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  きっかけは、単なる下心だった。 阿知賀女子の人達が和の知り合いだったために、たまたま話をする機会があった。 その時に出会ったのが松実玄さんと松実宥さん。 背は咲より小さいけれど、胸は咲より大きい二人。 当然俺は、二人の胸にばかり気をとられていた。 大きい胸の女性が好きだから。 そもそも、麻雀部に入った理由の一つには和の存在であったのだ。 こうなることは仕方がなかった。 その後のことまでは、仕方なかったなどとは言えないだろうが。 幸か不幸か、俺と玄さんは同じ嗜好の持ち主だった。 それを察した彼女は、面会が終わってすぐに俺へ連絡をよこした。 内容はおもち…つまりは女性の胸について語り合いたいという旨のもの。 断る理由など、どこにもなかった。 俺など及びもしないその執着ぶりには、何度か閉口させられたが。 それからしばらくして、俺と玄さんは付き合うことになった。 …宥さんと関係を持ったのは、それよりずっと前のことだけど。 宥さんはあまり身体の強い人ではない。 聞いた所によると、彼女の体質は亡くなった母親とそっくりであるらしい。 …月に一度、吉野の地を訪れるのを俺は楽しみにしていた。 玄さんに会いたくて。 そして、宥さんが息災にしているかどうか確かめたくて。 初めて松実館を訪れた日、宥さんは突然倒れてしまった。 幸い、命に別状はなかったようだが。 そうなった理由について、多少医学的な説明を受けたが俺にはよく分からなかった。 ただ、相当着込んでいた彼女の身体が氷のように冷たかったことはよく覚えている。 暖めようと必死になって、彼女を強く抱きしめてしまったことも。 「京太郎君に抱きしめてもらった時の感触…今でも覚えてるよ」 「…そうですか」 「とっても、あったかかったの。もっともっと、抱きしめてもらいたいと思ったの」 「……」 「…ねえ、京太郎君?私のこと、あったかくしてもらっていいかな?」 そうして始まった宥さんとの爛れた関係を、俺は未だに清算出来ていない。  

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