【4】


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ふたりが枯れ木棒をほうりなげながらすすんでいくと、おおきな湖がみえました。
湖の近くには、ちいさな小屋がありました。

「枯れ木棒、枯れ木棒、黒い男はどこにいる」

たおれた棒はぴったりと、その小屋にむかってたおれました。

「お姉ちゃん、きっと小屋の中に男はいるよ」

「そうね、ジーク。ここまで来るのにだいぶかかったわ。無駄足だったら小屋に
 火でもはなちましょう」

ジークリンデは小屋の戸をドンドンとたたきました。
カツカツと靴の音がしてひらきます。
あらわれたのは、上から下まで黒づくめの男でした。

「こどもがふたり、わたしに何のようかな」

ジークリンデとジークフリードはこたえます。

「わたしたち、お母さまの病をなおせる人をさがしているの」

「おじさん、なおしかたを知っていますか。それならおしえてください」

ふたりのことばに、男はうんうんとうなずきます。

「まだちいさいのに感心なこどもたちだ。わたしがちからになれるなら手をかそう。
 だが、わたしにもちからをかしてはくれないかね」

そのことばをきいて、ジークリンデはききました。

「こどもの手をかりるなんて、ほんとにたよりになるのかしら」

「わたしは薬をつくるのはとくいだが、そのほかの事はにがてでね」

男はわらいながら、湖をゆびさします。

「この湖のはんたい側に森があるんだが、そこに妖精たちがすんでいる。そいつらに
 わたしの馬がぬすまれてしまったのだ。どうかそいつをとりかえしてはくれないか。
 お礼に、お母さんはぜったいになおすと約束しよう」

「馬と人と、どっちがたいせつなのかしら」

ジークリンデは、かかとをふみならして舌打ちしました。
ジークフリードは、男にたずねます。

「どうして、僕たちなんですか」

「こどものほうが、やつらのあいてがしやすいだろう。大人があいてだと、あいつらは
 姿をみせようとはしないのだ」

ジークリンデは天をあおいでいいました。

「ああ、なんてことでしょう。馬をぬすまれるマヌケとは。そしてそのマヌケに
 たのまれて、使いにだされる私たちはなんて大マヌケなんでしょう。
 きっと馬も鹿もわからないで、とりかえしてくるのだわ。棒につまずいて湖にでも
 落としてやるのだわ。さっさといきましょう、ジーク」

ジークリンデはジークフリードの手をひっぱって小屋からでていきました。


小屋から出て、ふたりは言われたとおりに歩きました。
すると男のいったとおり、森のちかくまできました。
鳥の声や木々のざわめきが、中からきこえてきます。
そとからは妖精の姿はみえませんでした。

「やっぱり中に入るしかないのかしら。いくわよジーク」

「やっぱり入るの、お姉ちゃん」

「ここまで来てなにをいうの。あんたを置き去りにしてでも私はいくわよ」

ジークリンデは手をはなしてなかにはいっていきました。
あわててジークフリードはそのあとをおいかけます。

ふたりがずんずんと中へすすんでいくと、なにやら話し声がきこえてきました。
その声は、森の奥からきこえてきます。
みると、じぶんたちとおなじようなこどもたちが遊んでいます。
ジークリンデはガサガサと草むらをかきわけ、かれらのほうへむかいました。
こどもたちは、ジークリンデとジークフリードをみてわらいました。

「ニンゲンだ、ニンゲンがいるぞ」

「しかもこどもだ、めずらしい」

ジークリンデはいい返します。

「あんたたちも子供じゃないの」

こどもたちはわらながらいいました。

「オレタチ妖精、ニンゲン違う」

「妖精オレタチ、おまえらニンゲン」

そういって口々に囃し立てながら、ジークリンデとジークフリードの周りをはしります。
ジークリンデは、妖精たちにむかってたずねました。

「だったら話がはやいわ。あなたたち、馬をぬすんだことがあるでしょう。
 それをかえしなさい」

妖精たちはそれをきいてこたえました。

「馬だって? ああぬすんださ」

「でも今は、オレタチのもの」

「ただで返すわけには、いかないね」

「おふたりさん、馬のかわりに何くれる?」

ふたりの周りをくるくるとまわりながら、囃し立ててきます。


ジークリンデは、腕をつきだしてこたえました。

「そうねぇ。あなたたちの顔面に、拳でもくれてやろうかしら」

つかつかと、妖精たちの前へとあゆみよります。

「おおこわい、痛いのはイヤだね。じゃあゲームで勝負といこう。おまえらが勝ったら
 馬を返してやろう。でも負けたらオレタチの召使いにでもなってもらおうか」

「ええ、いいわ。召使いにでも奴隷にでも、好きにするがいいわ。そのかわり、
 あたしたちが勝ったら、ちゃんと返してもらうわよ」

「ああ、いいとも。そっちこそ、あとでイヤとはいうなよ」

「もちろんよ。なんでもいいから、さっさとはじめなさい」

姉の言い分に、弟は顔が真っ青になりました。

「お姉ちゃん、そんな事言って大丈夫なの」

「大丈夫よ、ジーク。負けなければいいのよ」

しどろもどろになるジークフリードでしたが、周りはすでにやる気十分です。
ジークリンデとジークフリードは、馬をとりかえすため、妖精たちと勝負することになりました。

「で、いったい何の勝負をするの」

「あわてるな、まずは水切りでいこう」

そういってふたりについてくるよう、うながします。
ついていった先は、湖のほとりでした。
妖精は足元にある石ころをつかんでいいました。

「水面を石で切って、遠くまでいったほうの勝ちだ。さあ、だれがやる?」

「わたしがやるわ」

ジークリンデはつかつかと前に出てこたえました。
妖精はニヤニヤとわらいます。

「お嬢ちゃんが相手か。さてさて、どこまで飛ばせるのやら」

「ぐだぐだ言ってないで、さっさと始めるわよ」

「ああ、いいとも。勝負は三回、いちばん遠くまで飛ばした方の勝ちだ」

「わかったわ」

ジークリンデと妖精は、湖のほとりにたちました。
他の妖精とジークフリードは、それを遠巻きにながめています。


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