ママン

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魔物たちの育て親 -ママン -恩人 --であるから魔物たちは女性の形をとりたがる #region だが、宙に放り出された少女が悲鳴を上げるよりも早く、救いの手が彼女を抱きとめた  状況の落差についていけず、呆然と顔を上げる  その目に飛び込んできたのは、見慣れた横顔だ 「……ノロちゃん?」 ユニが、ふだん子狸を「ポンポコ」と呼ぶのは照れ隠しだ  ともに過ごした時間はそう多くないが、豊穣の巫女はノロ・バウマフの幼なじみと言ってもいい リサの結晶化には願望と声明を要する  だから魔法力と記憶力の間には切っても切れない結びつきがある  変化した緑のひとの姿は、幼い頃の記憶を刺激するものだった 「な、なんで? どうして」  わざわざ子狸の姿を真似る道理が彼女にはわからない  しかし、そうではないのだと緑のひとは言う 「少し違うな。あいつが似たんだ」  彼女を抱きかかえることができて、視界を確保できる程度の大きさの生きものなら何でも良かった  それでもこの姿を選んだのは、もっとも負担が少ないからだ  記憶に焼きついた姿  一度として忘れたことはない  返しきれない恩がある 「それって……」  にぃっ、と口角を吊り上げて笑う女性の容貌に、幼なじみとの血縁を疑わずにはいられない 「巫女よ、知っているか?」 「なに、を?」  迫る白竜の鉤爪は、巨大な刃のようだ 「コロッケは揚げたてが美味しい」 女性が片腕を振ると、ひじから先が異形と化した  いや、変化を解いたと言ったほうが正しいのだろう  爪と爪が衝突し、激しい火花が散った #endregion #region 緑のひとの本名は「アイオ」と言う 古代言語で「緑」という意味の言葉だ 古代言語は魔物たちが捏造した言語だが、何から何まで嘘というわけではない 少なくとも、緑のひとを「アイオ」と呼んだ人間が居たことは事実だ 名前をくれた 居場所を与えてくれた 戦う理由など、それだけで十分だろう #endregion
魔物たちの育て親 -ママン -恩人 --であるから魔物たちは女性の形をとりたがる #region  柔らかい日差しの中――  大樹に背を預けて座る女性を  まだ幼い魔物たちが囲んでいる…… #endregion #region だが、宙に放り出された少女が悲鳴を上げるよりも早く、救いの手が彼女を抱きとめた  状況の落差についていけず、呆然と顔を上げる  その目に飛び込んできたのは、見慣れた横顔だ 「……ノロちゃん?」 ユニが、ふだん子狸を「ポンポコ」と呼ぶのは照れ隠しだ  ともに過ごした時間はそう多くないが、豊穣の巫女はノロ・バウマフの幼なじみと言ってもいい リサの結晶化には願望と声明を要する  だから魔法力と記憶力の間には切っても切れない結びつきがある  変化した緑のひとの姿は、幼い頃の記憶を刺激するものだった 「な、なんで? どうして」  わざわざ子狸の姿を真似る道理が彼女にはわからない  しかし、そうではないのだと緑のひとは言う 「少し違うな。あいつが似たんだ」  彼女を抱きかかえることができて、視界を確保できる程度の大きさの生きものなら何でも良かった  それでもこの姿を選んだのは、もっとも負担が少ないからだ  記憶に焼きついた姿  一度として忘れたことはない  返しきれない恩がある 「それって……」  にぃっ、と口角を吊り上げて笑う女性の容貌に、幼なじみとの血縁を疑わずにはいられない 「巫女よ、知っているか?」 「なに、を?」  迫る白竜の鉤爪は、巨大な刃のようだ 「コロッケは揚げたてが美味しい」 女性が片腕を振ると、ひじから先が異形と化した  いや、変化を解いたと言ったほうが正しいのだろう  爪と爪が衝突し、激しい火花が散った #endregion #region 緑のひとの本名は「アイオ」と言う 古代言語で「緑」という意味の言葉だ 古代言語は魔物たちが捏造した言語だが、何から何まで嘘というわけではない 少なくとも、緑のひとを「アイオ」と呼んだ人間が居たことは事実だ 名前をくれた 居場所を与えてくれた 戦う理由など、それだけで十分だろう #endregion

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