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作者:ID:hVEbvsZ3

青空から照りつける日差しが砂浜を焼く。
人々はその熱さを物ともせず、思い思いに興じていた。
水辺で戯れる者。
日陰で涼んでいる者。
砂浜で球技を楽しむ者。
今は夏、夏本番。海日和といった日だ。

「いいねえいいねえ。この風、この肌触りこそ海水浴よ!」

美作 創は、身体全体で心地良い風を感じながら大きく伸びをした。
タンクトップと短パンのスポーティーな服装。露になっている肌は健康的に引き締まっている。
着痩せする胸を見せつけるかのように深呼吸すると、美作は振り返った。

「いやー、まさか婆ちゃんが急に海行こーなんてねー、意外だわー」
「そうか」

美作の太陽のような笑みをうけて、ハルトも笑った。
こちらは白いチューブトップに花柄のパレオ。日差しがキツイのかサングラスをかけている。
缶コーヒーを開けると、腰に手をあてて嚥下する。
ごくり、ごくごくり。
常人なら躊躇する味をものともせずに一気に飲み干した。

「たまにはよかろう」

空き缶をくずかごへ放ると、二缶目へと手を伸ばす。
その一挙一動が様になっている。
少女の外見にはふさわしからぬ威厳と態度。
夏真っ盛りの海岸に、氷片が現われたかのようだ。
そんな女傑達にさえない男が声をかけた。

「師匠、パラソルの設置が完了しました」
「うむ」

ハルトは、缶コーヒーをテーブルに置くと、ビーチチェアーに横になった。
男は恭しく跪くと、ハルトのサンダルを足から脱ぎ揃える。
そしてバッグから扇を取り出すとハルトをあおぎだした。
その一挙一動仕えるのが様になっている。
ご存知我らが倉刀 作である。海パン一丁のシンプルないでたち
しかし、このような場所に来ていても帽子を脱がないのは、彼のアイデンティティといった所か。

「泳がないの、婆ちゃん?」
「今は良い」

チラリと美作を一瞥し、ハルトは微笑む。

「……泳ぐばかりが海では無い。その身で感じろ」
「感じろ、ねー。了解了解、倉刀は?」
「僕は良い」

すっく、と立ち上がり倉刀は財布を握り締める。

「小腹が空いたのでな、何か買ってくる。何かいるか?」
「んー?」

少し考え、美作はバンバンと倉刀の肩を叩く。

「ソフトクリーム! バニラとチョコのダブルね!」
「了解……師匠は?」
「……ふむ」


逡巡し、がばりと起き上がる。

「焼きソバ、だな」
「了解しました」
「塩焼きソバでは駄目だ、ちゃんとソースがかかっている奴だ」
「御意」

命を受けた倉刀は、まるで一陣の風のように駆け抜けた。
まっすぐ海の家へと歩を進める。

海の家は盛況だった。
幾人かが並んで順番を待っている。
倉刀は注文を両手に持つと、そこから出ようとした。

「きゃっ!」
「わっ!」

身体を捻って出ようとした時に、ちょうど少女が倉刀の前を横切った。
お互いに足を引っ掛ける形になり、バランスを崩す。
何とか倉刀は持ちこたえるも、少女は派手に転んだ。

「こ、これは失礼!」

慌てて手を伸ばすが、少女は目に涙を浮かべて叫んだ。
散乱した食べ物を見回して地団駄を踏む。

「もー、なんなのよ! もー!」
「こ、これは失礼!」

うろたえる倉刀を尻目に、少女はギャンギャンと喚く。
その喧騒に周りの客は遠巻きに見物し始める。
少女を宥めようと、倉刀は声をかけた

「いや、僕が悪かった。弁償するよ」
「弁償……?」

弁償、という言葉を聞き少女は泣き止んだ。
よくよく見ればくりくりとした瞳が可愛らしい少女だ。

「弁償してくれるの?」
「ああ、武士に二言は無い」
「うん!」

にっこりと、満面の笑みを浮かべる少女。
年相応の愛くるしさを感じさせる。

「じゃあいいよ! お兄さん!」


倉刀は財布の中を見て溜息をついた。
先ほどまであった小銭が、底をついているのだ。

(……すごい物を、見た)

注文プラス詫び料。
少女はそういって海の家のメニューを次々と注文したのだった。
たこ焼き・フランクフルト・焼きソバ・お好み焼き・ソフトクリーム・etcetc……。
その小さい体の何処に入るのかは理解しがたがったが、少女は平らげたのだった。
倉刀は師匠の注文分を先に頼んでおいて良かったと、神に感謝した。
腹が脹れてご機嫌になった少女は、ブンブンと手を振って倉刀に別れを告げたのだった。

「またねー、お兄さん!」
(……出来ることなら会いたくないですがねぇ……)

クリーシェ。
その恐るべき少女の名を、倉刀はひと夏の思い出と共にしっかりと胸に刻んだ。

「……おや?」

師の場所に戻ってみると、美作の姿が見えない。
おそらくじっとしていられずに、どこぞへと遊んでいるのだろう。
倉刀はソフトクリームを日陰に置くと、ハルトへ声をかけた。

「師匠、焼きそばを買って来ました」
「……ご苦労」

手を伸ばし受け取るハルト。
その傍らには、空き缶で作ったオブジェが出来上がっている。
どうやら結構待たせてしまったらしい。
ハルトは優雅に焼きソバを食べ終わると、倉刀に瓶を渡した。

「倉刀、日焼け止めの油を塗ってくれないか」
「ぶっふぉ!」

焼きソバを吐き出し、むせる倉刀。
そんな倉刀をキョトンとした顔でハルトは見つめる。

「……どうした?」
「い、いいい、いえいえなんでもないです」

ごくり。
生唾を飲み込み、倉刀は師の言葉を反芻した。

(今……師はなんと言われた!? 油を……塗れと!? 俺に、俺に!?)
「背中は上手く出来ないのでな……よろしく頼む」

そういってハルトはチェアーに寝そべり、目を閉じる。
倉刀はその白魚のような肌に吸い込まれるように、呆然と見つめていた。

「……どうした? 早くしろ」

いっこうに進まぬ作業に、ハルトは目を瞑ったまま問いかける。
倉刀はその言葉に、雷に打たれたかのように跳ね起きた。

「は、はい! ただいま! 一分の隙もなく濡らさしていただきます!」


麻薬中毒者のように手を震わせ、倉刀は掌にローションを垂らした。
目の前には、うつ伏せに寝転がる師匠。
チューブトップのブラを外して背中が露になっている。
その白磁器を思わせるかのような美しいラインに手を触れるのは躊躇われるが、
命であるならばしかたがない。
夏の暑さか、はたまた別の仕業か、倉刀の呼吸がどんどん荒くなる。
対するハルトはそんな事おかまいなく、すやすやと寝息を立てている。
その美の顕現に触れようと、倉刀は手を伸ばす。

―――ぴと

うなじから肩甲骨のラインにむかって左右、交互に油を伸ばす。
掌から師匠の感触が、温かさが、倉刀の身体へと伝っていく。

(桃~~~~源~~~~郷~~~~~ッッ!!)

啼いた。倉刀は啼いていた。
主に仕えている喜びが、ハルトの側にいるという喜びが、倉刀の身体を、股間を熱くする。
随時油を垂らし、円を描くように背中全体を濡らしていく。

「ほう、中々いいぞ倉刀」
「はっ! ありがたき幸せ!」

気合いを入れ、水蜜桃のようなヒップの下着ギリギリまで伸ばす。

(よし、次は下半身だ)
「……何をしている」
「ひょ?」

ハルトはトントンと横身を叩いた。

「脇の方もしっかり塗らんか」
「ぱふぁ」

倉刀は情けない声を上げた。

(わ、脇の方だってーーーーーっ!?)

ハルトはうつ伏せになったままブラを外している.
つまり、ついうっかり胸前部を触ったとしても不可抗力―――

(―――ぼ、僕は何を考えているんだ!?)

ごくり。
胸に布を押し付けられた格好になっているが、少女から大人に羽ばたこうとするラインが
ここからでもうっすらと想像される。

「早くしろ、倉刀」

早く、早く、早く―――

師の言葉が倉刀の頭の中で響き渡る。
そうだ、これは師の命令で行っているものであって、なんら問題の無い行為。
何を躊躇う必要がある? まったくの……合法。

―――ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……。

倉刀は生唾を飲み込むと、指先に油をふんだんにまぶし、ワキワキと指を動かした。
そして、ハルトのわき腹へと油を塗る。
弧を描くように伸ばし、前面へと―――!


「駄目ーーーーーーーーーっ!」
「あべし!」

次の瞬間、倉刀は首筋に凄まじい衝撃をうけて吹っ飛ばされた。
人が座ったままの体勢で宙を飛ぶのは、めったに見られぬ光景であろう。
砂をかぶりながら振り返ると、そこには顔を真っ赤にした美作が居た。

「何やってんのさ!」

美作は怒りを隠さずに叫んだ。

「倉刀にオイルを塗らすなんて! 婆ちゃん何かんがえてんのさ! 孕んじゃうよ!
リアル魔法使いの童貞パワーで婆ちゃん孕んじゃうよ!」
「……お前は何を言ってるんだ」

倉刀は口から砂をこぼしながら立ち上がる。
これも邪な考えを抱いた天罰というべきか。

「ささ、女同士なら問題ないよ! 婆ちゃん今度は下は私がやるようふうふふふふ」
「いや背中はもうやってもらったのでな、あとは私でやる」
「遠慮なさらずにうふふふふふふ」
「いや気にするなあはははははは」

手四つの体勢でギリギリと乙女と少女ががっぷりと組み合っている。
通りかかる人は、物珍しそうに眺めて去っていく。
倉刀は溜息をつき、失笑する。

「やれやれ……泳ぐばかりが海では無い、か。……理解した」


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