-続・小食コンテスト-

 真奈美ちゃんと付き合い始めてから2週間ほど経った土曜日の朝。僕は車をマンションの来客者用の駐車場に停め、ワクワクしながら階段を上る。普段、毎日職場で会っているのに、この時は特別なのだ。あの日、初めて真奈美ちゃんの部屋を訪れた時のことを思い出し、お姫様抱っこの時の重みと温かさを思い出しながら階段を上る。チャイムを鳴らすとすぐにドアが開いて、いい匂いと明るい笑顔が僕を出迎えてくれる。「おはよう、真奈美ちゃん。」「あ、おはよう~幸司さん。」真奈美ちゃんは僕とつきあい始めてから少し性格が明るくなった気がする。いい匂いの正体は、真奈美ちゃんが朝から作っている、まるで大人数でパーティーでも開くかのかと思うような大量の料理だ。真奈美ちゃんの作る料理は煮物や温野菜など、健康食が多い。真奈美ちゃんの服装は、淡いブルーのジーンズに白いTシャツだった。先日、僕が、ジーパンのボタンやチャックが止まらなくなる様子を見てみたいとリクエストしたので、ちゃんと律儀にジーンズを穿いていたのだ。半袖のTシャツから覗く柔らかそうな白い二の腕は程よい太さで、まるで小学生の腕をそのまま大きくしたような未成熟な感じに見える。ジーンズは勿論、最初はウェストのボタンは止まっている。体のラインにそれほどピッチリフィットしている訳ではないが、決してブカブカでは無く、真奈美ちゃんの柔らかな腰のラインや太股の大らかさに程よくまとわりついて、その美しい曲線美を僕に見せつけてくれている。この、女の子としての華奢さを損なわず、かつふっくらとした柔らかさを持っている絶妙な体型が、僕には凄く魅力的に思える。

 「そこに座って、ちょっと待っててね。」真奈美ちゃんは出来上がった料理を大きなお皿に盛りつけていた。キッチンスペースに立つ真奈美ちゃんの後ろ姿が見える。ジーンズ生地をプリッと盛り上げている可愛いお尻。こうして見ると、確かに真奈美ちゃんのヒップは本来理想と思われる位置より少しだけ下の方に位置しているように見えるが、プックリと若干斜め上に突き上げるように膨らんだヒップトップが張りというか、ピチピチ感を出している。指でつついたら相当な柔らかさを感じられるだろうか…。このヒップはこうして離れた距離から眺めているからこそ可愛いく感じられるが、いざ目前に突き出されると、その圧倒される程のデカさとボリューム感によって畏れ多さを感じ、とても「可愛い」なんて言葉で片づけられるものではない。…という事実は社内の他の誰もが知らない、おそらく僕だけが知っている秘密である。「手伝うよ。」僕は立ち上がって彼女の隣に回る。真奈美ちゃんは今日もポニーテールだった。普段、会社に居る時はポニーテールなどしないのだが、あの日の髪型がとても似合っていて真奈美ちゃんらしいと誉めたので、それ以来、土曜日はいつもさりげなくポニーテールにしてくれているのだ。僕は真奈美ちゃんと一緒に鍋から大皿へと移し、それを部屋の中央にある小さな座卓に運んだ。スープは鍋敷きを添えて、大鍋のまま座卓へ。真奈美ちゃんの部屋のアイテムはピンクと白で統一されている。フカフカの絨毯も白く丸い外形で、中央にハートマークが二つ。テレビと化粧台とベッドと、造り付けのタンスだけのシンプルな部屋だ。化粧台の上置いてあるのは、化粧水と日焼け止めらしきボトルだけ。さすがにそれしか持っていないという事は無いだろうが、飾りっ気のない真奈美ちゃんらしい化粧台だ。

 小さな座卓の上に、煮物とご飯と、大きな野菜がゴロゴロ入った野菜スープが並び、向かい合って座る僕らの前にそれぞれ深めの小皿とお箸が一組置かれた。「美味しそうな匂いだね。さすが真奈美ちゃん。」「えへっ。ありがとう。」「食材費一杯掛かったでしょ?あとで払うから。」「いいんですいいんです。私が自分の好きでどっさり作ってるだけだから…。」「いや、そういう訳には行かないよ。」僕はレシートを見せて貰った。にんじん一袋(7本)、大根1本、じゃがいも一袋(9個)、鶏肉1kg、玉葱一袋(大5個)、ブロッコリー一房、etc…。普通に野菜と肉と魚だけで4千円近く掛かっている。どう見ても一人暮らしの女の子が買う量では無い。大家族の夕食の買い出しだ。僕は5千円札を渡した。真奈美ちゃんはお釣りを出そうとしたので、それは断った。僕は無意識のうちに正座をしたが、真奈美ちゃんは脚を崩していた。真奈美ちゃんはそれを気にしたようだった。「すいません姿勢悪くて…。私、正座が出来ないんです。体が重すぎて…。」「え?そうなの?」「一杯食べた時は、尚更その重みで…。」「あ、じゃあ僕が真奈美ちゃんの座椅子の役をやるよ。」「それじゃ幸司さんが食べにくいでしょ?」「大丈夫。僕なんて早食いだし、それに、真奈美ちゃんと違って、食べ始めたらすぐお腹一杯になるんだから。というか、正直、真奈美ちゃんを抱っこしてみたい。」「あっはっは。なんで~?」真奈美ちゃんは満面の笑みで僕に問いかける。「真奈美ちゃん柔らかそうだから、自分の膝の上に載せてみたい。」「そんな事言って、苦しくなっても知らないよ~。」…こんな些細なやり取りをしていても、付き合い始める前は職場の先輩後輩関係だった真奈美ちゃんと僕との距離が、どんどん近づいているのを感じる。そして、心だけでなくその体同士も惹き付け合うように、ことある毎に近づいて、時にくっつく。昔から「いちゃいちゃ」という言葉があるが、まさに自分達にはぴったりの言葉だ。

 僕はフカフカの絨毯を座りながら移動し、真奈美ちゃんの真横に座って、その腰に両手を当てて持ち上げる仕草をした。勿論、それだけでは持ち上がる筈もなく、真奈美ちゃんは僕の腕の動きに従って腰を上げ、そのまま脚を投げ出した僕の太股の上にムギュッと座った。…真奈美ちゃんのお尻は想像通り柔らかく、僕の太股の上に均等な圧力を掛けながら潰れて広がった。僕の太股はその圧迫で神経がジンジンし始める。痛くはないが、長くは耐えられそうにないような、程よい重さだ。まだそのお腹には食べ物が入っていない状態。この重みこそが、僕が手に入れた彼女、真奈美ちゃんがこの世に存在する分だけの重さだ。「どう?重いでしょ?」真奈美ちゃんは振り返り、僕に横顔を見せながら聞く。「ううん、全然平気。」「うそぉ。そんな訳無いじゃん。」真奈美ちゃんのヒップと太股は、まるで僕の体を制覇したかのように、僕の太股を完全に覆い隠してのさばっていた。僕はその太股の両脇に手を添え、幅を手の感触で確かめる。自分より圧倒的に広い横幅の太股は、ジーンズの上からギュッと押すと程よい弾力で潰れてくれる。「それにしても、おっきいお尻だね~。」「嫌だぁ、恥ずかしい…。」僕の口調は柔らかく、さする手も慈しむようにソフトであったので、真奈美ちゃんにはそれが罵りで無い事は伝わっているようだ。「まだ食べ物が入ってないのに、凄く立派だね。」「お尻は元々、おっきいですから。食べたら膨らむのはお腹。…でも、お腹も元々出てるけど。」「どれ?真奈美ちゃんの、食べ物が入る前のお腹、見せてみて。」真奈美ちゃんは僕の膝の上に座ったまま向きを変え、僕の上半身を大きくまたいで、向かい合わせの姿勢になった。真奈美ちゃんは僕の顔を少し上から見下ろす格好になった。Tシャツをめくると、ほぼ平らの真っ白なお腹。これなら「出ている」という言葉は似合わない。しかし摘んでみると、その柔らかいお腹はまるで大福餅のようにムニッと変形して、僕の指に追従して来る。しかしゴム人間では無いのである程度まで引っ張ると抵抗を感じ、それ以上、際限なく伸びてくる様子は無い。更に引っ張ったら真奈美ちゃんが痛そうだ。こんな普通のお腹がどうやってあそこまで膨らむというのだろうか…。そして、キッチリとボタンが閉じられたジーンズのウェストには、まだ指が3、4本ほど入る余裕があった。

 「このお腹の中で、胃袋は今どんな状態で居るんだろうね。」僕は真奈美ちゃんのお腹を見つめながら言った。「まだ何も入ってないんで、このくらいにギュッてしぼんてるんじゃないですか?」真奈美ちゃんは握りこぶしを見せる。それにしても、ちっちゃい握りこぶしだ。何で女の子の手は、こんなに小さいんだろうか。僕は男なので、自分の体を基準に考えるのはおかしいが、大きなお尻、大きな太股に比べて、なんで手はこんなに小さく出来るのか不思議だった。「そんなに小さくしぼんでるんだ…。もしもし、元気ですか?」僕は真奈美ちゃんのおへそのあたりを指でつついた。「多分、もっと下だよ。」真奈美ちゃんはジーンズのボタンの下にある、チャック真ん中あたりを指さす。「胃袋なのに、こんなに下に?」「うん、多分。そこで『はやくご飯をくれ~!』って言ってるよ。」「え?僕にも声が聞こえるかなぁ。…ちょっと聞いてみようかな。」真奈美ちゃんは僕の上から降りて、隣に座った。僕は、真奈美ちゃんに膝枕をしてもらう格好になり、ジーンズの下腹部に耳をくっつけた。…温かい真奈美ちゃんのお腹の温度が、ジーンズの生地越しに、僕の耳たぶとほっぺたに伝わってくる。暫く耳を澄ましてみたが、中からは殆ど音が聞こえなかった。が、時々かすかに「コロコロ…」とか「ゴポッ」という音が聞こえて来たような気がした。「…殆ど何も聞こえなかったよ。でも、真奈美ちゃんのお腹は空いた時に鳴ったりするの?」「それはもう、すっごいよぉ。ゴゴゴゴゴって、早く餌をあげないとどうなっちゃうか分からないくらいに鳴くんだから。」「あぁ、それは待たせてすみませんでした。では、ご飯にいたしましょう。」僕は真奈美ちゃんの下腹部越しに、胃袋に謝った。

 僕は再び移動して、真奈美ちゃんと向かい合う位置に座った。今度は自分も脚を崩したので、目線の高さは真奈美ちゃんと同じになった。「いただきます。」僕と真奈美ちゃんはようやく食べ始めた。僕は自分のご飯を食べながら、真奈美ちゃんが食べる姿に見入っていた。まずは煮物、そしてご飯。野菜スープ、ご飯。”三角食べで、よく噛んで”とはまさにこのことか。「おいしいね~。」「ありがとう。あたしの胃も、喜んでるみたいだよ。」僕は真奈美ちゃんのお腹の様子が気になったが、座卓の陰に隠れて見えないので我慢した。そして、あっという間に僕の限界は訪れた。ご飯2膳、煮物4杯、スープ2杯。ざっと2人前といったところだろうか。僕の限界は2人前。何とも平凡な数字だ。「ご、ごちそうさま。プハー、もう限界だわ。」「凄~い、よく食べましたね~。」真奈美ちゃんは食べながら、わざとらしく僕に声を掛けた。真奈美ちゃんもまだ僕よりやや少ない量しか食べていない。卓上の料理はまだパッと見では食べ始める前とほとんど変わっていなかった。「真奈美ちゃんはまだまだいけるでしょ。」「ううん、そんなこと無いよ。だってホラ、もう限界。」真奈美ちゃんは少し寝そべって、下腹部をポンポンと叩いた。僕は再び真奈美ちゃんのすぐ隣りに移動してそれを確かめた。ジーンズの生地はパンパンに張って、ドーム状に丸く膨らんでいる。「それ、お腹の限界じゃなくてジーパンの限界でしょ?」「えへっ。ばれたか。」「…ねぇ真奈美ちゃん、本当の限界が来るまでもう少し食べられる?」「うん、まだもうちょっと大丈夫そう。」真奈美ちゃんは少しずつ、下腹の感触を確かめるように食べていく。「ハァ、ハァ、…固形は限界かも。スープなら入りそう。」真奈美ちゃんはちょっと苦しそうな顔をしながらスープ皿を口に付けて、少しずつ飲んでいる。こめかみに汗が滲んでいるのが分かる。初めて見た、苦しそうにご飯を食べる真奈美ちゃんの顔。僕はちょっと残酷なお願いをしてしまったかと思った。

 「ごめんね、ムリしなくていいよ。…じゃあボタンを外してあげるから。」僕は横から真奈美ちゃんのTシャツを捲り、ジーンズのボタンを外そうとした。ジーパンの内側には既に指は1本も入らない状況になっていた。そして、真奈美ちゃんの柔らかいお腹の表層が内圧を受けてジーパンの上に少しはみ出していた。ボタンを外すには生地を少し引っ張らなければならないが、このように裏側に指が回せず、しかも生地がピンピンに張っている状態では非常に難易度が上がっていた。僕は目一杯指に力を入れてジーンズの生地を外側からつまみ、その隙にボタンを穴から抜いた。とたんにパツンという感じでボタンと穴とが遠ざかり、再びボタンを嵌めるのは絶望的な状態になった。それと当時に、真奈美ちゃんのお腹の圧力はボタンの直下のチャックに掛かったのだった。チャックは自然に開くのを防止する構造になっていて、つまみを垂直に上げなければ開かない。僕はチャックを隠している生地を捲り、その中に潜むつまみを恐る恐る、ゆっくりと起こしていった。…すると、45度くらいまで傾いたところでロックが解け、つまみは「ジャッ!!」と音を立てて最下位まで開ききってしまった。それと同時に、黒い下着の生地が少し顔を出してしまった。「あ、ごめん…。」僕は、見てはいけない物を勝手に見たような気がして、とっさに謝ってしまった。真奈美ちゃんはそんな事を全く気にしていないようで「ハァ~、楽になりました!」と言って、またご飯を食べ始めた。ゴクッゴクッと喉を鳴らしながらスープを飲む真奈美ちゃん。そのスピードはさっきより明らかにアップしていた。僕はそのまま真奈美ちゃんの太ももの上に寝そべり、お腹に耳を着けて音を聞いてみた。「……シャバババババ…」真奈美ちゃんが今、口から飲み込んでいるスープが、タンクの中にビシャビシャと落ちていく音が響いていた。飲み物を飲んでいる最中の人のお腹に耳を着けて聞いたことなど生まれて初めての体験だったので、僕はその予想外の音に驚いた。するとその直後、大きく「グルルルルル…!」という音が響いた。音だけでなく、耳を着けていた顔を通じて、真奈美ちゃんのお腹が振動していたのを感じた。「あ、お腹鳴っちゃった…。」「今のはどうして鳴ったの?」「分かんないけど、ボタンを外して楽になったから、胃袋が大きく動いたんじゃないかな?……ゲフッ!…ごめんなさい。」真奈美ちゃんの胃袋は、体の外の圧迫から解放されて体内で自由なポジションを取り、溜まっていたガスが上に抜けて、ゲップとなって一気に出て来たようだった。

 その後も真奈美ちゃんはペースを落とすことなく、どんどん食べ物を口に運んでいく。幸せそうな顔で食べているその横顔は、何十分見ていても全く見飽きることはなかった。僕はチャックを開けた時から真奈美ちゃんの隣りに並んでいたが、じっと凝視していても、そのお腹が徐々に膨らんでいく様子は分からなかった。しかしそのボディのボリュームは、最初は僕と同じくらいだったものが、数十分経つうちにいつの間にか「大人と子供」のような格差になって来ていた。僕はふとあの日の事を思い出し、真奈美ちゃんの背後に回ってみた。真後ろからは膨らんだお腹の様子は直接見えないのだが、「おそらくは相当膨らんでいるであろう」という様子は、あらためてよく見れば背中からもしっかりと感じることが出来た。まず違和感があるのがピンと張っているTシャツの生地。肩周りや脇の下はブカッとしているのに、下半分がキュッと体にまとわりついている。これは前のお腹の膨らみに生地が持って行かれている証拠だった。そして、絨毯の上にムニッと潰れているお尻。大食いを始める前に比べれば、お尻には胴内に詰め込まれた食べ物の荷重が加わって、より強く絨毯の床に押しつけられて潰れている筈だ。それにしても、見れば見るほど重たそうなお尻。確かにこれで正座なんかしたら、こんなヒップの下敷きになってしまうふくらはぎは長くは持たないだろう。

 「ん?…まさか…」僕は、不意に臭いが気になって、真奈美ちゃんのお尻に顔を近づけた。お尻の周囲から、今、明らかな臭さを感じたのだ。しばらくして、僕が臭いを嗅いでいる事に気づく真奈美ちゃん。「…え?…あ!やだやだダメダメ…」急に慌てて僕の頭をキュッと押しやって払いのけようとした真奈美ちゃん。「んっふっふ。嗅いじゃったよ。」「やだぁ、恥ずかしい…。知ってたの?」「ううん、今気づいたんだよ。」…どうやら真奈美ちゃんは、少しずつオナラを出しながらご飯を食べているようだった。胃がここまで膨らむということは、他の臓器は端の方に追いやられる訳で、特にガスが溜まっている大腸を片づけるには、中のガスを抜かなければならない。真奈美ちゃんの場合、別にオナラをしようと思って力んで出している訳ではなく、ある段階まで来ると、食べるペースに合わせて少しずつそのガスが静かにお尻の穴から抜け出ていくのを感じるらしい。このガスは今食べているものではなく、前日に真奈美ちゃんが食べた物が発酵して出来たガスの筈なので、当然それなりの臭いを伴うだろう。僕にとっては有り難い臭いだった。真奈美ちゃんのお腹の中をくぐり抜けてきた空気を吸うことが出来るなんて貴重な体験だからだ。二人羽織の時は広いステージ上だったので全く気づかなかったのだ。最初は恥ずかしがっていた真奈美ちゃんも徐々に慣れて来て、しまいには「あ、出ますよ…。」とそのタイミングを予告してくれるようになってしまった。大食いをする女の子と、その座っているお尻に顔を近づける彼氏。付き合いたてのカップルが繰り広げる光景としてはちょっと変態じみていて、とても見せられる物ではないと思った。

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