作者:◆NIKUcB1AGw
「よし、更新完了。執筆に戻るか」
深夜の自室。俺はパソコンから自分のブログを更新し、一息ついていた。
今日の俺は、実に調子がいい。執筆スピードがいつもの三割増しといったところであろうか。
これなら、予約期限をたっぷりと残してSSを完成させることが出来そうだ。
まあ、もとより予約期限を使い切ったことはまだないが。
ん? ちょっと待て。俺、誰に向かってこんな説明してるんだ?
これじゃまるで……。
「SSの一人称視点みたいだ、か?」
突然、部屋の中に俺以外の声が響く。しかも、どう考えたって家族の声じゃない。
慌てて振り向くと、そこにはゴスロリ服を着たブロンドヘアの幼女が立っていた。
……あー、何だ。そろそろ寝なくちゃまずいか。調子がいいからって無理して大変なことになってもあれだしな。
しかし、どうせ幻覚を見るなら巨乳のお姉さんにしてほしかったところだ。
kskロワ住人だからって、誰も彼もがロリコンってわけじゃないんだからな。
「現実逃避するな」
いや、するわ。どう考えても怪奇現象だもの、これ。
「まったく、さんざん非現実的な世界を書いてきながら、反応がこれか。情けない」
いや、書くのと実際に起きるのとでは別物ですから。夜中に突然幼女が自分の部屋に現れるとか、どこの中二病ですか。
「そんなにわらわを幻覚にしたいか。何なら、キャメルクラッチでもかけてやろうか?
痛かったらさすがに幻覚じゃないとわかるじゃろ」
どうせならマッスル・スパークぐらい見せてやろうという心意気はないのか。
「無茶言うな。空中であんな複雑な関節技、かけられるわけがなかろう。
それに、この部屋では天井の高さがまったく足りんわ」
あ、通じた。
「キン肉マンは全巻読破しておるからな。ちなみに、好きなビッグボディチームの超人はペンチマンじゃ」
な……! こいつ、通だ! 「好きなビッグボディチームの超人は?」と聞かれたら、10人中9人は「レオパルドン」と答えるはず。
それをあえて先鋒のペンチマンとは……。貴様、ただ者じゃないな!
「深夜に他人の部屋に出没する幼女が、ただ者のはずなかろう」
いや、そりゃそうだけど。で、結局あんた何者?
「何じゃ、まだわからんのか? わらわはS・ハルトシュラー。創作発表板の住人全てを見守る者」
……。よし、わかった。帰れ。
「なんでそうなる」
リアクションに困る。以上。
「何じゃ、冷たいのう。わらわの名前をブログで出した奴がいるというから、わざわざ会いに来てやったのに」
いや、そう言われても本気でリアクションに困る。単にいいタイトルが思い浮かばなくて、今日一番頭に残ったフレーズを使っただけだし。
「適当じゃな」
うっさい、ボケ。
「ほう、わらわに向かってボケとは、よく言ったものじゃ。わらわの魔王としての力、見せてやろうか?」
あー、すいません。とにかくすいません。とりあえずここは謝っておくに限る。
所詮超常現象の前に人間は無力だ。
「まあいい。とりあえず、今日はこの辺で勘弁してやろう。これからも、創作に励むのじゃぞ? じゃあの」
あ、帰るんだ。む、何だ? 急に頭の中が真っ白に……。
「あれ?」
おかしいな、記憶が曖昧だ。ブログを更新してからのことをよく覚えてない。
寝ちまってたのか? なんか奇妙な夢を見た気がするが……。思い出せん。
まあいいや。とにかく、今日はもう寝た方が良さそうだな。
この季節に、こんなところで熟睡したら確実に風邪引くし。
そんなわけで俺はSSを保存した後パソコンをシャットダウンし、ベッドへと向かうのであった。
完
※もちろんフィクションですよ
最終更新:2012年05月18日 03:28