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「……なにこれ……夢、じゃないんだよね……?」 女子高校生、長野原みお。 彼女は困惑していた。まあ普通の人間の反応としては当然である。 無理もない。急に知らない所に拉致され、殺し合いを強いられたのだから。 この高校一年生の少女は、普段はちゃめちゃだが、それでも至極普遍的な『日常』を謳歌している"ふつう"の人間である。 だからこそ、この少女はこの異常な状況を信じられる事ができていなかった。 そこには、あまりにも理解不能な状況に思考を混乱させる少女の姿があった。 地べたに膝をつき、瞳をぐるぐると回しながら困惑するその姿は、滑稽なギャグのようで、ある意味その切迫した状況を彼女なりに表しているようだった。 しばらく思考の整理に時間を消費したみおは、はっと隣にあるものに目が行く。 自分への支給品――ディパックだ。 殺し合いのためにわざわざ用意された青色のそれは、みおのすぐ窓なりにちょんと設置されていた。 中には、あの謎のカエル男が言っていた"支給品"とやらが入っているのだろう。 このまま何もせずにじっと混乱していてもなんにもならない――そんな事を考えながらもそれに手を出す事は彼女にとって少し恐怖があった。 これを取れば――――私は殺し合いに参加すると言っているようなものだ。そう思ったからだった。 ――身体の震えが止まらない。 それは、その震えは長野原みおが心の底から恐怖している事を表していた。 みお本人も、自分が怖いと思っているからこその身体の震えだと実感していた。 それも仕方ないだろう。 それは普通の人間ならば当たり前の反応なのだから。 「殺し合いなんて、できるわけないじゃん……  これって、夢だよね!? 夢じゃないならなんなのよ!  わ、わだしはこんなの信じないからね! こんな……リアリティのない現実なんて信じられるわけないじゃん!!」 耳を塞ぎ、目を瞑り、ひたすらに夢という言葉を連呼するみお。 それはこんなあり得ない現実から目を背け、声でかき消そうとする。そんな彼女なりの拒否反応だった。 目の前で桜井先生が死んだのも夢だし、親友の相生祐子が殺し合いに参加させられていたのも全部夢だ。みおはそう思わざるを得なかった。 否、そう思わないとやっていられなかったのだ。 先生が死んで、さらに親友と殺し合わなければならない、そんな非常な現実を彼女は必死に否定するしか選択肢が無かったのだ。 「ゆ、夢ならざめてよ! 殺し合いなんて……私絶対に信じないからねっ!」 みおは現実を直視できないまま、ただ怯える事しかできなかった。 非現実的な日常の中で生きているみおではあったが、突き詰めれば普通の少女であり普通の人間である。 殺し合いなどできないし、信じる事もできなかった。 そんな彼女は、一人の参加者と出会う。 それは、殺し合いの舞台に投げ出された長野原みおにとっての、最初の出会いだった。 「そこのあなた……だ、大丈夫?」 みおに声をかけたその女性は、みおよりも少し大人びた雰囲気ではあるが、同い年ぐらいの少女だった。 茶色の長髪に制服姿のその少女は、蹲るみおの目の前で困惑の表情を見せていた。 「殺し合いの……参加者?」 「あなたも……こんな事させられたの……?」 「……殺し合いしようとしてるの? してないの? どっちなの」 みおが少女に訊く。 涙に目を浮かべ少女に睨みをきかす。 みおは強い疑いの目を、その見知らぬ少女に向けていた。 「殺し合いなんてするわけないよ……私も、どうすればいいのか正直わからないんだ」 「……嘘じゃないよね? 私を騙して殺そうとしてるわけじゃないよね」 みおは少女の言葉に疑いをかける。 名も知らない他人の言葉なんて信じられないし、これは殺し合いだから、嘘をついて私を殺すかもしれない。 そんな疑心暗鬼の念を抱き、見知らぬ少女を疑った。 みおに疑いの目を向けられたその少女は、少し困惑の表情を見せる。 そしてその少女は―― 「私はそんなことしない!」 そう叫んでいた。 その少女は今にも崩れ落ちそうで、どうにか自分の意志で持ちこたえているようだった。 「私だって、本当は怖いよ。誰かが殺し合いに乗ってるんじゃないか、武器を持って襲ってくるんじゃないかって……  だけど、こんな状況だからこそ信じなくちゃいけないんだよ!  あなたの事は全然知らないけど、始めて出会ったけど、あなたは殺し合いをするような人じゃないっていうのは分かるよ。  だって……あなたは泣いてたから……殺し合う事が怖かったから、殺し合いなんてしたくないって思ってたから、私を疑ったんだよね。  だから私はあなたを信じるよ。だからあなたも私を信じてほしい……駄目かな?」 その少女はみおにそう言った。 その後はしばらく彼女は何も言わなかった。 みおも何も喋ってはいなかった。 しばらくの間、沈黙が続く。 みおは蹲りながら黙っていて、もう一人の少女はそんなみおを黙って見ているだけだった。 沈黙の後――――みおが声を発する。 声を発した時、みおは何ヶ月も喋っていなかったような錯覚に囚われた。 久々に声を出したような、それぐらいに小さく掠れた声でみおは言った。 「……本当だね? 信じて、いいんだよね」 それは、みおが踏み込んだ証だった。 ほんの一歩だけだが、確かに信じるという行為に踏み込んだ言葉だった。 その声を聞いた少女は、ほっとしたような微笑みを見せ、こくりと頷いた。 「私、長野原みお」 「私は真崎杏子。……よろしくね」 その言葉が、二人の出会いの本当の意味での始まりだった。 【H-11/森/一日目・深夜】 【長野原みお@日常】 [状態]:健康、やや不安定 [装備]:時定高校の制服 [道具]:なし(まだディパックには手を出していない) [思考・状況] 基本:殺し合いなんて信じられるわけないよ…… 1:信じて、いいんだよね……? 2:今はじっとしていたい 3:ゆっこ…… 【真崎杏子@遊戯王】 [状態]:健康 [装備]:童実野高校の制服 [道具]:基本支給品、不明支給品1~3 [思考・状況] 基本:殺し合いはしない 1:みおちゃんが落ち着くまでいっしょにいる 2:遊戯、城之内達との合流 |006:[[電波塔にて]]|時系列順|[[未来と、依頼]]| |007:[[OVERの憤慨]]|投下順|[[未来と、依頼]]| |GAME START|[[長野原みお]]|[[]]| |GAME START|[[真崎杏子]]|[[]]|
「……なにこれ……夢、じゃないんだよね……?」 女子高校生、長野原みお。 彼女は困惑していた。まあ普通の人間の反応としては当然である。 無理もない。急に知らない所に拉致され、殺し合いを強いられたのだから。 この高校一年生の少女は、普段はちゃめちゃだが、それでも至極普遍的な『日常』を謳歌している"ふつう"の人間である。 だからこそ、この少女はこの異常な状況を信じられる事ができていなかった。 そこには、あまりにも理解不能な状況に思考を混乱させる少女の姿があった。 地べたに膝をつき、瞳をぐるぐると回しながら困惑するその姿は、滑稽なギャグのようで、ある意味その切迫した状況を彼女なりに表しているようだった。 しばらく思考の整理に時間を消費したみおは、はっと隣にあるものに目が行く。 自分への支給品――ディパックだ。 殺し合いのためにわざわざ用意された青色のそれは、みおのすぐ窓なりにちょんと設置されていた。 中には、あの謎のカエル男が言っていた"支給品"とやらが入っているのだろう。 このまま何もせずにじっと混乱していてもなんにもならない――そんな事を考えながらもそれに手を出す事は彼女にとって少し恐怖があった。 これを取れば――――私は殺し合いに参加すると言っているようなものだ。そう思ったからだった。 ――身体の震えが止まらない。 それは、その震えは長野原みおが心の底から恐怖している事を表していた。 みお本人も、自分が怖いと思っているからこその身体の震えだと実感していた。 それも仕方ないだろう。 それは普通の人間ならば当たり前の反応なのだから。 「殺し合いなんて、できるわけないじゃん……  これって、夢だよね!? 夢じゃないならなんなのよ!  わ、わだしはこんなの信じないからね! こんな……リアリティのない現実なんて信じられるわけないじゃん!!」 耳を塞ぎ、目を瞑り、ひたすらに夢という言葉を連呼するみお。 それはこんなあり得ない現実から目を背け、声でかき消そうとする。そんな彼女なりの拒否反応だった。 目の前で桜井先生が死んだのも夢だし、親友の相生祐子が殺し合いに参加させられていたのも全部夢だ。みおはそう思わざるを得なかった。 否、そう思わないとやっていられなかったのだ。 先生が死んで、さらに親友と殺し合わなければならない、そんな非常な現実を彼女は必死に否定するしか選択肢が無かったのだ。 「ゆ、夢ならざめてよ! 殺し合いなんて……私絶対に信じないからねっ!」 みおは現実を直視できないまま、ただ怯える事しかできなかった。 非現実的な日常の中で生きているみおではあったが、突き詰めれば普通の少女であり普通の人間である。 殺し合いなどできないし、信じる事もできなかった。 そんな彼女は、一人の参加者と出会う。 それは、殺し合いの舞台に投げ出された長野原みおにとっての、最初の出会いだった。 「そこのあなた……だ、大丈夫?」 みおに声をかけたその女性は、みおよりも少し大人びた雰囲気ではあるが、同い年ぐらいの少女だった。 茶色の長髪に制服姿のその少女は、蹲るみおの目の前で困惑の表情を見せていた。 「殺し合いの……参加者?」 「あなたも……こんな事させられたの……?」 「……殺し合いしようとしてるの? してないの? どっちなの」 みおが少女に訊く。 涙に目を浮かべ少女に睨みをきかす。 みおは強い疑いの目を、その見知らぬ少女に向けていた。 「殺し合いなんてするわけないよ……私も、どうすればいいのか正直わからないんだ」 「……嘘じゃないよね? 私を騙して殺そうとしてるわけじゃないよね」 みおは少女の言葉に疑いをかける。 名も知らない他人の言葉なんて信じられないし、これは殺し合いだから、嘘をついて私を殺すかもしれない。 そんな疑心暗鬼の念を抱き、見知らぬ少女を疑った。 みおに疑いの目を向けられたその少女は、少し困惑の表情を見せる。 そしてその少女は―― 「私はそんなことしない!」 そう叫んでいた。 その少女は今にも崩れ落ちそうで、どうにか自分の意志で持ちこたえているようだった。 「私だって、本当は怖いよ。誰かが殺し合いに乗ってるんじゃないか、武器を持って襲ってくるんじゃないかって……  だけど、こんな状況だからこそ信じなくちゃいけないんだよ!  あなたの事は全然知らないけど、始めて出会ったけど、あなたは殺し合いをするような人じゃないっていうのは分かるよ。  だって……あなたは泣いてたから……殺し合う事が怖かったから、殺し合いなんてしたくないって思ってたから、私を疑ったんだよね。  だから私はあなたを信じるよ。だからあなたも私を信じてほしい……駄目かな?」 その少女はみおにそう言った。 その後はしばらく彼女は何も言わなかった。 みおも何も喋ってはいなかった。 しばらくの間、沈黙が続く。 みおは蹲りながら黙っていて、もう一人の少女はそんなみおを黙って見ているだけだった。 沈黙の後――――みおが声を発する。 声を発した時、みおは何ヶ月も喋っていなかったような錯覚に囚われた。 久々に声を出したような、それぐらいに小さく掠れた声でみおは言った。 「……本当だね? 信じて、いいんだよね」 それは、みおが踏み込んだ証だった。 ほんの一歩だけだが、確かに信じるという行為に踏み込んだ言葉だった。 その声を聞いた少女は、ほっとしたような微笑みを見せ、こくりと頷いた。 「私、長野原みお」 「私は真崎杏子。……よろしくね」 その言葉が、二人の出会いの本当の意味での始まりだった。 【H-11/森/一日目・深夜】 【長野原みお@日常】 [状態]:健康、やや不安定 [装備]:時定高校の制服 [道具]:なし(まだディパックには手を出していない) [思考・状況] 基本:殺し合いなんて信じられるわけないよ…… 1:信じて、いいんだよね……? 2:今はじっとしていたい 3:ゆっこ…… 【真崎杏子@遊戯王】 [状態]:健康 [装備]:童実野高校の制服 [道具]:基本支給品、不明支給品1~3 [思考・状況] 基本:殺し合いはしない 1:みおちゃんが落ち着くまでいっしょにいる 2:遊戯、城之内達との合流 |006:[[電波塔にて]]|時系列順|009:[[未来と、依頼]]| |007:[[OVERの憤慨]]|投下順|009:[[未来と、依頼]]| |GAME START|[[長野原みお]]|[[]]| |GAME START|[[真崎杏子]]|[[]]|

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