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  あぁ、咲おかえり。今日はどうだった? そうか、そうだよな、咲が負けるなんてありえないもんな。さすがだよ咲。 ……でも、やっぱり帰るのは遅いんだな。今日も迷子だったのか? いつも使ってる道なのに相変わらず迷うなんて咲は……まったく……。 なぁ、どういうことなんだ? なぁ? 昨日より1分12秒も遅れてるじゃないか。 普通もっと早く帰れるだろう? どうして昨日より遅れてるんだ? そんなに俺がいる家が嫌なのか? うるせぇな、言い訳なんて聞きたくねぇんだよ。……謝ればいいってもんでもねぇんだよ! 俺は……俺はこんなにも咲を愛してるのに……! いい加減わかれよ! 俺は、俺は…! ! あ、あぁ……ごめん、ごめんな咲。苦しかったか? ここまでするつもりじゃなかったんだ。 ごめん……咲。 ……。でもな、咲? 咲だって悪いんだぜ? あんまりちやほやされて、なんか勘違いしてるみたいだしさ。 麻雀は上手いけどさ。それだけだろ? そりゃ料理くらいはできるけど、他はダメダメだし。ホントに、お前は俺がいなきゃダメな奴なんだよ。 ちやほやしてる奴だって、お前の名前とか実力とかそういうのが目的なんだよ。だから気をつけろよ? 本当の咲をわかってやれるのは俺だけなんだから。 っと、そうだったな、せっかくの飯が冷めちまう。悪いな、変な空気作っちゃって。さぁ、食べよう。咲のことだけ考えて作ったんだ、きっと美味いさ。 どうだ? そうか! いや頑張った甲斐があったよ。気に入ってくれたら何よりだ。 ……でもさ。気のせいかもしれないけどさ。なんか、食べるの遅くないか? 実は美味しくなかったのかな。そんなことないか……そうか……じゃあ、なんでだ? ただの気のせいだって? そんなことねぇよ……咲の事だったらなんだって分かるんだぜ、俺? ひょっとして食欲ないのか? 体調が悪いのか? そんなことない、か……。ひょっとして、もう食べてきた? え? 違う? じゃあどうして食べるのが遅いんだよ。 俺が見てるから? ダンナが見てるのに遅れるなんてそんなことねぇだろ……。 なぁ咲。ひょっとして誰かかばってるんじゃないか? 何でそんなムキになって否定するんだよ……やっぱ誰かかばってんのか? 誰だ。誰だよ。言えよ!! ふざけやがってふざけやがってふざけやがって……俺の、俺の俺の俺の咲に……! 畜生、誰なんだよ!! おい咲! 答えろよ! なんてことだよ……俺がこんなにお願いしてるのに答えねぇのかよ……。 ……そっか。 じゃあ、教えてくれるまで、仕事は休みだな……ついでに、いかに俺が咲を愛してるか教えてやるよ。 うるせぇ、離せよ……全部咲が悪いんだからな? もしもし……えぇ、宮永プロですが……私ですか? 夫です。はい、結婚しております。それで、妻の咲なんですが、体調を崩しまして。 はい、しばらく……咲、離せ。離せ! ……こいつか? こいつなのか? あぁ、失礼しました、えぇ、本人はやる気があるんですが、やはり大事を取りまして。 はい。はい。えぇ、すみません。はい、そういうことで。はい、改めて連絡します。ありがとうございました。それじゃあ。 ……酷くねぇよ。全部、咲のためなんだ。咲のことだけを考えてやれるのは俺だけなんだ……わかってくれ。 来い。暴れんな……暴れんなって……ぃってんだろうがぁ!! はぁ、はぁ、はぁ……今体力使うのは得策じゃないぜ。なんせ、一週間くらいは俺のアイを教えてやるんだからな。 大丈夫だよ咲。俺は、どんな咲でも、絶対に最後までアイしてやるから……な? ――――――――――――― 和「須賀君と付き合った場合、論理的に考えてこうなる確率が非常に高いです。咲さん、ですから須賀君とは……」 咲「……」 和「咲さん?」 咲「いい……」 和「え?」 咲「和ちゃん、それすごくいいよ! 素敵!」 和「は?」 咲「そうだよ、京ちゃんはいつも気がないふりしてるけどあの野獣のような視線はいつも感じてるし、やっぱりあれは私を監視してる目なんだよねもっと表に出してくれなきゃ分からないじゃないあぁでもそうなら私の方も少し身体の方を慣らしておかないと……」ブツブツ 和「さ、咲さん?」 咲「ありがとう、和ちゃん! 私、なんだか分かってきたかも! こうしちゃいられないから、私もう行くね! また明日!」 和「咲さん、待って、ダメです咲さん! 咲さん!! あぁ……」 和「……」 和「邪魔、だなぁ」ボソ ただいま京ちゃん! 待ってた? 待ってたよね? ごめんねぇ……。 後援会の人とかが煩くてさぁ、ホント困っちゃうよ。私は早く家に帰りたかったのにさ。 迷うといけないから付いて行くって付きまとおうとするんだよ! 失礼しちゃうよね、自分の家だから分かるよ! ていうか下心見え見えなんだよ……家までついてきて何をするつもりなんだか。私には京ちゃんがいるってのに、ね。 ふふ、だから京ちゃん安心してね。他の誰かから迫られても、絶対断るから。もうね、触られる度に死にたくなる。どうして京ちゃん以外の人ってああも不潔なのかな? ねぇ、京ちゃん? 聞いてる? ……聞いてる? 答えてよ。ねぇ。 答えろよ。 ……うんっ! えへへ、ありがとー京ちゃん。でも、私には京ちゃんだけだから。 あ、忘れてた! はい、ただいまのちゅー。……んっ。元気満タン! へへー。 じゃあご飯にしよっか! すぐに作るから待ってねー、今日も腕によりをかけて作るからね。 え? 休めって? いーよー、京ちゃんは気にしないで、京ちゃんに食べてもらうならいくらでも頑張れるから。 ふんふーん、お野菜にー、お肉にー、塩に胡椒にー……はい、隠し味……んっ……、と……。 おまたせー、はいどうぞ。食べてねー。 ……? どうしたの? 食べないの? お腹すいてない? すいてるよね? 一応、お昼のお皿は空だったけど、それ以外ゴミはなかったし。 あ! ひょっとしてー。食べさせて欲しいんでしょー。もーしょーがないなー、お昼ごはんは上手に食べたみたいだし、特別に食べさせてあげる。 はい、あーん。…? あーん。お口あけてーあーんだよー。ほらー。 ………………。 美味しい? あぁほらゆっくり食べなよ、もぅ。落ち着いて、ね? 零したら自分で拾うんだよ? で、味はどう? 美味しいでしょ、うん、そうだよ、いつもの隠し味使ってるよ。赤くて美味しいでしょー。はい、もう一口! よく出来ましたー。 私? 大丈夫だよ。心配してくれてるんだね、嬉しい…。ちゃんと私の分は残してあるから。 え、これ? これじゃないよぉ、自分のを自分で食べちゃ意味が無いじゃない。これは、京ちゃんの分。 だから、いいってばぁ、私のはちゃんとあるから……あぁ、泣かないでよ……そんなにこれ食べて欲しいの? でも、ダメ♪ ふふ、元気に食べてる京ちゃん見てたら私もお腹すいてきちゃった……えーと、右手は残り少ないな……次は、うん、左手かな。ザクザクーっと……。 出来上がり! 美味しい……美味しいよ京ちゃん……さすが京ちゃんだよ。あぁ、私今京ちゃんと一緒になってるね。私のも美味しい? えへへ。 ごめんね京ちゃん、私も腕の一本や二本上げられたら良かったんだけど、そうしたら稼ぎもなくなっちゃうから……本当にごめん、だからこれで許して、ね? え? 何でそんなこと聞くの? いんだよ、京ちゃんは私のことだけ考えていればいいの……外のことなんか……。 清澄のみんな? そんなことどうでもいいじゃん……なんで今さら。あんな奴等、京ちゃんを都合のいい道具にしか思ってないんだよ。 今日だって京ちゃんのことをコソコソ聞き出そうとしてさ。卑しいよね、みんな。どういう目的で京ちゃんを探しているんだか。大丈夫、私が守ってあげるから。 やめてよ……何でみんなをかばうの? 京ちゃん何もわかってない……やっぱり京ちゃんをわかってあげられるのは私しかいないんだね。 やめてやめてやめて。そんなこと京ちゃんから聞きたくない。何もわかってないくせに。黙ってよ。黙れよ! 余計なこと考えなくていいんだよ。私のことだけ考えて、ね? 京ちゃんがそうしてくれるだけで、私いくらでも頑張れるんだから。 ……あぁ、そっか。そうだよね。京ちゃんにも、お仕事あげないと大変だよね。余計なこと考えられないような……。んしょ。 え? 何って……服脱いでるんだよ? あはは、分かってるくせにぃ。京ちゃんも脱ごうね。足がないから脱がせやすいよ。 あぁ、もう私ったら。準備万端だよ。じゃあいくよ? 頑張って元気な子供生むからね。 子供は息子がいいな。京ちゃんと息子がいたらきっと楽しいだろうなぁ。娘はダメ。父親にどんな色目を使うか分かったもんじゃないからね。 ね、これからも頑張ろ京ちゃん。子供、出来るまで……ね♪ ――――――――――――― 和「咲さんと一緒になったらこうなるでしょう。健全な将来のためには咲さんは避けたほうが良いですよ」 京「えっと、つまり俺はダルマにされると……?」 和「残念ながら、その公算は高いでしょう」 京「あっははは! あのポンコツにそんなこと出来るはずがないだろう! あはははは」 和「……須賀君に、咲さんの何が分かるっていうんですか」 京「いやぁ少なくともそういう未来にはならないことくらい分かるさ」 和「……とにかく、咲さんはダメですからね。これは須賀君のためでもあるんです」 京「それについては安心しろって」ナデナデ 和「あ………」 京「和以外と付き合うなんて、俺には考えられないって。だから余計なことしなくていい」ナデナデ 和「……絶対ですよ?」 京「あぁ、絶対だ」ナデナデ 和「少しでも浮気の素振り見せたら、その、か監禁して、その、閉じ込めちゃいますからね!」 京「好きなだけ独り占めしていいよ」ナデナデ 和「ええ……好きなだけ、独り占めして下さい……」  

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