?」 「は・・はい、えっ・・い、今なんて?」  反射的に返事をしたものの衣の口から出た言葉が信じられず、和は顔を上げる真っ直ぐに衣を見つめる。 「そこまで揺ぎ無い気持ちを持っているのならば、京太郎の恋人の輪に加わるかと・・問うたのだ」 「そ、そんな・・そんな事、できるわけ無いじゃないですか、それにそんな無茶苦茶事、須賀君だって納得しませんよ!」 「確かに、決定権は京太郎が持っている、だけどノノカなら大丈夫だと衣は思うぞ、咲もそう思うな?」 「うん、そうだね、今の言葉聞いていたら大丈夫だって思えてきたよ」  衣が笑顔で和の隣にいた咲を見ると、咲も笑顔でその意見に同意した。 「・・・宮永さんも、す、須賀君の・・ふ、複数人の恋人なんて納得できませんし、そんなオカルトありえません!」  オカルトではないのだが、それが分かるほど今の和は冷静ではない。 「和は衣や咲と、京太郎の恋人になるのは嫌か?」「原村さんは嫌かな?」 「えっ・・そ、そんな事は・・け、けど、そんな話信じられません・・」  諦めきれない想いを抱えて友達も恋もどちらも選べず、どちらも得られる選択肢があるのならば和にそれを否定する事など出来ようはずが無い。 「ならば良い、それなら今から京太郎にお願いしてきてもらう、京太郎が良いと言えばノノカも納得するのだろう?」 「えっ・・あっ、は、はい・・・それはもちろん」  衣と咲がここまで好意的にしてくれているのだ、完全信じられないとは言え、もしも京太郎が良いといってくれたらと考えれば、全ての問題は解決する、そう思えば和は首をたてに振る他無い。 「よし、今から電話して京太郎を呼んでくるぞ、待っていろ」  善は急げと言わんばかりに、衣は椅子から立ち上がって部屋を出ようとした。 「ま、まってくだ・」  心の準備が出来ていないのか衣を止めようとする和、その瞬間、ガチャと大きな音と共に戸が開いた。 「誰だ?」「ハギヨシさん?」「えっ!?」  三人が三人とも執事であるハギヨシが戸を開けたのかと思ったが、入ってきたのはハギヨシではなく別の男性、三人は驚いて相手の名を叫んだ。 「京太郎!」「京ちゃん!」「須賀君!」 「よ、よう・・衣、咲、和」  三人が見たのは、反省した様子で部屋に入ってきた京太郎であった。 「京太郎!」「おっと!?」  相手が京太郎だとわかると、驚くのも忘れ衣は部屋の入り口まで走っていって飛びついた。 「ど、どうして京ちゃんが、こ、ここに?」 「えっ~とな、実は・・一昨日、ここに泊まって、昨日帰ったんだけど忘れ物してな、今日とりにきて、それでハギヨシさんに聞いたら、咲と和が遊びに来ているって聞いて、それで一応声をかけようとしたけど、なんか覗いたら妙な雰囲気で・・」  衣を抱きかかえたまま、京太郎は咲と和が座っている所まで行き、短めにここにいる理由を話す。 「そうなんだ」「つまり京太郎は話を聞いたのだな?」 「えっ、ああ・・まあな、和がその・・俺の事を好きとか言うあたりから・・」  嘘を付くわけにも行かず、本当の事を素直に話す京太郎。 「須賀君・・」 「あっ、ごめんな和」  名を呼んだ瞬間謝られて、和はハンマーで頭を殴られるより凄まじい衝撃を受けた。 「そ、そうですよね、いきなり好きなんていわれても須賀君には、そんな気もないし、天江さんや宮永さんの様な素敵な恋人がいるのに・・・私なんて」 「えっ・・?」  和の表情は完全に悲しみに染まっていた、当然だろう今のタイミングでの謝罪が如何様な意味に取れるかと言えば、完全に断れた風にしか取れない。 「京太郎が悪いぞ・・」「そうだよ、あんなタイミング謝っちゃったら、勘違いされても仕方ないよ」  いくら恋人として京太郎の見方の衣と咲だが、流石に今のミスはいただけないのか非難の視線を京太郎に向けた。 「わかっているって、はぁ・・えっ~とな違うぞ和、今謝ったのは盗み聞きした事をだからで、和の告白の返事じゃないからな・・・」  自分でも最悪のタイミングに反省しながら京太郎は、先ほど口にした謝罪の理由を話す、すると和も驚いた様子で悲しい表情を止めて、じっと京太郎を見つめた。 「ほ・・・本当・・ですか?」 「ああ、だから変な誤解をさせてごめ・」 「ま、まってください、謝罪はもう良いんです、だ・・だから・・い、今から伝えることの答えを、お、教えてください!」  更なる謝罪を口にしようとした京太郎を、もう謝罪は聞きたくない和は慌てて止め交換条件を出す。 「・・・わかった」  和が何を言いたいのか京太郎も理解していた短く返事をすると、衣と咲も和が何をするのか理解して京太郎から離れる。 「す、少しだけ、まってください・・すぅ・・はぁ・・すぅ・・はぁ」(落ち着いて、ちゃんと伝えないと・・でも、断れられたら・・また謝られたら、ああっ、お、落ち着けません・・)  鼓動が高鳴る連れ不安も大きくなる、先ほどの勘違いがもしも現実になってしまったらと、悪い考えばかりが浮んできて落ち着く為の深呼吸も意味をなさない気がしてきた、 そんな時に和の眼に飛び込んできたのは、京太郎の後ろで和に笑いかける衣と咲、その笑顔を見ているとあれほど大きかった不安は一気に影を潜めた。 (そうですね・・天江さんと宮永さんが大丈夫と言ってくれたんです、不安がってばかりは居られません、それに・・この気持ちはちゃんと伝えたい、だから!)  大切な友達の言葉が、和に大きな不安消し去る勇気を与え、和は笑顔で京太郎の目を真っ直ぐに見つめて、口を開いた。 「私は須賀君の事が好きです、その・・だ、男性として好きなんです、須賀君はどうですか・・・私をあなたの恋人の一人にして頂けますか?」  大きな希望と微かな不安、一世一代の和の告白に京太郎もまた和を真っ直ぐ見て答える。 「俺も和が好きだぞ、これからは恋人としてよろしくな」  京太郎の答えを聞いて、しばらく黙り込む和は無言のまま、眼から大粒と涙をぽろぽろと零れさせた。 「の、和!?」 「あっ、す、すみません・・・天江さんや宮永さんに言われて、大丈夫だとは思っていたんですが、実際に恋人になれたかと思うとう、嬉しくて・・・ふふ」 「そうか・・なら良いんだけど」  和は感極まって溢れた涙を拭いてとても嬉しそうな笑顔になる、理由を聞いてその顔を見た京太郎もまた安堵して笑う、すると京太郎の後ろからパチパチと拍手が聞こえてくる。 「おめでとうノノカ!」「原村さん、よかったね・・おめでとう!」  衣は笑顔で、咲はもらい泣きをしたのか少し涙目になりながら、新たに自分達と同じ立場にたった和を祝福して歓迎した。 「天江さん、宮永さん、ありがとうございます、お二人の言葉があって私は・・ありがとうございました」  衣と咲に深々と頭を下げてお礼を言う和、そんな態度に衣と咲は顔を見合わせて苦笑した。 「それほど恐縮するな和、これからは和も衣達と同じく京太郎の恋人なんだぞ」「そうだね、だからそんなに畏まらないで」 「・・・わかりました、では・・よろしくお願いします、天江さん、宮永さん」 「これからも仲良くしようね原村さん」「うむ、もちろんだ、では・・まず、京太郎!」  恋人仲間として改めた挨拶を終えると、衣は京太郎に飛びついて顔を近づけてゆく。 「はいはい、わかりました・・お嬢様」  突然の事に関わらず、京太郎は直ぐに衣をリクエストに答えて、優しく唇を重ねる。 「ふふ・・やはり接吻は良いな」「あっ、衣ちゃん・・良いな、私にもして・・京ちゃん」  重なり合っていた唇が離れると衣は嬉しそうに微笑む、それを羨ましそうに見ていた咲はすぐさま京太郎に近づいてキスを求める。 「ああ、良いぞ」  積極的に求める咲に答えて、今度は咲と唇を重ねる京太郎。 「あっ・・」(ふ、二人とも、あ、あんなに簡単に唇を・・・・キスか良いですね、私も・・で、でも・・こ、恋人になったばかりで、は、はしたなくないでしょうか・・)  して欲しいと思う心と、行き成り求めて断られたらどうしょうと思う心、その二つがぶつかり合い、どうしても衣や咲の様に積極的に持てる事はできない和。 「ふふ・・京ちゃんのキス・・やっぱり良いな」「ああ・・うん?」  咲とのキスを終えた京太郎は、羨ましそうに見つめる和に視線に気がついた。 「衣、咲、ちょっとごめんな・・」「わかっている」「そうだね」  京太郎が何を思ったか理解している衣と咲は、京太郎から離れて和のほうを見た、自由になった京太郎もまた和を見る。 「どうした和?」「うっ、わ、わかりませんか・・・その・・」  ちらちらと京太郎の唇を見る和、その視線も何をして欲しいかも分かっている京太郎はおかしそうに笑った。 「い・・意外と意地悪なんですね、須賀君って・・・」 「悪い、和・・キス・・するぞ」  ほんの少し恨めしそうな眼を向けられて軽く謝った京太郎が、ゆっくりと和に顔を近づけてゆくと、それに答えるように和は無言で眼を瞑り、二人の唇が重なり、そして離れる。 「どう・・・だった?」 「は・・はい、須賀君の・・唇の暖かさと・・それにか、感触と・・えっ~と、あとはその・・す、すみません、上手く説明できなくて、け、けど、・・う、嬉しくて顔や胸が温かくなって、し、幸せです」  念願の恋人になれ、そして初めてのキスに感動のあまり上手く言い表せず戸惑う和だが、京太郎にはしっかりと和の喜びが伝わっていた。 「京太郎、もう一回・・してくれ、今度はあっちを・・」「京ちゃん、私も・・・」 「わかった・・和はそこで見ていてくれ」  余韻に浸り自分の唇を指でなぞっている和はこくりと頷き、京太郎が衣にもう一度キスをするのをじっと見ていた、先ほどと同じように二人の顔が近づき唇が重なる、だがそこからが違っていた。 (あっ・・、こ、これは・・天江さんが言っていた、・・深い接吻・・・)  静かな室内に微かに聞こえる、液体が混ざり合うような音、時間も内容も先ほどの唇を重ねるだけのモノとは違う濃厚なキス、衣は頬を染めてうっとりした表情で京太郎から離れる、するとすぐに咲が京太郎に近づいて唇を重ね、衣と同じように深く濃厚なキスを交わす。 「はぁはぁ・・」(天江さん、あんなに気持ち良さそうに・・宮永さんも、そ、そんなに凄いですか!?・・いいなぁ・・)  本人も気付かぬ内に和の息遣いが荒くなっていた、痛む嫉妬の気持ちは無く、ただ目の前の光景を羨ましそうに見つめていると、キスを終えて咲の唇がゆっくりと京太郎の唇から離れた、このチャンスを逃すまいと和は一歩踏み出す。 「す、須賀君・・その、わ、私にも・・してくれますか・・・?」(私・・凄いことを・・)  一度してしまったからだろうか、それとも他の恋人達がしているのがあまりに素敵に見えたのか、和は自分で驚くほど簡単にキスを求めていた。 「もちろん、俺は最初からする気だぞ」「あっ・・・」  京太郎の返事に嬉しそうに声を上げる和、目を瞑り先ほどと同じように京太郎の唇が和の唇に重なり、そして・・唇を割って京太郎の舌が和の口内に侵入して、舌が動く。 「んん!?」(こ、これが・・本当に全然・・ち、違いますね・・、こんなに凄いなんて・・、意識が全部・・もっていかれそうな・・・)  ある程度の覚悟はしていた和だが、それをあっさりと上回ってしまうほどに凄いキスに、緊張も意識も全てが溶けてなくなってしまいそうな感覚を覚える。 (あっ・・駄目です・・須賀君にも・・気持ちよく・・)  されるがままでは駄目だと思った和は、舌を京太郎の舌に絡めて・・京太郎の口内を舐めようとしたが、やはり初めて勝手が分からず、さらに予想以上の衝撃に直ぐに抵抗も出来ずなすがままになる。 「・・・ふぅ・・おっと、大丈夫か?」「はぁ・・はぁ・・はぁ・・なん・・とか」  唇が離れると同時に和は荒い息を吐きながら崩れ落ちる、京太郎は和を優しく抱きとめて笑いかけた。 「原村さん、京ちゃんのキスにめろめろだね・・」「あの凄いのを受ければ至極当然、京太郎、ノノカをベッドに運んだ方が良いのではないか?」 「えっ、ああ・・そうだな、和少し体勢を変えるぞ・・」「はぁはぁ・・はい・・」  このまま運ぶのも大変なので、京太郎は和をお姫様抱っこして衣に言われたとおり部屋の片隅にあるベッドまで運ぶ。 「よっと、大丈夫か?」「はい、お姫様抱っこ・・少し恥ずかしいけど、嬉しかったです・・・」  運ばれた和はベッドに仰向けで置かれて、照れくさそうにはにかむ。 「そうか・・で、ここに運んできたのはやっぱり・・するんだよな・・」  和を休ませる意味合いもあるのだろうが、それだけは無いと思っていた京太郎は運ぶように言った衣に訪ねた。 「衣は・・したいぞ、さっきの接吻で・・」「私も・・京ちゃん・・駄目かな?」  潤んだ人見で京太郎を見つめる衣と咲、どちらも先ほどのキスでスイッチが入ってしまったようだ。 「駄目な訳ないだろう、俺もあんまり我慢できそうに無いからな、和は・・」 「私も・・し、したいです、天江さんから聞き及んだ事、私も話のように抱かれ・・須賀君の暖かさを感じたいと、その時は許されないと思いました、でも今は可能だから、許されるな・・して・・ください」  和はゆっくりと体を起こして懇願する、衣や咲同様キスで気持ちが高ぶったのもあるのだろうが、やはり先ほど衣から聞き及んだ事は魅力的に感じていたのだろう、届かぬと思ったものが届く位置に来た、叶わぬと思っていた事が叶うのだ、望むのは当然、願うのは必然。 「わかった、じゃあ最初は和からで良いか」  和の願いを受け、更に今日が初めての事もあり和を最初にと提案する京太郎。 「えっ、わ、私は最後でも・・み、宮永さんと天江さんの方が先輩で・・」  想いを遂げられるだけでも十分すぎると思っていた和には、先に恋人になった衣や咲を差し置いてまで自分がしてもらっても良いのかという迷いがあった、しかし。 「私は何番目でも良いよ、折角だからしてもらった原村さん」 「そうだな、心底より懇願し・・あの話を聞いても逃げぬ、諦めぬ想い、想いを告げて今直ぐにでも結ばれたいと思うは必然、衣も異論は無いぞ」  恋人として先輩である二人は、その狂おしいほどの気持ちを理解できるのか、京太郎の意見を採用して順番を和に譲る。 「宮永さん・・天江さん・・ありがとうございます、・・す、須賀君・・いいえ、きょ、京太郎さん・・とお呼びしても良いですか?」  二人の優しさに甘えることにした和は、京太郎に名前で呼んで良いかどうかを確認する。 「ああ、衣みたいに呼び捨てでも良いけど・・」 「い、いいえ・・京太郎さんと呼ばせてください、それであの・・京太郎さん、わ、私を・・だ、抱いていただけますか?」  呼び捨ては気が引けるのか、それとも照れくさいのかは不明だが、名前で呼ぶ事を良しとされた和は、嬉しそうに京太郎を名で呼びながら照れくさそうに情交を願いでる。 「ああ、じゃあまずは・・脱がないと・・・」「じ、自分で・・あっ・・」  自分で脱ごうとした和だが、京太郎はそれをキスで止めて、和の上着を脱がしてシャツのボタンを順番に外してきて、全ての終えるとシャツをゆっくりと脱がせ唇を離し、和の体を・・一番目立つ部分をじっと見つめる。 「あ、あのぉ・・・おかしいですよね・・こ、こんな胸・・」「えっ、いや・・そんな事無いぞ」  特に京太郎が何か言った訳ではないが、自分の胸にコンプレックスを持っているのか和は両腕を使い自分の胸を覆い隠す。 「和は自分の胸嫌いか?」 「あ、あんまり好きじゃありません・・・お、男の人にたまにじろじろと見られますし、服や下着も探すが大変ですし、肩もこりますし・・はぁぁ、それに・・須賀君は、その可愛らしいほうが・・」  良い思い出が無いのか、和の口から出てくるのは嫌な思い出ばかりで、鬱陶しそうに自分の胸を見てため息をついて、衣と咲の胸に視線をやり羨ましそうに見つめる。  嫌味と映りかねない和の行動、人から憧れられる事もある胸だが当人にとっては邪魔以外の何物でもない・・だが、本当に一番重要な事は。 「俺は良いと思うんだな和の胸」 「ほ、本当ですか!?」  京太郎の一言で和の意識は急変する、当然だろう和にとって一番重要なのは恋しい人が、京太郎が好きか嫌いかその一点だから、和にとって今の一言は衝撃的だった。 「私も・・あんまり大きくないから喜ばせられないかなって・・思ったけど、京ちゃんが喜んでくれたから、凄いく嬉しかったな・・」  京太郎の意見を後押しするように、自分と京太郎の情交の時の事を思い出した衣と咲は頬を染めた。 「って、言うわけだ、和の胸大きくて魅力的だぞ、あっ・・でも和が自分の胸嫌いなら・・」 「あっ、いえ・・その、京太郎さんが気に入ってくれるなら・・私は・・」  魅力的、京太郎の発したその言葉はまるで魔法のようで、和は好きではなかった自分の胸が徐々に好きなってくる、それと同時に目の前にいる恋人にもっと自分を見て欲しいともっと興奮させたいと喜んで欲しいと、そんな欲も和の中に生まれてきた。 「京太郎さんが・・喜んでくれるなら・・もっと見てください・・」  和は胸を隠している両腕をどけると、後ろに手を廻して止め具を外し、自分の胸を隠していた布を脱ぎ捨てると、圧倒的大きさの和の乳房が京太郎の前に晒された。 「ごくっ・・・すげぇぇ」  唾を飲み込む京太郎、和の乳房は大きいだけではなく形も美しく崩れていない、本なので巨乳や爆乳などの写真は見たことがあったが、それよりも圧倒的に綺麗で思わず見とれてしまうほどのモノ。 「おおっ、ノノカの胸は本当に大きいな西瓜の様だ、衣とは大違いだ」 「改めてみると、本当に大きいね原村さんのおっぱい・・京ちゃん、あんなに見ているし・・やっぱり大きい方がいいのかな?」  衣と咲もまた、改め見た和の胸の大きさに驚き、自分たちとの違いに衝撃を受けていた。 「和、触っても良いか?」 「す・・好きにしてください、その・・京太郎さんに・・もっと、好きになってほしいですから・・あっ、で、でも・・優しくしてくれると・・嬉しいです」 「わかった・・それじゃあ、お言葉に甘えて・・痛かったら言ってくれよ」  京太郎はゆっくりと和の左乳房に右手を伸ばしてゆっくりと触った。 「ひゃぁ・・ああ、だ、大丈夫です、つ、続けてください、ちょっと・・びっくりしただけですから・・」  手の感触に驚いて声を上げてしまう和、動きが止まった京太郎を見て訳を話して続けるようにお願いをする。 「そうか・・わかった・・」  開いている手も右の乳房に置いて、ゆっくりと感触を味わうように揉み始める京太郎。 「あっ・・ひゃぁ・・」(な・・なんですか、これは・・この感じは・・ゆーきに揉まれるのと・・ぜ、全然違います・・勝手に声が・・)  京太郎に揉まれるのも、優希にふざけて胸を揉まれた時と同じ様なものだと予想した和だが、同じ揉まれるでもまったく異質であり別物、京太郎の指が動くたびにぴりぴりとした感覚が和の体の芯を刺激するようで、抑えようとした声も口から漏れた。 「ふぁぁ!?・・あっ・・だ・・だめぇ・・こえ・・おさえれ・・」 「別に声抑えなくても良いんだぞ、感じたままに・・口にすれば・・」 「で、でも・・いくら気持ちよくても・・その、そんなの、は、はしたくないですか?」  胸を揉むのを一旦中止した京太郎が和の耳元で囁くが、育った環境か和はあまり声を上げることを良しとしないようだ。 「ノノカ何を言うか、恋しい相手に・・京太郎に触れているのだぞ、しかも愛撫だ、気持ちよくない訳が無いだろう・・声を上げてしまうのも普通の事だ!」 「普段なら、そうかもしれないけど・・今はいいいと思うよ、衣ちゃんの言うことももっともだし・・今ここには私たちしか居ないから、それに折角京ちゃんとしているんだから・・全部見て、全部愛して欲しいって思わない原村さん?」  いつの間にか和の左右に座った、衣と咲から言葉で和の心は揺れ動く。 「そ、それは・・そうですが」(全部・・見せて、全部・・愛して、私が声を上げても京太郎さんは・・) 「衣や咲の言う通り・・それに俺は和の声が聞きたいな、自分が下手かと不安になるから」 「京太郎さん・・わかりました・・あっ、で、でも、その・・・」  やはり最後は京太郎の言葉で決した和は、声を抑えるのを止めると口にした・・が直後に少し不安そうな表情でお願いを付け加えた。 「大きすぎても・・嫌いにならないで下さいね、京太郎さんの手はき、気持ちよすぎますから・・」 「了解、いっぱい和の声を聞かせてくれ・・」  和の可愛らしいお願いを聞き入れて京太郎は、再び和の胸を揉み始めた。 「ひゃぁぁぁ!!、つつぅ・・つよすぎますぅぅ!!」(さ、さっきよりも、もっと!?)  我慢するのを止めたからか、和は先ほどよりも快楽を感じ、その事に戸惑う。 「・・和の声・・可愛いな、それに凄い感触だ・・」  今までの経験から、優しく壊れ物を扱うように軽く揉み解すつもりでいた京太郎だが、和の胸は今まで揉んできたものとは違い、弾力がありある程度力を入れなければ簡単にはじかれてしまいそうになる、 だからと言って硬すぎるわけでもなく、指が吸い込まれそうな一面も感じさせた。 「ひゃぁぁ!・・そ、そんなぁぁ・・もみほぐされたらぁぁぁ!!」  一心不乱に揉む手には力も入り動きも素早くなり、和に更に快楽を与える。 「ノノカ、とても気持ち良さそうだな、エッチな顔をしているな・・ふふ」 「はぁぁ、良いな・・原村さん気持ち良さそうで・・・京ちゃんも楽しそうだし」  和の感じる姿を見て自分のことのように喜ぶ衣と、力強く京太郎にもまれる胸と顔を交互に見て羨ましそうに呟く咲。 「あっ、だ・・だめ、天江さん・・宮永さん・・みなひゃぁ!・・でぇ・・ください」  乳房を揉まれる快楽に酔いながらも、感じている姿を見られるのは恥ずかしいのか、見ないように衣と咲に願い出る和。 「良いじゃないか、もっと・・感じているところを見せてやれよ・・」  そう言って京太郎は揉む手を止めず、和の左乳房に顔を近づけて・・口を開くと左乳首を銜え込み・・・そして。 「ひゃぁ!・きょう・・きょうたろうさんな、なにを!?」  先ほどまでとは違う感触に驚いた和は、京太郎が自分の片方の乳首を銜えて入るのを見て更に驚き、いったい京太郎が何をしようとしているのか分からなかったが、直後その答えを身をもって知ることになった。  ちゅゅゅゅゅゅ 「ひっぁ!?」  乳首を吸われて和は全身に強い電撃が走るような快楽を感じて、慌てて京太郎の頭を掴んだものの、その程度で京太郎を止められるわけも無く・・和は一気に限界に達した。 「すっちゃらめぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」  声を上げて和は絶頂に身を震わせながら仰け反り、京太郎ごと後ろに折れ込む。 「はぁ・・はぁはぁ・・・はぁ・・」「う・・うんぐ・・・・うんぐぐ・・」  ぎゅっと抱きしめられた京太郎は、和の大きすぎる胸に押し付けられて息が出来なくっていた。 「ノノカ、京太郎が苦しそうだぞ!」「原村さん、手、手!」 「はぁ・・はぁ・・へぇ・・あっ!」  淀む意識の中、衣と咲に指摘された和は慌てて手を離して京太郎を解放した。 「ぷはぁ・・はぁ・・はぁ・・」 「す、すみません、京太郎さん・・わ、私・・つい、た、大変なことを・・」 「良いって・・その、調子に乗ってあんなことした俺の責任だしな・・気にするなって、俺こそ悪かったな、和が感じている姿が可愛くて・・・ついな・・」  謝りながら仕出かしたことを考えて落ち込む和を、京太郎は責める事無く頭を撫ぜて慰めた。 「か、可愛い・・お、お世辞でも嬉しいです、・・・あっ、そ、それで・・・京太郎君、わ、私の胸はどうでしたか?・・・その、へ、変じゃありませんでした・・・?」  可愛いという言葉に嬉しそうににやけながらも、やはり京太郎の感想が気になる和、大丈夫だとは思ったが、普通よりも大きい胸を持つが故か変で無いかという心配もどこかにあった。 「変じゃないよ・・柔らかくて触っていても凄く気持ち良いって言うか・・落ち着くって言うか、ずっと・・・ってのは言いすぎだけど、手が痺れるまで揉んでいたいと思ったし、凄く興奮したぞ・・」 「ほ、本当ですか・・?」  京太郎に言葉を疑う和、京太郎の事を信じていない訳ではない、ただ心の中に渦巻く不安が消えない、果たして今までコンプレックスに感じていた自分の胸が京太郎を喜ばせたのかどうか、そんなマイナス的思考が浮んでしまう。 「・・す、すみません・・・京太郎さんの言う事が信じられないわけじゃないんですが・・その・・すみません・・」 「いや、和が悪いわけじゃないんだが・・そうだな・・どうすれば・・」(和、結構自分の胸を気にしていたんだな・・・大きは大きいなりに悩みがあるか・・)  和の悩んでいた気持ちを考えれば、京太郎も特に責める気にはなれない、むしろどうやって和の胸に興奮した事を表そうか迷っていると、隣で見ていた衣があっさりと解決方出した。 「何を惑う京太郎、京太郎のズボンを狭そうに持ち上げているそれこそが、ノノカの胸に興奮していた何よりの証拠であろう?」 「あっ、そうか・・・そうだな、ありがとう衣・・和、今から俺が興奮した証拠を見せてやる」  衣のアドバイスを聞き、京太郎は自分のズボンに下着ごと全て脱ぎ捨てた。 「・・・きゃぁ!?・・・そ、それは・・・そ、それが・・京太郎さんの・・」  突然目の前に現れた凶器的なモノに声を上げる和、だが直ぐにそれが衣の話の中で出てきたモノと一致し、今度はそれを・・京太郎の固く勃起したペニスをじっと見つめた。 「はぁ・・そうだ・・ふふ、これを見れば他の説明不要、京太郎が興奮したという何よりの証拠だ」 「京ちゃんの・・・はぁぁ・・何時も通りすごく硬そう、ねぇ・・原村さん、原村さんが京ちゃん興奮させちゃったんだよ、だからこんなに・・」  京太郎のペニスを眺めながら、艶かしい溜め息をつきながら妖しく微笑む衣と咲、和もじっと眺めていた、自分が京太郎を興奮させたと言う確かな証拠を、喜びを噛み締めるように。 「京太郎さん、・・本当に私に興奮してくれたんですね・・、す、凄く嬉しいです・」 「だから言っただろう和の胸は気持ちよくて、凄く興奮したって」  不安が消えてようやく笑顔を見せた和に、京太郎も笑顔でもう一度・・興奮したことを告げた。 「は、はい・・い、何時までも見ていたいくらいです・・・けど」  人間願いが叶えば欲が出る、京太郎を興奮させて喜んでいた和だが、さらにもっと満たしたいし、満たされたいという欲望が沸々と沸いてきた、だがそれは京太郎も同じで。 「見られているだけじゃ辛いな・・、俺はもっと和を感じたいし・・繋がりたい、もっと深く・・もっと強くな」  言い難そうにしている和に代わり、和の体を心を求める京太郎、当然願いを同じくする和はこくりと頷き、自分で下半身に手を伸ばしてスカートと下着をゆっくりと脱いでゆく。 「私も京太郎さんと・・同じ気持ちです、ですから・・全部見てください、私の全てを・・」  一糸纏わぬ生まれたままの姿を京太郎の眼前に晒す和、お尻もふっくらしており、肌も綺麗で大きいな胸にも負けない和の魅力がそこにはあった。 「ああ、全部見せてもらうよ・・でも、和だけ裸ってのはずるいよな・・・よっと」  京太郎は上着を脱ぎ捨てて、和と同じく全裸になった。 「こうした方が、よく・・感じられるだろう」 「あっ、そうですね・・・」  二人の仲をさえぎるものは一切無くなり、京太郎は和の下半身に手を伸ばした。 「触るぞ・・」「はい・・」  京太郎は何処とは言わないが、和には何処かわかった、下腹部に触れた京太郎の手が徐々に下がっていって和の大切な部分に触れた。 「あっ!!」(きょ、京太郎さんが・・わ、私の・・・) 「ここも・・綺麗だな・・」  適度に生えた陰毛に適度に隠れた和のおま○こ、愛撫しながら覗き込んだ京太郎は少し意地悪な笑みを浮かべていた。 「あっ、そ、そこは・・あんまり・・見ちゃ・・い、いやぁ・・」  全て見て欲しいといった和だが、さすがにそこをまじまじと見られるのは恥ずかしかったのか、抗議・・というにはあまりに弱々しい抵抗をしようとしたのだが。 「ひゃぁ!?」  そんな抵抗も、京太郎が和の膣内に指を少しだけ入れるだけでかき消された。 「だいぶ・・濡れているな・・って、さっき胸だけでイッたんだっけ・・」  胸を弄られて達した和のおまんこは、愛液で濡れていて指を動かすたびにくちゃ・・くちゃと嫌らしい音をたてて、京太郎の指を締め付けていた。 「は、はい・・準備は・・あれで、で、ですから・・京太郎さん、私は京太郎さんと繋がりたいです・・」 「ああ、わかっているよ・・」  準備が整ったと判断した京太郎は指を引き抜き、その代わりに硬く勃起していたペニスを和のおま○こに押し当てた。 「あっ、あのぉ・・なるべく我慢します、ですから・・最後まで・・」  痛みに不安は無い、でも痛ければきっと口をついてそれが外に漏れてしまう、そして気にした京太郎が止めてしまう、嫌な想像をしてしまった和はなるべく我慢するつもりでいたのだが、緊張した面持ちの和に京太郎は軽くキスをする。 「我慢しなくてもいい、本当に駄目なときは『止めて』って言ってくれ・・それ以外は止めないから、だから痛いって言っても良いんだぞ、たぶんその方が楽だからな・・」  キスをされ言葉を掛けられると和の不安は、京太郎への信頼で掻き消された。 「わかりました、それでは京太郎さん、その・・私の処女を貰っていただけますか?」 「ああ、貰うな・・和の処女」  そう言うと京太郎はペニスを和のおまんこに押し当てて、ゆっくりと挿入してゆく。  くちゃ・・くちゃ・・ 「京太郎さんのが・・私の・・」(あんまり・・痛くない・・)  確かな感触を残しながら、和の膣内を掻き分けるように進む京太郎のペニス、だがそこには話に聞いて覚悟をしていた痛みは無い、このまま何事も無く奥までと思っていた和だが、ふとしたところで京太郎の動きが止まる。 「今から痛くなるけど、一気にいくか・・それとも、ゆっくりいく?」 「ゆっくり・・お願いします」(こ、こからが・・本番なんですね・・)  止めたのは奥に行き着いたわけでも、全部入ったわけでもない、これからが本当に結ばれる時なのだと覚悟を決めて答えた和。 「わかった」  京太郎は短く返事をすると、少し力を入れて侵入を拒む和の処女膜を突き破る。  ぶちゅ・・じゅぶっ・・ 「うっくはぁぁ!?」(こ、これが・・は、破瓜の・・いた・・)  激痛に眉を顰めながらも、苦痛を口に出さず京太郎のペニスを迎え入れる和。 「ノノカ・・痛かったら声にしても良いんだぞ」「そうだよ、京ちゃんなら最後までしてくれるから・・」  側で見守る衣、そして咲、二人は苦痛を声に出さない和を心配そうに見つめている。 「わ、私は・・いだっ!!・・痛いです・・!!・・えっ?」  ようやく和が声を出すと、京太郎は和の頬にキスをして慰める。 「おまじないだ、声を出せば・・少しは楽になるだろう?」 「は、はい・・か、かなり・・それにおまじないも・・」  おまじないと声を出したおかげか、和は随分と楽になる感じがした、そして。  じゅぶ・・・ずぶっ・・ 「これで、全部入ったぞ・・頑張ったな和」 「はい、京太郎さんの・・お、おちんちんが・・私の膣内にあります・・・ううっ、う、嬉しいです・・」  京太郎のペニスが奥まで届いていると理解すると、和の眼から涙がほろりと零れ落ちる。 「そんなに痛かったか?」  心配して声をかける京太郎だったが、和はゆっくりと首を横に振った。 「いえ、そうではなく、その京太郎さんが私の膣内にちゃんとあるんだって思うと、つい・・」  一度は叶うぬから、叶えてはならぬからと諦めかけた想い人と結ばれ、それ感じた嬉しさからくる涙。 「そうか、泣くほどか・・そこまで想われると、俺も嬉しいぞ・・けど、これで終わりじゃないんだぞ」  涙を流すほど喜ぶ和を見ていると、京太郎も嬉しい気持ちになるが、これで終わりではない・・むしろここからこそが本番のだ、衣の話を聞いていた和もまた当然知っていて、泣いている場合では無いと涙を拭う。 「はい、知っています・・痛みは・・だいぶ引きましたから、もう大丈夫です、だから・・今から沢山私を・・感じてください」 「ああ・・沢山感じさせてくれ、そして・・一緒に気持ちよくなろう」  キスを交わすと、それが再開の合図になり、京太郎はゆっくりと腰を動かして始める。  じゅぶ・・じゅぶ・・・じゅぶ・・ 「くっ!・・まだぁ・いたっ!」(だ・・だけど、この痛みは・・)  まだ破瓜の痛みが残っており、初めての事で膣内もまだ京太郎のペニスには慣れておらず和の身に痛みが走る、だがその痛みも京太郎と結ばれた証拠だと、結ばれている証だと想うと愛おしいもの思えてくる。 「和・・もう少し・・頑張れ・・・」  京太郎は動きを止めずに、和の乳房に手を伸ばして揉み始める。 「ひゃぁ!?・・いたぁ・・けど・きもちいい・・くぅ!」  胸を触られる喜びとペニスを挿入される喜び、そして破瓜の痛みはまだ終わらず、苦痛と快楽が波のように交互に和を襲う。 「きょ・・京太郎さん!・・ど、どうですか・・私の膣内は・・?」 「ああ、和の膣内・・俺のを絞り上げるみたいに・・締め付けて・・気持ち良いぞ、感じるだろう・・こんなに強くなぁ!」  不安になりがちな和に、証拠を見せ付けるようにペニスを突き上げる京太郎。  ズブッズブッズブッ!! 「ひゃぁぁぁぁぁ!!、は・・はい・・かんじますぅ・・いだい・・くらいにぃ・けどぉ!・・と・・とってもうれしく・・おもいますぅ!」  耳で、そして膣内で京太郎が自分で気持ちよくなってくれていると思った和は、嬉しくなり声を上げて喜ぶ。 「和の胸凄いな・・・滅茶苦茶揺れているぞ・・」  京太郎が突き上げるたびに、和は大きく体を震わせ乳房もその動きに合わせて大きく揺れ動く。 「あぅ・・す、すみません・・おおきくってぇぇぇ!!」 「謝ることは・・無いって!、俺は和の大きい胸・・大好きだぞ!」  ペニスを打ちつけるように、和の一番奥を叩きながら、和の両乳房を力強く揉む京太郎。  ぎゅゅ・・ズブッズブッズブッズブッ!!。 「くはぁぁぁ!、そ、そんなに・・いっしょなんてぇぇ!!?」  痛みもあるはずだが、感覚が麻痺してきたのか、それとも痛みすら快楽に感じるようになったのか、力強く量乳房を揉まれた筈の和だが、もはや快楽しか感じなくなっていた。 「きょ・・京太郎さん!!・・わ・・わたし・・」  和が何を言いたいのか、何を言おうとしているのか、京太郎には理解できた・・なぜならば。 「和・・凄くエッチな顔しているぞ、・・・感じている顔も可愛いな」 「は、はい・・はずかしいですけどぉぉ!!・・き、きもちよすぎてぇぇぇ!!」  恥ずかしいという想う感情もあるが、それよりもむしろ見て欲しいという感情の方が大きく和は自分を完全に曝け出す。 「感じているんだな・・膣内も・・きつくて・」 「・・は・・はひぃ・・わたし・・も、もうすぐ・・・・だから、きょうたろう・・さんもぉぉ・・もっとかんじてくださいぃぃ!!」  言葉に合わせるように、快楽の頂点に達しようとしていた和の膣内はきゅぅぅっと京太郎のペニスを強く締め上げて更に快楽を与える。 「ぐぅ・・俺も、そろそろ・・」 「あっ・・は、はひぃぃ!!・・き・・きっえぇぇくらさいぃぃ!!・・わらしのなかを・・そめてぇぇぇ!!」  京太郎の言葉に和の眼がキラキラと輝く、それは衣に聞いていた話の中でも特に嬉しそうに話していた事、恋しい相手を喜ばせて気持ちよくした結果、吐き出される情欲と愛が交じり合う精の塊。 「あっ・・きょうたろうさんよりぃぃ!!わ・・わらしがさ・・さきにぃぃぃ!!」 「ああ、いけぇぇぇぇ!!」  だが京太郎が射精するより先に、自分が限界に来ていることを感じる和、京太郎もそれを理解して最後に力のかぎりペニスを突き上げて、和の一番奥に叩きつけた。  ズブブッッッッッッッッッッ!! 「いくぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」 先ほどの胸でイカされたときよりも遥かに大きな絶頂に、和は体を大きく震わせながら声を上げる、そして膣内もまた和の絶頂と相乗する様に京太郎のペニスを締め上げて、絶頂に導く。 「俺もいくぞぉ!!うけとれのどかぁぁ!!」  ドクゥゥゥゥン!!ドクゥゥゥゥゥン!! 「あつぅぅぅぅ!!きょうたろうさんのぉぉ!!あつ・・ぐみゃくうってぇぇ!!」  熱き体を更に燃やすが如く京太郎の精液を膣内に注がれた和は、その熱に悶え喘ぐ、快楽の上に快楽は和を完全に満たすほど。 「まだいくぞぉ!」 「なぁ・ま・・まらぁ!?」  なまじい知識があったためか、和は京太郎の射精が全てに終わったものだと決め付けており、京太郎の言葉に驚愕したが、それも僅か。  ドクゥゥゥゥゥン!ドクゥゥゥゥン!!ドクゥゥゥゥン!! 「ほんろにきらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!しゅごいのぉぉぉぉぉ!!」  京太郎の言葉通り、再び大きいな射精の衝撃に身を捩じらせる和、文字通り満たして余るほどの射精、和の膣内は既にいっぱいになっているのに、それを無視して精液を注ぎ込まれる。 「和・・くぅ!!」 「これいじょうわぁぁぁ!!おかひくなっちゃいまふぅぅぅぅぅぅ!!」  狂おしいほどの快楽、いや既に狂った快楽に声を上げて抵抗を試みる和だが、体は膣内はそれを拒否するかのように、最後に京太郎の精液を求め締め上げて。  ドクゥゥゥゥゥゥン!!ドクゥゥゥゥゥゥン!! 「ひゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」  膣内も子宮も精液で満たされて、快楽という階段を無理やり上らされて和は、体も精神も真っ白に染め上げられた。 「あはぁぁぁぁ・・はぁぁぁ・・はぁぁぁぁ・・」 「はぁ・・はぁ・・だ、大丈夫か和・・・?」 「はぁぁぁ・・はぁぁぁ・・はぁぁ・・・は・・はい・・なん・と・・かぁ・・」  未だ整わない荒い息遣いの中で、呻くように返事をする和。 「そうか・・・気持ちよかったぞ、和」 「はぁぁ・・は・・はい・・私も・・すごく・・きもち・・はぁぁ・・よかったです」  京太郎に感想を言われると、息を整え苦しそうな中でも和は自然と笑顔になった。 「見事な情交だったぞ、ノノカ」「初めてのときは色々と大変だから、お疲れ様原村さん」 「はぁ・・はぁ・・天江さんと・・宮永さんに・・見られていたんですよね・・、そう想うと・・・ちょっと、恥ずかしいですね・・、大きな声をあげてはしたなくありませんでしたか?」  二人に見られていることなど忘れるほどに、情交に集中してしまい少し恥ずかしそうに頬を染める和。 「先ほども言ったであろう、恋しい相手なのだから声を上げて喘いでしまったのは至極当然、物語の中ならば綺麗に交わす情交もあるだろう、だがこれは性と性を絡み合わせる本物だ、それともノノカは衣や咲が京太郎と結ばれて喘いでいたら、はしたないと蔑むか?」 「あっ・・い、いえ、そんな事は・・そうですね、天江さんの言う通りですね、すみません変なこと言ってしまって・・・」  衣に言われてはっとする和、先ほどの自分がはしたいと言うのなら、他の恋人もはしたないと言うこと、考えの誤りに気付いた和は即座に謝罪した。 「謝ることは無い、分かれば良い、それでノノカは満足したのか?」 「は、はい、満たされすぎて・・とっても・・ですが、その京太郎さんは・・まだ硬いですよね?」  少し力が入るようになった和は、下腹部に手を伸ばし京太郎の硬いペニスを感じる辺りをそっと撫ぜる。 「うん・・ああ、これか・・」「あっ・・うっ・・」  京太郎がすっと腰を引いてペニスを引き抜くと、和の膣内からは大量の精液が逆流してくる。 「うっ・・あっ、せっかく・・京太郎さんが・・注いでくれたのに」  京太郎からの贈り物が流れ出てしまうのが名残惜しいのか、残念そうな表情をする和。 「原村さん、残念な気持ちはわかるけど・・ほら、京ちゃんのおちんちん・・・」 「えっ・・あっ・・大きい・・で、でも・・血が、だ、大丈夫なんですか?」  咲に言われて引き抜かれた京太郎のペニスを見て驚く和、挿入前と大きさに差があるようには見えなかった、だが精液と共に節々に血を見つけ心配そうに京太郎ペニスを見つめる。 「うん、ああ、俺は平気だぞ、この血は・・」 「あっ・・そ、そうですね、それ私のですね・・あっ、私・・綺麗にしますね、あぅ・・」  京太郎に言われて自分が今しがた処女を失った事を思い出す和、それと同時にそれが自分の破瓜の血である事を理解し、汚してしまって思い綺麗にしようと起き上がろうとしたが体に力が入らず起き上がれなかった。 「和は少し休んでいろ、俺が綺麗にするから」 「あっ・・は、はい・・そうですね、こんな・・動けない体では・・わかりました・・」  動かない体ではどうすることも出来ないと思ったのか、渋々自分を納得させる和。 「京太郎、衣が綺麗にしてやるぞ」「私も手伝うね・・」  側に居た衣と咲は、京太郎のペニスについた色々なモノを取ろうと、ペニスに顔を近づけ、口を開けて・・舌を出し、舐めとろうとした、その瞬間。 「ちょ、ちょっとまってください!」  やはり納得し切れなかったのか、和は大きな声を上げて衣と咲を呼び止める、衣と咲の舌が京太郎のペニスに触れるか触れないかの位置で止まり、二人はゆっくりと顔を引いた。 「和、その・・やっぱり・・自分でしたいのか?」 「は、はい・・・で、できるなら・・・そ、その・・天江さんと宮永さんには悪いんですけど、さ・・させてもらっても良いですか?」  一度は納得した素振を見せたのに、直ぐに意見を変えてしまったからか、衣と咲に罪悪感を覚えながら・・和は恐る恐る訪ねた。 「良い、自分の愛していもらい付いた愛液や精液、自分で綺麗にしたい気持ちは理解できる、しかも今ついているのはノノカが純潔を捧げた証・・その想いも一入だろう、衣もできなかったからな・・、良いぞここはノノカに譲ろう」 「そうだね、折角意識がはいっきりとしているんだもん、自分で綺麗にしたいよね・・私は気絶しちゃってできなかったから、私も良いよ・・」 「・・天江さん、宮永さん、ありがとうございます」  純潔を捧げた後で、それを自分の手・・あるいは舌で綺麗に出来なかった事を残念に想う気持ちを衣と咲にも理解できた、だからか二人は和の頼みを二つ返事で了承する。 「と言う訳だ、京太郎よいな?」「良いよね、京ちゃん?」 「いや・・反対する理由は特にないが、和起き上がれるのか?」  すっかり譲る気になっている衣と咲に、京太郎は特に反対もしないが、ただ一つ気がかりなのは和の体にあまり力の入らない様子だった。 「あっ・・あのう、起き上がるには・・まだ少し・・で、ですから、その・・顔を跨いでいただけると、ありがたいのですが・・」 「ま、跨ぐ!・・で、でも・・それは・・ちょっと」(達した時に・・・足に力が入らなくなったら、やばくないか?)  和の提案に驚く京太郎、確かに方法的に考えれば横からペニスを突き出すか跨ぐかの二つに一つ、跨ぐのが恥ずかしい訳ではないが、上からだと・・体重が掛かった時に窒息させてしまいそうで恐ろしかった。 「す、すみません・・京太郎さんも恥ずかしいですよね・・」 「あっ、いや・・恥ずかしさはどっちでもいいんだけど・・・う~ん」  京太郎は出来る限り恋人たちのお願いは叶えたいと思ってはいたが、強のサドで無いので苦しくさせてしまうのはどうにも避けたいと思う、迷う京太郎の目に飛び込んできたのは和の立派なおっぱいだった・・。 (で、でかいな・・・あっ、そういや、あれは・・で、でもな・・和が嫌がるかもしれないし)  じっと見つめる京太郎の視線に最初に気付いたのは、和ではなく近くで見ていた衣であった。 「ノノカ、京太郎はふぇらちおよりぱいずりを所望したいみたいだぞ」 「ちょっ、こ、衣!?」 「うん・・違ったか?」 「い、いや・・違わないが、いったい・・パイズリなんてどこで知ったんだ?」  衣に図星を射られて焦る京太郎、当たっているので反論できず・・知識を何処で手に入れたか位しか聞くことが無かった。 「いつも京太郎に教えられてばかりだからな、自分でも学び・・知識を身に付けねばと思って本をだな・・・でも、はぁぁ・・ぱいずりは・・今の衣には叶わぬ夢だ」  寂しそうに自分の胸を見ながらため息をつく衣。 (本って自分で・・いや、それはないか、と言うことは一さんか・・・たぶん)  衣が買いに行ったとしてもそんな本を売ってくれるとは思えない京太郎、ならば龍門渕家のメイドであり京太郎の恋人の一人でもある国広一が、衣に頼まれてかあるは自らかが持ってくるところしか思い浮かばなかった。 「あ、あの・・パイズリって、なんなんでしょうか?」「私も初めて聞いたよ、ねぇ京ちゃん、衣ちゃん・・パイズリって何をどうするの?」  どういう行為なのか知らない和と咲は不思議そうに首をかしげて、京太郎と衣にいかなる行為なのかを訪ねる。 「えっ~とな・・簡単に言うとだな・」「乳房を要して、京太郎のおちんちんを挟んでしごくんだ」  言い辛そうにしている京太郎の代わりに、衣は自分の知りうる知識を話した。 「あっ・・そっか、私も無理だね・・・」  衣と同じく自分の胸を見て残念そうな表情をする咲、一方の和は自分の乳房を見つめながら衣の言葉から行為を想像する。 「京太郎さんのおちんちんを・・ですか・・そ、その・・京太郎さんは私の胸では、挟む・・京太郎さんがはぱ、パイズリを・・されたいんですよね?」 「えっ・・ああ、その・・してくれると嬉しいなって・・でも無理には」  戸惑いながら訪ねる和を見て、直ぐにもしてほしいと言う衝動をなんとか押さえ込む京太郎だが。 「京太郎さんがしたいのでしたら私は一向に・・いえ、私の胸で喜んでくれるんでしたら私がしたいんです・・やり方を教えていただけますか?」 「わかった・・じゃあ直ぐに、こうやって・・・」  逆に和がお願いされてしまい、脆い理性で防いでいた強い衝動はあっけなく崩壊し京太郎は和の体に跨り乳房の谷間にペニスを挟み込む。 「この状態で両手動かせるよな?」 「あっ・・は、はい、もしかして・・こうすれば良いんですか?」  なんとなく雰囲気でやり方を感じ取った和は、両手で自分胸を中央に寄せて京太郎のペニスを乳房で包み込んだ。 「うおっ!?」  手とも口とも膣内とも違う特殊な感触に、京太郎は思わず声を上げてしまう。 「えっ、あっ・・ち、違いましたか!?」 「い、いや・・それで良いんだ、俺も初めてだからこんな感じだとは予想してなくて、ちょっとびっくりしただけだから・・」 「そ、そうですか・・えっ、その・・京太郎さんパイズリは初めてなんですか?」  恋人が何人か居る京太郎の事、きっとパイズリも経験済みなんだろうと予想していた和にとって、それは衝撃的な事実だった。 「ああ、その・・今まで機会が無かったからな」 「今のところ、京太郎のおちんちんを挟める乳房を持っているのはノノカだけだ、悔しいが衣にはまだ叶わぬ」「私も・・・良いな原村さん」  衣と咲はじっと京太郎のペニスを挟み込んでいる、和の乳房を羨ましそうに見つめていた。 「そ、そうなんですか、私が・・初めて、京太郎さんの初めてがもらえるなんて・・私、凄く嬉しいです、が、頑張ります・・えっ~と、動かせばいいんですよね!?」  恋人の初めてが貰える、それがよほど嬉しいのか和は俄然やる気を漲らせて、京太郎のペニスを挟んだ乳房をゆっくりと動かさす。 「くっ・・うっ、良いぞ・・凄く気持ちいい」  色々な液がちょうど良い具合の潤滑油になり、和の乳房が与える快楽に顔を歪ませる京太郎。 「これで、良いんですね・・わかりました!」  やり方が間違っていなくて、京太郎が気持ちよくなってくれているのがわかると、和は乳房を動かす速度上げる。  シュ・・シュ・・シュ・・シュ 「うぉ!?・・な、なんか、・・手とか口とかとは・・全然違うな・・、和の胸すげぇぇ気持ちいいぞ!」 「はぁ・・京太郎さんおちんちん、凄く熱くて・・私の胸・・犯されているみたいで、はぁ・・京太郎さんも・・はぁ・・もっと・・私の胸で・・気持ちよくなってください!」  京太郎の顔がますます快楽に染まっていくのを見て、和は嬉しそうに息を荒げて和は乳房で京太郎のペニスを扱きあげる、更に胸をペニスで犯されている様な錯覚を覚えて、自分も気持ちよさを感じていた。 「和・・良いぞ、もっと感じさせてくれ・・」  更に快楽を求めようとしたのか京太郎が腰を突き出すと、胸の間から亀頭を含む先っぽが飛び出してきた。 「あっ・・京太郎さんの・・おちんちんの先・・・凄い・・匂い・・はぁ・・頭が・・痺れちゃいますねぇ・・・」  和は鼻をひくひくと動かして亀頭の匂いを嗅ぎ、強い雄の匂いに興奮も倍増していた。 「和・・舐めてくれるかぁ・・」「は、はい・・」  お願いをされてまったく嫌がることも無く、むしろ進んで亀頭を舐め取る和。  ペロペロ・・シュ・・シュ・・ちゅぱ・・シュ 「くっ、いいぞ・・のど・・かぁ、も・・もうぅ・・」  乳房と舌のダブルの快楽に京太郎は既に限界に達しようとしていた。 「うっぷはぁ・・京太郎さん・・イッてください・・京太郎さんのぉ・・おちんちんの・・味を・・胸と口で・・感じさせてください・・」(京太郎さんの・・味・・舌が痺れて・・おいしくないけど・・頭も痺れて・・もっと・・えい!)  快楽を与えるためか、それとも快楽を求めた結果か、和は亀頭を銜え込み舌を激しく動かしながら乳房も勢い良く動かすと、京太郎は限界に迎えた。 「くっ、い、いくぞぉ・・のどかぁぁ!」  ドクゥゥゥン!!ドクゥゥゥン!!ドクゥゥゥン!! (き、きました・・ぜ、全部・・えっ!?)「うぐうぅ!?」  喜んで精液・・京太郎の気持ちよくなった証拠を迎え入れる和だったが、それを押さえ込むには和の覚悟も知識も不足していた。 (く、口も喉も・・こ、これいじょうは・・も、もう・・) 「まだぁ、でるぞぉぉ!!」  なんとか耐えようとした和であったが、京太郎の射精がそれぽっちで終わってくれるはずも無く。  ドクゥゥゥン!!ドクゥゥゥン!!ドクゥゥゥゥン!! 「うっぷ・・ごほぉ・・」  銜え込み方も甘くなり和の口内からはじき出された京太郎のペニスは、乳房に押さえ込まれている為他に行き場も無く和の髪を、そして顔を見事に白く染め上げた。 「の、のどかぁ・・」  これ以上、和の顔に掛からないように我慢して腰を引く京太郎だが、思っていた以上に和の乳房の谷間は気持ちよく。 「うっ!?」  我慢できず完全に引く抜く前、ペニスの先半分ほどが乳房の間に埋まった状態で射精してしまう。  ドクゥゥゥゥゥゥン!!ドクゥゥゥゥゥゥン!! 「ひゃぁぁ!?むねぇあつっく!?・・ぷはぁぁぁぁ!!」  突然、乳房を精液の熱で焼かれた和は、限界近くまで来ていたのもあるのだろう快楽には逆らえず体を震わせる。 「はぁ・・って、の、和!?」  射精が終わりペニスを引き抜いて息をつく京太郎だが、直ぐに和の身を案じ和の瞼や鼻についた精液を手で拭う。 「けほぉ・・けほぉ・・はぁ・・はぁ・・・きょ・・うたろう・・さん・・」 「大丈夫か和!?」  少し噎せて息を荒くしながら、ゆっくりと眼を開いた和に心配そうに詰め寄る京太郎。 「はぁはぁ・・は、はい、少し苦しかったですけど・・へ、平気です・・、そ、それよりも私の胸・・ぱ、パイズリはどうでしたか?」  自分の事よりも、京太郎が気持ち良くなってくれたか否か、そちらの方が和にとって気がかりな様子で恥ずかしそうに感想を求める、その様子に京太郎も胸を撫で下ろす。 「はぁ・・安心しろ・・って言うか、そっちも大丈夫だ、凄く気持ちよかったぞ、ありがとな・・頑張ってくれて」 「あっ・・そ、そうですか・・良かったです、けど・・すみません、せっかく射精してもらったのに・・全部飲み込めず・・」  頭を撫ぜながらお礼を言われて褒められて、照れくさそうにしながらも嬉しそうに笑う和、だが途中で口を離してしまったのが心残りなのか、同時に悔しそうな表情も覗かせた。 「気にしなくてもいいぞ、最初は難しいらしいからな・・だよな、衣、咲」 「うむ、京太郎の射精を口で捉えるのは困難、初めては致し方ないだろう・・衣も無理だったからな」 「私も、京ちゃんのって量も勢いもどっちも凄いから、何度かして・・ようやくかな?」 「そ、そうなんですか・・・それでは仕方ありませんね・・京太郎さん・・その手は?」  恋人の先輩としての二人に言われたのでは納得せざるを終えず、和も渋々納得したが、そんな時に京太郎の右手についた精液に気がつく。 「うん、ああ・・これはさっき和の顔についたのを拭ったからで・・・って、お、おい!?」  説明の最中、和は京太郎の精液のついた手に自分の手を添えると、そのまま顔の近くまで運び、精液の付いた手を銜え込んで・・精液を舐めとるが、その味に眉を顰めた。 「・・うっ・・あ、あまり・・美味しくは・・ありませんね・」 「はぁ・・嫌な別に飲まなくてもいいんだぞ・・まあ、飲んでくれたら嬉しいけど・・」 「それなら飲みますよ・・京太郎さんが気持ちよくなってくれた証ですし、それにこの匂いは・・嫌いじゃありませんよ」  京太郎が喜んでくれた証、そう思えば独特の味もそれほど嫌ではなかった、更にその臭いは何処と無く自分の好みに合うのか、頬についていた精液を指で拭い香りを確かめると、和は嬉しそうに笑ってその指を口に運ぶ。 「そうか・・とにかく、ありがとうな和、気持ちよかったぞ・・」  和の体の上から退くと、改めて例を言う京太郎。 「いえ、どういたしまして・・初めてでしたが、喜んでいただけて・・よかったです・・」  初めてした行為、上手くできなかったこともあったが結果として京太郎を喜ばせられたことに、喜びながらどこかほっとして胸を撫で下ろす和。 「そうか・・じゃあ、とりあえず綺麗にするか、えっ~と・・ティッシュ、ティッシュ・・あっ、あった」  京太郎は和の体を綺麗にするために、近くに置かれていたティッシュに手を伸ばす。 「えっ、きょ、京太郎さんがですか・・い、いいです、じ、自分で出来ますから・・あれ?」  京太郎に綺麗に拭かれるのが恥ずかしいのか、起き上がろうとする和だが、先ほども絶頂の余韻で起き上がれなかったのだから、二度目の絶頂を迎えた今、起き上がれるはずも無く・・声とやる気だけが空回りする。 「無理するなって、それとも・・俺に拭かれるのは嫌か?」 「い、いえ・・そういうわけではないんですが、ただ・・は、恥ずかしいですから・・」  京太郎に触れられるのも、体を拭かれるのも嫌ではないが、事が事だけに恥ずかしそうに頬を染める和。 「でもな・・他の奴にやらせるわけにも・・」 「では、衣が綺麗にしてやるぞ」 「こ、衣!?」「きゃぁ!、あ、天江さん?・・ひゃぁ!?・・そ、そこは・・」  京太郎が少し躊躇する間に、笑みを浮かべた衣が和に飛び掛り隙も与えずに和の乳房についた京太郎の精液を舐め取る。 「京ちゃんが恥ずかしいんじゃ仕方ないよね・・・私も協力するね・・」 「み、宮永さんも・・ひゃぁ!?」  咲も口元に笑みを浮かべながら、和の頬に残る京太郎の精液を舌でなぞるように舐めとった。 「ノノカの乳房・・ノノカの甘い匂いと京太郎の強い匂いで・・くらくらするぞ・・」 「こっちも・・いいなぁ原村さん、いっぱいだしてもらえて・・」 「ふ、二人とも・・ひゃぁ!?・・だ・・らめぇ・・そ・・そんなとこぉ!?」  衣と咲は和の体を綺麗にするように舌を走らせるたび、和は二人を止めようとするが体に力が入らず抵抗も出来ない、口から出るのも抵抗の言葉よりも、胸と顔を舐められてでる快楽の声の方が強かった。 「・・・・(ごくり)」  止めることも忘れて固唾を呑んで見入る京太郎、綺麗にする行為のはずだが二人の美少女が一人の美少女を舌で攻めている光景は、どこか綺麗で淫靡なものだった。 「京太郎・・見ているだけではつまらないだろう、衣に・・京太郎のおちんちんを・・」  そんな京太郎の視線に気付いた衣は、顔を上げると京太郎を誘うようにお尻をゆっくりと振る。 「・・良いのか?」 「じゅ・・準備はできている・・だから、早く京太郎のおちんちんを・・ひゃぁ!?」  言葉通り衣のおま○こはテラテラと何かが光っていて、京太郎が手を触れると粘り気のある汁が指にまとわり付く。 「確かにな・・」 「ノノカのを見ている時はなんとか我慢していたが、京太郎の精液の匂いで・・・だ、だから・・京太郎・・・」 「もう良い、わかったから・・・」  恥ずかしそうに訳を話す衣に、京太郎は返事の変わりにペニスをおま○こに押し当てる。 「ふふ・・ノノカ・・次は衣が京太郎との情交を見せる番だ・・」 「は、はい・・わかりました」  衣に言われた和は首だけ動かして衣と京太郎をじっと見つめる、そして。 「いくぞぉ!」  京太郎は衣の腰を掴み勢いをつけて、衣の膣内にペニスを押し込んだ  ズブッッ!! 「ふあぁぁぁぁぁぁぁ!!」  待ち望んでい京太郎のペニスに、気持ち良さそうな表情と声を上げて迎え入れる衣。 「くぅぅ・・・相変わらず・・キツイな衣の膣内は・・いや・・前より良いか・・」 「ひゃぁぁあ!?・・きょ、京太郎・・が・・よろこんでぇぇぇぇ!!」  回を重ねて多少挿入しやすくなった衣の膣内、しかし締め付けは決して衰える事無く、むしろ回数を重ねるごとに京太郎のペニスに馴染む様にきつく締め付けて、京太郎に快楽を与える。 「はぁぁ・・天江さんも・・京太郎君も気持ち良さそう・・・」  ペニスで突かれるたびに声を上げる衣と、突き上げる京太郎を見つめる和、互いに声を上げて性を貪るような二人の光景、だが和は決して呆れたり・・はしたないとは思わず、羨ましそうに溜め息とつく。 「相変わらず・・衣ちゃん気持ち良さそうだな・・・、原村さんも・・あんな風に・・」 「わ、私も・・あんな風に・・ひゃぁぁ!?」  咲に言われ、自分も今の衣の様に京太郎と性を重ねていたのだと想像しようとした和、しかしそれは突然の快楽に止められた。 「なぁ・・なぁに・・ひゃあぁ!?」  和が慌てて胸を見ると、衣が和の乳房を掴んでいるのが見えた、そして衣が京太郎に突き上げられるたびに衣の手に力が入り、和の胸をぎゅっと揉むような事態になっていた。 「きょうたろぅぅぅ!!・・いい!!・・きもちいいぞぉ!!」 「あ、天江さ・・んっ!・・む、むねを・・はなぁ・・しぃってぇぇ!!」 「あはぁ・・ノノカ・・せっかくだから・・ノノカもきもいよくぅぅぅ!!」 「ひゃぁぁ!?・そ、そんなに揉まれたら・・わ・わたしぃぃ!!」  先ほどは偶然掴んでしまったのだろうが、今度はわかっていて和の胸を触って揉み込む衣。 「衣・・いつもより感じているみたいだけど、和のおっぱいがそんなに良いのか?」 「きょうたろうぅぅ!・・と・ふ、二人きりも・・いいけどぉぉ・・の、ノノカも・・好きだ・・だから・・ノノカもいっしょぉにぃぃぃ!!」 「あ・・あまえさん・・はひゃぁぁ・・わ、わたしもぉ・・すきですぅぅ!!」  好きといわれて嬉しくなった和は、衣の行為に抵抗するのを止めて素直に受け入れて、衣は和と体をぴったりと重ね合わせた。 「そうか・・じゃあ、二人とも・・もっと感じてくれぇぇ!」  ジュブッッ!!ジュブッッッ!!ジュブッッ!! 「おっきぃぃぃぃ!!きょうたろうのぉぉぉ!!ころものなかぁぁぁぁ!!」 「きょうたろうさんがぁぁ!!・・つきあげるたびにぃ、わ・・わたしもズンズン感じぇぇぇぇ!!」  京太郎が勢いを増すと、重ね合わせた体を通じて京太郎の勢いが衣から和に伝わってゆく。 「あっ・・いいなぁ・・原村さん・・はやぁぁ!?」  三人が感じているのを寂しそうに見つめていた咲、その時、突然膣内に強い衝撃を覚えて股間の方に眼を向けると、そこには和の指が入っていた。 「みや・・みやながしゃんもいっしょにぃぃぃ!!・・もっとぉぉぉ!!」 「は・・はらむらさんのてぇぇぇぇ!!・・いいのぉぉ・・きもちいいぃぃぃ!!」  快楽にそして衝撃に体を震わせている和の指は、バイブかローターの代わりになり咲にも衣から送られる快楽を分ける様な役割をする、京太郎のペニスには劣るものの、感じやすい咲にとって今はそれで十分すぎるほどのものだった。 「はやぁぁ!!・・み、みやながぁぁさんもぉぉ!!・・き、きもちいんですねぇぇ!!」 「う・・うん・・きもちいいのぉ!!・・ゆびがぁぁ・・はらむらさんのゆびぃぃ!!」 「咲もかんじてぇぇぇ!!・・こ、ころもも・・きょうたろうのお・おちんちんんんん!!」   それぞれが別な事に快楽を覚えているのだが、快楽の波長が重なるのか声もどんどんと重なってゆき、京太郎が少し動くたびに、衣、咲、和の三人は卑猥な声を上げて快楽に顔を歪ませた。 「いいぞ、衣の膣内すげぇ気持ち良いぃぃ・・衣はどうだ?、和は・・衣に胸揉まれるのがぁいいのかぁ?・・咲も・・和の指そんなに好きか?」  少し意地悪な口調で、それぞれの状態を尋ねながら勢いを増して、衣の一番奥に突き刺すように腰を突き上げる。  ズブッッッッ!!ズブッッッッッ!! 「いいぃぃぃぃぃぃ!!ころももぉぉぉきょうたろうのおちんちんいいぃぃぃぃ!!」 「わたしもぉぉぉ!!おんにゃのことうしなのにぃぃかんじちゃうんれすぅぅぅぅ!!」 「はらむらさんのぉゆびぃぃ!!きょうちゃんがぁぁつくたびぃに・・ころもちゃんとはらむらさんをかいしてぇぇつたわってくるぅぅぅ!!」  京太郎にペニスで突き上げられて快楽と衝撃に震える衣が和の乳房を潰して、その快楽に震える和の指で膣内を掻き回された咲もまた、快楽に身を震わせる。  四人の快楽が重なり混じりあい、全てが合わさるような快楽に身を震わせる四人、そして。 「きょ・・きょうたろう、こ、ころもはもうぅ!!」 「わ、わたしもぉぉげんかいのようですぅぅぅぅ!!」 「きょうちゃんいいよねぇぇ!?もういってもぉぉぉ!?」  京太郎の許可が出るまで必死に耐えようとする衣と和と咲、それぞれが京太郎の一声を待つ・・限界ぎりぎりの状態で。 「ああ・・・いいぞ、俺ももう・・いくからぁぁぁぁ!!」  幕切れ、開幕、どちらだろうか、京太郎のその一言で緩んだ精神、それが叩きつけられたペニスによってあっさりと崩れ去った。  ズンッッッ!! 「い、いくぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」×3  衣、和、咲の声が重なる、既に感じていた状態、感じやすい体質色々な条件が重なり、同時に絶頂に達した。 「俺もだすぞぉぉぉぉぉぉ!!」  衣の達したために、早くちょうだいと強請るように衣の膣内が京太郎のペニスを締めつけて京太郎の絶頂に達しさせた。  ドクゥゥゥゥゥゥゥゥゥン!!ドクゥゥゥゥゥゥゥゥゥン!! 「あふぃぃぃぃのぉぉぉぉいっはいぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」  凄まじい熱さのそして凄まじい量の精液が衣の膣内を襲う、その射精は衣と肌を重ねているを和にも感じさせるほどの勢い 「きょうたろうさんのしゃせいがぁぁぁ!!つたわってきますぅぅぅぅぅ!!」 「きょうちゃんのぉせいえきぃぃそんなにぃぃでてるのぉぉぉ!?わたしもぉぉほしぃぃぃよぉぉぉ!!」  やはり快楽を感じながらも、それは京太郎とは直接繋がってない寂しさを咲は感じたが、その寂しさもまた快楽に呑まれる。  ドクゥゥゥゥゥゥゥン!!ドクゥゥゥゥゥゥゥン!! 「あふれるぅぅぅぅ!!きょうたろうのぉぉぉしぇえきぃぃぃ!!」  量が多いためか衣の膣内から精液が収まらず、結合部分から溢れる精液、それでも衣の膣内は京太郎のペニスをがっちり銜え込んで離さず、快楽を全身で味わう衣、突然掴んでいる手にも・・和の乳房を握るに手にも力が入る。 「つぶれるぅぅぅぅ!!つぶされちゃぅぅぅぅぅ!!」 「ゆびぃぃぃぃ!!はらむらさんのゆびぃぃぃぃ!!」  和が、その余韻で咲までもが、絶頂の中に更なる快楽を追い討ちされるように和と咲は体を震わせる、だがそれも始まりにすぎず。 「これでぇさいごだぁぁぁぁぁ!!」  ドクゥゥゥゥゥゥゥゥン!!ドクゥゥゥゥゥゥゥン!! 「みたしゃれりゅぅぅぅぅぅ!!きょうたろうのぉぉぉしぇえきでぇぇころものなかぁぁぁいっぱいにぃぃいぃ・・」  和の胸を絞る衣の手の力は、京太郎の射精が終わると同時に終わり、衣は和の乳房に倒れこんだ。 「まらぁぁいきますぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」  衣の最後の力で和は再び絶頂に達して、体を小刻みに震わせて全身の力が抜けた。 「ひゃぁぁぁ!!・・はぁ・・はぁ・・あっ・・」  途中で和に指が抜けたために、再びの絶頂に達するかどうかの瀬戸際で一人不完全燃焼の咲。 「はぁ・・はぁ・・ふぅぅぅ、衣・・気持ちよかったぞ・・」  息を整えてゆっくりとペニスを引き抜いた京太郎は、感想を言いながら衣の頬にキスをする。 「はぁはぁ・・はぁ・・こ、衣もだ・・・凄く気持ちよかったぞ・・、たくさん・・あふぁ・・たぁぁくさん・・京太郎が気持ちよくなったのも、感じられたからな・・」  自分の膣内から逆流して流れ出る精液を感じながら、嬉しそうに微笑む衣。 「和と・・咲はどうだった?」  「わたしも・・あ・・あまえさんのてが・・すごくきもちよくて・・・はぁ・・はぁ・・つい・・」「気持ちよかったけど・・・、最後にもういっかい・・イケ無かった・・」  衣の手で絶頂を迎え恥ずかしそうにしながらも満足気な和と、最後の最後でお預けを食らってしまい少し不満げな咲。 「安心しろって、すぐにもう一回・・いや、何回もイカせてやるからよ」 「う、うん・・京ちゃんの・・おちんちんで・・イカせてください・・」  我慢できないのか自ら足を開き、少し恥ずかしそうにしながらもだ京太郎を誘う咲。 (あっ・・み、みやながさん・・あんなに足を開いて・・、みやなが・・さん・・どんなふうに・・みだれるんでしょうか・・・すごく・・みたい・・)  咲の痴態を興味津々に眺める和であったが、初めての性交に度重なる絶頂、そして先ほどまでは当事者であったが今は傍観者になって気が抜けたのもあったのだろう、色々な理由から突然の眠気に襲われた。 (み・・みたいのにぃ・・・)  知識欲も睡眠欲には勝てず。 「ら、らめぇぇぇぇ!!すぐいっちゃうぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」  咲が絶頂を迎えた声を子守唄代わりに、和は眠りに落ちた。 「ふぅ・・衣と咲と和はまだか、まあ女性は時間かかるよな・・」  一人シャワー浴び、衣の部屋に戻ってきた京太郎は一息つき部屋を見回し、まだ戻っていない恋人達の事を思う。  衣、咲、和は京太郎とは違い大浴場の方で汗を流している、衣は一緒に入ろうと言ったが和が恥ずかしがったため京太郎が遠慮したのだ。 (恋人になったばかりだからな・・・恥ずかしがるのも仕方ないよな、衣は恋人になる前から一緒に入ることに疑問を抱かなかったけど・・)「ははは・・ふぅ」  衣と恋人になった日の事を思い出して苦笑いする京太郎、水を飲んで一息つくと途端に暇になってしまう。 「う~~ん・・・誰か居れば話すんだけど、えっ~と時間を潰せるものは」  衣達が帰ってくるまで後どれくらい掛かるかも検討も付かず、仕方なく衣の部屋を見回す京太郎、最初に眼に留まったのは本棚であるのは漫画などではなく、なにやら難しそうな本と可愛らしい絵本の極端な取り合わせ。 「衣はこういうのを読むのか・・」  絵本を手にとってはパラパラとめくり、衣が何を好きなのか探る京太郎、だがとくに読み込むことはせず直ぐに本段に絵本を戻す、それを数回繰り返す。 「なるほどな・・・さて他には・・あっ」  衣の絵本の趣味の把握が終わった京太郎は、また周りを見回すと次に視界に飛び込んできたのは大エトペンと和が持ってきたエトペン、それに近づく京太郎。 「和のだな・・・そういえば、衣の恋人になれたのも、ある意味お前のおかげなんだよな・・・ありがとうな」  エトペンが無ければ和と衣が友達になることも無く、エトペンを知らなければ衣と話さなかったかも知れないし、色々な偶然に感謝しながら、京太郎は和のエトペンの頭を撫ぜて礼を言った。 「待たせたな、京太郎」「お待たせ、京ちゃん」「おまたせ・・しました」  京太郎がそんな事をしているうちに、汗などを流して、ほんのり肌を桜色に染めた衣、咲、和の京太郎の恋人達が戻ってきた。 「よぉ、すっきりしたみたいだな・・」 「うむ、京太郎のを落とすのは毎度残念なのだが・・」「私も・・だけど、置いておくとバリバリになっちゃうし・・」  すっきりして気持ち良さそうだが、京太郎につけてもらった色々なモノが流れ落ちて少し残念そうな衣、同じく少し残念そうにしながら苦笑する咲。 「衣さんの家のお風呂・・凄いんですね、まるでホテルの様な・・そんな感じでした」  初めて衣の家の風呂に入った和は、豪華絢爛の風呂に少々あっけに取られていた。 「ああ、まあ・・初めてだと驚くだろうな、ところで和、衣の事名前で呼ぶことにしたんだな」 「あっ、はい・・先ほど、お風呂の中で言われまして、友達の上に恋人になったのにいつまで名前で呼ばない気だと・・それで、折角の機会なので・・衣さんと・・それに宮永さんも、咲さんと・・」 「当然だ、ノノカは友達で京太郎の恋人の一員だからな、それに衣もノノカと呼んでいるからな、改めてよろしくなノノカ」 「うん、私も原村さんの事を・・和ちゃんって呼ぶことにしたから、よろしくね和ちゃん」 「はい、よろしくお願いします、衣さん、咲さん」  友達という輪に更に強い同じ恋人言う輪、それによってより強固な関係を築き、衣、咲、そして和は、改めて挨拶を交わしながらとても嬉しそうで楽しそうな笑みを浮かべていた、次の瞬間までは。 「和ちゃんが恋人入りしたって知ったら、優希ちゃん喜びそうだな」 「ゆーき・・・そうでした、ゆーき・・」  咲のなにげない発言で、和の表情が一転して不安そうで直ぐにも泣き出してしまいそうな、そんな急変を遂げた。 「おい、どうした和!?」「ノノカおなかでも痛いのか!?」「えっ、ど、どうしたの和ちゃん・・わ、私、何か悪いこといっちゃった?」  突然の変化に心配する京太郎と衣と咲、しかし和はゆっくりと頭を横に振る。 「い・・いえ、ち、違うんです、咲さんが・・・いえ、京太郎さんも衣さんも悪いわけじゃないんです、わ・・私が駄目だから・・私がゆーきに酷いことしてしまったから」  眼に涙を浮かべながら、自分の仕出かしてしまったことの大きさを思い、和は自己嫌悪に陥る。 「和・・・良かったら話してくれないか、何をしたのかを・・」 「で、でも・・これは、私の・・私のしてしまった事で・・」  自分で仕出かした事だから自分で解決しなければならいない、と思い込んでいる和に京太郎は和の頭に自らの手を置いて優しく撫ぜる。 「これでも、今日からだけど、和の恋人なんだからさ・・遠慮はいらないぞ、それに・・少しは頼って欲しいかなって・・」 「きょ、京太郎さん・・・」  今度は嬉しさから泣きそうになってしまう和、そんな和に恋人の先輩でもある衣と咲も黙っては居ない。 「京太郎は頼りになるが、京太郎だけではなく衣達も頼りにしてくれて良いんだぞ、同じ恋人の友達だからな、遠慮不要だ」 「そうだね・・私も同じ京ちゃんの恋人として、一人の友達として協力するよ」 「衣さん・・咲さん・・すん・あ、ありがとうございます・・わ、わかりました、それではお話します・・」  涙を堪えながら二人にお礼を言う和、そして三人の心遣いに感動して感謝した和は意を決し口を開いた。 「なるほど、的確な助言をしてくれた優希を一歩的に怒って電話を切ってしまったと」 「はい・・あの時はそれが本当に適切なアドバイスだなどとは夢にも思わず、今にして思えばこの上なく適切なものだとわかるんですが・・・」  電話の件を話し終えた和は肩を落として、すっかり意気消沈してしまっていた。 「でも、さっきの電話の話だと・・信じられなくても仕方ないかなって思うけど、京ちゃんはどう思う?」 「俺か・・う~~ん、優希らしいといえばらしな、簡単に話そうとして・・・まあ間違ってはいないんだが」 「うん、そうだね・・」  言葉が足りないと思った京太郎と咲だが、結局細かく説明しても和は信じられず怒り、落ち込む結果になったであろうと容易に想像がついた。 「まあ電話の内容は言っても仕方ないだろうな、それよりも重要な事は・・・和は優希に謝って仲直りしたいんだよな?」  優希の発言の内容を議論しても仕方ないと思い、京太郎は一番重要な点を和に訪ねる。 「もちろんです!・・・ゆーきが・・許してくれたらの話ですが・・あっ・・」  一も二も無く返事をしながらも心配そうにする和に対して、京太郎は和の頭を優しく撫ぜて心配を取り除く。 「大丈夫だ・・・優希もきっと仲直りしたいと思っているよ、だから仲直りしたい気があるなら大丈夫だ」 「京太郎さん・・・」 「衣も京太郎の言う通り大丈夫だと思うぞ」「私も・・きっと優希ちゃんも早く仲直りしたいと思っていると思うよ」 「衣さん・・咲さん・・・、そうですね、このまま泣き言を言っても仕方ありませんよね」  溜まった涙を指で拭い嘆くのを止めた和は三人をまっすぐ見つめ。 「明日優希に謝ります、ちゃんと・・心こめて」  しっかりとそう宣言するのだった。 「すぅ・・はぁ・・」  翌日の放課後、麻雀部部室の入り口に緊張した面持ちで深呼吸をする和の姿があった。 「よぉ・・和、今からか?」  部活に出るためにやってきた京太郎は、その姿からまだ問題が解決していないと思い和に声をかける。 「京太郎さん・・・はい、その今日は昼休みとか、時間が取れなくて・・そ、それで」 「そっか・・頑張れよ」 「はい・・で、でも・・悪い結果を考えると、つい・・あ、足がすくんでしまって」  どうしてもネガティブな方向に思考が進んでしまうのか腰が引けている和、それを見た京太郎は苦笑いを浮かべた。 「はは・・・それじゃあ、恋人として後押ししてやるか・・」 「えっ・・?」  京太郎は和の迷う心を振り払う様に部室の扉を開いた。  勢いよく開けられた扉に部室内に居た全員の視線が集中する、部室内に居たのは優希だけではなく咲に久にまこと部員全員がそろっていたが、いつものように和気藹々とした雰囲気でも大会前の引き締まった空気でもなく、微妙な空気が流れていた。  京太郎は部室に入ると和と優希から少し離れた位置で二人の様子を窺う。 「のぅ・・京太郎、今日は優希が妙に落ち込んでいたんじゃが・・」 「そうね、和を怒らせたって・・大丈夫なの、須賀君?」  普段とあまりに違う優希の様子にさすがに心配していたのか、自分たちよりは多少事態を理解していそうな京太郎に小声で話しかけてくるまこと久。 「心配は要りませんよ」 「ほぅ・・妙に自信ありじゃの」「須賀君がそう言うんなら、見守っておきましょうか」  妙に自信ありげな京太郎に、少し疑問を抱きながらも一先ず見守ることにまこと久、咲は少し離れた位置でしっかりと優希と和を見守っていた。 「の・・のどちゃん・・」「ゆ、ゆーき・・・」  互いの名前を呼び互いをじっと見合ったまま、部室内がしばしの間沈黙に支配される。 「・・ほ、本当に大丈夫・・なんじゃろうな?」「ど、どうかしら・・・」  動きの無い優希と和にまこと久が不安を抱き始めた、その時。 「ごめんなさい!・・えっ?」×2  二人の謝る声と頭を下げる動作が見事に重なる、驚いた二人はゆっくりと顔を上げた。 「のどちゃん、その・・・怒ってないのか?」 「怒っていませんよ、こちらが電話して・・ゆーきがちゃんと答えてくれたにも関わらず、勝手に勘違いして・・それであんな風に怒ってしまって、だから私はてっきり・・ゆーきが凄く怒っていると・・それで・・」 「怒ってないじぇ、それよりも・・のどちゃんが・・だから嫌われたのかと心配してたんだじょ・・あっ・・」  そこで和と優希ははっとして、互いが同じ事を心配していることに気がつき・・そして。 「同じことを・・心配していたようですね・・ふふ」「だじぇ・・はは」  それが妙におかしかったのか、堪えきれず声に出して笑ってしまう和と優希、そして一通り笑う声を抑えて再びしっかりと見詰め合い。 「ゆーき、あの時はすみませんでした、電話で相談しておいて・・それなのにあんな態度をとってしまって」 「気にしてないじぇ、それにのどちゃんの悩みが解消できたなら・・それで十分だじぇ」  改めて謝る和に対して、怒っていなかった優希は気にした様子もない、それよりも和の悩みが無くなった事と仲直りできたのが嬉しいようで笑っていた。 「ゆーき・・・ありがとうございます」「ちょっ・・くすぐったいじぇ、のどちゃん・・」  優希の言葉が嬉しかった和は感極まり思わず抱きついてしまう、優希は少し照れくさそうに笑いながらも、そのまま和としばしの包容を味わうのだった。 「無事、問題解決したようだな」「そうだね、よかったね優希ちゃん、和ちゃん」  しっかりと仲直りをした和と優希の元に、京太郎と咲も喜びながら歩み寄ってきた。 「京太郎、咲ちゃん・・心配かけたじぇ、部長と染谷先輩も・・・」 「京太郎さん、咲さん・・・それに部長にまこさんも、ご心配をおかけしました」  優希と和は包容を止めて離れると、心配をかけた全員に謝罪を述べた。 その様子を見ていたまこと久も安心し四人の所に歩み寄る。 「はぁぁぁ、落ちこんどるから心配したが・・余計なお世話じゃったの」 「でも、仲直りしてくれたんだから、それは言いっこなしよ」  苦笑しながらも、問題が拗れなかった事に胸を撫で下ろすまこと久。 「京太郎さんの言う通りでした、さすがです・・優希の事もよく分かっているんですね」 「まあな」  昨日の言葉を思い出して改めて感心する和に、褒められて少し照れくさそうにする京太郎、そんな二人の会話を聞いていた久が疑問を口にした。 「あら・・和、何時の間に須賀君と咲を名前で呼ぶようになったのね」 「はい、昨日・・ちょっと」 「ほう名前でのぅ・・でも急に京太郎を名前で呼ぶようになったら、噂話しとる奴に勘違いされかね・」「まこ!」  まこが噂の事を口にすると、久は声を荒げてそれを止めた。 「あっ、す、すまん、和・・これからはそういう奴には注意しておくから・・」  久の一声で、同じ話で和が機嫌を悪くしたことを思い出したまこは、慌てて謝りながら話を逸らそうとしたが、今日の和は先日までの和とは違っていた。 「あっ、そのことなら良いんです・・」 「あら・・気にしないことにしたのね、そうね、それが一番いいわ」「まあな、変な噂は気にしいひんのが一番じゃからのぅ」  今度は和の怒りに触れなかったと安心し、久とまこは噂は無視するのが一番だと話を終わらせようとしたのだが、性格上なのか、それとも言いたくて仕方なかったのか、和は間違った部分を訂正した。 「いえ、そうではなくて・・・事実になってしまった事を否定して廻るのはどうかと思いますんで」  「そうよね、事実になったことを否定したら・・・えっ、事実?」 「そうじゃの、事実を嘘って言うのは・・・えっ、事実?」  最後の部分で声が重なりあう久とまこ、すぐに意味が理解できない二人は鳩が豆鉄砲を食らったような表情で固まり、しばし沈黙が流れ・・・そして。 「な、なにぃぃぃぃぃぃ!!」×2  久とまこは部室中に響き渡るほどの声を上げて驚く、当然声を上げただけで落ち着きが取り戻せるわけも無く。 「ど、どういうことじゃ京太郎、いつのまに天江と別れたんじゃ!?」 「いえ、京太郎さんは衣さんと別れていませんよ、昨日も衣さんととても仲良さそうに・・していましたから」  昨日の事を思い出し、ついで情交の事も思い出した和は頬を染める。 「・・もしかして・・天江は和と京太郎の仲を知らないとか・・」 「い、いえ・・ちゃんと衣さんも認めてくれましたよ、しっかりと・・」 「認める・・天江が・・ええっ?」  衣が決して京太郎を誰かに譲ることは無いと思っていたまこにとって、今の和の発言は信じられないもので、疑問を解決するために聞いた事が、逆に疑問を増やす結果になり結果さらに混乱した。 「そ、そじゃあなに、須賀君は天江さんと和、二人の恋人になったとでも言うの!?」  表面上は落ち着きを繕った久、しかしこめかみはぴくぴくと動いて、混乱する内情を露にしていたが、なんとか事の根幹を和に訪ねる。 「あっ、それは違います」 「そ、そうよね・・恋人が二人って・・・」「な、無いじゃろ・・さ、さすがに・・」  和の即座の否定により、少し落ち着きを取り戻したように見えた久とまこであったが、次の瞬間。 「二人ではありません、だってゆーきも咲さんも、京太郎さんの恋人ですから」 「そうだじぇ、私だって京太郎のこ・い・び・となんだじぇ!」「私も・・京ちゃんと衣ちゃんが許してくれたんで」  満面笑みで訂正する和に、同じく満面の笑みで京太郎の左右の腕に抱きつきながら答える優希と咲、ただでさえ和の事で混乱している久とまこにとって、ここに来ての優希と咲の事も重なり・・そして。 「ええっっっっっっっっっっっっっっっっっ!!?」×2  驚いて声を上げる他に道は無く、久とまこの叫びは建物全域に響き渡った。 「ぶ、部長、染谷先輩・・大丈夫です・・」 「さ、さんにん・・いや、四人って・・ど、どういう事じゃ・・」 「さ、さささ、最近の子は進んでいるって聞くけど・・まさか、そんなに・・」  混乱の極みに達したまこと久に京太郎の言葉は届かず、二人はただぶつぶつと何やら呟き続けるのみだった。 「う~ん、今日はもり無理そうだね」「そうですね。理解するにも時間がかかるでしょうし」  冷静に事態を見ながら、咲と和は二人に今日これ以上話をする事を諦めたようだ。 「まあ部長と染谷先輩の事は置いとくとして・・のどちゃん」  しばらくはこちらに帰ってこないであろう、久とまこを無視して優希は再び和を見つめた。 「なんですか、ゆーき?」 「ちゃんと言ってなかったじぇ、京太郎の恋人になれておめでとうだじぇ、今日からは恋人仲間としてもよろくしだじぇ!」  喜び・・新たな意味での仲間になった和に優希は祝福の言葉を掛けて歓迎する。 「ゆーき・・・あ、ありがとうございます、こちらこそ今日からよろしくお願いしますね」  眼にうれし涙を浮かべながらも和はしっかりとした笑顔で優希に答える。 「私も改めて、よろしくね和ちゃん」 「はい、咲さんもよろしくお願いします」  この場に居るもう一人である咲とも改めての挨拶を交わした和は、最後に京太郎の方を向いた。 「良かったな和、全部上手く行って」 「はい・・ありがとうございます・・」  最初に全てが上手く行った事を祝福する京太郎と、その祝福に礼を言う和、そして和はゆっくりと口を開いた。 「その・・不束者ですが、あ、改めてよろくお願いしますね、京太郎さん」  少し自信がなさそうにお願いする和に、京太郎はただ優しく笑いかけて静かにだが力強く答えた。 「ああ、よろしくな・・和」  その笑みが和に自信を与えて不安など吹き飛ばす、そして自分のコンプレックスであった胸を誇らしげに張って、しっかりとした口調で和は高らかに言い放つ。 「はい、京太郎さん、大好きです!」     終わり [[前話>和の憂鬱]] [[次話>純なる想いを叶える智1]] #comment

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