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「千早 十一」(2008/04/18 (金) 02:59:38) の最新版変更点
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事務所の近くにクレーム・ブリュレの美味しいカフェが出来たと春香から聞いたので、
早めに仕事終えて千早を誘って、一緒に食べに行くことにした
訪れたカフェの店内は軽快な音楽と明るい雰囲気で居心地が良く、
とりあえず一番奥の席に座るとクレーム・ブリュレを2つ注文してみる
数分して運ばれたクレーム・ブリュレは適度に表面を焦がされたカスタードと
添えられたブルーベリーが見た目にも美味そうだ
「それではいただきます。…………ふふ、春香の言う通り、
とても美味しいですね、プロデューサー」
話に聞いていたより美味かったのか、嬉しそうに頬張る千早の姿を見て顔がほころぶ
どれほどの味かとスプーンを手にしたところで、ふとあることを思い立った
「ふむ」
「…?プロデューサー、どうしたんですか?」
不思議そうにする千早のところへ自分のクレーム・ブリュレを置き
少しだけ体を前に突き出すと、大きく口を開ける
「あーん」
「え?プ、プロデューサー、困ります!? 私……そんな、ここでですか?」
「もちろんだとも」
「はぁ、もう仕方ないですね。では……あ、あーん」
「あーん」
千早のすくったクレーム・ブリュレを頬張ると、適度な甘みと素材を生かした香りが口内に広がる
巷ではなかなか味わえない風味に、これは病みつきになるかもしれんとつい思ってしまう
「美味いな、これ。って、千早?今使ったスプーンって千早のじゃあ……」
「え?あ!わ、私は決してわざとでは! わ、私はそんなつもりは無くてですね!」
「いや別に俺は気にして――」
「そんな!故意とはいえ、か、か、間接キスなんですよ。
少しは気にしてください!そうでないと私が困ります!」
しどろもどろにあれこれ言いながら顔を赤くする千早を、自分のスプーンを咥えつつ
のんびり仄かに甘く観察したい今日この頃の俺
----
「プロデューサー、も、もし良かったらこれ食べてください」
昼飯を買いに行こうとした時に千早が差し出したのはシンプルな弁当箱だった
おずおずと差し出された弁当箱を受け取り、蓋を開いてみると
種類は少ないがボリューム満点のおかずと真っ白なご飯が入っていた
「これ、全部千早が作ったのか?」
「はい。でも私、あまり料理とかしたことがなかったので萩原さんや春香に手伝ったもらったんです」
「それはありがとう」
「プロデューサーって、いつもコンビニのパンで済ましてますから
体調管理のためにも栄養はバランスよく摂ってほしくて……その……、
とにかく食べてみてください」
千早に箸を渡され、とりあえず卵焼きを掴んでみる
形はなんだか少し歪で、焦げて黒っぽくなっているが
千早なりに慣れない事なのに作ってくれたことを想像すると微笑ましく思えてきた
いざ口に入れて食べてみると焦げが少々苦いが、
卵焼きそのものはダシや砂糖の加減がほどよく口に広がり
もっと食べてみたくなるような味に仕上がっていた
「……どうです?もしかして口に合いませんでしたか?」
無言のまま黙々と食べていたせいで、千早が心配そうに覗いてきた
「プロデュ――」
「うんめぇよ千早!この弁当凄く美味い!」
「ほ、本当ですか!?」
「ありがとう千早、このお礼はいつか必ずするからな」
心配顔から途端に明るい表情になる千早の頭をくしゃくしゃと撫でると千早もどこか嬉しそうに微笑んだ
千早に最大の感謝をしつつ、のんびりほんわかと彼女を観察したい今日この頃の俺
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いらなくなったTシャツが大分あったので仕事帰りに処分しようと思い立った
とりあえず適当なビニール袋に入れ、デスク横に置いておいた
「今日もお疲れまでしたプロデューサー。そういえば何ですかこの袋?」
「ん?これか?もう着なくなったTシャツでも古着屋に売ろうと思ってさ」
「プロデューサーのTシャツですか。あの、よかったら見てもいいですか?」
「ああ、構わないよ」
千早は袋からTシャツを取り出すと、興味深そうに広げた
何枚か体に当ててサイズを確かめたり、品定めするようにじっと見つめている
「プロデューサー。も、もしよかったら私に買い取らせてくれませんか?」
「千早が買い取るだって?別にこんなものでいいならあげるよ」
「本当ですか!?ありがとうございます」
千早にTシャツの入ったビニール袋を渡すと、千早は嬉しそうに手に取った
帰るときに両手で抱えて歩く様を見ると、古着屋に売るよりずっと良かったかなと思えてしまう
その後、オフの日に千早が上着の下に以前あげたTシャツを着て事務所に来た
「なかなか似合ってるじゃないか。男物でも着てる女の子が可愛いと似合うもんだな」
「そ、そんなことありませんよ。似合う似合わないというよりこのTシャツを着ていると、
なんだかプロデューサーがいつもそばにいてくれるような感じがして……」
そう言って微笑みながらTシャツの話をする千早に、何故か照れくささを感じつつ
のほほんのんびり観察したい今日この頃の俺
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午前中で仕事が終わったので、近くに最近出来た屋内プールに千早を誘い、一緒に泳ぐことにした
千早に前もって用意しておいた水着を渡し、プールサイドで期待に胸膨らませていると
例の水着を着た千早がやってきた
「プロデューサー?これは一体……?」
「今後の衣装選びの参考にと思ってな。やっぱり千早は体のラインが綺麗だから何を着ても似合うな」
顎に手を当てて、改めてじっくりと足元から頭の先まで千早をまじまじと見てみる
スラリとした身体に競技用水着はこれはこれでいいなとニヤニヤしてしまう
「あの、そんなにじろじろ見ないでください。恥ずかしい……」
「ごめんごめん、とりあえず泳ぐとするか」
「はい。たまにはこういう運動もいいかもしれませんね」
準備運動を済まし、プールに入ろうとプールサイド端まで歩いていると
前方を歩く千早が少しだけお尻に食い込んだ水着を指で引っ張った
「っ!」
「プロデューサー、どうかしましたか?」
「い、いや、なんでもない」
千早は何も気にしないそぶりでスタスタと歩くのだが、彼女の形の良いお尻に釘付けになってしまった
千早の後姿に興奮する心を必死に抑えつつ、のんびりまったりと彼女を観察したい今日この頃の俺
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事務所の仕事も終わり、千早と帰るときに乗ったエレベーターが途中で止まってしまった。
故障してしまったのか何度もボタンを押すも全く反応しない。
とりあえず外部に連絡してみると、都合が悪く修理業者が来るまで1時間近くかかってしまうとのことだった。
ずっと立っているのも疲れるので、千早と並んで座るとぼんやり天井を見上げた。
「……まいったな」
「ええ、まさかプロデューサーと閉じ込められてしまうなんて」
「あはは……」
千早の何気ない言葉に改めて状況を確認すると、なんともいえない気持ちになった。
外部と遮断された狭い密室で千早と二人きりになったことで、千早のことを意識してしまう。
これがもうちょっとマシなシチュエーションならどうなんだろうと、考えてしまう自分に苦笑してしまう。
すると突然電気が消え、エレベーターがガタンと大きく音を立てて少しだけ落下した。
「っきゃ!」
聞いたこともないような小さな悲鳴を上げてしがみ付いて来た。
不安そうな顔でギュっと服を掴む千早に、いつもクールな印象だけど女の子なんだもんなと思ってしまう。
「大丈夫だって、ちょっとずり落ちただけだよ」
「で、でも」
「問題ないさ。それにもし何かあっても俺は絶対に千早の隣にいて助けてやる」
「……はい」
気休めになればとそっと千早の肩に手を乗せて引き寄せると、千早も身を委ねる様に
身を寄せてきた。
薄暗いせいで神経が尖っているのか千早の体温や吐息を強く感じる。
視線に気が付いたのか、千早が不思議そうにこちらを見た。
互いに身を寄せ合っているので、瞳に映るものが見えるくらいに顔が近い位置にある。
あと数cmだけ顔を突き出せば唇が触れてしまいそうで、危うい二人の距離に胸が高鳴ってしまう
「プロデューサー……私……」
千早が口を開き、形も良く瑞々しい唇に視線が釘付けになってしまった。
千早に手を出してしまいそうな衝動を必死に抑えつつ、悟られないようにと変な作り笑いをしてしまう。
支援を!可及的速やかに支援を!と心の中で誰かに訴えつつ理性と本能の狭間で、
すぐ目の前の千早を観察したい今日この頃の俺。
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千早とエレベーターに閉じ込められて数分、すぐ目の前の千早に高鳴る鼓動を抑えられずにいた。
千早の吐息が頬に当たって頭が熱くなり、冷静な思考が出来なくなってきている。
千早の肩に回した腕で一気に引き寄せてしまいたくなるのを、必死に震えながら堪える。
「……プロデューサー、大丈夫ですか?」
「へ?」
「さっきから様子が変でしたから、どこか具合が悪いのではないのかと」
「え、……ああ。だ、大丈夫だよ元気元気」
「よかった。プロデューサー、頼りにしていますからね」
千早の意外な言葉に拍子抜けして、乾いた笑いとともに小さく溜息をついた。
こんな時に不安がってる千早に心配されてる場合ではないだろうと、落ち着いて自分に言い聞かせる。
「あの……、私たち無事に――」
「ゴーマイウェーイ ゴーマイウェーイ がんばっていきましょ」
「え、あの、プロデューサー?」
「歌だよ歌。こんな機会は滅多にないし、むしろ歌でも歌って楽しく過ごそうじゃないか」
「ふふ、変なプロデューサー。でも、暗い考えで堂々巡りしているよりも、ずっといいかもしれませんね」
「だろ?」
一緒に歌っているうちに千早も不安そうな表情から、少しずつ明るい表情になってきた。
隣で絶妙に歌う千早に、この子の実力にはいつも凄いなと感嘆の念を抱く。
そうこうして何曲か歌い、一休みしていると今まで消えていた電気が点灯し、微かに何かの駆動音が聞こえてきた。
やっと復旧したかなと天井を見上げた瞬間、エレベーターが前よりも大きく落下した。
「きゃああ!」
「わああ!」
突然のことに悲鳴を上げて抱きつく千早の勢いと落下の衝撃で、千早に覆い被される形で床に倒れてしまった。
頭をぶつけて一瞬意識を失ったのか、ぼんやりとする視界の中で胸元を見ると千早が抱きついたままじっとしていた。
どうしたものかと思案していると、チーンと間の抜けた音を立ててドアが開いた。
ドアの向こうでは765プロの面子が心配そうに覗きこんでいたが、それがすぐに十人十色に変わっていった。
千早も視線に気が付いて、ドアの向こうを見ると声にならない声を上げて固まってしまった。
「プロデューサーさん、千早ちゃんとは一体何を……」
「あんた、千早と千早と何してんのよ!」
「プロデューサー、千早とはそんなことをするまでの関係だったんですね」
「いや、待て。これには深いわけが」
「あらー、お邪魔だったかしら」
「兄ちゃんが千早お姉ちゃんとエッチなことしてるー」
「ち、違うのよ!真美!」
「まぁ、君たちの関係に口を挟む気がないが、あまり人前では気をつけたまえよ?」
それぞれのリアクションに何かもうどうでもいいや、と開き直っているのとは対照的に千早は顔を真っ赤にして反論している。
反論に必死で馬乗りになったままの千早に、こういう姿も可愛いなと思いつつ千早の体の温もりと感触を、
堪能しながらのんびり観察したい今日この頃の俺。
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事務所の近くにクレーム・ブリュレの美味しいカフェが出来たと春香から聞いたので、
早めに仕事終えて千早を誘って、一緒に食べに行くことにした
訪れたカフェの店内は軽快な音楽と明るい雰囲気で居心地が良く、
とりあえず一番奥の席に座るとクレーム・ブリュレを2つ注文してみる
数分して運ばれたクレーム・ブリュレは適度に表面を焦がされたカスタードと
添えられたブルーベリーが見た目にも美味そうだ
「それではいただきます。…………ふふ、春香の言う通り、
とても美味しいですね、プロデューサー」
話に聞いていたより美味かったのか、嬉しそうに頬張る千早の姿を見て顔がほころぶ
どれほどの味かとスプーンを手にしたところで、ふとあることを思い立った
「ふむ」
「…?プロデューサー、どうしたんですか?」
不思議そうにする千早のところへ自分のクレーム・ブリュレを置き
少しだけ体を前に突き出すと、大きく口を開ける
「あーん」
「え?プ、プロデューサー、困ります!? 私……そんな、ここでですか?」
「もちろんだとも」
「はぁ、もう仕方ないですね。では……あ、あーん」
「あーん」
千早のすくったクレーム・ブリュレを頬張ると、適度な甘みと素材を生かした香りが口内に広がる
巷ではなかなか味わえない風味に、これは病みつきになるかもしれんとつい思ってしまう
「美味いな、これ。って、千早?今使ったスプーンって千早のじゃあ……」
「え?あ!わ、私は決してわざとでは! わ、私はそんなつもりは無くてですね!」
「いや別に俺は気にして――」
「そんな!故意とはいえ、か、か、間接キスなんですよ。
少しは気にしてください!そうでないと私が困ります!」
しどろもどろにあれこれ言いながら顔を赤くする千早を、自分のスプーンを咥えつつ
のんびり仄かに甘く観察したい今日この頃の俺
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「プロデューサー、も、もし良かったらこれ食べてください」
昼飯を買いに行こうとした時に千早が差し出したのはシンプルな弁当箱だった
おずおずと差し出された弁当箱を受け取り、蓋を開いてみると
種類は少ないがボリューム満点のおかずと真っ白なご飯が入っていた
「これ、全部千早が作ったのか?」
「はい。でも私、あまり料理とかしたことがなかったので萩原さんや春香に手伝ったもらったんです」
「それはありがとう」
「プロデューサーって、いつもコンビニのパンで済ましてますから
体調管理のためにも栄養はバランスよく摂ってほしくて……その……、
とにかく食べてみてください」
千早に箸を渡され、とりあえず卵焼きを掴んでみる
形はなんだか少し歪で、焦げて黒っぽくなっているが
千早なりに慣れない事なのに作ってくれたことを想像すると微笑ましく思えてきた
いざ口に入れて食べてみると焦げが少々苦いが、
卵焼きそのものはダシや砂糖の加減がほどよく口に広がり
もっと食べてみたくなるような味に仕上がっていた
「……どうです?もしかして口に合いませんでしたか?」
無言のまま黙々と食べていたせいで、千早が心配そうに覗いてきた
「プロデュ――」
「うんめぇよ千早!この弁当凄く美味い!」
「ほ、本当ですか!?」
「ありがとう千早、このお礼はいつか必ずするからな」
心配顔から途端に明るい表情になる千早の頭をくしゃくしゃと撫でると千早もどこか嬉しそうに微笑んだ
千早に最大の感謝をしつつ、のんびりほんわかと彼女を観察したい今日この頃の俺
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いらなくなったTシャツが大分あったので仕事帰りに処分しようと思い立った
とりあえず適当なビニール袋に入れ、デスク横に置いておいた
「今日もお疲れまでしたプロデューサー。そういえば何ですかこの袋?」
「ん?これか?もう着なくなったTシャツでも古着屋に売ろうと思ってさ」
「プロデューサーのTシャツですか。あの、よかったら見てもいいですか?」
「ああ、構わないよ」
千早は袋からTシャツを取り出すと、興味深そうに広げた
何枚か体に当ててサイズを確かめたり、品定めするようにじっと見つめている
「プロデューサー。も、もしよかったら私に買い取らせてくれませんか?」
「千早が買い取るだって?別にこんなものでいいならあげるよ」
「本当ですか!?ありがとうございます」
千早にTシャツの入ったビニール袋を渡すと、千早は嬉しそうに手に取った
帰るときに両手で抱えて歩く様を見ると、古着屋に売るよりずっと良かったかなと思えてしまう
その後、オフの日に千早が上着の下に以前あげたTシャツを着て事務所に来た
「なかなか似合ってるじゃないか。男物でも着てる女の子が可愛いと似合うもんだな」
「そ、そんなことありませんよ。似合う似合わないというよりこのTシャツを着ていると、
なんだかプロデューサーがいつもそばにいてくれるような感じがして……」
そう言って微笑みながらTシャツの話をする千早に、何故か照れくささを感じつつ
のほほんのんびり観察したい今日この頃の俺
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午前中で仕事が終わったので、近くに最近出来た屋内プールに千早を誘い、一緒に泳ぐことにした
千早に前もって用意しておいた水着を渡し、プールサイドで期待に胸膨らませていると
例の水着を着た千早がやってきた
「プロデューサー?これは一体……?」
「今後の衣装選びの参考にと思ってな。やっぱり千早は体のラインが綺麗だから何を着ても似合うな」
顎に手を当てて、改めてじっくりと足元から頭の先まで千早をまじまじと見てみる
スラリとした身体に競技用水着はこれはこれでいいなとニヤニヤしてしまう
「あの、そんなにじろじろ見ないでください。恥ずかしい……」
「ごめんごめん、とりあえず泳ぐとするか」
「はい。たまにはこういう運動もいいかもしれませんね」
準備運動を済まし、プールに入ろうとプールサイド端まで歩いていると
前方を歩く千早が少しだけお尻に食い込んだ水着を指で引っ張った
「っ!」
「プロデューサー、どうかしましたか?」
「い、いや、なんでもない」
千早は何も気にしないそぶりでスタスタと歩くのだが、彼女の形の良いお尻に釘付けになってしまった
千早の後姿に興奮する心を必死に抑えつつ、のんびりまったりと彼女を観察したい今日この頃の俺
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事務所の仕事も終わり、千早と帰るときに乗ったエレベーターが途中で止まってしまった。
故障してしまったのか何度もボタンを押すも全く反応しない。
とりあえず外部に連絡してみると、都合が悪く修理業者が来るまで1時間近くかかってしまうとのことだった。
ずっと立っているのも疲れるので、千早と並んで座るとぼんやり天井を見上げた。
「……まいったな」
「ええ、まさかプロデューサーと閉じ込められてしまうなんて」
「あはは……」
千早の何気ない言葉に改めて状況を確認すると、なんともいえない気持ちになった。
外部と遮断された狭い密室で千早と二人きりになったことで、千早のことを意識してしまう。
これがもうちょっとマシなシチュエーションならどうなんだろうと、考えてしまう自分に苦笑してしまう。
すると突然電気が消え、エレベーターがガタンと大きく音を立てて少しだけ落下した。
「っきゃ!」
聞いたこともないような小さな悲鳴を上げてしがみ付いて来た。
不安そうな顔でギュっと服を掴む千早に、いつもクールな印象だけど女の子なんだもんなと思ってしまう。
「大丈夫だって、ちょっとずり落ちただけだよ」
「で、でも」
「問題ないさ。それにもし何かあっても俺は絶対に千早の隣にいて助けてやる」
「……はい」
気休めになればとそっと千早の肩に手を乗せて引き寄せると、千早も身を委ねる様に
身を寄せてきた。
薄暗いせいで神経が尖っているのか千早の体温や吐息を強く感じる。
視線に気が付いたのか、千早が不思議そうにこちらを見た。
互いに身を寄せ合っているので、瞳に映るものが見えるくらいに顔が近い位置にある。
あと数cmだけ顔を突き出せば唇が触れてしまいそうで、危うい二人の距離に胸が高鳴ってしまう
「プロデューサー……私……」
千早が口を開き、形も良く瑞々しい唇に視線が釘付けになってしまった。
千早に手を出してしまいそうな衝動を必死に抑えつつ、悟られないようにと変な作り笑いをしてしまう。
支援を!可及的速やかに支援を!と心の中で誰かに訴えつつ理性と本能の狭間で、
すぐ目の前の千早を観察したい今日この頃の俺。
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千早とエレベーターに閉じ込められて数分、すぐ目の前の千早に高鳴る鼓動を抑えられずにいた。
千早の吐息が頬に当たって頭が熱くなり、冷静な思考が出来なくなってきている。
千早の肩に回した腕で一気に引き寄せてしまいたくなるのを、必死に震えながら堪える。
「……プロデューサー、大丈夫ですか?」
「へ?」
「さっきから様子が変でしたから、どこか具合が悪いのではないのかと」
「え、……ああ。だ、大丈夫だよ元気元気」
「よかった。プロデューサー、頼りにしていますからね」
千早の意外な言葉に拍子抜けして、乾いた笑いとともに小さく溜息をついた。
こんな時に不安がってる千早に心配されてる場合ではないだろうと、落ち着いて自分に言い聞かせる。
「あの……、私たち無事に――」
「ゴーマイウェーイ ゴーマイウェーイ がんばっていきましょ」
「え、あの、プロデューサー?」
「歌だよ歌。こんな機会は滅多にないし、むしろ歌でも歌って楽しく過ごそうじゃないか」
「ふふ、変なプロデューサー。でも、暗い考えで堂々巡りしているよりも、ずっといいかもしれませんね」
「だろ?」
一緒に歌っているうちに千早も不安そうな表情から、少しずつ明るい表情になってきた。
隣で絶妙に歌う千早に、この子の実力にはいつも凄いなと感嘆の念を抱く。
そうこうして何曲か歌い、一休みしていると今まで消えていた電気が点灯し、微かに何かの駆動音が聞こえてきた。
やっと復旧したかなと天井を見上げた瞬間、エレベーターが前よりも大きく落下した。
「きゃああ!」
「わああ!」
突然のことに悲鳴を上げて抱きつく千早の勢いと落下の衝撃で、千早に覆い被される形で床に倒れてしまった。
頭をぶつけて一瞬意識を失ったのか、ぼんやりとする視界の中で胸元を見ると千早が抱きついたままじっとしていた。
どうしたものかと思案していると、チーンと間の抜けた音を立ててドアが開いた。
ドアの向こうでは765プロの面子が心配そうに覗きこんでいたが、それがすぐに十人十色に変わっていった。
千早も視線に気が付いて、ドアの向こうを見ると声にならない声を上げて固まってしまった。
「プロデューサーさん、千早ちゃんとは一体何を……」
「あんた、千早と何してんのよ!」
「プロデューサー、千早とはそんなことをするまでの関係だったんですね」
「いや、待て。これには深いわけが」
「あらー、お邪魔だったかしら」
「兄ちゃんが千早お姉ちゃんとエッチなことしてるー」
「ち、違うのよ!真美!」
「まぁ、君たちの関係に口を挟む気がないが、あまり人前では気をつけたまえよ?」
それぞれのリアクションに何かもうどうでもいいや、と開き直っているのとは対照的に千早は顔を真っ赤にして反論している。
反論に必死で馬乗りになったままの千早に、こういう姿も可愛いなと思いつつ千早の体の温もりと感触を、
堪能しながらのんびり観察したい今日この頃の俺。
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