第16話
二人は夜遅くまで話した。ルイズは聞き疲れたのか、ベッドでぐっすり寝ていた。夢でも見ているようだ
「…寝れねぇ…」
「相棒、どうしたんだい?こんな夜中に?」
「…いくぞ」
「ちょっ!」
エドはデルフリンガーを持って、部屋の外へと出ていった
~ルイズの夢~
「ルイズ!ルイズ!…まったく、ルイズはどこなの?ルイズ~!」
そう叫んでいるのはルイズの母であった。デキのいい姉たちと魔法の成績を比べられ、物覚えが悪いと叱られていたのである。
ルイズは、そんな母から逃げ、彼女自身が『秘密の場所』と呼んでいる、中庭の池に向かう。
中庭の池には、一艘の小舟が浮いており、そこにルイズは一人隠れていた。
すると、一人のマントを羽織った立派な貴族が現れた
「泣いているのかい?ルイズ」
「子爵さま、いらしてたの?」
ルイズが子爵さまといった貴族は年のころは16歳くらい。つばの広い、羽根つき帽子に隠れて、顔は見えないが、ルイズには彼が誰だかわかったようだ
「今日はきみのお父上に、あの話のことで呼ばれたんだよ」
「まあ!」
「ルイズ。僕の小さなルイズ。きみは僕のことが嫌いかい?」
「そんなこと…ありませんわ」
「ルイズ」
そう言うと、優しくルイズに手を指し伸ばした。
ルイズがその手を握ろうとしたそのとき、風が吹いて貴族の帽子が飛んだ
「あッ」
現れた顔を見て、ルイズは当然の声をあげた。
「な、なによあんた」
帽子の下から現れた顔は、憧れの子爵ではなく、使い魔のエドワードであった
「…」
エドは無言で右手を差し出していたが、いつの間にか右手は剣に変わり、ルイズの喉につきつけられていた
「ちょっと…イヤ、…キャァァァ!!」
~ルイズの部屋の外~
部屋の外では、エドがデルフリンガーを一心不乱に振っていた
「ハァハァ…」
「相棒、いつまでこうやってるつもりだい?」
エドは一時間近く、剣であるデルフリンガーを振っていたのだ
「ハァハァ…錬金術はな…ハァハァ…体と精神を両方鍛えないといけないんだ」
「しかしなぁ…」
「キャァァァ!!!」
「「!?」」
突然、ルイズの悲鳴が聞こえてきた
「な、なんだ!」
エドは慌ててルイズの部屋に入っていった。デルフリンガーをおいて
「あ~い~ぼ~」
エドが慌ててルイズの部屋に入っていくと、ルイズがベッドの上で汗だくになっていた
「おい!だ、大丈夫か?」
「ハァハァ…」
「何があった!」
「イヤッ!!こ、来ないでよ~~~!!」
「ん?なんだ?」
ルイズは明らかにエドを拒絶している。
その視線は、エドの右手を見ている
「いやぁ~来ないでよ!このば、ばか~」
「おい!起きろ!!」
「へ?…ハァハァ…夢?」
「何があった?」
ベシッ!
「いだっ」
エドがルイズに、ムチで叩かれた
「なにしやがる!」
「…ハァハァ…あんたは…夢にまで…なんなのよ~」
「だから、なんなんだよ!まったく…」
「!?(エドが夢に出たなんて言えないわよ!)…べ、別にっ!なんでも、なな、ないわよ!」
「なんでもないのに、人をムチで叩くのか!!」
「…もぉ~あんたには関係ないでしょッ!!」
そう言うとルイズは、布団をかぶって隠れてしまった
「(な、なんなんだよ!まったくワケ分かんねぇ)」
エドも自分の寝床に入り、眠ってしまった
その時、デルフリンガーは―
「いいさいいさ…俺なんて…ブツブツ…」
一人(?)いじけていた…
最終更新:2007年08月21日 21:12