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h4-25a - (2012/08/12 (日) 23:55:30) のソース

※[[第一部>h4-25]]から数ヶ月後


怜「はぁ…」

怜(京ちゃん今頃なにしてるんやろか…)

怜(受験勉強かなあ…受験生やもんね)

怜(まかり間違って大阪の高校に来たりせえへんやろか…)

怜(…)

怜(…ないか)

怜「はぁ…」

竜華「心ここにあらずって感じやね」

怜「竜華か…」

竜華「まーた、京ちゃんのこと考えとったん?」クスクス

怜「ま、またってなんやねん。そんなにしょっちゅう…」

竜華「考えとるんやろ?」

怜「はい」

竜華「『筑波嶺の 峰より落つる 男女川 恋ぞつもりて 淵となりぬる』」

怜「急に何言っとるん?」ジトー

竜華「あ、あれ、次の授業の範囲やで?予習してきてないん?」

怜「ふむむ…してないわ」

竜華「最近たるんどるで…。今の歌の意味は…」

竜華「『ほのかだった恋心も時間が経つにつれ、だんだん深くなっていく』」

竜華「今の怜にピッタリやろ?」クスクス

怜「なななに?からかうなや///」

竜華「想い耽るのもええけど、成績落としたらあかんで?」

怜「うん、分かっとるんやけどな…」

怜「良く考えたら、京ちゃんが何処に住んでるかもわからへんやん…」

竜華「今更やな…」

怜「逢いたくても、打つ手なしやで…」

竜華「『また会える気がする』」キリッ

怜「ぅ…」キコエナイ キコエナイ

竜華「カッコつけへんで、素直にケータイ番号渡しとけば良かったやん」

怜「渡しといて電話してくれへんかったら最悪やないの…」

竜華「京ちゃんがそんな事すると思う?」

怜「思わん」キッパリ

竜華「即答やん…」

怜「はぁ…ほんまに何で、また会えるとか思ってしまったんやろか…?」

竜華「知らんがな」

怜「もう、『あのひとは今』みたいな番組に応募するぐらいしか思いつかへん…」

竜華「えっ」

怜「帰りにハガキ買うてこ…」

竜華「いや、ほんまに送る気かい」

竜華「ちゅーか、あーいうのって、会えなくなって数ヶ月程度やと探してくれへんやろ」

怜「あれ、まだ数ヶ月しか経ってないんやったっけ…」

竜華「重症やな…」

怜「どんぐらいなら探してくれるんかな…?」

竜華「最低でも3年ぐらいは必要ちゃう?」

怜「そこをなんとか」

竜華「いや、うちに言われても」

---------

~授業中~

怜「はぁ…」ボー

古典先生「はい、じゃあ次は園城寺さん」

怜「えっ」

古典先生「次、詠んで下さーい」

竜華(…しゃーないなあ)ポイッ

ポテッ

『20番』メモッ

怜(竜華、恩に着るで)

怜「えーと」

怜「『わびぬれば 今はた同じ 難波なる みをつくしても 逢はむとぞ思ふ』」

古典先生「はい、では意味ですが」

古典先生「『こんなに思い悩んでしまったのだから、今はどうなっても同じ、この身を滅ぼしてでもあなたに逢いたいと思う』」

怜(!)

古典先生「当時、難波の海あった澪漂(みおつくし)という海の標識のようなものと、身を尽くしてをかけて…」

怜(身を尽くしても…か)

怜(私、逢えん逢えん言いながら、何の努力もしてへんかったやん…)

怜「先生!」

古典先生「はい?」

怜「先生ありがとう!」

古典先生「えっ、な、なにがですか?」

怜「私、進むべき道が見えたような気がします」

古典先生「はぁ、頑張って下さいね」???

ざわ…
     ざわ…

竜華(なにか思いついたんかな?)

---------

怜「なあ竜華、一軍になって全国に行けたら、京ちゃん気付いてくれるやろか?」

竜華「テレビ中継されるしな。きっとビックリするで」ニコッ

竜華「まあ、京ちゃんが麻雀見る人やったらやけどな」

怜「それでも、少しでも可能性があるなら…」

怜「決めたで竜華。一軍に、私はなる!」

竜華「ほな頑張らんとな」クスッ

怜(みをつくしても 逢はむとぞ思ふ)

怜(私頑張るで、京ちゃん!)

---------

~数日後~


怜「ロン!」ハァハァ

……

怜「ツモ!」フラフラ

……

竜華「怜、少し休み」

セーラ「最近無茶しすぎやで」

怜「せやけど、私頑張らんと」

竜華「ちょっと焦りすぎやろ」

怜「三年生が引退した今が。次のレギュラー選抜戦が一番のチャンスやないか」

セーラ「怜は着実に伸びとるから大丈夫やって」

竜華「せやで、インハイまではまだ時間もあるんやから、少しは体力に気いつかわんと」

怜「体力のせいにして休んどった結果がこれやん。竜華やセーラとの圧倒的な差」

怜「休んでる間に他の皆もどんどん強なってく…」

セーラ「…」

竜華「けど、倒れたら逆効果やで…?」

怜「大丈夫やから、ほっといてや…」

……

怜「ロン!」フラフラ

……

怜「ツモ!」フラフラ

怜「まだまだ…」ハァハァ

怜(あ…)クラッ

バタンッ

竜華「怜!」

セーラ「き、救急車!」

---------

~病室~

竜華「はぁ…ただの疲労でよかったわ」

セーラ「せやから言うたやん。無茶しすぎやって」

怜「…」

竜華「ただ我武者羅に打っててもダメやで?少しは反芻して考えんと」

怜「…うるさいな」

セーラ「え?」

竜華「怜?」

怜「最初から強かったあんたらに何が分かるんや」

セーラ「怜、ちょっとそれは…」

竜華「…は?」

竜華「もっぺん言ってみ」

竜華「あんた、最近頑張ってる思うて、多少の事は目え瞑ってきたけどな」

竜華「なんや、うちらが何もせんと強なったみたいな言い草は」

竜華「今のは聞き捨てならんで!」

セーラ「竜華…」

怜「…」

竜華「…」

竜華「はぁ、もう勝手にやっとき…」

ガラガラ…バンッ!

セーラ「…」

怜「…」

セーラ「怜、最初から強い奴なんて、そうおらんで?」

怜「…」

セーラ「そりゃ、中には牌に愛された人間ちゅうのもおるわ…」

セーラ「けど、オレや竜華は違う」

怜「…」

セーラ「努力して、打って、覚えて、考えて、あと…なんやろ?」

怜「…知ってたよ」

セーラ「…」

怜「…ずっと見てたもん」

セーラ「せやな」

怜「ごめんな…ほんまごめん」

セーラ「オレは気にしてへんよ。最強やから!」ニコッ

セーラ「それより竜華に謝らんと」

セーラ「誰より心配しとったんは竜華なんやで?」

怜「せやな…それも知ってたわ」

怜「明日、謝らんとな…」

セーラ「せやな!」

怜「うん」

セーラ「んじゃー帰るわ!」

怜「うん。ありがとうな」

スタスタ…ピタッ

セーラ「怜」

怜「うん?」

セーラ「一緒にインハイ行こうな!」ニコッ

怜「うん!」

ガラガラ…ピシャ

怜(そうや、メール)

怜(は…失礼かな…やっぱ、明日直に謝ろ…)
---------

~深夜~

怜(眠れへん…)

怜(竜華、まだ起きとるかな…)

怜(やっぱりメールでも…)

グッ

怜(あれ…?)

怜(手に…力が入らへん…)

ドクンッ!

怜「うっ!」カハッ

怜(あかん、発作が…)

怜(ナースコールを…)

ポロッ

怜(…っ!)

怜(掴めん…!)

怜「…ぁ」ハァハァ

怜(はよ、押さんと…)ブルブル

ポロッ

怜(…っ!)

怜(だめや、押せへん…)

怜「…ぅぅ」カハッ

怜(…もうあかん)

怜(腕、上がらなくなってもうた…)

怜(はは…罰が当たったんやな…)

……………

怜(セーラ…)

怜(一緒に全国行けなくてごめん)

…………

怜(竜華…)

怜(あんな別れ方で…謝れなくて…ごめん)

………

怜(京ちゃん…)

怜(もう逢えへん…)

怜(ごめんな)

……

…

フワッ


怜(…)

怜(…キンモクセイ…?)

怜(…キンモクセイの匂い)


『いや、あれキンモクセイだから葉は落ちないだろ…』


怜(…)

怜(そうや…)

怜(私キンモクセイやった…!)

ググッ

怜(枯れて…)ハァハァ

怜(枯れて…たまるかっ!)ハァハァ

ズズッ

怜(手が使えんなら…)ハァハァ

怜(口で…噛み付いてでも…)ハァハァ

ズズッ

怜(生きたる…!)ハァハァ

ガッ

ピピッ

……

「オンジョージサーン ドーシマシター?」

「オンジョージサーン オンジョージサーン!?」

==================


 あれ?ここ、どこやろ?

 見た事無い所…公園?


「京ちゃーん」


 私の声や


「京ちゃん、どこー?」


 ああ、これ夢やな

 夢の中でまで京ちゃん探しとるとか…


『♪』タッタッタ


 あ、これが天使ってやつやろか?

 綺麗な金髪の、可愛い女の子…


『どーしたの?もう帰るの?』


 もう、お空に帰るってこと…?

 ついにお迎えが来たんか…




「うん、帰るで、京華」

『はーい、ママ♪』


 え、ママって…私…?

 …キョウ…カ…


==================

竜華「怜!怜っ!」

怜「あれ、竜華」

竜華「あ、怜…あんま心配させんなや…」グスッ

怜「私どうなったん?お迎えは…」

竜華「三日間、ずっと寝とったんやで…。とんだお寝坊さんやな…」

怜「そか、心配かけてごめんな…」

竜華「あはは、今更ええわ!それより、キョウカって誰やねん!」

怜「誰やろ…?」

竜華「あはは、知らんわ。さっき寝言で言うとったで」

怜「まるで、京ちゃんと竜華の名前が混ざっとるみたいに聞こえるなあ」クスッ

怜「竜華、昨日…やない三日前?あの時はごめんな…」

怜「私、竜華が努力してるの、ちゃんと見とったのにな…」

竜華「ええよ、こっちこそ、売り言葉に買い言葉で、怒鳴ってしまってごめんな」

怜「ほんま、竜華の言うた通りやった。焦った結果が三日のブランク…」

竜華「だから言うたやん。心配せんでも怜は着実に強なっとるんやから、ゆっくりやり」

怜「せやな、逢う前に死んでもうたら元も子もないしな」ハハハ

竜華(あんま笑えんわそれ…)

怜「あ、そうや、キンモクセイ」

竜華「キンモクセイ?」

怜「うん、意識が途切れそうになった時、キンモクセイの匂いがしたんよ」

竜華「えっ、でもキンモクセイって、まだ咲いとらんよ?」

怜「えっ…でもそのおかげでナースコールが押せたんやで?」

竜華「危機一髪やったんか…」

怜「うん…」

竜華「じゃあ…」

竜華「案外、京ちゃんが助けてくれたんかもな」

怜「えっ?」

竜華「キンモクセイの花言葉ってな、『初恋』なんやって」クスッ

怜「そかあ、また京ちゃんに助けられてもうたなー」クスッ

アハハハハ


 それから私は、一巡先が見えるようになった


---------

~数日後~

セーラ「怜ー!頑張れー!」

竜華「それ和了ったらレギュラー確定やでー!」


 あの時の夢は

 死の淵で見た幻かも知れへんけど


怜「リーチ」

セーラ「いっけー!」



 あれが私の


 一巡先の未来に


 なりますように!



怜「ツモ!」


おわり


補足:キンモクセイの花は秋に咲く→秋の大会から才能が開花する的なアレ


そして京ちゃんが全く出ていないので取って付けたようにおまけ
ククク…京太郎…簡単に再会できると思うなよ…?


おまけ

看護士「園城寺さんなら退院しましたよ?」

京太郎「えっ」

京太郎(心配になって、小遣い溜めて来てみたはいいけど)

京太郎(流石にもう退院してたか)

京太郎(受験もあったし、結局春になっちまったもんなあ)

看護士「いつだか来てくださった方?残念ですけど今日は…」

京太郎「いえ!怜が元気になったなら、それより嬉しい事はないんで!」ニコッ

看護士「そですか、次に通院して来た時にでも、来たって伝えときます」

京太郎「ははっ、ありがとうございます」

…

京太郎(良かった!病気の子供はいなかったんだ!…ってか?)

京太郎(はぁ、タコヤキでも食って帰るか…)

『♪』タッタッタッタ

京太郎(ん?金髪の女の子…)クルッ

京太郎(あれ、いない)

京太郎(気のせいだったのかな?)


フワッ


京太郎(…あ…キンモクセイの匂いだ)

京太郎(…って、今春なのにそりゃないか)

京太郎(気のせい気のせい)ハハハ…


『キノセイキノセイ♪』


おわり

怜外伝・第二部 おまけ2

怜「京ちゃん、来てくれてたんか…」

看護士「うん、こないだ来てたよ?治ったみたいで良かったーって言うとったで」

怜「そですか…」

竜華「…」

看護士「ほな、お大事になー」ヒラヒラ

竜華「あ、はい、さいならー…」

怜「…」

竜華「…」

怜「そ…」フルフル

竜華「と、怜…」

竜華(あかん、なんて声かけたらええか…)

怜「それって両想いってことやろか」グッ

竜華「えっ」

怜「えっ」

竜華「そ、そーやろか?」

怜「だって、わざわざ東京から逢いに来てくれたんやで?」

竜華「東京なん?」

怜「や、知らんけど、標準語やったし…」

竜華「判断基準それだけ?」

怜「じゃ、じゃあ神奈川でええわ…。横須賀とかそこら辺やろ」ナマエテキニ

竜華「…」

怜「ま、まあ、遠くからわざわざ逢いに来てくれたんやし」

怜「きっと、京ちゃんも私の事…///」

竜華「そ、そやね…」

竜華(ただ優しいだけな気がするけど、黙っとこ…)

怜「竜華」

竜華「は、はい!」

怜「勝って絶対に東京行こうな」

竜華「!」

竜華「もちろん!」

怜(京ちゃん、私前向きに生きていくって決めたんや)

怜(東京に行けばきっと逢える…よね?)

おわり


※[[第三部>h4-25b]]

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