第三話「別に、あの者を倒してしまっても構わんのだろう?」

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第三話「別に、あの者を倒してしまっても構わんのだろう?」」(2013/03/21 (木) 14:23:48) の最新版変更点

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[[第二話 まさかの競演]] これは本編より数か月前、波洵がまだ身勝手に動いていた時の話である・・・ 水銀の蛇「ォォォォォォォオオオオオオオ!」 この世ならざる異空間で男の咆哮が響き渡る。 「Ira furor brevis est.Sequere naturam!」 相対する者の周囲で爆発が起こる。しかし、それは爆発といえど超新星爆発。恒星がその一生を終える時に起こす大規模爆発である。生身の人間ならば何者にもこの劫火の受けて生き長らえる術はない。しかし、 波洵「・・・」 敵対者は健在していた。身体、衣服共に傷一つ、煤の一つも付いていない。いったいこの者はなんだろうか?いったいどうすればあの劫火を免れるのか・・・そんなことに一瞬、僅かばかり意識を逸らした刹那、 水銀の蛇「・・・!」 拳が飛ぶ。寸でで避けた水銀の蛇の顔を僅かに掠め、その拳は空を切る。 水銀の蛇「(いけないな、悪い癖だ。今このような敵と戦っているというのに益体のないことを・・・)」 続き第二波、第三波の拳を躱し、水銀の蛇は距離をとる。そして、 「Sic itur ad astra. Dura lex sed lex.!」 グレート・アトラクター。圧倒的質量が敵に降り注ぐ。この衝撃に耐えられる者はいない。そう豪語してきた。しかし、 波洵「・・・」 圧倒的超重力の衝撃に晒されてもこの者は屈しない。その顔は僅かばかりの疲労の色さえ見れない。 水銀の蛇「(これも未知か・・・だが、今ここで屈するわけにはいかない。我が女神のために、そして・・・)」 引き続き次の攻撃のための詠唱に移る。これも効かぬとは思うが、僅かばかりの足止めになればいい。元よりこの身はただそれだけの為に出しゃばってきたのだ。 水銀の蛇「(我が息子の為に・・・)」 ~数時間前~ 日曜日の昼下がり、冬であるにもかかわらずそれなりの気温を保っているこの時間、住宅街を歩く少年少女たちの姿があった。 蓮「つうか、みんなもうあの写真持ってないよな?」 香純「もってないよ・・・うぅ、あれお気に入りだったのにー・・・」 螢「私ももう持ってないわよ。こんなことなら焼き回ししておけばよかった・・・」 ルサルカ「あのレン君、とってもかわいかったのにぃ・・・」 玲愛「藤井君はひどいね。乙女の宝物を焼いちゃうなんて・・・」 蓮「俺の子供時代の女装写真がいったいなんで乙女の宝物になるんですか!」 司狼「でも、なかなかにいい出来だったぜ。お前の親父、いい趣味してるなぁ・・・」 蓮「あんな変質者を褒めるな!そしてみんなも頷くな!」 螢「そういえば藤井君、あの写真が原因で家を出て寮暮らしになったんだっけ?」 蓮「ああ、そうだよ。あのクソ変質者のせいでほんとに嫌な思いをしたからな。もう顔も見たくない」 マリィ「レン、カリオストロもほんとは悪い人じゃないから許してあげて?」 蓮「マリィ・・・、いやでもやっぱり許せない。全部処分したとはいえ、あんな写真みんなにばら撒いて」 司狼「おうおう、この色男、彼女の一言でちょっと許そうとしたぞ?」 エリー「惚気ちゃってるねぇ」 蓮「司狼ー・・・!」 完全に処分したと藤井蓮は思っていたが実はコズミック変質者は幼少時のある男の子にも写真を渡していた。今は掃除屋を営んでいるある漢に。そして、その漢は今もなお、写真に写る男の子を少女と信じて疑わないでいた。と、いうのをまだ藤井蓮は知らない。 蓮「とにかく俺はあんなのと仲直りなんか・・・」 蓮が言葉を紡ぎかけたその刹那、何か嫌な予感を感じた。 蓮「マリィ!!」 愛しき恋人の名を呼び自身に引き寄せる。次の瞬間、 ブォオン! 一瞬前まで彼女がいたその場に圧倒的攻撃力を持った何かが通り過ぎて行った。 一同「・・・!」 そこにいた者達は後ろから自分たち、正確にはマリィを襲って来た者の姿を確認する。浅黒い肌、小柄な背丈、金髪。一目見ればそこいらのチンピラのようである。 玲愛「・・・!」 玲愛が何かに気づいたように驚き、走り去る。襲撃者が全身から放つ殺意はこの世の者が放つにはありえないほどに強大であり、唯一の一般人である香純はその姿を確認する前にその場に伏していた。一瞬遅れて蓮がそれに気付く。 蓮「香純!」 倒れ伏した香純を抱きかかえようとするが 司狼「アホが!相手見ろばか野郎!」 司狼の怒声に蓮が正面を向く。いつの間にか全員を庇う様な位置についていた司狼が懐からデザートイーグルを抜き発砲していた。眩いマズルフラッシュと轟音が耳と目を刺激する。銃口から放たれた50AE弾は秒速460mで襲撃者に襲い掛かるが・・・ 波洵「・・・」 無表情で襲撃者は難なくそれを避ける。 司狼「チィ!」 続けざまにマガジンに装填された残弾7発の50AE弾を残らず撃つ。しかし、その悉くが躱され、電柱やゴミ箱、塀に穴を穿つ。 司狼「バケモンかよ、テメェ!」 怒声を発しながらもホールドオープンしたデザートイーグルからマガジンを落とし、再装填しようとするがその時襲撃者が動く。一瞬で間合いまで近づき、再装填を待つデザートイーグルに蹴りを入れる。 司狼「ウオオォォグァッツァ!」 司狼の体にではなく手に持つデザートイーグルを蹴られただけでというのに司狼の体は盛大に横飛びし、塀をブチ破った。 蓮「司狼!ッく!」 幸い、司狼はまだ生きているようだ。僅かに上下する胸がその証である。 蓮「櫻井、ルサルカ!司狼と香純とエリーを連れて逃げろ!」 螢「でも藤井くん、あなた一人じゃ無理よ!」 ルサルカ「そうだよレン君!一緒に戦うから!」 蓮「いいから行け!こいつはやばい雰囲気がする!早く何とかしないとみんなを巻き込んじまう!だから早く・・・!」 螢&ルサルカ「・・・」沈黙、そして「わかったわ藤井(レン)君。死んだら許さないわよ」 蓮「ああ、とっとと逃げろ。すぐ勝って戻ってくるから待っててくれよな」 螢、気絶した香純を肩に担ぎ空いている手でエリーを抱き寄せる。ルサルカ、司狼に魔術治療を施しつつ抱え、去ってく。  蓮「......ごめんマリィ。ちょっとだけ・・・」 マリィ「いいよ、いっしょにがんばろう」 蓮「・・・ありがとう」 マリィの姿が消える。 蓮「<Yetzirah>-時よ止まれ お前は美しい-」 蓮の右腕に断頭のギロチンが顕現する。 蓮「さぁ、来いよ。今すぐぶっ殺してやる」 波洵「・・・」 襲撃者の視線が蓮の右腕、ギロチンに集中する。これを恐れているのか?銃を恐れずに躱した男が?そんな事を考えていた瞬間、 蓮「グァァァァ、グ!ゲハァ!」男の拳が鳩尾に直撃する。しかし、それだけでは終わらない。足、腕、胸・・・ところ構わず男は拳と蹴りを入れてくる。 蓮「(クソ!これじゃあ・・・)」創造を使う隙すら作らせない圧倒的力。その前に蓮はただその拳と蹴りを受けるしか他になかった。 蓮「(何とか隙をついて距離を空けないと・・・!)」しかし、そんな算段はあっけなく打ち壊される。男の左ストレートが右肩を打ち付けられる。 蓮「グッ!」持ち堪えるがこの場合は吹き飛ばされたほうが正解だったのかもしれない。なぜなら蓮の眼前には男の渾身の右ストレートが迫っていた。 蓮の見る世界が引き伸ばされる。創造を使ったのではない。人は死の瞬間、己が人生を一瞬で見るという、俗にいう走馬灯である。 蓮「(こいつは躱せないな・・・)」諦めに屈する蓮。 蓮「(ごめんな司狼、香澄、螢、ルサルカ、先輩・・・)」 蓮「(マリィ・・・)」その拳が蓮の顔面に突き刺さるその刹那 ギィン!何かを弾く音が聞こえた。そして、ザク! 地面に鋭い音を立てて何かが刺さった。よく見ればそれは何の変哲もない段ボールであった。男はこれを弾くために右手に捉える標的を蓮から段ボールに移し変えたのだ。 蓮「これは・・・」しかし蓮にはここで段ボールが飛んできた意味を知った。なぜこんな物が投げつけられたのか。そして誰が投げたのかを・・・ ???「マルグリットをびこ、護衛していたらこんな者に会うとはな」 ウザったらしい口調だがいつもよりかはあまり不快感を感じない。その声の主がいつの間にか自分を抱え男から遠ざけていた。蓮は顔を上げ、自分を抱える男の顔を見上げる。 蓮「親父・・・」 水銀の王「久しいな我が息子よ。立てるかな?」 この状況でも険しくない表情を見て苛立った蓮は何も言わず自身を抱えていた手を振り払い自らの足で立ち上がる。 水銀の王「結構。早速だが我が息子、そしてマルグリット。すまないが頼みを受けてくれないか」 蓮「なんだって?」 水銀の王「この者をこのような行為に走らせた者がいる。テレジアが何か関連しているようだ。彼女から問い詰めてもらいたい」 蓮「先輩が・・・?そんなの嘘に」 水銀の王「このような状況で嘘は言わん。早くゆけ。そして真相を聞いてくるのだ。」 蓮「だけど・・・」襲撃者に目をやる蓮。それに対し水銀の王が答える。 水銀の王「ああ、あれなら私が引き受けよう。実質その為だけに出しゃばりに来たのだから」 蓮「......大丈夫なのか」 水銀の王「私を誰だと思ってるのかね。」鼻を鳴らす水銀の王。 蓮「ああ・・・、そうだな」水銀に背を向ける。 水銀の王「ああ、それと一つばかり、確認してもよいかな?」 蓮「?」僅かばかり振り返る。 水銀の王は少しだけ顔だけ振り返りつつ、 水銀の王「別に、あの者を倒してしまっても、構わんのだろう?」と口にした。 蓮「・・・ああ、やっちまえ」蓮はその覚悟を鼓舞し、 水銀の王「では、期待に応えるとしよう」水銀の王はそれに応える。 蓮「美麗刹那・序曲!」創造を使い自身を加速させ一番先にこの場を去って行った玲愛を探しに行く。 水銀の王「さて、ここを通させはしない。マルグリットを汚そうなどという者は私が許さない」 男が身を屈める。水銀の王が両の手を広げ自身と目の前にいる男を並行世界へと誘う。 水銀の蛇「(ここに幕は開けたり。さあ恐怖劇<グラングニョル>を始めよう)」 水銀の蛇「Acta est fabula!」 ここに開戦の号砲が響き、戦いの幕が開いた。 ~蓮side~ 蓮「先輩・・・」 公園で蓮は震える氷室玲愛を見つけた。 玲愛「・・・ッ!」 ビクッとその総身が震える。顔を上げた玲愛の顔は止まる事無く流れる涙で濡れていた。 蓮「親父が『あの男は先輩と関係してる』って言ってました。もし本当なら教えてもらえませんか」 玲愛「・・・」涙は止まるが虚ろな瞳が虚空を彷徨う 蓮「先輩!」蓮が声を荒げる。そして玲愛がついに口を開いた。 玲愛「・・・ホントは冗談のつもりだったの」まず発せられた言葉はそれだった。 玲愛「私は藤井君のことが好き。この人生で、もうあなた以上に好きになれる人はいないって、確信できるくらい」 玲愛「でも、藤井君の周りにはいつも女の子がいた。それはいいの。いつかは私が藤井君の女になってやる、って思ってたから」 玲愛「でも藤井君がマリィちゃんと付き合うって言ったとき私、胸が張り裂けそうになったの。あの時は我慢してたけど家に帰った後、凄く泣いたの」 玲愛「どうしても藤井君の女になりたい、そう思ってたらこんな張り紙を見つけたの」スカートのポケットから紙を取り出す。そこには 玲愛「『どんなものでも掃除・排除します』」 蓮「それでマリィを排除、消してくれと・・・」 玲愛「本当に冗談のつもり、自己満足のつもりだったんだよ。だけど、さっきマリィちゃんが襲われるのを見て私・・・」再びその瞳に涙が溜まり始める。 玲愛「ごめん、なさい!私、取り返しのつかないことを・・・」 蓮「先輩・・・」 蓮が玲愛の傍まで近づく。そして 玲愛「え?」 突然抱きしめられた。 蓮「俺もマリィも死なない。絶対にあいつを倒す。だから、泣かないでくれ先輩。あんたも俺の大事な・・・仲間なんだから」 玲愛「・・・ン」 蓮に強く抱き締めれ、また玲愛もそれに応えるように抱き締め返した。 蓮「先輩、俺はそろそろ行きます」 そう蓮はそう言い抱き締めていた手を放した。 玲愛「藤井君・・・こんなこと言える立場じゃないことは分かってるけど・・・」 それでも勇気をもって玲愛は藤井蓮に言った。 玲愛「藤井君、勝って」 蓮「ええ、勝ってきます」 そう応え自らの創造を発動させ蓮は己が父のいる場へと向かった。 ~水銀の蛇side~ どれ程の時間が経ったのだろうか。水銀の蛇と襲撃者波洵の戦いはいまだ続いていた。いや、これを戦いと呼んでよいものだろうか。 水銀の蛇が繰り出す攻撃はどれも規模・威力共に桁外れである。並みの聖遺物の使徒でも数え切れぬほど死んでいるであろう。しかし、 波洵「・・・」 いまだ敵は健在だ。それどころか敵はこの空間でただの一度も攻撃・回避行動をとっていない。しかし、その総身は無傷であり、疲労も感じさせない。水銀の蛇は次なる攻撃を繰り出そうと・・・ 波洵「塵が、消えて無くなれ・・・」 ついに口を開いた波洵。その瞬間、水銀の蛇の視界から波洵が消えた。次の瞬間、 水銀の蛇「ヌグガァァァァァ!」 水銀の蛇の体が飛ぶ。蛇の知る最速である白騎士よりもはるかに速い速度をもって繰り出された蹴りはただの一撃で水銀の蛇の身体を壊しかける。 水銀の蛇「グ、ハァハァハァ、クッ・・・」 しかし、それでも水銀の蛇は立ち上がり行く手を阻む。自身が愛した女神とその恋人である息子。その二人の黄昏<幸せ>を守るために。 波洵の拳が、蹴りが水銀の蛇の体を襲う。彼の総身を覆う黒円卓の制服はすでに彼の血で全身が濡れていた。そしてついに彼に終わりを告げる一撃が飛ぶ。その拳は水銀の蛇の顔に目掛けて、顔を吹き飛ばすという結末を求めて・・・ 水銀の蛇「(ああ、すまない、私はここまでのようだ。マルグリットよ、我が女神よ、そして我が息子よ、・・・生きておくれ)」 諦めが募る。彼に死を与える拳はすでにその眼前に・・・ ???「ふざけてんじゃねぇぞ、親父」 声が聞こえた。 水銀の蛇「な・・・」 死を与える拳は水銀の蛇に当たらなかった。当たる直前の刹那に救い出されたのだ。そう・・・ 蓮「あんたにはまだ写真の事謝ってもらってねぇんだ、勝手に死んでもらっちゃ困るんだよ」 水銀の蛇の息子によって。 ぶっきらぼうにそう言う息子に、水銀の蛇はしばし言葉を失っていた。 水銀の蛇「な、ぜ・・・」 蓮「俺がいちゃ悪いかよ。つうか謝ってもらうまで嫌でも死なせない。この俺がな」 息子の言葉を聞き、その親である水銀の蛇は呵々大笑した。 水銀の蛇「クク、ハハ、ハーッハハハハハ!なんだ我が息子よ、そんなことを言うためにわざわざ此処に来て私を助けたというのか!はァ、可愛すぎて女神のように抱き締めたくなるぞ」 蓮「可愛い言うな!そして抱き締めようとするな!・・・まぁいい。後でたっぷり謝ってもらうからな。まずは・・・」 水銀の蛇「ああ、まずは・・・」 蓮&水銀の蛇『まずは、コイツを倒すぞ!』 親子二人の声が重なった。 波洵「滅・尽・滅・相・・・!」 低く、だが確かな怒気を孕んだ声で波洵が応じる。 水銀の蛇「では、ここに最後の恐怖劇<グランギニョル>を始めよう。」 蓮「俺の引き立て役になれよ、このお笑い三等兵」 波洵「このうるさい塵屑どもが・・・俺の邪魔をしやがって・・・!欠片一つ残さんぞ・・・!」 三者三様の言葉を口にし、それぞれの理を流れ出す。 水銀の蛇「Acta est fabu・・・!」 蓮「Res novae――Also sprach Zarathus・・・!」 波洵「卍曼荼羅ァ――無量大」 覇吐「何やってんじゃこのバカ兄貴ー!」 波洵「グハァ!」 水銀の蛇&蓮「・・・ラ?」 突如として現れた謎の男に頭を殴られる波洵。 波洵「何してくれてんだよこの塵屑愚弟がよぉぉ!こちとら仕事中なんだぞ邪魔するんじゃねぇよォォォ!」 即座に起き上がり自身を殴った男に泡を飛ばす勢いで食って掛かる。 覇吐「仕事中ってなに人を滅尽滅相してやがるこのバカ兄貴!ガキの頃カーチャンに注意されただろうが!」 波洵「グッ・・・!いやこれは依頼なんだよ!この仕事を頼んだやつがいるから・・・」 その言葉に蓮が反論する。 蓮「あ、その依頼取り消すって依頼主が言ってたぞ」 波洵「ハァ!?」 覇吐「さ~て、今回の事はカーチャンに報告・・・」 波洵「まてやこの塵屑がァァ!その口縫い合わすぞォォ!」 覇吐「おう、やれるもんならやってみろ!」 蓮達をほっといて殴り合いの喧嘩をする二人。 水銀の王「・・・ひとまず、我々の世界へ帰ろう」 そう言い水銀の王が両手を広げる。一度瞬きをした後は彼らが元々いた住宅街であった。 蓮「・・・あの二人は?」 水銀の王「彼らなら河川敷あたりに飛ばしておいたよ」 そう答える水銀。そして蓮に背を向ける。 水銀の王「では、私は帰るよ。さすがに今回ばかりははしゃぎ過ぎたようだ」 マリィ「待って、カリオストロ」 再び姿を現したマリィが水銀の王に声をかけ、その足を止める。 水銀の王「なにかな、マルグリット?」 マリィ「ええと、ね」 少し言葉に詰まるがその言葉を口にする。 マリィ「私とレンを、助けてくれて・・・ありがとう」 穏やかな微笑みを浮かべ、マリィは礼を口にする。 水銀の王「・・・。いいや、当然の事をしただけだよ」 そういい再び歩み出す水銀の王。しかし、今度は蓮が呼び止める。 蓮「親父!その、・・・」 言葉に詰まる蓮。そこでマリィが助け舟を出す。 マリィ「カリオストロ、こんどお礼にあなたたちの家に行ってゴハン作るから」 蓮「!ああ、そうだ!今度帰ってやるからちゃんと家綺麗にしてろよ!」 水銀の王「フ、それは楽しみだ。ならば至高の食材を買っておかなければな。」 そういい水銀の王は去って行った。その顔は誇らしげであった。女神と息子を守れてよかったと・・・ 蓮「アイツ、最後までウザイ口調で・・・」 マリィ「でも、今日はカッコよかったよね、カリオストロ」 蓮「・・・まぁ次に会うときはちゃんと謝らせてやる。マリィ、そろそろみんなの所へ行こう」 そういいながら蓮とマリィは仲間達がいる所へと帰って行った。 ・・・なお、この後覇吐の報告で激怒した波洵母に波洵がフルボッコにされ、会社が前よりはまともな事業に取り組み始めたのは言うまでもあるまい - ・・・一部の水銀のセリフについては大目に見てほしい。 -- 正田卿のレギオン (2012-06-28 00:30:28) - ハイドリヒ「パクリじゃー!パクり野郎じゃー!!」 -- 名無しさん (2012-06-28 01:28:33) - …違・和・感!!こんなのメルクリウスじゃなーい!メルクリウスじゃないもん!!メルクリウスじゃないんだ!!!メル(ry -- メル専 (2012-06-28 01:57:48) - 「カッコいい水銀てどうなんだろう」って思って書いたらこんな風になってしまった。 -- 正田卿のレギオン (2012-06-28 06:28:02) - ついでに発売のテンション合わせてたらこんな風になってしまった。正直キャラ崩壊しすぎだとは思ってる -- 正田卿のレギオン (2012-06-28 06:43:27) - これが水銀汚染か… -- メル専 (2012-06-28 07:57:32) - 波旬をフルボッコに出来る波旬母って何者!? -- 名無しさん (2012-06-28 14:19:38) - ↑今はまだ詳しく言えませんが今後もストーリー絡んできます -- 正田卿のレギオン (2012-06-28 18:02:35) - 息子と同じく熱い所あるんだよなぁ。 -- 名無しさん (2012-06-28 18:42:38) - 波洵をボコボコに出来るなんてもしや覇道/求道神か?! -- 名無しさん (2012-06-29 12:06:04) - 水銀をねじ伏せる水銀母希望w -- メル専 (2012-06-30 01:00:40) - (∴)↑あんたのおかげで4話は獣殿と波旬のを書くつもりが3話afterみたいなのになりそうだどうしてくれる -- 正田卿のレギオン (2012-06-30 11:00:46) - ↑ (∴)ははは、良いぞお前は優秀な糞だ。だが、そんな横道にそれる奴は俺達の天狗道には要らないぞ。俺は俺。お前はお前だろう? -- メル専 (2012-06-30 14:45:01) #comment()
[[第二話 まさかの競演]] これは本編より数か月前、波洵がまだ身勝手に動いていた時の話である・・・ 水銀の蛇「ォォォォォォォオオオオオオオ!」 この世ならざる異空間で男の咆哮が響き渡る。 「Ira furor brevis est.Sequere naturam!」 相対する者の周囲で爆発が起こる。しかし、それは爆発といえど超新星爆発。恒星がその一生を終える時に起こす大規模爆発である。生身の人間ならば何者にもこの劫火の受けて生き長らえる術はない。しかし、 波洵「・・・」 敵対者は健在していた。身体、衣服共に傷一つ、煤の一つも付いていない。いったいこの者はなんだろうか?いったいどうすればあの劫火を免れるのか・・・そんなことに一瞬、僅かばかり意識を逸らした刹那、 水銀の蛇「・・・!」 拳が飛ぶ。寸でで避けた水銀の蛇の顔を僅かに掠め、その拳は空を切る。 水銀の蛇「(いけないな、悪い癖だ。今このような敵と戦っているというのに益体のないことを・・・)」 続き第二波、第三波の拳を躱し、水銀の蛇は距離をとる。そして、 「Sic itur ad astra. Dura lex sed lex.!」 グレート・アトラクター。圧倒的質量が敵に降り注ぐ。この衝撃に耐えられる者はいない。そう豪語してきた。しかし、 波洵「・・・」 圧倒的超重力の衝撃に晒されてもこの者は屈しない。その顔は僅かばかりの疲労の色さえ見れない。 水銀の蛇「(これも未知か・・・だが、今ここで屈するわけにはいかない。我が女神のために、そして・・・)」 引き続き次の攻撃のための詠唱に移る。これも効かぬとは思うが、僅かばかりの足止めになればいい。元よりこの身はただそれだけの為に出しゃばってきたのだ。 水銀の蛇「(我が息子の為に・・・)」 ~数時間前~ 日曜日の昼下がり、冬であるにもかかわらずそれなりの気温を保っているこの時間、住宅街を歩く少年少女たちの姿があった。 蓮「つうか、みんなもうあの写真持ってないよな?」 香純「もってないよ・・・うぅ、あれお気に入りだったのにー・・・」 螢「私ももう持ってないわよ。こんなことなら焼き回ししておけばよかった・・・」 ルサルカ「あのレン君、とってもかわいかったのにぃ・・・」 玲愛「藤井君はひどいね。乙女の宝物を焼いちゃうなんて・・・」 蓮「俺の子供時代の女装写真がいったいなんで乙女の宝物になるんですか!」 司狼「でも、なかなかにいい出来だったぜ。お前の親父、いい趣味してるなぁ・・・」 蓮「あんな変質者を褒めるな!そしてみんなも頷くな!」 螢「そういえば藤井君、あの写真が原因で家を出て寮暮らしになったんだっけ?」 蓮「ああ、そうだよ。あのクソ変質者のせいでほんとに嫌な思いをしたからな。もう顔も見たくない」 マリィ「レン、カリオストロもほんとは悪い人じゃないから許してあげて?」 蓮「マリィ・・・、いやでもやっぱり許せない。全部処分したとはいえ、あんな写真みんなにばら撒いて」 司狼「おうおう、この色男、彼女の一言でちょっと許そうとしたぞ?」 エリー「惚気ちゃってるねぇ」 蓮「司狼ー・・・!」 完全に処分したと藤井蓮は思っていたが実はコズミック変質者は幼少時のある男の子にも写真を渡していた。今は掃除屋を営んでいるある漢に。そして、その漢は今もなお、写真に写る男の子を少女と信じて疑わないでいた。と、いうのをまだ藤井蓮は知らない。 蓮「とにかく俺はあんなのと仲直りなんか・・・」 蓮が言葉を紡ぎかけたその刹那、何か嫌な予感を感じた。 蓮「マリィ!!」 愛しき恋人の名を呼び自身に引き寄せる。次の瞬間、 ブォオン! 一瞬前まで彼女がいたその場に圧倒的攻撃力を持った何かが通り過ぎて行った。 一同「・・・!」 そこにいた者達は後ろから自分たち、正確にはマリィを襲って来た者の姿を確認する。浅黒い肌、小柄な背丈、金髪。一目見ればそこいらのチンピラのようである。 玲愛「・・・!」 玲愛が何かに気づいたように驚き、走り去る。襲撃者が全身から放つ殺意はこの世の者が放つにはありえないほどに強大であり、唯一の一般人である香純はその姿を確認する前にその場に伏していた。一瞬遅れて蓮がそれに気付く。 蓮「香純!」 倒れ伏した香純を抱きかかえようとするが 司狼「アホが!相手見ろばか野郎!」 司狼の怒声に蓮が正面を向く。いつの間にか全員を庇う様な位置についていた司狼が懐からデザートイーグルを抜き発砲していた。眩いマズルフラッシュと轟音が耳と目を刺激する。銃口から放たれた50AE弾は秒速460mで襲撃者に襲い掛かるが・・・ 波洵「・・・」 無表情で襲撃者は難なくそれを避ける。 司狼「チィ!」 続けざまにマガジンに装填された残弾7発の50AE弾を残らず撃つ。しかし、その悉くが躱され、電柱やゴミ箱、塀に穴を穿つ。 司狼「バケモンかよ、テメェ!」 怒声を発しながらもホールドオープンしたデザートイーグルからマガジンを落とし、再装填しようとするがその時襲撃者が動く。一瞬で間合いまで近づき、再装填を待つデザートイーグルに蹴りを入れる。 司狼「ウオオォォグァッツァ!」 司狼の体にではなく手に持つデザートイーグルを蹴られただけでというのに司狼の体は盛大に横飛びし、塀をブチ破った。 蓮「司狼!ッく!」 幸い、司狼はまだ生きているようだ。僅かに上下する胸がその証である。 蓮「櫻井、ルサルカ!司狼と香純とエリーを連れて逃げろ!」 螢「でも藤井くん、あなた一人じゃ無理よ!」 ルサルカ「そうだよレン君!一緒に戦うから!」 蓮「いいから行け!こいつはやばい雰囲気がする!早く何とかしないとみんなを巻き込んじまう!だから早く・・・!」 螢&ルサルカ「・・・」沈黙、そして「わかったわ藤井(レン)君。死んだら許さないわよ」 蓮「ああ、とっとと逃げろ。すぐ勝って戻ってくるから待っててくれよな」 螢、気絶した香純を肩に担ぎ空いている手でエリーを抱き寄せる。ルサルカ、司狼に魔術治療を施しつつ抱え、去ってく。  蓮「......ごめんマリィ。ちょっとだけ・・・」 マリィ「いいよ、いっしょにがんばろう」 蓮「・・・ありがとう」 マリィの姿が消える。 蓮「<Yetzirah>-時よ止まれ お前は美しい-」 蓮の右腕に断頭のギロチンが顕現する。 蓮「さぁ、来いよ。今すぐぶっ殺してやる」 波洵「・・・」 襲撃者の視線が蓮の右腕、ギロチンに集中する。これを恐れているのか?銃を恐れずに躱した男が?そんな事を考えていた瞬間、 蓮「グァァァァ、グ!ゲハァ!」男の拳が鳩尾に直撃する。しかし、それだけでは終わらない。足、腕、胸・・・ところ構わず男は拳と蹴りを入れてくる。 蓮「(クソ!これじゃあ・・・)」創造を使う隙すら作らせない圧倒的力。その前に蓮はただその拳と蹴りを受けるしか他になかった。 蓮「(何とか隙をついて距離を空けないと・・・!)」しかし、そんな算段はあっけなく打ち壊される。男の左ストレートが右肩を打ち付けられる。 蓮「グッ!」持ち堪えるがこの場合は吹き飛ばされたほうが正解だったのかもしれない。なぜなら蓮の眼前には男の渾身の右ストレートが迫っていた。 蓮の見る世界が引き伸ばされる。創造を使ったのではない。人は死の瞬間、己が人生を一瞬で見るという、俗にいう走馬灯である。 蓮「(こいつは躱せないな・・・)」諦めに屈する蓮。 蓮「(ごめんな司狼、香澄、螢、ルサルカ、先輩・・・)」 蓮「(マリィ・・・)」その拳が蓮の顔面に突き刺さるその刹那 ギィン!何かを弾く音が聞こえた。そして、ザク! 地面に鋭い音を立てて何かが刺さった。よく見ればそれは何の変哲もない段ボールであった。男はこれを弾くために右手に捉える標的を蓮から段ボールに移し変えたのだ。 蓮「これは・・・」しかし蓮にはここで段ボールが飛んできた意味を知った。なぜこんな物が投げつけられたのか。そして誰が投げたのかを・・・ ???「マルグリットをびこ、護衛していたらこんな者に会うとはな」 ウザったらしい口調だがいつもよりかはあまり不快感を感じない。その声の主がいつの間にか自分を抱え男から遠ざけていた。蓮は顔を上げ、自分を抱える男の顔を見上げる。 蓮「親父・・・」 水銀の王「久しいな我が息子よ。立てるかな?」 この状況でも険しくない表情を見て苛立った蓮は何も言わず自身を抱えていた手を振り払い自らの足で立ち上がる。 水銀の王「結構。早速だが我が息子、そしてマルグリット。すまないが頼みを受けてくれないか」 蓮「なんだって?」 水銀の王「この者をこのような行為に走らせた者がいる。テレジアが何か関連しているようだ。彼女から問い詰めてもらいたい」 蓮「先輩が・・・?そんなの嘘に」 水銀の王「このような状況で嘘は言わん。早くゆけ。そして真相を聞いてくるのだ。」 蓮「だけど・・・」襲撃者に目をやる蓮。それに対し水銀の王が答える。 水銀の王「ああ、あれなら私が引き受けよう。実質その為だけに出しゃばりに来たのだから」 蓮「......大丈夫なのか」 水銀の王「私を誰だと思ってるのかね。」鼻を鳴らす水銀の王。 蓮「ああ・・・、そうだな」水銀に背を向ける。 水銀の王「ああ、それと一つばかり、確認してもよいかな?」 蓮「?」僅かばかり振り返る。 水銀の王は少しだけ顔だけ振り返りつつ、 水銀の王「別に、あの者を倒してしまっても、構わんのだろう?」と口にした。 蓮「・・・ああ、やっちまえ」蓮はその覚悟を鼓舞し、 水銀の王「では、期待に応えるとしよう」水銀の王はそれに応える。 蓮「美麗刹那・序曲!」創造を使い自身を加速させ一番先にこの場を去って行った玲愛を探しに行く。 水銀の王「さて、ここを通させはしない。マルグリットを汚そうなどという者は私が許さない」 男が身を屈める。水銀の王が両の手を広げ自身と目の前にいる男を並行世界へと誘う。 水銀の蛇「(ここに幕は開けたり。さあ恐怖劇<グラングニョル>を始めよう)」 水銀の蛇「Acta est fabula!」 ここに開戦の号砲が響き、戦いの幕が開いた。 ~蓮side~ 蓮「先輩・・・」 公園で蓮は震える氷室玲愛を見つけた。 玲愛「・・・ッ!」 ビクッとその総身が震える。顔を上げた玲愛の顔は止まる事無く流れる涙で濡れていた。 蓮「親父が『あの男は先輩と関係してる』って言ってました。もし本当なら教えてもらえませんか」 玲愛「・・・」涙は止まるが虚ろな瞳が虚空を彷徨う 蓮「先輩!」蓮が声を荒げる。そして玲愛がついに口を開いた。 玲愛「・・・ホントは冗談のつもりだったの」まず発せられた言葉はそれだった。 玲愛「私は藤井君のことが好き。この人生で、もうあなた以上に好きになれる人はいないって、確信できるくらい」 玲愛「でも、藤井君の周りにはいつも女の子がいた。それはいいの。いつかは私が藤井君の女になってやる、って思ってたから」 玲愛「でも藤井君がマリィちゃんと付き合うって言ったとき私、胸が張り裂けそうになったの。あの時は我慢してたけど家に帰った後、凄く泣いたの」 玲愛「どうしても藤井君の女になりたい、そう思ってたらこんな張り紙を見つけたの」スカートのポケットから紙を取り出す。そこには 玲愛「『どんなものでも掃除・排除します』」 蓮「それでマリィを排除、消してくれと・・・」 玲愛「本当に冗談のつもり、自己満足のつもりだったんだよ。だけど、さっきマリィちゃんが襲われるのを見て私・・・」再びその瞳に涙が溜まり始める。 玲愛「ごめん、なさい!私、取り返しのつかないことを・・・」 蓮「先輩・・・」 蓮が玲愛の傍まで近づく。そして 玲愛「え?」 突然抱きしめられた。 蓮「俺もマリィも死なない。絶対にあいつを倒す。だから、泣かないでくれ先輩。あんたも俺の大事な・・・仲間なんだから」 玲愛「・・・ン」 蓮に強く抱き締めれ、また玲愛もそれに応えるように抱き締め返した。 蓮「先輩、俺はそろそろ行きます」 そう蓮はそう言い抱き締めていた手を放した。 玲愛「藤井君・・・こんなこと言える立場じゃないことは分かってるけど・・・」 それでも勇気をもって玲愛は藤井蓮に言った。 玲愛「藤井君、勝って」 蓮「ええ、勝ってきます」 そう応え自らの創造を発動させ蓮は己が父のいる場へと向かった。 ~水銀の蛇side~ どれ程の時間が経ったのだろうか。水銀の蛇と襲撃者波洵の戦いはいまだ続いていた。いや、これを戦いと呼んでよいものだろうか。 水銀の蛇が繰り出す攻撃はどれも規模・威力共に桁外れである。並みの聖遺物の使徒でも数え切れぬほど死んでいるであろう。しかし、 波洵「・・・」 いまだ敵は健在だ。それどころか敵はこの空間でただの一度も攻撃・回避行動をとっていない。しかし、その総身は無傷であり、疲労も感じさせない。水銀の蛇は次なる攻撃を繰り出そうと・・・ 波洵「塵が、消えて無くなれ・・・」 ついに口を開いた波洵。その瞬間、水銀の蛇の視界から波洵が消えた。次の瞬間、 水銀の蛇「ヌグガァァァァァ!」 水銀の蛇の体が飛ぶ。蛇の知る最速である白騎士よりもはるかに速い速度をもって繰り出された蹴りはただの一撃で水銀の蛇の身体を壊しかける。 水銀の蛇「グ、ハァハァハァ、クッ・・・」 しかし、それでも水銀の蛇は立ち上がり行く手を阻む。自身が愛した女神とその恋人である息子。その二人の黄昏<幸せ>を守るために。 波洵の拳が、蹴りが水銀の蛇の体を襲う。彼の総身を覆う黒円卓の制服はすでに彼の血で全身が濡れていた。そしてついに彼に終わりを告げる一撃が飛ぶ。その拳は水銀の蛇の顔に目掛けて、顔を吹き飛ばすという結末を求めて・・・ 水銀の蛇「(ああ、すまない、私はここまでのようだ。マルグリットよ、我が女神よ、そして我が息子よ、・・・生きておくれ)」 諦めが募る。彼に死を与える拳はすでにその眼前に・・・ ???「ふざけてんじゃねぇぞ、親父」 声が聞こえた。 水銀の蛇「な・・・」 死を与える拳は水銀の蛇に当たらなかった。当たる直前の刹那に救い出されたのだ。そう・・・ 蓮「あんたにはまだ写真の事謝ってもらってねぇんだ、勝手に死んでもらっちゃ困るんだよ」 水銀の蛇の息子によって。 ぶっきらぼうにそう言う息子に、水銀の蛇はしばし言葉を失っていた。 水銀の蛇「な、ぜ・・・」 蓮「俺がいちゃ悪いかよ。つうか謝ってもらうまで嫌でも死なせない。この俺がな」 息子の言葉を聞き、その親である水銀の蛇は呵々大笑した。 水銀の蛇「クク、ハハ、ハーッハハハハハ!なんだ我が息子よ、そんなことを言うためにわざわざ此処に来て私を助けたというのか!はァ、可愛すぎて女神のように抱き締めたくなるぞ」 蓮「可愛い言うな!そして抱き締めようとするな!・・・まぁいい。後でたっぷり謝ってもらうからな。まずは・・・」 水銀の蛇「ああ、まずは・・・」 蓮&水銀の蛇『まずは、コイツを倒すぞ!』 親子二人の声が重なった。 波洵「滅・尽・滅・相・・・!」 低く、だが確かな怒気を孕んだ声で波洵が応じる。 水銀の蛇「では、ここに最後の恐怖劇<グランギニョル>を始めよう。」 蓮「俺の引き立て役になれよ、このお笑い三等兵」 波洵「このうるさい塵屑どもが・・・俺の邪魔をしやがって・・・!欠片一つ残さんぞ・・・!」 三者三様の言葉を口にし、それぞれの理を流れ出す。 水銀の蛇「Acta est fabu・・・!」 蓮「Res novae――Also sprach Zarathus・・・!」 波洵「卍曼荼羅ァ――無量大」 覇吐「何やってんじゃこのバカ兄貴ー!」 波洵「グハァ!」 水銀の蛇&蓮「・・・ラ?」 突如として現れた謎の男に頭を殴られる波洵。 波洵「何してくれてんだよこの塵屑愚弟がよぉぉ!こちとら仕事中なんだぞ邪魔するんじゃねぇよォォォ!」 即座に起き上がり自身を殴った男に泡を飛ばす勢いで食って掛かる。 覇吐「仕事中ってなに人を滅尽滅相してやがるこのバカ兄貴!ガキの頃カーチャンに注意されただろうが!」 波洵「グッ・・・!いやこれは依頼なんだよ!この仕事を頼んだやつがいるから・・・」 その言葉に蓮が反論する。 蓮「あ、その依頼取り消すって依頼主が言ってたぞ」 波洵「ハァ!?」 覇吐「さ~て、今回の事はカーチャンに報告・・・」 波洵「まてやこの塵屑がァァ!その口縫い合わすぞォォ!」 覇吐「おう、やれるもんならやってみろ!」 蓮達をほっといて殴り合いの喧嘩をする二人。 水銀の王「・・・ひとまず、我々の世界へ帰ろう」 そう言い水銀の王が両手を広げる。一度瞬きをした後は彼らが元々いた住宅街であった。 蓮「・・・あの二人は?」 水銀の王「彼らなら河川敷あたりに飛ばしておいたよ」 そう答える水銀。そして蓮に背を向ける。 水銀の王「では、私は帰るよ。さすがに今回ばかりははしゃぎ過ぎたようだ」 マリィ「待って、カリオストロ」 再び姿を現したマリィが水銀の王に声をかけ、その足を止める。 水銀の王「なにかな、マルグリット?」 マリィ「ええと、ね」 少し言葉に詰まるがその言葉を口にする。 マリィ「私とレンを、助けてくれて・・・ありがとう」 穏やかな微笑みを浮かべ、マリィは礼を口にする。 水銀の王「・・・。いいや、当然の事をしただけだよ」 そういい再び歩み出す水銀の王。しかし、今度は蓮が呼び止める。 蓮「親父!その、・・・」 言葉に詰まる蓮。そこでマリィが助け舟を出す。 マリィ「カリオストロ、こんどお礼にあなたたちの家に行ってゴハン作るから」 蓮「!ああ、そうだ!今度帰ってやるからちゃんと家綺麗にしてろよ!」 水銀の王「フ、それは楽しみだ。ならば至高の食材を買っておかなければな。」 そういい水銀の王は去って行った。その顔は誇らしげであった。女神と息子を守れてよかったと・・・ 蓮「アイツ、最後までウザイ口調で・・・」 マリィ「でも、今日はカッコよかったよね、カリオストロ」 蓮「・・・まぁ次に会うときはちゃんと謝らせてやる。マリィ、そろそろみんなの所へ行こう」 そういいながら蓮とマリィは仲間達がいる所へと帰って行った。 ・・・なお、この後覇吐の報告で激怒した波洵母に波洵がフルボッコにされ、会社が前よりはまともな事業に取り組み始めたのは言うまでもあるまい - ・・・一部の水銀のセリフについては大目に見てほしい。 -- 正田卿のレギオン (2012-06-28 00:30:28) - ハイドリヒ「パクリじゃー!パクり野郎じゃー!!」 -- 名無しさん (2012-06-28 01:28:33) - …違・和・感!!こんなのメルクリウスじゃなーい!メルクリウスじゃないもん!!メルクリウスじゃないんだ!!!メル(ry -- メル専 (2012-06-28 01:57:48) - 「カッコいい水銀てどうなんだろう」って思って書いたらこんな風になってしまった。 -- 正田卿のレギオン (2012-06-28 06:28:02) - ついでに発売のテンション合わせてたらこんな風になってしまった。正直キャラ崩壊しすぎだとは思ってる -- 正田卿のレギオン (2012-06-28 06:43:27) - これが水銀汚染か… -- メル専 (2012-06-28 07:57:32) - 波旬をフルボッコに出来る波旬母って何者!? -- 名無しさん (2012-06-28 14:19:38) - ↑今はまだ詳しく言えませんが今後もストーリー絡んできます -- 正田卿のレギオン (2012-06-28 18:02:35) - 息子と同じく熱い所あるんだよなぁ。 -- 名無しさん (2012-06-28 18:42:38) - 波洵をボコボコに出来るなんてもしや覇道/求道神か?! -- 名無しさん (2012-06-29 12:06:04) - 水銀をねじ伏せる水銀母希望w -- メル専 (2012-06-30 01:00:40) - (∴)↑あんたのおかげで4話は獣殿と波旬のを書くつもりが3話afterみたいなのになりそうだどうしてくれる -- 正田卿のレギオン (2012-06-30 11:00:46) - ↑ (∴)ははは、良いぞお前は優秀な糞だ。だが、そんな横道にそれる奴は俺達の天狗道には要らないぞ。俺は俺。お前はお前だろう? -- メル専 (2012-06-30 14:45:01) - 愉快だ。すばらしい。痛烈だ。実にいい。 -- 他化自在天喇叭 (2013-03-21 14:23:48) #comment()

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