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  昼休みに麻雀部員で集まってガールズトーク。1人男が混ざってるけど気にしない。 最近の話題は専らシズ。2週間くらい前に彼氏が出来たとかで大騒ぎだった。 でも、それから毎日惚気られると流石にウンザリしてくる。 「ねーねー!聞いて聞いて!」ああ……また始まった。とりあえず心を無心にしてご飯食べよう。 あ、このおにぎり美味し……「昨日ね!キスしちゃったんだー!」はいぃ!? ちょ…ちょっとまった!「何だよアコー」あんた達まだ1ヶ月もたってないでしょ! 「んー?今日でちょうど2週間だね」早すぎじゃないの?「アコは慌て過ぎだよ」 そうでもないわよ、と反論する。「アコは気にしすぎだって。手が触れるか口が触れるかの違いでしょ?」 流石に聞き捨てならない。シズには貞操観念の勉強をしてもらわないと。 注意している間にもどんどん反論をしてくるシズに、こっちもヒートアップしてさらに反論を重ねていく。 すると、視界の端でクロが変な表情をしていた。笑っているような呆れているような、そんな表情。 シズも気付いたらしい。「クロさん、なんでそんな顔してるんですか」シズがド直球に質問する。 「穏乃ちゃんは少し違うと思うよ」クロが私の味方になった。「そんなことないですよ!」それでもシズは引かない。 「ふ~むなるほどなるほど」クロが何かを考える。絶対に碌なことじゃない。昔からこういう時のクロは碌な事を考えないからわかる。 クロが突然、ハッと何かに気付いた表情をする。「アコちゃん!」クロが叫び出す。「京太郎君の手を握ってみなさい!」 いきなり大声で命令されて、この騒動を蚊帳の外から眺めてた京太郎の手を思わず握ってしまう。 これでいいの?と声をかける。「ほらね!」何故かクロ自慢げにする。「こんなアコちゃんでも、手をつなぐことならすぐにできるんだよ」 『あの』って何よ。反論するけど、誰も聞く耳を持たない。 「だけど、例えばキスをしろって言ったらアコちゃんは多分逃げちゃうよ」クロが話を続ける。例えがよくわからないけど。「どこで触るかっていうのは、大事なことなんだよ?」 そこまで言われて、京太郎の手を両手でしっかり握っていることに気付く。その瞬間、顔に熱が走るのを感じる。手も熱くなる。 反射的に京太郎の手を振りほどき、考えを改める。やっぱりどっちも大差ない!と、叫んだところでクロが「ええ~」と不満げな声を出す。 だって仕方ないじゃない。手を離したのに顔も手も熱が引かない。それどころかどんどん熱くなる。 オーバーヒートしかけた頭で考える。大事なのは、「どこで触るか」ということよりも「誰に触るか」ということなのかもしれない。 少し冷静になったら、皆が私を見てニヤニヤ笑っているのが気になった。少し怒ったら「昼休みもう終わりだから」と逃げられた。 行き場の無くなった怒りは京太郎のせいにして、教室へ戻る。なにか口答えしてたけど気にしない。 私の手に残った、堅くて大きいあいつの感触を思い出して少し顔が綻んだ。  

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