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「な、な、な……
 なんなんですかこれえぇぇ~……!」


深夜のホテルにひとり、可憐な少女の声が木霊する。
SOS団の団員の一人であり未来の世界から来た未来人である少女、朝比奈みくるは、ついホテルの玄関で叫んでしまっていた。
急に殺し合いを宣言され、いつの間にかこの無人島の無人ホテルに強制的にワープされたのだ。戸惑わないはずがない。
SOS団の中では最年長の二年生なのだが、その気弱な性格やハルヒの言いなり気味な立場から、みくるの方が後輩に見えてしまうが、みくるは立派なハルヒ達の先輩である。
……友人の鶴屋さんの方が先輩に見えてしまうが、それでもみくるはハルヒ達の先輩なのである。
そして、それと同時に彼女は、涼宮ハルヒを監視するために過去にやってきた未来からの使者でもあった。


「殺し合いなんて、そんなのできるわけないじゃないですかぁ……私これからどうすれば……」


みくるは殺し合いを宣言され、戸惑う。
でも、それではいけない。どうにかしてこの殺し合いをなんとかしなければならない。
なぜなら、SOS団の皆や自分自身が命を失い、未来が変わってしまう可能性もあり得るからだ。
詳しくは『禁則事項』になるので云えないが、確実に来るはずであるその未来では生存している人間が、何らかのイレギュラーにより存在しなくなった場合、『禁則事項』が『禁則事項』になり『禁則事項』のバランスが崩れ、最悪の場合『禁則事項』が発生してしまうことにもなり得る。
つまり、最悪の未来になってしまう事だってあるという事だ。
それだけはあってはならない。
未来を守るためにも、未来の住人である自分が何とかしなくてはならない。
いくら臆病な彼女とはいえ、確固たる意思がある。
だから、とりあえず彼女は"生きる"ことにした。
死ぬという事は、何もできなくなってしまうことでもあるのだ。何もできなくなってしまったら、文字通り何もできなくなる。
だから、朝比奈みくるは生きるために、未来も守るために行動を開始することにしたのだった。


「……とりあえず、ディパックを確認したほうがいいですよね……
 なにが入っているんでしょうか……危ないものじゃなければいいんですが……」


行動を開始することにした、はずであった。
そして、まず始めに支給されたディパックの中身を確認するところだった。
しかし、それは中断されることになる。
急に銃口を向けられたのだ。中身を確認する余裕なんてない。


「……え?」
「動くな。抵抗するなら撃つぞ」


そう。朝比奈みくるは気づかぬうちに他人に銃口を向けられていたのだ。
振り向くと撃たれる可能性があるので相手の顔は確認できないが、声で10代ぐらいなのではと推測できた。
そもそも、自分と同じぐらいの年齢の人間がそう簡単に人に銃を向けられるのか疑問になったが、そういう環境で生きていたからという憶測が頭に浮かんだ。
とりあえず、殺し合いに乗ってないということを伝えれば――みくるはそう思い、『私は、殺し合いには乗っていません。だから、その銃を下ろしてください』。
そう言おうとした――のだが……


「……わ、わた……私は、こ、殺し合いには乗っていません……だから、その……銃を……」

動揺と緊張と恐怖のあまり、上手く言おうとした台詞が出ない。
みくるは、自分自身の声が震えていたことが分かっていたが、それを直せなかった。
やっぱり心では怯えているんだ――そう思った。

「……乗ってねえんだな?」
「は……はい……だから……」
「ふーん……」

――心の中では、もうダメかもしれない。そんな思いがよぎった。
未来を、守りたかった。
もっと、キョン君や涼宮さんと一緒にいたかった――そう思った。


「……お前、乗ってないってことは、殺す気ねえってことだよな?」
「は、はい……」
「震えてたな。死にたくたない……そう思ってたのか?」
「は、はい。私は……死にたくありませぇん……」
「そうか。じゃあ――」

殺される――
みくるはそう思った。
頭の中によぎるのは、今まで生きてきた記憶。
未来での出来事――過去に来てからの日常――
そして――


(涼宮さん……キョン君…………!)


「なら、お前を死なせねえように守ってやる」
「……えっ?」

みくるは、正直驚いていた。
いや、驚かないほうがおかしいのか。
見ず知らずの謎の人間が、自分を殺そうとし、
死にたくない。そう言ったら守ってやる。そう言われた。
普通の人間なら予想もできないことだ。


「えっと……それはいったいどういう……」
「言葉通りだよ。守ってやるって言ってんだ」


言葉通り。だからこそそれが逆に理解し難い。
この状況だからこそ、この言葉が本当なのか分からなかった。
嘘、かもしれない。
この言葉が、油断を誘うためのもので、油断させて殺すために使ったタダの嘘かもしれない。
でも――


「それ……本当なんですか……」
「ああ。俺は嘘はあまりつかねえから安心しな」
「あまりって……」

「俺は砂ぼうず。便利屋やってんだ」
「便利屋……ですか?」
「なんでも屋みてえなモンだ。人のためならどんな手段を使ってでもなんでもやる。そんな仕事だ」
「ボランティア……とかなんですか?」
「そんな金にならねぇ事やると思うか? こちとら生きるためにやってんだ。
 便利屋はレッキとした仕事なんだよ。当然報酬も発生する」
「そう……ですか」

(便利屋……ですか。
 過去の『禁則事項』にはそんな供述は……もしかして、イレギュラーですか……?
 いや、私は全て教えられているわけではないですから……もっと重要機密な情報なのかも……
 重要機密なら、禁則事項に触れるので何もできませんが……もしもイレギュラーならば……)


「あの……もしもあなたの言葉が本当なら……お願いします。私を助けてください」
「お? 今助けてくれって言ったか?」
「……はい。お願いします」

何故、みくるが砂ぼうずにそんな事を言ったのか。
それは砂ぼうず。いや、その職業、便利屋の存在にあった。
みくるは、便利屋などという職業は過去にも未来にも聞いた事がなかったからだ。
ボランティアなどではなく、正規的な職業としては未確認であったからだ。
だからこそ、みくるはこの少年、砂ぼうずの事を詳しく知るために同行することを決意した。
砂ぼうずの依頼を受ける、という建前で。
この少年を騙している事には罪悪感をおぼえたが、この少年の存在が未来に影響を及ぼす存在かもしれないこと。それ以上に死ぬわけにはいかなかった。
だから未来人、朝比奈みくるは砂ぼうずに同行することにした。

「おし、分かった。ただそれ相応の報酬は貰うぜ」
「はい。分かりました。……え?」
「言っただろ。報酬も発生するって」

(さっき聞かされてたのにすっかり忘れてましたぁ……
 なんで私っていつも肝心なとこで失敗しちゃうんですかぁ~……?)

「そ、そうでしたね。で、額はいくらぐらい……」
「そうだな……命を買うんだ。1億……いや、嬢ちゃんがそんな大金持ってるわけねえよな?」
「はい……そうですね……」
「だからサービスだ。もし俺と嬢ちゃんがこの殺し合いから生きて帰れたら……」


「チョメチョメさせろ」


砂ぼうずがその台詞を発したその瞬間、その場が凍りついた。
いや、凍りついたのは他でもないみくる本人であろう。
何故なら、報酬の代わりにチョメチョメするという、何とも聞き入れ難い条件がみくるへと迫っているのだ。
しかも既に依頼を受けてしまっているのだ。今更断れるわけもない。
というか、断ったら最悪ここで殺される可能性もあるわけで……結局のところみくるには死ぬか処女を奪われるかのどちらかの選択肢しかなくなってしまったのであった。

「な……な…………
 なんでこうなるんですかぁ~~~~!」


みくるは現実を受け入れられずまた絶叫した。
しかし、その叫びも虚しかった。


(よしよし。今んとこ上手くいってるな~。
 殺し合いに参加することになった時はさすがに唖然としたが、いきなりこんなボインちゃんに出会えるとはラッキーだったぜ。
 しかも、純子や太湖や他の女みてぇなタイプでもなさそうだしな……何ていうか、大人しくて、それでいて純情ってカンジだよな~。
 これなら俺好みの女にするのも簡単かもしれねーな。美人だし、何よりボインちゃんだし、これはまたとないチャンスだ……こんな美味しいチャンス、絶対に逃すわけにはいかねえ!)

みくるが嘆いている時、肝心の砂ぼうずはこんなことを考えていた。
当然、砂ぼうずは善意で彼女を助けようとしているのではない。
依頼という名目でみくるとチョメチョメするため。あわよくば自分好みの女に仕立て上げるためであった。
この水野灌太。又の名を便利屋、砂漠の妖怪砂ぼうずは、変態である。
そして、一般論から見れば外道と呼ばれる男である。
仕事のためなら何でもやり、女のためならさらにどんなことでもする。そんな男であった。
元々彼は、文明が衰退した後の、『関東大砂漠』という所で17年間ずっと生き続けてきた人間である。
その砂漠で生きるために。そして自分の欲望のために生きてきた人間である。
当然、現代社会の人間とはまるで違う思想の持ち主であり、価値観も全く違うものであった。
そもそも、環境が全く違うこの男が普通の人間と全く同じ思考回路のわけはない。
彼がこんな性格になったのも、生まれてきた環境が違っていたから……かも知れない。

「じゃ、早速出発するぞ」
「は……はい……」

みくるは歴史の中に存在した謎の存在を確かめるため、生きるため、そして何よりSOS団のみんなと再び会うために。
砂ぼうずは自分の欲望のために。
二人は行動を開始した。
結局は、両方計算ずくの同行であった。二人はそれを知る日は来るのであろうか……
砂ぼうずこと水野灌太と、未来人・朝比奈みくる。この二人に幸あれ……




【D-6/ホテル/一日目・深夜】
【朝比奈みくる@涼宮ハルヒの憂鬱】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、不明支給品1~3
[思考・状況]
基本:とにかく生きる
1:どうしてこうなっちゃったんですか……
2:SOS団のみんなと合流
3:『便利屋』とは一体なんなんでしょう……
4:チョメチョメはさすがにイヤです……

【水野灌太(砂ぼうず)@砂ぼうず】
[状態]:健康
[装備]:ベレッタM92(弾数15/15)
[道具]:基本支給品、ベレッタM92、不明支給品1~2
[思考・状況]
基本:依頼を完遂
1:生き残る
2:ボインちゃん(みくる)を生き残らせる
3:チョメチョメするのが楽しみ
4:太湖は別にいいな
5:雨蜘蛛……見なかったことにしよう……


【ベレッタM92@現実】
イタリアのベレッタ社が同社メーカーのM1951をベースに開発した自動拳銃。
装弾数が15発と豊富で操作性も高く、ベレッタの特徴である上部が大きく切り欠かれたスライドと排莢口が大きいおかげで排莢不良も起こりにくい。
幾多の実戦経験と実績、そしてメディアへの露出が高いことから、現在、世界で最も信頼性が高く、知名度が高いとされる拳銃である。




008:Believe 時系列順 [[]]
008:Believe 投下順 [[]]

GAME START 水野灌太(砂ぼうず) [[]]
GAME START 朝比奈みくる [[]]
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