下級生・瑞穂調教 3


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下級生・瑞穂調教  第二話教室

私立卯月学園――――。
広い敷地をグルリと囲む鼠色のブロック塀。
それに背を預けるようにして並んで植えられた木々。
5階建て鉄筋製、ホワイトパールの校舎。
バスケットコートなどの運動施設としては勿論、入学式や卒業式などの重要な行事にも使用される体
育館。
縦25メートル、横15メートル、深さ2.2メートルのプール。
プレハブ作りのクラブハウス群に4面のテニスコート。
それらを配された敷地の大部分を占める、水はけの良いグラウンド。
複数の体育会系クラブが十分な練習場所を確保するだけの広さ。
乾いた茶土の上に石灰で描かれたトラック。
グランド先にあるブロック塀唯一の切れ目、石造りの校門。
その中間点、校門から10メートルちょっと入って左手。
そこには学園のシンボル的な桜の大木が大小無数の枝々を天に広げ立っていた。
グラウンドの片隅で大きな三角錐の翼をはためかすように……。 

 息を切らせた健太郎が教室に駆け込んできたのは、一時間目の授業が始まった直後だった。

「おしいッ!ギリギリアウトだぜ、健太郎」

教室後方ドアのすぐそば、廊下側、一番後ろの席に座る男子生徒がちゃかす。
制服の青いズボン・ブレザーに白い無地のTシャツ。
他の生徒とは異なりノーネクタイ。
肩に掛かる寸前まで伸ばされた茶髪は額の真ん中で左右に分けられ、体格はごく普通の高校生といっ
たところ。
両耳には金色のピアスがされており、目は一重で口は大きく、鼻は典型的な日本人鼻。
健太郎の悪友の一人である、後藤稔だ。

「うわッ!まじで!?」

扉に手を掛けたまま口を大きくあける健太郎。

「こら、立ち話はいいから早く席につかんか」

温厚で知られる定年間近の数学教師がやんわり声を出す。

「っと、その前に月曜の課題の解を見せてもらうか」

「ぐはッ!!」

健太郎が大きく両手を広げ倒れこむようにすると、クラスのあちこちから笑い声がもれだす。
ブロンドの髪を豪華にウェーブさせた少女も、輝く黒髪をツインテールにまとめた少女も、
隠れるようにしてクスクスと笑っていた。

しかし、その大学受験を控えたクラスとは思えないような明るい雰囲気に包まれた教室
の中、シャーペンを握る瑞穂の白くて細い指先が小刻みに震える。

瑞穂には振り向かなくてもわかった、健太郎が教室についた事を。
教室後方の扉が元気良く開いた音だけで、身体がビクッと震えたのだ。
頭よりも先に胸が痛いと感じた。
意識の針が心の中を駆け回ってるような気がした。

教師が再びチョークを黒板に走らせた音で、意識は授業へと舞い戻ったが、
その瞬間、手が消しゴムにあたる。

瑞穂はハッと気付いて手を伸ばすが、間に合ない。

まるで磨かれた氷の上を滑るように、消しゴムは音もなく机の上を流れ、
僅かな時間で端に到達し、重力に身を任せる。
この前駅前の文房具屋で、みこと一緒に買ったばかりの新しい消しゴムが、下へ下へと落ちていく様
を瑞穂は呼吸を止めて見入るしかなかった。

僅か、落差70センチ程の自由落下。
消しゴムは軽いワックス臭のする床に到達すると一回ポーンと毬のように跳ね、二度目の着地と同時
にパタッと倒れる。
まるで、支えを失った人形のように……。

*******************************

「瑞穂、風邪はもう大丈夫なのかよ」

一時間目の授業が終わるなり、健太郎は瑞穂の席まで駆け寄り、声をかける。
均整の取れた体格にだらしなく着こなしたブレザー、よじれたネクタイ、ワイルドに纏められた頭髪。
屈託のない笑顔に、はりのある明るい声。
いつもはクールな瞳が、今は優しく瑞穂を見つめる。

しかし、瑞穂はまるで健太郎の柔らかい眼差しから逃れるように座ったまま視線を逸らす。

「ええ、心配をかけてごめんなさい……」

本当は瑞穂の方から健太郎の席にいき、三年C組の教室横にある放送室へでも場所を移した上で、あ
の悪夢の出来事を切り出そうと心に決めていたのだが、
授業が終わると同時に健太郎に機先を制され、どうにもタイミングがつかめないのだ。
今も瑞穂は健太郎の手を引いて廊下に出たいと思うのだが、なぜかクラスメイトの視線が気になる。
まるで、全員があの出来事を知っているようでどこかしら怖い。
高田に犯された事を、自分がもはや処女でない事がバレているような気がするのだ。

「そっか、まあ、見た感じ熱もなさそうだしな。
 しかし、瑞穂が学校を二日も休むなんて珍しいよなぁ。
 入学以来初めてじゃないか?」

愛しい恋人に四日ぶり会えた反動だろうか、瑞穂の机横に立って話す健太郎の表情には抑えようの無
い感情に溢れていた。
その一方、瑞穂は椅子に座ったまま数学のノート・教科書をしまい、次の英語の準備をする。
いつもは可憐な花のような表情も、今はどことなく硬い。
白いヘアバンドの下の形のいい眉がこわばったようにたゆんでいた。
教壇では、日直が黒板に記された微分方程式をキュッキュィーーという耳障りな音を立てながら消し
ていた。
白いチョークの粉がパラパラと床に落ちる。

「え、そうかしら……」

「あれ、たぶんそうだと思ったけど」

「わたしだって、たまには風邪をひくわ……」

瑞穂は、まだ健太郎の顔をまともに見れないでいた。
心や過ちが見透かされそうで怖いのだ。

「でも、いつもテニスコートを駆け回ってる元気少女の瑞穂が、
 こんな初夏に風邪なんてやっぱり珍しいぜ」

「勉強のしすぎかしら……。
 そうよ! ほら、今度の模擬試験で志望大学のA判定は欲しいし。
 この前の実力試験では偏差値がちょっと下がっていたし……。
 それで抵抗力が落ちてて、中々熱が引かなかったの……」

言い終えて、瑞穂はあッ!と思う。
いま自分は健太郎に嘘をついたのだと気付く。
途端に胸がキュンと痛む。

「ん、そっか……。
 あれ、でも土曜日の夜にデートに誘おうと思って電話したら、
 瑞穂のお母さんから、今日は家にいないのみたいな事を言われたけど??」

「え!?」

予想外の展開に美しい瞳がオドオドと左右に動く。

「確か、金曜もどこかに泊まったとか……」

瑞穂の細い腕を流れる脈拍がドクンと一気にあがる。

(ど、どうしよう、あの夜の事が健太郎くんに……それとも、このまま本当の事を……)

瑞穂は必死に考える。
しかし、いい考えが浮かばない。
考えすぎて軽い目まいがする。
無意識のうちに右手でスカートの裾をギュッと掴む。

「あれかな、また、みこちゃんの家で一緒に勉強してたのかな?」

「え……あッ、そうなの!! そうなんだけど、みこじゃないの!
 えっと、女子テニス部の同級生の友達の家で勉強してたの!!
 その子、数学が苦手なの。
 それで、ついつい指導に熱がはいちゃって、結局泊り込みで勉強をしてたの……」

「ああ、そういえば、
 瑞穂のお母さんも女子テニス部の友達の所にお邪魔してるとかなんとか言ってたな」

白い歯をのぞかせ健太郎が笑う。
しかし、瑞穂は笑えなかった。
自分はまた大好きな健太郎に嘘をついてしまったという事実が、瑞穂の胸を締め付ける。
その上、自分の処女を奪った高田の用意したアリバイを利用したのだ……。
まるで自分が高田の思惑通りに動いているようで、瑞穂は悔しくてたまらなかった。

「でも、残念だよな、
 せっかく瑞穂の好きそうな映画のチケットが手に入ったんだけどなぁ」

「そうなの……。
 本当にごめんね……」

「そんなあやまるなよ。
 今週の日曜いけばいいじゃん!」

「うん……」

何気ない健太郎の一言、ただそれだけで瑞穂の心がパッっと明るくなる。
また健太郎にデートに誘ってもらえる事だけで、瑞穂は幸せだった。
思わず、教室の中なのに涙がこぼれそうになるぐらい……。

「あ、そうだ」

「ん、なに」

やっと、健太郎の顔がまともに見れるようになって、瑞穂の頬が自然と赤みをます。

「金曜にさ、瑞穂、テニス部の元部長で高田とかって奴と打ち合わせがあるとかっていって、
 葉月町に行かなかった? あれはどうなった?」

聞きたくない男の名を聞き、呼吸が止まる。
一瞬にして身体が凍りつく。
頭が真っ白になり、なにも考えが浮かばない。
しかし、椅子に座ったまま硬直する恋人の動揺に気付かないのか、健太郎はそのまま話を続ける。

「変な事されなかったか?
 身体に触られたりとか、抱きつかれたりとか、妖しい所に連れて行かれそうになったとかさ」

「ッ……」

「まあ、その辺はガードが固すぎる瑞穂の事だから大丈夫に決まってるけどさ」

「…………」

のんきに笑う、健太郎。
その横に座る愛しい瑞穂はすでに高田の淫らな罠にかかり、美味しく処女を食べられたしまったうえ
に、穢れない幼膣の中にたっぷりと何度何度も濃い精液を生注入されているというのに……。

「実はさ、あの後稔に聞いたんだけど、やっぱり高田って奴相当やばいらしいぜ。
 なんでも、うちの学校の可愛い女子生徒に手を出しまくってるとか……。
 ん??あれ、どうした瑞穂? なんか急に顔色が悪くなったけど?
 本当はまだ風邪が治りきってないんじゃないのか?」

「え、あ、大丈夫よ……」

「で、金曜はどうだった?」

「……も、もちろん何もなかったわ……。
 普通にテニス部OB会の打ち合わせをして、すぐにお別れしただけよ……」

「そっか。
 なんだぁ、俺はまたそいつがちょっかいだそうとして、ビンタの一発でも食らわしてやったのよ、
 みたいな瑞穂の武勇伝を期待してたのになぁ」

「やだ、そんな事あるわけないわ……」

「でも、気をつけろよ。
 瑞穂は可愛いからさ。先輩だからってあんま信用して、油断しないほうがいいぜ」

「うん、ありがとう……」

もはや遅いのだ。
すでに自分は油断し、甘いカクテルをたっぷり飲まされ、猥褻な大学生に淫らに抱かれたのだ。
瑞穂の心に後悔という感情が霧のようにたちこめる。

「で、日曜だけどさ。デートの後、今度こそ俺の部屋に来てくれるよな、瑞穂」

机の横に立つ健太郎が瑞穂の細い左手に自分の手を添え、告げる。
健太郎の碧がかった瞳が先程までとうってかわり、真剣な眼差しで瑞穂を見つめる。
しかし、瑞穂はその大好きな健太郎から逃れるように左手をノートに逸らすと、顔を深くうつむかせ
、つぶやく。

「ごめんなさい……やっぱり、無理みたい……」

「は?? なんで? なんか用事でもあるの?」

「そうじゃないけど……。
 わたしも行きたいけど……」

「だったら、あ!やべ、先生だ。
 続きはまた休憩時間なッ!!」

健太郎が自分の席に走り去ると同時に入ってきた教師が英語で挨拶をし、点呼を開始する。
瑞穂は今にも泣き出しそうな自分を慰めるように、下を向いたまま目蓋を閉じる。

(ごめんね。本当にごめんね、健太郎くん。ぜんぶ、ぜんぶ、わたしが悪いの……)

体育の授業なのだろう、窓の下、グランド方向から生徒のはしゃぐ声が聞こえる。
めがねをかけた教師が出席番号順に生徒の名前をよみあげる。
健太郎はいつものように空を眺めはじめていた。
瑞穂はまだ顔をあげていなかった。
教室の窓から初夏の太陽光が斜めに入り込み、床に、俯く少女の影絵を描きだす。
開け放たれた窓から、初夏とは思えないような冷たい風が吹き込んでいた……。

*********************************

椅子が一斉にひかれた音の後、三年C組の教室が放課後特有のざわつきに包まれる。
白衣の担任教師が挨拶を終え、みな各々、自由に行動を開始したのだ。

「わかったよ。じゃあさ、今週が駄目なら、来週は絶対だぜ」

「うん、たぶん……」

健太郎は瑞穂の返事を聞くこともなく、ふてくされるように教室をあとにする。
結局瑞穂は4回の休憩時間ごととホームルーム後の今、煮え切らない態度をとったのだ。
健太郎が、半ばはらを立てるのも無理は無いのだろう。

(ごめんね。健太郎くん……)

特にこれといって予定は無かったが、瑞穂は健太郎の誘いを受け入れる気になれなかった。
自分は高田に処女を奪われたうえに、ラブホテルで何度も抱かれ、さらには話の流れ上とは言え、
健太郎に嘘をついてしまったのだ。
これでは自分の身を案じてくれる健太郎にもうしわけが立たないと思った。
せめて、心の整理がついて悪夢の出来事を告げれる勇気がわく時までデートは出来ないし、
そうでないと、わだかまりなく健太郎の胸に飛び込めないと瑞穂は思ったのだ。

(わたし、だめね……)

健太郎が出て行ったドアを見つめ、瑞穂は深くため息をつくと、自分の席に座りなおし下校の準備を
始める。
肩に掛かった長い黒髪に後ろへと流し、
鞄の中に教科書、ノート、筆記用具をしまい、忘れ物はないかと確認する。

(そうだ、部活どうしよう……。
 休むにしても、一応顔ぐらいださないとまずいかな……)

テニス部の事を考えながら、学生鞄の口をパチッと閉じ、立ち上がる。
腰の大きく青いリボンが揺れ、天使の輝きを放つ長い黒髪からシャンプーの香りが流れだす。
細い手首に巻かれたミッキーの腕時計で時間を確認する。
まだ、部活までかなり余裕がある。
昼の時間が長い時期だけに外も十分明るい。
どうせだから図書室にいって予習でもしようかな、と瑞穂は考え、つま先を教室前方の扉へ向ける。
しかし、濃紺のハイソックスに包まれた細い足首を一歩進めた瞬間、背後から声をかけられる。

「よう、瑞穂ちゃん。どうしたんだい?
 なんか見てたら、健太郎とケンカでもしてたみたいだけど」

「えっ?」

瑞穂は声の主の方を向く。
そこには茶髪のロンゲに耳のピアスが特徴の男子生徒が立っていた。
後藤稔だ。

「べつにケンカじゃないわ」

「そうなの?
 それにしては、今日は一日中、なんだかギクシャクしてたみたいだったけど」

「ん、まあ、ちょっとね」

「困った事でもあったんじゃないの?
 悩みごととかさ」

ロンゲをかきあげながら、ニコッと笑顔をつくる稔。

「うんん、困った事なんて……」

「いやだな。俺はこれでも健太郎の親友だぜ」

稔は瑞穂の警戒心を解くように、両手を広げオーバーアクションをとってみせる。

「うん……」

「つまり、瑞穂ちゃんは大事な親友の彼女なわけだ」

「そうね、そうなるかしら……」

「彼氏である健太郎に話せないような悩みがあるんなら、
 その健太郎の親友である俺が聞いてやるよ!
 きっと力になってあげれると思うぜ!!」

稔は自分の胸をコブシでドンと叩き、胸をはる。

「ありがとう……」

稔の少しおどけたようなゼスチャーに瑞穂の薄いピンクの口元がほころぶ。
そして、予想すらしていなかった人物の優しい言葉に、思わず瞳がくもりがちになる。

「やっぱりそうか。ほら、泣かないで瑞穂ちゃん。
 俺に全部話せば絶対解決するって!!」

稔は他のクラスメイトに見られないようにさりげなく瑞穂の細い肩に手をのせ、
摩るようにして優しく慰める。

「俺はいつだって、健太郎と瑞穂ちゃんの味方だよ。ほら、何があったの?」

「うん、でも……」

瑞穂はあたりを見回す。
まだ放課後になって間もないからだろうか、まわりには勉強に集中したり、おしゃべりに夢中になっ
ているクラスメイトであふれていた。

「そっか、ここじゃあ、なんだなあ……。そうだ、相談事をするのにいい場所があるよ!!」

そういうと、稔は瑞穂を誘うように右手の親指をクイッと外に向け、廊下へと歩き出す。
瑞穂は黙って、稔の後についていく。
クラスメイトに不思議がられないよう、数メートル後を追走する。

(よかった、稔くんが友達思いのいい人で……。普段はちょっとエッチだけど、やっぱり健太郎くんの親友なんだわ)

いままで自分自身は勿論、親友のみこにまでちょっかいを出す稔に正直良いイメージを持っていなか
った瑞穂だが、今日の稔はまるで別人のように思えた。
目の前を歩く青いブレザーの背中がいつもと違い、大きく広いような気がした。

その背中の向こうで稔の口元がいやらしく歪んでいるとも知らずに……

(NEVER END)





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