Summer Loving(原版)

Summer Loving ~ある夏の日に~

42-R2 田口or堀or牧野の元へ

読み終わりましたら、ご返却ください!

これはある夏の物語である。
主人公「山野 匠」、そしてその友人である(?)「田嶋 達彦」の物語でございます。
では、ご覧下さい。

~序章~

キーンコーンカーンコーン
「ふぅ~、終わった~!帰ろうぜ達彦!」
チャイムが鳴ると同時に匠は帰ろうとした。
いつもならそのまま達彦も「帰りにゲーセンでも寄ってこうぜ。」などと言うのだが、今日は勝手が違った。
「・・・・・・お前、それマジで言ってんの?!これから転校生が来るっていう一大ビッグイベントがあるっていうのにか?!」
達彦は匠の肩に手をかけ、回りを確認すると、「転校生ってどんな奴かな?」と転校生に興味を示していた。
それに対し、匠はウザそうに、「・・・・・・どんな奴でも別にいいよ・・・・・・。」と心底どうでもよさそうだった。
「・・・・・・ったく、つれないぜ。俺がこうしてお前の興味を引こうとしてるのに・・・・・・(泣)。」
「どうせお前のことだ、転校生の情報なんて既に全部揃ってるんだろう?」
そう匠はツっこむと達彦は、所在なさげに、
「むっ、いやそうだが・・・・・・匠、お前は夢が無いな・・・・・・。いや、思い出の女の子を追い求めてるから、あると言えるのか?」
「ちっちがうっつーの!あの子はきっといるはずだから・・・・・・。」
そう匠が慌てると達彦はガンマの気配にいち早く気付き、「はいはい、ガンマが来っから戻るわ。自己紹介くらい聞いてやれよ?」と言って席へ戻った。

ガンマこと岸間先生はHRを始めると、転校生に「入って来なさい。」と合図した。
そして、匠は入ってきた転校生達を見てあ然とした。
「真弓と美咲か!?」
その瞬間、
「えっ、たっくん!?」
「・・・・・・信じられない、たっくんだよね!?」と言い、、二人は匠に抱きついてきた。
「たっくん~、会いたかったよ~!!」
「お久しぶりです、たっくん!!」
匠を今にも絞め殺さんとする勢いで抱きついている元気いっぱいなツインテールの子は美咲で、すぐに自分の行動に気付き、恥ずかしさを隠せなくても手を放さないストレートに髪を伸ばしている子は真弓である。
彼女達は双子でもある。また、真弓は姉であるからか、礼儀正しく、美咲は姉に対する信頼があるからか、活発である。
ちなみに匠とは10年程前までは幼馴染であり、両親の仕事の都合でこの川越市を離れ、10年ぶりに戻ってきたのだ。
さて、この双子が抱きついている状況は本来なら匠にとっておいしい状況なのだが・・・・・・
美咲が匠の首を絞めつけているが故に、匠はそれどころではなかったのだ。残念ながら・・・。
さらに、あまりの出来事にショックを受けたクラス中の奴ら(特に男子)が達彦を中心として、匠のいる状況を許さなかった。
「た~く~み~、てめぇ、ただで済むと思うなよ!ってゆうかさっさと離れやがれ、羨ましい奴め!」と本音を漏らしながら、匠にその怒りをぶつけた。
この後のいざこざはなかなか収まらなかったが、ガンマが「・・・・・・さっさと静かにしろよ!ったくいつまでもくっちゃべってばっかいるんじゃねぇよこのバカ!」と一喝し、騒ぎはおさまった。

自己紹介が終わり、双子の席は匠の両隣になったが、達彦が自分の席の隣りも空いていると主張したが、彼の主張は知り合いの方がいいだろうという理由で空しく散った。
「これからよろしくね♪たっくん。」
「よろしくお願いします、たっくん。」
この波瀾万丈な新しい季節の幕開けに匠は不安を覚えずにはいられない。
ヤローどもは「打倒匠」と一致団結をして、時折「匠殺す。」などとも聞こえ、双子は匠にべったりだからだ。
匠はただ「たっくんって言うな~!」としか言えなかった。

~第一章~DOKIDOKI×2な勉強会

双子が転校してから二ヶ月が経った。
「色々あったなぁ~。」
匠がそう言うのも無理はない。というのも今、この状況を見ればわかる。
匠の隣りには双子がいるのだった。まぁ、早い話、匠と双子は同棲(同居)生活を送っているのだ。
匠は元々、一人暮らしだったが、実家の母から電話があり、双子と共に住むよう命じられた。
しかも応じない場合は仕送りをやめると脅された。匠もさすがにこの帰宅してからの出来事にはあきれてものも言えず、双子を受け入れるしかなかったのだった。
それからというものの、匠は至れり尽くせりな毎日を送ることとなった。
食事を共に摂り、一緒に登校するのはいいが・・・・・・双子は匠と共に寝、あまつさえ一緒に風呂に入ろうとする始末だった。
そして二ヶ月が経った今、匠は新たな岐路(危機)に立っていた。
追試だ。匠と美咲は期末テストで赤点を取ったため、急遽、達彦・真弓による勉強会が開かれ、夏休み保護が目的だ。達彦曰く、「お前はどうでもいいけど、美咲ちゃんという花がなくなるのはやだからな。」とのことだった。

そうして、勉強会は始まり、真弓は匠を、達彦は美咲を担当することになった。
「まぁ、あいつはああ見えて以外とおくてだから大丈夫だろ。」などと思い、真弓の講義に集中した。
真弓の授業はガンマなんかよりはるかにわかりやすく、匠はどんどん知識を吸収していった。
だが、落とし穴もあった。あまりに真弓の声が心地よかったために寝てしまった。
真弓は「全くもう、たっくんは~・・・・・・。」
とぼやいていたが達彦と美咲が買い出しに行って、今は二人きりだと気付くと、匠の頬に、そっと口付けをした。
匠は夢を見た。真弓がキスをする夢だった。しかし、それは現実だった。匠が気付くことはないが・・・・・・。
そして、勉強会はお開きとなった。
その後、匠も美咲も試験に合格し、補習はなくなった。

~第二章~悲しみのバラード、明日への喜び

「海だ~~~!!」
達彦が叫んだように、夏休みを利用して海に来た。達彦が提案をし、匠に双子を誘うように言ったのだ。
匠も達彦の迫力に負けて、「かったり~。」などと言いながらも達彦が代金を全部もつというので双子を誘ったのだった。
着替え終わった双子が出て来た。匠も達彦も目を奪われた。美咲はノースリーブの水着で、真弓はビキニだったのだ。
また、双子の反応は、美咲は「あ~、エロい目してる~。」とケラケラ笑い、真弓は「・・・・・・あんまり、見ないで下さ~い。」と心底恥ずかしそうだった。

そうこうして、海を満喫し、夜になった。
真弓が外に立っていた。暗闇の中、月明かりの下、真弓はその長い髪を風にたなびかせていた。
「・・・・・・何か用か?真弓。」
匠が最初に口を開いた。
「置手紙、見たぞ。」
だが、真弓は口を聞かなかった。
「・・・・・・何か言ったらどうだ?」
そう言って匠が真弓のすぐ近くまで来た時、ことは急に起きた。
匠は目を見開いた。あまりの出来事に、何もできず、ただなすがままになった。
なってしまった、ならざるをえなかった。
匠は我に返ると、真弓を引き離した。
「・・・・・・何のつもりだ、真弓!?」
だが、真弓は答えるどころか泣いていた。
「苦しいの・・・・・・。」
真弓はポツリともらした。
「え?」
匠はそう言い返した。
「なんで、なんで気付いてくれないの!?、こんなにも苦しいのに、辛いのに・・・・・・、
最初は側にいてくれるだけでいいと思ってた。でも、違かったの・・・・・・。
こんなにも近くにいるのに遠くに感じるなんて思わなかったから。
もう、駄目なの、切ないの、心が壊れそうなの。だから、さようなら。」
真弓は走り去っていった。匠には引きとめることができなかったのだ。
そして、その愛故に苦しんだ真弓の思いを表すかのように、雨が降り出していた。
そんな匠と真弓のやりとりを達彦と美咲は見ていた。
「・・・・・・お姉ちゃん・・・・・・。」
美咲はただ、ぼやくだけだった。
しかし、達彦は匠の方へ歩いて行き、匠をぶん殴った。
「・・・・・・匠、お前このままでいいのか?違うだろ!?今、お前は何をするべきなんだ!?
真弓さんを追いかけるべきなんじゃないのか!?
今、彼女の心がつぶれそうなら、お前が支えてあげるべきなんじゃないのか!?どうなんだよ、匠!?」
達彦は匠に言い放った。
「・・・・・・そうだな、そうだよな、こうしてる場合じゃなかった!ありがとな達彦!」
そう言って匠は走り出した。
「やれやれ、仕方ない奴だ、でも振られちまったなぁ~。」
達彦は言う。それが自分に対してか、それとも美咲にかはわからない。
美咲も「・・・・・・うん・・・・・・。」と言うだけだった。
匠は走る、真弓を探して、土砂降りの中を。
真弓がいた。
そして、匠は真弓を後ろから抱き締めた。
「・・・・・・真弓・・・・・・、よかったぁ~。」
「え、どっどうして!?」
「どうして私なんか追いかけて来たの!?」
匠は肩で息をしながら、でもしっかりと真弓を抱き締めて言った。
「俺、やっと気付いたんだ、自分の本当の気持ちに。真弓のことが好きなんだ!幼馴染としてじゃない。一人の女として!」
「うっ嘘・・・・・・。」
真弓はとまどいを隠せない。
「嘘じゃない!君がいなくなってから、わかったんだ。君が俺にとってどんなに大切な存在だったか・・・・・・。
返事を聞かせてくれないか?」
「・・・・・・はい、たっくん。」
そう言って真弓は匠に抱きついた。その顔は涙を浮かべながらも真夏の太陽のように笑っていた。
「幸せにして下さい、たっくん!」
「ああ、いつまでもな。」
雨雲から光が差し込む中、二人は誓いのキスをした。

~第三章~その祝福を手に

夏休みの後、匠と真弓が公認のカップルとなったことが既にクラス中に知られていて、祝福と制裁を受けた。
美咲と豊基はお互いに好き合っているけど今一歩、踏み込めていないようだ。
それでも、うまくやっているから末長くやっていくだろう。
「大切な人を見つけた。一度は手放しかけたけど、もう二度手放さない。」
そう誓い真弓と共に進む匠だった。

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最終更新:2007年06月01日 23:14