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イカサマ専門雀士の京太郎
京太郎「いやー龍門淵さん、おかげでいい取引ができましたよ」
透華父「ははは、この絵が買えてこちらも嬉しいよ
ギヨマンのノルマンディーの風景、まさに印象派の傑作だ」
京太郎「それでは私はこれで…次もまたごひいきに」
透華父「あぁ、須貝君!待ちたまえ!君には是非わたしの娘に会って……」
京太郎「そ、それでは!」
京太郎「ふいー…まだまだ人生の墓場には行きたくないよ
さって、次は、と……」
刑事A「おやおや、あんなところに詐欺師の須賀京太郎がいますよ刑事Bくん
今日はどの偽名でお仕事をされたのでしょうかねぇ?最近使い始めた須貝京太あたりでしょうか」
刑事B「やりましたね刑事Aさん!捕まえれば大手柄だ!」
京太郎「げぇっ!警察!?やべっ!逃げないと!」
<Roof top店内>
久「ねえ、まこ…こいつらやっぱり信じられないわ」
まこ「しかしのう部長、この半荘で1位になれば今後一切店に来ないというとるんじゃ、誓約書も書かせたし、
ここはわしが何とかするしかないけぇの」
客A「おーいまこちゃんよう、早く卓につきな!」
客B「勝ったら俺らをVIP優遇するって話の確認かぁ?」
客C「そっちの姉ちゃんは入らないんだから関係ないだろう?早くしろよ」
まこ「ほんじゃ、行ってくるわい」
久「まこ…!」
………
十数分後…
京太郎「(そ、そろそろ走るのもきつい…!ひとます、あの店に逃げ込もう!)」
客A「ほいっと、ツモ!へへ…発の役牌にドラの三萬が…おっと三つもあるぜ!満貫の4000オールだな」
客B「へへ、Aちゃん飛ばすねぇ」
久「(なにかおかしいっ…!こいつら調子がよすぎる……)」
まこ「……」
客C「そんじゃ続きだな…」
京太郎「(へー麻雀か…)…ん?」
客A「(へっ…年の割りにだいぶ腕が立つようだが所詮はお子様の雀士、大人の怖さってのをまるで知らねぇ…
よーく見ておけよ…実力だけじゃあ麻雀には勝てないってのをな!)」
客A「リーチ!」
まこ「…!?」
客B「(決めるつもりだな…?)」
客A「お?へへ、こんなこともあるんだなぁ?引いたよ…ツ…!」
京太郎「オッサン、その右手しまえよ」
客A「あ…?」
客C「ガキぃ、なんだてめぇ?」
久「あの子…背広着てるけど、どこかで見たような顔ね…」
まこ「(何者じゃ…?)」
京太郎「なあ、こいつらいつもこの面子で、この卓で打ってるんじゃないか?どうだい
そんで、この卓も開店当初から置いてあるとか?」
まこ「…よくしっとるの」
京太郎「やっぱりな…
自動卓ってのは完全なランダムで牌が出てくるわけじゃない
ある程度のアルゴリズムに則って、牌が出てくる
勿論、手積みよりは信頼性があるが、使い慣れた卓をイカサマの目で見ればその法則が見えてくるようになるもんだ
最新の機種でなければ尚更…
ラスベガスのカジノのトランプカードを出す機械にだって複雑ではあるが似たようなアルゴリズムが隠されている
一人での計算が難しくても三人でなら何となくの範囲で計算は可能だ」
客B「てめぇ、イカサマだぁ?ふざけてんじゃ…」
京太郎「次に!
同じ面子同士の利点は他にもある、通しがしやすく、
カモとなる相手の注意をそらして味方のすり替えなんかをサポートできる
そうだな…例えば、そこのオッサンがいま正にツモあがりしようとしているその右手の中
もう一つ牌が握りこまれているはずだ」
客A&B&C「!!?」
京太郎「だから言ったろ?
しまえって…
右手をポケットの中に入れてから上着を脱いで身体検査させれば少しはごまかせたかもな
ったく、頭がいいんだか悪いんだか、わからんな」
久「やったわね!もうあいつら二度とここには来れないわよ!」
まこ「そうじゃろうて、イカサマしてたことがバレてしもたら、来たところでだーれも相手にはせんわ
これもあの金髪のおかげじゃ……そういやあの男はもういなくなったんかの?
礼もまだしとらんのに…」
久「…ねえ、まこ
わたし彼に見覚えがあるかも…」
まこ「本当か?」
久「春ごろに麻雀部の部室近くでよく見かけた子に凄く似てるの……うちの生徒かも」
まこ「ふーむ、それならすぐに見つかるかもしれんのう」
久「ええ……そして」
まこ「そして?」
久「彼に……
麻雀部に入ってもらうわ!!」
京太郎「あーあ、まーた金にならないことしちまったぜ…
まあ、麗しの我らが生徒議会長様とそのご友人を助けられたんだからよしとすっか
詐欺師と高校生、両方やらなくっちゃあならないのが…須賀京太郎のつらいところだ」
カンッ