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27 - (2020/07/04 (土) 08:45:31) のソース

702 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/11/27(金) 23:54:37 ID:c7ZqU1IX 
京「嬉しいっすよ~♪たぶん何もいらなかった~♪でも今は頑張るっす~♪」 
一(ん?あれは須賀京太郎……会場で何度か見かけたけど、部員なのに、いつも雑用をやらされていたな………………。 
とりあえず追いかけてみよう)

一「しまった、デパートの中で見失った……外で待ち伏せるかな」 
店員「お客さん、ちょっと鞄の中を見せてもらおうか」 
一「え?……ちょっ、ボクの鞄を勝手に」 
店員「ん?これは、まだ会計が済んでない商品だね」 
野次馬「あらやだ、万引きよ」 
店員「とりあえず、話はこっちで」 
一「まってよ、ボクはなにもしてない、離してよ!」 
透華「見損ないましたわ」 
一「!!」 
透華「……例の手品を使って盗ったのですね」 
一「透華、違うんだこれは」 
透華「……もう、龍門渕には来なくて結構ですわ」 
一「待ってよ、透華、誤解なんだ。ボ、ボクは」 
透華「失礼しますわ」 
一「透華……」 
店員「手品?……キミ、さっきの子が手品とか言ってたが、さては常習犯だな?」 
一「そんな……」 
京「あの~、ちょっといいですか?」

一「助かったよ、ありがとう」 
京「いや、子供が鞄に入れてるのが見えたから。でもよかった~監視カメラにちゃんと写ってて」 
一「うん。……あのさ、お礼をしたいから、今日は龍門渕でご飯を食べていってよ」 
京「え、マジで!?……でも今日は早く帰らなきゃいけないんだよな。くそ~、龍門渕のご飯、食べたかったなぁ」 
一「ははは。じゃあ、お礼は今度にするよ。でも、とりあえず今日も龍門渕についてきてよ、キミはボクの証人なんだし。透華に説明してほしいんだ」

ハギヨシ「お引き取り下さい」 
京「ちょっと待ってください。実はガキのいたずらで、国広さんは悪くないんですよ」 
ハギヨシ「透華お嬢様のご命令ですので」 
一「そんな……」

京「はい、コーヒー」 
一「ありがとう」 
京「まさか門前払いだなんて」 
一「もういいよ。実際、透華が大切に思ってるのは衣だけなんだから……。そもそもボクは衣の遊び相手として龍門渕に雇われただけなんだ。でも今の衣には、遊び相手が必要なくなった……。つまり、ボクはもう、龍門渕には必要ないってことなんだ」 
京「大会の会場では、あんなに仲が良さそうだったのに……」 
一「君の目にはそう見えただけだよ。でも、違うんだ。今日ボクにもわかったよ。………鎖だって、ボクが好きでつけたんじゃない。透華がつけたんだ。これってさ……透華はボクのことを信用していないってことなんだよね?」 
京「……」 
一「もう龍門渕には居られなくなったみたいだし、ボクは久々に家に帰ることにするよ」 
京「……そうですか」 
ポタ、ポタ 
一「(あれ……………おかしいな。龍門渕に来た頃は、あんなに嫌だったのに、なんで、涙が……)」 
京「国広さん、やっぱりそんなのだめですよ!明日もう一度話しにいけば、きっとわかって」 
一「い、いや……もういいんだ。もう、いいんだ。………でも、ボクと透華のことなんてキミには関係ないのに、心配してくれてありがとう」グス 
京「か、関係ありますよ!………国広さんが帰ったら」 
一「………ボクが帰ったら?」 
京「りゅ、龍門渕のご飯が、食べられなくなるじゃないですか!」 
一「………プッ、クスクス………はははは。わかったよ、ボクの負けだよ」

一(ボクが落ち込んでるから、わざと笑わせてくれたんだ………優しいんだな)


京(あの後、話の流れで国広さんを泊めることになってしまったが……)

京「ただいま~」 
モ「おかえりっす」 
一「え!?なんで鶴賀の」 
京「(国広さん静かに!家族にバレるから)」 
一「(う、うん、ごめん。でも、なんで鶴賀の)」 
京「(いいから早く、俺の部屋に行ってて下さい。足音を立てないように)」 
モ「(国広さん、こっちっす)」

一「え、えーと、押しかけるように来ちゃったけど、ボクは、お邪魔だったのかな?……なんだか二人の時間を邪魔しちゃったみたいで」 
モ「そんなんじゃないっすよ」 
一「じゃあ、なんで須賀くんの家にキミが……」



昨晩、公園で 
京「あの~、こんな時間に、こんなところでどうしたんですか?」 
モ「!!……わ、わたしのことが見えるっすか?」 
京「見えるとか見えないとか、なに言って……?」

モ「こんなこと初めてで……困ったっす」 
京「ふーん、影が薄くて人に気づかれづらい。でも気づいてもらおうとすれば、気づいてもらえた。今までは」 
モ「そうっす」 
京「だけど今日は部活に行っても、誰も気づいてくれなかった」 
モ「そうっす」 
京「家族は?両親は気づいてくれたの?」 
モ「二人とも朝早いから、今日はまだ会ってないっす」 
京「そうか、両親なら気づいてくれるかも知れないし、早く帰った方がいいな。もう暗いし、送っていくよ」 
モ「あ、ありがとうっす」

京(なんか今日の俺めちゃくちゃいいことしたな!今日送ったから、ひょっとしたらこれがキッカケで///)

今朝、公園で 
京「おわっ!」 
モ「!!……わ、わたしのことが見えるっすか?……………って、須賀くんっすか」 
京「えっ、どうしたの!?こんな朝早くに」 
モ「両親も気づいてくれなかったっす」



モ「――ということがあったっす」 
一「ふうん、ステルスか……どうりで透華と智紀があんな振り込みをしたわけだ」 
モ「なんか、言いたいことが伝わってない気がするっす……」


ガチャ 
京「おまたせ、家族にはバレてないみたいだった」 
一「あ、あのさ、須賀くん。今日はありがとう。ボク、龍門渕で働いてたから、家事全般はできるんだ。ボクに出来ることがあれば、なんでもするから」 
京「え!?じゃあ俺の代わりに毎日の風呂掃除を!……よし、これで俺はあの面倒な作業から解放される!」 
一「任せてよ」 
京「あれ、でも匿ってる人が風呂掃除なんかしたらいつ家族にばれるか……やっぱり俺がやるしかないのか、とほほ」 
モ「す……」 
京「?」 
モ「須賀くん。その、風呂なんすけど、私、風呂に入りたいっす。一日中、公園にいたから……///」 
京「(『風呂に入りたい』だって!?………これって、ものすごい役得じゃないか!!巨乳の女子が、我が家で風呂を!!)」 
モ「……どうしたっすか?」 
京「3人が別々に入ると匿ってることが家族にバレるから、3人一緒に入ろう!」 
モ「え!?」 
一「……ボ、ボクは別に構わないよ、何でもするって言っちゃったし///」 
モ「そ、そんなのダメっす!わ、わたしは入らないっす///」 
京「え、そんなこと言わずに」 
モ「ぜ、絶対に入らないっす///」 
一「///………そ、そうだね。じゃあボクも入るのやめようかな」 
京「そ、そんなぁ~、2人とも入りましょうよ」 
一「///……ボクたちは銭湯にでも行ってくるよ。須賀くん、近くに知らないかな?」 
京「はぁ、わかりましたよ。かなり遠いですから、送っていきますよ」

ザパァ 
一「ふ~、いいお湯だね」 
モ「鎖さん、鎖さんは、なんであんな事言ったんすか///」 
一「あんなこと?」 
モ「須賀くんと、いっしょに………………お風呂に入るなんて///」 
一「///(…………そうだよ、いっしょにお風呂なんて、なんでボクはあんなことを言ったんだろう///)」 
モ「///(答えないって事は…………まさか、本気で入るつもりだったっすか///)」 
一「じょ、冗談、あれは冗談だから。……と、ところでさ、どうしてボクのこと“鎖さん”って呼ぶの?今は鎖つけてないよ?」 
モ「麻雀するときにつけてたからっす」 
一「じゃあ、なんで“須賀くん”なのかな?」 
モ「し、知らないっす///」 
一「(あ、そういえば、なんで須賀くんだけ…)」

一「ふう、いいお湯だったね」 
京「か、帰りは国広さんと東横さん、逆になったらどうかな?」 
モ「どうしてっすか?」 
京「ふ、二人に挟まれて乗るバイクも、気持ちいいよ」 
一「モモちゃんはボクよりおっぱい大きいからね」 
京「(国広さん余計なことを!)」 
モ「///……ダ、ダメっす。帰りも私が一番後ろっす」

ブロロロロロ 
京(はぁ、銭湯って結構高いんだなぁ。毎日入るとなると、どんどん懐が寒くなるな。こりゃあアルバイトをする必要があるな~) 
モ(まさか、鎖さんは気づいてるっすか///。…………わたしが須賀くんを///) 
一(お風呂での反応…………モモちゃんは、須賀くんのことが……)


数日後 
バスターミナル

ワ「ゆみちん、最近モモを見かけないけど」 
ゆ「ああ、そうだな」 
ワ「なんか、ゆみちんのそばにモモがいないと、変な感じだなぁ」 
ゆ「わたしは受験生で、モモは麻雀部員だ。今のわたしたちが一緒にいる理由は、どこにもないだろう」 
ワ「まさかゆみちんの口からそんなセリフを聞くことになるとは……喧嘩でもしたのか?」 
ゆ「いや、違う。私達は喧嘩などしていない」 
ワ「じゃあなんで最近モモがいないんだ?」 
ゆ「……いつだったか、私達が街を歩いていたら、清澄の生徒がいただろう」 
ワ「ん、そういえば……」



※ 
久「あら、向こうにいるのって、鶴賀の生徒ね」 
京「鶴賀っていいよなぁ、胸の大きい子が4人も並んで……」 
久「須賀くん、思ってることが声に出ちゃってるわよ」 
京「うわっ、しまった!」 
まこ「今のを咲たちが聞いたら、どうなるのかのぉ」 
京「染谷先輩、このことは咲には言わないで下さい!」 
まこ「どうしようかのぉ~」 
久「(ん?……胸の大きい子が4人?おかしいわね、蒲原さんは別に大きくないのに……)」

ワ「ワハハ、私達に聞こえちゃってるの、あれは気づいてなさそうだなぁ」 
睦月「困りましたね///」 
妹尾「あれ?4人?でも蒲原さんの胸は……」 
モ「たぶん、4人目はわたしのことっす///」 
ゆ「モモ、いたのか」 
妹尾「なるほど、これで蒲原さんの事じゃないってわかりましたね」 
ワ「なんだと~、かおりん!」 
※



ワ「なんか、思い出したら腹が立ってきたな」 
ゆ「まぁ落ち着け」 
ワ「で、ゆみちん、今の話がなんなんだ?」 
ゆ「私達鶴賀のメンバーですら、モモがそこにいることに自信が持てないのに、あの青年は気づいたんだ。モモがいることに」 
ワ「ワハハ、そんなまさか。ゆみちんですら、よく見失ってるのに」 
ゆ「最近、モモを見かけないのは、青年に自分が見えるのかどうか確かめに行ってるからだろう」 
ワ「いいのか?ゆみちん」 
ゆ「別にいいさ、」

ゆ(あのとき、モモは 
『こんなこと初めてで……困ったっす///』 
と言っていた。あの表情で、わたしにはモモに芽生えた感情が、わかったから……)

ゆ「モモが決めたことだからな、わたしは応援するつもりだ」 
ワ「ゆみちんは大人だなぁ。あ、バスが来た」 
ゆ「ん、あのバスか…………あれ、なぁ蒲原、なんであのバス、ここじゃなくて、あっちのバス停に……」 
ワ「あ!ごめんゆみちん!ここじゃなくてあっちだ!」 
ゆ「ちょ、蒲原!待ってくれ」 
ワ「ワハハハハ、間違えた~」タッタッタッ 
ゆ「か、蒲原~……はぁ…はぁ…」 
ワ「ワハハハハ」タッタッタッ

ゆ「はぁ…はぁ…」 
ブロロロロロ、キキーッ 
京「どうしたんですか?」 
ゆ「と、友達の大学見学につきあおうと思ったのだが…はぁ…はぁ…私だけ、バスに乗り損ねてしまったんだ」 
京「えっ、大変じゃないですか!」 
ゆ「いや、わたしも迂闊だった……だが、バス停を間違えたのは蒲原だから…はぁ…はぁ」 
京「大学の名前わかりますか?送っていきますよ。乗って下さい」 
ゆ「そうか、すまない」 
ゆ「(って、よく見れば、須賀京太郎じゃないか!)」


京「加治木さん、自転車じゃないんだから、そんなつかまり方じゃ落っこちちゃいますよ。ちゃんとつかまって下さい」 
ゆ「わ、わかった」 
京「肩につかまるんじゃ危ないですって、腰につかまって下さい」 
ゆ「(モ、モモの思い人に、そんなこと出来るわけないだろう///)」 
京「なにやってるんですか、もっとこう、両手を腰に回して」 
グーーーーッ 
ゆ「こ、こんなに密着するものなのか///」 
京「走りますよ、手、離さないで下さいね」 
ブロロロロロ 
ゆ「す、凄い加速するんだな。た、確かに、さっきのつかまり方では振り落とされていたな」 
京「えっ?今なんて?」 
ゆ「いいんだ!何でもない!気にしないでくれ!」 
ゆ「(…………男の背中って、大きいんだな……はっ、何を考えているんだわたしは!モモの思い人に抱きついて///)」


ワ「ん!?ゆみちん、まさか走ってきたのか?」 
ゆ「そ、そんなわけないだろう///」 
ワ「ワハハ、冗談冗談。でも、なんでそんなに顔が赤いんだ?」 
ゆ「さ、さあな///」

ゆ(だめだ、胸が熱い…………な、なんなんだ、これは///)


京(やべ~、加治木さんを送ったら、すっかりバイトに遅れちまった。……でもまさか、特に考えずに日給のよさだけで選んだバイト先が、龍門渕だったとは) 
久「あら、須賀くん」 
透「ぶ、部長!?なんでこんなところに?」 
久「たまに集まって、情報交換をしてるのよ」 
透「“こんなところ”で悪かったですわね!あなたかしら、新しいメイド、もとい雑用係というのは」 
京「あ、はい、清澄高校一年、須賀京太郎です」 
透「初日から遅刻とはいい度胸ですわね?龍門渕家の雑用は、並大抵の覚悟じゃ出来ませんわよ?」 
久「龍門渕さん心配いらないわ。須賀くんは雑用が趣味みたいなものだから、じゃんじゃんこき使ってね」 
透「望むところですわ!」 
京「ぶ、部長、余計なこと言わないで下さいよ~」

透「次はあれをお願いしますわ」 
京「は、はい」 
透「次はあれを」 
京「は、はい~」 
透「(……この男をこき使うのって、なかなか爽快ですわね)」


透(須賀京太郎、あの量の雑用を…すぐに音を上げるかと思ったら、けっこう根性ありますわね) 
京「お、終わりました~」 
透「須賀京太郎、わたくし今週末に買い物をするので、荷物持ちをお願いしますわ」 
京「今週末……ですか。わかりました」 
透「じゃ、週末に呼びますので」 
京「…………あ、ちょっと待って下さい」 
透「なにかしら?」 
京「この前の、国広さんの万引きなんですけど、あれ、違うんです。あれは子供のいたずらで」 
透「……」 
京「……龍門渕さん?」 
透「……知っていますわ。(わたくし、あのとき一にひどいことを……そのせいで龍門渕内に一が帰って来づらい状況を作ってしまいましたわ。もっと一を信用していれば……)」 
京「(え、知ってたのか。しかも後悔してるなんて)」 
透「……今日はもう失礼しますわ」

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