h104-76 - 咲-Saki- 京太郎SSまとめ

咲「はい、バレンタインデーのチョコだよ」

京太郎「おう、持つべきものは幼馴染の女の子だな。毎年一個は確実に貰えるってのは嬉しいぜ」

咲「ホワイトデーのお返しはよろしくね」

京太郎「あいよ、……それにしても、相変わらず咲はポンコツだな。チョコがスゲー不格好だ」

咲「むっ、文句あるなら返してよ」

京太郎「はは、気にすんなって、頂きまーす」ﾊﾑﾊﾑ

咲「どうかな？」

京太郎「(苦い、こいつ湯煎じゃなく火で炙ったに違いねぇ、加減誤って焦がしたな)……お、おう、咲らしいチョコだぞ」

咲「私らしいか」ﾃﾍﾍ

優希「咲ちゃんはもう渡したのか。犬よ喜んで私からのチョコも受けとるんだじぇ」

京太郎「これタコスじゃねえか」

優希「ふふーん、チョコタコスだじょ」ﾄﾞﾔ

咲「美味しいのかな？」

京太郎「えーいままよ」ﾊﾟｸﾊﾟｸ

優希「タコスは万能だから心配無用だじぇ」

京太郎「(タコス生地にたっぷりのチョコレート、ナッツやドライフルーツも入っているな)……意外に旨いな」

咲「本当？」

京太郎「ああ、ただ製菓っていうか菓子パンを食べている感じが拭えないけどさ」

優希「美味しいから問題なしだな。咲ちゃんも食べたいならあげようか？」

咲「あはは、私はいいかな……」

久「やっほー、皆元気にしてたかしら？」

まこ「久、何しに来たんじゃ？」

和「受験勉強は良いんですか？」

優希「元部長が何のようだじぇ？」

京太郎「受験滑ってもしりませんよ」

咲(うわ、皆辛口だ)

久「ううっ、皆が冷たいわ。せっかくチョコ持ってきたのに……ちょっと息抜きくらい許してよ」

まこ「はあ、そう言ってこの前もうちの店で藤田プロと丸一日麻雀打っていたバカもんをわしは知っとるが？」

京太郎咲和優希「「…………」」ｼﾞｰ

久「あはは、はいこれチョコよ」ﾌﾟｲ

京太郎「はあ、板チョコか」

優希「市販の百円で買えるやつだじぇ」

和「残念ですね」

咲「擁護出来ないです」

久「私受験生だし、最後の追い込み中で手作りしている時間なんてね……」

まこ「(それなら何で麻雀を打ちに来るんじゃ？)……はあ、もう知らんわ。ほれ、久はこれ食べて勉強しい。皆も食べえ」

京太郎「先輩ありがとうございます」

和「カップケーキですか」

優希「早速頂くじぇ」

咲「(うっ、私のと比べたら見映えからお菓子としての完成度が段違いだよ……)」

京太郎「旨いっすね」

優希「卵焼きといい、染谷先輩は料理上手だな」

和「これは売れるレベルなのでは？」

久「流石まこね」

咲「もっと食べたいですよ」

まこ「気に入ってくれたなら部活が終わってからルーフトップに来ればええぞぉ。バレンタインイベントでお客様にサービスで提供しとるんじゃ」

久「はあ、商売上手ね。これは行かないと……」

まこ「久は来んでええ」

久「」

京太郎「なあ、和」ｼﾞｰ

和「……何ですか？」

京太郎「……和もチョコを作ったりしてきたりしているんじゃないのかなって」

和「はあ、バレンタインデーとはそもそも古代のローマ帝国で信奉されていた女神ユノやマイアを崇拝するルペルカリア祭に起源を持っています。キリスト教から考えればこれは異教の神を奉る祭事であり－－

　　　　　　　　－－中略－－

－－、っと言うことで現在の日本におけるバレンタインデーは商業主義と結びついたものであると言うことを理解していただけましたか須賀くん？」

京太郎「ハイソウデスネ」

和「分かって頂けたら幸いです」

優希「のどちゃんはのどちゃんだな……」ﾋｿﾋｿ

咲「私、バレンタインはバレンタインって人が死んだとしか知らなかったよ……」ｺｿｺｿ

まこ「久の奴、途中で逃げおったぞ」ｶｸｶｸ

和「それでは麻雀をしましょうか」

優希「お、おう」

まこ「悪いがわしは店の手伝いがあるから先にあがらせてもらうのぉ。戸締まりだけはちゃんとしといてくれ」

咲「はい」

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京太郎「ふう、鍵も職員室に返したし俺も帰るとするか」

和「須賀くん」

京太郎「あれ、和？　咲たちと一緒に先に帰ったはずじゃあ」

和「ええ、忘れものがありましたので戻って来ました」

京太郎「そうなのか。ごめん、もう鍵なら返しちゃったぜ」

和「いえ、部室や教室には忘れていません」

京太郎「え？」

和「はい、これどうぞ」

京太郎「こ、これって」

和「バレンタインチョコです」

京太郎「和は作ったりしないんじゃ？」

和「私はバレンタインの起源などについては語りましたけど、チョコを用意していないなんて一言も言ってませんよ」

京太郎「あはは、えーっとありがとう。和から貰えて凄く嬉しい。けどさ、何で部室で渡してくれなかったんだ？」

和「……皆が見ている前で渡すなんて恥ずかしいじゃないですか」

京太郎「お、おう……(ヤバイな、何この顔赤らめて俯きながらモジモジしている生物、可愛過ぎだろう)」

和「それじゃあ、ホワイトデーを楽しみに待ってます。また明日」

京太郎「あ、……送って行こうと思ったんだけど速すぎだろう脱兎の如しか……」

京太郎(早速、食べようかな。あの和のチョコだもんな、勿体無い気もするけど、ん？　メッセージカードか、……え？)

京太郎「マジか、お、おう、まさか和からのチョコが本命チョコだなんてな。はは、顔がにやけるのが止まらないぞ」

　チョコレートは甘い甘いとってもあま～い恋の味がした－－

カンッ！