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「雅枝小母さん!まずいですって、こんなの…」 こうなることは、わかっていた。 「小母さんなんて言わんといて…雅枝って呼んでくれな、嫌や」 俺の視線はこの人を捉えていたから。 「俺はっ、娘さんの…絹恵さんの彼氏なんですよ!?」 けれど…俺は彼女を拒む。 「何言うとんねん…京太郎のココ、こない大きゅうしとるやないか」 しかし身体は言う事を聞いてくれない。 「それは…ただの生理で……」 それでも俺は必死で足掻く。 絹恵さんの事を、傷付けたくないから。 …俺の薄暗い想いを、受け入れたくはないから。 「―――嘘やな」 けれど雅枝さんは…雅枝は俺の言葉を否定する。 ホントの事を突きつける。 「アンタは絹恵を見てたんやない…その向こうにいる私を見とったんやから」 偽り続けてきた…受け入れずにいた俺のキモチを。 「ええんやで…私は、何もかも受け入れたるから」 彼女の想いが行き付く先を、俺は知らない。 「アンタはただ、私に身を委ねたらええ」 その想いは…俺へのものか、亡くなった夫へのものか。 俺には、何も分からない。 いつか、全てが明るみに出て。 「なんで、なんでや京太郎……」 いつか、憎まれるようになって。 「お母ちゃんも京太郎も、大っ嫌いや!」 いつか、全てを失うことになったとしても、 「愛しとるよ、京太郎」 俺はもう自分を…この人を…裏切らない。

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