「h16-23」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
「h16-23」(2013/09/05 (木) 00:03:35) の最新版変更点
追加された行は緑色になります。
削除された行は赤色になります。
玄「京太郎くん、お茶が入ったよ。どうぞ」
京太郎「ありがとうございます、なんだか至れり尽くせりですね」
玄「えへへ、おもてなしは我が家の得意分野だから」
京太郎「雰囲気もいいし、ここでずっと暮らしたいくらいですよ」
玄「それならウチの子になればいいよ、お姉ちゃんだってきっと喜んでくれる」
京太郎「あはは。いいですね、それ」
玄「うん。その湯のみ茶碗は京太郎くん専用だよ」
京太郎「え?」
玄「うん? なにかおかしなことでも言ったかな、私」
京太郎「いえ、特にそういうわけじゃありませんけど」
玄「よかった。どうかな、そのお茶碗。気に入ってくれた?」
京太郎「え、ええ。やっぱり日本人ならマグカップより湯のみですよね」
玄「そう言ってもらえて安心したよ。本当は一緒に買いに行きたかったんだけどね」
京太郎「あはは」
玄「お揃いの湯のみ茶碗を二人で買いに行くのは、流石にちょっと恥ずかしくて。ごめんね」
京太郎「お揃い? このお茶碗、もう一つあるんですか」
玄「うん。もう一つは私の分だよ」
京太郎「へ、へえ」
玄「お店屋さんはどこも顔見知りだから、一人で買いに行っても結局からかわれちゃったよ。えへへ」
京太郎「玄さん、このお茶碗ってもしかして」
玄「うん。もちろん夫婦茶碗だよ。ちょっと気が早いかもしれないけど、これから家族になるんだから問題ないよね?」
京太郎「え」
玄「どうしたの? すごい汗、体調が悪いのかな」
京太郎「いえ、体調はすこぶる良いですよ。ただ」
玄「ただ?」
京太郎「玄さんって、俺のこと好きなんですか?」
玄「ごめんね、京太郎くんが何を言ってるのかよく分からないや。体調、本当は良くないんでしょ?」
京太郎「あはは、そうですよね。まさか俺なんかに気があるわけ」
玄「大好きに決まってるよ。私たち、もう家族だもんね」
京太郎「…………」
玄「熱はないみたいだね。むしろ京太郎くんのおでこの方が冷たくて気持ちいいや」
京太郎「…………」
玄「どうしよう、こういうときはやっぱり膝枕かな。大阪の人たちの真似っこになっちゃうけど」
京太郎「玄さん」
玄「えへへ、ちょっと恥ずかしいけどお姉さんのお膝を貸してあげるね。横になってくれるかな」
京太郎「俺、憧のことが」
玄「聞きたくない」
京太郎「…………」
玄「聞きたくないから、黙って膝枕されてよ」
京太郎「玄さん」
玄「イヤなの。大事な人が遠くに行っちゃうなんて、もうたくさんだよ」
京太郎「でも」
玄「京太郎くんのこと一番思ってるのは私!」
京太郎「…………」
玄「私だから」
京太郎「…………」
玄「傍にいてよ。私のものになってよ」
京太郎「ねえ、玄さん」
玄「…………」
京太郎「俺、今でも憧のことが好きです」
玄「…………」
京太郎「多分、玄さんは知ってますよね。もう」
玄「うれしかった」
京太郎「…………」
玄「憧ちゃんが京太郎くんを振ったって聞いたとき、許せないって思ったけど」
京太郎「…………」
玄「ごめんね、やっぱりうれしかったんだ。ずっと大好きだったから」
京太郎「…………」
玄「だから京太郎くんを招待したの。口に出すのは怖かったから、よくわからないお芝居までして」
京太郎「玄さん」
玄「馬鹿みたいだよね。お揃いのお茶碗なんか買ったりして、叶うわけないのに!」
京太郎「玄さん!」
玄「教えてよ! どうして私は憧ちゃんの代わりになれないの!」
京太郎「俺を膝枕してください!」
玄「…………」
京太郎「…………」
玄「へ」
京太郎「膝枕、してください」
玄「なんで」
京太郎「一休みしたら、全部ちゃんとするから」
玄「…………」
京太郎「だから、玄さんもちゃんとしてください」
玄「…………」
京太郎「ちゃんと、お友だちから」
玄「…………」
京太郎「…………」
玄「……うん」