二〇〇七年八月某日

 見慣れない学制服に身を包み、温和な表情に微笑を称えた男子学生が近付いてくる。道端で座り込み、タバコをふかしていた不良学生たちは、物怖じもせず近付いてきたその学生を無言で睨み返した。彼らの威圧的視線を受けた学生は、その場で立ち止まり、しかし、微笑みは絶やさぬまま口を開いた。

「すいません。少し道に迷ってしまったのですが、お尋ねしてもよろしいでしょうか?」
「あァん? 道だと? どこ行きてぇんだよ」

 不良学生たちはああ見えて意外と親切だ。彼らとて狂人ではないのだから、触るもの皆、傷付けるわけではない。

「私立希望崎高校なのですが」
「あァ……、それなら、そこの道を曲がってスグだ。……って、オイ、てめえ、まさか行く気じゃねえだろうな!」

 学生服の青年は穏やかに答える。

「そのまさかですよ」
「バ、バカやろう! てめえ、そこの看板が見えねえのか! 『この先、DANGEROUS! 命の保証なし』 この先は戦闘破壊学園ダンゲロスなんだよ!」

 それを聞いて、青年はフッと笑った。

「ダンゲロス……、それでも僕は行かなければなりません。なぜなら、僕は……」
「て、てめえ……。ま、まさか!?」

「僕は、転校生なのですから」


 ――第三次ダンゲロス・ハルマゲドン開幕――