京太郎「なぁ咲。お前よく本読んでるよな」

咲「急にどうしたの京ちゃん」

京太郎「ベタ甘についてどう思う」

咲「ベタ甘?ジャンルとしてってこと?」

京太郎「いや、なんだ。その……お前から借りた『図鑑』を読んでいたらな、クラスメイトが似合わねーってさ?」

咲「ふむふむ。それで、京ちゃんは気に入ったの?」

京太郎「え?」

咲「他人にどう思われているかなんて、気にしてたら本は楽しめないよ。その本、京ちゃんは面白いと思ったの?」

京太郎「まあ、な」

咲「参考までに、どの当たりが?」

京太郎「えっと、彼氏と別れた主人公が思い出をなぞる所かな――」ハッ

咲「……ふーん」ニヤニヤ

京太郎「……忘れろ」

咲「本当に気に入ってくれたようでなによりだよ」


何気ない日常の1ページ。当時はそのくらいに思っていた。

京太郎「……もう、昔のことか」パタン

多くの本を教えてくれた彼女を、京太郎が忘れられる日は未だに来ない。

京太郎「……全く。俺は悲恋は好きじゃねーって言っただろ、咲……」

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2017年10月12日 21:42