ゲッツ・フォン・ベルリッヒンゲンの困惑

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[[エレオノーレ・フォン・ヴィッテンブルグの失策]] 「…………」 聖槍十三騎士団黒円卓第七位、ゲッツ・フォン・ベルリッヒンゲンは困惑していた。 黒円卓の激務から一人逃亡した第十位ロート・シュピーネを連れ戻すため、現世へと降り立った(落とされた?)聖槍十三騎士団の面々。素行や精神面で問題がある者も少なくない団員たちであったが、中でもマキナ卿は現世で活動するにあたって特に大きな問題を抱えていた。 彼には……首から上がすっぽり欠けていたのである。 『宿敵』と書いて『戦友(とも)』と読む、魂を分けた兄弟との聖戦。その果てにマキナは敗北(なっとく)し、斬首の刃に己の御首(みしるし)を断たれたのであった。その結果に不満は無く、むしろ無くしたという事実を誇ってすらいる。だがしかし、今回に限ってはグラズヘイムの自室から首を持ってくるのを忘れたことに一抹の後悔を抱いていた。 理由は単純。マキナを見上げた年端もいかない女の子が、今にも泣き出しそうに涙で瞳を潤ませていたのだから。 「……っく……ひっく……」 「…………」 天気のいい昼下がりに公園で遊んでいたら、突然空から厳つい軍服の首無し大男が降ってきた。……女の子が泣き出すには十分すぎる理由である。 周りが死人ばかりのグラズヘイムに居たから忘れていたが、首が無い人間というのは普通の一般人からすれば迷わずゲシュタポに通報するレベル。怪しさだけなら彼の水銀の王にも勝るとも劣ら……いや、やはり劣るだろうがそれでも相当恐ろしい存在であることは間違いない。すぐに叫び声をあげて逃げ出さなかっただけでも彼女は褒められてしかるべきだろう。……恐怖で足がすくんでいるだけかもしれないが。 ともかく顔にはでないが(そもそも顔が無いが)百戦錬磨の黒騎士、ゲッツ・フォン・ベルリッヒンゲンは困り果てていた。すぐにその場を離れるという手もあったが、女の子を泣かせてたまま放っておくのは間違っている、それくらいは記憶を失っている自分でもわかること。かといって首があるときから仏頂面の寡黙な男であったマキナに、彼女を笑顔にできるほどユーモアセンスがあるかと問われれば、無言で無い首を横に振るしかないだろう。 結局具体的な解決案が思い浮かばず、最早大人に見つかって通報されるのを待っているかのように途方に暮れていたマキナに、涙目の少女は恐る恐る人差し指を向けた。自分の首がないことを指摘しているのかと思ったマキナだったが、指先は微妙にマキナではなくその後ろを示している。 気になったマキナが振り向いてみると、其処には公園に植えられている木々の枝に引っ掛かった赤い風船があった。どうやら彼女は空から突然首無し男が降ってきたから泣いていたわけではなく、うっかり放してしまった風船が木の枝に引っ掛かり、手が届かなくてどうしようもなく泣いていたらしい。 それに気づいたマキナは、無言のまま彼女の前に膝を突いて腰を屈めた。 初めは僅かに声を裏返して小さく悲鳴を上げた少女だったが、マキナの意図するところを察すると、怯えながらも慎重に彼の大きな肩に足を乗せていく。 少女に手で触れてしまわないように気をつけつつ、マキナはゆっくりと立ち上がった。今まで自分が見ていた高さとはまるで違うその風景に、少女は自身が巨人になったかのように錯覚する。 立ち上がったマキナが数歩進むと、少女の目の前にはいくら飛び跳ねても届かなかった赤い風船。首がないせいで少しバランスは悪かったが、大男に肩車をしてもらったおかげで、今度は少し手を伸ばすだけで簡単に紐を掴むことができた。 「あ……ありがとう」 「…………」 彼女の感謝を受けてもマキナはやはり言葉を紡がなかったが、肩の上の少女には首無しの大男がどこかほっとしているように見えていた。 もう、少女の瞳に涙はなかったからである。 「探して出してこいとは言われますが、ザミエル卿も潜伏したシュピーネがそう簡単に見つからないことくらいわかっているでしょうに……」 「こういうときこそ貴方の出番でしょうヴァレリアン。早く見つけて連れ戻さないと、流石のエレオノーレも一人じゃ厳しいだろうし……」 長閑な昼下がりの住宅街を歩調を揃えて進むのは、法衣を纏った初老の男ヴァレリアン・トリファと、母性的な魅力に溢れた尼僧リザ・ブレンナーの二人。神父の方は全身ボロボロになっているが、大方グラズヘイムから落とされたときにリザの尻に敷かれてクッション代わりにでもされたのだろう(なんて羨まし……いや、なんでもない)。 「確かに聖餐杯を返した私なら人捜しにはうってつけでしょうが……やはり気乗りはしませんねぇ……」 「シュピーネを捕獲したら玲愛の様子でも見に行きましょうか」 「任せなさいリザ。私にかかれば砂漠に落とした一粒の豆だろうとも探し出してみせますよ」 溺愛する義理の娘の名前を出された途端、神父はやる気の欠片もなかった表情を引き締めて己の有する霊的感応能力を最大限に発揮する。長年の連れ合いなだけあって、リザの神父の扱いは見事だった。 「……おや、意外に近くに私たちと同じ聖遺物の使徒の反応が」 「あら、早いわね。本当にシュピーネ?」 「長年使わないようにしてきた力なので近づいてみないことには何とも……ですが、これはたぶん違いますね。シュピーネにしては強すぎる」 僅かに眉間に皺を寄せて、「……うーん……」と小さく唸りながら、トリファとリザは彼が感じた力の方へと歩みを進める。 そうして数分ばかり歩いた先にあったどの町にでもあるようなごく普通の公園で、二人は同僚のイメージをぶち壊されるような光景を目の当たりにした。 「おーいマッキー。うまい棒食う? それともチューペットの方がいい?」 「ねぇマッキー、私もぶらーんってするのやってー」 「もう、みんなったら。マッキーはシャイなんだから。ねえマッキー、向こうでおままごとしましょう」 「えー、マッキーは俺たちとドッヂやるんだよ。そうだよなーマッキー?」 「…………」 「……リザ。私、齢のせいか少し目が……」 「……奇遇ねヴァレリアン。私も目を患ったみたい」 触れるだけでこの世の全てに終焉をもたらす黒円卓の大隊長、黒騎士ことゲッツ・フォン・ベルリッヒンゲンに、子供たちが群がっていた。 あの無骨で無愛想で仏頂面の寡黙な黒騎士が、何故か子供たちに大人気である。わけがわからなかった。彼らは首無しの大男に怯えるどころか積極的に近づいて行き、首を無くして空虚な底の見えない襟の中にお菓子を入れようとしたり、軍服の裾を引っ張って砂場に連れて行こうとしたり、背中からよじ登って「マッキーロボ! 発進!」とかしたりと、相対するものを震え上がらせる死の鉄拳デウス・エクス・マキナが、彼らによって完全に玩具にされている。 しかもマキナ自身もうっかり手で触れて子供たちの一生を終わらせてしまわないよう最大限に気を使っていた。それだけ群がられたら触れないというだけでも相当難度が高いはずだろうに……。常時形成位階の身体という黒騎士の悩みどころである。 二人が公園の入り口からその光景を見ていると、マキナ自身も気づいたのか、無い顔をトリファの方へと向ける。 『……助けろ、聖餐杯』 マキナは勿論無言のままだったが、相手の心を読み取れる神父にはひしひしと伝わってくる黒騎士の思念が分かりたくなくても分かってしまった。……まぁ今の彼の姿を同僚が見れば困っているくらいは誰でも分かるだろうが。 「……えーっと、どうしましょうか。リザ?」 「……そうね、私達は何も見なかった。そういうことにしない、ヴァレリアン?」 あのマキナが子供たちと遊んでいる姿を見て、どこか楽しそうに悪戯っぽい笑みを浮かべたリザは、そのまま何事もなかったかのように歩みを再開した。彼女に袖を掴まれた神父も、引っ張られてその場を後にする。 僅かばかりの罪悪感を感じながらも、トリファは(たまにはそういうのも良いものですよ、マキナ卿)と内心呟きつつ、公園前を去っていった。 『……聖餐杯はあとで殺す』 「私だけですか!?」 [[ウォルフガング・シュライバーの災難]] - (∴)さぁ塵ども、新作を投下したから前と同じように溶接して片方滅じ…………ってなにぃ!? コメントする前に終わっているだと!? 俺の天狗道の塵はバケモンか!? -- ザミパン (2012-06-12 22:16:21) - 一応バケモンではありません -- 正田卿のレギオン (2012-06-12 22:20:38) - 首って自室にあるんだ。鹿の首みたいなもんかw -- 名無しさん (2012-06-12 22:31:29) - まるで某金ぴか……いや、あっちは子供好きだから、こっちのほうがなんか微笑ましい。 -- 名無しさん (2012-06-13 20:59:53) - 聖餐杯は元の体に戻っても安定の立ち位置だね~ -- 名無しさん (2012-06-14 23:27:50) - 当然でしょう?聖餐杯は壊れない。私は愛し児の(玲愛)全てを愛している。///元の体に戻ってもあの聖餐杯が常人になるはずがない。狂人たる彼は別の渇望に目覚めていそうだ。 -- 名無しさん (2012-06-14 23:33:47) - これからは名乗ろう。で、ヴァレリアンって初老って書いてありますが、作品wikiによればリザより5歳年上、マキナより1歳年上程度なんですよね。何時頃使徒になったかわかりませんが、多分リザよりは早いでしょう(マキナは一度死んでるので論外か)。なのに初老…流石の聖餐杯クオリティ -- メル専 (2012-06-14 23:51:59) - ↑マジか!? ……神父苦労しすぎて老けたんだなぁ……四十五十はいってるように見えるぜ -- ザミパン (2012-06-15 00:03:14) - ヴァレリアじゃないん? -- 名無しさん (2012-06-15 00:33:08) - 本名はヴァレリアン・トリファ -- 正田卿のレギオン (2012-06-15 00:44:52) - ところで何で首無しマッキー見てるのに子供達は死なないの? 大獄化してないから? -- 名無しさん (2012-06-22 12:43:41) - だがリザの呼び方はヴァレリアじゃなかったっけ? -- 名無しさん (2012-08-01 02:06:14) - リザは確か鍍金時の神父を女々しいとかなんとかで女性名のヴァレリアで呼んでたはず……。更に座を握っているのが獣殿でメルとバトルを繰り広げたくだりから察するに、この天狗道の話は玲愛ルートアナザーだったんだよ!! (でもそうだとすると波旬はニートに発生因子潰されとるんよなぁ) -- 名無しさん (2012-08-02 21:49:47) - 神格化する因子が潰されたからこの世界の波旬になったのだと考えるんだ! ……神格パワー取り除いた波旬愉快なキャラになりすぎだろ -- 名無しさん (2012-09-02 21:16:20) - どいつもこいつも神格抜いたらまともになるのかもな。 -- 名無しさん (2013-02-27 19:59:29) - ↑神格=世界を染め上げる桁違いの渇望を持つ異常者だからな。どんなイカレタ思想であっても、少なくとも渇望の重さが常人の枠内に落ち着くだろう。……常識人になるわけではないけど。 -- 名無しさん (2013-02-27 23:23:58) #comment()
[[エレオノーレ・フォン・ヴィッテンブルグの失策]] 「…………」 聖槍十三騎士団黒円卓第七位、ゲッツ・フォン・ベルリッヒンゲンは困惑していた。 黒円卓の激務から一人逃亡した第十位ロート・シュピーネを連れ戻すため、現世へと降り立った(落とされた?)聖槍十三騎士団の面々。素行や精神面で問題がある者も少なくない団員たちであったが、中でもマキナ卿は現世で活動するにあたって特に大きな問題を抱えていた。 彼には……首から上がすっぽり欠けていたのである。 『宿敵』と書いて『戦友(とも)』と読む、魂を分けた兄弟との聖戦。その果てにマキナは敗北(なっとく)し、斬首の刃に己の御首(みしるし)を断たれたのであった。その結果に不満は無く、むしろ無くしたという事実を誇ってすらいる。だがしかし、今回に限ってはグラズヘイムの自室から首を持ってくるのを忘れたことに一抹の後悔を抱いていた。 理由は単純。マキナを見上げた年端もいかない女の子が、今にも泣き出しそうに涙で瞳を潤ませていたのだから。 「……っく……ひっく……」 「…………」 天気のいい昼下がりに公園で遊んでいたら、突然空から厳つい軍服の首無し大男が降ってきた。……女の子が泣き出すには十分すぎる理由である。 周りが死人ばかりのグラズヘイムに居たから忘れていたが、首が無い人間というのは普通の一般人からすれば迷わずゲシュタポに通報するレベル。怪しさだけなら彼の水銀の王にも勝るとも劣ら……いや、やはり劣るだろうがそれでも相当恐ろしい存在であることは間違いない。すぐに叫び声をあげて逃げ出さなかっただけでも彼女は褒められてしかるべきだろう。……恐怖で足がすくんでいるだけかもしれないが。 ともかく顔にはでないが(そもそも顔が無いが)百戦錬磨の黒騎士、ゲッツ・フォン・ベルリッヒンゲンは困り果てていた。すぐにその場を離れるという手もあったが、女の子を泣かせてたまま放っておくのは間違っている、それくらいは記憶を失っている自分でもわかること。かといって首があるときから仏頂面の寡黙な男であったマキナに、彼女を笑顔にできるほどユーモアセンスがあるかと問われれば、無言で無い首を横に振るしかないだろう。 結局具体的な解決案が思い浮かばず、最早大人に見つかって通報されるのを待っているかのように途方に暮れていたマキナに、涙目の少女は恐る恐る人差し指を向けた。自分の首がないことを指摘しているのかと思ったマキナだったが、指先は微妙にマキナではなくその後ろを示している。 気になったマキナが振り向いてみると、其処には公園に植えられている木々の枝に引っ掛かった赤い風船があった。どうやら彼女は空から突然首無し男が降ってきたから泣いていたわけではなく、うっかり放してしまった風船が木の枝に引っ掛かり、手が届かなくてどうしようもなく泣いていたらしい。 それに気づいたマキナは、無言のまま彼女の前に膝を突いて腰を屈めた。 初めは僅かに声を裏返して小さく悲鳴を上げた少女だったが、マキナの意図するところを察すると、怯えながらも慎重に彼の大きな肩に足を乗せていく。 少女に手で触れてしまわないように気をつけつつ、マキナはゆっくりと立ち上がった。今まで自分が見ていた高さとはまるで違うその風景に、少女は自身が巨人になったかのように錯覚する。 立ち上がったマキナが数歩進むと、少女の目の前にはいくら飛び跳ねても届かなかった赤い風船。首がないせいで少しバランスは悪かったが、大男に肩車をしてもらったおかげで、今度は少し手を伸ばすだけで簡単に紐を掴むことができた。 「あ……ありがとう」 「…………」 彼女の感謝を受けてもマキナはやはり言葉を紡がなかったが、肩の上の少女には首無しの大男がどこかほっとしているように見えていた。 もう、少女の瞳に涙はなかったからである。 「探して出してこいとは言われますが、ザミエル卿も潜伏したシュピーネがそう簡単に見つからないことくらいわかっているでしょうに……」 「こういうときこそ貴方の出番でしょうヴァレリアン。早く見つけて連れ戻さないと、流石のエレオノーレも一人じゃ厳しいだろうし……」 長閑な昼下がりの住宅街を歩調を揃えて進むのは、法衣を纏った初老の男ヴァレリアン・トリファと、母性的な魅力に溢れた尼僧リザ・ブレンナーの二人。神父の方は全身ボロボロになっているが、大方グラズヘイムから落とされたときにリザの尻に敷かれてクッション代わりにでもされたのだろう(なんて羨まし……いや、なんでもない)。 「確かに聖餐杯を返した私なら人捜しにはうってつけでしょうが……やはり気乗りはしませんねぇ……」 「シュピーネを捕獲したら玲愛の様子でも見に行きましょうか」 「任せなさいリザ。私にかかれば砂漠に落とした一粒の豆だろうとも探し出してみせますよ」 溺愛する義理の娘の名前を出された途端、神父はやる気の欠片もなかった表情を引き締めて己の有する霊的感応能力を最大限に発揮する。長年の連れ合いなだけあって、リザの神父の扱いは見事だった。 「……おや、意外に近くに私たちと同じ聖遺物の使徒の反応が」 「あら、早いわね。本当にシュピーネ?」 「長年使わないようにしてきた力なので近づいてみないことには何とも……ですが、これはたぶん違いますね。シュピーネにしては強すぎる」 僅かに眉間に皺を寄せて、「……うーん……」と小さく唸りながら、トリファとリザは彼が感じた力の方へと歩みを進める。 そうして数分ばかり歩いた先にあったどの町にでもあるようなごく普通の公園で、二人は同僚のイメージをぶち壊されるような光景を目の当たりにした。 「おーいマッキー。うまい棒食う? それともチューペットの方がいい?」 「ねぇマッキー、私もぶらーんってするのやってー」 「もう、みんなったら。マッキーはシャイなんだから。ねえマッキー、向こうでおままごとしましょう」 「えー、マッキーは俺たちとドッヂやるんだよ。そうだよなーマッキー?」 「…………」 「……リザ。私、齢のせいか少し目が……」 「……奇遇ねヴァレリアン。私も目を患ったみたい」 触れるだけでこの世の全てに終焉をもたらす黒円卓の大隊長、黒騎士ことゲッツ・フォン・ベルリッヒンゲンに、子供たちが群がっていた。 あの無骨で無愛想で仏頂面の寡黙な黒騎士が、何故か子供たちに大人気である。わけがわからなかった。彼らは首無しの大男に怯えるどころか積極的に近づいて行き、首を無くして空虚な底の見えない襟の中にお菓子を入れようとしたり、軍服の裾を引っ張って砂場に連れて行こうとしたり、背中からよじ登って「マッキーロボ! 発進!」とかしたりと、相対するものを震え上がらせる死の鉄拳デウス・エクス・マキナが、彼らによって完全に玩具にされている。 しかもマキナ自身もうっかり手で触れて子供たちの一生を終わらせてしまわないよう最大限に気を使っていた。それだけ群がられたら触れないというだけでも相当難度が高いはずだろうに……。常時形成位階の身体という黒騎士の悩みどころである。 二人が公園の入り口からその光景を見ていると、マキナ自身も気づいたのか、無い顔をトリファの方へと向ける。 『……助けろ、聖餐杯』 マキナは勿論無言のままだったが、相手の心を読み取れる神父にはひしひしと伝わってくる黒騎士の思念が分かりたくなくても分かってしまった。……まぁ今の彼の姿を同僚が見れば困っているくらいは誰でも分かるだろうが。 「……えーっと、どうしましょうか。リザ?」 「……そうね、私達は何も見なかった。そういうことにしない、ヴァレリアン?」 あのマキナが子供たちと遊んでいる姿を見て、どこか楽しそうに悪戯っぽい笑みを浮かべたリザは、そのまま何事もなかったかのように歩みを再開した。彼女に袖を掴まれた神父も、引っ張られてその場を後にする。 僅かばかりの罪悪感を感じながらも、トリファは(たまにはそういうのも良いものですよ、マキナ卿)と内心呟きつつ、公園前を去っていった。 『……聖餐杯はあとで殺す』 「私だけですか!?」 [[ウォルフガング・シュライバーの災難]] - (∴)さぁ塵ども、新作を投下したから前と同じように溶接して片方滅じ…………ってなにぃ!? コメントする前に終わっているだと!? 俺の天狗道の塵はバケモンか!? -- ザミパン (2012-06-12 22:16:21) - 一応バケモンではありません -- 正田卿のレギオン (2012-06-12 22:20:38) - 首って自室にあるんだ。鹿の首みたいなもんかw -- 名無しさん (2012-06-12 22:31:29) - まるで某金ぴか……いや、あっちは子供好きだから、こっちのほうがなんか微笑ましい。 -- 名無しさん (2012-06-13 20:59:53) - 聖餐杯は元の体に戻っても安定の立ち位置だね~ -- 名無しさん (2012-06-14 23:27:50) - 当然でしょう?聖餐杯は壊れない。私は愛し児の(玲愛)全てを愛している。///元の体に戻ってもあの聖餐杯が常人になるはずがない。狂人たる彼は別の渇望に目覚めていそうだ。 -- 名無しさん (2012-06-14 23:33:47) - これからは名乗ろう。で、ヴァレリアンって初老って書いてありますが、作品wikiによればリザより5歳年上、マキナより1歳年上程度なんですよね。何時頃使徒になったかわかりませんが、多分リザよりは早いでしょう(マキナは一度死んでるので論外か)。なのに初老…流石の聖餐杯クオリティ -- メル専 (2012-06-14 23:51:59) - ↑マジか!? ……神父苦労しすぎて老けたんだなぁ……四十五十はいってるように見えるぜ -- ザミパン (2012-06-15 00:03:14) - ヴァレリアじゃないん? -- 名無しさん (2012-06-15 00:33:08) - 本名はヴァレリアン・トリファ -- 正田卿のレギオン (2012-06-15 00:44:52) - ところで何で首無しマッキー見てるのに子供達は死なないの? 大獄化してないから? -- 名無しさん (2012-06-22 12:43:41) - だがリザの呼び方はヴァレリアじゃなかったっけ? -- 名無しさん (2012-08-01 02:06:14) - リザは確か鍍金時の神父を女々しいとかなんとかで女性名のヴァレリアで呼んでたはず……。更に座を握っているのが獣殿でメルとバトルを繰り広げたくだりから察するに、この天狗道の話は玲愛ルートアナザーだったんだよ!! (でもそうだとすると波旬はニートに発生因子潰されとるんよなぁ) -- 名無しさん (2012-08-02 21:49:47) - 神格化する因子が潰されたからこの世界の波旬になったのだと考えるんだ! ……神格パワー取り除いた波旬愉快なキャラになりすぎだろ -- 名無しさん (2012-09-02 21:16:20) - どいつもこいつも神格抜いたらまともになるのかもな。 -- 名無しさん (2013-02-27 19:59:29) - ↑神格=世界を染め上げる桁違いの渇望を持つ異常者だからな。どんなイカレタ思想であっても、少なくとも渇望の重さが常人の枠内に落ち着くだろう。……常識人になるわけではないけど。 -- 名無しさん (2013-02-27 23:23:58) - 한사람 한사람의 사람은 색칠된 물방울이다. 대단한 우주의 빛은 물방울을, 그 모두를 비추어 빛내고 있다. 수정의 옥은 전부 그물 위의 다른 모든 수정의 빛뿐만 아니라 우주전체의 모든 빛의 반사의 반사도, 모두 반사하고 있다. -- 他化自在天喇叭 (2013-03-21 13:40:19) #comment()

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