Dies irae -新たな敵- 第五話

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- ……蓮「あ~~、なんでそこの二人は死んでんだ?」 マキナ「気にしないでやってくれ、買い物疲れのようでな」 買い物も一通り終わり、再び全員が集合した時、ジューダスと和哉はグロッキーであった。ちなみにアメリカを発つまで体調は回復しなかった。 -- 名無しさん (2013-05-20 23:58:07) - 司狼「また要らんことをしたのか・・・やれやれ」 -- 名無しさん (2013-05-20 23:58:54) - マキナ「俺とベイは良いことをしたのに・・・やれやれ」 -- 名無しさん (2013-05-21 00:01:39) - ジューダス「…………ぐふ」 反論しようとして、倒れた。 -- 名無しさん (2013-05-21 00:07:04) - ベイ「確かに迷惑な奴等を俺とマキナで撃退したな」 -- 名無しさん (2013-05-21 00:09:57) - ベア「なにをしているのやら;」 -- 名無しさん (2013-06-09 19:55:34) - 黄金「そろそろ良いかね?次はギリシャだ」 -- 名無しさん (2013-06-20 22:48:28) - マキナ「ギリシャか……あの大英雄を思い出すな」アーチャー「バーサーカーのことかね?まあ、確かにギリシャといえば彼だろうがな」 -- 名無しさん (2013-06-22 15:49:52) - シュライバー「観光するのも悪くはないよね~♪」 -- 名無しさん (2013-07-12 14:18:57) - 水銀「まだ見ぬ異国に思いを馳せるのは良いが、そろそろ飛行機に乗り込む時間だ。続きはフライト中に頼むよ。今回は通常の航空便で行くのでな」 水銀の言葉に、一同も荷物を持って立ち上がる。 -- 名無しさん (2013-07-20 03:13:06) - 蓮(次はギリシャか……アメリカじゃ何も起きなかったが、なるべく面倒事は避けたいもんだな) アメリカを飛び立つ飛行機の中、皆が眠りに落ちているなか、一人だけ目がさえていた蓮。結局、これより一時間程物思いにふけり、眠りに就くのだった。 -- 名無しさん (2013-07-20 03:21:08) - ……何時とも何処とも知れぬ真っ白な世界。白以外の何も存在しない世界の中に、異物としか言いようがないほど黒い少年が佇んでいた。 -- 名無しさん (2013-07-20 03:39:44) - 常人なら一時間もかからずに発狂してしまうであろう白い世界において、少年から伺えるのはただひとつの感情のみ 「――――退屈だ」 -- 名無しさん (2013-07-20 03:41:34) - ポツリとつぶやいた一言はたちまち白い世界に波及していき、程なくして消える。 -- 名無しさん (2013-07-20 03:43:11) - 「二週間は長すぎたな」 ポツポツと零れる言葉が白い世界を揺らす。しかし、異物に悲鳴を上げる世界の姿は彼の倦怠を慰めるにはまるで足りないようだ。 -- 名無しさん (2013-07-20 03:50:47) - 「まあ、私にとっては一瞬も無限も等しいのだが」 -- 名無しさん (2013-07-20 04:10:13) - 「どうなさいます?」 「待つ……ゆっくりと待つ。所詮は泡沫の夢。あの男が来るのを待とう。それまでは――」 「御意に」 -- 名無しさん (2013-07-20 23:29:11) - 姿を見せない者に、その少年は目を瞑りながら答えた。ただ待つ……それだけなのだと。 -- 名無しさん (2013-07-20 23:29:49) - ……水銀(ここでも何も起こらなかったか) ホテルのカフェで独りごちる。ギリシャでも特に何も起こらず、観光だけで時間は過ぎた。 水銀(明日の昼には中国行きの便に乗るか) -- 名無しさん (2013-07-21 17:54:56) - アーチャー「……ふむ。仮に中国で何かあるとしてもだ。私の干将莫耶の元は中国。よりスムーズに事が運べるだろう」コトミー「油断大敵ではないのか?アーチャーよ」言峰は怪しげな『マーボー天国へようこそ♪ジュース』とやらをワインで飲んでいた。 -- 名無しさん (2013-07-21 20:42:53) - 黄金「大いに頼もしいな」 ワインを傾ける。 水銀「中国では殆どが移動時間になる……碌に交通網も出来ていない様な場所を目指すのでな。今までの観光とは……一味違うものになるかもな」 深い夜闇に目を向ける。 -- 名無しさん (2013-07-21 21:35:35) - シュライバー「ま、ぶっちゃけ僕らが負けることなんてないけどね」 ザミエル「慢心するな、シュライバー」 -- 名無しさん (2013-07-21 23:03:08) - 黄金「だがシュライバーの言うとおりだ。相手がだれであろうと私は負けんよ」 水銀「私も同意させてもらおう」 時は止まる事も無く、当たり前に夜は更ける。翌日もトラブルが起こることなく、ギリシャから中国への便は滞りなく飛んでいく。 -- 名無しさん (2013-07-21 23:06:56) - 司狼「バカスミは中国って場所のヤバさを理解してねぇからよ。黄金さんよ、カバー頼むわ」 ザミエル「遊佐司狼、貴様は……ハイドリヒ卿に敬語で申せ」 -- 名無しさん (2013-07-21 23:20:02) - 司狼「はぁ?今更それを言うのかい?お姐様よ」 水銀「まあ北朝鮮には行かないまでも、危ない場所なのは同じだからな」 -- 名無しさん (2013-07-21 23:20:57) - 黄金「どのように危険なのだ?司狼よ」 -- 名無しさん (2013-07-21 23:41:16) - 司狼はアイマスクを掛けながら、司狼「あ~……簡単に言うと、拉致がアメリカとかの比じゃないくらいに多いんだよ。だから女連中に男一人は絶対だ」 -- 名無しさん (2013-07-21 23:53:39) - シュライバー「ねぇねぇ、ザミエルは女のカウントに入るのかい?」 ベイ「入らねえだろ」 瞬間、ザミエルの裏拳がアイマスクを着けていたベイの顔面を殴っていた。 -- 名無しさん (2013-07-21 23:54:29) - マキナ「治安が悪いということか」 司狼「結構な。外国ならよくある話だが観光客はカモにされやすいんだよ、特にその辺の感覚が緩い日本人はな」 -- 名無しさん (2013-07-22 00:13:24) - 水銀「観光してる時間はないから、全員で固まって動く予定だが。用心はしておきたまえよ、犯罪者と言うのはどこで目を光らせているかわからんからな」 -- 名無しさん (2013-07-22 00:15:03) - 黄金「カールが言うと違和感しかないのだが?」 -- 名無しさん (2013-07-22 00:17:02) - マリィ「むしろ、凄まじい説得力を感じるよ」 -- 名無しさん (2013-07-22 00:20:05) - 全員(元というか、変態だけに) -- 名無しさん (2013-07-22 00:22:55) - 水銀「ああマルグリット……そのような眼差しで私を見るとは。ならばもう一度言わせてほしい。あなたに――」 -- 名無しさん (2013-07-22 00:23:20) - CA「お客様、他のお客様に迷惑が掛かりますので、お静かに」注意された元変態。 -- 名無しさん (2013-07-22 00:30:48) - ベア「むにゃむにゃ……少佐の処女~……むにゃむにゃ……駄目処女~……むにゃむにゃ」 ザミ「…………ギロッ」見ると、ベアトリスがアイマスクを付けた状態でぐーすか寝ており、寝言を呟いていた。 -- 名無しさん (2013-07-22 00:42:46) - 赤騎士の目と拳が光を放つ―――― -- 名無しさん (2013-07-22 00:46:53) - ベア「(な、なんでしょうこの悪寒は!?)」一瞬で夢から覚めたベアトリスは、アイマスクを恐る恐る外すと――赤い般若がいた。 -- 名無しさん (2013-07-22 00:53:49) - 黄金「ザミエルよ、その怒りはわからんでもないが。いちいち過剰反応しているようでは器が知れるぞ」 -- 名無しさん (2013-07-22 01:04:11) - ザミエル「うっ……し、しかし」ベア「( ´,_ゝ`)⊃」心の中で勝った!と雄叫びを上げていたベアトリス。 -- 名無しさん (2013-07-22 01:07:20) - 司狼(ぬるま湯に浸かり続けた結果だね~これ・・・・・・・) -- 名無しさん (2013-07-22 19:55:15) - そんなのカンケーないとコトミーは内心狂喜乱舞していた…………《中国四千年の麻婆豆腐》というチラシを握り締めながら(-.-;) -- 名無しさん (2013-07-22 21:58:44) - ジューダス「まったく、落ち着きのない奴らだな」ジューダスは復活していた。 -- 名無しさん (2013-07-22 22:54:39) - ジューダス「なぁ?アーチャー…………(゚Д゚;)!?」 ランサー、ギルガメッシュ諸共小さくなって震え泣いていた -- 名無しさん (2013-07-23 13:55:17) - 三人(言峰の目がヤバイ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(T_T)) -- 名無しさん (2013-07-23 16:50:39) - コトミー(中国四千年の麻婆豆腐……つまりこれとの邂逅を果たせば、私の真実がまた見えてくるというもの。さすれば、我が麻婆王国が咲き誇るというもの!これを探求せずしてなんとする(☆▽☆ )!!!!)心の中で本当に狂喜乱舞していた。 -- 名無しさん (2013-07-23 20:32:34) - 和哉「……」 未だ回復していない和哉は騒動など何処知る風で夢の中だ。 -- 名無しさん (2013-07-24 22:26:30) - ――――黒い獣は駆けていた。陽だまりの世界から、全身から血とも肉とも判別できないカケラを撒き散らし、必死の形相で駆け抜けていく。見るからに瀕死の獣は、自身の一部が欠ける事すら厭わずただただ必死に駆ける、いや逃げ続ける。 -- 名無しさん (2013-07-24 22:29:56) - 大地を大海を大空を大宇宙を、ひたすらに逃げて逃げて逃げ続けた先には――――何も無かった。己以外の何も感じ取れない世界に獣は居た。それでも、追いすがるものなど何もないというのに、獣は逃げ続けた。 -- 名無しさん (2013-07-24 22:32:04) - グチャリグチャリと汚物のように削れていく我が身を省みもせず―――ただただ、小さくなっていく獣。走って走って、どれほど走り続けたのか。元々は山よりも巨大だった威容は小型犬程も小さくなり、その足が止まったのは、その体が疾走に耐えかね二つに裂かれた時だった。 -- 名無しさん (2013-07-24 22:34:32) - ぐったりと倒れ伏す、獣の肉体。先程まで撒き散らした肉片は霧のように消え去っていくばかりだったが、最後の二つのカケラは未だ実体を保っている。一つは、半身になろうと尚前に進もうとし続け、もう一つはその場に留まると繭のような塊になった。 -- 名無しさん (2013-07-24 22:36:29) - 前に進む塊は、留まる半身に目を向けようともしない。ズルズルと少しづつだがその二つの距離は離れ、段々と進み続ける塊の姿が変容していった。その姿は―――― 和哉(……何だ、今の?) そこで、現実に引き戻される。 -- 名無しさん (2013-07-24 22:38:17) - 和哉(何ともおかしな夢だったな……) 呆けたように、窓の外に目を向ける。 和哉(中国までは……後、二、三時間ってところか) 迫る異国に心は引き寄せられ、ほんのひと時も立たずに先ほどの夢は不自然なほどきれいさっぱりと忘却の彼方に消える。 -- 名無しさん (2013-07-24 23:23:30) - 香純「どうかしたの?和哉」そこに、香純が心配そうに声を掛けてきた。 和哉「――――問題ない」 香純「けど、顔色真っ青だよ?」 和哉「……心配してくれてありがとう。大丈夫、だ」 -- 名無しさん (2013-07-25 01:23:01) - CA「お飲み物は如何ですか?(英語)」 和哉「ワインをくれ(英語)」 -- 名無しさん (2013-07-25 21:19:36) - グラスに並々と注がれたワインを躊躇なく一気に飲み干す。 和哉「もう一杯」 二杯目も同様に飲み干した。 -- 名無しさん (2013-07-25 22:12:36) - 七夜「飲み過ぎるなよ?和哉」 和哉「飲みすぎねえよ……この程度じゃ」 -- 名無しさん (2013-07-25 22:19:13) - 蓮「おい、流石に……」 和哉「……俺、もうちょい寝るわ、着いたら起こしてくれ」 会話を打ち切り、酒気を帯びたまま眠りに就く。今度はなにも夢見る事は無かった。 -- 名無しさん (2013-07-25 22:23:07) - ギル(…………ふむ) 何かに気づいたが、流石にいつもの感じではなないと踏んだギル王は、眠った……夢で麻婆で覆いつくされ、言峰に永遠と食わされ続ける夢を見たのはご愛嬌だ。 -- 名無しさん (2013-07-25 23:11:15) - …………次の日。 香純「中国に到着~!」 玲愛「はいそこ、暴れない」 ベイ「誰か付いておいてやらねぇとあぶねえな、おい」 青子「中国か……何年振りかしら」 ランサー「来たことあるのか?」 青子「そこの腐れ妹と喧嘩した後放浪しててね……その時に来たことがあるのよ」 -- 名無しさん (2013-07-25 23:13:05) - 橙子「何か言ったか?無駄に胸に脂肪と栄養が行き過ぎた脳筋女(#^ω^)?」 -- 名無しさん (2013-07-25 23:13:48) - 青子「あれ~?聞こえなかったのかしら~?知恵ばかり付きすぎて残念なスタイルになった可哀想な妹ちゃ~ん(#^ω^)」 男共「怖ぇよ(ノД`)」 -- 名無しさん (2013-07-25 23:16:41) - 水銀「時間が無いからとっとと行くぞ」 和哉「同感だ……『奴』も二週間は待つだろうが、一秒でも過ぎたらあっちから来るだろうしな」 騒ぐ一同を促す。 -- 名無しさん (2013-07-25 23:24:19) - 黄金「然り……カールよ。この国の奥に行くのであったな?」 水銀「ああ、そうだ。まあ何もなければよいのだがな。残り一つを残すだけあって、妙な感じがこの国からしているのだよ」 ベイ「あん?妙だ?変態の勘か?」 -- 名無しさん (2013-07-25 23:25:54) - 水銀「これは私――座の主としての勘だ、ベイ」 ベイ「…………ということは」 マキナ「何かが、この国にはいるということか?」 エリー「まぁこの面子なら万が一もないし、平気でしょ?ねぇ、ザミエルさん」 ザミ「当然だ」 -- 名無しさん (2013-07-25 23:26:56) - 水銀「では行くぞ、最初に言うが目的地は碌に交通網も無いド田舎だ。途中までは電車とバスの乗り継ぎで行くが、道程の半分以上は歩きだと思いたまえ」 -- 名無しさん (2013-07-25 23:33:28) - ブラッド「ふむ……そういうことなら、気を付けます」 蓮「マリィ、俺から離れるな」 マリィ「うん」 コソコソ ベイ&シュライバー「ん?」 そこに、影でコソコソ隠れる者と、普通に人ごみに紛れながらも彼らの荷物を狙う視線を感じた二人。この手口はプロの犯行だ。 -- 名無しさん (2013-07-25 23:35:46) - ベイ(一、二、三、四……) シュライバー(隠れているのが二人、か……ま、返り討ちにするけど) 気づいていないフリをしながら最後尾へ移った二人。 -- 名無しさん (2013-07-25 23:36:52) - そして、まずはコソコソ隠れていた二人の男が速度を上げて、途中で早歩きをしながら左右から香純と螢のカバンへ手を人ごみに紛れながら出し、奪おうとした。 -- 名無しさん (2013-07-25 23:38:08) - ジューダス「おっと、失礼」 わざとらしく、しかし回避不能の速度でジューダスの足が男たちを転ばせる。 -- 名無しさん (2013-07-25 23:40:40) - 二人「ぐっ!何をする(中国語&朝鮮語)」 -- 名無しさん (2013-07-25 23:41:16) - 周りに聞こえるようにワザと大きな声で叫ぶ二人l。被害者を装うつもりだ。 中国人「頭をお陰で打ったじゃねぇか、あん!?(中国語)」 -- 名無しさん (2013-07-25 23:42:06) - 朝鮮人「しかもワザとだろ、あん!?(朝鮮語)」 和哉「……と言ってるが?ジューダス、ベイ、シュライバー」 -- 名無しさん (2013-07-25 23:42:44) - ジューダス「あっ」 ジューダスが驚いた体で不意に横を向くと、男二人もつられる。 「あんだ!! ……? 居ねえ……」 男二人が視線を戻す頃には、一団の姿はどこにもなかった。 -- 名無しさん (2013-07-25 23:44:07) - 中国人「な、なんだ!?」 朝鮮人「何処に消えやがった!!」 ……空港から離れた市外にて、一同は移動していた。 水銀「面倒事はご免だよ」 -- 名無しさん (2013-07-25 23:45:04) - 蓮「まったくだ」神父「世の中、変人が多くて困りますねぇ」言峰「まったくだ」 -- 名無しさん (2013-07-25 23:45:53) - 水銀「では、予定外の邪魔はあったが気にせず行こうか」 水銀が示す、都心部から離れた辺境のルートを通り、文字通り面倒事を避ける最短ルートで目的地に向かう。 -- 名無しさん (2013-07-25 23:46:44) - 司狼「しっかし、本当に田舎だな、おい」 -- 名無しさん (2013-07-25 23:50:29) - 見る限り、どんどん都会から離れ、完全に日本の田舎と同じように、だが確実に腐敗している田舎や集落ばかりがあった。 -- 名無しさん (2013-07-25 23:51:06) - 黄金「次はどうするのかね?」 水銀「次はバスだ。まだまだ道のりは遠いぞ」 -- 名無しさん (2013-07-26 00:05:24) - 水銀「とりあえず、今夜はバスで行ける一番奥の村に泊まる。明日以降はひたすら足だ、まあ、諸君の健脚なら8時間ほどで目的地に着くだろう」 -- 名無しさん (2013-07-26 02:59:58) - 黄金「了解だ」 水銀「……随分と機嫌が良いな獣殿」 黄金「ああ、目的のものは私に縁あるものかもしれん……慣れ親しんだ楽器の様な感覚を覚える」 -- 名無しさん (2013-07-26 03:08:43) - アーチャー「楽器?ベイオリンかね?」 ベイ「へ(゚Д゚;)!?」 -- 名無しさん (2013-07-26 08:50:29) - 黄金「あんな巫山戯た玩具とは比較にならんよ」 -- 名無しさん (2013-07-26 12:07:36) - ベイが砕けた。 ベイ(なんだろう……安心したと当時に玩弄されてた事実に心が痛ぇ(ノД`)) -- 名無しさん (2013-07-26 23:22:22) - 神父「今までそうでしたでしょうが……何を今更(-.-;)」 マキナ「だが、お前に慣れ親しんだ楽器となると……」 -- 名無しさん (2013-07-26 23:23:03) - 黄金「楽器はまあ例えだ、実際はどんなものかは見てみない限りわからん」 -- 名無しさん (2013-07-27 01:25:15) - そんなこんなで徒歩で今度は移動していると、黄砂で視界が悪くなってきた。 香純「なに、これ……視界が」 蓮「俺のマフラーを使え」 蓮が己のマフラーを渡した。 司狼「視界が悪化してきたな」 エリー「まるで砂漠じゃん」 -- 名無しさん (2013-07-27 01:34:37) - ジューダス「中国ってのはどこでもこうなのかい?」 -- 名無しさん (2013-07-27 01:44:34) - 螢「そういうわけじゃないけど……」 橙子「(おい水銀。微粒子なのだが、魔力が微かに混じってる……どこかこの砂を凌げる場所を探してくれ。視界が流石に悪すぎるぞ)」 -- 名無しさん (2013-07-27 01:48:43) - 水銀(承知している。しかし、この魔力何者かが意図的に引き起こした現象ではなさそうだ……何か強い力の影響を受けているのか?) -- 名無しさん (2013-07-27 02:25:11) - 司狼「おい、今夜泊る村ってあそこか?」 疑惑を持ちながら行軍する中で、司狼が視界に村らしき影を捉える。 -- 名無しさん (2013-07-27 03:33:48) - 黄金「シュピーネ、偵察して参れ」 シュピーネ「ヤヴォール」 颯爽と走っていき、確認してきたシュピーネ。 シュピーネ「少々ボロくはありますが、問題はないでしょう。魔力などは感じませんでした」 黄金「ご苦労……では参るとするか」 水銀「私がこの人数で行けるか交渉をしてみるとしよう」 皆を引き連れ一つの集落へ入って行った。 七夜「……妙に視線を感じるな」 ベイ「あぁ……ビリビリとした視線も混じってやがるな」 シュライバー「僕らをカモだと思ってるんじゃない?」 マキナ「それもあるだろうが……怯えを感じるものもあるな」 多数の視線に気づいた集団ではあったが、家から人が出てくる様子がない。それどころか、この黄砂に怯える感じがあった。 -- 名無しさん (2013-07-27 09:25:28) - 水銀「村長と思う人物を探すのも、これでは手間だな」 言峰「ふむ……困りましたな」 ???「そこの客人、どうかしたのか?」 そこに、視界が悪化していて気付かなかったが、村の家の一角の隅にフードを頭から被って座っている男の姿があった。 ブラッド「なんだ?今のは……日本語か?」 青子「のようね」 黄金「卿……済まないが、村長はどこにいるのか知っているかね?」 ???「……村長なら左に曲がった先にある家に住んでいる」 それだけ言うと、男は立ち上がって去っていく。 だが、和哉は男のフードの隙間から僅かに見えたブツに気づいた。 和哉(あれは……セルケトの杖?) 司狼「どうした?行くぞ」 和哉「……ああ」 -- 名無しさん (2013-07-27 09:29:33) - ……村長「そういう事情ならば、一晩だけ宿をお貸ししましょう(中国語)」白髪の老人こと村長がメルクリウスの願いに頷いた。 -- 名無しさん (2013-07-27 10:27:06) - しかしと村長が付け加える。 村長「四つ、守っていただきたい事があります。一つは今夜は宿から一歩も出ない事、二つ目は朝にはすぐ村を出る事、三つ目は村人とは決して接触しない事、最後に村の外ではこの村の事を一切他言しない事」 -- 名無しさん (2013-07-27 14:16:23) - 和哉「ん?」 ギル「何?」 ジューダス「ん?」 勘の良い連中がその言葉に疑念を抱いたのは言うまでもない。 -- 名無しさん (2013-07-27 14:20:43) - 黄金「どういう意味かね?」 村長「言葉通り……守れるか、否か……」 ベイ「てめぇ……」 メルクリウス「よい、分かった(ここは退け、ベイ)」 -- 名無しさん (2013-07-27 14:28:32) - 村長「面倒だとは思いますが、この村は昔から外との接触を極力断っている故……自由な世界で生きる者には窮屈でしょう、しかし古い掟には従ってもらわないと困るのです」 申し訳なさと――僅かながらの羨望を滲ませた言葉だ。 -- 名無しさん (2013-07-27 14:52:46) - 七夜「まあそれはいいとしてだ……この黄砂は一体何なんだ?」 香純「なんか、普通じゃない気がするんですけど」 村長「この黄砂はここ最近、ある現象が原因で可笑しくなっているのです」 -- 名無しさん (2013-07-27 15:01:12) - ジューダス「何があったんだ?」 村長「二、三カ月程前でしたかな……砂漠の空に夜空を照らすほどに眩い黄金の光が落ちてきたのです。その光がどこから来てどこに落ちたのか詳細が分かるものはいませんが……その夜から黄砂は今のようになりました」 -- 名無しさん (2013-07-27 15:06:28) - 司狼「何が落ちたのか確認したのか?」 村長「いえ、砂漠の中のどこに落ちたのかもわからずに足を踏み入れるのは危険ですので、今まで静観しておりました。それに何か余計な災いを呼び込むのではないかと、村の噂もあいまりまして……」 ポツポツと村長は語る。未知への恐怖を滲ませながら。 -- 名無しさん (2013-07-27 15:51:05) - その後、宿として宛がわれた一軒家に案内される一同。流石にこの大人数を収納できるほどの家は無く、男女それぞれに2軒づつだ。 -- 名無しさん (2013-07-27 16:06:28) - マキナ「どう見る?」 七夜「どうって……なぁ」 ベイ「この国で砂漠化してるのが……え~と」 司狼「昔の三国の内の魏があった場所……洛陽だ」 蓮「そこに落ちたということは」 水銀「そこが基点だな」 -- 名無しさん (2013-07-27 16:35:30) - 黄金「加え、この現象に魔力が混じっている……となると」 シュピーネ「この現象に何者かが途中から手を加え、少しでも維持をしている……といった具合ですかね」 戒「だとしても、この黄砂が普通じゃないということはよく分かったよ」 -- 名無しさん (2013-07-27 16:36:34) - 水銀「私の読みではこの黄砂、人為的な要因は無いと見るがな」 -- 名無しさん (2013-07-27 17:05:19) - マキナ「どういう事だ?」 水銀「何か強い力……落ちてきた黄金の光とやらだと思うが、それが周辺に影響を与えているのだろう。ただあるだけで周囲に影響を与える力ある存在」 -- 名無しさん (2013-07-27 17:13:40) - 蓮「おい、軍勢変生なんて言うなよ?だが、周囲に影響を与えるということは」 ……女性陣。 ザミエル「恐らく、覇道の持ち主なのだろうな」 アンナ「その根拠はなんなの?ザミエル」 -- 名無しさん (2013-07-27 17:45:07) - ザミエル「己の法則で世界そのものを塗り替えるのが覇道だ。求道の性質ならばどれほど力が強くともこれほど広範囲に影響を与える事は出来まい」 エリー「確かに、この黄砂の広がりっぷりは尋常じゃないわ。多分、この国全部を巻き込んでるかも」 -- 名無しさん (2013-07-27 18:00:15) - マリィ「あ、見て」 指差すと、旧式のテレビが突然映し出されると、中国各地で黄砂による被害が拡大していた。しかも、蝗に蛙などが大量発生していた。 螢「間違いないわね」 ベアトリス「ええ……これほどの影響を及ぼすのは少佐の言う通り、覇道以外ありませんね」 霧咲「しかも、尋常じゃないぐらい強いでしょ」 -- 名無しさん (2013-07-27 19:00:38) - この映像は男たちの部屋のテレビでも同じのが映し出されていた。 -- 名無しさん (2013-07-27 19:01:08) - ジューダス「蠅の野郎じゃないようだが、善悪でいうなら悪の覇道だな。本意であれ不本意であれ」 アルフレッド「メルクリウスよ……洛陽までは、ここからどの程度の時間が掛かるのだ?」 -- 名無しさん (2013-07-27 19:02:59) - 水銀「おおよそ半日程度、滞りなく進めばだがな」 -- 名無しさん (2013-07-27 19:19:10) - 蓮「この状況下じゃ滞りありまくるだろ……ん、どうした和哉?」 見れば和哉の様子がおかしい。多量の脂汗を滲ませながら震えている。 -- 名無しさん (2013-07-27 19:27:41) - 和哉「いや、なんか……寒くてよ」 震えながらも何とか答える。 水銀「……何か心あたりでもあるのか?」 水銀の質問にビクリと和哉の体が震える。 和哉「なんにもねえよ、何もわからない……あれが何なのかなんてよ」 答えは真実なのだろう。何時も飄々としている風体からは考えられない程ありありと困惑が浮かんでいた。 -- 名無しさん (2013-07-27 19:30:31) - 黄金(尋常ではない、余程の事態らしい) 水銀(この様子では下手に詮索しても無意味か) 一同暗黙のうちに同意したのか、この件の追及はひとまず止めた。 -- 名無しさん (2013-07-27 19:51:23) - 和哉(まさか……黑鐵じゃない。これは……いいや、そんなことがあって堪るか) 歯を食いしばり、爪を深く腕に食い込ませていた。まるで、己を戒めるかのように。 -- 名無しさん (2013-07-27 19:53:48) - ………… 「なんだ……この感覚は」 白い世界に泰然とたたずむ少年もまた、恐怖の相を瞳の奥に宿らせる。その姿を見つめる従者らしき影はただ沈黙を守る。 (先日の夢の件に、此度の異変……やはり限界は近いようですね。この様子では『真実』を知った時にどうなるか……) -- 名無しさん (2013-07-27 19:55:38) - 「どうなさいました?」 「……お前は『まだ』知らなくてよい。だが、もしもの場合は……出る準備だけはしておけ。万が一(・・・)に備えて、な」 -- 名無しさん (2013-07-27 19:57:02) - 含み或る言い方だが、その中に紛れている感情に従者はただ静かに頷いた。 ……ブラッド「ふむ……ではどうなさいます?」 水銀「このまま寝るのがいいだろう」 司狼「なんだよ枕投げしないのかよ?お願い一生のお願いだよ」 蓮「分かったよじゃあその枕貸してくれ」 司狼「はい」 ポン 蓮「はい。じゃそういうことで」 司狼「待てぇ~!ワンスルーのみってお前!こっちは一生のお願いを使ったんじゃボケ~!」 蓮「黙れ太子、黄河にでも泳ぎに逝け」 -- 名無しさん (2013-07-27 19:57:51) - 蓮「わかったよ、ほら」 超高速で投げつけられる枕。 司狼「ひでぶ!?」 一瞬で眠りの世界に落とされる。 -- 名無しさん (2013-07-27 19:59:11) - 皆(騒がしい奴だ;) -- 名無しさん (2013-07-27 20:06:01) - ……皆が就寝した頃。和哉は皆にバレないように一人廊下に出ていた。 出ないといった以上は出ないが、寝付けないで廊下で黄砂が吹き荒れる中、夜空を見上げていた。 -- 名無しさん (2013-07-27 20:06:47) - 黄金「寝付けないのかね?」だが、黄金は皆に音もなく廊下に出て和哉の隣に静かに立った。 和哉「寝てろよ、ハイドリヒ。明日も忙しいだろうさ」 -- 名無しさん (2013-07-27 20:08:04) - 黄金「なあ、和哉よ……君が模倣神の力を失ったというのは嘘だろう」 忠告に対し、率直な質問をぶつける。 和哉「……何時から気づいてた?」 -- 名無しさん (2013-07-27 20:10:01) - 黄金「ここ最近……ではあるな。少なくとも、日本にいる間は気付かなかったさ」 -- 名無しさん (2013-07-27 20:11:06) - 和哉「……その様子じゃメルクリウスも気づいてるか…………そうだよ、俺は模倣神の力を、流石に完全じゃないが残してる」 -- 名無しさん (2013-07-27 20:11:43) - 黄金「結局解脱は果たせなかったわけか」 和哉「ある意味では当然だけどな……」 -- 名無しさん (2013-07-27 20:12:18) - そこで和哉は不意に目へ指を動かし、コンタクトを外すと――赤い双眸が爛々と輝いていた。 和哉「親父にもバレないようにしてたんだがな……お前ら、天才過ぎるぞ」 -- 名無しさん (2013-07-27 20:12:49) - 黄金「そういうな。卿が望んでそうなってもいるのだろう?女神を守護する者として、な」 和哉「護るために身に着けた武装でもあるからな。仕方ねえさ……俺の渇望が消える時は、俺が消える時だ」 -- 名無しさん (2013-07-27 20:14:03) - 黄金「むしろ己の愚鈍さにあきれるよ、解脱したというのにある程度の異能を残していた時点で、紛い物だと気付くべきだったよ」 和哉「手厳しいね」 -- 名無しさん (2013-07-27 20:14:50) - 黄金「だが、卿はそれでよいのだろう……それより、本題に移ろう。コレはなんなのだ?」 和哉「……親父の推測は正しいだろうさ。黑鐵の仕業じゃない以上、こんなことを起こせるのはあの『女』しかいないだろうさ」 黄金「以前話をしていた特別過ぎる存在か?」 和哉「お前の愛でも包み切れない存在だよ」 -- 名無しさん (2013-07-27 20:41:17) - …… 「少しばかりここを空ける。留守は任せる」 言うやいなや、少年の目の前の空間が歪む。 「まだ時は満ちておりませんが……」 「『アレ』は私の目論見にはそぐわないイレギュラーだ。消しておくに越したことはあるまい……なぜ蘇ったのかはわからんがな」  -- 名無しさん (2013-07-27 20:53:00) - 「……この異変は彼女が起こしたと? まだ確定はしておりませんが……」 「お前にはわからなくとも私にはわかる。間違い無く奴だ」 断言する少年。 「さようでございますか」(異変の原因は……いや、進言したところで意味は無いか) -- 名無しさん (2013-07-27 20:54:55) - 「では、いってくる」 言い残し、姿を消す少年。従者は黙して見送った。 (彼がそうだというのなら万象は間違いなくそうなのでしょう……とはいえ、これは良い流れとは言い難い。どう転んでも博打以外の道はあり得ませんか……難儀なこと) 従者らしき影は沈黙のまま虚空を見やる。その視線を気にも留めない少年は永劫気づくことは無いだろう、その視線の内の憐憫と失望に。 -- 名無しさん (2013-07-27 20:56:58) - …… 「さて、何時ぶりかな、この世界に降りるのは……彼らに会う前に奴とのカタをつけんとな」 -- 名無しさん (2013-07-27 21:09:21) - 雲よりも高い空に降り立った少年は眼下の世界を睨みつける。 -- 名無しさん (2013-07-27 21:18:07) - 「ま、これ以上あいつらを停滞させてもらうのも困るしな……早々にケリを着けるとするか」 そして、瞬時に砂漠化した風景のド真ん中に降り立った男は、周りを睥睨して指を鳴らした。 それだけで、あたりの風景が風で吹き飛び、綺麗な夜空と都市一つ分が砂漠と化したかつての都――洛陽の中央に立った。 -- 名無しさん (2013-07-27 21:37:36) - 「さぁ……微睡むのもそこまでだ。出てこい――静(しずか)」 -- 名無しさん (2013-07-27 21:38:57) - 虚空へと声を驚かせると――目の前で砂塵が唐突に発生した。そこから溢れる魔力と霊気と闘気と殺気と神気は間違いなく彼らクラスでありながら、揺るがない。和哉がかつて言っていた評価は嘘でも過大評価でもなく――事実その通りなのだ。 -- 名無しさん (2013-07-27 21:40:17) - 巻き上げられた砂塵が引き裂かれる。そして、殺意が向けられた先から巨大な四足獣が現れる。 -- 名無しさん (2013-07-27 21:49:53) - 「――――――――」 「久しいな静……そんな成りになってまで来るとは驚きだがな」 -- 名無しさん (2013-07-27 21:50:42) - 「GAAAAAA!!!」 少年への返答は、殺意交じりの獣の咆哮だ。 「……心を失ったか? さりとて、元々再開を懐かしむ気も無いんでな――――消えろ」 -- 名無しさん (2013-07-27 22:06:44) - 無慈悲に告げると獣の足元から暴風が吹きあがる。暴風は竜巻となり、獣の肢体を塵とかえる。断末魔を挙げる余地すらなく塵に還っていく獣の影は人間の女性を模っているように見えた。 -- 名無しさん (2013-07-27 22:22:26) - 「終わったな」 少年は静をこの手で魂すら残さず消滅させた事を、確かな手応えとして感じ取る。 -- 名無しさん (2013-07-27 22:23:49) - だが。 「――おかしいな、異変が止まらない?」 世界に起こる異変は止まらない、それどころか勢いを徐々に増している。 「ふむ、静はまだ生きているのか?」 少年が疑惑を持った瞬間。確かに搔き消えたはずの静の魂を感じ取る。 -- 名無しさん (2013-07-27 22:25:29) - 「ああ、やはりか……面倒だな、どうにも」 疑惑を持った瞬間、不自然なほど唐突に感じ取ることが出来た。意識するまで全く何の痕跡も存在していなかったのにだ。しかし、少年は疑問を持つことも無い。ただ、現れたそれを消すことだけが頭にある。 -- 名無しさん (2013-07-27 22:27:14) - 「では、滅ぼすとするか」 空間を飛び越え、静の魂を滅殺にかかる少年。しかし、殺しても殺しても異変は止まらず、少年が疑惑を抱けば、何度でも静は復活した。 -- 名無しさん (2013-07-27 22:28:43) - そんなイタチゴッコを数億回程繰り返した時には、既に夜が明ける直前だった。 -- 名無しさん (2013-07-27 22:29:22) - 「やれやれ、面倒な事だ……仕方あるまい、対処は彼らに任せるか」 タイムリミットを感じたのか、少年はあっさりと姿を消した。 -- 名無しさん (2013-07-27 22:43:38) - …… 和哉「目的地に着く前に言っておくぞ、今回の異変。原因は間違いなく静――前に言った特殊な覇道の持ち主だ」 夜が明け、村を出発した直後、和哉が断言する。 司狼「そりゃ、何とも厄介そうだな」 一同はすんなりとその言葉を受け入れた。原因の異変は静であると。 -- 名無しさん (2013-07-27 22:45:46) - 進軍しながら、和哉は静についての特性や危険性を改めて一同に語る。 黄金(聞く限り、私が感じた感覚とはまるで異なるな……私の思い違いか、和哉の言葉ならば信には足る) 水銀(ふむ……神格や異能者ではなく、何か聖遺物のような力ある器具が原因だと思っていたのだが……彼の言葉なら、まあ私の思い違いだろう) 黄金と水銀も自分が感じた違和感を間違いと断じ、静を原因として対策を考え始めた。 -- 名無しさん (2013-07-27 22:48:44) - 和哉「絵に描いたような万能の存在だが、必ずアイツにも『歪み』があるはずだ。その歪みの対処に俺は手を焼いているんだがな」 ベイ「確か、殺せなかったんだろ?」 和哉「意味不明な超越した力でな……親父の変態性よりヤバイな、あれは」 -- 名無しさん (2013-07-27 23:05:52) - マキナ「死なない不滅の存在か……確かにふざけているな」 司狼「しかし、どうあっても殺せず迫ってくる存在か……まるで自滅因子だな」 なんの気なしに呟く。 -- 名無しさん (2013-07-27 23:48:59) - 和哉「……自滅……因子?」 心底驚嘆したのか、思い切り表情に出して驚く和哉。 -- 名無しさん (2013-07-27 23:55:59) - 水銀「私の自滅因子がハイドリヒ、息子の自滅因子がゲオルギウス。共に相克しているはずなのに何故か惹かれ合う……獣殿の意志を受け継ぐあの少女のようにな。であろう?ザミエルよ」 -- 名無しさん (2013-07-27 23:58:05) - ザミエル「……覇吐と烏帽子殿、か」 水銀「あれはかなり特殊な例だが、あれもそうだ」 黄金「高所に立てば墜落を、刃物を持てば自傷を……人は忌避し、しかし求める」 マキナ「総て自滅の渇望だ」 -- 名無しさん (2013-07-27 23:59:39) - 水銀「しかし、相当な回数の殺し合いをしていたのだろう。自滅因子だと気付かんのは不自然ではないか? 模倣神であるならば、その特性は当に理解しているだろう」 和哉「そうだ……前例があるのなら、俺に気付けない筈が……」 狼狽しながら語る和哉。 -- 名無しさん (2013-07-28 00:09:40) - 和哉「いいや……なら何故『今』俺は気付いた?そもそも、何故この世界で『思い出した』?いいやそもそも、このような事態にならないように『徹底的』に消したはず?」急に自問自答を繰り返し始めた和哉。ワナワナと身体が震えだしていた。 -- 名無しさん (2013-07-28 00:16:18) - 和哉「なんだ?何を俺は『忘れている』?幾星霜も殺し合いを続けたはずなのに、何故気付かなかった?」 司狼「落ち着け!」 肩を強く掴まれ、和哉が我に返った。 和哉「はっ!?」 -- 名無しさん (2013-07-28 00:17:28) - 和哉「すまない……ちょいと取り乱しちまった」 何とか平静を取り繕おうとするが、青ざめた顔色は戻らない。 -- 名無しさん (2013-07-28 00:27:53) - 香純「うんしょっと」 さりげなく香純が和哉の汗を拭ってくれていた。 香純「私たちがいるから、大丈夫だよ♪」 和哉「……香純」 マリィ「もう死ななくていいんだよ……みんな、私が抱きしめるから」 和哉「ははっ……俺はいいさ。蓮たちを抱擁してやれば、それでいい」 マキナ「(どこまでも自己犠牲な男だ)」ザミエル「(だからこそ、己が神の器でないことを弁えているのだろう)」 -- 名無しさん (2013-07-28 00:31:12) - 和哉「よし、少しばかり話そう」 今は水銀が亜空間に用意しておいたSFに出てきそうな車に皆を乗せて走行中だった。 -- 名無しさん (2013-07-28 00:32:32) - 和哉「波旬より面倒な奴の名は『久遠静(くおん しずか)という。本来は求道の渇望を抱く、清らかな女だった。だが、いつからかあいつが俺に対して一方通行な恋慕を抱き、それが歪み破綻していった。俺がマリィ、香純に愛を捧げていたのをどうやって知ったからは知らない。だが、それに気づいたあいつは完全なる自己愛と狂愛に目覚め、それでいて己を見失わず、冷静であり続けながら俺を求めた――殺し愛をして己の愛を証明させるために、な」 -- 名無しさん (2013-07-28 00:35:26) - ベイは眉根を顰める。 -- 名無しさん (2013-07-28 00:37:14) - 司狼「何時からか……つーけど、お前模倣神になってからは回帰やらなんやらで訳わからん位の時間過ごしてんだろ? 模倣神になる前の話か?」 蓮「考えてみりゃ、お前が模倣神になる前とか殆ど知らねえな」 -- 名無しさん (2013-07-28 00:42:58) - 和哉(……そういや話して無かったか………………いや、違うなそもそも俺は生まれたときから模倣神だ) その辺りを説明しようとして、端と思い出す。自分はメルクリウスやマリィと同じ生まれつきの神格で、厳密に人として生きた時間は無い。模倣の特性で人としての生活を知っているだけだと。 -- 名無しさん (2013-07-28 00:44:58) - 和哉「いや、俺は生まれたときからの神格って奴でよ……模倣神になる前とかねえんだわ、あいつとは何時かのループか何かであったんだろう」 -- 名無しさん (2013-07-28 00:45:48) - シュライバー「漠然としてるね~どうも」 アルフレッド「要領を得んのだが」 -- 名無しさん (2013-07-28 00:47:04) - 和哉「あ~つまりだな、俺という個体の人生は親父と同じく『渇望』が起因で神性を宿していたんだよ。だから、俺が人という人生を謳歌した時代は…………あ~、ないな」 -- 名無しさん (2013-07-28 00:48:08) - 蓮「あれ? お前、模倣神になる前に手に入れた力がどうとか前に言ってただろ」 司狼「魔術だったか、神炎だったかだよな」 疑問を露わにする二人。 和哉「……そうか? まあ、メルクリウスと同じで俺も忘れちまったり、勘違いする事は多いんだよ」 回帰の影響だろうと語る。 -- 名無しさん (2013-07-28 00:48:45) - アーチャー「面倒なことだな;」 -- 名無しさん (2013-07-28 00:50:53) - 和哉「言うなよ;まあ、あの時話をした内容は間違いなく本物だ。だが、俺が『原初(はじめ)』て俺という存在を観測したのがまた並列世界でよ……迷走しちまってるが、ただ言えるのはどの世界の己も『渇望』は一緒なんだよ」 -- 名無しさん (2013-07-28 00:52:08) - 何にでもなれる変幻自在な渇望――模倣。他人を真似て、他人のように動き、他人のように試行し、他人の能力を真似て、他人の言語を模倣し、他人の思考を称賛しつつも真似る。総て総てが【他者】という存在がいて成り立つ渇望だ。 -- 名無しさん (2013-07-28 00:53:41) - 水銀(裏を返せば、他人がいてこそお前が成立していることになる)」黄金「(私と同じくな……迷走してしまっているのは、その原初の己がどれだか分からなくなってしまっているからだろう)」二柱は心の中で考えていた。 -- 名無しさん (2013-07-28 00:54:56) - 水銀「まあ、座と言うのはそもそも時間軸や世界軸のような理屈云々を超越してしまう特性があるしな」 蓮「元祖意味不明が言うと説得力が凄いな」 -- 名無しさん (2013-07-28 00:55:51) - 和哉「そうだな……理屈だけで全てを決められるわけでもない……あいつにも自滅因子と判らせない能力でもあったのかもしれない。自滅因子だと分かれば、模倣の特性で対処できちまうし」 そうやって、『納得できそうな理屈』に当てはめると、和哉の不安も大きく和らいだ。何も心配する事は無い、おかしい事など無いのだと。 -- 名無しさん (2013-07-28 00:59:13) - …… 「奴が自滅因子?」 一同を観察していた少年も、表面的にはともかく、内面は激しく動揺していた。 「ならば……なぜ、気付かなかった? いや、それよりも何故克服できない?」 無限にも思える模倣体験の中には、自滅因子と相対した経験もそれを克服した経験も数限りなく存在する。だというのに、今の今まで静が自滅因子と言う事実にすら気付く事が出来なかった。 -- 名無しさん (2013-07-28 00:59:32) - だが、和哉の言葉で平静を取り戻す。 「そうさな、自滅因子であるならば……私の特性を回避するくらいは造作も無いだろう」 そして、平静を取り戻したならば、静への対処法も完璧に導き出せる。これで、『自滅因子』を克服したと少年は確信を持つ。阻む障害はもはや無く、ありし姿への回帰はなるのだと。 -- 名無しさん (2013-07-28 01:01:30) - だが、 「…………ふむ」従者の存在が溜息を零した。 -- 名無しさん (2013-07-28 01:02:53) - 「気付かれたか……堕落したものですな」 「なに?」 意外や意外。あの従者が意見を申し立てたのだ。ただ、問題があるとするなら――そこには侮蔑に羨望が混じっていることだ。 -- 名無しさん (2013-07-28 01:03:54) - 「どういう意味だ?」 「別段可笑しな意味ではありませんよ。ただ、座の交代劇に三つ巴を繰り広げていたはずのあなたが気付かない……違和感に気づいていなかったのも、あなたが分離したせいなのですよ。『本来持つはずの機能』が消えてしまっているのですから」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:05:07) - ドクンッ! 「――――何者だ、おまえは」 最大の警戒態勢に入った少年は、黒衣を羽織り彼の称号を名乗る姿へと変わった――青年、黑鐵へと。 -- 名無しさん (2013-07-28 01:06:07) - 黑鐵「今まで敢えて見逃していたが……お前はいつから俺の傍にいた?」 「これにも気づいていなかった……わたくしが『触覚』であることに」 黑鐵「!?」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:07:14) - 「といっても、私はしがない旅人ですよ……別世界からのね」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:07:56) - 黑鐵「別世界……?」 「貴方の支配領域に無い世界……有体にいえば『貴方が模倣したこの世界』のオリジナルからやってきました」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:08:56) - 黑鐵「私が……模倣した世界? 何を言っている?」 「やはり忘れていましたか。この世界も、あそこに居る神格達も――全て貴方の模倣品だということに」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:09:52) - 黑鐵「――何?」 「信じはしないでしょうが言わせていただくならば、貴方はね……本来はただの感応者でした。ただ、神や並行世界まで手を伸ばせるほどの」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:11:07) - 「そして、感応した相手の記憶・感情をコピーのように写し取る事が出来た…………本来はそこで終了、貴方はただの観測者にすぎなかった」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:12:10) - 「しかし、黄昏の世界、第五天でしたか? あの世界に生きていた貴方は、ひょんなことから神の特性をコピーすることに『成功してしまった』」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:13:23) - 「神の特性……即ち、己の渇望で世界を染め上げる事で万物の根源たる座に到達する力……と言っても、貴方の力そのものは本来どうしようもなく下級。三神格からすれば息吹き一つで消し飛ぶほどはかない……そこを女神に救ってもらっていた」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:15:14) - 「ただ、盗み見るだけならばと、座とのアクセスを女神に見逃されていた貴方は、女神に害をなさないならと水銀たちにもお目溢しをいただいていました」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:16:56) - ……和哉「!?!?!?」 パチン! マリィ「……ほえ?」 不意に、和哉は己に触れるマリィの手を弾いていた。 -- 名無しさん (2013-07-28 01:17:43) - 蓮「は?」司狼「んだ?」水銀「ん?(なんだ、この和哉の冷や汗と気の乱れ方は?)」和哉「――――――――なん、だと」愕然とする和哉は、皆から距離を取り始めていた。 -- 名無しさん (2013-07-28 01:18:38) - 「そうして、貴方は遍く世界の記憶を盗み見ることに成功する……しかし、そんな平穏は続かない。あの邪神の襲来によってね」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:19:23) - 黑鐵「――――第六天、波旬か」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:20:03) - 本来黑鐵と離れている和哉には聞こえるはずがない。だが、黑鐵の動揺が和哉と同調する波紋を緩くし、聞こえてしまっていたのだ。感覚によるものだ。 -- 名無しさん (2013-07-28 01:20:13) - 「邪神の襲来による未来は二通り、一つは水銀の回帰による新たな第四天の始まり、もう一つは黄昏の敗北からの邪神が支配する第六天、邪神を打ち滅ぼし創世をなした第七天への物語」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:21:26) - 「本来、断絶された二通りの未来。貴方は座のアクセスによって双方の未来を盗み見る事が出来た。しかし、それまで水銀が回帰した未来では因子を消滅させられ、第七天に続く未来では天魔の法に隠れることで生き残ったが……天魔が死に、第七天へなった世界では消滅を余儀なくされました。貴方も仮初とはいえ覇道の神格でしたから、敗北からの消滅は免れない」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:24:19) - 「それを知った貴方は――逃げた。第七天の未来を選び、七天が生まれたと同時、彼らの多様性を認める覇道の性質を利用して……自分が作り出した模倣の世界に逃げ込んだのですよ」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:25:58) - 黑鐵「……ならば」 「気付きましたか。この模倣の世界に生きる神格は、いや、全ての存在は貴方が作り出した模倣品。全ては貴方の為に存在し、貴方に安らぎを与えるためだけに存在する……模倣による無限の経験、それは貴方が盗み見た記憶を好きなように改竄した空想・妄想の産物でしかない」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:27:39) - パリン!! その時、和哉と黑鐵の精神が――崩壊した。 -- 名無しさん (2013-07-28 01:29:43) - ……和哉「GUAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!?!!!!!!!!!!!!!!!!!!???????????」 獣のような咆哮を上げると、夜刀のように赤く染まり、血涙を流しながら天へと飛んで行ってしまった。 -- 名無しさん (2013-07-28 01:30:35) - 厳然としかし、内側には嘲笑と憐憫を込めた口調は止まらない。 「貴方が望んだ模倣神の合一……その先にあるものを教えましょうか? それはただの自殺ですよ。統合を果たした貴方は、神性として座に挑む事が出来ましょう、というより覇道の性質から挑まざるを得ないのですが。しかし、貴方の本来の実力では座への道を作る事すらできず……力を使いはたしてのたれ死ぬ」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:31:38) - 黑鐵「キサマァァァァァァァァァ!!!!!!」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:32:50) - 知りたくない真実を知り、黑鐵の怒りは神威と共に幕引きの鉄槌として振り下ろされていた。 -- 名無しさん (2013-07-28 01:33:21) - 「所詮は偽りの神……何もできない紛い物なんですよ。贋作者」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:34:17) - 終焉の拳を微風のように躱しながら、従者は囀る。 -- 名無しさん (2013-07-28 01:34:52) - 黑鐵がそれを聞いているかどうかは定かではない。しかし、なおも言葉は続く。 「あの静という存在……あれが消えないのは、自滅因子だから……というのは半分正解です。より正確には、あれは貴方の歪みの発現……この世界において、創造主である貴方にどうしようも出来ない現象が起こった時……その原因を押しつけて逃避するための幻影なんですよ」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:35:07) - ……この時、世界が崩落を始めていた。もう娯楽など意味を成さず、人々が死に絶えていく。だが、奇蹟が起きていた。本来この世界の模倣品たる藤井蓮たちに、本来の世界にいる藤井蓮たちの意識が、精神が、魂が共有されたのだった。 蓮「これは!?」 黄金「……なるほど。この世界の我らは紛い物、ということか」 水銀「だが、それがどうした」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:37:28) - 黑鐵「ならば、ならばこの世界の異変は!?」 「あれは……これのおかげでしょう」 従者は空間の中に映像を投影する。その映像に映るのは――砂漠に埋まる黄金の輝きを放つ何か――。 黑鐵「あれは――まさか!?」 「気付きましたか? あれはロンギヌスのカケラ――大した愛情だ、貴方の歪みを正すためだけに世界を飛び越えるほどの『破壊の情』」 感服せずにはいられないと恭しくロンギヌスを見つめる。 -- 名無しさん (2013-07-28 01:38:28) - 「あれに身をゆだねれば……少なくともこの世界に囚われる模倣品は救われる、極めて近く限りなく遠い存在として新世界に新生できるでしょう」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:40:15) - 司狼「人の娯楽を邪魔されたのはあれだし、神の玩具だってのは糞気に入らねえがよ……あいつを愚弄したな、よくも」 マキナ「奴がなんであれ、その存在を否定するなど許せる道理はない」 黄金のカケラ……この世界に落ちた奇蹟と、彼らの友情との奇蹟。二つが織りなす奇蹟を持って今――彼らは黑鐵がいる空間を見据えた。 -- 名無しさん (2013-07-28 01:40:38) - 黄金「加減は不要のようだな」お構いなしにロンギヌスを放ち――彼らが黑鐵がいる空間へ躍り出た。同時に、狂っている和哉も乱入した。 -- 名無しさん (2013-07-28 01:41:25) - 「これはこれは、この世界の模倣品の方々……どうなさいました?そんなに憤って。この世界の真実を知った今、加担する道理はないでしょ?」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:42:04) - 水銀「確かに無いな、模倣神に対してはいくら殺しつくしても収まらんほど怒りがわく」 黄金「我らの誇りを愚弄してくれたのだからな」 蓮「だけどよ――俺らは何もしないで他人に運命任せるなんてまっぴらなんだよ」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:44:13) - 和哉「――――――――コロス」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:45:05) - 和哉の念が溢れてくる。俺を殺せ。お前たちを愚弄した俺を殺せ。殺せ殺してくれ。女神、もう俺を救うなど言うな。殺してくれ。断刀刃で殺せ。黄金、お前が殺せ。刹那、お前が殺せ。殺せ殺せ殺せ殺せ。模倣神を許すな。 -- 名無しさん (2013-07-28 01:46:01) - 和哉の殺気は模倣神の気となり、模倣品達への支配と束縛が強まる。だが、神格達の覇気が模倣神の支配を越える。外の世界から、流入する力は彼らを確固たる存在として確立させていく。 (これは……余計なちょっかいはいらないですかね?) -- 名無しさん (2013-07-28 01:46:48) - 蓮「うるせえんだよ!! ボケが!!! あの野郎の次にきっちり殺してやっから、大人しくまってやがれ!!!」 怒りと共に逆に命令する蓮。 -- 名無しさん (2013-07-28 01:47:39) - 和哉「ダマレ!」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:48:04) - 「なんとういう道化ぶり……己を殺して欲しいと?ハッ、笑わせないでもらいたい。出来そこないの三流心……波旬にも劣る糞の掃き溜めがよくも宣ものですな。あははははははは」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:48:09) - 蓮「てめえも黙れや! 順番が違うだけで、てめえも殺す!!」 和哉「―――!!!???」 その神気に全く対応できない。ただ、萎縮し停止の理を叩きつけられる。 -- 名無しさん (2013-07-28 01:49:04) - アーチャー「……投影、開始」双剣を出すや否や、従者を切り伏せていた。 アーチャー「憤りはあれど、お前が和哉を愚弄するな」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:49:32) - 「……大した盲信ぶりですな。ある意味洗脳されていたようなものですぞ?」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:50:20) - ギル「雑種に扱われていたのは確かに癪に障るが……だがな。そいつと過ごした日々は中々に愉快なものであったぞ?お前ら雑種が憤ってるのが分からぬがな」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:50:41) - ランサー「てめぇがそれを言うか?ま、俺もあいつと過ごせた日々が楽しかったのは賛同だ。おい道化、お前じゃ理解できねえだろうよ」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:51:26) - アーチャー「君にはわからんかもしれんが。確かに彼への怒りは大したものだよ。ただまあ、一応創造主への敬意は必要だろう?」 皮肉気に頬を釣り上げる。 -- 名無しさん (2013-07-28 01:51:56) - 「やれやれ……真実を教えて差し上げたのに。女神よ、あなたはどうです?玩弄したのですよ?愚弄したのですよ?弄んだのですよ?このような屑を救済などする価値などありませんよ?」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:52:33) - マリィ「相手が誰でも……いつかは幸せになってほしい――だから」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:53:11) - 「は!戯言を!」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:53:32) - 「救済を?幸せになってほしい?そのような男に価値などない。幸せ?ふざけたことを……幸せなど、その男には不要なんですよ」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:54:08) - (全てを抱きしめる――か、大した愛ですよ全く) 心中で恭しく、礼をして返す。 -- 名無しさん (2013-07-28 01:54:36) - 「水銀殿に黄金殿。はやくその男を殺してあげなさい。愚弄したのですから……ザミエル卿にベイ中尉もそうでしょ?さあ、はやく」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:55:21) - 水銀「物事には順序がある」 黄金「まずは卿だな」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:56:03) - ザミエル「確かに気に入らんな――へどが出るほど甘ったれた人形遊びに付き合わされた」 ベイ「それも人形役でだ」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:56:42) - シュライバー「でもさあ……君は君でムカつくんだよね!!」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:57:11) - 「なぜ?」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:57:42) - 「分かっていない……その腐れ切った男を殺せば終わりなんですよ?」 夜行『さて、それはどうかな?』 -- 名無しさん (2013-07-28 01:58:14) - そこに背後の空間を砕いて乱入してきたのは――摩多羅夜行だった。 夜行「総てを見させて貰った……黄金の獣殿、少々お待ちを」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:58:53) - 水銀「お前は……」 ザミエル「夜行か!」 夜行「和哉殿を殺しては困ります……個人的にですが、ね。烏帽子殿もどうです?」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:59:40) - そこから、曙の連中も出てきた。 竜胆「龍明殿に藤井殿もお待ちください!」 -- 名無しさん (2013-07-28 02:00:16) - 覇吐「ちょいとそこの和哉にこっちも色々あんでよ、殺すのは勘弁してくれ。ま、半殺しはいいだろうけど、な」 「な、に……?何故ここに?」 -- 名無しさん (2013-07-28 02:01:06) - 従者が初めて狼狽を示した。 「助ける義理などはないはずだ!模倣神は全人類の害であり、害虫そのもののはずだ!」 -- 名無しさん (2013-07-28 02:01:59) - 覇吐「どころがどっこい。奴さんは、ウチらの世界じゃそっちの黄金さんたちと同様に、恩人でもあんだよ」 -- 名無しさん (2013-07-28 02:04:17) - 「は?(どういうことだ?本当に曙たちには無関係のはず)」己が知らない情報に流石の従者も疑念を抱く。 -- 名無しさん (2013-07-28 02:04:55) - 夜行「その前に、和哉殿を止めねばな――TON☆JI☆CHI!我、三毒障礙せし者、断罪せしめん」 -- 名無しさん (2013-07-28 02:08:22) - 刹那――神威を放つ狂う和哉を中心に、神威「だけ」が消失させられていた。 夜行「死を裁く者である私に、御身の神威の『死』を裁けぬ道理はあるまい?」 -- 名無しさん (2013-07-28 02:09:32) - 和哉「――何故だ、俺の方が力は――」 夜行「仮初の世界ではない本来の世界での力関係ならば、当然私達が勝つ。忌々しい奴の言葉を借りるなら、質量が違い過ぎるのだから」 -- 名無しさん (2013-07-28 02:12:34) - 紫織「はい、少しゴメンね」 和哉「ぐっ」 手刀で落ちた。 -- 名無しさん (2013-07-28 02:13:34) - ベアトリス「あなたたち!何故――」 戒「宗次郎君……君もか」 宗次郎「ええ、彼はあなた方が知らない別の遺産も残していましてね。龍明さんと同じ化外の住人であったのは驚きましたが」 -- 名無しさん (2013-07-28 02:14:48) - 和哉「俺は――お前らは知らん――」 覇吐「何言ってんだよ、恩人だっただろ――――――えーと、あれだよ、箱根だったかの時の」 和哉の言葉にもにゃもにゃと返す覇吐。 和哉「お前――」 その言葉に何かを察したようだ。 覇吐「ああもう、こまけえ事は良いんだよ! ここはそういう事にしとけや!!」 -- 名無しさん (2013-07-28 02:15:09) - 宗次郎「そうですよ、助けられたという事実が肝心です。それ以外は瑣末事」 夜行「助けられっぱなし、というのも恰好がつかんしな」 -- 名無しさん (2013-07-28 02:16:09) - 「はあ、つまりは……貴方がたもそちらに回ると」 竜胆「そういう事だ」 -- 名無しさん (2013-07-28 02:16:42) - 「はぁ……殺しておけば楽なものを(ここまで愛されるとは……難儀なものだ)」 -- 名無しさん (2013-07-28 02:18:05) - (しかし、終わりは近いようですね)「そうですか、ならば問答は無用でしょう。――私も力で行きます」 -- 名無しさん (2013-07-28 02:18:56) - 右掌を和哉に向け――放った。 -- 名無しさん (2013-07-28 02:19:32) - それは――目に見えない乖離剣だ。 -- 名無しさん (2013-07-28 02:19:58) - ギル「何故、エアを!?」 「安心してください、ただの模倣品です」 -- 名無しさん (2013-07-28 02:20:33) - 問答無用で和哉を殺しにかかるが、 宗次郎「五障深重の消除なれ。執着絶ち、怨念無く、怨念無きがゆえに妄念無し。妄念無きがゆえに我を知る。心中所願、決定成就の加ァァ持」 -- 名無しさん (2013-07-28 02:21:13) - 「おわっと!?」 宗次郎の斬撃に剣ごと腕を斬られる。 -- 名無しさん (2013-07-28 02:22:02) - (あれは概念だろうがなんであろうが斬り裂く刃!危ない危ない) -- 名無しさん (2013-07-28 02:22:44) - 紫織「此処に帰命したてまつる――大愛染尊よ 金剛仏頂尊よ 金剛薩たよ衆生を四種に接取したまえ!陀羅尼愛染明王ォォッ!」 -- 名無しさん (2013-07-28 02:23:20) - 「なっ!?」 即座の追撃に四肢を吹き飛ばされる。 -- 名無しさん (2013-07-28 02:24:23) - 「ガハッ!?(ここまでやりますか!?)」 -- 名無しさん (2013-07-28 02:25:10) - 覇吐「ワリイな―――終いだ!!!」 「――――」 とどめの曙光の剣が残った胴体を一瞬で灰塵へと還した。 -- 名無しさん (2013-07-28 02:25:35) - 和哉「終わり――だな」 黄金「ああ、思ったよりも呆気ないが」 水銀「我ら何もやって無いな……」 -- 名無しさん (2013-07-28 02:26:18) - 覇吐「って、おらよっと!」隙を見て七夜が和哉を殺そうとしていたが、覇吐が斬撃を放ち牽制していた。七夜「邪魔をするな」 覇吐「だから待てって!」 -- 名無しさん (2013-07-28 02:26:46) - 覇吐「話聞いてくれよ。今、こいつにトドメ差したら世界もろともお前ら共倒れだぞ!!」 必死に訴える覇吐。 -- 名無しさん (2013-07-28 02:27:43) - 七夜「水月のような俺を玩弄した……俺は、俺を呼び出した存在を殺す存在だ。故に、邪魔をするな」 完全に七夜はブチ切れていた。いいや本来の彼に戻ったとでもいうべきか。冷徹になっていた。 -- 名無しさん (2013-07-28 02:28:04) - 覇吐(あちゃ~こいつはヤベぇ?)ザミエル「終いだ!」ザミエルの剛拳が和哉の側頭部へ放たれていた。 -- 名無しさん (2013-07-28 02:28:52) - 和哉「うぐ!?」 余りの速さに反応できずに殴り飛ばされる。 -- 名無しさん (2013-07-28 02:29:40) - 和哉「う……ぐぐ」 防御の力も再生の力も――最早何も残ってはいない。真実に晒され、本来の世界とつながった今、彼はか弱い感応者にすぎないのだ。 -- 名無しさん (2013-07-28 02:30:50) - ザミエル「終わりだ死ね」 -- 名無しさん (2013-07-28 02:31:17) - ???「人世界・終焉変生」 だが、上空から虎を模した甲冑が振ってきた。 -- 名無しさん (2013-07-28 02:31:58) - ザミエル「なに!?」ギリギリで躱し、見てみると――大獄がいた。 大獄「これ以上手を出すな、ザミエル」 -- 名無しさん (2013-07-28 02:32:41) - ザミエル「マキナ!? いや、大嶽? 何故ここに居る!?」 大嶽「――まずは話を聞け、納得するかどうかはお前ら次第だがな」 -- 名無しさん (2013-07-28 02:33:47) - マキナ(……どうなってるんだ?) 水銀(あれは――そういう事か。――ならば茶番に付き合ってやろう)  -- 名無しさん (2013-07-28 02:34:44) - 水銀「獣殿」 黄金「……わかった、ザミエル退け。反論は許さん」 -- 名無しさん (2013-07-28 02:35:17) - ザミエル「!?……ぐっ、ヤヴォール」 -- 名無しさん (2013-07-28 02:35:59) - 城壁をぶん殴り、粉砕してから彼女は引き下がった。シュライバーは二挺拳銃を渋々閉まっていた。 ベイ「ちっ……そのクソ野郎に加担する意味が分からねえよ」 -- 名無しさん (2013-07-28 02:36:49) - 覇吐「あ~……お前ってチンピラだったんだな、昔から。けどよ、こいつはこいつなりに託したことがある。殺すなんて性急すぎるんだよ」 -- 名無しさん (2013-07-28 02:37:44) - 橙子(なるほど……ここは静観すべきだな) 玲愛「ふ~ん……邪魔じゃん。私が正論で、そっちの馬鹿は愚弄したんでしょ?なら死ねばいいじゃない。ねえ死んでよ?出来損ないさん」 和哉「――――ッ」 唇を食いしばる和哉。 -- 名無しさん (2013-07-28 02:38:54) - 玲愛「私を嬲っておいて自分はどうなの?馬鹿じゃないの?死んでよ、お願いだから。ねえ、なんで生きてるの?ねぇねぇねぇ?」 今までのお返しと言わんばかりの猛攻。 -- 名無しさん (2013-07-28 02:40:01) - 黄金「テレジア。話が進まん、憤りを晴らす前に話をさせろ」 玲愛「――は~い」 渋々ながらも了承する。 -- 名無しさん (2013-07-28 02:43:22) - 覇吐(この姉ちゃん怖え……)「そうだな――話を戻すが。まず、こいつを殺したら、あんたらも共倒れになる。これは言ったな?」 水銀「ああ、我らが奴の支配領域の存在だというのなら、真実だろうな」 -- 名無しさん (2013-07-28 02:44:50) - 覇吐「だが、こいつにはもうこの世界を維持する力がねえ。俺達の世界にこいつの本体が居るんだが、そいつは衰弱しきってる。もう、長くは無いんだ」 -- 名無しさん (2013-07-28 02:46:05) - 蓮「いきなり世界が綻び始めたのはそのせいか……」 夜行「だからこそ――この者には正式な手順で役目を終えてもらう必要があるのだ」 -- 名無しさん (2013-07-28 02:47:05) - シュライバー「ん~?別にいいんじゃない?僕らが殺しても同じでしょ?」 -- 名無しさん (2013-07-28 02:48:09) - ベイ「どうせ死ぬんだろ?だったら」ザミエル「我らが元の世界へ戻る刹那に殺せば問題ない」 覇吐「だ~!話を戻すな!俺より馬鹿だろ、お前ら!?」 -- 名無しさん (2013-07-28 02:48:55) - 制止する覇吐を引き継ぎ、夜行が続ける。 夜行「それは無理だ、ここは座を模倣して作った世界だが、厳密には異なる機構で動いておる。しかし、最早、この者を延命させることは不可能だ――あの邪神から我らに英雄たちの話を語り継いでくれた時点でも限界だったのだから」 和哉「……」(そういう……筋書きか) -- 名無しさん (2013-07-28 02:50:00) - 玲愛「胡散臭い」 -- 名無しさん (2013-07-28 02:50:54) - 完全に信用してない玲愛は、軽蔑する眼差しで彼らを見ていた。竜胆たちは苦笑するしかなかった。 -- 名無しさん (2013-07-28 02:51:30) - 黄金「まあ、待て。話を聞こうではないか」 水銀(ありきたり……かなこれは) -- 名無しさん (2013-07-28 02:52:22) - 夜行「彼は、過去の英雄達の真実を身命を賭して語り継いでくれた、それが後々の第六天打倒に繋がったのだ……故に彼は私達の恩人なのだよ」 -- 名無しさん (2013-07-28 02:53:19) - 玲愛「……そう」 疑惑はありありだったが、周囲の目線が気になったので、そこは抑えておく。 -- 名無しさん (2013-07-28 02:53:54) - 夜行「まあ、そこは言葉で語ってもせんない事。我らが感じた心を理解しろと言っても、無理だろう」 覇吐「それでもよ、この先を考えたらあんたらにも許せ――とまではいかないが、ちょいとばかり耐えてほしいんだよ」 -- 名無しさん (2013-07-28 02:55:17) - 司狼(なるほど……だが、野郎は恐らく被害者なんだろうぜ)エリー(どういうこと?)司狼(そもそもの原因……生まれた時から神だったと言ってるが、その前の世界ではある存在から力を受け取ったって言ってたろ?となると、そいつが張本人なんだよ)エリー(けど、誰だか分かってないじゃん?)司狼(それを言うなよ) -- 名無しさん (2013-07-28 02:56:11) - だが、力の譲渡は容易ではない。神の素養がない存在が目覚めた、などと都合が良すぎるからだ。となると、ここまで計算し狂わせた奴がいる。間違いなく。どこかで和哉を見て面白いを嘲笑いながら、彼らを観測しているのだろう。 -- 名無しさん (2013-07-28 02:57:29) - 和哉(そりゃ……ただの俺が考えた妄想の産物だよ……) 司狼達の目線から何となく感づいたのか自嘲する。 -- 名無しさん (2013-07-28 02:58:23) - 夜行「それでだ、彼の世界は限界だ。だからこそ、新生する必要があるのだよ、神の手から離れた全く新しい世界としてな」 -- 名無しさん (2013-07-28 03:00:17) - 水銀「どうするつもりだ?」 -- 名無しさん (2013-07-28 03:01:20) - 夜行「水銀、黄金、刹那、黄昏、彼の作る模倣世界の要だが……彼が本来居る世界ではこれらの神格は最早本体が存在しない――記録だけの存在だ。故に、最早彼の世界をそのまま維持するのは叶わない。故にだ、それらの神格の力を一旦彼の記録の中から消失させる」 -- 名無しさん (2013-07-28 03:02:58) - 竜胆「夜行の見立てでは、その四神の力を無くせば、彼の模倣世界は殻を失う」 蓮「ちょっと待て、それだと中の俺たちはどうなる!?」 -- 名無しさん (2013-07-28 03:04:26) - 紫織「そのままなんもしなけりゃ、消えちゃうね」 -- 名無しさん (2013-07-28 03:05:19) - ジューダス「提案する以上は手があるんだろ?」 夜行「当然だ。ざっくり言うとだ、我らの主神の力で新たな殻を作り、座から断絶された世界に放り出す。後は、世界の殻が勝手に新世界を作る」 -- 名無しさん (2013-07-28 03:06:53) - ザミエル「座から断絶された世界への放逐? ……何故、そんな事をする必要がある――まさかだましているわけでは」 夜行「貴方方を消すだけならば、彼の本体を殺せばよいだけだ。まあ、最後まで聞いてくれ」 -- 名無しさん (2013-07-28 03:08:19) - 夜行「新世界の創造と言ったが、それでも彼の世界の影響は多少なりとも残る。この世界で模倣とオリジナル……正確には模倣品と模倣の模倣か、それがぶつかり合うと消滅してしまうというのは聞いたかな? 座と繋がる形で世界を構築すると、貴方方と我らの世界の同一存在が食い合う事になってどちらかが消えてしまうのだよ」 -- 名無しさん (2013-07-28 03:10:10) - 神父「ひとつ確認したいのですが」 おずおずと手を挙げる神父。 夜行「何かな?」 神父「彼の模倣の力が座によるものだとすると……力の源である座から切り離したら、彼の模倣の力で作り出された我々にも多大な影響が出るのでは?」 -- 名無しさん (2013-07-28 03:15:10) - 夜行「そうさな……少なくとも、今の世界で得た経験や人格は一旦無に還る。世界そのものがやり直しを行い、その中で貴方達は再度生まれ直すという過程を通るだろう……今の貴方方と差異が出るのは、間違い無く避けられないでしょうな」 -- 名無しさん (2013-07-28 03:20:20) - 水銀「……女神が行った世界新生と同じようなものか」 今、水銀は第六天にかろうじて勝利し、回帰した世界での記憶を思い出していた。本来体験し得ない、自分の消滅後の顛末まで理解できるのは模倣神の力によるものだろうか。 -- 名無しさん (2013-07-28 03:22:05) - 黄金「そうか――ならば、私は従おう」 意外なほど潔い黄金の言葉に、一同もざわつく。 -- 名無しさん (2013-07-28 03:26:56) - ザミエル「は、ハイドリヒ卿!?」 ベイ「な、何言ってんですか!?」 シュライバー「こんな世界、あいつらを倒せば……!」 特にいきり立つ爪牙を片手で制止する。 黄金「私は――この世界の運命、模倣神の呪縛。結局最後まで抗い、打ち勝つ事が出来なかった。渾身の力で相対したのだがな――世界を変えるという戦いの敗者である私に、何を言う権利があるというのだ」 -- 名無しさん (2013-07-28 03:29:40) - 水銀「獣殿はそう来るか――ならば私も同伴しよう……紛い物とはいえ、まあ、それなりに楽しんだ事だしな……最早十分すぎるほどだ」 覇吐(意外だ――) 大嶽(てっきり、一番抗うと思っていたのだが――凄まじく丸くなっているな) -- 名無しさん (2013-07-28 03:31:43) - マリィ「私は――その世界に行くとどうなるの?」 夜行「……新世界に座は無く、神と言う概念も存在しない。……貴方もまた、皆と共に一人の人として生きていくことでしょう」 マリィ「そっか――」 -- 名無しさん (2013-07-28 03:35:26) - マリィ「私はもうみんなを抱きしめられない――」 蓮「マリィ」 マリィ「――でも、蓮と一緒に笑って生きて、抱きしめてあげることは出来るよ」 女神は世界すら霞む満面の笑顔で笑った。 -- 名無しさん (2013-07-28 03:38:18) - 覇吐「やと、いや蓮だっけか? お前はどうすんだ?」 蓮「俺は――決める前に大嶽に一つ聞きたい」 蓮は大嶽の方に向き直る。 -- 名無しさん (2013-07-28 03:39:31) - 蓮「――あいつは、精一杯刹那を生きていたのか?」 大嶽「――ああ、保障しよう。奴は己の生を生き切ったよ」 倒れ伏す模倣神に目を向け、静かに告げる。 -- 名無しさん (2013-07-28 03:40:55) - 蓮「そうか――なら、俺はあいつに言う事もやることももう無い。皆、またな」 刹那もまた笑った。 -- 名無しさん (2013-07-28 03:42:18) - 玲愛「ええ、藤井君。今度会うときは私との結婚式ね」 螢「……色々飛びすぎですよ」 司狼「ま、良いんじゃねーの。この前向きさと紙一重の電波が先輩の持ち味だろ」 エリー「違いないわねえ」 皆もからからと笑う。 -- 名無しさん (2013-07-28 03:43:52) - ザミエル「ハイドリヒ卿」 黄金「どうした、ザミエル?」 ザミエル「私は――必ず貴方の配下として、この忠の全てを捧げます」 ベイ「一番槍は俺ですけどね」 シュライバー「僕だよ、身の程知らず」 敬礼と共に爪牙も覚悟を決める。 黄金「ああ、楽しみに待っているよ」 -- 名無しさん (2013-07-28 03:45:46) - ジューダス「全く……今度もマスター達とは腐れ縁になりそうな予感だ」 アーチャー「新世界……か」 ギル「どんな所だろうが、我が王である事に相違は無い。何も問題など無い」 言峰「ふむ……新世界は麻婆を世界中に広めるか」 ランサー「勘弁してくれ……」 -- 名無しさん (2013-07-28 03:48:42) - 七夜「結局なにも殺せてないな……まあ、いいか」 青子「決着は――」 橙子「――新世界でってね」 ブラッド「……とんでもない事になっちまったなあ」 アビル「でもさ」 オルバ「僕ら、家族じゃない。きっとまた家族だよ」 ブラッド「ああ、そうだな」 一同もそれぞれに覚悟を決めた。 -- 名無しさん (2013-07-28 03:50:26) - 夜行「では、皆賛同してくれるという事で相違無いかな?」 蓮「ああ――頼む」 代表して、蓮が答えた。 -- 名無しさん (2013-07-28 03:52:41) - 夜行「では、和哉殿。こちらに」 和哉「……ああ」 ずるずると体を引きずり、 蓮「ほら」 司狼「手ぐらいなら貸すぞ」 和哉「……すまない」 二人に肩を借り、夜行の前に立つ。 -- 名無しさん (2013-07-28 03:54:14) - 夜行「では、そちらの……黑鐵殿もこちらに」 黑鐵「……」 精神が崩壊し、死人の如く生気無く座り込んでいた黑鐵はのろのろと歩いてくる。 -- 名無しさん (2013-07-28 03:56:42) - 夜行「さて、それではお二方には融合をしていただく……そしてすぐさま、我らが術に入り、儀式を進める。皆様方には先に、この場から新世界の殻に言っていただくがよろしいかな?」 蓮「いちいち聞かんでも、もう覚悟決めてんだ。早くやってくれ」 -- 名無しさん (2013-07-28 03:58:25) - 術に入る前に、儀式を勧めるため曙光の六柱が陣を取る。 覇吐「女神さん!! 夜刀!!!」 術に入る前に覇吐が叫ぶ。 覇吐「俺は……あんたらにどうやったって返せねえでっけえ恩がある。こんな事じゃ、ほんのちょっとも返せた気がしねえ……でもよ――幸せになってくれ!!!」 -- 名無しさん (2013-07-28 04:00:45) - 竜胆「貴方方に頂いた恩は生涯忘れない!! ――ありがとうございます!!!」 宗次郎「悪路さん! 僕は結局貴方には勝てなかった……だけど、強く強く、誰より強くなって、貴方の影を振り切って見せる!!」 紫織「母禮! あんたとの女比べも途中だったけどさ! 新しい世界でも、私を驚かせるくらい女を磨きな!!」 龍水「母刀治殿!! 私は――私の理想は何時だって貴方です!!! だから、だから、私の越えるべき理想として何時までも気高く美しくあってください!!!」 -- 名無しさん (2013-07-28 04:04:56) - 夜行「大嶽、いやマキナ殿――貴方に教えられた命の尊厳……必ずや守り抜いて見せましょう!」 六柱からの檄が飛ぶ。その言葉を胸に、光に包まれた一行は新世界に一足早く旅だった。 -- 名無しさん (2013-07-28 04:06:50) - 和哉「……おい」 皆が去った後に、和哉が声をかける。 -- 名無しさん (2013-07-28 04:08:40) - 和哉「何であんな嘘をついた?」 睨みつけるように、問いかける。曙光の話には嘘がある。新世界の創世は本当だ、だが、彼らが和哉に助けられたという話は――完全な作り話だ。 -- 名無しさん (2013-07-28 04:09:55) - 和哉「死んだはずの、大嶽まで連れてきやがって」 吐き捨てると、大嶽の姿が薄くなる。 夜行「彼は、これから死出の旅に出る所でな、最後に少しだけ協力を申し出たのだよ」 大嶽「俺の聖戦は――これで本当に終わりだ」 和哉は気付いている、大嶽が望むものは転生でも回帰でも無い、本当の魂の消失。完全なる終焉だと。 -- 名無しさん (2013-07-28 04:12:15) - 和哉「何で……こんなことを」 大嶽「偽りではないだろう――少なくとも、お前が我らの事を忘れまいとした思いは」 -- 名無しさん (2013-07-28 04:13:13) - 和哉はただ、観測する存在だった。世界を見渡し、その経験を我がことのように見る事が出来た。様々な人を世界を見る中で、彼が最も鮮烈に憧れたのは、世界すら変える神達の、超越者でありながら誰よりも真摯に生きようとした人間達の物語。 -- 名無しさん (2013-07-28 04:15:22) - ただ、彼は見つめるだけで満足していた。その輪に入れずとも、その生き様に深い深い尊敬と感動を覚えたのだ。 -- 名無しさん (2013-07-28 04:16:25) - だからこそ、その生き様が理不尽に侵略され破壊され凌辱されるのに耐えられなかった。その記憶を絶対に消すまいという思い一つで、第六天の世界から逃げのびていた。 -- 名無しさん (2013-07-28 04:17:44) - 彼らが死に絶え、次代に全てを託した後も、その生きざまをどうにかして残したいと――己の内側に偽りの世界を作り出し、じっとじっと耐え忍んでいた。 -- 名無しさん (2013-07-28 04:18:42) - 大嶽「俺は――お前の生に敬意を表そう。故にただ無残に何も残さず消える終わりは納得できん」 和哉「……うう」 大嶽の言葉に涙が溢れる。 -- 名無しさん (2013-07-28 04:19:59) - 和哉「お前達は……どうして? ……あんな芝居を打ってまで」 涙を流しながら、問いかける。 覇吐「そりゃお前、俺達はとんでもなく重たくて、大切なもんを託されたんだ。世界に生きる命への責任、化外を生まねえって誓い、全部守り抜かなきゃならねえんなら、お前を助けんのは当然だろ――それによ」 -- 名無しさん (2013-07-28 04:22:42) - 覇吐「必死に生きてえって、生き抜こうとしてるやつをほっとけねえだろ」 陽だまりのような笑顔で、益荒男は答えた。 -- 名無しさん (2013-07-28 04:23:56) - 和哉「そうか――そうか……」 涙ばかりが溢れて、伝えたい言葉が出てこない。それでも、懸命に心は叫び続けていた――ありがとうと。 -- 名無しさん (2013-07-28 04:24:56) - 同じく黑鐵も涙を浮かべる。 黑鐵「和哉……」 和哉「黑鐵……」 互いに見つめ合う。もう、言葉は無くとも心はきまっていた。 -- 名無しさん (2013-07-28 04:26:16) - 「「今こそ、一つに戻ろう」」 -- 名無しさん (2013-07-28 04:26:33) - 宣誓と共に二人は光に包まれ――そこに一人の青年がいた。 -- 名無しさん (2013-07-28 04:28:05) - 夜行「よろしいかな?」 「ああ、やってくれ」 微笑みながら青年は答えた。 -- 名無しさん (2013-07-28 04:29:14) - 曙光六柱が陣を組み、その中心に青年が立つ。 -- 名無しさん (2013-07-28 04:30:21) - 曙光が導き出すは、遍く天を照らす主神の法。天照の術が異能が新世界の法則を編み上げていく。 -- 名無しさん (2013-07-28 04:32:36) - 術の完成は滞りなく進行し――青年の姿は術式の模る光に包まれていく。 -- 名無しさん (2013-07-28 04:33:16) - 覇吐「和哉!」 「!!」 覇吐「元気でな」 最後の挨拶には――最高の笑顔で答えられたと誇りと自負を持って言える。 -- 名無しさん (2013-07-28 04:34:22) - そして、青年の姿は消え去り。――――新世界の創世が成った。 -- 名無しさん (2013-07-28 04:36:05) #comment() - 登場キャラ:アーチャー、ランサー、七夜、言峰、ギル、青子、橙子、ジューダス、和哉。 -- 名無しさん (2013-05-05 11:26:23) - 新キャラ:ブラッド(父)、アビル(娘)、オルバ(息子)。←三人とも、不老不死。呪縛から解放された。 -- 案山子さん (2013-05-08 01:26:08) - 海外旅行の征く順番:アメリカ→ギリシャ→中国の奥の方→バチカン。 -- 案山子さん (2013-05-15 09:36:38) #comment()
- ……蓮「あ~~、なんでそこの二人は死んでんだ?」 マキナ「気にしないでやってくれ、買い物疲れのようでな」 買い物も一通り終わり、再び全員が集合した時、ジューダスと和哉はグロッキーであった。ちなみにアメリカを発つまで体調は回復しなかった。 -- 名無しさん (2013-05-20 23:58:07) - 司狼「また要らんことをしたのか・・・やれやれ」 -- 名無しさん (2013-05-20 23:58:54) - マキナ「俺とベイは良いことをしたのに・・・やれやれ」 -- 名無しさん (2013-05-21 00:01:39) - ジューダス「…………ぐふ」 反論しようとして、倒れた。 -- 名無しさん (2013-05-21 00:07:04) - ベイ「確かに迷惑な奴等を俺とマキナで撃退したな」 -- 名無しさん (2013-05-21 00:09:57) - ベア「なにをしているのやら;」 -- 名無しさん (2013-06-09 19:55:34) - 黄金「そろそろ良いかね?次はギリシャだ」 -- 名無しさん (2013-06-20 22:48:28) - マキナ「ギリシャか……あの大英雄を思い出すな」アーチャー「バーサーカーのことかね?まあ、確かにギリシャといえば彼だろうがな」 -- 名無しさん (2013-06-22 15:49:52) - シュライバー「観光するのも悪くはないよね~♪」 -- 名無しさん (2013-07-12 14:18:57) - 水銀「まだ見ぬ異国に思いを馳せるのは良いが、そろそろ飛行機に乗り込む時間だ。続きはフライト中に頼むよ。今回は通常の航空便で行くのでな」 水銀の言葉に、一同も荷物を持って立ち上がる。 -- 名無しさん (2013-07-20 03:13:06) - 蓮(次はギリシャか……アメリカじゃ何も起きなかったが、なるべく面倒事は避けたいもんだな) アメリカを飛び立つ飛行機の中、皆が眠りに落ちているなか、一人だけ目がさえていた蓮。結局、これより一時間程物思いにふけり、眠りに就くのだった。 -- 名無しさん (2013-07-20 03:21:08) - ……何時とも何処とも知れぬ真っ白な世界。白以外の何も存在しない世界の中に、異物としか言いようがないほど黒い少年が佇んでいた。 -- 名無しさん (2013-07-20 03:39:44) - 常人なら一時間もかからずに発狂してしまうであろう白い世界において、少年から伺えるのはただひとつの感情のみ 「――――退屈だ」 -- 名無しさん (2013-07-20 03:41:34) - ポツリとつぶやいた一言はたちまち白い世界に波及していき、程なくして消える。 -- 名無しさん (2013-07-20 03:43:11) - 「二週間は長すぎたな」 ポツポツと零れる言葉が白い世界を揺らす。しかし、異物に悲鳴を上げる世界の姿は彼の倦怠を慰めるにはまるで足りないようだ。 -- 名無しさん (2013-07-20 03:50:47) - 「まあ、私にとっては一瞬も無限も等しいのだが」 -- 名無しさん (2013-07-20 04:10:13) - 「どうなさいます?」 「待つ……ゆっくりと待つ。所詮は泡沫の夢。あの男が来るのを待とう。それまでは――」 「御意に」 -- 名無しさん (2013-07-20 23:29:11) - 姿を見せない者に、その少年は目を瞑りながら答えた。ただ待つ……それだけなのだと。 -- 名無しさん (2013-07-20 23:29:49) - ……水銀(ここでも何も起こらなかったか) ホテルのカフェで独りごちる。ギリシャでも特に何も起こらず、観光だけで時間は過ぎた。 水銀(明日の昼には中国行きの便に乗るか) -- 名無しさん (2013-07-21 17:54:56) - アーチャー「……ふむ。仮に中国で何かあるとしてもだ。私の干将莫耶の元は中国。よりスムーズに事が運べるだろう」コトミー「油断大敵ではないのか?アーチャーよ」言峰は怪しげな『マーボー天国へようこそ♪ジュース』とやらをワインで飲んでいた。 -- 名無しさん (2013-07-21 20:42:53) - 黄金「大いに頼もしいな」 ワインを傾ける。 水銀「中国では殆どが移動時間になる……碌に交通網も出来ていない様な場所を目指すのでな。今までの観光とは……一味違うものになるかもな」 深い夜闇に目を向ける。 -- 名無しさん (2013-07-21 21:35:35) - シュライバー「ま、ぶっちゃけ僕らが負けることなんてないけどね」 ザミエル「慢心するな、シュライバー」 -- 名無しさん (2013-07-21 23:03:08) - 黄金「だがシュライバーの言うとおりだ。相手がだれであろうと私は負けんよ」 水銀「私も同意させてもらおう」 時は止まる事も無く、当たり前に夜は更ける。翌日もトラブルが起こることなく、ギリシャから中国への便は滞りなく飛んでいく。 -- 名無しさん (2013-07-21 23:06:56) - 司狼「バカスミは中国って場所のヤバさを理解してねぇからよ。黄金さんよ、カバー頼むわ」 ザミエル「遊佐司狼、貴様は……ハイドリヒ卿に敬語で申せ」 -- 名無しさん (2013-07-21 23:20:02) - 司狼「はぁ?今更それを言うのかい?お姐様よ」 水銀「まあ北朝鮮には行かないまでも、危ない場所なのは同じだからな」 -- 名無しさん (2013-07-21 23:20:57) - 黄金「どのように危険なのだ?司狼よ」 -- 名無しさん (2013-07-21 23:41:16) - 司狼はアイマスクを掛けながら、司狼「あ~……簡単に言うと、拉致がアメリカとかの比じゃないくらいに多いんだよ。だから女連中に男一人は絶対だ」 -- 名無しさん (2013-07-21 23:53:39) - シュライバー「ねぇねぇ、ザミエルは女のカウントに入るのかい?」 ベイ「入らねえだろ」 瞬間、ザミエルの裏拳がアイマスクを着けていたベイの顔面を殴っていた。 -- 名無しさん (2013-07-21 23:54:29) - マキナ「治安が悪いということか」 司狼「結構な。外国ならよくある話だが観光客はカモにされやすいんだよ、特にその辺の感覚が緩い日本人はな」 -- 名無しさん (2013-07-22 00:13:24) - 水銀「観光してる時間はないから、全員で固まって動く予定だが。用心はしておきたまえよ、犯罪者と言うのはどこで目を光らせているかわからんからな」 -- 名無しさん (2013-07-22 00:15:03) - 黄金「カールが言うと違和感しかないのだが?」 -- 名無しさん (2013-07-22 00:17:02) - マリィ「むしろ、凄まじい説得力を感じるよ」 -- 名無しさん (2013-07-22 00:20:05) - 全員(元というか、変態だけに) -- 名無しさん (2013-07-22 00:22:55) - 水銀「ああマルグリット……そのような眼差しで私を見るとは。ならばもう一度言わせてほしい。あなたに――」 -- 名無しさん (2013-07-22 00:23:20) - CA「お客様、他のお客様に迷惑が掛かりますので、お静かに」注意された元変態。 -- 名無しさん (2013-07-22 00:30:48) - ベア「むにゃむにゃ……少佐の処女~……むにゃむにゃ……駄目処女~……むにゃむにゃ」 ザミ「…………ギロッ」見ると、ベアトリスがアイマスクを付けた状態でぐーすか寝ており、寝言を呟いていた。 -- 名無しさん (2013-07-22 00:42:46) - 赤騎士の目と拳が光を放つ―――― -- 名無しさん (2013-07-22 00:46:53) - ベア「(な、なんでしょうこの悪寒は!?)」一瞬で夢から覚めたベアトリスは、アイマスクを恐る恐る外すと――赤い般若がいた。 -- 名無しさん (2013-07-22 00:53:49) - 黄金「ザミエルよ、その怒りはわからんでもないが。いちいち過剰反応しているようでは器が知れるぞ」 -- 名無しさん (2013-07-22 01:04:11) - ザミエル「うっ……し、しかし」ベア「( ´,_ゝ`)⊃」心の中で勝った!と雄叫びを上げていたベアトリス。 -- 名無しさん (2013-07-22 01:07:20) - 司狼(ぬるま湯に浸かり続けた結果だね~これ・・・・・・・) -- 名無しさん (2013-07-22 19:55:15) - そんなのカンケーないとコトミーは内心狂喜乱舞していた…………《中国四千年の麻婆豆腐》というチラシを握り締めながら(-.-;) -- 名無しさん (2013-07-22 21:58:44) - ジューダス「まったく、落ち着きのない奴らだな」ジューダスは復活していた。 -- 名無しさん (2013-07-22 22:54:39) - ジューダス「なぁ?アーチャー…………(゚Д゚;)!?」 ランサー、ギルガメッシュ諸共小さくなって震え泣いていた -- 名無しさん (2013-07-23 13:55:17) - 三人(言峰の目がヤバイ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(T_T)) -- 名無しさん (2013-07-23 16:50:39) - コトミー(中国四千年の麻婆豆腐……つまりこれとの邂逅を果たせば、私の真実がまた見えてくるというもの。さすれば、我が麻婆王国が咲き誇るというもの!これを探求せずしてなんとする(☆▽☆ )!!!!)心の中で本当に狂喜乱舞していた。 -- 名無しさん (2013-07-23 20:32:34) - 和哉「……」 未だ回復していない和哉は騒動など何処知る風で夢の中だ。 -- 名無しさん (2013-07-24 22:26:30) - ――――黒い獣は駆けていた。陽だまりの世界から、全身から血とも肉とも判別できないカケラを撒き散らし、必死の形相で駆け抜けていく。見るからに瀕死の獣は、自身の一部が欠ける事すら厭わずただただ必死に駆ける、いや逃げ続ける。 -- 名無しさん (2013-07-24 22:29:56) - 大地を大海を大空を大宇宙を、ひたすらに逃げて逃げて逃げ続けた先には――――何も無かった。己以外の何も感じ取れない世界に獣は居た。それでも、追いすがるものなど何もないというのに、獣は逃げ続けた。 -- 名無しさん (2013-07-24 22:32:04) - グチャリグチャリと汚物のように削れていく我が身を省みもせず―――ただただ、小さくなっていく獣。走って走って、どれほど走り続けたのか。元々は山よりも巨大だった威容は小型犬程も小さくなり、その足が止まったのは、その体が疾走に耐えかね二つに裂かれた時だった。 -- 名無しさん (2013-07-24 22:34:32) - ぐったりと倒れ伏す、獣の肉体。先程まで撒き散らした肉片は霧のように消え去っていくばかりだったが、最後の二つのカケラは未だ実体を保っている。一つは、半身になろうと尚前に進もうとし続け、もう一つはその場に留まると繭のような塊になった。 -- 名無しさん (2013-07-24 22:36:29) - 前に進む塊は、留まる半身に目を向けようともしない。ズルズルと少しづつだがその二つの距離は離れ、段々と進み続ける塊の姿が変容していった。その姿は―――― 和哉(……何だ、今の?) そこで、現実に引き戻される。 -- 名無しさん (2013-07-24 22:38:17) - 和哉(何ともおかしな夢だったな……) 呆けたように、窓の外に目を向ける。 和哉(中国までは……後、二、三時間ってところか) 迫る異国に心は引き寄せられ、ほんのひと時も立たずに先ほどの夢は不自然なほどきれいさっぱりと忘却の彼方に消える。 -- 名無しさん (2013-07-24 23:23:30) - 香純「どうかしたの?和哉」そこに、香純が心配そうに声を掛けてきた。 和哉「――――問題ない」 香純「けど、顔色真っ青だよ?」 和哉「……心配してくれてありがとう。大丈夫、だ」 -- 名無しさん (2013-07-25 01:23:01) - CA「お飲み物は如何ですか?(英語)」 和哉「ワインをくれ(英語)」 -- 名無しさん (2013-07-25 21:19:36) - グラスに並々と注がれたワインを躊躇なく一気に飲み干す。 和哉「もう一杯」 二杯目も同様に飲み干した。 -- 名無しさん (2013-07-25 22:12:36) - 七夜「飲み過ぎるなよ?和哉」 和哉「飲みすぎねえよ……この程度じゃ」 -- 名無しさん (2013-07-25 22:19:13) - 蓮「おい、流石に……」 和哉「……俺、もうちょい寝るわ、着いたら起こしてくれ」 会話を打ち切り、酒気を帯びたまま眠りに就く。今度はなにも夢見る事は無かった。 -- 名無しさん (2013-07-25 22:23:07) - ギル(…………ふむ) 何かに気づいたが、流石にいつもの感じではなないと踏んだギル王は、眠った……夢で麻婆で覆いつくされ、言峰に永遠と食わされ続ける夢を見たのはご愛嬌だ。 -- 名無しさん (2013-07-25 23:11:15) - …………次の日。 香純「中国に到着~!」 玲愛「はいそこ、暴れない」 ベイ「誰か付いておいてやらねぇとあぶねえな、おい」 青子「中国か……何年振りかしら」 ランサー「来たことあるのか?」 青子「そこの腐れ妹と喧嘩した後放浪しててね……その時に来たことがあるのよ」 -- 名無しさん (2013-07-25 23:13:05) - 橙子「何か言ったか?無駄に胸に脂肪と栄養が行き過ぎた脳筋女(#^ω^)?」 -- 名無しさん (2013-07-25 23:13:48) - 青子「あれ~?聞こえなかったのかしら~?知恵ばかり付きすぎて残念なスタイルになった可哀想な妹ちゃ~ん(#^ω^)」 男共「怖ぇよ(ノД`)」 -- 名無しさん (2013-07-25 23:16:41) - 水銀「時間が無いからとっとと行くぞ」 和哉「同感だ……『奴』も二週間は待つだろうが、一秒でも過ぎたらあっちから来るだろうしな」 騒ぐ一同を促す。 -- 名無しさん (2013-07-25 23:24:19) - 黄金「然り……カールよ。この国の奥に行くのであったな?」 水銀「ああ、そうだ。まあ何もなければよいのだがな。残り一つを残すだけあって、妙な感じがこの国からしているのだよ」 ベイ「あん?妙だ?変態の勘か?」 -- 名無しさん (2013-07-25 23:25:54) - 水銀「これは私――座の主としての勘だ、ベイ」 ベイ「…………ということは」 マキナ「何かが、この国にはいるということか?」 エリー「まぁこの面子なら万が一もないし、平気でしょ?ねぇ、ザミエルさん」 ザミ「当然だ」 -- 名無しさん (2013-07-25 23:26:56) - 水銀「では行くぞ、最初に言うが目的地は碌に交通網も無いド田舎だ。途中までは電車とバスの乗り継ぎで行くが、道程の半分以上は歩きだと思いたまえ」 -- 名無しさん (2013-07-25 23:33:28) - ブラッド「ふむ……そういうことなら、気を付けます」 蓮「マリィ、俺から離れるな」 マリィ「うん」 コソコソ ベイ&シュライバー「ん?」 そこに、影でコソコソ隠れる者と、普通に人ごみに紛れながらも彼らの荷物を狙う視線を感じた二人。この手口はプロの犯行だ。 -- 名無しさん (2013-07-25 23:35:46) - ベイ(一、二、三、四……) シュライバー(隠れているのが二人、か……ま、返り討ちにするけど) 気づいていないフリをしながら最後尾へ移った二人。 -- 名無しさん (2013-07-25 23:36:52) - そして、まずはコソコソ隠れていた二人の男が速度を上げて、途中で早歩きをしながら左右から香純と螢のカバンへ手を人ごみに紛れながら出し、奪おうとした。 -- 名無しさん (2013-07-25 23:38:08) - ジューダス「おっと、失礼」 わざとらしく、しかし回避不能の速度でジューダスの足が男たちを転ばせる。 -- 名無しさん (2013-07-25 23:40:40) - 二人「ぐっ!何をする(中国語&朝鮮語)」 -- 名無しさん (2013-07-25 23:41:16) - 周りに聞こえるようにワザと大きな声で叫ぶ二人l。被害者を装うつもりだ。 中国人「頭をお陰で打ったじゃねぇか、あん!?(中国語)」 -- 名無しさん (2013-07-25 23:42:06) - 朝鮮人「しかもワザとだろ、あん!?(朝鮮語)」 和哉「……と言ってるが?ジューダス、ベイ、シュライバー」 -- 名無しさん (2013-07-25 23:42:44) - ジューダス「あっ」 ジューダスが驚いた体で不意に横を向くと、男二人もつられる。 「あんだ!! ……? 居ねえ……」 男二人が視線を戻す頃には、一団の姿はどこにもなかった。 -- 名無しさん (2013-07-25 23:44:07) - 中国人「な、なんだ!?」 朝鮮人「何処に消えやがった!!」 ……空港から離れた市外にて、一同は移動していた。 水銀「面倒事はご免だよ」 -- 名無しさん (2013-07-25 23:45:04) - 蓮「まったくだ」神父「世の中、変人が多くて困りますねぇ」言峰「まったくだ」 -- 名無しさん (2013-07-25 23:45:53) - 水銀「では、予定外の邪魔はあったが気にせず行こうか」 水銀が示す、都心部から離れた辺境のルートを通り、文字通り面倒事を避ける最短ルートで目的地に向かう。 -- 名無しさん (2013-07-25 23:46:44) - 司狼「しっかし、本当に田舎だな、おい」 -- 名無しさん (2013-07-25 23:50:29) - 見る限り、どんどん都会から離れ、完全に日本の田舎と同じように、だが確実に腐敗している田舎や集落ばかりがあった。 -- 名無しさん (2013-07-25 23:51:06) - 黄金「次はどうするのかね?」 水銀「次はバスだ。まだまだ道のりは遠いぞ」 -- 名無しさん (2013-07-26 00:05:24) - 水銀「とりあえず、今夜はバスで行ける一番奥の村に泊まる。明日以降はひたすら足だ、まあ、諸君の健脚なら8時間ほどで目的地に着くだろう」 -- 名無しさん (2013-07-26 02:59:58) - 黄金「了解だ」 水銀「……随分と機嫌が良いな獣殿」 黄金「ああ、目的のものは私に縁あるものかもしれん……慣れ親しんだ楽器の様な感覚を覚える」 -- 名無しさん (2013-07-26 03:08:43) - アーチャー「楽器?ベイオリンかね?」 ベイ「へ(゚Д゚;)!?」 -- 名無しさん (2013-07-26 08:50:29) - 黄金「あんな巫山戯た玩具とは比較にならんよ」 -- 名無しさん (2013-07-26 12:07:36) - ベイが砕けた。 ベイ(なんだろう……安心したと当時に玩弄されてた事実に心が痛ぇ(ノД`)) -- 名無しさん (2013-07-26 23:22:22) - 神父「今までそうでしたでしょうが……何を今更(-.-;)」 マキナ「だが、お前に慣れ親しんだ楽器となると……」 -- 名無しさん (2013-07-26 23:23:03) - 黄金「楽器はまあ例えだ、実際はどんなものかは見てみない限りわからん」 -- 名無しさん (2013-07-27 01:25:15) - そんなこんなで徒歩で今度は移動していると、黄砂で視界が悪くなってきた。 香純「なに、これ……視界が」 蓮「俺のマフラーを使え」 蓮が己のマフラーを渡した。 司狼「視界が悪化してきたな」 エリー「まるで砂漠じゃん」 -- 名無しさん (2013-07-27 01:34:37) - ジューダス「中国ってのはどこでもこうなのかい?」 -- 名無しさん (2013-07-27 01:44:34) - 螢「そういうわけじゃないけど……」 橙子「(おい水銀。微粒子なのだが、魔力が微かに混じってる……どこかこの砂を凌げる場所を探してくれ。視界が流石に悪すぎるぞ)」 -- 名無しさん (2013-07-27 01:48:43) - 水銀(承知している。しかし、この魔力何者かが意図的に引き起こした現象ではなさそうだ……何か強い力の影響を受けているのか?) -- 名無しさん (2013-07-27 02:25:11) - 司狼「おい、今夜泊る村ってあそこか?」 疑惑を持ちながら行軍する中で、司狼が視界に村らしき影を捉える。 -- 名無しさん (2013-07-27 03:33:48) - 黄金「シュピーネ、偵察して参れ」 シュピーネ「ヤヴォール」 颯爽と走っていき、確認してきたシュピーネ。 シュピーネ「少々ボロくはありますが、問題はないでしょう。魔力などは感じませんでした」 黄金「ご苦労……では参るとするか」 水銀「私がこの人数で行けるか交渉をしてみるとしよう」 皆を引き連れ一つの集落へ入って行った。 七夜「……妙に視線を感じるな」 ベイ「あぁ……ビリビリとした視線も混じってやがるな」 シュライバー「僕らをカモだと思ってるんじゃない?」 マキナ「それもあるだろうが……怯えを感じるものもあるな」 多数の視線に気づいた集団ではあったが、家から人が出てくる様子がない。それどころか、この黄砂に怯える感じがあった。 -- 名無しさん (2013-07-27 09:25:28) - 水銀「村長と思う人物を探すのも、これでは手間だな」 言峰「ふむ……困りましたな」 ???「そこの客人、どうかしたのか?」 そこに、視界が悪化していて気付かなかったが、村の家の一角の隅にフードを頭から被って座っている男の姿があった。 ブラッド「なんだ?今のは……日本語か?」 青子「のようね」 黄金「卿……済まないが、村長はどこにいるのか知っているかね?」 ???「……村長なら左に曲がった先にある家に住んでいる」 それだけ言うと、男は立ち上がって去っていく。 だが、和哉は男のフードの隙間から僅かに見えたブツに気づいた。 和哉(あれは……セルケトの杖?) 司狼「どうした?行くぞ」 和哉「……ああ」 -- 名無しさん (2013-07-27 09:29:33) - ……村長「そういう事情ならば、一晩だけ宿をお貸ししましょう(中国語)」白髪の老人こと村長がメルクリウスの願いに頷いた。 -- 名無しさん (2013-07-27 10:27:06) - しかしと村長が付け加える。 村長「四つ、守っていただきたい事があります。一つは今夜は宿から一歩も出ない事、二つ目は朝にはすぐ村を出る事、三つ目は村人とは決して接触しない事、最後に村の外ではこの村の事を一切他言しない事」 -- 名無しさん (2013-07-27 14:16:23) - 和哉「ん?」 ギル「何?」 ジューダス「ん?」 勘の良い連中がその言葉に疑念を抱いたのは言うまでもない。 -- 名無しさん (2013-07-27 14:20:43) - 黄金「どういう意味かね?」 村長「言葉通り……守れるか、否か……」 ベイ「てめぇ……」 メルクリウス「よい、分かった(ここは退け、ベイ)」 -- 名無しさん (2013-07-27 14:28:32) - 村長「面倒だとは思いますが、この村は昔から外との接触を極力断っている故……自由な世界で生きる者には窮屈でしょう、しかし古い掟には従ってもらわないと困るのです」 申し訳なさと――僅かながらの羨望を滲ませた言葉だ。 -- 名無しさん (2013-07-27 14:52:46) - 七夜「まあそれはいいとしてだ……この黄砂は一体何なんだ?」 香純「なんか、普通じゃない気がするんですけど」 村長「この黄砂はここ最近、ある現象が原因で可笑しくなっているのです」 -- 名無しさん (2013-07-27 15:01:12) - ジューダス「何があったんだ?」 村長「二、三カ月程前でしたかな……砂漠の空に夜空を照らすほどに眩い黄金の光が落ちてきたのです。その光がどこから来てどこに落ちたのか詳細が分かるものはいませんが……その夜から黄砂は今のようになりました」 -- 名無しさん (2013-07-27 15:06:28) - 司狼「何が落ちたのか確認したのか?」 村長「いえ、砂漠の中のどこに落ちたのかもわからずに足を踏み入れるのは危険ですので、今まで静観しておりました。それに何か余計な災いを呼び込むのではないかと、村の噂もあいまりまして……」 ポツポツと村長は語る。未知への恐怖を滲ませながら。 -- 名無しさん (2013-07-27 15:51:05) - その後、宿として宛がわれた一軒家に案内される一同。流石にこの大人数を収納できるほどの家は無く、男女それぞれに2軒づつだ。 -- 名無しさん (2013-07-27 16:06:28) - マキナ「どう見る?」 七夜「どうって……なぁ」 ベイ「この国で砂漠化してるのが……え~と」 司狼「昔の三国の内の魏があった場所……洛陽だ」 蓮「そこに落ちたということは」 水銀「そこが基点だな」 -- 名無しさん (2013-07-27 16:35:30) - 黄金「加え、この現象に魔力が混じっている……となると」 シュピーネ「この現象に何者かが途中から手を加え、少しでも維持をしている……といった具合ですかね」 戒「だとしても、この黄砂が普通じゃないということはよく分かったよ」 -- 名無しさん (2013-07-27 16:36:34) - 水銀「私の読みではこの黄砂、人為的な要因は無いと見るがな」 -- 名無しさん (2013-07-27 17:05:19) - マキナ「どういう事だ?」 水銀「何か強い力……落ちてきた黄金の光とやらだと思うが、それが周辺に影響を与えているのだろう。ただあるだけで周囲に影響を与える力ある存在」 -- 名無しさん (2013-07-27 17:13:40) - 蓮「おい、軍勢変生なんて言うなよ?だが、周囲に影響を与えるということは」 ……女性陣。 ザミエル「恐らく、覇道の持ち主なのだろうな」 アンナ「その根拠はなんなの?ザミエル」 -- 名無しさん (2013-07-27 17:45:07) - ザミエル「己の法則で世界そのものを塗り替えるのが覇道だ。求道の性質ならばどれほど力が強くともこれほど広範囲に影響を与える事は出来まい」 エリー「確かに、この黄砂の広がりっぷりは尋常じゃないわ。多分、この国全部を巻き込んでるかも」 -- 名無しさん (2013-07-27 18:00:15) - マリィ「あ、見て」 指差すと、旧式のテレビが突然映し出されると、中国各地で黄砂による被害が拡大していた。しかも、蝗に蛙などが大量発生していた。 螢「間違いないわね」 ベアトリス「ええ……これほどの影響を及ぼすのは少佐の言う通り、覇道以外ありませんね」 霧咲「しかも、尋常じゃないぐらい強いでしょ」 -- 名無しさん (2013-07-27 19:00:38) - この映像は男たちの部屋のテレビでも同じのが映し出されていた。 -- 名無しさん (2013-07-27 19:01:08) - ジューダス「蠅の野郎じゃないようだが、善悪でいうなら悪の覇道だな。本意であれ不本意であれ」 アルフレッド「メルクリウスよ……洛陽までは、ここからどの程度の時間が掛かるのだ?」 -- 名無しさん (2013-07-27 19:02:59) - 水銀「おおよそ半日程度、滞りなく進めばだがな」 -- 名無しさん (2013-07-27 19:19:10) - 蓮「この状況下じゃ滞りありまくるだろ……ん、どうした和哉?」 見れば和哉の様子がおかしい。多量の脂汗を滲ませながら震えている。 -- 名無しさん (2013-07-27 19:27:41) - 和哉「いや、なんか……寒くてよ」 震えながらも何とか答える。 水銀「……何か心あたりでもあるのか?」 水銀の質問にビクリと和哉の体が震える。 和哉「なんにもねえよ、何もわからない……あれが何なのかなんてよ」 答えは真実なのだろう。何時も飄々としている風体からは考えられない程ありありと困惑が浮かんでいた。 -- 名無しさん (2013-07-27 19:30:31) - 黄金(尋常ではない、余程の事態らしい) 水銀(この様子では下手に詮索しても無意味か) 一同暗黙のうちに同意したのか、この件の追及はひとまず止めた。 -- 名無しさん (2013-07-27 19:51:23) - 和哉(まさか……黑鐵じゃない。これは……いいや、そんなことがあって堪るか) 歯を食いしばり、爪を深く腕に食い込ませていた。まるで、己を戒めるかのように。 -- 名無しさん (2013-07-27 19:53:48) - ………… 「なんだ……この感覚は」 白い世界に泰然とたたずむ少年もまた、恐怖の相を瞳の奥に宿らせる。その姿を見つめる従者らしき影はただ沈黙を守る。 (先日の夢の件に、此度の異変……やはり限界は近いようですね。この様子では『真実』を知った時にどうなるか……) -- 名無しさん (2013-07-27 19:55:38) - 「どうなさいました?」 「……お前は『まだ』知らなくてよい。だが、もしもの場合は……出る準備だけはしておけ。万が一(・・・)に備えて、な」 -- 名無しさん (2013-07-27 19:57:02) - 含み或る言い方だが、その中に紛れている感情に従者はただ静かに頷いた。 ……ブラッド「ふむ……ではどうなさいます?」 水銀「このまま寝るのがいいだろう」 司狼「なんだよ枕投げしないのかよ?お願い一生のお願いだよ」 蓮「分かったよじゃあその枕貸してくれ」 司狼「はい」 ポン 蓮「はい。じゃそういうことで」 司狼「待てぇ~!ワンスルーのみってお前!こっちは一生のお願いを使ったんじゃボケ~!」 蓮「黙れ太子、黄河にでも泳ぎに逝け」 -- 名無しさん (2013-07-27 19:57:51) - 蓮「わかったよ、ほら」 超高速で投げつけられる枕。 司狼「ひでぶ!?」 一瞬で眠りの世界に落とされる。 -- 名無しさん (2013-07-27 19:59:11) - 皆(騒がしい奴だ;) -- 名無しさん (2013-07-27 20:06:01) - ……皆が就寝した頃。和哉は皆にバレないように一人廊下に出ていた。 出ないといった以上は出ないが、寝付けないで廊下で黄砂が吹き荒れる中、夜空を見上げていた。 -- 名無しさん (2013-07-27 20:06:47) - 黄金「寝付けないのかね?」だが、黄金は皆に音もなく廊下に出て和哉の隣に静かに立った。 和哉「寝てろよ、ハイドリヒ。明日も忙しいだろうさ」 -- 名無しさん (2013-07-27 20:08:04) - 黄金「なあ、和哉よ……君が模倣神の力を失ったというのは嘘だろう」 忠告に対し、率直な質問をぶつける。 和哉「……何時から気づいてた?」 -- 名無しさん (2013-07-27 20:10:01) - 黄金「ここ最近……ではあるな。少なくとも、日本にいる間は気付かなかったさ」 -- 名無しさん (2013-07-27 20:11:06) - 和哉「……その様子じゃメルクリウスも気づいてるか…………そうだよ、俺は模倣神の力を、流石に完全じゃないが残してる」 -- 名無しさん (2013-07-27 20:11:43) - 黄金「結局解脱は果たせなかったわけか」 和哉「ある意味では当然だけどな……」 -- 名無しさん (2013-07-27 20:12:18) - そこで和哉は不意に目へ指を動かし、コンタクトを外すと――赤い双眸が爛々と輝いていた。 和哉「親父にもバレないようにしてたんだがな……お前ら、天才過ぎるぞ」 -- 名無しさん (2013-07-27 20:12:49) - 黄金「そういうな。卿が望んでそうなってもいるのだろう?女神を守護する者として、な」 和哉「護るために身に着けた武装でもあるからな。仕方ねえさ……俺の渇望が消える時は、俺が消える時だ」 -- 名無しさん (2013-07-27 20:14:03) - 黄金「むしろ己の愚鈍さにあきれるよ、解脱したというのにある程度の異能を残していた時点で、紛い物だと気付くべきだったよ」 和哉「手厳しいね」 -- 名無しさん (2013-07-27 20:14:50) - 黄金「だが、卿はそれでよいのだろう……それより、本題に移ろう。コレはなんなのだ?」 和哉「……親父の推測は正しいだろうさ。黑鐵の仕業じゃない以上、こんなことを起こせるのはあの『女』しかいないだろうさ」 黄金「以前話をしていた特別過ぎる存在か?」 和哉「お前の愛でも包み切れない存在だよ」 -- 名無しさん (2013-07-27 20:41:17) - …… 「少しばかりここを空ける。留守は任せる」 言うやいなや、少年の目の前の空間が歪む。 「まだ時は満ちておりませんが……」 「『アレ』は私の目論見にはそぐわないイレギュラーだ。消しておくに越したことはあるまい……なぜ蘇ったのかはわからんがな」  -- 名無しさん (2013-07-27 20:53:00) - 「……この異変は彼女が起こしたと? まだ確定はしておりませんが……」 「お前にはわからなくとも私にはわかる。間違い無く奴だ」 断言する少年。 「さようでございますか」(異変の原因は……いや、進言したところで意味は無いか) -- 名無しさん (2013-07-27 20:54:55) - 「では、いってくる」 言い残し、姿を消す少年。従者は黙して見送った。 (彼がそうだというのなら万象は間違いなくそうなのでしょう……とはいえ、これは良い流れとは言い難い。どう転んでも博打以外の道はあり得ませんか……難儀なこと) 従者らしき影は沈黙のまま虚空を見やる。その視線を気にも留めない少年は永劫気づくことは無いだろう、その視線の内の憐憫と失望に。 -- 名無しさん (2013-07-27 20:56:58) - …… 「さて、何時ぶりかな、この世界に降りるのは……彼らに会う前に奴とのカタをつけんとな」 -- 名無しさん (2013-07-27 21:09:21) - 雲よりも高い空に降り立った少年は眼下の世界を睨みつける。 -- 名無しさん (2013-07-27 21:18:07) - 「ま、これ以上あいつらを停滞させてもらうのも困るしな……早々にケリを着けるとするか」 そして、瞬時に砂漠化した風景のド真ん中に降り立った男は、周りを睥睨して指を鳴らした。 それだけで、あたりの風景が風で吹き飛び、綺麗な夜空と都市一つ分が砂漠と化したかつての都――洛陽の中央に立った。 -- 名無しさん (2013-07-27 21:37:36) - 「さぁ……微睡むのもそこまでだ。出てこい――静(しずか)」 -- 名無しさん (2013-07-27 21:38:57) - 虚空へと声を驚かせると――目の前で砂塵が唐突に発生した。そこから溢れる魔力と霊気と闘気と殺気と神気は間違いなく彼らクラスでありながら、揺るがない。和哉がかつて言っていた評価は嘘でも過大評価でもなく――事実その通りなのだ。 -- 名無しさん (2013-07-27 21:40:17) - 巻き上げられた砂塵が引き裂かれる。そして、殺意が向けられた先から巨大な四足獣が現れる。 -- 名無しさん (2013-07-27 21:49:53) - 「――――――――」 「久しいな静……そんな成りになってまで来るとは驚きだがな」 -- 名無しさん (2013-07-27 21:50:42) - 「GAAAAAA!!!」 少年への返答は、殺意交じりの獣の咆哮だ。 「……心を失ったか? さりとて、元々再開を懐かしむ気も無いんでな――――消えろ」 -- 名無しさん (2013-07-27 22:06:44) - 無慈悲に告げると獣の足元から暴風が吹きあがる。暴風は竜巻となり、獣の肢体を塵とかえる。断末魔を挙げる余地すらなく塵に還っていく獣の影は人間の女性を模っているように見えた。 -- 名無しさん (2013-07-27 22:22:26) - 「終わったな」 少年は静をこの手で魂すら残さず消滅させた事を、確かな手応えとして感じ取る。 -- 名無しさん (2013-07-27 22:23:49) - だが。 「――おかしいな、異変が止まらない?」 世界に起こる異変は止まらない、それどころか勢いを徐々に増している。 「ふむ、静はまだ生きているのか?」 少年が疑惑を持った瞬間。確かに搔き消えたはずの静の魂を感じ取る。 -- 名無しさん (2013-07-27 22:25:29) - 「ああ、やはりか……面倒だな、どうにも」 疑惑を持った瞬間、不自然なほど唐突に感じ取ることが出来た。意識するまで全く何の痕跡も存在していなかったのにだ。しかし、少年は疑問を持つことも無い。ただ、現れたそれを消すことだけが頭にある。 -- 名無しさん (2013-07-27 22:27:14) - 「では、滅ぼすとするか」 空間を飛び越え、静の魂を滅殺にかかる少年。しかし、殺しても殺しても異変は止まらず、少年が疑惑を抱けば、何度でも静は復活した。 -- 名無しさん (2013-07-27 22:28:43) - そんなイタチゴッコを数億回程繰り返した時には、既に夜が明ける直前だった。 -- 名無しさん (2013-07-27 22:29:22) - 「やれやれ、面倒な事だ……仕方あるまい、対処は彼らに任せるか」 タイムリミットを感じたのか、少年はあっさりと姿を消した。 -- 名無しさん (2013-07-27 22:43:38) - …… 和哉「目的地に着く前に言っておくぞ、今回の異変。原因は間違いなく静――前に言った特殊な覇道の持ち主だ」 夜が明け、村を出発した直後、和哉が断言する。 司狼「そりゃ、何とも厄介そうだな」 一同はすんなりとその言葉を受け入れた。原因の異変は静であると。 -- 名無しさん (2013-07-27 22:45:46) - 進軍しながら、和哉は静についての特性や危険性を改めて一同に語る。 黄金(聞く限り、私が感じた感覚とはまるで異なるな……私の思い違いか、和哉の言葉ならば信には足る) 水銀(ふむ……神格や異能者ではなく、何か聖遺物のような力ある器具が原因だと思っていたのだが……彼の言葉なら、まあ私の思い違いだろう) 黄金と水銀も自分が感じた違和感を間違いと断じ、静を原因として対策を考え始めた。 -- 名無しさん (2013-07-27 22:48:44) - 和哉「絵に描いたような万能の存在だが、必ずアイツにも『歪み』があるはずだ。その歪みの対処に俺は手を焼いているんだがな」 ベイ「確か、殺せなかったんだろ?」 和哉「意味不明な超越した力でな……親父の変態性よりヤバイな、あれは」 -- 名無しさん (2013-07-27 23:05:52) - マキナ「死なない不滅の存在か……確かにふざけているな」 司狼「しかし、どうあっても殺せず迫ってくる存在か……まるで自滅因子だな」 なんの気なしに呟く。 -- 名無しさん (2013-07-27 23:48:59) - 和哉「……自滅……因子?」 心底驚嘆したのか、思い切り表情に出して驚く和哉。 -- 名無しさん (2013-07-27 23:55:59) - 水銀「私の自滅因子がハイドリヒ、息子の自滅因子がゲオルギウス。共に相克しているはずなのに何故か惹かれ合う……獣殿の意志を受け継ぐあの少女のようにな。であろう?ザミエルよ」 -- 名無しさん (2013-07-27 23:58:05) - ザミエル「……覇吐と烏帽子殿、か」 水銀「あれはかなり特殊な例だが、あれもそうだ」 黄金「高所に立てば墜落を、刃物を持てば自傷を……人は忌避し、しかし求める」 マキナ「総て自滅の渇望だ」 -- 名無しさん (2013-07-27 23:59:39) - 水銀「しかし、相当な回数の殺し合いをしていたのだろう。自滅因子だと気付かんのは不自然ではないか? 模倣神であるならば、その特性は当に理解しているだろう」 和哉「そうだ……前例があるのなら、俺に気付けない筈が……」 狼狽しながら語る和哉。 -- 名無しさん (2013-07-28 00:09:40) - 和哉「いいや……なら何故『今』俺は気付いた?そもそも、何故この世界で『思い出した』?いいやそもそも、このような事態にならないように『徹底的』に消したはず?」急に自問自答を繰り返し始めた和哉。ワナワナと身体が震えだしていた。 -- 名無しさん (2013-07-28 00:16:18) - 和哉「なんだ?何を俺は『忘れている』?幾星霜も殺し合いを続けたはずなのに、何故気付かなかった?」 司狼「落ち着け!」 肩を強く掴まれ、和哉が我に返った。 和哉「はっ!?」 -- 名無しさん (2013-07-28 00:17:28) - 和哉「すまない……ちょいと取り乱しちまった」 何とか平静を取り繕おうとするが、青ざめた顔色は戻らない。 -- 名無しさん (2013-07-28 00:27:53) - 香純「うんしょっと」 さりげなく香純が和哉の汗を拭ってくれていた。 香純「私たちがいるから、大丈夫だよ♪」 和哉「……香純」 マリィ「もう死ななくていいんだよ……みんな、私が抱きしめるから」 和哉「ははっ……俺はいいさ。蓮たちを抱擁してやれば、それでいい」 マキナ「(どこまでも自己犠牲な男だ)」ザミエル「(だからこそ、己が神の器でないことを弁えているのだろう)」 -- 名無しさん (2013-07-28 00:31:12) - 和哉「よし、少しばかり話そう」 今は水銀が亜空間に用意しておいたSFに出てきそうな車に皆を乗せて走行中だった。 -- 名無しさん (2013-07-28 00:32:32) - 和哉「波旬より面倒な奴の名は『久遠静(くおん しずか)という。本来は求道の渇望を抱く、清らかな女だった。だが、いつからかあいつが俺に対して一方通行な恋慕を抱き、それが歪み破綻していった。俺がマリィ、香純に愛を捧げていたのをどうやって知ったからは知らない。だが、それに気づいたあいつは完全なる自己愛と狂愛に目覚め、それでいて己を見失わず、冷静であり続けながら俺を求めた――殺し愛をして己の愛を証明させるために、な」 -- 名無しさん (2013-07-28 00:35:26) - ベイは眉根を顰める。 -- 名無しさん (2013-07-28 00:37:14) - 司狼「何時からか……つーけど、お前模倣神になってからは回帰やらなんやらで訳わからん位の時間過ごしてんだろ? 模倣神になる前の話か?」 蓮「考えてみりゃ、お前が模倣神になる前とか殆ど知らねえな」 -- 名無しさん (2013-07-28 00:42:58) - 和哉(……そういや話して無かったか………………いや、違うなそもそも俺は生まれたときから模倣神だ) その辺りを説明しようとして、端と思い出す。自分はメルクリウスやマリィと同じ生まれつきの神格で、厳密に人として生きた時間は無い。模倣の特性で人としての生活を知っているだけだと。 -- 名無しさん (2013-07-28 00:44:58) - 和哉「いや、俺は生まれたときからの神格って奴でよ……模倣神になる前とかねえんだわ、あいつとは何時かのループか何かであったんだろう」 -- 名無しさん (2013-07-28 00:45:48) - シュライバー「漠然としてるね~どうも」 アルフレッド「要領を得んのだが」 -- 名無しさん (2013-07-28 00:47:04) - 和哉「あ~つまりだな、俺という個体の人生は親父と同じく『渇望』が起因で神性を宿していたんだよ。だから、俺が人という人生を謳歌した時代は…………あ~、ないな」 -- 名無しさん (2013-07-28 00:48:08) - 蓮「あれ? お前、模倣神になる前に手に入れた力がどうとか前に言ってただろ」 司狼「魔術だったか、神炎だったかだよな」 疑問を露わにする二人。 和哉「……そうか? まあ、メルクリウスと同じで俺も忘れちまったり、勘違いする事は多いんだよ」 回帰の影響だろうと語る。 -- 名無しさん (2013-07-28 00:48:45) - アーチャー「面倒なことだな;」 -- 名無しさん (2013-07-28 00:50:53) - 和哉「言うなよ;まあ、あの時話をした内容は間違いなく本物だ。だが、俺が『原初(はじめ)』て俺という存在を観測したのがまた並列世界でよ……迷走しちまってるが、ただ言えるのはどの世界の己も『渇望』は一緒なんだよ」 -- 名無しさん (2013-07-28 00:52:08) - 何にでもなれる変幻自在な渇望――模倣。他人を真似て、他人のように動き、他人のように試行し、他人の能力を真似て、他人の言語を模倣し、他人の思考を称賛しつつも真似る。総て総てが【他者】という存在がいて成り立つ渇望だ。 -- 名無しさん (2013-07-28 00:53:41) - 水銀(裏を返せば、他人がいてこそお前が成立していることになる)」黄金「(私と同じくな……迷走してしまっているのは、その原初の己がどれだか分からなくなってしまっているからだろう)」二柱は心の中で考えていた。 -- 名無しさん (2013-07-28 00:54:56) - 水銀「まあ、座と言うのはそもそも時間軸や世界軸のような理屈云々を超越してしまう特性があるしな」 蓮「元祖意味不明が言うと説得力が凄いな」 -- 名無しさん (2013-07-28 00:55:51) - 和哉「そうだな……理屈だけで全てを決められるわけでもない……あいつにも自滅因子と判らせない能力でもあったのかもしれない。自滅因子だと分かれば、模倣の特性で対処できちまうし」 そうやって、『納得できそうな理屈』に当てはめると、和哉の不安も大きく和らいだ。何も心配する事は無い、おかしい事など無いのだと。 -- 名無しさん (2013-07-28 00:59:13) - …… 「奴が自滅因子?」 一同を観察していた少年も、表面的にはともかく、内面は激しく動揺していた。 「ならば……なぜ、気付かなかった? いや、それよりも何故克服できない?」 無限にも思える模倣体験の中には、自滅因子と相対した経験もそれを克服した経験も数限りなく存在する。だというのに、今の今まで静が自滅因子と言う事実にすら気付く事が出来なかった。 -- 名無しさん (2013-07-28 00:59:32) - だが、和哉の言葉で平静を取り戻す。 「そうさな、自滅因子であるならば……私の特性を回避するくらいは造作も無いだろう」 そして、平静を取り戻したならば、静への対処法も完璧に導き出せる。これで、『自滅因子』を克服したと少年は確信を持つ。阻む障害はもはや無く、ありし姿への回帰はなるのだと。 -- 名無しさん (2013-07-28 01:01:30) - だが、 「…………ふむ」従者の存在が溜息を零した。 -- 名無しさん (2013-07-28 01:02:53) - 「気付かれたか……堕落したものですな」 「なに?」 意外や意外。あの従者が意見を申し立てたのだ。ただ、問題があるとするなら――そこには侮蔑に羨望が混じっていることだ。 -- 名無しさん (2013-07-28 01:03:54) - 「どういう意味だ?」 「別段可笑しな意味ではありませんよ。ただ、座の交代劇に三つ巴を繰り広げていたはずのあなたが気付かない……違和感に気づいていなかったのも、あなたが分離したせいなのですよ。『本来持つはずの機能』が消えてしまっているのですから」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:05:07) - ドクンッ! 「――――何者だ、おまえは」 最大の警戒態勢に入った少年は、黒衣を羽織り彼の称号を名乗る姿へと変わった――青年、黑鐵へと。 -- 名無しさん (2013-07-28 01:06:07) - 黑鐵「今まで敢えて見逃していたが……お前はいつから俺の傍にいた?」 「これにも気づいていなかった……わたくしが『触覚』であることに」 黑鐵「!?」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:07:14) - 「といっても、私はしがない旅人ですよ……別世界からのね」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:07:56) - 黑鐵「別世界……?」 「貴方の支配領域に無い世界……有体にいえば『貴方が模倣したこの世界』のオリジナルからやってきました」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:08:56) - 黑鐵「私が……模倣した世界? 何を言っている?」 「やはり忘れていましたか。この世界も、あそこに居る神格達も――全て貴方の模倣品だということに」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:09:52) - 黑鐵「――何?」 「信じはしないでしょうが言わせていただくならば、貴方はね……本来はただの感応者でした。ただ、神や並行世界まで手を伸ばせるほどの」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:11:07) - 「そして、感応した相手の記憶・感情をコピーのように写し取る事が出来た…………本来はそこで終了、貴方はただの観測者にすぎなかった」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:12:10) - 「しかし、黄昏の世界、第五天でしたか? あの世界に生きていた貴方は、ひょんなことから神の特性をコピーすることに『成功してしまった』」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:13:23) - 「神の特性……即ち、己の渇望で世界を染め上げる事で万物の根源たる座に到達する力……と言っても、貴方の力そのものは本来どうしようもなく下級。三神格からすれば息吹き一つで消し飛ぶほどはかない……そこを女神に救ってもらっていた」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:15:14) - 「ただ、盗み見るだけならばと、座とのアクセスを女神に見逃されていた貴方は、女神に害をなさないならと水銀たちにもお目溢しをいただいていました」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:16:56) - ……和哉「!?!?!?」 パチン! マリィ「……ほえ?」 不意に、和哉は己に触れるマリィの手を弾いていた。 -- 名無しさん (2013-07-28 01:17:43) - 蓮「は?」司狼「んだ?」水銀「ん?(なんだ、この和哉の冷や汗と気の乱れ方は?)」和哉「――――――――なん、だと」愕然とする和哉は、皆から距離を取り始めていた。 -- 名無しさん (2013-07-28 01:18:38) - 「そうして、貴方は遍く世界の記憶を盗み見ることに成功する……しかし、そんな平穏は続かない。あの邪神の襲来によってね」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:19:23) - 黑鐵「――――第六天、波旬か」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:20:03) - 本来黑鐵と離れている和哉には聞こえるはずがない。だが、黑鐵の動揺が和哉と同調する波紋を緩くし、聞こえてしまっていたのだ。感覚によるものだ。 -- 名無しさん (2013-07-28 01:20:13) - 「邪神の襲来による未来は二通り、一つは水銀の回帰による新たな第四天の始まり、もう一つは黄昏の敗北からの邪神が支配する第六天、邪神を打ち滅ぼし創世をなした第七天への物語」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:21:26) - 「本来、断絶された二通りの未来。貴方は座のアクセスによって双方の未来を盗み見る事が出来た。しかし、それまで水銀が回帰した未来では因子を消滅させられ、第七天に続く未来では天魔の法に隠れることで生き残ったが……天魔が死に、第七天へなった世界では消滅を余儀なくされました。貴方も仮初とはいえ覇道の神格でしたから、敗北からの消滅は免れない」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:24:19) - 「それを知った貴方は――逃げた。第七天の未来を選び、七天が生まれたと同時、彼らの多様性を認める覇道の性質を利用して……自分が作り出した模倣の世界に逃げ込んだのですよ」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:25:58) - 黑鐵「……ならば」 「気付きましたか。この模倣の世界に生きる神格は、いや、全ての存在は貴方が作り出した模倣品。全ては貴方の為に存在し、貴方に安らぎを与えるためだけに存在する……模倣による無限の経験、それは貴方が盗み見た記憶を好きなように改竄した空想・妄想の産物でしかない」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:27:39) - パリン!! その時、和哉と黑鐵の精神が――崩壊した。 -- 名無しさん (2013-07-28 01:29:43) - ……和哉「GUAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!?!!!!!!!!!!!!!!!!!!???????????」 獣のような咆哮を上げると、夜刀のように赤く染まり、血涙を流しながら天へと飛んで行ってしまった。 -- 名無しさん (2013-07-28 01:30:35) - 厳然としかし、内側には嘲笑と憐憫を込めた口調は止まらない。 「貴方が望んだ模倣神の合一……その先にあるものを教えましょうか? それはただの自殺ですよ。統合を果たした貴方は、神性として座に挑む事が出来ましょう、というより覇道の性質から挑まざるを得ないのですが。しかし、貴方の本来の実力では座への道を作る事すらできず……力を使いはたしてのたれ死ぬ」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:31:38) - 黑鐵「キサマァァァァァァァァァ!!!!!!」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:32:50) - 知りたくない真実を知り、黑鐵の怒りは神威と共に幕引きの鉄槌として振り下ろされていた。 -- 名無しさん (2013-07-28 01:33:21) - 「所詮は偽りの神……何もできない紛い物なんですよ。贋作者」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:34:17) - 終焉の拳を微風のように躱しながら、従者は囀る。 -- 名無しさん (2013-07-28 01:34:52) - 黑鐵がそれを聞いているかどうかは定かではない。しかし、なおも言葉は続く。 「あの静という存在……あれが消えないのは、自滅因子だから……というのは半分正解です。より正確には、あれは貴方の歪みの発現……この世界において、創造主である貴方にどうしようも出来ない現象が起こった時……その原因を押しつけて逃避するための幻影なんですよ」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:35:07) - ……この時、世界が崩落を始めていた。もう娯楽など意味を成さず、人々が死に絶えていく。だが、奇蹟が起きていた。本来この世界の模倣品たる藤井蓮たちに、本来の世界にいる藤井蓮たちの意識が、精神が、魂が共有されたのだった。 蓮「これは!?」 黄金「……なるほど。この世界の我らは紛い物、ということか」 水銀「だが、それがどうした」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:37:28) - 黑鐵「ならば、ならばこの世界の異変は!?」 「あれは……これのおかげでしょう」 従者は空間の中に映像を投影する。その映像に映るのは――砂漠に埋まる黄金の輝きを放つ何か――。 黑鐵「あれは――まさか!?」 「気付きましたか? あれはロンギヌスのカケラ――大した愛情だ、貴方の歪みを正すためだけに世界を飛び越えるほどの『破壊の情』」 感服せずにはいられないと恭しくロンギヌスを見つめる。 -- 名無しさん (2013-07-28 01:38:28) - 「あれに身をゆだねれば……少なくともこの世界に囚われる模倣品は救われる、極めて近く限りなく遠い存在として新世界に新生できるでしょう」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:40:15) - 司狼「人の娯楽を邪魔されたのはあれだし、神の玩具だってのは糞気に入らねえがよ……あいつを愚弄したな、よくも」 マキナ「奴がなんであれ、その存在を否定するなど許せる道理はない」 黄金のカケラ……この世界に落ちた奇蹟と、彼らの友情との奇蹟。二つが織りなす奇蹟を持って今――彼らは黑鐵がいる空間を見据えた。 -- 名無しさん (2013-07-28 01:40:38) - 黄金「加減は不要のようだな」お構いなしにロンギヌスを放ち――彼らが黑鐵がいる空間へ躍り出た。同時に、狂っている和哉も乱入した。 -- 名無しさん (2013-07-28 01:41:25) - 「これはこれは、この世界の模倣品の方々……どうなさいました?そんなに憤って。この世界の真実を知った今、加担する道理はないでしょ?」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:42:04) - 水銀「確かに無いな、模倣神に対してはいくら殺しつくしても収まらんほど怒りがわく」 黄金「我らの誇りを愚弄してくれたのだからな」 蓮「だけどよ――俺らは何もしないで他人に運命任せるなんてまっぴらなんだよ」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:44:13) - 和哉「――――――――コロス」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:45:05) - 和哉の念が溢れてくる。俺を殺せ。お前たちを愚弄した俺を殺せ。殺せ殺してくれ。女神、もう俺を救うなど言うな。殺してくれ。断刀刃で殺せ。黄金、お前が殺せ。刹那、お前が殺せ。殺せ殺せ殺せ殺せ。模倣神を許すな。 -- 名無しさん (2013-07-28 01:46:01) - 和哉の殺気は模倣神の気となり、模倣品達への支配と束縛が強まる。だが、神格達の覇気が模倣神の支配を越える。外の世界から、流入する力は彼らを確固たる存在として確立させていく。 (これは……余計なちょっかいはいらないですかね?) -- 名無しさん (2013-07-28 01:46:48) - 蓮「うるせえんだよ!! ボケが!!! あの野郎の次にきっちり殺してやっから、大人しくまってやがれ!!!」 怒りと共に逆に命令する蓮。 -- 名無しさん (2013-07-28 01:47:39) - 和哉「ダマレ!」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:48:04) - 「なんとういう道化ぶり……己を殺して欲しいと?ハッ、笑わせないでもらいたい。出来そこないの三流心……波旬にも劣る糞の掃き溜めがよくも宣ものですな。あははははははは」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:48:09) - 蓮「てめえも黙れや! 順番が違うだけで、てめえも殺す!!」 和哉「―――!!!???」 その神気に全く対応できない。ただ、萎縮し停止の理を叩きつけられる。 -- 名無しさん (2013-07-28 01:49:04) - アーチャー「……投影、開始」双剣を出すや否や、従者を切り伏せていた。 アーチャー「憤りはあれど、お前が和哉を愚弄するな」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:49:32) - 「……大した盲信ぶりですな。ある意味洗脳されていたようなものですぞ?」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:50:20) - ギル「雑種に扱われていたのは確かに癪に障るが……だがな。そいつと過ごした日々は中々に愉快なものであったぞ?お前ら雑種が憤ってるのが分からぬがな」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:50:41) - ランサー「てめぇがそれを言うか?ま、俺もあいつと過ごせた日々が楽しかったのは賛同だ。おい道化、お前じゃ理解できねえだろうよ」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:51:26) - アーチャー「君にはわからんかもしれんが。確かに彼への怒りは大したものだよ。ただまあ、一応創造主への敬意は必要だろう?」 皮肉気に頬を釣り上げる。 -- 名無しさん (2013-07-28 01:51:56) - 「やれやれ……真実を教えて差し上げたのに。女神よ、あなたはどうです?玩弄したのですよ?愚弄したのですよ?弄んだのですよ?このような屑を救済などする価値などありませんよ?」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:52:33) - マリィ「相手が誰でも……いつかは幸せになってほしい――だから」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:53:11) - 「は!戯言を!」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:53:32) - 「救済を?幸せになってほしい?そのような男に価値などない。幸せ?ふざけたことを……幸せなど、その男には不要なんですよ」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:54:08) - (全てを抱きしめる――か、大した愛ですよ全く) 心中で恭しく、礼をして返す。 -- 名無しさん (2013-07-28 01:54:36) - 「水銀殿に黄金殿。はやくその男を殺してあげなさい。愚弄したのですから……ザミエル卿にベイ中尉もそうでしょ?さあ、はやく」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:55:21) - 水銀「物事には順序がある」 黄金「まずは卿だな」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:56:03) - ザミエル「確かに気に入らんな――へどが出るほど甘ったれた人形遊びに付き合わされた」 ベイ「それも人形役でだ」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:56:42) - シュライバー「でもさあ……君は君でムカつくんだよね!!」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:57:11) - 「なぜ?」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:57:42) - 「分かっていない……その腐れ切った男を殺せば終わりなんですよ?」 夜行『さて、それはどうかな?』 -- 名無しさん (2013-07-28 01:58:14) - そこに背後の空間を砕いて乱入してきたのは――摩多羅夜行だった。 夜行「総てを見させて貰った……黄金の獣殿、少々お待ちを」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:58:53) - 水銀「お前は……」 ザミエル「夜行か!」 夜行「和哉殿を殺しては困ります……個人的にですが、ね。烏帽子殿もどうです?」 -- 名無しさん (2013-07-28 01:59:40) - そこから、曙の連中も出てきた。 竜胆「龍明殿に藤井殿もお待ちください!」 -- 名無しさん (2013-07-28 02:00:16) - 覇吐「ちょいとそこの和哉にこっちも色々あんでよ、殺すのは勘弁してくれ。ま、半殺しはいいだろうけど、な」 「な、に……?何故ここに?」 -- 名無しさん (2013-07-28 02:01:06) - 従者が初めて狼狽を示した。 「助ける義理などはないはずだ!模倣神は全人類の害であり、害虫そのもののはずだ!」 -- 名無しさん (2013-07-28 02:01:59) - 覇吐「どころがどっこい。奴さんは、ウチらの世界じゃそっちの黄金さんたちと同様に、恩人でもあんだよ」 -- 名無しさん (2013-07-28 02:04:17) - 「は?(どういうことだ?本当に曙たちには無関係のはず)」己が知らない情報に流石の従者も疑念を抱く。 -- 名無しさん (2013-07-28 02:04:55) - 夜行「その前に、和哉殿を止めねばな――TON☆JI☆CHI!我、三毒障礙せし者、断罪せしめん」 -- 名無しさん (2013-07-28 02:08:22) - 刹那――神威を放つ狂う和哉を中心に、神威「だけ」が消失させられていた。 夜行「死を裁く者である私に、御身の神威の『死』を裁けぬ道理はあるまい?」 -- 名無しさん (2013-07-28 02:09:32) - 和哉「――何故だ、俺の方が力は――」 夜行「仮初の世界ではない本来の世界での力関係ならば、当然私達が勝つ。忌々しい奴の言葉を借りるなら、質量が違い過ぎるのだから」 -- 名無しさん (2013-07-28 02:12:34) - 紫織「はい、少しゴメンね」 和哉「ぐっ」 手刀で落ちた。 -- 名無しさん (2013-07-28 02:13:34) - ベアトリス「あなたたち!何故――」 戒「宗次郎君……君もか」 宗次郎「ええ、彼はあなた方が知らない別の遺産も残していましてね。龍明さんと同じ化外の住人であったのは驚きましたが」 -- 名無しさん (2013-07-28 02:14:48) - 和哉「俺は――お前らは知らん――」 覇吐「何言ってんだよ、恩人だっただろ――――――えーと、あれだよ、箱根だったかの時の」 和哉の言葉にもにゃもにゃと返す覇吐。 和哉「お前――」 その言葉に何かを察したようだ。 覇吐「ああもう、こまけえ事は良いんだよ! ここはそういう事にしとけや!!」 -- 名無しさん (2013-07-28 02:15:09) - 宗次郎「そうですよ、助けられたという事実が肝心です。それ以外は瑣末事」 夜行「助けられっぱなし、というのも恰好がつかんしな」 -- 名無しさん (2013-07-28 02:16:09) - 「はあ、つまりは……貴方がたもそちらに回ると」 竜胆「そういう事だ」 -- 名無しさん (2013-07-28 02:16:42) - 「はぁ……殺しておけば楽なものを(ここまで愛されるとは……難儀なものだ)」 -- 名無しさん (2013-07-28 02:18:05) - (しかし、終わりは近いようですね)「そうですか、ならば問答は無用でしょう。――私も力で行きます」 -- 名無しさん (2013-07-28 02:18:56) - 右掌を和哉に向け――放った。 -- 名無しさん (2013-07-28 02:19:32) - それは――目に見えない乖離剣だ。 -- 名無しさん (2013-07-28 02:19:58) - ギル「何故、エアを!?」 「安心してください、ただの模倣品です」 -- 名無しさん (2013-07-28 02:20:33) - 問答無用で和哉を殺しにかかるが、 宗次郎「五障深重の消除なれ。執着絶ち、怨念無く、怨念無きがゆえに妄念無し。妄念無きがゆえに我を知る。心中所願、決定成就の加ァァ持」 -- 名無しさん (2013-07-28 02:21:13) - 「おわっと!?」 宗次郎の斬撃に剣ごと腕を斬られる。 -- 名無しさん (2013-07-28 02:22:02) - (あれは概念だろうがなんであろうが斬り裂く刃!危ない危ない) -- 名無しさん (2013-07-28 02:22:44) - 紫織「此処に帰命したてまつる――大愛染尊よ 金剛仏頂尊よ 金剛薩たよ衆生を四種に接取したまえ!陀羅尼愛染明王ォォッ!」 -- 名無しさん (2013-07-28 02:23:20) - 「なっ!?」 即座の追撃に四肢を吹き飛ばされる。 -- 名無しさん (2013-07-28 02:24:23) - 「ガハッ!?(ここまでやりますか!?)」 -- 名無しさん (2013-07-28 02:25:10) - 覇吐「ワリイな―――終いだ!!!」 「――――」 とどめの曙光の剣が残った胴体を一瞬で灰塵へと還した。 -- 名無しさん (2013-07-28 02:25:35) - 和哉「終わり――だな」 黄金「ああ、思ったよりも呆気ないが」 水銀「我ら何もやって無いな……」 -- 名無しさん (2013-07-28 02:26:18) - 覇吐「って、おらよっと!」隙を見て七夜が和哉を殺そうとしていたが、覇吐が斬撃を放ち牽制していた。七夜「邪魔をするな」 覇吐「だから待てって!」 -- 名無しさん (2013-07-28 02:26:46) - 覇吐「話聞いてくれよ。今、こいつにトドメ差したら世界もろともお前ら共倒れだぞ!!」 必死に訴える覇吐。 -- 名無しさん (2013-07-28 02:27:43) - 七夜「水月のような俺を玩弄した……俺は、俺を呼び出した存在を殺す存在だ。故に、邪魔をするな」 完全に七夜はブチ切れていた。いいや本来の彼に戻ったとでもいうべきか。冷徹になっていた。 -- 名無しさん (2013-07-28 02:28:04) - 覇吐(あちゃ~こいつはヤベぇ?)ザミエル「終いだ!」ザミエルの剛拳が和哉の側頭部へ放たれていた。 -- 名無しさん (2013-07-28 02:28:52) - 和哉「うぐ!?」 余りの速さに反応できずに殴り飛ばされる。 -- 名無しさん (2013-07-28 02:29:40) - 和哉「う……ぐぐ」 防御の力も再生の力も――最早何も残ってはいない。真実に晒され、本来の世界とつながった今、彼はか弱い感応者にすぎないのだ。 -- 名無しさん (2013-07-28 02:30:50) - ザミエル「終わりだ死ね」 -- 名無しさん (2013-07-28 02:31:17) - ???「人世界・終焉変生」 だが、上空から虎を模した甲冑が振ってきた。 -- 名無しさん (2013-07-28 02:31:58) - ザミエル「なに!?」ギリギリで躱し、見てみると――大獄がいた。 大獄「これ以上手を出すな、ザミエル」 -- 名無しさん (2013-07-28 02:32:41) - ザミエル「マキナ!? いや、大嶽? 何故ここに居る!?」 大嶽「――まずは話を聞け、納得するかどうかはお前ら次第だがな」 -- 名無しさん (2013-07-28 02:33:47) - マキナ(……どうなってるんだ?) 水銀(あれは――そういう事か。――ならば茶番に付き合ってやろう)  -- 名無しさん (2013-07-28 02:34:44) - 水銀「獣殿」 黄金「……わかった、ザミエル退け。反論は許さん」 -- 名無しさん (2013-07-28 02:35:17) - ザミエル「!?……ぐっ、ヤヴォール」 -- 名無しさん (2013-07-28 02:35:59) - 城壁をぶん殴り、粉砕してから彼女は引き下がった。シュライバーは二挺拳銃を渋々閉まっていた。 ベイ「ちっ……そのクソ野郎に加担する意味が分からねえよ」 -- 名無しさん (2013-07-28 02:36:49) - 覇吐「あ~……お前ってチンピラだったんだな、昔から。けどよ、こいつはこいつなりに託したことがある。殺すなんて性急すぎるんだよ」 -- 名無しさん (2013-07-28 02:37:44) - 橙子(なるほど……ここは静観すべきだな) 玲愛「ふ~ん……邪魔じゃん。私が正論で、そっちの馬鹿は愚弄したんでしょ?なら死ねばいいじゃない。ねえ死んでよ?出来損ないさん」 和哉「――――ッ」 唇を食いしばる和哉。 -- 名無しさん (2013-07-28 02:38:54) - 玲愛「私を嬲っておいて自分はどうなの?馬鹿じゃないの?死んでよ、お願いだから。ねえ、なんで生きてるの?ねぇねぇねぇ?」 今までのお返しと言わんばかりの猛攻。 -- 名無しさん (2013-07-28 02:40:01) - 黄金「テレジア。話が進まん、憤りを晴らす前に話をさせろ」 玲愛「――は~い」 渋々ながらも了承する。 -- 名無しさん (2013-07-28 02:43:22) - 覇吐(この姉ちゃん怖え……)「そうだな――話を戻すが。まず、こいつを殺したら、あんたらも共倒れになる。これは言ったな?」 水銀「ああ、我らが奴の支配領域の存在だというのなら、真実だろうな」 -- 名無しさん (2013-07-28 02:44:50) - 覇吐「だが、こいつにはもうこの世界を維持する力がねえ。俺達の世界にこいつの本体が居るんだが、そいつは衰弱しきってる。もう、長くは無いんだ」 -- 名無しさん (2013-07-28 02:46:05) - 蓮「いきなり世界が綻び始めたのはそのせいか……」 夜行「だからこそ――この者には正式な手順で役目を終えてもらう必要があるのだ」 -- 名無しさん (2013-07-28 02:47:05) - シュライバー「ん~?別にいいんじゃない?僕らが殺しても同じでしょ?」 -- 名無しさん (2013-07-28 02:48:09) - ベイ「どうせ死ぬんだろ?だったら」ザミエル「我らが元の世界へ戻る刹那に殺せば問題ない」 覇吐「だ~!話を戻すな!俺より馬鹿だろ、お前ら!?」 -- 名無しさん (2013-07-28 02:48:55) - 制止する覇吐を引き継ぎ、夜行が続ける。 夜行「それは無理だ、ここは座を模倣して作った世界だが、厳密には異なる機構で動いておる。しかし、最早、この者を延命させることは不可能だ――あの邪神から我らに英雄たちの話を語り継いでくれた時点でも限界だったのだから」 和哉「……」(そういう……筋書きか) -- 名無しさん (2013-07-28 02:50:00) - 玲愛「胡散臭い」 -- 名無しさん (2013-07-28 02:50:54) - 完全に信用してない玲愛は、軽蔑する眼差しで彼らを見ていた。竜胆たちは苦笑するしかなかった。 -- 名無しさん (2013-07-28 02:51:30) - 黄金「まあ、待て。話を聞こうではないか」 水銀(ありきたり……かなこれは) -- 名無しさん (2013-07-28 02:52:22) - 夜行「彼は、過去の英雄達の真実を身命を賭して語り継いでくれた、それが後々の第六天打倒に繋がったのだ……故に彼は私達の恩人なのだよ」 -- 名無しさん (2013-07-28 02:53:19) - 玲愛「……そう」 疑惑はありありだったが、周囲の目線が気になったので、そこは抑えておく。 -- 名無しさん (2013-07-28 02:53:54) - 夜行「まあ、そこは言葉で語ってもせんない事。我らが感じた心を理解しろと言っても、無理だろう」 覇吐「それでもよ、この先を考えたらあんたらにも許せ――とまではいかないが、ちょいとばかり耐えてほしいんだよ」 -- 名無しさん (2013-07-28 02:55:17) - 司狼(なるほど……だが、野郎は恐らく被害者なんだろうぜ)エリー(どういうこと?)司狼(そもそもの原因……生まれた時から神だったと言ってるが、その前の世界ではある存在から力を受け取ったって言ってたろ?となると、そいつが張本人なんだよ)エリー(けど、誰だか分かってないじゃん?)司狼(それを言うなよ) -- 名無しさん (2013-07-28 02:56:11) - だが、力の譲渡は容易ではない。神の素養がない存在が目覚めた、などと都合が良すぎるからだ。となると、ここまで計算し狂わせた奴がいる。間違いなく。どこかで和哉を見て面白いを嘲笑いながら、彼らを観測しているのだろう。 -- 名無しさん (2013-07-28 02:57:29) - 和哉(そりゃ……ただの俺が考えた妄想の産物だよ……) 司狼達の目線から何となく感づいたのか自嘲する。 -- 名無しさん (2013-07-28 02:58:23) - 夜行「それでだ、彼の世界は限界だ。だからこそ、新生する必要があるのだよ、神の手から離れた全く新しい世界としてな」 -- 名無しさん (2013-07-28 03:00:17) - 水銀「どうするつもりだ?」 -- 名無しさん (2013-07-28 03:01:20) - 夜行「水銀、黄金、刹那、黄昏、彼の作る模倣世界の要だが……彼が本来居る世界ではこれらの神格は最早本体が存在しない――記録だけの存在だ。故に、最早彼の世界をそのまま維持するのは叶わない。故にだ、それらの神格の力を一旦彼の記録の中から消失させる」 -- 名無しさん (2013-07-28 03:02:58) - 竜胆「夜行の見立てでは、その四神の力を無くせば、彼の模倣世界は殻を失う」 蓮「ちょっと待て、それだと中の俺たちはどうなる!?」 -- 名無しさん (2013-07-28 03:04:26) - 紫織「そのままなんもしなけりゃ、消えちゃうね」 -- 名無しさん (2013-07-28 03:05:19) - ジューダス「提案する以上は手があるんだろ?」 夜行「当然だ。ざっくり言うとだ、我らの主神の力で新たな殻を作り、座から断絶された世界に放り出す。後は、世界の殻が勝手に新世界を作る」 -- 名無しさん (2013-07-28 03:06:53) - ザミエル「座から断絶された世界への放逐? ……何故、そんな事をする必要がある――まさかだましているわけでは」 夜行「貴方方を消すだけならば、彼の本体を殺せばよいだけだ。まあ、最後まで聞いてくれ」 -- 名無しさん (2013-07-28 03:08:19) - 夜行「新世界の創造と言ったが、それでも彼の世界の影響は多少なりとも残る。この世界で模倣とオリジナル……正確には模倣品と模倣の模倣か、それがぶつかり合うと消滅してしまうというのは聞いたかな? 座と繋がる形で世界を構築すると、貴方方と我らの世界の同一存在が食い合う事になってどちらかが消えてしまうのだよ」 -- 名無しさん (2013-07-28 03:10:10) - 神父「ひとつ確認したいのですが」 おずおずと手を挙げる神父。 夜行「何かな?」 神父「彼の模倣の力が座によるものだとすると……力の源である座から切り離したら、彼の模倣の力で作り出された我々にも多大な影響が出るのでは?」 -- 名無しさん (2013-07-28 03:15:10) - 夜行「そうさな……少なくとも、今の世界で得た経験や人格は一旦無に還る。世界そのものがやり直しを行い、その中で貴方達は再度生まれ直すという過程を通るだろう……今の貴方方と差異が出るのは、間違い無く避けられないでしょうな」 -- 名無しさん (2013-07-28 03:20:20) - 水銀「……女神が行った世界新生と同じようなものか」 今、水銀は第六天にかろうじて勝利し、回帰した世界での記憶を思い出していた。本来体験し得ない、自分の消滅後の顛末まで理解できるのは模倣神の力によるものだろうか。 -- 名無しさん (2013-07-28 03:22:05) - 黄金「そうか――ならば、私は従おう」 意外なほど潔い黄金の言葉に、一同もざわつく。 -- 名無しさん (2013-07-28 03:26:56) - ザミエル「は、ハイドリヒ卿!?」 ベイ「な、何言ってんですか!?」 シュライバー「こんな世界、あいつらを倒せば……!」 特にいきり立つ爪牙を片手で制止する。 黄金「私は――この世界の運命、模倣神の呪縛。結局最後まで抗い、打ち勝つ事が出来なかった。渾身の力で相対したのだがな――世界を変えるという戦いの敗者である私に、何を言う権利があるというのだ」 -- 名無しさん (2013-07-28 03:29:40) - 水銀「獣殿はそう来るか――ならば私も同伴しよう……紛い物とはいえ、まあ、それなりに楽しんだ事だしな……最早十分すぎるほどだ」 覇吐(意外だ――) 大嶽(てっきり、一番抗うと思っていたのだが――凄まじく丸くなっているな) -- 名無しさん (2013-07-28 03:31:43) - マリィ「私は――その世界に行くとどうなるの?」 夜行「……新世界に座は無く、神と言う概念も存在しない。……貴方もまた、皆と共に一人の人として生きていくことでしょう」 マリィ「そっか――」 -- 名無しさん (2013-07-28 03:35:26) - マリィ「私はもうみんなを抱きしめられない――」 蓮「マリィ」 マリィ「――でも、蓮と一緒に笑って生きて、抱きしめてあげることは出来るよ」 女神は世界すら霞む満面の笑顔で笑った。 -- 名無しさん (2013-07-28 03:38:18) - 覇吐「やと、いや蓮だっけか? お前はどうすんだ?」 蓮「俺は――決める前に大嶽に一つ聞きたい」 蓮は大嶽の方に向き直る。 -- 名無しさん (2013-07-28 03:39:31) - 蓮「――あいつは、精一杯刹那を生きていたのか?」 大嶽「――ああ、保障しよう。奴は己の生を生き切ったよ」 倒れ伏す模倣神に目を向け、静かに告げる。 -- 名無しさん (2013-07-28 03:40:55) - 蓮「そうか――なら、俺はあいつに言う事もやることももう無い。皆、またな」 刹那もまた笑った。 -- 名無しさん (2013-07-28 03:42:18) - 玲愛「ええ、藤井君。今度会うときは私との結婚式ね」 螢「……色々飛びすぎですよ」 司狼「ま、良いんじゃねーの。この前向きさと紙一重の電波が先輩の持ち味だろ」 エリー「違いないわねえ」 皆もからからと笑う。 -- 名無しさん (2013-07-28 03:43:52) - ザミエル「ハイドリヒ卿」 黄金「どうした、ザミエル?」 ザミエル「私は――必ず貴方の配下として、この忠の全てを捧げます」 ベイ「一番槍は俺ですけどね」 シュライバー「僕だよ、身の程知らず」 敬礼と共に爪牙も覚悟を決める。 黄金「ああ、楽しみに待っているよ」 -- 名無しさん (2013-07-28 03:45:46) - ジューダス「全く……今度もマスター達とは腐れ縁になりそうな予感だ」 アーチャー「新世界……か」 ギル「どんな所だろうが、我が王である事に相違は無い。何も問題など無い」 言峰「ふむ……新世界は麻婆を世界中に広めるか」 ランサー「勘弁してくれ……」 -- 名無しさん (2013-07-28 03:48:42) - 七夜「結局なにも殺せてないな……まあ、いいか」 青子「決着は――」 橙子「――新世界でってね」 ブラッド「……とんでもない事になっちまったなあ」 アビル「でもさ」 オルバ「僕ら、家族じゃない。きっとまた家族だよ」 ブラッド「ああ、そうだな」 一同もそれぞれに覚悟を決めた。 -- 名無しさん (2013-07-28 03:50:26) - 夜行「では、皆賛同してくれるという事で相違無いかな?」 蓮「ああ――頼む」 代表して、蓮が答えた。 -- 名無しさん (2013-07-28 03:52:41) - 夜行「では、和哉殿。こちらに」 和哉「……ああ」 ずるずると体を引きずり、 蓮「ほら」 司狼「手ぐらいなら貸すぞ」 和哉「……すまない」 二人に肩を借り、夜行の前に立つ。 -- 名無しさん (2013-07-28 03:54:14) - 夜行「では、そちらの……黑鐵殿もこちらに」 黑鐵「……」 精神が崩壊し、死人の如く生気無く座り込んでいた黑鐵はのろのろと歩いてくる。 -- 名無しさん (2013-07-28 03:56:42) - 夜行「さて、それではお二方には融合をしていただく……そしてすぐさま、我らが術に入り、儀式を進める。皆様方には先に、この場から新世界の殻に言っていただくがよろしいかな?」 蓮「いちいち聞かんでも、もう覚悟決めてんだ。早くやってくれ」 -- 名無しさん (2013-07-28 03:58:25) - 術に入る前に、儀式を勧めるため曙光の六柱が陣を取る。 覇吐「女神さん!! 夜刀!!!」 術に入る前に覇吐が叫ぶ。 覇吐「俺は……あんたらにどうやったって返せねえでっけえ恩がある。こんな事じゃ、ほんのちょっとも返せた気がしねえ……でもよ――幸せになってくれ!!!」 -- 名無しさん (2013-07-28 04:00:45) - 竜胆「貴方方に頂いた恩は生涯忘れない!! ――ありがとうございます!!!」 宗次郎「悪路さん! 僕は結局貴方には勝てなかった……だけど、強く強く、誰より強くなって、貴方の影を振り切って見せる!!」 紫織「母禮! あんたとの女比べも途中だったけどさ! 新しい世界でも、私を驚かせるくらい女を磨きな!!」 龍水「母刀治殿!! 私は――私の理想は何時だって貴方です!!! だから、だから、私の越えるべき理想として何時までも気高く美しくあってください!!!」 -- 名無しさん (2013-07-28 04:04:56) - 夜行「大嶽、いやマキナ殿――貴方に教えられた命の尊厳……必ずや守り抜いて見せましょう!」 六柱からの檄が飛ぶ。その言葉を胸に、光に包まれた一行は新世界に一足早く旅だった。 -- 名無しさん (2013-07-28 04:06:50) - 和哉「……おい」 皆が去った後に、和哉が声をかける。 -- 名無しさん (2013-07-28 04:08:40) - 和哉「何であんな嘘をついた?」 睨みつけるように、問いかける。曙光の話には嘘がある。新世界の創世は本当だ、だが、彼らが和哉に助けられたという話は――完全な作り話だ。 -- 名無しさん (2013-07-28 04:09:55) - 和哉「死んだはずの、大嶽まで連れてきやがって」 吐き捨てると、大嶽の姿が薄くなる。 夜行「彼は、これから死出の旅に出る所でな、最後に少しだけ協力を申し出たのだよ」 大嶽「俺の聖戦は――これで本当に終わりだ」 和哉は気付いている、大嶽が望むものは転生でも回帰でも無い、本当の魂の消失。完全なる終焉だと。 -- 名無しさん (2013-07-28 04:12:15) - 和哉「何で……こんなことを」 大嶽「偽りではないだろう――少なくとも、お前が我らの事を忘れまいとした思いは」 -- 名無しさん (2013-07-28 04:13:13) - 和哉はただ、観測する存在だった。世界を見渡し、その経験を我がことのように見る事が出来た。様々な人を世界を見る中で、彼が最も鮮烈に憧れたのは、世界すら変える神達の、超越者でありながら誰よりも真摯に生きようとした人間達の物語。 -- 名無しさん (2013-07-28 04:15:22) - ただ、彼は見つめるだけで満足していた。その輪に入れずとも、その生き様に深い深い尊敬と感動を覚えたのだ。 -- 名無しさん (2013-07-28 04:16:25) - だからこそ、その生き様が理不尽に侵略され破壊され凌辱されるのに耐えられなかった。その記憶を絶対に消すまいという思い一つで、第六天の世界から逃げのびていた。 -- 名無しさん (2013-07-28 04:17:44) - 彼らが死に絶え、次代に全てを託した後も、その生きざまをどうにかして残したいと――己の内側に偽りの世界を作り出し、じっとじっと耐え忍んでいた。 -- 名無しさん (2013-07-28 04:18:42) - 大嶽「俺は――お前の生に敬意を表そう。故にただ無残に何も残さず消える終わりは納得できん」 和哉「……うう」 大嶽の言葉に涙が溢れる。 -- 名無しさん (2013-07-28 04:19:59) - 和哉「お前達は……どうして? ……あんな芝居を打ってまで」 涙を流しながら、問いかける。 覇吐「そりゃお前、俺達はとんでもなく重たくて、大切なもんを託されたんだ。世界に生きる命への責任、化外を生まねえって誓い、全部守り抜かなきゃならねえんなら、お前を助けんのは当然だろ――それによ」 -- 名無しさん (2013-07-28 04:22:42) - 覇吐「必死に生きてえって、生き抜こうとしてるやつをほっとけねえだろ」 陽だまりのような笑顔で、益荒男は答えた。 -- 名無しさん (2013-07-28 04:23:56) - 和哉「そうか――そうか……」 涙ばかりが溢れて、伝えたい言葉が出てこない。それでも、懸命に心は叫び続けていた――ありがとうと。 -- 名無しさん (2013-07-28 04:24:56) - 同じく黑鐵も涙を浮かべる。 黑鐵「和哉……」 和哉「黑鐵……」 互いに見つめ合う。もう、言葉は無くとも心はきまっていた。 -- 名無しさん (2013-07-28 04:26:16) - 「「今こそ、一つに戻ろう」」 -- 名無しさん (2013-07-28 04:26:33) - 宣誓と共に二人は光に包まれ――そこに一人の青年がいた。 -- 名無しさん (2013-07-28 04:28:05) - 夜行「よろしいかな?」 「ああ、やってくれ」 微笑みながら青年は答えた。 -- 名無しさん (2013-07-28 04:29:14) - 曙光六柱が陣を組み、その中心に青年が立つ。 -- 名無しさん (2013-07-28 04:30:21) - 曙光が導き出すは、遍く天を照らす主神の法。天照の術が異能が新世界の法則を編み上げていく。 -- 名無しさん (2013-07-28 04:32:36) - 術の完成は滞りなく進行し――青年の姿は術式の模る光に包まれていく。 -- 名無しさん (2013-07-28 04:33:16) - 覇吐「和哉!」 「!!」 覇吐「元気でな」 最後の挨拶には――最高の笑顔で答えられたと誇りと自負を持って言える。 -- 名無しさん (2013-07-28 04:34:22) - そして、青年の姿は消え去り。――――新世界の創世が成った。 -- 名無しさん (2013-07-28 04:36:05) - 登場キャラ:アーチャー、ランサー、七夜、言峰、ギル、青子、橙子、ジューダス、和哉。 -- 名無しさん (2013-05-05 11:26:23) - 新キャラ:ブラッド(父)、アビル(娘)、オルバ(息子)。←三人とも、不老不死。呪縛から解放された。 -- 案山子さん (2013-05-08 01:26:08) - 海外旅行の征く順番:アメリカ→ギリシャ→中国の奥の方。 -- 案山子さん (2013-05-15 09:36:38) #comment()

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